JP3672409B2 - マトリックス装置の検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の入力機器と複数の出力機器とが接続され、上記各入力機器の出力信号をいずれの出力機器に出力させるかを制御するマトリックス装置の検査装置に関し、特に上記各入力機器とマトリックス装置との間を結ぶ入力ラインを検査する検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなマトリックス装置は、例えばビルの構内放送設備等に用いられる。このマトリックス装置を用いた放送設備として、従来、例えば図6に示すようなものがある。同図は、例えばショッピングセンター用の放送設備の一例を示すもので、同図において、1が、マトリックス装置である。そして、このマトリックス装置1の入力側(同図の左側)にそれぞれ接続されている2乃至7が、上記入力機器としての入力音源であり、一方、出力側にそれぞれPAアンプ10、10、・・・を介して接続されている8、8、・・・が、上記出力機器としてのスピーカである。なお、上記各入力音源2乃至7のうち、2乃至5は、例えばカセットデッキや音声ファイル装置等により構成されており、それぞれ予め定めた時間(定期的)に放送を行なうように、プログラムタイマ9によって制御されている。そして、他の入力音源6及び7は、例えば卓上用のマイクロホンで、このマイクロホン6及び7については、オペレータが例えばアナウンスを流すとき等に、任意に使用可能とされている。
【0003】
このようなマトリックス装置1においては、各入力音源2乃至7の放送音(音声信号)をいずれのスピーカ8、8、・・・から出力させるかの所謂経路(ルーティング)設定が予め成されている。即ち、マイクロホン装置1は、各入力音源2乃至7による放送が実際に開始されたとき、各放送音をそれぞれ希望のスピーカ8、8、・・・から出力するように、上記経路設定に従って、各入力音源2乃至7及びスピーカ8、8、・・・間を接続する。例えば、プログラムタイマ9によって制御される入力音源2乃至5のうち、開店用コマーシャル(CM)、閉店用コマーシャル及びBGM放送用の入力機器2乃至4については、それぞれの放送音が、全てのスピーカ8、8、・・・から出力されるように上記経路設定が成されている。また、エスカレータ用アナウンスを放送する入力音源5については、その放送音が、エスカレータ付近に設置された(同図の一番下方にある)スピーカ8からのみ出力されるように上記経路設定が成されている。更に、各マイクロホン6及び7についても、それぞれの放送音が希望のスピーカ8、8、・・・から出力されるように予め上記経路設定が成されている。
【0004】
なお、このマトリックス装置1では、個々のスピーカ8、8、・・・に対して、同時に複数の異なる入力音源2乃至7を接続するのを禁止している。これは、各スピーカ8、8、・・・から、同時に複数の異なる音声が出力されると、このマトリックス装置1を用いている放送設備自体が、それ本来の機能を果たさなくなるためである。そこで、このようなマトリックス装置1では、予め各入力音源2乃至7相互間での優先順位を決めておき、各スピーカ8、8、・・・に対して同時に複数の入力音源2乃至7が接続される場合には、これら複数の入力音源2乃至7のうち、上記優先順位の最も高いものを優先して上記スピーカ8、8、・・・に接続するように、各入出力間の接続を制御している。
【0005】
ただし、これを実現するには、マトリックス装置1に対して、各入力音源2乃至7がそれぞれ使用(放送)状態にあるか否かを認識させる必要がある。そこで、このようなマトリックス装置1において、その入力機器として用いられる上記各入力音源2乃至7は、それぞれが使用状態にあるときに、それぞれの音声信号を出力するだけでなく、それ自体が使用状態にあることを表わす制御信号を出力するよう構成されている。そして、この制御信号を、それぞれの音声信号を伝送させる音声入力ラインとは別のライン、例えば制御入力ラインを介して、マトリックス装置1に入力する。従って、マトリックス装置1は、この制御信号により、各入力音源2乃至7が使用状態にあるか否かを認識することができる。
【0006】
なお、マトリックス装置1は、例えば放送室等に設置されるのが最も一般的であり、例えば、上記放送室に設置された図示しない大型ラック(キャビネットラック)内に収容されることが多い。そして、プログラムタイマ9や、このプログラムタイマ9によって制御される各入力音源2乃至5、更には上述したPAアンプ10、10、・・・についても、マトリックス装置1と同様に、上記大型ラックに収容されることが多い。一方、マイクロホン6及び7については、そのうちの1台(マイクロホン6)が、例えば放送室に設置され、他の1台(マイクロホン7)が、放送室から離れた位置にある案内所等に設置される。そして、各スピーカ8、8、・・・は、マーケット内の適宜場所に設置される。
【0007】
ところで、上記マイクロホン6及び7については、上述したように、例えばオペレータがアナウンスを流すとき等に使用するものであって、それほど頻繁に使用されるものではない。しかし、アナウンスには、重要な内容のものが多いので、このような放送設備においては、アナウンスを確実に放送することが大切である。従って、もし、各マイクロホン6、7とマトリックス装置1との間を接続するケーブル、特に音声入力ラインに、断線等の不具合が生じた場合には、直ちにこれを検知して、早急に対処する必要がある。
【0008】
