JP3672687B2 - 冷凍麺類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍麺類に関する。より詳細には、本発明は、老化が遅くて、冷蔵保存耐性、冷蔵流通耐性および冷凍流通耐性に優れていて、α化した状態で冷蔵温度で長時間低温保存したり、低温流通させて、粘弾性、滑らかさ、風味にすぐれていて良好な品質を有している麺類を得ることのできる冷凍麺類に関する。
【0002】
【従来の技術】
うどん、素麺、冷麦、日本そば、中華麺などの麺類は、一般に小麦粉を主体とし、必要に応じてそば粉、米粉、大麦粉、澱粉類などの穀粉類を配合してなる穀粉類に、食塩、かん水(かん粉)、乳化剤、ゲル化剤、着色剤などを適宜添加して製造されている。それにより製造された麺類製品は、製造方法および流通形態によって、一般に、生麺類、茹麺類(調理麺類も含む)、蒸麺類、冷凍麺類、乾燥麺類、半乾燥麺類などに分類されている。
【0003】
上記した麺類のうちで、茹麺類は、水分含量が高く保存性が良好でないために、その鮮度保持や腐敗防止などの点から、一般に1〜10℃の冷蔵温度で低温保存および低温流通することが行われている。しかしながら、澱粉類の老化は温度が1〜2℃のときに最大になることが報告されており[Pence.J.W.,and Standrigde,N.N.,Cereal Chem. 32,519(1955)]、一般的な簡易包装茹麺類の保存および流通期間は製造後4日程度が限度であるとされている。すなわち、茹麺類を冷蔵温度で低温保存および/または低温流通させることによって鮮度保持期間を延長することが可能ではあるが、食感や食味の低下を避けることができない。
【0004】
また、近年、生産量が急増している冷凍麺類は、茹で直後に急速冷凍することで茹のびを防止できるため、品質保持の利点は大きいが、冷凍状態で流通させた場合には、喫食時に飲食店、コンビニエンスストア、家庭などでお湯や電子レンジなどで加熱解凍することが必要であり、コスト増大の一因となっており、また手間がかかる。そのため、冷凍麺類を冷蔵温度で徐々に解凍しながら低温流通させれば、喫食時に飲食店、コンビニエンスストア、家庭などで加熱解凍する必要がなくなり、水洗処理を行ってまたは行わずにそのまま喫食することができる。しかしながら、茹麺類などのようなα化して水分を多く含む麺類は、前述のように、1〜2℃の冷蔵温度で澱粉類の老化が著しく、麺のびが大きいために、品質の低下が著しく、これが冷凍麺類の冷蔵温度での低温流通を妨げる原因の一つとなっている。
【0005】
水洗して又は水洗せずにそのまま喫食できる、冷凍後に冷蔵保存した茹麺類や、冷蔵流通時に解凍するようにして冷蔵流通させた冷凍麺類に対する需要がコンビニエンスストアをはじめとして近年大きく伸びており、かかる点から、茹でたり蒸したりしてα化した麺類を冷凍した後に冷蔵温度で低温流通させる場合にも、劣化がなくて、良好な食感および食味を有する麺類の開発が強く求められている。
水洗して又は水洗せずにそのまま喫食できる、冷蔵保存した茹麺類や、冷蔵流通時に解凍するようにした冷蔵流通させた冷凍麺類に対する需要がコンビニエンスストアをはじめとして近年大きく伸びており、かかる点から、茹でたりしてα化した状態で冷蔵温度で低温保存したり、α化して冷凍した後冷蔵温度で低温流通させる場合にも、劣化がなくて、良好な食感および食味を有する麺類の開発が強く求められている。
【0006】
また、麺類の品質などの改良を目的とする従来技術としては、(1)麺類の加熱復元性の向上や食感の改良を目的としてエーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋したエーテル化澱粉、架橋したエステル化澱粉を配合して麺類を製造する方法(特開昭59−71657号公報、特開昭59−71658号公報)、(2)麺皮や麺帯に透明性をもたせるためにα化架橋エーテル化澱粉およびα化架橋エステル化澱粉の少なくとも1種とエーテル化澱粉およびエステル化澱粉の少なくとも1種を使用して麺皮または麺帯類を製造する方法(特開平4−16157号公報)、(3)麺類の粘りが強くなったり、表面のぬめりがでないようにするために麺類配合にアセチル化馬鈴薯澱粉、或いはアセチル化馬鈴薯澱粉とガム類などを配合するもの(特開平4−311359号公報)などが知られている。
【0007】
しかしながら、上記した(1)〜(3)の従来技術は、いずれも冷蔵温度での低温流通を前提としない生麺、冷凍麺類、短期常温流通を行う茹麺類ではある程度の効果があるものの、冷蔵温度で長期にわたって低温保存する茹麺類や、冷蔵温度で解凍しながら低温流通させる冷凍麺類に対しては効果がなく、食感の低下を防止することができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、茹麺類、蒸麺類などのα化した麺類、そのうちでも特に水分を多量に含む茹麺類を冷凍した冷凍麺類を、冷蔵温度で長期間低温保存および/または低温流通させた場合にも、食感および風味の低下が少なく、粘弾性に優れていてソフトでモチモチしており、滑らかさに富んでおり、しかも異味がなく風味に優れていて、喫食時に加熱解凍する必要がなく、そのままでまたは単に水洗いを行うだけで直ちに喫食可能な麺類にすることのできる冷凍麺類を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