JP3673163B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、加熱調理器に関するものであり、特に加熱制御に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の加熱調理器を示す正面構成図、図5は動作を示すフローチャート図である。図において、1は加熱調理器の本体、2は本体1内に設けられ、前方に開口部を有する箱状の加熱室、3は加熱室2の一側壁に設けられ、加熱手段であるマグネトロン4から発振された高周波を加熱室2内に照射する給電口、5は加熱室2の側壁上部に設けられた透視孔、6は加熱室2内の調理物7が放射する赤外線の量を透視孔5を介して検出する赤外線検出手段である赤外線センサ、8は加熱室2の下部に設けられたターンテーブルであり、モータ9により回転する。10は調理物7を収容してターンテーブル8に載置される調理皿、11は加熱調理器の操作部であり、例えば加熱室2の開口を開閉するドアに隣設されている。
【0003】
次に、動作について説明する。ここでは、操作部11に設けた例えば「あたためキー」の操作により加熱を開始する場合について説明する。調理皿10上に調理物7を載せ、あたためキーが操作されたか否かを判定する(S100)。そして、操作したと判定された場合はマグネトロン、モータを駆動する(S101)。また、赤外線センサ6により調理物7の赤外線量を電圧Vxとして検出する(S102)。そして、予め調理物に応じて設定されている電圧Vt(出来上り温度に応じて設定される)以上であるか否かを判定する(S103)。Vx≧Vtと判定されると、マグネトロン、モータの駆動を停止し(S104)、加熱を終了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の加熱調理器は、加熱調理が進むにつれて調理物から発生した水蒸気が加熱室内に充満し、調理物からの赤外線を正確に検出し難くなってしまうことがあった。したがって、所定の電圧Vtに到達するまでの時間が長くなって、過加熱となってしまうことがあった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、赤外線量の変化量に基づいて加熱時間を設定し、予め設定された温度で加熱が終了するように制御する加熱調理器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る加熱調理器は、調理物を収納する加熱室と、前記調理物を加熱する加熱手段と、前記調理物からの赤外線量を検知する赤外線検知手段と、前記赤外線検知手段により検出された値を用いて所定時間毎の変化量を調理開始から所定時間毎に算出する制御手段とを備え、前記制御手段は、調理開始時点における前記赤外線検知手段により検出された値と最初に経過した所定時間後の前記赤外線検知手段により検出された値により算出された変化量から、前記赤外線検知手段により検出される値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値に到達する残りの加熱時間を予測設定し、前記赤外線検出手段により検出された値と予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値とを比較するステップ、前記赤外線検出手段により検出された値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値以上となった場合は調理を終了するステップ、前記赤外線検出手段により検出された値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値未満である場合は、残りの加熱時間が経過したか否かを判定するステップ、前記残りの加熱時間が経過した場合は調理を終了するステップ、前記残りの加熱時間が経過していなかった場合は、前記赤外線検出手段による検出値に基づいて所定時間における変化量の現算出値を算出するステップ、前記所定時間におけるの変化量の現算出値と前記残りの加熱時間を設定するのに用いた値を比較するステップ、前記変化量の現算出値が残りの加熱時間を設定するのに用いた値より大きかったときには、前記変化量の現算出値と加熱時間を設定するのに用いた値とを置換えるステップ、及び、前記変化量の現算出値に基づき前記赤外線検知手段により検出される値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値に到達する残りの加熱時間を予測設定するステップを実行し、調理実行中は前記各ステップを調理終了まで繰り返すものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す加熱調理器の制御ブロック図、図2は動作を示すフローチャート図、図3は赤外線センサの出力(電圧)と加熱時間との関係を示す図である。