ところが、従来、このようなマトリックス装置1を用いた放送設備においては、各マイクロホン6、7とマトリックス装置1との間の上記音声入力ラインの断線等を検査する検査装置は、特に無かった。例えば、マイクロホン6、7を使用したときにスピーカ8、8、・・・から出力される放送音を、実際に耳で聴取することによって、上記断線等の不具合を検査していた。この検査方法は、マイクロホン6、7に限らず、他の入力機器2乃至5についても同様である。しかし、この方法では、特に上記のようにあまり使用頻度の高くないマイクロホン6、7の音声入力ラインについては、その検査が希にしか行われない。従って、上記ケーブルに断線等の不具合が生じても、これを直ちに検知することができなかった。これは、マトリックス装置1との距離が他の入力機器2乃至5に比べて離れているために、他の入力機器2乃至5の音声入力ラインに比べて、断線等の不具合が生じ易いというマイクロホン6、7の音声入力ラインにとっては、非常に都合の悪いことである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明が解決しようとする問題点は、従来のマトリックス装置1においては、各入力機器2乃至7、特にマイクロホン6、7と、マトリックス装置1との間を接続する音声入力ラインを検査する検査装置が無かったため、この音声入力ラインの断線等の不具合を直ちに検知できなかったという点である。そのため、上記不具合に対して、事前に、何等対処することができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、マトリックス装置1の入力側に接続される上記音声入力ラインを検査する検査装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、非使用状態にあるときに検査信号を出力する複数の入力機器がそれぞれ別個の入力ラインを介してそれぞれ接続されている複数の入力端子と、
複数の出力機器がそれぞれ接続されている複数の出力端子と、
上記各入出力端子間を、制御信号に従って接続するマトリックス手段と、
上記各入力機器のうち使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子を、予め定めた上記各出力端子と接続する状態に上記制御信号を生成する制御手段と、を備えたマトリックス装置において、
上記各入力機器のうち非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子に入力される信号レベルを検出する検出手段と、
を具備するものである。
【0012】
本請求項1に記載の発明によれば、各入力機器のうち、非使用状態にある入力機器が接続された入力ラインについて、これに入力機器から検査信号を入力し、この検査信号がマトリックス装置の入力端子側で検出されるか否かによって、入力ラインに断線等の不具合が生じていないかの検査を行っている。即ち、入力端子側で、上記検査信号が検出された入力ラインについては、正常であると見なされ、上記検査信号が検出されないラインについては、例えば断線や、接地レベルとの短絡等の不具合が生じているものと見なされる。なお、使用状態にある入力機器が接続されている入力ラインについては、上述した従来技術と同様に、各入力ラインに接続された出力機器側の出力状態を監視することによって、検査できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、非使用状態にあるときに検査信号を出力する複数の入力機器がそれぞれ別個の入力ラインを介してそれぞれ接続されている複数の入力端子と、
複数の出力機器がそれぞれ接続されている複数の出力端子と、
上記各入出力端子間を、制御信号に従って接続するマトリックス手段と、
上記各入力機器のうち使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子を、予め定めた上記各出力端子と接続する状態に上記制御信号を生成する制御手段と、を備えたマトリックス装置において、
上記制御手段が、上記各入力機器のうち非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子についても、これを上記各出力機器のうち非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子と、1対1で接続する状態に上記制御信号を生成するよう構成されており、
上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と接続された上記出力端子に到達する信号のレベルを検出する検出手段と、
を具備するものである。
【0014】
本請求項2に記載の発明によれば、各入力機器のうち非使用状態にある入力機器が接続された入力ラインが、マトリックス手段を介して、各出力機器のうち非使用状態にある出力機器が接続された出力端子に、1対1で接続される。そして、上記入力ラインに入力機器から検査信号を入力し、この検査信号が上記出力端子側で検出されるか否かによって、入力ラインからマトリックス手段を経て出力端子までに至る経路に、断線等の不具合が生じていないかの検査を行なっている。即ち、出力端子側で、上記検査信号が検出された上記経路については、正常であると見なされ、上記検出信号が検出されない経路については、例えば断線や、接地レベルとの短絡等の不具合が生じているものと見なされる。なお、使用状態にある入力機器が接続されている入力ラインと、この入力ラインに接続されている各出力端子までの間の経路については、上述した従来技術と同様に、各出力端子に接続された出力機器側の出力状態を監視することによって、検査できる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明のマトリックス装置の検査装置において、上記マトリックス手段が、複数本のディジタルバスから成るディジタルバス形式のものであって、
上記制御手段が、上記各入力端子をそれぞれ1本の上記ディジタルバスを介して上記各出力端子に接続すると共に、上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子との接続については、上記複数のディジタルバスのうち、上記使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子を上記各出力端子に接続するのに使用されているディジタルバス以外の非使用状態にあるバスが存在する場合にのみ、この非使用状態にあるディジタルバスを介して、それぞれ所定数ずつ、例えば1つずつ順次接続する状態に上記制御信号を生成するよう構成されたことを特徴とするものである。
【0016】
