JP3672288B2 - ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、簡略化のために単に感光材料または感材ともいう)を処理するハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機(以下、簡略化のために自動現像機、自現機または現像機と呼ぶこともある)に関し、詳しくは迅速処理が可能で処理ムラ、特に感光材料の端部の処理ムラが改良され、また処理液の酸化劣化が改良されて安定した処理性能が得られるハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料は、例えばハロゲン化銀写真感光材料をローラ搬送機構で搬送し、現像槽、漂白定着層等の処理槽に貯溜されている十分な量のハロゲン化銀写真感光材料用処理液(以下、簡略化のために単に処理液ともいう)中に、所定時間浸漬させて処理している。このハロゲン化銀写真感光材料の処理によって、処理槽に貯溜された処理液中の有効成分を消費するため、処理液の疲労劣化が生じる。また、例えば現像液がアルカリの場合のように経時によって、空気中の炭酸ガスを吸収し中和反応で、アルカリ度が低下することや、酸素による酸化に起因する経時疲労等によって劣化する。
【0003】
このため、例えば特開平3−59655号公報に記載されるように、ハロゲン化銀写真感光材料の搬送路に塗布ローラを配置し、この塗布ローラに処理液を供給する供給ローラを設け、この供給ローラと塗布ローラの間に処理液溜りを設け、塗布ローラの回転により処理液をハロゲン化銀写真感光材料を画像形成面に塗布供給するものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
種々検討の結果、このような処理は処理ムラが発生しやすくなる。特に、塗布部に入ってくる感光材料の先端、もしくは感光材料の後端で、塗布量が多くなったり、少なくなったりして、処理ムラが発生しやすくなる。この現象は、迅速処理でより大きな問題となってくることがわかった。さらに、感光材料のサイド部は発色濃度が十分出ず、問題となることも判明した。
【0005】
さらに、前記従来技術は、処理タンクに貯留された現像液、または漂白定着液を供給しており、該処理タンクの液組成が変化しやすく、現像、漂白定着等の処理安定性が悪い。また、近年は感光材料をカットしてから搬送し処理する方式が、用いられることが多い。この場合、上記の処理ムラが大きな問題となる。また、供給ローラや搬送部が液成分によって、長時間のうちに汚れが発生し、問題となることがわかった。
【0006】
このため、例えば、気相を介して2種類の発色現像用の部分液をハロゲン化銀写真感光材料に供給する方法(以下2液現像ともいう)が特開平9−90579号、同9−90580号、同9−90581号などに記載され、この方法では確かに処理の安定性は改善されるが、処理液供給手段が2個独立して配置されており、第1部分液を供給してから第2部分液を供給するため、処理時間が長くなり、しかも2液現像で、処理安定性を改善しているが、2液の混合度合いが場所によって変化し、現像ムラが発生する問題もあることがわかった。
【0007】
また、2液現像では2液目の塗布時に1液目の成分が2液目の塗布液中に流れ出し、かえって迅速性が損なわれることが新たに判ってきた。また、2液目が塗布されるまで反応が始まらないので、時間ロスにもなる。これを防ぐため、1液目と2液目の塗布間隔を短くすると、現像ムラが激しく発生する問題も新たに判った。また、2度塗布することで、自動現像機の部材の汚れも激しくなる問題も新たに判った。
【0008】
この発明は、このような実状を考慮してなされたもので、まず第1には感光材料の端部の現像ムラや2液の混合度合いの変動等による処理ムラが防止され、第2には迅速性が改良され、第3には液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がない。第4には処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減でき、第5には自動現像機のコンパクト化が達成されるハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するため、この発明は、以下のように構成した。
【0010】
請求項1記載の発明は、『少なくとも2つ以上の部分液を混合したハロゲン化銀写真感光材料用処理液を塗布する塗布部を有するハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機において、
前記塗布部は、前記処理液を混合後に前記ハロゲン化銀写真感光材料に供給する手段と、前記ハロゲン化銀写真感光材料を通過させる間隙とを有し、
前記供給する手段は、少なくとも2つ以上の部分液を各々供給する吐出口を有し、その吐出口から前記部分液が前記ハロゲン化銀写真感光材料に供給される間で混合され、
前記間隙の距離は、前記ハロゲン化銀写真感光材料の厚みの1.05倍から20倍の範囲であって、前記間隙に前記ハロゲン化銀写真感光材料用処理液を充満させることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0011】