らが検討を重ねた結果、麺類の製造に用いる穀粉類として、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgである、エーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉を配合した穀粉組成物を用いて茹麺類、蒸麺類などのα化した麺類、特に水分を多く含む茹麺類を製造し、それらのα化した麺類を冷凍して冷凍麺類にすると、それにより得られた冷凍麺類は冷凍後に冷蔵温度で長期間低温保存したり、低温流通させても、劣化が生じず、粘弾性に優れていてソフトでモチモチしていて、滑らかさに富む良好な食感を有し、しかも異味がなく風味にも優れる麺類が得られること、そして冷蔵温度で低温保存および/または低温流通させた麺類は、喫食時に加熱解凍を行わなくても、そのままで又は単に水洗いを行なうだけで喫食が可能であることを見出して本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) 走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgで且つ糊化温度(Tp)が55〜65℃であるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉を含有する麺類用穀粉組成物を用いて製造したα化した茹麺類または蒸麺類を冷凍してなる冷凍麺類であって、冷蔵温度で低温保存、低温流通および/または低温解凍される冷凍麺類である。
【0011】
そして、本発明は、
(2) 前記麺類用穀粉組成物における走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgであるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉の含有量が、穀粉類の合計重量に基づいて、5〜50重量%である前記(1)の冷凍麺類を好ましい態様として包含する。
【0012】
さらに、本発明は、
(3) 走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgで且つ糊化温度(Tp)が55〜65℃であるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉を含有する麺類用穀粉組成物を用いて製造したα化した茹麺類または蒸麺類を冷凍してなる冷凍麺類であって、冷蔵温度で低温保存、低温流通および/または低温解凍される冷凍麺類である。
【0013】
そして、本発明は、
(4) 前記麺類用穀粉組成物における走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgで且つ糊化温度(Tp)が55〜65℃であるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉の含有量が、穀粉類の合計重量に基づいて、5〜50重量%である前記(3)の冷凍麺類を好ましい態様として包含する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の冷凍麺類の製造に用いられる麺類用穀粉組成物は、エーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉であって且つその走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgである化工タピオカ澱粉を含有している。
本発明で用いる「エーテル化したタピオカ澱粉」はエーテル化処理が行われているタピオカ澱粉であり、また「エーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉」はエーテル化処理とジエステル化処理の両方が行われているタピオカ澱粉である。
【0015】
また、本発明では、上記したエーテル化したタピオカ澱粉(以下「エーテル化タピオカ澱粉」という)および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉(以下「エーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉」という)として、その走査型示差熱量測定(DSC;Differential Scanning Calorimeters)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgであるものを用いることが必要であり、3.4〜7.2mJ/mgであるものを用いることが好ましい。
エーテル化タピオカ澱粉、およびエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉の吸熱エネルギー(△H)が3.0mJ/mg未満であると麺類の食感が柔らかくなって付着性が増加し、一方8.0mJ/mgを超えると麺類の粘弾性がなくなり、ぼそついていて全く歯ごたえのない不良な食感となり、特にα化した茹麺類や蒸麺類、またはそれらを冷凍した冷凍麺類を冷蔵温度で長期間低温保存したり低温流通させた場合の前記の品質低下が著しい。かかる点で、エーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉であっても、その走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が上記した3.0〜8.0mJ/mgの範囲から外れるものを用いた場合には、本発明の目的を達成することができない。
