JP3673043B2 - ワーク加電式静電塗装設備及びそれに用いるワーク載換装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装ゾーンに搬入されたワークに高電圧を印加して、アースに接続された塗装機から噴霧した塗料を前記ワークに静電塗着させるワーク加電式静電塗装設備及びそれに用いるワーク載換装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ハンガに懸吊されてオーバーヘッドコンベアで搬送されるワークに水性塗料やメタリック塗料などの導電性塗料を静電塗装する場合において、塗装機やその塗料供給系を絶縁する面倒をなくすために、ワークに高電圧を印加し、アースに接続された塗装機から塗料を噴霧させて、前記ワークに静電塗着させるワーク加電式静電塗装設備が提案されている。
オーバーヘッドコンベアは、ワークを吊り下げたハンガをトロリーに係合させて搬送するようになされており、そのワークに高電圧を印加する手段としては、トロリーに係合される上端側とワークを吊り下げる下端側の間に絶縁碍子を介装したハンガにワークを吊り下げ、所定の位置に停止させて当該ワークに電極を接触させるもの（特開昭６４−７５０７７号公報参照）や、ハンガを介してワークに電気的に接続された接触子をコンベアに沿って配設された給電レールに接触させてワークに高電圧を印加させるものが知られている。
【０００３】
しかし、ワークに電極を接触させる給電手段は、当該ワークを所定の塗装位置に停止させて塗装しなければならないから生産効率が低い。また、電極をワークと共にトラッキングさせれば、ワークを搬送しながら高電圧を印加することができ、生産効率を高めることができるが、その場合は、電極を確実にワークに同期させて移動するように構成しなければならず、トラッキング機構が非常に複雑になるという問題があった。さらに、電極に予め高電圧が印加されている場合は、当該電極がワークに接触する瞬間や離れる瞬間にスパークを発するというおそれがある。
【０００４】
また、ハンガを介してワークに電気的に接続された接触子をコンベアにそって配設された給電レールに接触させる給電手段にあっては、給電レールに常時高電圧が供給されているので、接触子が給電レールに接触する瞬間及び離れる瞬間にスパークが発生し易い。さらに、給電レールと接触子の間でスパークが発生すると、その熱により給電レールや接触子の表面が溶けて凹凸が形成されるため、これらを頻繁に交換しなければならずメンテナンスコストが嵩むという問題があった。
【０００５】
このため、本出願人は、スパークを起こすことなくワークに確実に給電することができるように、コンベアに沿って配設された誘電レールに非接触状態で対向させて誘導起電力を生ずるピックアップコイルと、その起電力を電源として高電圧を発生する高電圧発生器をハンガに搭載してワークに高電圧を印加する手段を提案した（特願平７−５３８２０号）。
しかし、この場合はハンガが大型化するため、自動車ボディなどの大型のワークには適しているものの、棒状のワークを小さいピッチで搬送したり、その小さなピッチをワーク形状に応じて変更することはできず、したがって、小さなワークに対する給電手段としては不向きであった。
【０００６】
このため、塗装ゾーンを通って循環する塗装用コンベアを配し、当該塗装用コンベアのレール全体を高電圧電位に維持して、当該レール内を走行するトロリー及びこれに係合されたハンガを介してワークに高電圧を印加するようにすれば、ハンガを大型化する必要もない。
この場合に、コンベアレール内を自由に走行するトロリーを絶縁体で形成したドグに係脱させて牽引するパワーアンドフリーのコンベアを用いれば、ワークの大きさや形状に応じて搬送ピッチを自由に設定することができるので、非常に便利である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この場合は、アース電位に維持された搬入用コンベアから高電圧電位に維持された塗装用コンベアにワークを載せ換えるときや、高電圧電位に維持された塗装用コンベアからアース電位に維持された搬出用コンベアにワークを載せ換えるときに、スパークを生ずるという問題が残る。
しかも、ワークの搬送ピッチはその大きさに応じて変更されるので、その搬送ピッチの変更に対応してワークの載せ換えを行い、その際にスパークを生じさせないようにすることは極めて困難であった。
【０００８】
そこで本発明は、ワークの大きさ形状に応じた任意の搬送ピッチでワークを搬送する塗装用コンベアに対して、その搬送ピッチに応じてワークを着荷／脱荷することができ、また、高電圧電位に維持された塗装用コンベアのトロリーにワークを着荷／脱荷する際にスパークが生じないようにすることを技術的課題としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、塗装ゾーンに搬入されたワークに高電圧を印加して、アースに接続された塗装機から噴霧した塗料を前記ワークに静電塗着させるワーク加電式静電塗装設備において、塗装ゾーンを通って循環する塗装用コンベアと、その前段及び後段に配設された搬入用コンベア及び搬出用コンベアが、ワークを吊り下げたハンガをトロリーに係合させて搬送するオーバーヘッドコンベアで形成され、少なくとも前記塗装用コンベアのトロリーがワークに印加すべき高電圧電位に維持されると共に、前記搬入用コンベア及び搬出用コンベアのトロリーがアース電位に維持され、前記搬入用コンベアと前記塗装用コンベアとの間及び前記塗装用コンベアと前記搬出用コンベアとの間に、ワークの載せ換えを行う搬入用及び搬出用ワーク載換装置が夫々配設され、前記各ワーク載換装置は、搬入用コンベア又は塗装用コンベアの脱荷位置でワークを吊り下げているハンガをトロリーから離脱させて当該ワークをハンガごと脱荷する脱荷機構と、脱荷されたワークをハンガごと塗装用コンベア又は搬出用コンベアの着荷位置まで移送する移送手段と、当該着荷位置まで移送されたワークを吊り下げているハンガをトロリーに係合させて当該ワークをハンガごと着荷する着荷機構とを備え、前記移送手段は、ハンガに形成された載換係合部に係合されて個々のハンガを夫々絶縁状態に支持するハンガ支持係合部が、前記脱荷位置と前記着荷位置を通る周回軌道を描くように移動可能に配設されると共に、当該ハンガ支持係合部を所定の速度で移動させる駆動装置と、前記ハンガ支持係合部を介してハンガに所定の電圧を印加する給電機構とを備え、当該給電機構は、ハンガ支持係合部が搬入用コンベアの脱荷位置又は搬出用コンベアの着荷位置から塗装用コンベアの着荷位置又は脱荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部をアース電位から塗装用コンベアの電位まで漸次昇圧すると共に、ハンガ支持係合部が塗装用コンベアの着荷位置又は脱荷位置から搬入用コンベアの脱荷位置又は搬出用コンベアの着荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部を塗装用コンベアの電位からアース電位まで漸次降圧するように成されたことを特徴とする。
【００１０】
本発明によれば、搬入用コンベアから塗装用コンベアにワークが載せ換えられ、当該塗装用コンベアのトロリーを介してワークに高電圧が印加されて静電塗装され、塗装終了したワークが塗装用コンベアから搬出用コンベアに載せ換えられて搬出される。
塗装用コンベアは塗装ゾーンを循環するように配設されて、少なくともトロリーが高電圧電位に維持されているので、当該コンベアでワークを搬送するだけで、ハンガを大型化することなくワークに高電圧を印加することができる。