この請求項1記載の発明によれば、少なくとも2つ以上の部分液を各々供給する吐出口から部分液がハロゲン化銀写真感光材料に供給される間で混合され、簡単な構造で混合でき、しかもハロゲン化銀写真感光材料の画像形成面に処理液を均一に塗布供給することができる。
また、ハロゲン化銀写真感光材料を通過させる間隙の距離がハロゲン化銀写真感光材料の厚みの1.05倍から20倍の範囲であって、間隙にハロゲン化銀写真感光材料用処理液を充満させてあり、十分な処理液の塗布が可能で、かつ感光材料の端部の現像ムラが防止され、また迅速性が改良され、さらに液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、『前記塗布部の感光材料進行方向の距離が、ハロゲン化銀写真感光材料の厚みの2倍から500倍の範囲であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0013】
この請求項2記載の発明によれば、塗布部の感光材料進行方向の距離が、ハロゲン化銀写真感光材料の厚みの2倍から500倍の範囲であり、十分な処理液の塗布が可能で、かつ感光材料の端部の現像ムラが防止され、また迅速性が改良され、さらに液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減できる。
【0016】
請求項3記載の発明は、『前記部分液が混合される混合部が実質的に塗布の直前に存在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0017】
この請求項3記載の発明によれば、部分液をハロゲン銀写真感光材料に供給される前に混合することで、液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、また2液の混合度合いの変動等による処理ムラが防止される。
【0018】
請求項4記載の発明は、『前記ハロゲン化銀写真感光材料を直接加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0019】
この請求項4記載の発明によれば、ハロゲン化銀写真感光材料を直接に加熱することで効率的に加熱することができ、この加熱されたハロゲン化銀写真感光材料に処理液を供給することで迅速処理が可能である。
【0020】
請求項5記載の発明は、『前記加熱手段が45℃以上に加熱することを特徴とする請求項4記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0021】
この請求項5記載の発明によれば、ハロゲン化銀写真感光材料を45℃以上に加熱することで、より迅速処理が可能である。
【0022】
請求項6記載の発明は、『前記塗布部における処理液供給量を、前記ハロゲン化銀写真感光材料1m2当たり10ml〜160mlに制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0023】
この請求項6記載の発明によれば、処理液供給量が設定より小さいと供給不足であり、設定より大きいと無駄になるが、処理液供給量を1m2当たり10ml〜160mに設定することで、適量の処理液を塗布供給することができ、かつ自動現像機のコンパクト化が可能である。
【0024】
請求項7記載の発明は、『前記ハロゲン化銀写真感光材料を、前記塗布部で処理する前に、カットするカッティング工程を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0025】
この請求項7記載の発明によれば、ハロゲン化銀写真感光材料を塗布する工程で処理する前にカットすることで、迅速性処理が可能でかつ環境適性も向上する。
【0026】
請求項8記載の発明は、『前記処理液を混合後に前記ハロゲン化銀写真感光材料に供給する手段が、攪拌ローラで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0027】
この請求項8記載の発明によれば、簡単な構成で2溶液を混合してハロゲン銀写真感光材料に供給され、処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減できる。
【0030】
請求項9記載の発明は、『前記塗布部と前記ハロゲン化銀写真感光材料の表面とで形成される間隙で少なくとも2つの部分液が混合され、実質的に同時に塗布されることを特徴とする請求項1乃至請求項 8 のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。』である。
【0031】
この請求項9記載の発明によれば、塗布部とハロゲン化銀写真感光材料の表面とで形成される間隙で少なくとも2つの部分液が混合され、実質的に同時に塗布することで、液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、また2液の混合度合いの変動等による処理ムラが防止される。
【0032】