なお、加熱調理器の全体構成図については従来と同様であるので図4を参照し、符号の説明を省略する。図において、11aは操作部11に設けられたあたためキーであり、例えばあたためキー11aを押圧操作すると調理が開始する。12は加熱調理器の制御手段を示すマイクロコンピュータ等で構成された制御装置であり、マグネトロン4、モータ9等の駆動を制御する。13は制御装置12に設けられたタイマーであり、赤外線を検出するための所定時間t、赤外線の変化量を検出するための所定時間T、算出された調理時間Tn等を計時する。14は制御装置12に設けられたメモリーであり、予め設定されている調理仕上げ温度や検出された赤外線及び赤外線変化量を一時的に格納する。
【0009】
次に、動作について図2を用いて説明する。
まず、調理物7を収納した調理皿10をターンテーブル8に載置した後、操作部11のキーを操作する。操作部11からの信号は制御装置12に入力されてあたためキー11aか否かを判定される(S1)。そして、あたためキー11aであると判定されると制御装置12は赤外線センサ6により調理物7から放出される赤外線を電圧Vに変換して出力し、電圧V0としてメモリー14に一時的に格納する(S2)。またマグネトロン4及びモータ9を駆動させて加熱を開始し、タイマー13による計時を開始する(S3)。制御装置12は赤外線センサ6からの信号を入力するための時間、検出時間tが経過したか否かを判定する(S4)。例えば、検出時間tを0.2秒とし、0.2秒間隔で赤外線センサ6からの信号を取り込むようにしてもよい。そして、検出時間tが経過したと判定すると、赤外線センサ6からの信号を電圧Vxとして設定する(S5)
【0010】
そして、制御装置12は設定された電圧Vxが調理物に応じて予め設定されている所定の電圧Vt(例えば2.5V=60℃)以上であるか否かを判定する(S6)。電圧Vtは、所望の調理仕上げ温度に応じて設定されている値である。検出された電圧Vxが所定の電圧Vt以上であれば制御装置12によりマグネトロン4及びモータ9の駆動、及びタイマー13の計時を停止させ(S7)、調理を終了する。つまり、赤外線センサ6により2.5Vが検出されると、調理物7の温度が60℃(所望の調理仕上げ温度)であると検知されたことになるので、調理を終了する。また、S6で検出電圧Vxが所定電圧Vt以上でないと判定されると、次に赤外線の変化量を算出するための時間、算出時間Tが経過したか否かを判定する(S8)。算出時間Tが経過したと判定されると制御装置12はメモリー14に一時的に格納されている電圧V0と電圧Vxとの差ΔVを算出する(S9)。なお、算出時間Tは、例えば50Hz電源利用の場合は12秒、60Hz電源利用の場合は10秒とする。これは、一般的にターンテーブル8が一回転する時間に対応している。S8で算出時間Tが経過していないと判定されると、S4へ移る。
【0011】
また、制御手段12は算出されたΔVをメモリー14に一時的に格納するとともにΔVを算出時間Tで除算して1秒当たりの赤外線変化量(電圧)dVを算出する(S10)。そして、赤外線変化量(電圧)dVに基づき残りの加熱時間Tn((Vt−Vx)/dV=Tn)を算出する(S11)。つまり、赤外線変化量(電圧)dVにより電圧Vtになるまでの残りの加熱時間Tnが予測設定される。
【0012】
そして、検出された電圧Vxを電圧V0として置換えて、メモリー14に一時的に格納する(S12)。そして、S13〜S15までS4〜S6と同様の動作が行われ、S15で検出電圧Vxが所定電圧Vt以上でないと判定されると、次にS11で設定した残りの加熱時間Tnが経過したか否かを判定する(S16)。S16で加熱時間Tnが経過したと判定されると、S7へ移り、調理を終了する。S16で残りの加熱時間Tnが経過していないと判定すると、S8同様に赤外線の変化量を算出するための時間、算出時間Tが経過したか否かを判定する(S17)。そして、S17で算出時間Tが経過していないと判定されると、S13へ移る。また、S17で算出時間Tが経過したと判定されると、制御装置12はメモリー14に一時的に格納されている電圧V0(加熱時間Tnが予測設定されたときに置換えられた電圧Vx)と新たに検出された電圧Vxとの差ΔVnを算出する(S18)。そして、メモリー14に格納されているΔV(加熱時間Tnが予測設定されたときに記憶された値)と算出したΔVnとを比較し、ΔVn>ΔVか否か判定する(S19)。そして、ΔVn>ΔVと判定されると、予測した加熱時間Tnをリセットし(S20)、ΔVnがΔVとして置換えられて(S21)、S10へ移る。また、S19でΔVn>ΔVではないと判定されると、S12へ移り、動作が繰り返される。