また、例えば絶縁支持されたコンベアレールに高電圧を印加して、当該コンベアレール内を走行するトロリーを絶縁体で形成したドグに係脱させて牽引するパワーアンドフリーのコンベアを用いれば、ワークの大きさや形状に応じて搬送ピッチを自由に設定できる。
【００１１】
また、ワーク載換装置は、個々のハンガを夫々絶縁状態に支持するハンガ支持係合部が、前記脱荷位置と前記着荷位置を通る周回軌道を描くように移動可能に配設されているので、当該ハンガ支持係合部の周回速度を搬送ピッチに応じて調整することにより、搬送ピッチの変更にも容易に対応できる。
【００１２】
そして、搬入用コンベアから塗装用コンベアにワークを載せ換えるときは、ハンガ支持係合部が塗装用コンベアの着荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部を介してハンガがアース電位から塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧されるので、当該ハンガを塗装用コンベアに着荷する際にスパークを生ずることがない。
また、ハンガを塗装用コンベアに着荷して空になったハンガ支持係合部が塗装用コンベアの着荷位置から搬入用コンベアの脱荷位置に戻るまでの間に、前記ハンガ支持係合部が塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位からアース電位まで漸次降圧されるので、アース電位の搬入用コンベアからワークをハンガごと脱荷する際にスパークを生ずることがない。
【００１３】
さらに、塗装用コンベアから搬出用コンベアにワークを載せ換えるときは、空のハンガ支持係合部が搬出用コンベアの着荷位置から塗装用コンベアの脱荷位置に至るまでの間に、アース電位から塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧されるので、塗装用コンベアからワークをハンガごと脱荷する際にスパークを生ずることがない。
また、塗装用コンベアから脱荷したハンガを係合させたハンガ支持係合部が搬出用コンベアの着荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部を介してハンガが塗装用コンベアと同電位の高電圧電位からアース電位まで漸次降圧されるので、アース電位の搬出用コンベアにワークをハンガごと着荷する際にスパークを生ずることがない。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図１は本発明に係るワーク加電式静電塗装設備の全体を示す概略説明図、図２はこれに用いるワーク載換装置を示す斜視図である。
【００１５】
本例のワーク加電式静電塗装設備は、塗装ゾーン１に搬入されたワークＷに高電圧を印加し、アースされた塗装機Ｔから噴霧した塗料を前記ワークＷに静電塗着させるようになされている。
そして、塗装ゾーン１を通って循環する塗装用コンベア２ｐと、その前段及び後段に配設された搬入用コンベア２in及び搬出用コンベア２out は、夫々のコンベアレール１６ｐ，１６in，１６out を走行するトロリー５in，５ｐ，５out に、ワークＷを吊り下げたハンガ４を係合させ、各トロリー５in，５ｐ，５out に駆動用のドグ（図示せず）を係脱させて牽引することにより前記ワークＷを所定間隔で搬送するオーバーヘッドコンベアで形成されている。
前記塗装用コンベア２ｐは、絶縁支持されたコンベアレール１６ｐが高電圧発生器（図示せず）に接続されてワークＷに印加される高電圧電位に維持されているので、当該コンベアレール１６ｐを走行するトロリー５ｐを介してハンガ４に吊り下げられたワークＷに高電圧が印加されると共に、前記トロリー５ｐは絶縁体で形成されたドグ（図示せず）に係脱されて牽引されるように成されてその駆動機構に高電圧が漏洩しないように成されている。
また、塗装用コンベア２ｐの前段及び後段に配設された搬入用コンベア２in及び搬出用コンベア２out 及びこれらの各トロリー５in，５out はアース電位に維持されている。
【００１６】
そして、搬入用コンベア２inと前記塗装用コンベア２ｐとの間と、前記塗装用コンベア２ｐと前記搬出用コンベア２out との間に、ワークＷの載せ換えを行う搬入用ワーク載換装置３in及び搬出用ワーク載換装置３out が夫々配設されている。
前記各ワーク載換装置３in，３out は、前段のコンベアとなる搬入用コンベア２in又は塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 でワークＷを吊り下げているハンガ４をトロリー５in，５ｐから離脱させて当該ワークＷをハンガ４ごと脱荷する脱荷機構６と、脱荷されたワークＷをハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐ又は搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 まで移送する移送手段７と、当該着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 まで移送されたワークＷを吊り下げているハンガ４をトロリー５ｐ，５out に係合させて当該ワークＷをハンガ４ごと着荷する着荷機構８とを備えている。
【００１７】
前記移送手段７は、ハンガ４に形成されたフック状の載換係合部９に下方から係合されて個々のハンガ４を夫々絶縁状態に支持する複数のハンガ支持係合部１０が、前記脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 と前記着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 を通る周回軌道を描くように回動される回転支持体１１から放射状に突出して形成され、当該回転支持体１１を一定方向に所定の速度で回転させるモータ（駆動装置）１２と、前記ハンガ支持係合部１０を介してハンガ４に所定の電圧を印加する給電機構１３とを備えている。
なお、１４は各ハンガ支持係合部１０と回転支持体１１とを電気的に絶縁した状態で結合する絶縁碍子であり、これにより、各ハンガ支持係合部１０で個々のハンガ４が絶縁状態に支持される。
【００１８】
前記給電機構１３は、周回軌道を描くように回動される前記ハンガ支持係合部１０に摺接される環状の高抵抗体１５からなり、当該高抵抗体１５は、塗装用コンベア２ｐ側の接点１５ａが塗装用コンベア２ｐのコンベアレール１６ｐに高電圧を印加する高電圧発生器（図示せず）に接続されてトロリー５ｐと同電位の高電圧電位に維持され、搬入用コンベア２in側及び搬出用コンベア２out 側の接点１５ｂがアースに接続され、その両接点１５ａ及び１５ｂ間の抵抗値が１０００〜３０００ＭΩ程度に選定されている。
そして、ハンガ支持係合部１０が、搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 又は搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ4 から塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 又は脱荷位置Ｐ3 に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部１０が高抵抗体１５に摺接されてアース電位から塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧される。