以下、この発明の構成について詳述する。
【0033】
[ハロゲン化銀写真感光材料]
この発明のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機で処理されるハロゲン化銀写真感光材料の例として、塩化銀乳剤を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料や、ハロゲン化銀モノクロ写真感光材料や、沃臭化銀または臭化銀乳剤を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料や、ハロゲン化銀モノクロ写真感光材料などが挙げられる。
【0034】
そして、この発明のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機により処理されるハロゲン化銀写真感光材料としては、ハロゲン化銀組成の90モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤を含有する乳剤層を少なくとも1層有することが好ましい。さらに、好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは98〜100モル%が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤であることがこの発明効果の観点から好ましい。
【0035】
[部分液]
この発明の部分液とは、感光材料に塗布される処理液を構成する液成分のことを指す。すなわち部分液を混合することで感光材料に塗布する処理液ができあがるものである。
【0036】
部分液は、容器等の収納部に部分液がストックされる。空気酸化や蒸発が進行しないために、密閉された容器が好ましいが、半密閉されていてもよい。具体的な形状は密閉されたカートリッジや、半密閉されたタンクである。ここよりポンプによって所定量の溶液が送り出され、溶液の混合部を経て供結手段部に至るようになっている。
【0037】
[部分液の混合手段]
この発明の部分液の混合手段は、前記部分液を、感光材料に供給される前に混合する手段である。均―な処理液になるように、混合後の液流路を5mm以上取ったり、撹拌ローラを設置したり、振動を与えることが好ましい。
【0038】
具体的には、少なくとも二つの液流路の連結部で一定時間作動する混合機構を設けることが好ましい。混合部は単に液流路の連結と一定時間の混合で構成されることもできる。あるいは少なくとも2つの部分液がそれぞれの液流路から、ペーパーに処理液が塗布される液たまりに導入されることで混合される混合手段も好ましい。別なる混合手段は、―対のローラで構成されることも好ましい。すなわち一対のローラの間に混合すべき溶液を供給して混合するものである。さらに別なる混合手段は、液供給パイプに形成された少なくとも2つ以上の処理液を各々供給する塗布吐出口を有し、その塗布吐出口と感光材料との間で構成されるものである。具体的には、供給出口から流れ出る部分液は、液供給パイプの壁面を伝って流れ出すが、この流れ出す流路で混合される。
【0039】
この発明において混合手段は部分液を感光材料に供給する前に、設置される。好ましくは直前、さらに好ましくは5秒以内である。
【0040】
[供給手段]
この発明において、供給手段は、混合された少なくとも2溶液からなる処理液をハロゲン化銀写真感光材料に供給し、例えば吐出ノズル、液だまりやローラにより構成される。具体的には混合された処理液が、吐出ノズル、液だまりやローラに導入される液流路と、均一な液層をロ―ラ上や液だまりとして生成するための液吐出口と、感光材料に供給する吐出ノズルや液だまりやローラにより構成される。したがってこの発明で言う「塗布により処理液を供給する」とはロ−ラと感光材料を接触させるか、吐出ノズルで液を感光材料に吹き付けるか、吐出ノズルで液を感光材料に流し込むか、液だまりを潜らせること等で供給することを指す。
【0041】
塗布部の間隙距離とは、感光材料に処理液が塗布される塗布部に感光材料が搬迭されたときに、液供給パイプ等と対向ローラや対向面との間隙の厚みのことである。間隙距離は感光材料の1.05倍から20倍の範囲であって、より好ましくは1.2倍から15倍の範囲であり、特に好ましくは1.3倍から10倍の範囲である。塗布部の感光材料進行方向の距離とは、間隙に充満させた処理液の感光材料進行方向の長さのことである。塗布部の感光材料進行方向の距離は、感光材料の厚みの2倍から500倍の範囲が好ましく、より好ましくは10倍から100倍の範囲である。
【0042】
塗布ローラの処理液との接触角は5度〜60度であり、好ましくは10度〜55度であり、更に好ましくは20度〜40度であり、供給された適量の処理液が塗布ローラ上で均一になる点で好ましい。塗布ローラは、SUS等の金属ローラが好ましく、具体的にはステンレススチール(SUS316L,SUS316,SUS304,SUS303)、チタン(Ti)、黄銅(Bs)等が好ましい。またプラスチックローラや弾性テフロンの場合には、接触角を下げるように活性剤がコーティングされる。また、親水性素材を有する塗布ローラが好ましい。すなわち、6ナイロン、N−メトキシメチルポリアミド、ポリウレタン、ポリアセタール等をラミネートすることも好ましい。コーティングされる活性剤は疎水性のローラに配向して、親水性の基を表面に向けるものが好ましい。従って、両性の界面活性剤あるいはアルキルアミンエチレンオキサイド化合物等がコーティングされるのが好ましい。