本請求項3に記載の発明によれば、各入力端子は、それぞれ1本のディジタルバスを介して各出力端子に接続される。従って、本請求項3に記載の発明の検査装置においては、非使用状態にある入力機器が接続された入力ラインから、ディジタルバスを経て、非使用状態にある出力機器が接続された出力端子までの間の経路が、検査の対象となる。
【0017】
ところで、本請求項3に記載の発明においては、各出力端子側に接続される入力端子数は、ディジタルバスの本数に依存する。即ち、同時に使用可能な入力機器の台数は、ディジタルバスの本数により限られる。従って、上記検査のためにディジタルバスが占用されることは、マトリックス装置の本来の動作(機能)にとって、あまり好ましいことではない。そこで、本請求項3に記載の発明によれば、上記ディジタルバスのうち、実際に使用状態にある入力機器を各出力機器側に接続するのに使用されているディジタルバス以外の所謂非使用状態にあるバスが存在する場合にのみ、この非使用状態にあるディジタルバスを例えば1本だけ使用して、上記検査を行なっている。即ち、上記検査よりも、飽くまでもマトリックス装置本来の動作を優先している。
【0018】
また、上記のように、1本のディジタルバスにより上記非使用状態にある入出力端子間(入力ラインと出力端子との間)を順次接続して上記検査を行なっているので、この検査の対象となる各入出力端子の数がそれぞれ異なる場合には、様々な入力ラインと出力端子との組み合わせ(経路パターン)についての検査が行われる。従って、上記不具合が生じたときに、それが入力ライン、ディジタルバス、及びディジタルバスから出力端子までの間のいずれに生じているのかを、判別できる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明のマトリックス装置の検査装置において、上記制御手段が、上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子と上記非使用状態にあるバスとをそれぞれ検索する検索手段と、この検索手段によって検索された上記各入力端子と上記各出力端子と上記各バスとをそれぞれ所定数ずつ順次接続する状態に上記制御信号を生成する接続制御手段と、を備え、
上記検出手段による検出レベルが所定のレベルよりも低いときにこれを異常と判定するレベル判定手段と、
上記レベル判定手段によって異常と判定された上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子と上記非使用状態にあるバスとの組み合わせ(パターン)を順次記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された上記各組み合わせから、上記非使用状態にある入力機器から上記非使用状態にあるバスの入力側までの間の入力ライン、上記非使用状態にあるバス、及び該非使用状態にあるバスの出力側から上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子までの間の出力ライン、のうちのいずれが異常であるのかを判断する判断手段と、
を設けたことを特徴とするものである。
【0020】
本請求項4に記載の発明によれば、レベル検出手段によって異常と判定された上記入力ラインとバスと出力ラインとの組み合わせ(パターン)は、順次、記憶手段に記憶される。そして、判断手段が、上記記憶手段に記憶された各組み合わせを基に、上記入力ラインとバスと出力ラインとのうちのいずれに不具合が生じているのかを判断する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係るマトリックス装置の検査装置を、例えば上述した図6に示す放送設備に応用する場合について、その一実施の形態を、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、上記図6を更に詳細に表わした図である。なお、この図1においては、本実施の形態の説明を簡明にするために、上記図6における入力機器2乃至7のうち、例えば案内所に設置されたマイクロホン7のみを代表して記載し、また、出力側についても、1台のスピーカ8(及びPAアンプ10)のみを代表して記載している。なお、この図1においては、上記マイクロホン7による放送が、スピーカ8から出力されるように、上述した経路設定が成されているものとする。
【0022】
図1に示すように、マトリックス装置1は、入力側(同図の左側)に、上記マイクロホン7が接続される音声入力端子11と制御入力端子12との2つの入力端子を備えている。このうち、音声入力端子11に、音声入力ライン71の一端が接続されており、この音声入力ライン71を介して、マイクロホン7からその音声信号が音声入力端子11に入力される。一方、制御入力端子11には、制御入力ライン72の一端が接続されており、この制御入力ライン72を介して、マイクロホン7がそれ自体使用状態にあるときに出力する制御信号が制御入力端子12に入力される。そして、マトリックス装置1の出力側には、出力端子13が設けられており、この出力端子13に、PAアンプ10を介してスピーカ8が接続されている。
【0023】
そして、このマトリックス装置1は、内部に、例えば複数のディジタルバス14a、14a、・・・から成るディジタル・バス形式のマトリックス部14を有している。このバス形式のマトリックス部14は、CPU(中央演算処理装置)25からの命令に従って、このマトリックス部14自体の入出力間を、上記各バス14a、14a、・・を介して接続するもので、このマトリックス装置1の入力側には、上記音声入力端子11が、入力側増幅器15及びA/D変換器16を介して接続されている。一方、このマトリックス装置1の出力側には、D/A変換器17、出力側増幅器18、及びCPU25によってON/OFF制御されるスイッチ回路19を介して、上記出力端子13が接続されている。
【0024】