ここで、本発明でいう走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)は、いわゆる入力補償タイプのDSCによる分析または熱流束タイプのDSC(DTA法;Differential Thermal analysis)によって測定したときの、温度−吸熱量のグラフから求められる吸熱エネルギー(△H)をいい、具体的には「応用糖質科学」第41巻、第3号、第297〜303頁(1994)などに記載されている方法により測定することができ、その詳細については、下記の実施例の項に記載するとおりである。
【0016】
また、本発明では上記したエーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉として、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgであるという特性と共に、該走査型示差熱量測定(DSC)による糊化温度(Tp)(吸熱量が最大となるピーク温度)が55〜65℃であるという特性を備えるものを用いると、粘弾性、滑らかさ、食味に一層優れる麺類が得られるので好ましく、該糊化温度(Tp)が57.0〜62.0℃であるものを用いることがより好ましい。エーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉の糊化温度(Tp)が55℃未満であると、麺類の食感が柔らかくなり付着性が生じ易くなり、一方65℃を超えると、粘弾性がなくなり、ぼそついた歯ごたえのない不良な食感となり易い。
【0017】
また、本発明で用いるエーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉では、そのアルコール性水酸基の置換度(DS)は特に限定されないが、澱粉におけるグルコース残基100個当たり20個以下で置換されている(DS=0.2以下)ことが好ましい。
【0018】
本発明で用いるエーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉は、エーテル化されたタピオカ澱粉および/またはエーテル化され且つジエステル化されたタピオカ澱粉であって、しかもその走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgであるものであればいずれでもよく、その調製方法や入手方法などは特に制限されない。
何ら限定されるものではないが、本発明で用いるエーテル化タピオカ澱粉は、その吸熱エネルギー(△H)が上記した3.0〜8.0mJ/mgの範囲になるようにしながら、例えば、タピオカ澱粉の懸濁液に、エピクロルヒドリンやアクロレインなどのエーテル化剤を反応させて、タピオカ澱粉の水酸基をエーテル化することによって製造することができる。
また、本発明で用いるエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉は、その吸熱エネルギー(△H)が上記した3.0〜8.0mJ/mgの範囲になるようにしながら、例えば、タピオカ澱粉の懸濁液に、オキシ塩化リン、無水リン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸塩などのエステル化剤と、エピクロルヒドリンやアクロレインなどのエーテル化剤を同時または逐次に反応させて、タピオカ澱粉の水酸基をエーテル化およびジエステル化することによって製造することができる。
上記の製造反応において、エーテル化タピオカ澱粉またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉を製造する際の乾燥工程で、ドラムドライヤーなどを用いて澱粉の糊化が生ずるような高温で乾燥させると、製麺時のグルテンの形成が阻害されて、得られる麺類の食感が弾力性のないものとなるので、40℃以下の温度で乾燥させることが好ましい。
【0019】
本発明では、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgであるエーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉の含有量(両者を含有する場合はその合計含有量)が、麺類用穀粉組成物における全穀粉重量に基づいて、5〜50重量%の割合であることが好ましく、30〜45重量%であることがより好ましい。麺類用穀粉組成物における該エーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉の含有量が5重量%未満であると、α化した茹麺類または蒸麺類を冷凍してなる冷凍麺類の冷蔵耐性が低下し易くなり、冷蔵温度で低温保存および/または低温流通させたときに、粘弾性が失われて、ぼそついた食感になり易い。一方、麺類用穀粉組成物における該エーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉の含有量が50重量%を超えると、製麺時の作業性が低下すると共に、α化した茹麺類または蒸麺類を冷凍してなる冷凍麺類の冷蔵耐性が低下し易くなり、冷蔵温度で低温保存および/または低温流通させたときに、硬くて弾力性のない不良な食感になり易い。