【0043】
塗布ローラの処理液との接触角は、ローラ表面と同じ材質と形成方法で得られた平板試片を用いて「新実験化学講座18 界面とコロイド」97頁(昭和52年10月20日丸善発行)の接触角の測定法で液滴法に基づいて測定する。即ち、鏡面仕上の平滑度をもつ平板試片を図11(a)のような測定する液体の飽和蒸気で満たされた容器中に水平に置き、その上へ注射器を用いて微量の液滴をつくる。液滴の大きさは接触径が約3mm以下になるようにする(滴体積が0.1cm3以下であればよいという報告もある)。接触角は一般には測角器のついた読み取り顕微鏡(倍率20倍程度)ではかれる。図11(b)はその原理を示したものであり、液は前方からから乳白ガラスを通した光あるいは熱線吸収ガラスを通した平行光で照明する。測定精度は±1度であり、なれれば±0.5度にすることができる。液滴の左右の角度を測り、それが大きく異なる場合はその液滴による測定値は捨てる。液滴をさらに滴量を追加して、あるいは作滴後しばらく放置して測角を行い、角度に変化があるか否かを調べる。また、同一固体表面の異なる数か所で測定を行い、少なくとも10個以上の値をとり、平均値を求める。測定に使用する水は蒸留水を用いるものとする。
【0044】
塗布吐出口の形状が、塗布ローラの軸方向に形成されたスリット状であり、処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減でき、しかも簡単な構造で、ハロゲン化銀写真感光材料の画像形成面に処理液を均一に塗布供給することができる。
【0045】
また、塗布吐出口を単一とすることができ、この単一の塗布吐出口により処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減でき、しかも簡単な構造で、ハロゲン化銀写真感光材料の画像形成面に処理液を均一に塗布供給することができる。
【0046】
この塗布吐出口から塗布ローラヘの好ましい処理液供給量は、感光材料1m2当たり10ml〜160mlに設定しており、処理液供給量が設定より小さいと供給不足であり、設定より大きいと無駄になるが、総処理液供給量を1m2当たり10ml〜160mlに設定することで、適量の処理液を塗布供給することができ、かつ自動現像機のコンパクト化が可能であり、より好ましくは1m2当たり10ml〜120mlに設定し、更に好ましくは1m2当たり20ml〜60mlであり、より適量の処理液を塗布ローラ上に供給することがで好ましい。
【0047】
また、塗布吐出口の周囲と処理液の少なくとも一つの接触角を5度〜60度の範囲に制御することが好ましく、処理液との接触角が設定より小さいと、塗布が塗布膜が薄くなり過ぎ、一方設定より大きいと塗布膜が厚くなり過ぎるが、処理液との接触角を5度〜60度に制御することで、塗布膜を均一かつ適切な厚さにすることができる。
【0048】
[加熱手段]
加熱手段により加熱された感光材料の温度は、45℃以上が好ましく、さらに50℃以上、特に60℃以上が好ましい。また、感光材料の耐熱性や処理の制御容易性から、95℃以下が好ましく、さらに処理液の沸騰を防止するために、90℃以下、特に80℃以下が好ましい。
【0049】
感光材料を加熱する加熱手段としては、熱ドラムや熱べルトなどの感光材料と接触して伝導により加熱する伝導加熱手段や、ドライヤーなどの対流により加熱する対流加熱手段や、赤外線や高周波の電磁波などの放射により加熱する放射加熱手段などが挙げられる。
【0050】
そして、伝導加熱手段の揚合、処理される感光材料の乳剤面への悪影響を防止するために、加熱される熱源は処理される感光材料の乳剤を塗布していないベース面側から接触することが好ましい。
【0051】
また、この発明において、処理液が感光材料の乳剤面に供給される前に感光材料を加熱する場合、感光材料の露光時の温度による感光性の相違の影響を小さくするために、この感光材料の露光が完了した後に感光材料を加熱することが好ましい。
【0052】
また、加熱手段はハロゲン化銀写真感光材料の存在情報によって、加熱手段が加熱するように制御する加熱制御手段を有することが、不要な加熱を防止でき好ましい。これは、ハロゲン化銀写真感光材料を所定の搬送速度で搬送する搬送手段と、加熱手段の加熱部よりも搬送手段の搬送方向上流側の所定位置のハロゲン化銀写真感光材料の存在を検出する感光材料検出手段を有し、感光材料検出手段の検出に基づき、加熱制御手段を制御することにより達成できる。この場合の制御は、感光材料検出手段が前記所定位置のハロゲン化銀写真感光材料の非存在から存在を検出してから直ちに、または、所定時間経過後から感光材料検出手段が所定位置のハロゲン化銀写真感光材料の存在から非存在を検出してから直ちに、または所定時間経過後まで、加熱手段が所定の加熱をするように制御することが好ましい。
【0053】
[発色現像処理]
