JP4209596B2 - スピーカ故障検知装置及びスピーカ故障検知方法 - Google Patents

スピーカ故障検知装置及びスピーカ故障検知方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピーカ故障検知装置及びスピーカ故障検知方法、なかでも、パワーアンプに接続されたスピーカが正常であるか否かを検査するスピーカ故障検知装置及びスピーカ故障検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルやショッピングモール等のように複数のスピーカゾーンを有する構内放送システムでは、非常放送を確実に行うために、各ゾーンのスピーカラインの状態を監視する必要がある。具体的には、各ゾーンのスピーカラインの断線、短絡、地絡を定期的に検査し、各ゾーンのスピーカラインが正常であるか監視している。
【0003】
このようなスピーカラインの検査には、パイロットトーン方式、エンドオブライン方式が知られている。
パイロットトーン方式では、構内放送装置から可聴帯域外の周波数(例えば20kHz)のパイロットトーンをスピーカラインに出力し、スピーカラインの末端部からモニタ用の信号線を配線して構内放送装置に設けられた検知器に入力する。そして、検知器によりパイロットトーンの有無を検知し、もとのパイロットトーンが検知された場合はスピーカラインが正常であると評価し、もとのパイロットトーンが検知されない場合はスピーカラインが断線、短絡又は地絡していると評価している。
【0004】
エンドオブライン方式では、構内放送装置から1本の幹線により複数のスピーカに配線される構内放送システムに用いられる。この方式では、構内放送装置から最も離れた末端のスピーカに検知器を接続する。そして、構内放送装置からの可聴帯域外の周波数の信号をスピーカラインの幹線に出力し、この信号を検知器で検出して別線により構内放送装置に入力する。また直流信号をスピーカラインの幹線に出力する場合には、直流信号を遮断するスピーカが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のパイロットトーン方式及びエンドオブライン方式では、スピーカと構内放送装置との間にスピーカラインとは別の配線を設ける必要があり、構内放送システムの設置工事の工数が多くなり、コストダウンの妨げとなっている。また、直流信号をスピーカラインに入力する場合には、直流信号を遮断するフィルタ等を備えたスピーカを使用する必要があり、この場合も構内放送システムのコストダウンの妨げとなる。
【0006】
本発明の目的は、スピーカラインの故障検知の容易な構内放送システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピーカ故障検知装置は、音声入力を増幅してスピーカに出力する構内放送装置に設けられるスピーカ故障検知装置であって、切替手段と測定手段と故障検知手段と遮断手段とを備えている。切替手段は、スピーカを構内放送装置の出力又は測定手段に切り替える。測定手段は、スピーカに検査信号を供給する第1信号発生手段と、検査信号に対してスピーカから出力される第1応答信号が正常範囲にあるか否かを判別する第1判別手段と、可変抵抗器を有し、第1応答信号が正常範囲にない場合に、可変抵抗器の抵抗値を調節することにより、第1応答信号が正常範囲に入るように検査信号の大きさを調節する調節手段と、第1応答信号が正常範囲にある場合の可変抵抗器の抵抗値を蓄積手段に格納する書込手段と、蓄積手段に格納された可変抵抗器の抵抗値を可変抵抗器に設定し、スピーカに検査信号を供給する第2信号発生手段と、可変抵抗器の抵抗値に対してスピーカから出力される第2応答信号が正常範囲にあるか否か判別する第2判別手段と、を有する。故障検知手段は、第2判別手段による判別結果に基づいて、スピーカの短絡を検知する。遮断手段は、故障検知手段によりスピーカの短絡が検知された場合に、スピーカと構内放送装置とを遮断する。ここで、スピーカには、構内放送装置からスピーカまでの配線(スピーカライン)も含まれるものとする。
【0009】