【0020】
そして、本発明では、上記したエーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉と共に用いる他の穀粉類の種類は特に制限されず、麺類の種類などに応じて、小麦粉、そば粉、米粉、大麦粉、大豆粉、上記のエーテル化・ジエステル化化工澱粉以外の澱粉などのうちの1種または2種以上を用いることができる。
【0021】
また、本発明では、穀粉類以外に、麺類の種類などに応じて、従来から汎用されている副原料や添加剤、例えば食塩、かん水(かん粉)、乳化剤、着色料、防腐剤、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸などの栄養強化剤、山芋粉、卵または卵製品、茶粉末、海草粉末などの1種または2種以上を使用することができる。
【0022】
そして、本発明では、上記したエーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉、その他の穀粉類、並びに必要に応じて他の成分を用いて予め麺類用穀粉組成物を調製しておき、その麺類用穀粉組成物を用いて麺類を製造することができる。
【0023】
また、本発明では、上記した麺類用穀粉組成物を予め調製せずに、麺類の製造時に、上記したエーテル化タピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉、その他の穀粉類、並びに必要に応じて他の成分を任意の順序で添加して(例えば逐次にまたは同時に添加して)麺生地をつくり、その麺生地を用いて麺類を製造してもよい。
【0024】
さらに、本発明では、麺類を製造する際の製麺方法、製麺装置、製麺条件なども特に制限されず、麺類の種類などに応じて、通常使用されている製麺方法、装置、条件などを採用して行えばよい。何ら限定されるものではないが、本発明で採用し得る製麺方法としては、例えば、加水混練して得た麺生地を、通常のロール式複合−圧延−麺線への切り出しを行なって麺線する方法などが挙げられる。また、麺生地の加水混練を真空下で行なう真空ミキサーを用いると、得られる麺類製品の滑らかさが向上して、さらに好ましい麺類製品が得られる。
【0025】
本発明では麺類の種類は特に制限されず、うどん、平めん(ひもかわうどん)、日本そば、中華麺、麺皮類(ギョウザ、シュウマイ、春巻、ワンタンの皮等)などのいずれであってもよい。
【0026】
α化した茹麺類または蒸麺類を冷凍してなる本発明の冷凍麺類は、冷凍後に冷蔵温度で低温保存、低温流通および/または低温解凍される冷凍麺類であり、冷蔵温度で長期間低温保存、低温流通および/または低温解凍させても、老化が生じず、良好な食感を保つことができ、喫食時には単に水洗するかまたは水洗せずにそのままで、食感、風味、食味に優れる麺類を喫食することができる。
そして、本発明の冷凍麺類を冷蔵温度で低温保存および/または低温流通させる場合は、0〜10℃の冷蔵温度が好ましく採用される。
【0027】
また、本発明の冷凍麺類の製造に当っては、下記の数式(i)に基づく茹で歩留りを、240〜280%の範囲にしてα化した麺類をつくり、それを冷凍すると、食感、食味および風味に優れる冷凍麺類が得られるので好ましい。上記した茹で歩留りが240%未満であると麺類の食感が硬くなり易く、一方280%を超えると麺類の食感が柔らかくなり易い。
【0028】
【数1】
茹で歩留り(%)=(A/B)×100 (i)
式中、A=生麺100gを茹上げて水切りした後の茹麺の重量(g)
B=茹上げ前の生麺100g中の麺類用穀粉等粉末組成物の重量(g)
但し、上記の数式(i)のBでいう「麺類用穀粉等粉末組成物」とは、穀粉類およびその他の成分を含む、加水前の麺類用粉末組成物をいう。
【0029】
【実施例】
以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の例中、特に断らない限り、部は重量部を表し、%は重量%を表す。
【0030】
《試験例1》
無処理タピオカ澱粉(ステーリー社製「Unmodified Tapioca」);アセチル化タピオカ澱粉(ホーネン株式会社製「A−700」);エーテル化タピオカ澱粉(ホーネン株式会社製「POT−02」および「POT−04」並びにナショナルスターチアンドケミカル社製「ナショナル7」および「ナショナル78−0510」);エーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナルスターチアンドケミカル社製「ピュリティ87」、「ピュリティ77」「ナショナル78−0148」および「ピュリティ4」並びにホーネン株式会社製「TPO−08」)について、その走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)および糊化温度(Tp)を下記の方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0031】
[澱粉の走査型示差熱量測定(DSC)による分析法]
(A)試料の調製:
(i)密閉型試料容器に試料10±0.2mg(乾物換算)を精秤する。
(ii)マイクロシリンジを用いて脱気を行なった蒸留水40mgを正確に試料容器に加え、針で試料が均一になるまでよく混ぜた後、再度秤量する。