発色現像処理工程の時間は、感光材料が、発色現像液を最初に供給されてから次の工程の処理液(例えば漂白定着)を供給または次の工程の処理液に浸漬されるまでの時間である。この発色現像処理工程の時間は、3秒以上、特に5秒以上が、発色現像処理を充分に安定的に行う上で好ましく、また、20秒以下が好ましく、更に16秒以下が好ましく、特に12秒以下が、感光材料に供給された発色現像液が劣化したり、乾燥したりして析出物の発生が起こる等、感光材料に悪影響を及ぼしたりすることを防止でき好ましい。
【0054】
この発明においては、迅速処理の観点から、濃厚溶液で処理することが好ましい。即ち、濃度勾配を上げることで、感材の膜中への拡散を向上することができるためである。通常発色現像主薬を高濃度に溶解することは困難であった。しかし、短期間であれば溶解することが可能であることを見出しこの発明に至っている。
【0055】
さらに従来、処理液が保存されたり放置されたりすることで、液が空気酸化し、タール化したり、汚染したりする問題があったが、2つの分けた部分液を用いることで、これらも低減できる。
【0056】
この発明の発色現像液を含有する部分液は、発色現像主薬を含有し、また、保恒剤を含有するのが好ましく、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン類、システイン、スルフィン酸等が好ましい。発色現像主薬濃度は10g/lから150g/lであり、好ましくは15g/lから100g/l、より好ましくは20g/lから80g/lである。
【0057】
さらに発色現像主薬の可溶化剤として、パラトルエンスルホン酸又はそのナトリウム塩、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエタノールアミン等を含有するのが好ましい。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施の形態では、ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機の現像工程について説明するが、定着、洗浄等の処理工程についても同様に適用される。
【0059】
[実施例1]
図1は自動現像機の処理工程の概略構成図、図2及び図3は塗布供給部の拡大概略構成図である。この自動現像機には、現像処理工程CD、漂白定着処理工程BF、安定処理工程ST及び乾燥工程DRが備えられている。この現像処理工程CDには、複数の搬送ローラ2によりハロゲン化銀写真感光材料Pを搬送する搬送路3が形成され、この搬送路3は水平方向に備えられている。ハロゲン化銀写真感光材料Pは、現像処理工程CDに搬入される前にカットされたシート状であり、画像形成面P1を上側にして搬送される。ハロゲン化銀写真感光材料Pを搬送する搬送路3にはプレヒート部10、塗布供給部20及びスクイズ部30が感光材料搬送方向順に配置されている。
【0060】
プレヒート部10には、搬送路3の上側に搬送ローラ2が配置され、この搬送ローラ2に対向して搬送路3の下側にヒートローラ11が配置されている。ヒートローラ11には、ヒーター12が内蔵され、このヒートローラ11は、ハロゲン化銀写真感光材料Pに処理を行うための熱を与える加熱手段を構成している。ハロゲン化銀写真感光材料Pは、ヒートローラ11により45℃〜95℃に加熱され、好ましくは50℃〜90℃に、特に好ましくは60℃〜80℃に加熱することでよりこの発明の効果が良好となった。
【0061】
塗布供給部20には、ハロゲン化銀写真感光材料Pの画像形成画P1に処理液を塗布する塗布液供給パイプ22があり、液供給パイプ22内は、二つの部屋90aと90bに分割されている。それぞれの2つの部屋90a,90bにa液、b液が供給されて満たされ、塗布吐出口23a,23bから液が吐出され、液供給パイプ22の壁面を流れる間にa液、b液が混合される。
【0062】
処理液供給手段22a,22bはそれぞれベローズポンプやチューブポンプ等のポンプPを介して処理液タンク25a,25bから処理液a,bを供給する。
【0063】
また、混合手段を構成する塗布吐出口23a,23bから感光材料P1への処理液供給量を1m2当たり10ml〜160mlに設定され、塗布吐出口23からの処理液供給量が設定より小さいと供給不足であり、設定より大きいと無駄になるが、総処理液供給量を1m2当たり10ml〜160mlに設定することで、適量の処理液を供給することができる。
【0064】
塗布部の間隙距離Dは感光材料の厚みの1.05倍から20倍の範囲に設定され、間隙距離Dは設定値より小さいと塗布量が減少して、現像ムラが発生し、設定値より大きいと、処理液が場所によって偏りやすくなり、現像ムラが発生しやすい。処理液塗布部の感光材料進行方向の距離Wは、感光材料の厚みの2倍から500倍の範囲に設定され、設定値より少ないと、現像ムラが発生しやすく、設定値より大きいと、汚れが発生しやすい。
【0065】
