JP3672841B2 - 警報器の取り付け構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス漏れや火災発生の有無等を検出する警報器を、壁面に取り付けるための、警報器の取り付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般住宅等において、ガス漏れや火災発生の有無を検出して警報を発する警報器が広く利用されている。この警報器は、建屋の室内壁面に対して固定される。図7は、従来の警報器の取付け前の状態を示す分解斜視図、図8は、図7の警報器の背面側からの分解斜視図(固定ネジは図示せず)である。これら図7、8に示すように、警報器100は、取付け板110を介して図示しない壁面に取付けられていた。
【0003】
具体的には、取付け板110には、ネジ孔111が設けられており、このネジ孔111に固定ネジ112を挿通させて石膏ボード等の壁面に打設することにより、取付け板110が壁面に取付けられていた。また、取付け板110の警報器100側の面には、係止片113が設けられており、この係止片113を警報器100の背面の係止穴101に係止させることによって、警報器100を壁面に固定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、このような従来の警報器100の取付け構造においては、ネジ孔111が、単に取付け板110に設けた貫通孔として形成されていたので、当然のことながら、このネジ孔111に挿通した固定ネジ112が取付け板110に対して(壁面に対して)単に直交するように打設されていた。
【0005】
しかしながら、このような従来の取付け構造においては、警報器100の荷重が固定ネジ112に対して直交するように加わって一見好ましいように見えるが、警報器100の重心は壁面から若干離れた位置にあるので、実際には、警報器100の荷重は固定ネジ112に対して非直交するように加わることになり、耐荷重が低減するため、好ましくない。
【0006】
また、従来の取付け構造においては、固定ネジ112の打設方向と、取付け板110に対する警報器100の取り外し方向(取付け板110に対して直交する方向)とが平行になってしまうので、警報器100を点検時等に取り外す際に、固定ネジ112に対して当該固定ネジ112を壁面から引き抜く力が加わり、取付け板110の取付け状態が不安定になる可能性があった。
【0007】
このような問題を解消するため、従来は、固定ネジ112の径を比較的太くすることにより、壁面に対する取付け板110の固定力を高めていた。
しかしながら、固定ネジ112の径を太くした場合、当然のことながら、壁面に対する取付け跡(固定ネジ112のネジ込み跡)が大きくなってしまい、警報器100の移設や撤去後等における室内の外観を損ねてしまう。このため、特にマンション等に居住しているユーザに、警報器100を取り付けることを躊躇させる傾向があり、警報器の普及を妨げる一因になっていた。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、比較的小径の固定釘を用いて警報器を壁面に確実に取り付けること等ができる、警報器の取付け構造を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、請求項1に記載の警報器の取り付け構造は、壁面に対して取付け板を介して警報器を取り付けるための構造であって、上記取付け板には、尖鋭杆状の固定手段を当該取付け板に対して斜交するように挿通させる挿通部を設け、上記挿通部に挿通させた固定手段を上記壁面に打設することによって上記取付け板を上記壁面に固定すると共に、上記取付け板に上記警報器を取り付けることにより、上記壁面に対して上記警報器を取り付け可能とし、上記挿通部を、上記取付け板の一片を、当該取付け板の本体に対して屈曲させることにより形成し、上記挿通部の端部を上記壁面側に屈曲させることにより、上記挿通部と上記壁面との間隔を保持するための保持部を形成したことを特徴とする。
【0010】
この取付け構造によれば、固定手段が取付け板に対して斜交するように挿通されるので、固定手段の引き抜き強度を高めることができ、警報器の荷重を確実に保持することができる。また、このことから、固定手段である固定釘等の径を従来よりも細くすることができ、警報器の取付け跡を最小化することができて、警報器の普及を促すことができる。また、挿通部を取付け板に一体に形成することができ、別部品を管理したり溶接等を行う必要がないので、挿通部の形成が極めて容易である。さらに、保持部が壁面に当接等することによって、挿通部と壁面との間隔が保持されるので、挿通部が壁面側に折り曲げられることが防止される。特に、この保持部を挿通部の端部を壁面側に屈曲させることによって形成することで、保持部を挿通部と一体に形成することができ、その形成が容易である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る警報器の取付け構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1は、警報器の取付け前の状態の分解斜視図、図2は、取付け板の取付け前の状態における警報器等の分解斜視図、図3は、警報器の取付け後の状態を背面側から見た警報器等の斜視図(壁面および固定釘を図示せず)、図4は、警報器の取付け後の状態における警報器等の側面図である。