即ち、上記CPU25は、マイクロホン7が使用状態になったときに、このマイクロホン7が接続された音声入力端子11と、上記経路設定によってこのマイクロホン7の出力先として指定されているスピーカ8が接続された出力端子13とを接続するように、上記バス14a、14a、・・・を制御する。これと同時に、CPU25は、上記スイッチ回路19をONして、マイクロホン7からスピーカ8に至る経路を閉路状態とし、これによって、マイクロホン7による放送をスピーカ8から出力させる。なお、CPU25には、上述した制御入力端子12が接続されており、CPU25は、この制御入力端子12を介して上記マイクロホン7から上述した制御信号を受信することによって、マイクロホン7が使用状態になったことを認識して、上記バス14a、14a、・・・及びスイッチ回路19を制御する。このようなCPU25の一連の動作は、例えばROMやRAM構成のメモリ20に記憶されているプログラムに従って実行される。また、上記経路設定も、このプログラムの一要素として、メモリ20に記憶されている。
【0025】
なお、CPU25は、上記バス14a、14a、・・・を制御する際に、例えば上記マイクロホン7という1台の入力機器につき、複数のバス14a、14a、・・・のうちのいずれか1本のみ使用して、これを上記スピーカ8と接続する。従って、同図ではスピーカ8を1台しか記載していないが、1台のマイクロホン7に対して複数のスピーカ8、8、・・・が接続される場合にも、これら各スピーカ8、8、・・・と上記マイクロホン7との間を、バス14a1本のみで接続する。即ち、このバス形式のマトリックス装置1によれば、例えばこのマトリックス装置1の入力側に複数の入力機器が接続されていても、これら各入力機器を同時に使用(放送)できる台数は、上記バス14a、14aの本数によって制限されることになる。従って、マトリックス部14が、例えば16本のバス14a、14a、・・・で構成されている場合には、同時に使用できる入力機器の台数は、最大16台となる。
【0026】
一方、上記マトリックス装置2の入力機器として使用されるマイクロホン7は、図1に示すように、アナウンス等の音声を収音マイク73によって収音して得た音声信号を増幅する増幅回路74を有しており、この増幅回路74の出力側に、音声入力ライン71の他端が接続されている。また、このマイクロホン7は、これ専用のCPU75を内臓しており、このCPU75に、上述した制御入力ライン72の他端が接続されている。即ち、このマイクロホン7側のCPU75は、上記制御入力ライン72を介して、マトリックス装置1側のCPU25と通信可能な状態に接続されている。
【0027】
更に、上記CPU75には、トークスイッチ76が接続されており、CPU75は、このトークスイッチ76のON/OFF操作に応じて、増幅回路74から上記音声信号を出力させるか否かを制御する。即ち、このマイクロホン7においては、トークスイッチ76の操作により、増幅回路74から上記音声信号を出力させる状態とすることによって初めて、放送可能な状態、即ち使用状態となる。そして、トークスイッチ76の操作により、増幅回路74から上記音声信号を非出力状態とした場合に、放送不可能な状態、即ち非使用状態となる。なお、CPU75は、このマイクロホン7を上記使用状態としたとき、上述した制御信号を生成し、これを制御入力ライン72を介して、マトリックス装置1側のCPU25に送信する。このCPU75の一連の動作は、マイクロホン7内に設けられた例えばROMやRAM構成のメモリ77に記憶されているプログラムに従って実行される。
【0028】
以上の説明は、例えばマイクロホン7が使用状態にあるときに、このマイクロホン7の放送音をスピーカ8から出力させるというマトリックス装置1本来の動作(機能)についての説明である。これに対して、本実施の形態は、上記マイクロホン7を含む各入力音源2乃至7と、各スピーカ8、8、・・・が接続された各出力端子3、3、・・・と、各バス14a、14a、・・・とのうち、それぞれ非使用状態にあるもの同志を接続して、各入力音源(2乃至7のいずれか)から音声入力ライン72及びバス14aを経てスピーカ8に至る一本の経路を形成し、この経路に、入力音源(2乃至7のいずれか)側から所定の検査信号を供給して、この検査信号が出力端子3側で検出されるか否かによって、上記経路に断線等の不具合が生じていないかを検査するものである。
【0029】
これを実現するために、例えばマイクロホン7は、内部に、上記検査信号として例えば200Hzの交流信号を発生する発振回路78を有している。この発振回路78は、マイクロホン7内のCPU75に、後述する検査開始信号が供給されたときに上記検査信号を発振し、これを増幅回路74を経て、音声入力ライン71に入力する。そして、この発振回路78は、CPU75に対して、後述する検査終了信号が供給されたときに、上記発振を停止する。なお、この発振信号を生成する構成については、他の入力音源2乃至6についても、同様である。
【0030】
一方、マトリックス装置1は、その出力端子3、3、・・・側、詳しくは出力側増幅器18の出力側(スイッチ回路19の入力側)において、上記検査信号を検出するレベル検出部21を有している。なお、このレベル検出部21による上記検査信号の検出結果は、マトリックス装置1内のCPU25に供給される。
【0031】
このように構成されたマトリックス装置1、及びマイクロホン7を含む各入力音源2乃至7において、上述した検査は、それぞれに内蔵されたCPU25及び75が、それぞれ次のように動作することによって実現される。
【0032】
即ち、CPU25は、図2から図4に示すフローチャートに従って動作する。なお、このフローチャートに従ってCPU25を動作させるプログラムについても、マトリックス装置1内のメモリ20内に記憶されている。
【0033】
上記フローチャートに示すように、CPU25は、まず、各入力音源2乃至7がそれぞれ接続された各音声入力ライン71、71、・・・のうち、非使用状態にある入力音源(2乃至7のいずれか)が接続された所謂空き入力ライン71を検索する(ステップS2)。なお、CPU25は、各入力音源2乃至7からそれぞれ制御信号が出力されているか否かによって、上記各入力音源2乃至7が使用状態にあるか否かを認識し、これによって上記空き入力ライン71を検索している。そして、CPU25は、検索して得た空き入力ライン71のうちのいずれか1つ、例えば最もライン番号の小さい入力ライン71(各音声入力ライン71、71、・・・には予めライン番号が付与されている)を選択する(ステップS4)。