また、ハンガ支持係合部１０が塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 又は脱荷位置Ｐ3 から搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 又は搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ4 に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部１０が高抵抗体１５に摺接されて塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐの高電圧電位からアース電位まで漸次降圧するように成されている。
【００１９】
脱荷機構６は、脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 でコンベアレール１６in，１６ｐが搬送方向に向かって下向きに傾斜されて形成され、当該脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 に到来したハンガ支持係合部１０に対して、搬入用コンベア２in又は塗装用コンベア２ｐのトロリー５in，５ｐを相対的に下降させるように成されている。
したがって、ハンガ４を係合しているトロリー５in，５ｐは、搬送方向に沿って下向きに傾斜されたコンベアレール１６in，１６ｐに案内されて下降され、当該ハンガ４に形成されたフック状の載換係合部９がワーク載換装置３in，３out のハンガ支持係合部１０に係合され、この状態でさらにトロリー５in，５ｐを下降させると、当該ハンガ４がトロリー５in，５ｐに対して相対的に持ち上げられるので、ハンガ４が前記トロリー５in，５ｐから離脱されてワークＷがハンガ４ごと着荷されるように成されている。
【００２０】
また、着荷機構８は、着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 でコンベアレール１６ｐ，１６out が搬送方向に向かって上向きに傾斜されて形成され、当該着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 までハンガ４を移送してきたハンガ支持係合部１０に対して塗装用コンベア２ｐ又は搬出用コンベア２out のトロリー５ｐ，５out を相対的に上昇させるように成されている。
したがって、各トロリー５ｐ，５out は、搬送方向に沿って上向きに傾斜されたコンベアレール１６ｐ，１６out に案内されて上昇しながらハンガ４に係合され、この状態で、さらにトロリー５ｐ，５out が上昇されるとハンガ４が持ち上げられ、当該ハンガ４の載換係合部９がワーク載換装置３in，３out のハンガ支持係合部１０から離脱されてワークＷがハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐ又は搬出用コンベア２out に着荷されるように成されている。
【００２１】
以上が、本発明の一例構成であって次にその作用について説明する。
まず、ワークＷを吊り下げたハンガ４が搬入用コンベア２inにより所定ピッチで搬送されるワークＷを搬入用コンベア２inから脱荷してワーク載換装置３inのハンガ支持係合部１０に係合させる。
ワーク載換装置３inは、回転支持体１１がワークＷの搬送ピッチに応じた所定速度で回動され、ハンガ支持係合部１０が前記搬入用コンベア２inで搬送されるハンガ４に同期して脱荷位置Ｐ1 に到来する。
このとき、脱荷機構６は、搬入用コンベア２inのコンベアレール１６inが搬送方向に沿って下向きに傾斜して形成されているので、ハンガ４を係合しているトロリー５inは、コンベアレール１６inに案内されて下降される。
そして、ハンガ４に形成されたフック状の載換係合部９が載換装置３inのハンガ支持係合部１０に係合した状態で、さらにトロリー５inが下降されると、当該ハンガ４がトロリー５inに対して相対的に持ち上げられるので、ハンガ４が前記トロリー５inから離脱されてワークＷがハンガ４ごと脱荷される。
【００２２】
次いで、さらに回転支持体１１を回転駆動させると、ハンガ支持係合部１０が高抵抗体１５に摺接された状態で、搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 から塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 まで移動する。
このとき、高抵抗体１５は、前記脱荷位置Ｐ1 側の接点１５ｂがアースに接続され、前記着荷位置Ｐ2 側の接点１５ａが塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐと同電位の高電圧電位に維持されている。
したがって、脱荷位置Ｐ1 に到来したハンガ支持係合部１０は搬入用コンベア２inで搬送されてきたハンガ４と同じアース電位になり、脱荷位置Ｐ1 から着荷位置Ｐ2 に至るまでの間に漸次昇圧され、着荷位置Ｐ2 で塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐと同電位の高電圧電位に達する。
【００２３】
次いで、前記ハンガ支持係合部１０に係合されたワークＷをハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐに着荷する。
この場合において、まず、塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐを、その着荷位置Ｐ2 に到来する載換装置３inのハンガ支持係合部１０と同期するように移送させる。
このとき、着荷機構８は、塗装用コンベア２ｐのコンベアレール１６ｐが搬送方向に沿って上向きに傾斜して形成されているので、ハンガ４を受け取るトロリー５ｐは、着荷位置Ｐ2 においてコンベアレール１６ｐに案内されて上昇しながら前記ハンガ４に係合される。
この状態で、さらにトロリー５ｐが上昇されるとハンガ４が持ち上げられ、当該ハンガ４の載換係合部９がワーク載換装置３in，３out のハンガ支持係合部１０から離脱されてワークＷはハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐに着荷される。
【００２４】
このとき、ハンガ４はハンガ支持係合部１０を介して給電手段１３よりトロリー５ｐと同電位の高電圧電位が印加されるので、着荷する際にスパークを生ずることがない。
また、ハンガ４を塗装用コンベア２ｐに着荷させて空になったハンガ支持係合部１０は、塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 から搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 に戻るまでの間、高抵抗体１５に摺接されて移動され、脱荷位置Ｐ1 に戻る間にアース電位まで漸次降圧されるので、搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 で後続のハンガ４を脱荷する際にスパークを生ずることがない。
【００２５】
一方、塗装用コンベア２ｐにハンガ４ごと載せ換えられたワークＷは、塗装ゾーン１内を搬送されている間、当該塗装用コンベア２ｐを介して高電圧が印加され、アースに接続された塗装機Ｔから噴霧された塗料が、当該ワークＷに静電塗着される。
【００２６】
塗装を終了したワークＷは、塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 まで搬送され、搬出用ワーク載換装置３out により搬出用コンベア２out に載せ換えられる。