塗布液供給パイプ22の処理液との接触角は5度〜60度であり、好ましくは10度〜50度であり、更に好ましくは20度〜40度であり、供給された適量の処理液が塗布液供給パイプ22上で均一になる点で好ましい。塗布液供給パイプ22は、SUS等の金属ローラが好ましく、具体的にはステンレススチール(SUS316L,SUS316,SUS304,SUS303)、チタン(Ti)、黄銅(Bs)等が好ましい。またプラスチックローラや弾性テフロンの場合には、接触角を下げるように活性剤がコーティングされる。また、表面に親水性素材を有する塗布液供給パイプ22が好ましい。すなわち、6ナイロン、N−メトキシメチルポリアミド、ポリウレタン、ポリアセタール等をラミネートすることも好ましい。コーティングされる活性剤は疎水性のローラに配向して、親水性の基を表面に向けるものが好ましい。従って、両性の界面活性剤あるいはアルキルアミンエチレンオキサイド化合物等がコーティングされるのが好ましい。
【0066】
スクイズ部30には、搬送路3の上下にスクイズローラ31が対向して配置されているが、少なくともハロゲン化銀写真感光材料Pの画像形成面P1に接する上側をスクイズローラとすればよく、この場合には下側を搬送ローラで構成する。スクイズローラ31は、塗布液供給パイプ22より感光材料搬送方向後段側に配置され、ハロゲン化銀写真感光材料P上に供給された現像液をスクイズして均一にする。また、搬送路3の下側には、ヒータ13,14が配置されている。
【0067】
スクイズローラ31は通常吸水性のスポンジローラが用いられるが、この発明では、吸水性が少ないローラが好ましく、SUS等の金属ローラ、プラスチックローラ、ゴムローラ、織布ローラ、不織布ローラ、焼結体ローラが好ましい。具体的には金属ローラとしてはステンレススチール(SUS316L,SUS316,SUS304,SUS303)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、黄銅(Bs)等が好ましい。また、プラスチックローラとしては、 スクイズローラの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、四フッ化エチレン・バーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フェノール樹脂(PF)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂(ETFE)等が好ましい。ゴムローラとしては、エチレンプロピレンゴム(EPDM,EPM)、シリコンゴム(Si)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が好ましい。織布、不織布の材質はポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、脂肪族ポリアミド系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等が好ましい。また、テフロンコートをしたローラはより好ましい。
【0068】
図4はハログン化銀写真感光材料用自動現像機の塗布部の他の実施の概略図である。部分液aと部分液bが供給口23a、23bからそれぞれ搬送路に凹状に形成された混合部25に供給され、この混合部25で混合され、感光材料P1に供給される。搬送ローラ2は部分液の混合を促進するように回転する。
【0069】
図5はハログン化銀写真感光材料用自動現像機の塗布部の他の実施の概略図である。
【0070】
塗布供給部20には、ハロゲン化銀写真感光材料Pの画像形成面P1に処理液を塗布する塗布ローラ21と、この塗布ローラ21に処理液を供給する処理液供給手段22a,22bとを備えており、塗布ローラ21はハロゲン化銀写真感光材料Pとほぼ同じ速度で搬送方向へ回転する。塗布ローラ21の処理液との接触角を5度〜50度に設定しており、塗布ローラ21上に供給された処理液が均一になり、ハロゲン化銀写真感光材料Pの画像形成面P1に処理液を均一に塗布でき、処理ムラがなく高品質の処理が可能である。塗布ローラ21の処理液との接触角が設定より小さいと、塗布が塗布膜が薄くなり過ぎ、一方設定より大きいと塗布膜が厚くなり過ぎるが、塗布ローラの処理液との接触角を5度〜60度に設定することで塗布膜を均一かつ適切な厚さにすることができる。
【0071】
処理液供給手段22a,22bは塗布吐出口23a,23bを有し、塗布吐出口23a,23bと塗布ローラ21との距離が0.2mm〜10mmであり、塗布吐出口23によって一定量の処理液を塗布ローラに液乱れなく供給でき、距離が設定より小さいと塗布ローラ上の処理液が供給圧力により乱れ、距離が設定より大きいと処理液の供給が不安定になり塗布ローラに液乱れが生じる。
【0072】
図6はハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機の塗布部の参考例の概略図である。部分液aと部分液bに加えて、部分液cが大容量の混合部25で混合され、供給口23より感材P1に供給される。感光材料P1は搬送ローラ2によって搬送される。
【0073】
図7及び図8は液供給部の拡大概略図である。
【0074】