【0034】
次に、CPU25は、マトリックス部14を構成する各ディジタルバス14a、14a、・・・のうち、非使用状態にある所謂空きバス14aを検索する(ステップS6)。これら各バス14a、14a、・・・については、上述したようにCPU25が制御しているので、CPU25は、これらバス14a、14a、・・・についても、いずれが非使用状態にあるのかを検索できる。そして、CPU25は、これら空きバス14aのうちのいずれか1つ、例えば最もバス番号の小さいバス14a(各バス14a、14a、・・・には予めバス番号が付与されている)を選択する(ステップS8)。
【0035】
更に、CPU25は、各スピーカ8、8、・・・がそれぞれ接続された各出力端子13、13、・・・のうち、非使用状態にあるスピーカ8が接続された所謂空き出力端子13(詳しくはマトリックス部14の出力側から出力端子13までの間の所謂出力ライン)を検索する(ステップS10)。なお、CPU25は、各入力音源2乃至7毎の(メモリ20内に記憶されている)経路設定と、各入力音源2乃至7の使用状況との関係から、上記非使用状態にあるスピーカ8を検索し、ひいては上記空き出力ラインを検索している。そして、CPU25は、検索して得た空き出力ラインのうちのいずれか1つ、例えば最もライン番号の小さい出力ライン(各出力ラインには予め端子番号が付与されている)を選択する(ステップS12)。
【0036】
そして、CPU25は、上記ステップS4、S8及びS12において、それぞれ選択した空き入力ライン71(音声入力端子11)と空きバス14aと空き出力ラインとを相互に接続して、1本の経路を形成する(ステップS14)。なお、このとき、CPU25は、上記空き出力ラインの途中に設けられたスイッチ回路19をOFF(開放)して、上記経路からスピーカ8(及びPAアンプ10)を切り離す。
【0037】
更に、CPU25は、上記経路を形成する空き入力ライン71に接続された入力音源(2乃至7のいずれか)内のCPU75に対して、上述した検査開始信号を送信する。これによって、この入力音源内の発振回路78が検査信号を発振して、これを上記経路内に入力する。そして、この検査信号は、上記経路を介して、即ち音声入力ライン71、入力側増幅器15、A/D変換器16、バス14a、D/A変換器17及び出力側増幅器18を介して、レベル検出部21に入力される。そして、このレベル検出部21による上記検査信号の検出結果は、上述したようにCPU25に供給される。
【0038】
CPU25は、上記レベル検出部21による検出レベルが、予め定めたしきい値(スレッショルドレベル)よりも低いか否かを判定する(ステップS18)。ここで、この検出レベルが、上記しきい値よりも低いと判定したとき(ステップS20においてYESのとき)、上記経路に断線や接地レベルとの短絡等の不具合が生じていると見なす。そして、この経路を形成する(上記ステップS4、S6及びS8においてそれぞれ選択した)音声入力ライン71、バス14a及び出力ラインと、これらの組み合わせを一旦、例えばメモリ20内に記憶した後(ステップS22)、上記検査信号を出力している入力音源(2乃至7のいずれか)に対して、上述した検査終了信号を送信する(ステップS24)。この検査終了信号の送信により、上記経路に対する検査信号の入力が停止される。
【0039】
一方、上記(ステップS18において、上記レベル検出部21による検出レベルが、上記しきい値以上であると判定されたとき(ステップS20においてNOのとき)は、上記経路に異常がないものと見なして、上記ステップS24に進む。なお、このステップS24において、上記検査終了信号を出力した時点で、一つの経路(即ち入力音源(2乃至7のいずれか)とバス14aと出力ラインとの組み合わせ)についての検査が終了する。
【0040】
そして、CPU25は、新たに検査の対象とする経路を形成するために、再度、上述したステップS2と同様に、空き入力ライン71を検索する(ステップS26)。なお、この時点では、まだ、前回の検査対象である経路(入力ライン71とバス14aと出力ラインとの組み合わせ)は、接続されたままの(解除されていない)状態にあるので、上記前回の検査対象である経路の各構成要素については、上記検索の対象外とする。
【0041】
そして、上記ステップS26において新たに検索して得た空き入力ライン71の中に、前回の検索対象である経路を構成する入力ライン(前回選択した入力ライン)71よりも、ライン番号の大きいものがあるか否かを検索する(ステップS28)。ここで、上記新たに検索された空き入力ライン71の中に、前回選択した入力ライン71よりも、ライン番号の大きいものがないと判断された場合(ステップS28においてYESの場合)には、上記空き入力ライン71のうち、最もライン番号の小さいものを選択する(ステップS30)。一方、上記ステップS28において、空き入力ライン71の中に、前回選択した入力ライン71よりも、ライン番号の大きいものがあると判断された場合(ステップS28においてNOの場合)には、上記空き入力ライン71のうち、前回選択した入力ライン71の次にライン番号の小さいものを選択する(ステップS32)。
【0042】
上記新たな空き入力ライン71を選択した後は、次に、上述したステップS6と同様に、新たな空きバス14aを検索する(ステップS34)。
【0043】
そして、上記ステップS34において新たに検索して得た空きバス14aの中に、前回の検索対象である経路を構成するバス(前回選択したバス)14aよりも、バス番号の大きいものがあるか否かを検索する(ステップS36)。ここで、上記空きバス14aの中に、前回選択したバス14aよりも、バス番号の大きいものがないと判断された場合(ステップS36においてYESの場合)は、上記空きバス14aのうち、最もバス番号の小さいものを選択する(ステップS38)。一方、上記ステップS36において、空きバス14aの中に、前回選択したバス14aよりも、バス番号の大きいものがあると判断された場合(ステップS36においてNOの場合)には、上記空きバス14aのうち、前回選択したバス14aの次にバス番号の小さいものを選択する(ステップS40)。