このとき、塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 でハンガ４を脱荷する脱荷機構６と搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ4 でハンガを着荷する着荷機構８の動作は搬入用ワーク載換装置３inにおける脱荷機構６及び着荷機構８の動作と同様なので、詳細説明は省略する。
【００２７】
また、搬出用ワーク載換装置３out は、まず、空のハンガ支持係合部１０が、搬出用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ4 から塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 に至るまでの間、高抵抗体１５に摺接されて移動される。
このとき、高抵抗体１５は、前記脱荷位置Ｐ3 側の接点１５ａが塗装用コンベア２ｐと電気的に接続され、着荷位置Ｐ4 側の接点１５ｂがアースに接続されているので、ハンガ支持係合部１０が着荷位置Ｐ2 に近づくに従って塗装用コンベア２ｐの高電圧電位まで漸次昇圧される。
したがって、塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ3 でハンガ４を着荷する際にスパークを生ずることがない。
また、ハンガ４を受け取ったハンガ支持係合部１０が塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 から搬出用コンベア２out の着荷位置に至る間に、高抵抗体１５に接触されて、ハンガ支持係合部１０はアース体まで漸次降圧されるので、ワークＷをハンガ４ごと搬出用コンベア３out に着荷する際にスパークを生ずることがない。
【００２８】
なお、給電手段１３としては、ハンガ支持係合部１０に摺接される環状の高抵抗体１５を用いる場合に限らず、その形状は高抵抗体１５を多角形状に形成したものや、アース側の接点１５ｂに隙間を形成したものであってもよく、さらに、全部を高抵抗体で形成する場合に限らず、金属導体を一部に介在させて略環状に形成したものであってもよい。
また、高抵抗体１５にハンガ支持係合部１０を摺接させる場合に限らず、各ハンガ支持係合部１０を除々に昇圧，降圧できるものであれば任意の手段を採用することができ、例えば、モータ１２の回転軸に夫々のハンガ支持係合部１０に接続される電極を個別に形成し、当該電極に摺接される個々のブラシを電圧調整可能な高電圧発生器に一台ずつ接続する場合であってもよい。
【００２９】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、塗装ゾーンを循環する塗装用コンベアのトロリーが高電圧電位に維持されるので、例えばトロリーを走行させるコンベアレールを絶縁支持する以外は、非静電塗装と同じコンベア及びハンガを用いることができ、特別な給電手段を用いることなく、ワークを吊り下げたハンガを塗装用コンベアで搬送するだけで当該ワークに高電圧を印加することができるという効果がある。
また、ハンガ移送手段に形成されたハンガ支持係合部は、一方のコンベアの脱荷位置と他方のコンベアの着荷位置を通る周回軌道を描くように所定の速度で移動されるので、その移動速度をワークの搬送ピッチに応じて設定することにより、搬送されてくるワークのピッチに応じてワークを載せ換えることができるという効果がある。
さらに、前記ハンガ支持係合部は、アース側の搬入用コンベア及び搬出側コンベアから高電圧側の塗装用コンベアに至る間に塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧され、塗装用コンベアから搬入用及び搬出用コンベアに至るまでの間にアース電位まで漸次降圧されるので、当該ハンガ支持係合部によりワークをハンガごと各コンベアに着荷したり、各コンベアから脱荷したりする際にスパークを生ずることがないという大変優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るワーク加電式静電塗装設備の全体を示す概略説明図。
【図２】それに用いられるワーク載換装置を示す斜視図。
【符号の説明】
Ｔ・・・・塗装機
１・・・・塗装ゾーン
２ｐ・・・塗装用コンベア
２in・・・搬入用コンベア
２out ・・搬出用コンベア
Ｐ1 ・・・脱荷位置
Ｐ2 ・・・着荷位置
Ｐ3 ・・・脱荷位置
Ｐ4 ・・・着荷位置
３in・・・搬入用ワーク載換装置
３out ・・搬出用ワーク載換装置
４・・・・ハンガ
５in，５ｐ，５out ・・トロリー
６・・・・脱荷機構
７・・・・移送手段
８・・・・着荷機構
９・・・・載換係合部
１０・・・・ハンガ支持係合部
１１・・・・回転支持体
１２・・・・モータ（駆動装置）
１３・・・・給電手段
１５・・・・高抵抗体
１５ａ，１５ｂ・・・・・接点
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装ゾーンに搬入されたワークに高電圧を印加して、アースに接続された塗装機から噴霧した塗料を前記ワークに静電塗着させるワーク加電式静電塗装設備及びそれに用いるワーク載換装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ハンガに懸吊されてオーバーヘッドコンベアで搬送されるワークに水性塗料やメタリック塗料などの導電性塗料を静電塗装する場合において、塗装機やその塗料供給系を絶縁する面倒をなくすために、ワークに高電圧を印加し、アースに接続された塗装機から塗料を噴霧させて、前記ワークに静電塗着させるワーク加電式静電塗装設備が提案されている。
オーバーヘッドコンベアは、ワークを吊り下げたハンガをトロリーに係合させて搬送するようになされており、そのワークに高電圧を印加する手段としては、トロリーに係合される上端側とワークを吊り下げる下端側の間に絶縁碍子を介装したハンガにワークを吊り下げ、所定の位置に停止させて当該ワークに電極を接触させるもの（特開昭６４−７５０７７号公報参照）や、ハンガを介してワークに電気的に接続された接触子をコンベアに沿って配設された給電レールに接触させてワークに高電圧を印加させるものが知られている。
【０００３】
しかし、ワークに電極を接触させる給電手段は、当該ワークを所定の塗装位置に停止させて塗装しなければならないから生産効率が低い。また、電極をワークと共にトラッキングさせれば、ワークを搬送しながら高電圧を印加することができ、生産効率を高めることができるが、その場合は、電極を確実にワークに同期させて移動するように構成しなければならず、トラッキング機構が非常に複雑になるという問題があった。さらに、電極に予め高電圧が印加されている場合は、当該電極がワークに接触する瞬間や離れる瞬間にスパークを発するというおそれがある。
【０００４】
また、ハンガを介してワークに電気的に接続された接触子をコンベアにそって配設された給電レールに接触させる給電手段にあっては、給電レールに常時高電圧が供給されているので、接触子が給電レールに接触する瞬間及び離れる瞬間にスパークが発生し易い。さらに、給電レールと接触子の間でスパークが発生すると、その熱により給電レールや接触子の表面が溶けて凹凸が形成されるため、これらを頻繁に交換しなければならずメンテナンスコストが嵩むという問題があった。
【０００５】
このため、本出願人は、スパークを起こすことなくワークに確実に給電することができるように、コンベアに沿って配設された誘電レールに非接触状態で対向させて誘導起電力を生ずるピックアップコイルと、その起電力を電源として高電圧を発生する高電圧発生器をハンガに搭載してワークに高電圧を印加する手段を提案した（特願平７−５３８２０号）。