【0013】
実施の形態1では、図3に示すように、調理物7の温度変化を検出し(図3中実線で示す)、所定時間毎(算出時間T毎)に赤外線Vx(Vx1、…、Vxn)を検出する。そして、赤外線変化量ΔV(ΔV1、…、ΔVn)を算出し、現算出値と前回までの算出値とを比較して、現算出値の方が前回までのいずれの算出値よりも大きい場合、そのΔVに基づいて加熱時間(T1、…、Tn)を予測設定する。加熱時間は、変化量ΔVに応じて更新される。
【0014】
以下、図3を用いて変化量ΔVと加熱時間Tnとの関係についてその一例を説明する。所定の算出時間TであるA時点において、赤外線の変化量ΔV2を算出する。そして、算出時間T前に算出された変化量ΔV1とΔV2を比較する。図3においては、ΔV2>ΔV1であるので、ΔV2に基づいて残りの加熱時間T1を算出し、予測設定する。続いて、B時点において、再度赤外線変化量ΔV3を算出し、ΔV2と比較する。ΔV3≦ΔV2であるので、残り加熱時間は更新されず、T1がセットされたままである。次に、C時点において赤外線の変化量ΔV4と変化量ΔV2を比較する。つまり、算出時前における最も大きい赤外線変化量に基づいて加熱時間が算出されるので、C時点でのΔV4とそれまでの最大変化量ΔV2とを比較する。C時点では、ΔV4>ΔV2であるので、ΔV4に基づいて残りの加熱時間T2を算出し、加熱時間をT2に更新する。同様に、D時点において、ΔV5とΔV4を比較し、ΔV5≦ΔV4であるので、残りの加熱時間は更新されない。続いて、E時点での赤外線変化量ΔVnとΔV4とを比較し、ΔVn>ΔV4であるので、ΔVnに基づいて残りの加熱時間Tnを算出し、加熱時間をTnに更新する。
【0015】
なお、調理物に応じて予め設定されている電圧Vtを2.5Vとしたが、これに限るものではなく、調理物に応じて設定される所望の出来あがり温度を赤外線センサの起電圧に変換して、適宜設定すればよい。
【0016】
また、制御装置12は赤外線センサ6から調理物の温度を起電圧に変換し、例えば50Hz電源を利用した場合にはターンテーブル8が1周するのに要する時間(12秒)の間に赤外線センサ6は検出時間t=0.2秒毎に合計60回の赤外線を検出している。この60回の検出電圧を積算して60回で除算してターンテーブル8の1周時の移動平均値を算出する。その後は、検出時間毎に検出時の電圧とそれ以前の60回の電圧を積算して60回で除算して移動平均値を算出して、その算出値を赤外線検出値Vxとして設定し、その変化量に基づいて、加熱時間を予測設定するようにしてもよい。
【0017】
なお、実施の形態1では、マグネトロンによる加熱手段を示したが、これに限るものではなく、ヒータによる加熱手段を用いてもよい。
【0018】
実施の形態1によれば、制御装置12は赤外線センサ6からの出力に基づいて算出時間T毎の変化量ΔVを算出し、変化量が増加していれば、その変化量に基づき、残りの時間を更新するので、調理物の加熱状態に適した加熱時間を設定することができる。また、水蒸気が発生して赤外線量を正確に検出できない場合は、赤外線の変化量が増加しないので、加熱時間は更新されることはない。したがって、過加熱されてしまうことを防ぎ、加熱性能が向上するという効果がある。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、調理物を収納する加熱室と、前記調理物を加熱する加熱手段と、前記調理物からの赤外線量を検知する赤外線検知手段と、前記赤外線検知手段により検出された値を用いて所定時間毎の変化量を調理開始から所定時間毎に算出する制御手段とを備え、前記制御手段は、調理開始時点における前記赤外線検知手段により検出された値と最初に経過した所定時間後の前記赤外線検知手段により検出された値により算出された変化量から、前記赤外線検知手段により検出される値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値に到達する残りの加熱時間を予測設定し、前記赤外線検出手段により検出された値と予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