この図7の実施の形態では、図1及び図2の実施の形態を同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。液供給部20に備えられる液供給パイプ22は固定され、液供給パイプ22内は、2つの部屋90a,90bに分割されている。それぞれの2つの部屋90a,90bにa液、b液が供給されて満たされ、塗布吐出口23a,23bから液が吐出され、液供給パイプ22の壁面を流れる間にa液、b液が混合される。
【0075】
処理液が発色現像主薬を含有する部分液及びアルカリ剤を含有する部分液の少なくとも2溶液からなり、液供給部20より発色現像主薬を含有する部分液が塗布パイプ22内の部屋90aに供給され、同様にしてアルカリ剤を含有する部分液が塗布パイプ22内の部屋90bに供給され、これらの発色現像主薬を含有する部分液とアルカリ剤を含有する部分液とが塗布パイプ22の壁面上で予め混合され、この混合液をハロゲン化銀写真感光材料Pの画像形成面P1上に供給するから処理時間の短縮が可能である。
【0076】
図8の実施の形態では、図1及び図2の実施の形態を同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。部分液aと部分液bが供給口23a、23bからそれぞれ搬送路に凹状に形成された混合部25に供給され、この混合部25で混合され、感材P1に供給される。搬送ローラ2は部分液の混合を促進するように回転する。
【0077】
図9はハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機のさらに他の実施の形態の概略構成図である。この実施の形態では、ハロゲン化銀写真感光材料を塗布する工程で処理する前にカットするカッティング工程Aを備えており、迅速性処理が可能でかつ環境適性も向上する。
【0078】
ロール状のハロゲン化銀写真感光材料を収納した元巻きマガジン600がセットされており、この感光材料を送出しローラ601により送出す。このハロゲン化銀写真感光材料は、カッティング工程Aに備えられるカッター602等の切断手段により切断してシート状のハロゲン化銀写真感光材料にする。
【0079】
露光工程Bには、光源610、レンズ光学系611が備えられ、ネガフィルムNの画像をシート状のハロゲン化銀写真感光材料Pに露光し、搬送手段612により塗布する工程へ搬送する。
【0080】
[実施例2]
実施例1において、塗布部の間隙距離比(塗布部間隙距離/感材の厚み)を表1のように変化させ実験を行った。その条件及び実験結果を以下に示す。
(処理液処方 1リットルあたり)
<発色現像主薬含有部分液>
水 700ml
亜硫酸ナトリウム 0.4g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 3.0g
p−トルエンスルホン酸 30.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミ
ド)エチル)アニリン硫酸塩(CD−3) 40.0g
水を加えて1lとする。
【0081】
水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いてpH2.0に調整する。
<アルカリ含有部分液>
水 600ml
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 3.0g
炭酸カリウム 80.0g
p−トルエンスルホン酸 20.0g
水を加えて1lとする。
【0082】
水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いてpH13.0に調整する。
【0083】
漂白定着処理、及び安定化処理工程は、コニカ(株)製のCPK−2−J1プロセス用処理剤を用いて処理を行った。
【0084】
処理工程は以下の通りである。
【0085】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、コニカ製カラーペーパーQA−A6を用い、ペーパー厚み0.25mm、ペーパー幅300mm、ペーパー長さ420mmのものを用いた。前記カラーペーパーはヒートローラにより加熱され、塗布ノズルはSUS316Lを用いた。
【0086】
前記カラーペーパーを1m2処理した後に液供給部の下部ローラ部を観察し、以下の基準で評価した。
【0087】
○:問題となる汚れはない。
【0088】
△:若干の汚れがある。
【0089】
×:明らかに汚れがあり、ペーパーに汚れが付着する。
【0090】
液供給部は、千鳥の多孔のものを用いた。液供給部は円筒形になっており、外径20mmであり、孔径は0.1mmで孔のピッチは0.2mmで1列に1440個の孔が開いている。液供給は1m2当りそれぞれ60mlに設定した。距離は液供給部を回転させ角度をつけることと、液供給部の高さを変え、ペーパーと液供給部の下端との隙間を変えることで行った。液供給部を回転させる方向は、搬送方向後段側である。
【0091】
現像ムラは以下の基準で評価した。
【0092】
◎:全く現像ムラがない。
【0093】
○:端部でわずかな現像ムラがある。
【0094】
△:端部で明らかな現像ムラがある。
【0095】
×:全体的にムラがある。
表1