このスピーカ故障検知装置では、複数のスピーカが構内放送装置に接続されている場合にも、切替手段により測定対象のスピーカに測定手段を接続させながら、初期設定及び故障検知を自動的に行うことができる。また、切替手段によりスピーカを構内放送装置の出力から切り離して故障検知装置に接続し、検査信号に対する応答信号を構内放送装置側の故障検知装置で検出するので、スピーカからの検査信号を受信するためのモニタ用の別線を必要としない。
【0010】
こで、第1検査信号は、例えば、電圧信号(又は電流信号)である。第1応答信号及び第2応答信号は、例えば電圧信号(又は電流信号)に対する電流信号(又は電圧信号)である。
【0011】
この故障検知手段によれば、スピーカのインピーダンスを算出することなく、第2応答信号が正常範囲にあるか否か判別することにより、スピーカのインピーダンスの変化を評価し、短絡を検知することができる。これにより、回路構成が簡単になる。
【0012】
発明に係るスピーカ故障検知装置は、発明に係るスピーカ故障検知装置において、検査信号は電流信号であり、第1応答信号及び第2応答信号は電圧信号である。また信号発生手段は電圧電流変換器を有している。また調節手段は、電圧電流変換器に接続されている。また第1判別手段及び第2判別手段は、異なる設定値が設定された2つのコンパレータを有している
【0013】
このスピーカ故障検知装置では、初期設定時には、電圧電流変換器が、入力電圧を電流信号(検査信号)に変換してスピーカに出力する。電流信号が印加されると、スピーカから第1電圧信号(第1応答信号)が2つのコンパレータに入力される。2つのコンパレータでは、第1電圧信号がそれぞれの設定値と比較され、第1電圧信号が2つの設定値の間にあるか判別される。第1電圧信号が2つの設定値の間ない場合には、可変抵抗器の抵抗値の大きさを調整し、第1電圧信号が2つの設定値の間になるようにする。書込手段は、調節後の抵抗値を蓄積手段に格納する。
【0014】
故障検知時には、蓄積手段から抵抗値を読み出し、読み出した抵抗値に可変抵抗器の抵抗値を設定する。この抵抗値では、電圧電流変換器から初期設定時と同じ電流信号が出力され、この電流信号に対するスピーカからの第2電圧信号が2つのコンパレータに入力される。コンパレータでの比較の結果、第2電圧信号が2つの設定値の間にある場合には、スピーカは正常であると評価する。第2電圧信号が大きい設定値よりも大きい場合には、スピーカは断線していると評価する。第2電圧信号が小さい設定値よりも小さい場合には、スピーカは短絡していると評価する。
【0015】
このスピーカ故障検知装置によれば、可変抵抗器の抵抗値を電気的に調整することにより、自動的にインピーダンスの評価を行うことができる。
発明に係るスピーカ故障検知方法は、音声入力を増幅してスピーカに出力する構内放送装置に設けられるスピーカ故障検知装置によりスピーカの故障を検知する検知方法であって、スピーカに検査信号を供給する段階と、検査信号に対してスピーカから出力される第1応答信号が正常範囲にあるか否かを判別する段階と、第1応答信号が正常範囲にない場合に、可変抵抗器の抵抗値を調節することにより、第1応答信号が正常範囲に入るように検査信号の大きさを調節する段階と、第1応答信号が正常範囲にある場合の可変抵抗器の抵抗値を蓄積手段に格納する段階と、蓄積手段に格納された可変抵抗器の抵抗値を前記可変抵抗器に設定し、前記スピーカに検査信号を供給する段階と、可変抵抗器の抵抗値に対してスピーカから出力される第2応答信号が正常範囲にあるか否か判別する段階と、判別結果に基づいてスピーカの短絡を検知する段階と、スピーカの短絡が検知された場合に、スピーカと構内放送装置とを遮断する段階と、を含んでいる。
【0016】
発明に係るスピーカ故障検知装置によれば、発明1に係る故障検知装置において述べたと同様の作用効果を奏する。
発明に係る構内放送装置は、音声入力を増幅してスピーカに出力する構内放送装置であって、音声入力を増幅してスピーカに出力する増幅器と、構内放送装置に着脱自在である発明1または2に係るスピーカ故障検知装置とを有している。
【0017】
発明に係る構内放送装置によれば、発明1または2に係る故障検出装置において述べたと同様の作用効果を奏する。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔構内放送システム〕