(iii)蓋を載せた密閉型試料容器を試料台中央のダイス受けの上に置く。
(iv)圧力ハンドルを時計回りに回し、ダイス先端から圧力棒が出るようにする。
(v)サンプル・シーラーバーを反時計回りに回し、試料容器の蓋が容器の縁より0.3〜0.5mm程度内部に入るように圧入する。
(vi)レバーを時計方向に一回転ほど戻し、圧力ハンドルを反時計回りに空回りするまで回し、圧力棒を上に上げる。
(vii)レバーを再び反時計方向に回し、試料容器をかたくしめた後、試料容器を取り出す。
(viii)リファレンスとして密閉型試料容器に脱気した蒸留水40mgを加え、同様に密閉処理により蓋をしたものを用いる。
【0032】
(B)試料の設置:
(i)走査型示差熱量測定装置(セイコー電子工業株式会社製「DSC120」)におけるファーナスカバー、SUS蓋、ヒートシンク外蓋、ヒートシンク蓋を順々に取り出す。
(ii)手前のホルダーに上記(A)の(vii)で調製した試料を入れた容器を載せ、後方のホルダーに上記(A)の(viii)で準備したリファリンス容器を載せる。
(iii)ヒートシンク蓋、ヒートシンク外蓋、SUS蓋およびファーナスカバーの順で蓋をかぶせる。
【0033】
(C)分析:
(i)TAステーションおよびDSCモジュールの電源を入れ、以下に示す温度プログラム、サンプル情報、サンプリングタイム、エンドジョブを設定する。
(ii)温度プログラムを入力する(開始温度25℃、終了温度165℃、昇温速度4℃/分、プログラムは開始温度で3分間保持後分析を開始)。
(iii)サンプル情報は、試料名、試料重量、リファレンス名、リファレンス重量を入力する。
(iv)サンプリング時間は0.5秒に設定する。
(v)エンドジョブを入力する。
(vi)1チャンネルのZEROキー、RUNキーを順に押し、測定を開始する。
(v)糊化温度(Tp)および吸熱エネルギー(△H)の値を読み取る。
【0034】
【表1】
【0035】
《実施例1》[うどんの製造]
(1) 上記の試験例1において走査型示差熱量測定(DSC)によって吸熱エネルギー(△H)および糊化温度(Tp)を測定した澱粉のうちで、無処理タピオカ澱粉(ステーリー社製「Tapioca」)、アセチル化タピオカ澱粉(ホーネン株式会社製「A−700」)、エーテル化タピオカ澱粉(「POT−02」、「ナショナル7」および「ナショナル78−0510」)、並びにエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(「ナショナル78−0148」および「ピュリティ87」)を製麺用に準備した。
(2) 小麦粉(日清製粉株式会社製「白椿」)と共に、上記(1)で準備したそれぞれの澱粉を用いて、下記の表3および表4に記載する麺類用穀粉組成物をそれぞれ調製した。
(3) 上記(2)で調製した麺類用穀粉組成物1000gに対して、食塩35gと水415gを加えた後(食塩は予め水に溶解させて加えた)、12分間混合してそぼろ状の生地を得た。
(4) 上記(3)で得た生地を製麺ロールにてロール間隔3.6mmで麺帯にまとめ、室温下(20℃)にビニール袋中で30分間熟成させた。熟成後、この麺帯を更に製麺ロールにて圧延して約2.5mm厚の麺帯にした後、No.10角切刃を用いて麺線に切り出して生うどんを製造した。
(5) 上記(4)で得た生うどん145gづつを直ちに十分量の沸騰水(pH5〜6に調整)中で上記の数式(i)による茹で歩留りが260±2%になるようにして茹で時間を調節しながら茹上げた後、直ちに冷水中で水洗いし、ざるに上げて水を切った。
【0036】
(6) 上記(5)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、5℃の冷蔵庫に入れて2日間冷蔵保存した後取り出して、流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を下記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表3および表4に示すとおりであった。
(7) また、上記(5)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、−40℃のショック・フリーザーに2時間入れて凍結して冷凍麺を製造し、−20℃の冷凍庫で3日間保存した。3日後に、冷凍麺を冷凍庫から取り出して、5℃の冷蔵庫に入れて1夜解凍を行い、解凍した麺を流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を下記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表3および表4に示すとおりであった。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
上記の表3および表4の結果から、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲であるエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7、ナショナル78−0510)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)を含有する麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号1〜6の麺の場合は、茹麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに、劣化が生じず、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてに優れる麺が得られることがわかる。