【0021】
これら各図に示すように、警報器1は、略方形の筐体2に、火災検出部3、および、表示ランプ4、を備えて構成されている。ただし、この警報器1は、特記する構成を除いては任意に構成することができるので、その説明を省略する。
この警報器1の筐体2の背面には、図3、4に示すように、2つの係止穴5、6が上下に並設されており、この係止穴5、6に後述する係止片11、12が係止される。
【0022】
また、取付け板10は、警報器1に略対応した長さおよび幅で、平板状に形成されている。
この取付け板10には、警報器1側に向けて立ち上げる係止片11、12が上下に形成されており、警報器1の係止穴5、6に係脱自在に係止する。特に、上側の係止片11は、図1、2に示すように屈曲状に形成されており、警報器1に対して壁面30に直交する方向に力が加わった場合においても、警報器1が容易に脱落しないよう構造になっている。
【0023】
ここで、取付け板10の上方側の左右中央位置には、仮固定用の固定孔13が穿設されている。そして、この固定孔13に、尖鋭杆状の固定手段としての固定釘20を挿通させて壁面30に打設することによって、取付け板10を壁面30に仮固定させることができる。
【0024】
また、取付け板10には、3つの挿通部14〜16が形成されている。
これら各挿通部14〜16は、固定釘20を挿通させるためのもので、図2に示すように、その上下左右の略中央位置には、固定釘20を挿通させる固定孔13が穿設されている。
ここで、挿通部14〜16は、固定釘20を取付け板10に対して斜交するように挿通させるよう、取付け板10に対する平行方向(取付け板10を壁面30に平行に取付けた状態における当該壁面30の面方向)に対して斜交するように設けられている。図4においては、この斜交角度をαにて示す。
【0025】
この挿通部14〜16の斜交角度αについて説明する。
具体的には、挿通部14〜16は、固定釘20を警報器1の略重心位置側に至る方向に斜交させるように設けられている。すなわち、図4に示すように、警報器1の重心位置Pの上方側に形成された挿通部14、15は、略水平の基部を中心として、固定釘20を重心位置P側に至る下向き方向に斜交させるように屈曲されており、重心位置Pの下方側に形成された挿通部16は、略水平の基部を中心として、固定釘20を重心位置P側に至る上向き方向に斜交させるように屈曲されている。
【0026】
したがって、警報器1の荷重は固定釘20に対して略直交するように加わることになり、警報器1の荷重を確実に保持することができる。また、このことから、固定釘20の径を従来よりも細くすることができ、警報器1の取付け跡を最小化することができて、警報器1の普及を促すことができる。
また、斜交角度αは基本的に任意であるが、上記の警報器1の荷重保持の観点から、この重心位置と挿通部14〜16を結ぶ方向と、固定釘20の長手方向との交差角が、約90度になることが好ましい。
【0027】
次に、挿通部14〜16の形成方法について説明する。
この挿通部14〜16の形成方法は基本的に任意であり、取付け板10とは別個に形成された小片を取付け板10に対して溶接等して形成することもできる。
しかしながら、本実施の形態においては、取付け板10の一片を、当該取付け板10の本体に対して屈曲させることにより、挿通部14〜16を形成している。
【0028】
すなわち、図2に示すように、取付け板10の中央には孔部17を設けると共に、この孔部17の周辺に切欠き部18を形成することによって、挿通部14〜16を構成し、この挿通部14〜16を警報器1側に折り曲げて立ち上げることによって、斜交角度αを形成している。
このような形成方法によれば、挿通部14〜16を取付け板10に一体に形成することができ、別部品を管理したり溶接等を行う必要がないので、挿通部14〜16の形成が極めて容易である。
【0029】
この挿通部14〜16の数は、任意であるが、本実施の形態においては、上方において2つの挿通部14、15を左右に並設し、下方に1つの挿通部16を形成し、全体としていわゆる3点止め構造を構成しているので、取付け板10を一層確実に固定することができる。
【0030】
最後に、警報器1の取付け手順について説明する。
まず、取付け板10を壁面30の所望位置に押し付けた状態で、固定孔13に固定釘20を挿通させて壁面30に打設することで、取付け板10を壁面30に仮固定する。なお、固定孔13は、取付け板10の左右中心付近に設け、仮固定時に取付け板10が左右に傾くことがない様にすることが好ましい。これにて、取付け板10から手を離して作業することができるので、取付け作業が容易である。特に、挿通部14〜16に挿通させる固定釘20が斜交することから、これを壁面30に打設した際に、取付け板10が所望位置からずれてしまう可能性がある。このため、仮固定を行うことが特に有効になる。