図1は、本発明の一実施形態に係るスピーカラインの故障検知装置が設けられた構内放送システムの概略構成図である。この構内放送システムは、構内放送装置1と、構内放送装置1の出力側に接続されたスピーカ2と、構内放送装置1の入力側に接続されたリモコン3とBGM音源4と非常放送音源5とを備えている。
【0019】
構内放送装置1は、リモコン3、BGM音源4及び非常放送音源5からの音声入力を調整及び増幅し、スピーカ2に出力する。スピーカ2は、ビルやショッピングモール内の複数のスピーカゾーン(ZONE1〜5)に設けられるスピーカ21〜25を含み、スピーカラインを介して構内放送装置1の出力側に接続されている。リモコン3は、音声を入力するためのマイクと、構内放送装置1への入力をマイク、BGM音源4又は非常放送音源5からの音声入力に切り替える入力切替ボタン、構内放送装置1の出力と各ゾーンのスピーカ21〜25とを接続又は切断するための出力切替ボタン(図示せず)とを有している。
【0020】
このような構内放送システムでは、リモコン3の入力切替ボタンにより構内放送装置1に入力する音源が選択され、リモコン3の出力切替ボタンにより構内放送装置1から出力するスピーカ21〜25が選択される。そして、選択されたマイク、BGM音源4又は非常放送音源5からの音声入力が構内放送装置1に入力されると、入力された音声入力が構内放送装置1により調整及び増幅され、選択されたスピーカ21〜25に出力される。
【0021】
〔スピーカ故障検知装置〕
図2は、構内放送装置1の機能ブロック図である。構内放送装置1は、ミキサーアンプ104と、パワーアンプ102と、ミキサーアンプ104及びパワーアンプ102を制御するCPU101と、スピーカ故障検知装置106とを主に備えている。ミキサーアンプ104の入力側は、音声入力端子105に接続されている。音声入力端子105は、リモコン3、BGM音源4及び非常放送音源5からの音声信号をミキサーアンプ104に出力する。ミキサーアンプ104の出力側には、ミュート回路103が接続されている。ミュート回路103は、ミキサーアンプ104の出力側とパワーアンプ102の入力側とを接続又は遮断する。パワーアンプ102の出力側は、後述するゾーンセレクタ107を介して、5つのゾーン(ZONE1〜ZONE5)に配置されたスピーカ21〜25に接続されている。
【0022】
スピーカ故障検出装置106は、切替手段としてのゾーンセレクタ107と、信号発生手段としての電圧電流変換器108と、調節手段としての可変抵抗器109と、第1及び第2判別手段としてのコンパレータ110及び111と、蓄積手段としてのメモリ112と、書込手段及び故障検知手段としてのCPU113とを備えている。ゾーンセレクタ107以外の故障検知装置の構成は、プリント基板上に配置されており、構内放送装置1に着脱可能である。
【0023】
ゾーンセレクタ107は、パワーアンプ102の出力側と接続されている5つの接点aと、スピーカラインを介してスピーカ21〜25に接続される5つの接点bと、後述するスイッチ114を介して電圧電流変換器108に接続される5つの接点cとを有している。このゾーンセレクタ107は、CPU113からの信号により、接点bを接点a又は接点cに接続する。また接点cはスイッチ114の一端に接続されており、スイッチcの他端は電圧電流変換器108の出力側に接続されている。また電圧電流変換器108の出力側は、交流信号を直流信号に変換する整流回路116に接続されている。
【0024】
電圧電流変換器108は、設定電圧信号が入力されると、その設定電圧信号に対応した検査電流信号を出力する。設定電圧信号は、可聴帯域外の周波数(例えば20kHz)の交流電流信号である。電圧電流変換器108の入力側は、可変抵抗器109の一端に接続されている。可変抵抗器109は、電気的に抵抗値を調整可能な抵抗器であり、CPU113からの信号により抵抗値を変化する。可変抵抗器109の他端には、バンドパスフィルタ115が接続されており、CPU113からの設定電圧信号に含まれるノイズを除去し、ノイズ除去後の設定電圧信号を可変抵抗器109に出力する。CPU113から設定電圧信号が可変抵抗器109に入力されると、設定電圧信号は、可変抵抗器109の抵抗値により電圧降下されて大きさが調整される。調整された設定電圧信号が電圧電流変換器108に入力されると、電圧電流変換器108は、入力された設定電圧信号に対応する検査電流信号を出力する。