【0044】
更に、上述したステップS10と同様に、新たな空き出力ラインを検索する(ステップS42)。
【0045】
そして、上記ステップS42において新たに検索して得た空き出力ラインの中に、前回の検索対象である経路を構成する出力ライン(前回選択した出力ライン)よりも、ライン番号の大きいものがあるか否かを検索する(ステップS44)。ここで、上記空き出力ラインの中に、前回選択した出力ラインよりも、ライン番号の大きいものがないと判断された場合(ステップS44においてYESの場合)は、上記空き出力ラインのうち、最もライン番号の小さいものを選択する(ステップS46)。一方、上記ステップS44において、空き出力ラインの中に、前回選択した出力ラインよりも、ライン番号の大きいものがあると判断された場合(ステップS44においてNOの場合)には、上記空き出力ラインのうち、前回選択した出力ラインの次にライン番号の小さいものを選択する(ステップS48)。
【0046】
ここで、CPU25は、前回の検査の対象としていた経路(空き入力ライン71とバス14aと出力ラインとの接続)を解除し(ステップS50)、その上で、上記新たに選択した空き入力ライン71とバス14aと出力ラインとを相互に接続して、新たに検査の対象とする経路を形成する(ステップS52)。これと同時に、CPU25は、上記新たな空き出力ラインの途中に設けられたスイッチ回路19をOFF(開放)して、この新たに検査対象とする経路からスピーカ8(及びPAアンプ10)を切り離す。なお、前回の検査の対象としていた経路(出力ライン)中に設けられているスイッチ回路19については、ON/OFFのいずれの状態としてもよい(上記スイッチ回路19は、いずれにしても、上記出力ラインが使用状態になるとONされ、上記検査対象になるとOFFされる)。
【0047】
そして、CPU25は、上述したステップS16と同様に、検査開始信号を出力する(ステップS54)。これによって、上記新たな検査対象である経路に検査信号が入力されて、上記新たな経路の検査が開始される。
【0048】
即ち、CPU25は、上述したステップS18と同様に、レベル検出部21による上記検査信号の検出レベルが、予め定めたしきい値よりも低いか否かを判定する(ステップS56)。ここで、この検出レベルが、上記しきい値以上であると判定された場合(ステップS58においてNOの場合)は、上記経路に異常がないものと見なして、上記ステップS24に戻る。一方、上記検出レベルが、しきい値よりも低いと判定された場合(ステップS58においてYESの場合)は、上記経路に断線や接地レベルとの短絡等の不具合が生じていると見なす。そして、この経路を形成する音声入力ライン71、バス14a及び出力ラインと、これらの組み合わせを一旦、例えばメモリ20内に記憶する(ステップS60)。
【0049】
ここで、CPU25は、上記経路の不具合が、この経路を形成する入力ライン71(詳しくは入力音源(2乃至7のいずれか)内の発振回路78からマトリックス部14の入力側までの間のライン)、バス14a及び出力ラインのうちのいずれの不具合が原因で生じているものかを確認する。即ち、上記ステップS60において今回記憶された入力ライン71が、以前、不具合を生じてると見なされた経路を形成する(即ち記憶されたことのある)入力ライン71と同じものであって、かつ、そのときの経路を形成するバス14a及び出力ラインが、いずれも、今回記憶されたバス14a及び出力ラインと異なるものであるか否かを確認する(ステップS62)。そして、このステップS62において、YESの場合には、今回検査対象としている経路を形成する入力ライン71に不具合が生じているものと判断し、この場合、CPU25は、上記入力ライン71に異常が生じている旨の警告を出力する(ステップS64)。なお、この警告は、例えばCPU25に接続された表示部22や、或いは外部出力端子23を介して外部の周辺機器(例えばパーソナルコンピュータ)等に出力される。一方、上記ステップS62において、NOの場合には、上記入力ライン71が原因で上記不具合が生じているのではないと判断され、上記ステップS64をパスして次のステップS66に進む。
【0050】
ステップS66においては、上記経路の不具合が、この経路を形成するバス14aが原因で生じているものなのか否かを確認する。即ち、上記ステップS60において今回記憶されたバス14aが、以前、不具合を生じてると見なされた経路を形成する(即ち記憶されたことのある)バス14aと同じものであって、かつ、そのときの経路を形成する入力ライン71及び出力ラインが、いずれも、今回記憶された入力ライン71及び出力ラインと異なるものであるか否かを確認する。そして、このステップS66において、YESの場合には、今回検査対象としている経路を形成するバス14aに不具合が生じているものと判断し、このバス14aに異常が生じている旨の警告を出力する(ステップS68)。一方、上記ステップS66において、NOの場合には、上記バス14aが原因で上記不具合が生じているのではないと判断され、ステップS68をパスして次のステップS70に進む。
【0051】
ステップS70においては、上記経路の不具合が、この経路を形成する出力ラインが原因で生じているものなのか否かを確認する。即ち、上記ステップS60において今回記憶された出力ラインが、以前、不具合を生じてると見なされた経路を形成する(即ち記憶されたことのある)出力ラインと同じものであって、かつ、そのときの経路を形成する入力ライン71及びバス14aが、いずれも、今回記憶された入力ライン71及びバス14aと異なるものであるか否かを確認する。そして、このステップS70において、YESの場合には、今回検査対象としている経路を形成する出力ラインに不具合が生じているものと判断し、この出力ラインに異常が生じている旨の警告を出力して(ステップS72)、ステップS24に戻る。一方、上記ステップS70において、NOの場合には、上記出力ラインが原因で上記不具合が生じているのではないと判断され、ステップS72をパスして、ステップS24に戻る。
【0052】