【0031】
次に、各挿通部14〜16の固定孔13に固定釘20を挿通させて壁面30に打設することで、取付け板10を壁面30に固定する。
そして、係止片11、12が係止穴5、6に係止するように、警報器1を取付け板10に取り付ける。これにて取付け作業が終了する。
【0032】
(他の実施の形態)
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0033】
まず、警報器の機能や種類は任意であり、本発明は、火災検知、ガス漏れ検知、侵入者検知等のための各種の警報器の取付け構造として適用することができる。
また、挿通部の数および位置は任意であり、1つの挿通部のみを取付け板の左右中央位置に設けることや、4つの挿通部を取付け板の四隅近傍に設けること等ができる。
【0034】
また、実施の形態においては、挿通部を、略水平の基部を中心として屈曲させているが、略垂直の基部やその他の方向の基部を中心として屈曲させてもよい。図5には、他の実施の形態における取付け板40の斜視図を示す。この図5に示すように、各挿通部41を、非水平かつ非垂直の基部42を中心として屈曲させてもよい。この場合、固定釘が、上下方向に関してだけでなく、左右方向に関しても、警報器の重心位置側に向けて打設されることになり、左右方向への耐荷重を高めることができる。
【0035】
また、固定釘を打設する際に、挿通部を壁面側に折り曲げてしまい、挿通部の斜交角度αが変わってしまう可能性もある。そこで、この問題を解決するため、挿通部の壁面側の面に、当該挿通部と壁面との間隔を保持するための保持部を形成することもできる。
【0036】
図6(a)には、他の実施の形態における挿通部周辺の拡大斜視図、図6(b)には、図6(a)の側面図を示す。この図6に示すように、挿通部50に保持部51が形成されており、この保持部51を壁面30に当接等させることによって、挿通部50が壁面30側に折り曲げられることを防止することができる。
特に、この保持部51は、挿通部50の端部を壁面30側に屈曲させることによって形成されているので、挿通部50と一体に形成することができ、その形成が容易である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、固定手段が取付け板に対して斜交するように挿通されるので、固定手段の引き抜き強度を高めることができ、警報器の荷重を確実に保持することができる。また、このことから、固定手段である固定釘等の径を従来よりも細くすることができ、警報器の取付け跡を最小化することができて、警報器の普及を促すことができる。また、挿通部を取付け板に一体に形成することができ、別部品を管理したり溶接等を行う必要がないので、挿通部の形成が極めて容易である。さらに、保持部が壁面に当接等することによって、挿通部と壁面との間隔が保持されるので、挿通部が壁面側に折り曲げられることが防止される。特に、この保持部を挿通部の端部を壁面側に屈曲させることによって形成することで、保持部を挿通部と一体に形成することができ、その形成が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における警報器の取付け前の状態の分解斜視図である。
【図2】取付け板の取付け前の状態における分解斜視図である。
【図3】警報器の取付け後の状態を背面側から見た斜視図である。
【図4】警報器の取付け後の状態における側面図である。
【図5】他の実施の形態における取付け板の斜視図である。
【図6】(a)は、他の実施の形態における挿通部周辺の拡大斜視図、(b)は、(a)の挿通部周辺の側面図である。
【図7】従来の警報器の取付け前の状態の分解斜視図である。
【図8】従来の警報器の固定構造を背面側から示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 警報器
2 筐体
3 火災検出部
4 表示ランプ
5、6 係止穴
10 取付け板
11、12 係止片
13 固定孔
14〜16 挿通部
17 孔部
18 切欠き部
20 固定釘
30 壁面

Claims (1)

  1. 壁面に対して取付け板を介して警報器を取り付けるための構造であって、
    上記取付け板には、尖鋭杆状の固定手段を当該取付け板に対して斜交するように挿通させる挿通部を設け、
    上記挿通部に挿通させた固定手段を上記壁面に打設することによって上記取付け板を上記壁面に固定すると共に、上記取付け板に上記警報器を取り付けることにより、上記壁面に対して上記警報器を取り付け可能とし、
    上記挿通部を、上記取付け板の一片を、当該取付け板の本体に対して屈曲させることにより形成し、
    上記挿通部の端部を上記壁面側に屈曲させることにより、上記挿通部と上記壁面との間隔を保持するための保持部を形成したこと、
    を特徴とする警報器の取り付け構造。
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