【0025】
電圧電流変換器108から検査電流信号がスイッチ114及びゾーンセレクタ107を介してスピーカ21〜25に入力されると、検査電流信号に対応する検査電圧信号がゾーンセレクタ107及びスイッチ114を介して整流回路116に入力される。整流回路116は、検査電圧信号を整流するダイオード及び整流された検査電圧信号を平滑するコンデンサを有している。整流回路116は、入力された検査電圧信号を整流及び平滑し、直流検査電圧信号をコンパレータ110及び111に出力する。
【0026】
コンパレータ110の正相入力端子は抵抗器R3及び抵抗器R2の接点に接続されており、逆相入力端子は整流回路116の出力側に接続されており、出力端子はCPU113に接続されている。コンパレータ111の正相入力端子は整流回路116の出力側に接続されており、逆相入力端子は抵抗器R2及び抵抗器R1の接点に接続されており、出力端子はCPU113に接続されている。コンパレータ110の正相入力端子には、電源ラインVDDが抵抗器R3と抵抗器R2及びR1とで分圧された設定電圧V2が入力されている。またコンパレータ111の逆相入力端子には、電源ラインVDDが抵抗器R3及びR2と抵抗器R1とで分圧された設定電圧V1が入力されている。これらの設定値V1及びV2は、スピーカ21〜25のインピーダンスが変化しているか否かを判別する基準となる範囲であり、V1<V2に設定する。コンパレータ110は、整流回路116から逆相入力端子に入力される直流検査電圧と設定電圧V2とを比較し、直流検査電圧が設定電圧V2よりも低ければHighを出力し、直流検査電圧が設定電圧V2よりも高ければLowを出力する。コンパレータ111は、整流回路116から正相入力端子に入力される直流検査電圧と設定電圧V1とを比較し、直流検査電圧が設定電圧V1よりも高ければHighを出力し、直流検査電圧が設定電圧V1よりも低ければLowを出力する。
【0027】
コンパレータ110、111の出力及びインピーダンスの関係を図3に示す。図3に示すようにコンパレータ110及び111の出力が共にHighであるときには、インピーダンスは変化しておらず、測定対象のスピーカライン及びスピーカ21〜22は正常であると判断する。またコンパレータ110の出力がHigh、コンパレータ111の出力がLowであるときには、インピーダンスは大幅に小さくなっており、測定対象のスピーカライン及びスピーカ21〜22は短絡していると判断する。またコンパレータ11の出力がLow、コンパレータ111の出力がHighであるときには、インピーダンスは大幅に大きくなっており、測定対象のスピーカライン及びスピーカ21〜22は断線していると判断する。
【0028】
CPU113は、コンパレータ110及び111からの出力に基づいて、図3のようにスピーカ21〜25のインピーダンスを評価する。またCPU113には、初期設定/故障検知の起動入力端子117が接続されている。この起動入力端子117には、リモコン3から初期設定/故障検知の起動信号が入力される。またCPU113には、アラーム出力端子が接続されており、スピーカライン及びスピーカ2において故障が検知されると、該当スピーカゾーンの故障を知らせるアラームをリモコン3に出力する。またCPU113には、ROM等の不揮発性のメモリ118が接続されており、各スピーカゾーンのスピーカライン及びスピーカ21〜25のインピーダンスの初期値が蓄積されている。
【0029】
このような故障検知装置では、通常の放送、BGMの放送又は非常放送を行う場合には、リモコン3からの信号によりCPU101が、スイッチ114を開き、ゾーンセレクタ107を制御して放送しようとするスピーカゾーンに接続された接点bを接点aに接続する。例えば、全てのゾーンZONE1〜5に放送を出力する場合には、ZONE1〜5に接続される接点bを全て接点aに接続して放送を行う。
【0030】
〔故障検知動作〕
以下、例として、ZONE1〜5の全てに放送を行っており、ゾーンセレクタ107の全ての接点bが接点aに接続されている場合について説明する。ZONE1〜5のいずれかに放送を行っている場合も同様の処理が行われる。