このステップS24に戻ることによって、CPU25は、上記経路についての検査を終了し、更に新たな経路について、順次1本ずつ検査することになる。そして、この検査の対象となる経路は、入力ライン71、71、・・・、バス14a、14a、・・・及び出力ラインのうち、空き状態にあるものを、それぞれの番号の小さいものから順に1つずつ組み合わせたものにより形成される。なお、これら空き状態にある入力ライン71、71、・・・、バス14a、14a、・・・及び出力ラインは、それぞれ同数であるとは限らないので、結果的に、不規則に組み合わされることになる。よって、上述したステップS62乃至S72のような手順により、経路を形成する入力ライン71、バス14a及び出力ラインのうちのいずれに不具合が生じているのかを割り出すことができる。
【0053】
なお、上記図2から図4に示すフローチャートにおいて、ステップS50(検査の対象とする経路を解除するステップ)については、ステップS24(検査終了信号を出力して1つの経路の検査を終了するステップ)とステップS26(新たな空き入力ライン71を検索するステップ)との間に設けてもよい。
【0054】
ところで、各入力音源2乃至7側のCPU75については、図5のフローチャートに従って動作する。なお、この図5のフローチャートに従ってCPU75を動作させるプログラムについても、各入力音源2乃至7内のメモリ77内に記憶されている。
【0055】
即ち、マトリックス装置1側のCPU25から、上述した検査開始信号を受信することによって(ステップS102)、検査信号を出力する(ステップS104)。そして、この検査信号を、マトリックス装置1側のCPU25から、上述した検査終了信号を受信するまで出力し続ける(ステップS106)。そして、上記検査終了信号を受信した時点で、上記検査信号の発振を停止する(ステップS108)。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、各音声入力ライン71、71、・・・、バス14a、14a、・・・及び出力ラインを、常に検査しているので、これらに例えば断線や接地レベルとの短絡等の不具合が生じた場合、これを直ちに検知できる。従って、上述した従来技術とは異なり、上記不具合に対して、事前に、何等かの対処を施すことができる。
【0057】
また、上記各音声入力ライン71、71、・・・、バス14a、14a、・・・及び出力ラインのうち、非使用状態にあるものを、検査の対象としているので、マトリックス装置1の本来の動作(機能)に影響を与えることなく、上記検査を実現できる。
【0058】
なお、本実施の形態においては、検査信号を、例えば200Hzの交流信号としたが、これに限らず、例えば、超可聴周波数の交流信号や、或いは直流信号としてもよい。例えば、超可聴周波数を使用すれば、上述したスイッチ回路19を省略できる。ただし、上記200Hz程度の可聴周波数の交流信号を用いることによって、このマトリックス装置1が実際に取り扱う音声信号と同様の条件で、上記検査を行うことができる。
【0059】
また、各入力音源2乃至7において、マトリックス装置1側のCPU25から送信される検査開始信号を受信することによって初めて上記検査信号を出力するように構成したが、各入力音源2乃至7が非使用状態にあるときは、上記検査信号を常に出力する(たれ流しとする)状態に構成してもよい。ただし、上記のように、各入力音源2乃至7が、上記検査開始信号を受信して初めて上記検査信号を出力するよう構成することによって、各CPU25及び75間を接続する制御入力ライン72についても、同時に検査することができる。
【0060】
そして、各音声入力ライン71、71、・・・、バス14a、14a、・・・及び出力ラインを、それぞれ1本ずつ接続してこれを検査の対象としたが、それぞれを複数本ずつ接続して検査してもよい。
【0061】
更に、レベル検出部21を、例えばマトリックス部14の入力側、より詳しくは、入力側増幅器15の入力側又は出力側に設け、これによって音声入力ライン71、71、・・・のみを検査の対象としてもよい。
【0062】
また、本実施の形態においては、構内放送設備について説明したが、これ以外の用途にも、本発明を適用できることは言うまでもない。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明のマトリックス装置の検査装置は、常に入力ラインを検査しているので、各入力ラインに例えば断線や接地レベルとの短絡等の不具合が生じた場合、これを直ちに検知できるという効果がある。従って、上述した従来技術とは異なり、上記不具合に対して、事前に、何等かの対処を施すことができる。また、本請求項1に記載の発明によれば、各入力ラインのうち、非使用状態にある入力機器が接続された入力ラインを、上記検査の対象としているので、マトリックス装置の本来の動作(機能)に影響を与えることなく、上記検査を実現できる。
【0064】
請求項2記載の発明のマトリックス装置の検査装置は、入力ラインからマトリックス手段を経て出力端子までの間の経路を、常に検査している。従って、この経路に、例えば断線や接地レベルとの短絡等の不具合が生じた場合、これを直ちに検知できるという効果がある。従って、上記請求項1に記載の発明と同様に、上記不具合に対して、事前に、何等かの対処を施すことができる。また、本請求項2に記載の発明によれば、各入力ラインのうち非使用状態にある入力機器が接続された入力ラインから、各出力端子のうち非使用状態にある出力機器が接続された出力端子までの間を、上記検査の対象としているので、マトリックス装置の本来の動作(機能)に影響を与えることなく、上記検査を実現できる。
【0065】
請求項3に記載のマトリックス装置の検査装置によれば、ディジタルバス形式のマトリックス手段を用いたマトリックス装置についても、入力ラインからディジタルバスを経て出力端子までの間の経路を検査することができる。そして、この検査では、非使用状態にある入出力機器が接続された入出力端子間を、非使用状態にあるディジタルバスで接続することにより形成された経路のみを検査対象としているので、この検査が、マトリックス装置の本来の動作(機能)に影響を与えることはない。