値とを比較するステップ、前記赤外線検出手段により検出された値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値以上となった場合は調理を終了するステップ、前記赤外線検出手段により検出された値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値未満である場合は、残りの加熱時間が経過したか否かを判定するステップ、前記残りの加熱時間が経過した場合は調理を終了するステップ、前記残りの加熱時間が経過していなかった場合は、前記赤外線検出手段による検出値に基づいて所定時間における変化量の現算出値を算出するステップ、前記所定時間におけるの変化量の現算出値と前記残りの加熱時間を設定するのに用いた値を比較するステップ、前記変化量の現算出値が残りの加熱時間を設定するのに用いた値より大きかったときには、前記変化量の現算出値と加熱時間を設定するのに用いた値とを置換えるステップ、及び、前記変化量の現算出値に基づき前記赤外線検知手段により検出される値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値に到達する残りの加熱時間を予測設定するステップを実行し、調理実行中は前記各ステップを調理終了まで繰り返すので、調理物が過加熱されてしまうことを防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す加熱調理器の制御ブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1を示す加熱調理器の動作を示すフローチャート図である。
【図3】 加熱時間と赤外線変化量との関係を示す図である。
【図4】 従来の加熱調理器を示す正面構成図である。
【図5】 従来の加熱調理器の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 本体、2 加熱室、3 給電口、4 マグネトロン、5 透視孔、
6 赤外線センサ、7 調理物、8 ターンテーブル、9 モータ、
10 調理皿、11 操作部、12 制御手段、13 タイマー、
14 メモリー。
Claims (1)
- 調理物を収納する加熱室と、前記調理物を加熱する加熱手段と、前記調理物からの赤外線量を検知する赤外線検知手段と、前記赤外線検知手段により検出された値を用いて所定時間毎の変化量を調理開始から所定時間毎に算出する制御手段とを備え、
前記制御手段は、調理開始時点における前記赤外線検知手段により検出された値と最初に経過した所定時間後の前記赤外線検知手段により検出された値により算出された変化量から、前記赤外線検知手段により検出される値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値に到達する残りの加熱時間を予測設定し、
前記赤外線検出手段により検出された値と予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値とを比較するステップ、
前記赤外線検出手段により検出された値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値以上となった場合は調理を終了するステップ、
前記赤外線検出手段により検出された値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値未満である場合は、残りの加熱時間が経過したか否かを判定するステップ、
前記残りの加熱時間が経過した場合は調理を終了するステップ、
前記残りの加熱時間が経過していなかった場合は、前記赤外線検出手段による検出値に基づいて所定時間における変化量の現算出値を算出するステップ、
前記所定時間におけるの変化量の現算出値と前記残りの加熱時間を設定するのに用いた値を比較するステップ、
前記変化量の現算出値が残りの加熱時間を設定するのに用いた値より大きかったときには、前記変化量の現算出値と加熱時間を設定するのに用いた値とを置換えるステップ、及び、前記変化量の現算出値に基づき前記赤外線検知手段により検出される値が予め設定された所望の調理仕上げ温度に応じて設定される値に到達する残りの加熱時間を予測設定するステップ、
を実行し、調理実行中は前記各ステップを調理終了まで繰り返すことを特徴とする加熱調理器。
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