【0031】
〔初期設定時〕
リモコン3からCPU113に初期設定の起動入力が入力されると、CPU113がミュート回路103を制御してパワーアンプ102への音声入力を遮断する。次に、CPU113は、スイッチ114を閉じ、電圧電流変換器108及び整流回路116と接点cとを接続する。続いて、CPU113は、ゾーンセレクタ107を制御し、ZONE1に接続されている接点bのみを接点aから接点cに接続する。
【0032】
ZONE1のみを電圧電流変換器108及び整流回路116と接続した後、CPU113から設定電圧信号をバンドパスフィルタ115に出力する。設定信号は、バンドパスフィルタ115及び可変抵抗器109を介して電圧電流変換器108に入力され、電圧電流変換器108から検査電流信号が出力される。検査電流信号は、スイッチ114及びゾーンセレクタの接点c及び接点bを介してZONE1のスピーカライン及びスピーカ21に入力され、この検査電流信号に対応する検査電圧信号が整流回路116に入力され、直流検査電圧信号に変換される。直流検査電圧信号は、コンパレータ110及び111に入力され、上述したように設定値V1及びV2とそれぞれ比較される。
【0033】
次に、検査電圧信号が設定値V1からV2の範囲に入るように可変抵抗器109の抵抗値を調節する。このように調節された可変抵抗器109の抵抗値をスピーカライン及びスピーカ21のインピーダンスの初期値としてメモリ112に格納する。
【0034】
ZONE2〜5についても上記と同様に可変抵抗器109の抵抗値を測定し、初期値としてメモリ112に格納する。
ZONE1〜5について初期値の格納が完了した後、スイッチ114を開き、ミュート回路103を制御してパワーアンプ102に音声信号を入力し、放送を再開する。
【0035】
〔故障検知時〕
リモコン3からCPU113への故障検知の起動入力又はCPU113の内臓インターバルタイマにより、以下の故障検知シーケンスが開始される。まず、CPU113がミュート回路103を制御してパワーアンプ102への音声入力を遮断する。次に、CPU113は、スイッチ114を閉じ、電圧電流変換器108及び整流回路116と接点cとを接続する。続いて、CPU113は、ゾーンセレクタ107を制御し、ZONE1に接続されている接点bのみを接点aから接点cに接続する。
【0036】
ZONE1のみを電圧電流変換器108及び整流回路116と接続した後、メモリ118からZONE1の初期値(抵抗値)を読み出し、可変抵抗器109の抵抗値を初期値に設定する。可変抵抗器9の抵抗値を初期値に設定した後、CPU113から設定電圧信号をバンドパスフィルタ115に出力する。この状態で電圧電流変換器108から初期設定時と同じ大きさの検査電圧信号が出力される。検査電流信号は、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21に入力され、この検査電流信号に対応する検査電圧信号が整流回路116に入力され、直流検査電圧信号に変換される。直流検査電圧信号は、コンパレータ110及び111に入力され、上述したように設定値V1及びV2とそれぞれ比較される。この比較結果によって、コンパレータ110及び111からCPU113にHigh又はLowの信号が入力される。CPU113は、図3に示すように、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21のインピーダンスを評価する。
【0037】
即ち、コンパレータ110及び111の出力が共にHighである場合には、直流検査電圧値がV1からV2の範囲にあり、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21のインピーダンスは初期値からの変動が小さいと評価する。このとき、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21は正常であると評価し、ゾーンセレクタ107を制御し、ZONE1に接続された接点bを接点cから接点aに戻す。
【0038】