それに対して、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲から外れる無処理タピオカ澱粉(Unmodified Tapioca)、アセチル化タピオカ澱粉(A−700)、エーテル化タピオカ澱粉(POT−02)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ピュリティ87)を含有する麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号7〜15の麺の場合は、茹麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに、劣化が生じており、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてにおいて実験番号1〜6の麺に比べて大幅に劣っていることがわかる。
【0041】
《実施例2》[うどんの製造]
(1) 2種類のエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7、POT−02)および2種類のエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148、ピュリティ4)を製麺用に準備した。
(2) 小麦粉(日清製粉株式会社製「白椿」)と共に、上記の(1)で準備した2種類のエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7、POT−02)および2種類のエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148、ピュリティ4)のそれぞれを用いて、下記の表5および表6に記載する麺類用穀粉組成物をそれぞれ調製した。
(3) 上記(2)で調製した麺類用穀粉組成物1000gに対して、食塩30gと水450gを加えた後(食塩は予め水に溶解させて加えた)、12分間混合してそぼろ状の生地を得た。
(4) 上記(3)で得た生地を製麺ロールにてロール間隔3.6mmで麺帯にまとめ、室温下(20℃)にビニール袋中で30分間熟成させた。熟成後、この麺帯を更に製麺ロールにて圧延して約2.5mm厚の麺帯にした後、No.10角切刃を用いて麺線に切り出して生うどんを製造した。
【0042】
(5) 上記(4)で得た生うどん148gを直ちに十分量の沸騰水(pH5〜6に調整)中で上記の数式(i)による茹で歩留りが260±2%になるようにして茹で時間を調節しながら茹上げた後、直ちに冷水中で水洗いし、ざるに上げて水を切った。
(6) 上記(5)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、5℃の冷蔵庫に入れて1日間冷蔵保存した後取り出して、流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を上記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表5および表6に示すとおりであった。
(7) また、上記(5)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、−40℃のショック・フリーザーに2時間入れて凍結して冷凍麺を製造し、−20℃の冷凍庫で3日間保存した。3日後に、冷凍麺を冷凍庫から取り出して、7℃の冷蔵庫に入れて1夜解凍を行ない、解凍した麺を、流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を上記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表5および表6に示すとおりであった。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
上記の表5および表6の結果から、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲であるエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)を含有する麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号14〜19の麺類の場合は、茹麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに劣化が生じず、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてに優れる麺が得られることがわかる。