しかし、この場合はハンガが大型化するため、自動車ボディなどの大型のワークには適しているものの、棒状のワークを小さいピッチで搬送したり、その小さなピッチをワーク形状に応じて変更することはできず、したがって、小さなワークに対する給電手段としては不向きであった。
【０００６】
このため、塗装ゾーンを通って循環する塗装用コンベアを配し、当該塗装用コンベアのレール全体を高電圧電位に維持して、当該レール内を走行するトロリー及びこれに係合されたハンガを介してワークに高電圧を印加するようにすれば、ハンガを大型化する必要もない。
この場合に、コンベアレール内を自由に走行するトロリーを絶縁体で形成したドグに係脱させて牽引するパワーアンドフリーのコンベアを用いれば、ワークの大きさや形状に応じて搬送ピッチを自由に設定することができるので、非常に便利である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この場合は、アース電位に維持された搬入用コンベアから高電圧電位に維持された塗装用コンベアにワークを載せ換えるときや、高電圧電位に維持された塗装用コンベアからアース電位に維持された搬出用コンベアにワークを載せ換えるときに、スパークを生ずるという問題が残る。
しかも、ワークの搬送ピッチはその大きさに応じて変更されるので、その搬送ピッチの変更に対応してワークの載せ換えを行い、その際にスパークを生じさせないようにすることは極めて困難であった。
【０００８】
そこで本発明は、ワークの大きさ形状に応じた任意の搬送ピッチでワークを搬送する塗装用コンベアに対して、その搬送ピッチに応じてワークを着荷／脱荷することができ、また、高電圧電位に維持された塗装用コンベアのトロリーにワークを着荷／脱荷する際にスパークが生じないようにすることを技術的課題としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、塗装ゾーンに搬入されたワークに高電圧を印加して、アースに接続された塗装機から噴霧した塗料を前記ワークに静電塗着させるワーク加電式静電塗装設備において、塗装ゾーンを通って循環する塗装用コンベアと、その前段及び後段に配設された搬入用コンベア及び搬出用コンベアが、ワークを吊り下げたハンガをトロリーに係合させて搬送するオーバーヘッドコンベアで形成され、少なくとも前記塗装用コンベアのトロリーがワークに印加すべき高電圧電位に維持されると共に、前記搬入用コンベア及び搬出用コンベアのトロリーがアース電位に維持され、前記搬入用コンベアと前記塗装用コンベアとの間及び前記塗装用コンベアと前記搬出用コンベアとの間に、ワークの載せ換えを行う搬入用及び搬出用ワーク載換装置が夫々配設され、前記各ワーク載換装置は、搬入用コンベア又は塗装用コンベアの脱荷位置でワークを吊り下げているハンガをトロリーから離脱させて当該ワークをハンガごと脱荷する脱荷機構と、脱荷されたワークをハンガごと塗装用コンベア又は搬出用コンベアの着荷位置まで移送する移送手段と、当該着荷位置まで移送されたワークを吊り下げているハンガをトロリーに係合させて当該ワークをハンガごと着荷する着荷機構とを備え、前記移送手段は、ハンガに形成された載換係合部に係合されて個々のハンガを夫々絶縁状態に支持するハンガ支持係合部が、前記脱荷位置と前記着荷位置を通る周回軌道を描くように移動可能に配設されると共に、当該ハンガ支持係合部を所定の速度で移動させる駆動装置と、前記ハンガ支持係合部を介してハンガに所定の電圧を印加する給電機構とを備え、当該給電機構は、ハンガ支持係合部が搬入用コンベアの脱荷位置又は搬出用コンベアの着荷位置から塗装用コンベアの着荷位置又は脱荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部をアース電位から塗装用コンベアの電位まで漸次昇圧すると共に、ハンガ支持係合部が塗装用コンベアの着荷位置又は脱荷位置から搬入用コンベアの脱荷位置又は搬出用コンベアの着荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部を塗装用コンベアの電位からアース電位まで漸次降圧するように成されたことを特徴とする。
【００１０】
本発明によれば、搬入用コンベアから塗装用コンベアにワークが載せ換えられ、当該塗装用コンベアのトロリーを介してワークに高電圧が印加されて静電塗装され、塗装終了したワークが塗装用コンベアから搬出用コンベアに載せ換えられて搬出される。
塗装用コンベアは塗装ゾーンを循環するように配設されて、少なくともトロリーが高電圧電位に維持されているので、当該コンベアでワークを搬送するだけで、ハンガを大型化することなくワークに高電圧を印加することができる。
また、例えば絶縁支持されたコンベアレールに高電圧を印加して、当該コンベアレール内を走行するトロリーを絶縁体で形成したドグに係脱させて牽引するパワーアンドフリーのコンベアを用いれば、ワークの大きさや形状に応じて搬送ピッチを自由に設定できる。
【００１１】
また、ワーク載換装置は、個々のハンガを夫々絶縁状態に支持するハンガ支持係合部が、前記脱荷位置と前記着荷位置を通る周回軌道を描くように移動可能に配設されているので、当該ハンガ支持係合部の周回速度を搬送ピッチに応じて調整することにより、搬送ピッチの変更にも容易に対応できる。
【００１２】
そして、搬入用コンベアから塗装用コンベアにワークを載せ換えるときは、ハンガ支持係合部が塗装用コンベアの着荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部を介してハンガがアース電位から塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧されるので、当該ハンガを塗装用コンベアに着荷する際にスパークを生ずることがない。
また、ハンガを塗装用コンベアに着荷して空になったハンガ支持係合部が塗装用コンベアの着荷位置から搬入用コンベアの脱荷位置に戻るまでの間に、前記ハンガ支持係合部が塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位からアース電位まで漸次降圧されるので、アース電位の搬入用コンベアからワークをハンガごと脱荷する際にスパークを生ずることがない。
【００１３】
さらに、塗装用コンベアから搬出用コンベアにワークを載せ換えるときは、空のハンガ支持係合部が搬出用コンベアの着荷位置から塗装用コンベアの脱荷位置に至るまでの間に、アース電位から塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧されるので、塗装用コンベアからワークをハンガごと脱荷する際にスパークを生ずることがない。
また、塗装用コンベアから脱荷したハンガを係合させたハンガ支持係合部が搬出用コンベアの着荷位置に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部を介してハンガが塗装用コンベアと同電位の高電圧電位からアース電位まで漸次降圧されるので、アース電位の搬出用コンベアにワークをハンガごと着荷する際にスパークを生ずることがない。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図１は本発明に係るワーク加電式静電塗装設備の全体を示す概略説明図、図２はこれに用いるワーク載換装置を示す斜視図である。
【００１５】