【0066】
請求項4に記載のマトリックス装置の検査装置によれば、レベル検出手段によって異常と判定された上記入力ラインとバスと出力ラインとの組み合わせパターンを順次記憶し、この記憶した各異常パターンから、入力ラインとバスと出力ラインとのうちのいずれに不具合が生じているのかを判断している。即ち、上記経路の不具合内容を、より詳細に検査することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る検査装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】同実施の形態におけるマトリックス装置側のCPUの動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】上記図2に続くフローチャートである。
【図4】上記図1及び図3に続くフローチャートである。
【図5】同実施の形態における入力音源側のCPUの動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】マトリックス装置を用いた構内放送設備の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 マトリックス装置
2、3、4、5、6、7 入力音源(入力機器)
8 スピーカ(出力機器)
11 音声入力端子
13 出力端子
14 マトリックス部(マトリックス手段)
20 記憶手段
21 レベル検出部(検出手段)
25 CPU(制御手段、レベル判定手段、判断手段)
71 音声入力ライン
72 制御入力ライン
78 発振回路
Claims (4)
- 非使用状態にあるときに検査信号を出力する複数の入力機器がそれぞれ別個の入力ラインを介してそれぞれ接続されている複数の入力端子と、
複数の出力機器がそれぞれ接続されている複数の出力端子と、
上記各入出力端子間を、制御信号に従って接続するマトリックス手段と、
上記各入力機器のうち使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子を、予め定めた上記各出力端子と接続する状態に上記制御信号を生成する制御手段と、を備えたマトリックス装置において、
上記各入力機器のうち非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子に入力される信号レベルを検出する検出手段と、
を具備するマトリックス装置の検査装置。 - 非使用状態にあるときに検査信号を出力する複数の入力機器がそれぞれ別個の入力ラインを介してそれぞれ接続されている複数の入力端子と、
複数の出力機器がそれぞれ接続されている複数の出力端子と、
上記各入出力端子間を、制御信号に従って接続するマトリックス手段と、
上記各入力機器のうち使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子を、予め定めた上記各出力端子と接続する状態に上記制御信号を生成する制御手段と、を備えたマトリックス装置において、
上記制御手段が、上記各入力機器のうち非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子についても、これを上記各出力機器のうち非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子と、1対1で接続する状態に上記制御信号を生成するよう構成されており、
上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と接続された上記出力端子に到達する信号のレベルを検出する検出手段と、
を具備するマトリックス装置の検査装置。 - 上記マトリックス手段が、複数本のディジタルバスから成るディジタルバス形式のものであって、
上記制御手段が、上記各入力端子をそれぞれ1本の上記ディジタルバスを介して上記各出力端子に接続すると共に、上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子との接続については、上記複数のディジタルバスのうち、上記使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子を上記各出力端子に接続するのに使用されているディジタルバス以外の非使用状態にあるバスが存在する場合にのみ、この非使用状態にあるディジタルバスを介して、それぞれ所定数ずつ順次接続する状態に上記制御信号を生成するよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載のマトリックス装置の検査装置。 - 上記制御手段が、上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子と上記非使用状態にあるバスとをそれぞれ検索する検索手段と、この検索手段によって検索された上記各入力端子と上記各出力端子と上記各バスとをそれぞれ所定数ずつ順次接続する状態に上記制御信号を生成する接続制御手段と、を備え、
上記検出手段による検出レベルが所定のレベルよりも低いときにこれを異常と判定するレベル判定手段と、
上記レベル判定手段によって異常と判定された上記非使用状態にある入力機器が接続されている上記入力端子と上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子と上記非使用状態にあるバスとの組み合わせを順次記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された上記各組み合わせから、上記非使用状態にある入力機器から上記非使用状態にあるバスの入力側までの間の入力ライン、上記非使用状態にあるバス、及び該非使用状態にあるバスの出力側から上記非使用状態にある出力機器が接続されている上記出力端子までの間の出力ライン、のうちのいずれが異常であるのかを判断する判断手段と、
を設けたことを特徴とする請求項3に記載のマトリックス装置の検査装置。
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