それに対して、エーテル化化工澱粉またはエーテル化・ジエステル化化工澱粉であっても、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲から外れるエーテル化タピオカ澱粉(POT−02)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ピュリテイ87)を含有する麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号20〜25の麺の場合は、茹麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに、劣化が生じており、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてにおいて実験番号14〜19の麺に比べて劣っていることがわかる。
【0046】
《実施例3》[中華麺の製造]
(1) 小麦粉(日清製粉株式会社製「特ナンバーワン」)、エーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)、バイタルグルテン(三和澱粉株式会社製)を用いて、下記の表7に記載する麺類用穀粉組成物をそれぞれ調製した。
(2) 上記(1)で調製した麺類用穀粉組成物1000gに対して、かん粉(オリエンタル酵母工業株式会社製「飛竜印赤」)14gと水360gを加えた後(かん粉は予め水に溶解させて加えた)、10分間混合して中華麺生地を得た。
(3) 上記(2)で得た生地を製麺ロールにてロール間隔3.6mmで麺帯にまとめ、室温下(20℃)にビニール袋中で30分間熟成させた。熟成後、この麺帯を更に製麺ロールにて圧延して約1.5mm厚の麺帯にした後、No.20角切刃を用いて麺線に切り出して中華麺を製造した。
(4) 上記(3)で得た生中華麺141gを直ちに十分量の沸騰水(pH5〜6に調整)中で上記の数式(i)による茹で歩留りが250±2%になるようにして茹で時間を調節しながら茹上げた後、直ちに冷水中で水洗いし、ざるに上げて水を切った。
【0047】
(5) 上記(4)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、5℃の冷蔵庫に入れて1日間冷蔵保存した後取り出して、流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を上記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表7に示すとおりであった。
(6) また、上記(4)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、−40℃のショック・フリーザーに2時間入れて凍結して冷凍麺を製造し、−20℃の冷凍庫で3日間保存した。3日後に、冷凍麺を冷凍庫から取り出して、4℃の冷蔵庫に入れて1夜解凍を行ない、解凍した麺を流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を上記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表7に示すとおりであった。
【0048】
【表7】
【0049】
上記の表6の結果から、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲であるエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)を含有する麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号26〜31の麺の場合は、茹麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに、劣化が生じず、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてに優れる麺が得られることがわかる。
それに対して、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲であるエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)を含有しない麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号32〜34の麺の場合は、α化した麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに、劣化が生じており、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてにおいて実験番号26〜31の麺に比べて著しく劣っていることがわかる。
【0050】
《実施例4》[蕎麦の製造]
(1) 小麦粉(日清製粉株式会社製「オーション」)、蕎麦粉(石森製粉株式会社製)、エーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)を用いて、下記の表8に記載する麺類用穀粉組成物をそれぞれ調製した。
(2) 上記(1)で調製した麺類用穀粉組成物1000gに水330gを加えて、10分間混合して蕎麦生地を得た。
(3) 上記(2)で得た生地を製麺ロールにてロール間隔3.6mmで麺帯にまとめ、室温下(20℃)にビニール袋中で1時間熟成させた。熟成後、この麺帯を更に製麺ロールにて圧延して約1.4mm厚の麺帯にした後、No.20角切刃を用いて麺線に切り出して蕎麦を製造した。