本例のワーク加電式静電塗装設備は、塗装ゾーン１に搬入されたワークＷに高電圧を印加し、アースされた塗装機Ｔから噴霧した塗料を前記ワークＷに静電塗着させるようになされている。
そして、塗装ゾーン１を通って循環する塗装用コンベア２ｐと、その前段及び後段に配設された搬入用コンベア２in及び搬出用コンベア２out は、夫々のコンベアレール１６ｐ，１６in，１６out を走行するトロリー５in，５ｐ，５out に、ワークＷを吊り下げたハンガ４を係合させ、各トロリー５in，５ｐ，５out に駆動用のドグ（図示せず）を係脱させて牽引することにより前記ワークＷを所定間隔で搬送するオーバーヘッドコンベアで形成されている。
前記塗装用コンベア２ｐは、絶縁支持されたコンベアレール１６ｐが高電圧発生器（図示せず）に接続されてワークＷに印加される高電圧電位に維持されているので、当該コンベアレール１６ｐを走行するトロリー５ｐを介してハンガ４に吊り下げられたワークＷに高電圧が印加されると共に、前記トロリー５ｐは絶縁体で形成されたドグ（図示せず）に係脱されて牽引されるように成されてその駆動機構に高電圧が漏洩しないように成されている。
また、塗装用コンベア２ｐの前段及び後段に配設された搬入用コンベア２in及び搬出用コンベア２out 及びこれらの各トロリー５in，５out はアース電位に維持されている。
【００１６】
そして、搬入用コンベア２inと前記塗装用コンベア２ｐとの間と、前記塗装用コンベア２ｐと前記搬出用コンベア２out との間に、ワークＷの載せ換えを行う搬入用ワーク載換装置３in及び搬出用ワーク載換装置３out が夫々配設されている。
前記各ワーク載換装置３in，３out は、前段のコンベアとなる搬入用コンベア２in又は塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 でワークＷを吊り下げているハンガ４をトロリー５in，５ｐから離脱させて当該ワークＷをハンガ４ごと脱荷する脱荷機構６と、脱荷されたワークＷをハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐ又は搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 まで移送する移送手段７と、当該着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 まで移送されたワークＷを吊り下げているハンガ４をトロリー５ｐ，５out に係合させて当該ワークＷをハンガ４ごと着荷する着荷機構８とを備えている。
【００１７】
前記移送手段７は、ハンガ４に形成されたフック状の載換係合部９に下方から係合されて個々のハンガ４を夫々絶縁状態に支持する複数のハンガ支持係合部１０が、前記脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 と前記着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 を通る周回軌道を描くように回動される回転支持体１１から放射状に突出して形成され、当該回転支持体１１を一定方向に所定の速度で回転させるモータ（駆動装置）１２と、前記ハンガ支持係合部１０を介してハンガ４に所定の電圧を印加する給電機構１３とを備えている。
なお、１４は各ハンガ支持係合部１０と回転支持体１１とを電気的に絶縁した状態で結合する絶縁碍子であり、これにより、各ハンガ支持係合部１０で個々のハンガ４が絶縁状態に支持される。
【００１８】
前記給電機構１３は、周回軌道を描くように回動される前記ハンガ支持係合部１０に摺接される環状の高抵抗体１５からなり、当該高抵抗体１５は、塗装用コンベア２ｐ側の接点１５ａが塗装用コンベア２ｐのコンベアレール１６ｐに高電圧を印加する高電圧発生器（図示せず）に接続されてトロリー５ｐと同電位の高電圧電位に維持され、搬入用コンベア２in側及び搬出用コンベア２out 側の接点１５ｂがアースに接続され、その両接点１５ａ及び１５ｂ間の抵抗値が１０００〜３０００ＭΩ程度に選定されている。
そして、ハンガ支持係合部１０が、搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 又は搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ4 から塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 又は脱荷位置Ｐ3 に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部１０が高抵抗体１５に摺接されてアース電位から塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧される。
また、ハンガ支持係合部１０が塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 又は脱荷位置Ｐ3 から搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 又は搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ4 に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部１０が高抵抗体１５に摺接されて塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐの高電圧電位からアース電位まで漸次降圧するように成されている。
【００１９】
脱荷機構６は、脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 でコンベアレール１６in，１６ｐが搬送方向に向かって下向きに傾斜されて形成され、当該脱荷位置Ｐ1 ，Ｐ3 に到来したハンガ支持係合部１０に対して、搬入用コンベア２in又は塗装用コンベア２ｐのトロリー５in，５ｐを相対的に下降させるように成されている。
したがって、ハンガ４を係合しているトロリー５in，５ｐは、搬送方向に沿って下向きに傾斜されたコンベアレール１６in，１６ｐに案内されて下降され、当該ハンガ４に形成されたフック状の載換係合部９がワーク載換装置３in，３out のハンガ支持係合部１０に係合され、この状態でさらにトロリー５in，５ｐを下降させると、当該ハンガ４がトロリー５in，５ｐに対して相対的に持ち上げられるので、ハンガ４が前記トロリー５in，５ｐから離脱されてワークＷがハンガ４ごと着荷されるように成されている。
【００２０】
また、着荷機構８は、着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 でコンベアレール１６ｐ，１６out が搬送方向に向かって上向きに傾斜されて形成され、当該着荷位置Ｐ2 ，Ｐ4 までハンガ４を移送してきたハンガ支持係合部１０に対して塗装用コンベア２ｐ又は搬出用コンベア２out のトロリー５ｐ，５out を相対的に上昇させるように成されている。
したがって、各トロリー５ｐ，５out は、搬送方向に沿って上向きに傾斜されたコンベアレール１６ｐ，１６out に案内されて上昇しながらハンガ４に係合され、この状態で、さらにトロリー５ｐ，５out が上昇されるとハンガ４が持ち上げられ、当該ハンガ４の載換係合部９がワーク載換装置３in，３out のハンガ支持係合部１０から離脱されてワークＷがハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐ又は搬出用コンベア２out に着荷されるように成されている。