コンパレータ110出力がHigh、コンパレータ111の出力がLowである場合には、直流検査電圧値がV1よりも低くなっており、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21のインピーダンスは初期値よりも大幅に小さくなったと評価する。このとき、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21は短絡していると評価し、ゾーンセレクタ107を制御し、ZONE1に接続された接点bを接点cに固定し、以後パワーアンプ102からの出力をZONE1のスピーカライン及びスピーカ21に出力しない。この場合、ZONE1のスピーカライン又はスピーカ21に異常があることを知らせるアラームが、CPU113からリモコン3に出力される。
【0039】
コンパレータ110出力がLow、コンパレータ111の出力がHighである場合には、直流検査電圧値がV2よりも大きくなっており、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21のインピーダンスは初期値よりも大幅に大きくなったと評価する。このとき、ZONE1のスピーカライン及びスピーカ21は断線していると評価し、ゾーンセレクタ107を制御し、ゾーンセレクタ107を制御し、ZONE1に接続された接点bを接点cから接点aに戻す。この場合、ZONE1のスピーカライン又はスピーカ21に異常があることを知らせるアラームが、CPU113からリモコン3に出力される。
【0040】
ZONE2〜5についても上記と同様に検知を実行する。
ZONE1〜5について故障の検知が終了すると、スイッチ114を開き、ミュート回路103を制御してパワーアンプ102に音声信号を入力する。このとき、短絡していると判断されたゾーンのスピーカライン及びスピーカ21〜25には、パワーアンプ102の出力が伝達されず、正常又は断線と判断されたゾーンのスピーカライン及びスピーカ21〜25にパワーアンプ102の出力が伝達される。
【0041】
〔まとめ〕
本実施形態によれば、スピーカライン及びスピーカ2のインピーダンスの初期値と、故障検知時におけるインピーダンスとを比較することにより、スピーカライン及びスピーカ2の短絡及び断線を検知することができる。また、スピーカライン及びスピーカ2の短絡及び断線を検知した場合には、該当スピーカゾーン(ZONE1〜5)を切り離すことにより、パワーアンプ102の故障を防止するとともに、正常なスピーカゾーンについては放送を継続することができる。
【0042】
また、構内放送システムの設置時に初期値を設定し、可変抵抗器109を電気的に制御して抵抗値を初期値として蓄積しておくので、初期設定作業を自動化することができる。設定の自動化により、誤設定を防止し、設置作業を容易にすることができる。
【0043】
また、複数のスピーカゾーン(ZONE1〜5)をCPU113により自動的に切り替えながら、初期設定及び故障検知を行うことができるので、回路の簡素化及び初期設定作業の短縮化を図ることができる。
【0044】
また、スピーカライン又はスピーカ2からの検知信号を受信する別線が必要ないので、構内放送システムの設置工事が容易となる。また、構内放送システムのコストダウンを図ることができる。
【0045】
ゾーンセレクタ107以外の故障検知装置の構成が配置されたプリント基板は構内放送設備1に着脱可能であるので、プリント基板をオプションとして販売することができる。
【0046】
〔他の実施形態〕
上記実施形態では、5つのZONE1〜ZONE5に構内放送装置1が接続されている場合を示したが、5つ未満及び6つ以上のスピーカゾーンに構内放送装置1が接続される場合も、上記と同様の構成により故障検知装置を構成することができる。
【0047】
また上記実施形態では、スピーカライン及びスピーカ2に検査電流信号を入力し、検査電流信号に対する検査電圧信号を評価したが、逆に、検査電圧信号を入力し、検査電圧信号を評価するように構成してもよい。
【0048】