(4) 上記(3)で得た生蕎麦133gを直ちに十分量の沸騰水(pH5〜6に調整)中で上記の数式(i)による茹で歩留りが250±2%になるようにして茹で時間を調節しながら茹上げた後、直ちに冷水中で水洗いし、ざるに上げて水を切った。
【0051】
(5) 上記(4)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、4℃の冷蔵庫に入れて1夜冷蔵した後、取り出して、流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を上記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表8に示すとおりであった。
(6) また、上記(4)で得た茹麺150gをビニール袋に入れてヒートシーラーでシールした後、−40℃のショック・フリーザーに2時間入れて凍結して冷凍麺を製造し、−20℃の冷凍庫で3日間保存した。3日後に、冷凍麺を冷凍庫から取り出して、7℃の冷蔵庫に入れて1夜解凍を行ない、解凍した麺を流水中で水洗し、ざるに上げて水を切り、麺の食感および食味を上記の表2に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表8に示すとおりであった。
【0052】
【表8】
【0053】
上記の表8の結果から、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲にあるエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)を含有する麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号35〜40の麺の場合は、茹麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに、劣化が生じず、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてに優れる麺が得られることがわかる。
それに対して、走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgの範囲にあるエーテル化タピオカ澱粉(ナショナル7)またはエーテル化・ジエステル化タピオカ澱粉(ナショナル78−0148)を含有しない麺類用穀粉組成物を用いて得られた実験番号41〜43の麺の場合は、茹麺を冷蔵温度で長期間保存したときに、さらには茹麺を冷凍して得た冷凍麺を冷蔵温度で解凍して保存したときに、劣化が生じており、粘弾性、滑らかさおよび食味のすべてにおいて実験番号35〜40の麺に比べて劣っていることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の冷凍麺類は、老化が遅くて、冷蔵保存耐性、冷蔵流通耐性および冷凍流通耐性に優れていて、冷凍後にα化した状態で冷蔵温度で長時間低温保存したり、低温流通させても、粘弾性、滑らかさ、風味に優れていて良好な食感、食味および風味を有する高品質の解凍麺類にすることができる。
そのため、本発明の冷凍麺類は、それを冷蔵温度で低温保存および/または低温流通した場合には、加熱解凍することなく、そのままで、または水で水洗するだけで、簡単に喫食可能な、粘弾性に優れていてソフトでモチモチしており、滑らかさに富んでおり、しかも異味のない、食感、食味および風味に優れる高品質の麺類を、加熱解凍するための手間やコスト増を招くことなく、消費者にタイムリーに供給することができる。
Claims (4)
- 走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgであるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉を含有する麺類用穀粉組成物を用いて製造したα化した茹麺類または蒸麺類を冷凍してなる冷凍麺類であって、冷蔵温度で低温保存、低温流通および/または低温解凍される冷凍麺類。
- 前記麺類用穀粉組成物における走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgであるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉の含有量が、穀粉類の合計重量に基づいて、5〜50重量%である請求項1の冷凍麺類。
- 走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgで且つ糊化温度(Tp)が55〜65℃であるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉を含有する麺類用穀粉組成物を用いて製造したα化した茹麺類または蒸麺類を冷凍してなる冷凍麺類であって、冷蔵温度で低温保存、低温流通および/または低温解凍される冷凍麺類。
- 前記麺類用穀粉組成物における走査型示差熱量測定(DSC)による吸熱エネルギー(△H)が3.0〜8.0mJ/mgで且つ糊化温度(Tp)が55〜65℃であるエーテル化したタピオカ澱粉および/またはエーテル化・ジエステル化したタピオカ澱粉の含有量が、穀粉類の合計重量に基づいて、5〜50重量%である請求項3の冷凍麺類。
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