【００２１】
以上が、本発明の一例構成であって次にその作用について説明する。
まず、ワークＷを吊り下げたハンガ４が搬入用コンベア２inにより所定ピッチで搬送されるワークＷを搬入用コンベア２inから脱荷してワーク載換装置３inのハンガ支持係合部１０に係合させる。
ワーク載換装置３inは、回転支持体１１がワークＷの搬送ピッチに応じた所定速度で回動され、ハンガ支持係合部１０が前記搬入用コンベア２inで搬送されるハンガ４に同期して脱荷位置Ｐ1 に到来する。
このとき、脱荷機構６は、搬入用コンベア２inのコンベアレール１６inが搬送方向に沿って下向きに傾斜して形成されているので、ハンガ４を係合しているトロリー５inは、コンベアレール１６inに案内されて下降される。
そして、ハンガ４に形成されたフック状の載換係合部９が載換装置３inのハンガ支持係合部１０に係合した状態で、さらにトロリー５inが下降されると、当該ハンガ４がトロリー５inに対して相対的に持ち上げられるので、ハンガ４が前記トロリー５inから離脱されてワークＷがハンガ４ごと脱荷される。
【００２２】
次いで、さらに回転支持体１１を回転駆動させると、ハンガ支持係合部１０が高抵抗体１５に摺接された状態で、搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 から塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 まで移動する。
このとき、高抵抗体１５は、前記脱荷位置Ｐ1 側の接点１５ｂがアースに接続され、前記着荷位置Ｐ2 側の接点１５ａが塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐと同電位の高電圧電位に維持されている。
したがって、脱荷位置Ｐ1 に到来したハンガ支持係合部１０は搬入用コンベア２inで搬送されてきたハンガ４と同じアース電位になり、脱荷位置Ｐ1 から着荷位置Ｐ2 に至るまでの間に漸次昇圧され、着荷位置Ｐ2 で塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐと同電位の高電圧電位に達する。
【００２３】
次いで、前記ハンガ支持係合部１０に係合されたワークＷをハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐに着荷する。
この場合において、まず、塗装用コンベア２ｐのトロリー５ｐを、その着荷位置Ｐ2 に到来する載換装置３inのハンガ支持係合部１０と同期するように移送させる。
このとき、着荷機構８は、塗装用コンベア２ｐのコンベアレール１６ｐが搬送方向に沿って上向きに傾斜して形成されているので、ハンガ４を受け取るトロリー５ｐは、着荷位置Ｐ2 においてコンベアレール１６ｐに案内されて上昇しながら前記ハンガ４に係合される。
この状態で、さらにトロリー５ｐが上昇されるとハンガ４が持ち上げられ、当該ハンガ４の載換係合部９がワーク載換装置３in，３out のハンガ支持係合部１０から離脱されてワークＷはハンガ４ごと塗装用コンベア２ｐに着荷される。
【００２４】
このとき、ハンガ４はハンガ支持係合部１０を介して給電手段１３よりトロリー５ｐと同電位の高電圧電位が印加されるので、着荷する際にスパークを生ずることがない。
また、ハンガ４を塗装用コンベア２ｐに着荷させて空になったハンガ支持係合部１０は、塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ2 から搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 に戻るまでの間、高抵抗体１５に摺接されて移動され、脱荷位置Ｐ1 に戻る間にアース電位まで漸次降圧されるので、搬入用コンベア２inの脱荷位置Ｐ1 で後続のハンガ４を脱荷する際にスパークを生ずることがない。
【００２５】
一方、塗装用コンベア２ｐにハンガ４ごと載せ換えられたワークＷは、塗装ゾーン１内を搬送されている間、当該塗装用コンベア２ｐを介して高電圧が印加され、アースに接続された塗装機Ｔから噴霧された塗料が、当該ワークＷに静電塗着される。
【００２６】
塗装を終了したワークＷは、塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 まで搬送され、搬出用ワーク載換装置３out により搬出用コンベア２out に載せ換えられる。
このとき、塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 でハンガ４を脱荷する脱荷機構６と搬出用コンベア２out の着荷位置Ｐ4 でハンガを着荷する着荷機構８の動作は搬入用ワーク載換装置３inにおける脱荷機構６及び着荷機構８の動作と同様なので、詳細説明は省略する。
【００２７】
また、搬出用ワーク載換装置３out は、まず、空のハンガ支持係合部１０が、搬出用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ4 から塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 に至るまでの間、高抵抗体１５に摺接されて移動される。
このとき、高抵抗体１５は、前記脱荷位置Ｐ3 側の接点１５ａが塗装用コンベア２ｐと電気的に接続され、着荷位置Ｐ4 側の接点１５ｂがアースに接続されているので、ハンガ支持係合部１０が着荷位置Ｐ2 に近づくに従って塗装用コンベア２ｐの高電圧電位まで漸次昇圧される。
したがって、塗装用コンベア２ｐの着荷位置Ｐ3 でハンガ４を着荷する際にスパークを生ずることがない。
また、ハンガ４を受け取ったハンガ支持係合部１０が塗装用コンベア２ｐの脱荷位置Ｐ3 から搬出用コンベア２out の着荷位置に至る間に、高抵抗体１５に接触されて、ハンガ支持係合部１０はアース体まで漸次降圧されるので、ワークＷをハンガ４ごと搬出用コンベア３out に着荷する際にスパークを生ずることがない。
【００２８】
なお、給電手段１３としては、ハンガ支持係合部１０に摺接される環状の高抵抗体１５を用いる場合に限らず、その形状は高抵抗体１５を多角形状に形成したものや、アース側の接点１５ｂに隙間を形成したものであってもよく、さらに、全部を高抵抗体で形成する場合に限らず、金属導体を一部に介在させて略環状に形成したものであってもよい。
また、高抵抗体１５にハンガ支持係合部１０を摺接させる場合に限らず、各ハンガ支持係合部１０を除々に昇圧，降圧できるものであれば任意の手段を採用することができ、例えば、モータ１２の回転軸に夫々のハンガ支持係合部１０に接続される電極を個別に形成し、当該電極に摺接される個々のブラシを電圧調整可能な高電圧発生器に一台ずつ接続する場合であってもよい。
【００２９】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、塗装ゾーンを循環する塗装用コンベアのトロリーが高電圧電位に維持されるので、例えばトロリーを走行させるコンベアレールを絶縁支持する以外は、非静電塗装と同じコンベア及びハンガを用いることができ、特別な給電手段を用いることなく、ワークを吊り下げたハンガを塗装用コンベアで搬送するだけで当該ワークに高電圧を印加することができるという効果がある。
また、ハンガ移送手段に形成されたハンガ支持係合部は、一方のコンベアの脱荷位置と他方のコンベアの着荷位置を通る周回軌道を描くように所定の速度で移動されるので、その移動速度をワークの搬送ピッチに応じて設定することにより、搬送されてくるワークのピッチに応じてワークを載せ換えることができるという効果がある。