また上記実施形態では、リモコン3から初期設定/故障検知の起動信号が入力され、スピーカライン及びスピーカ2の異常を知らせるアラームがリモコン3に出力されているが、構内放送設備1本体に設けられたボタンから起動入力を受け付け、構内放送設備1本体に設けられたLED等の表示部にアラームを出力するように構成しても良い。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、構内放送システムにおいて、スピーカラインの故障検知が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る故障検知装置が採用される構内放送システムの概略構成図。
【図2】本発明の一実施形態に係る故障検知装置の概略構成図。
【図3】本発明の一実施形態に係る故障検知装置におけるインピーダンスの評価方法を説明するための図。
【符号の説明】
1 構内放送装置
2 スピーカ
107 ゾーンセレクタ
108 電圧電流変換器
109 電子ボリューム
110、111 コンパレータ
112 メモリ
113 CPU

Claims (4)

  1. 音声入力を増幅してスピーカに出力する構内放送装置に設けられるスピーカ故障検知装置であって、
    記スピーカを前記構内放送装置の出力又は測定手段に切り替える切替手段と、
    前記スピーカに検査信号を供給する第1信号発生手段と、
    前記検査信号に対して前記スピーカから出力される第1応答信号が正常範囲にあるか否かを判別する第1判別手段と、
    可変抵抗器を有し、前記第1応答信号が正常範囲にない場合に、前記可変抵抗器の抵抗値を調節することにより、前記第1応答信号が正常範囲に入るように前記検査信号の大きさを調節する調節手段と、
    前記第1応答信号が正常範囲にある場合の前記可変抵抗器の抵抗値を蓄積手段に格納する書込手段と、
    前記蓄積手段に格納された前記可変抵抗器の抵抗値を前記可変抵抗器に設定し、前記スピーカに検査信号を供給する第2信号発生手段と、
    前記可変抵抗器の抵抗値に対して前記スピーカから出力される第2応答信号が正常範囲にあるか否か判別する第2判別手段と、
    を有する測定手段と、
    前記第2判別手段による判別結果に基づいて前記スピーカの短絡を検知する故障検知手段と、
    前記故障検知手段により前記スピーカの短絡が検知された場合に、前記スピーカと前記構内放送装置とを遮断する遮断手段と、
    を備えるスピーカ故障検知装置。
  2. 前記検査信号は電流信号であり、前記応答信号は電圧信号であり、
    前記第1及び第2信号発生手段は電圧電流変換器を有し、
    前記調節手段は、前記電圧電流変換器に接続され
    前記第1及び第2判別手段は、異なる設定値が設定された2つのコンパレータを有し、
    前記書込手段は、前記電圧信号が所定範囲にある場合の前記可変抵抗器の抵抗値を前記蓄積手段に格納する、
    請求項に記載のスピーカ故障検知装置。
  3. 音声入力を増幅してスピーカに出力する構内放送システムに設けられるスピーカ故障検知装置によりスピーカの故障を検知する検知方法であって、
    前記スピーカに検査信号を供給する段階と、
    前記検査信号に対して前記スピーカから出力される第1応答信号が正常範囲にあるか否かを判別する段階と、
    前記第1応答信号が正常範囲にない場合に、可変抵抗器の抵抗値を調節することにより、前記第1応答信号が正常範囲に入るように前記検査信号の大きさを調節する段階と、
    前記第1応答信号が正常範囲にある場合の前記可変抵抗器の抵抗値を蓄積手段に格納する段階と、
    前記蓄積手段に格納された前記可変抵抗器の抵抗値を前記可変抵抗器に設定し、前記スピーカに検査信号を供給する段階と、
    前記可変抵抗器の抵抗値に対して前記スピーカから出力される第2応答信号が正常範囲にあるか否か判別する段階と、
    判別結果に基づいて前記スピーカの短絡を検知する段階と、
    記スピーカの短絡が検知された場合に、前記スピーカと前記構内放送装置とを遮断する段階と、
    を含むスピーカ故障検知方法。
  4. 音声入力を増幅してスピーカに出力する構内放送装置であって、
    音声入力を増幅し、スピーカに出力する増幅器と、
    前記構内放送装置に着脱自在である請求項1または2に記載のスピーカ故障検知装置と、
    を備える構内放送装置。
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