さらに、前記ハンガ支持係合部は、アース側の搬入用コンベア及び搬出側コンベアから高電圧側の塗装用コンベアに至る間に塗装用コンベアのトロリーと同電位の高電圧電位まで漸次昇圧され、塗装用コンベアから搬入用及び搬出用コンベアに至るまでの間にアース電位まで漸次降圧されるので、当該ハンガ支持係合部によりワークをハンガごと各コンベアに着荷したり、各コンベアから脱荷したりする際にスパークを生ずることがないという大変優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るワーク加電式静電塗装設備の全体を示す概略説明図。
【図２】それに用いられるワーク載換装置を示す斜視図。
【符号の説明】
Ｔ・・・・塗装機
１・・・・塗装ゾーン
２ｐ・・・塗装用コンベア
２in・・・搬入用コンベア
２out ・・搬出用コンベア
Ｐ1 ・・・脱荷位置
Ｐ2 ・・・着荷位置
Ｐ3 ・・・脱荷位置
Ｐ4 ・・・着荷位置
３in・・・搬入用ワーク載換装置
３out ・・搬出用ワーク載換装置
４・・・・ハンガ
５in，５ｐ，５out ・・トロリー
６・・・・脱荷機構
７・・・・移送手段
８・・・・着荷機構
９・・・・載換係合部
１０・・・・ハンガ支持係合部
１１・・・・回転支持体
１２・・・・モータ（駆動装置）
１３・・・・給電手段
１５・・・・高抵抗体
１５ａ，１５ｂ・・・・・接点
Claims (2)
- 塗装ゾーン（１）に搬入されたワーク（Ｗ）に高電圧を印加して、アースに接続された塗装機（Ｔ）から噴霧した塗料を前記ワーク（Ｗ）に静電塗着させるワーク加電式静電塗装設備において、
塗装ゾーン（１）を通って循環する塗装用コンベア (2p）と、その前段及び後段に配設された搬入用コンベア(2in）及び搬出用コンベア（2out）が、ワーク（Ｗ）を吊り下げたハンガ（４）をトロリー（5in, 5p, 5out)に係合させて搬送するオーバーヘッドコンベアで形成され、少なくとも前記塗装用コンベア（2p) のトロリー（5p）がワーク（Ｗ）に印加すべき高電圧電位に維持されると共に、前記搬入用コンベア(2in）及び搬出用コンベア（2out）のトロリー（5in, 5out ) がアース電位に維持され、
前記搬入用コンベア(2in）と前記塗装用コンベア（2p）との間及び前記塗装用コンベア（2p）と前記搬出用コンベア（2out）との間に、ワーク（Ｗ）の載せ換えを行う搬入用及び搬出用ワーク載換装置(3in, 3out）が夫々配設され、
前記各ワーク載換装置(3in, 3out）は、搬入用コンベア(2in) 又は塗装用コンベア (2p) の脱荷位置（P1，P3) でワーク（Ｗ）を吊り下げているハンガ（４）をトロリー（5in, 5p ）から離脱させて当該ワーク（Ｗ）をハンガ（４）ごと脱荷する脱荷機構（６）と、脱荷されたワーク（Ｗ）をハンガ（４）ごと塗装用コンベア（2p）又は搬出用コンベア（2out) の着荷位置（P2, P4）まで移送する移送手段（７）と、当該着荷位置（P2, P4）まで移送されたワーク（Ｗ）を吊り下げているハンガ（４）をトロリー (5p, 5out) に係合させて当該ワーク（Ｗ）をハンガ（４）ごと着荷する着荷機構（８）とを備え、
前記移送手段（７）は、ハンガ（４）に形成された載換係合部（９）に係合されて個々のハンガ（４）を夫々絶縁状態に支持するハンガ支持係合部（10）が、前記脱荷位置（P1，P3) と前記着荷位置（P2, P4）を通る周回軌道を描くように移動可能に配設されると共に、当該ハンガ支持係合部（10）を所定の速度で移動させる駆動装置（12）と、前記ハンガ支持係合部（10）を介してハンガ（４）に所定の電圧を印加する給電機構（13）とを備え、
当該給電機構（13）は、ハンガ支持係合部（10）が搬入用コンベア(2in) の脱荷位置（P1）又は搬出用コンベア（2out）の着荷位置（P4）から塗装用コンベア（2p）の着荷位置（P2）又は脱荷位置（P3) に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部（10）をアース電位から塗装用コンベア（2p）のトロリー（5p）と同電位の高電圧電位まで漸次昇圧すると共に、ハンガ支持係合部（10）が塗装用コンベア（2p）の着荷位置（P2）又は脱荷位置（P3) から搬入用コンベア（2in ）の脱荷位置（P1）又は搬出用コンベア（2out）の着荷位置（P4）に至るまでの間に、前記ハンガ支持係合部（10）を塗装用コンベア（2p）のトロリー（5p）と同電位の高電圧電位からアース電位まで漸次降圧するように成されたことを特徴とするワーク加電式静電塗装設備。 - ワーク（Ｗ）を吊り下げたハンガ（４）をトロリー（5in,5p, 5out) に係合させて搬送する二台のコンベア(2in, 2p, 2out) 間で、一方のコンベア(2in, 2p) から他方のコンベア(2p, 2out)へワーク（Ｗ）の載せ換えを行うワーク載換装置であって、
前記コンベア(2in, 2p, 2out) のうち、少なくともいずれか一方のコンベア(2in, 2out) のトロリー(5in, 5out) がアース電位に維持されると共に、もう一方のコンベア (2p) のトロリー(5p)がワーク（Ｗ）に印加すべき高電圧電位に維持され、
前記一方のコンベア(2in, 2p) の脱荷位置（P1, P3）でワーク（Ｗ）を吊り下げているハンガ（４）をトロリー(5in, 5p) から離脱させて当該ワーク（Ｗ）をハンガ（４）ごと脱荷する脱荷機構（６）と、脱荷されたワーク（Ｗ）をハンガ（４）ごと前記他方のコンベア(2p, 2out)の着荷位置（P2, P4）まで移送する移送手段（７）と、当該着荷位置（P2, P4）まで移送されたワーク（Ｗ）を吊り下げているハンガ（４）をトロリー(5p, 5out)に係合させて当該ワーク（Ｗ）をハンガ（４）ごと着荷する着荷機構（８）とを備え、
前記移送手段（７）は、ハンガ（４）に形成された載換係合部（９）に係合されて個々のハンガ（４）を夫々絶縁状態に支持するハンガ支持係合部（10）が、前記脱荷位置（P1，P3) と前記着荷位置（P2, P4）を通る周回軌道を描くように移動可能に配設されると共に、当該ハンガ支持係合部（10）を所定の速度で移動させる駆動装置（12）と、前記ハンガ支持係合部（10）を介してハンガ（４）に所定の電圧を印加する給電機構（13）とを備え、
当該給電機構（13）は、回転移動する前記ハンガ支持係合部（10）に摺接される環状の高抵抗体（15）からなり、当該高抵抗体（15）は、トロリー(5p)が高電圧電位に維持されているコンベア(2p)側の接点(15a）がそのトロリー(5p)と同電位の高電圧電位に維持されると共に、トロリー(5in, 5out) がアース電位に維持されているコンベア(2in, 2out) 側の接点(15b）がアース電位に維持されたことを特徴とするワーク載換装置。
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|---|---|---|---|
| JP32838696A JP3673043B2 (ja) | 1996-12-09 | 1996-12-09 | ワーク加電式静電塗装設備及びそれに用いるワーク載換装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP32838696A JP3673043B2 (ja) | 1996-12-09 | 1996-12-09 | ワーク加電式静電塗装設備及びそれに用いるワーク載換装置 |
Publications (2)
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