【0096】
【0097】
表1より、塗布部の間隙距離を感材の厚みの1.05倍〜20倍の範囲に設定することで良好な現像ムラ防止効果を表すことがわかる。
【0098】
[実施例3]
実施例1の図4の装置で、塗布部の感光材料進行方向の距離比(塗布部の感光材料進行方の距離/感材の厚み)を下記表2のように変化させ、実験を行った。処理液の組成は実施例2のものを使用した。また、塗布部の間隙距離は感光材料厚みの1.2倍とした。実施例1と同様の評価を行った。また現像後液だまり周辺のテーブルの汚れを観察し、実施例1と同様の評価をした。
表2
【0099】
【0100】
表2より、塗布部の感材進行方向の距離を感光材料の厚みの2倍〜500倍の範囲にすることでよりよい現像ムラ防止効果を奏し、下部ローラの汚れの発生もないことがわかる。
【0101】
[実施例4]
この実施の形態では、図9に示すようにハロゲン化銀写真感光材料Pを処理する前にカットするカッティング工程Aを有しており、ハロゲン化銀写真感光材料Pをロール状に巻いた元巻きマガジン600がセットされ、マガジン600からハロゲン化銀写真感光材料Pが引き出されてカッター602によりカットされる。カットされたシート状のハロゲン化銀写真感光材料Pは、露光工程Bに送られる。露光工程Bでは、搬送手段612上にセットされたシート状のハロゲン化銀写真感光材料PにネガフィルムNの画像を露光する。
【0102】
露光されたハロゲン化銀写真感光材料Pは、現像工程CDに送られ、この現像工程CDには、ハロゲン化銀写真感光材料Pを搬送する搬送路3が形成され、この搬送路3は水平方向に備えられている。ハロゲン化銀写真感光材料Pは、現像工程CDに搬入される前にカットされたシート状であり、画像形成面を上側にして搬送され、現像工程CDでハロゲン化銀写真感光材料Pの現像処理を行ない、次工程Cに送られる。
【0103】
この図9の装置を用い、実施例5の条件で予めカットされた感光材料127mm×89mmのサイズのものを5m2処理した。ただし距離Wは感光材料の厚みの5.0倍とした。実施例1と同様の評価を行い、現像ムラ、テーブルの汚れとともに良好な結果を得た。
【0104】
[実施例5]
図10は少なくとも2つの部分液をハロゲン化銀写真感光材料に供給する手段と、供給すると同時に、混合する装置の概念図である。液供給パイプに2本のスリットが設けられていて、その―端が部分液の収納手段に接続されている。液供給ポンプによって処理液供給口23より感光材料に供給される。スリット幅は0.05mm〜0.5mmが好ましい。また25a、25bには、発色現像主薬含有部分液やアルカリ含有部分液等が収納されている。感光材料P1は一定速度で搬送されるため、画像形成面に供給きれると同時に、画像形成面で混合される。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、少なくとも2つ以上の部分液を各々供給する吐出口から部分液がハロゲン化銀写真感光材料に供給される間で混合され、簡単な構造で混合でき、しかもハロゲン化銀写真感光材料の画像形成面に処理液を均一に塗布供給することができる。
また、ハロゲン化銀写真感光材料を通過させる間隙の距離がハロゲン化銀写真感光材料の厚みの1.05倍から20倍の範囲であって、間隙にハロゲン化銀写真感光材料用処理液を充満させてあり、十分な処理液の塗布が可能で、かつ感光材料の端部の現像ムラが防止され、また迅速性が改良され、さらに液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減できる。
【0106】
請求項2記載の発明では、塗布部の感光材料進行方向の距離が、ハロゲン化銀写真感光材料の厚みの2倍から500倍の範囲であり、十分な処理液の塗布が可能で、かつ感光材料の端部の現像ムラが防止され、また迅速性が改良され、さらに液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減できる。
【0108】
請求項3記載の発明では、部分液をハロゲン銀写真感光材料に供給される前に混合することで、液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、また2液の混合度合いの変動等による処理ムラが防止される。
【0109】
請求項4記載の発明では、ハロゲン化銀写真感光材料を直接に加熱することで効率的に加熱することができ、この加熱されたハロゲン化銀写真感光材料に処理液を供給することで迅速処理が可能である。
【0110】
請求項5記載の発明では、ハロゲン化銀写真感光材料を45℃以上に加熱することで、より迅速処理が可能である。
【0111】
請求項6記載の発明では、処理液供給量が設定より小さいと供給不足であり、設定より大きいと無駄になるが、処理液供給量を1m2当たり10ml〜160mlに設定することで、適量の処理液を塗布供給することができ、かつ自動現像機のコンパクト化が可能である。
【0112】
請求項7記載の発明では、ハロゲン化銀写真感光材料を塗布する工程で処理する前にカットすることで、迅速性処理が可能でかつ環境適性も向上する。
【0113】
請求項8記載の発明では、簡単な構成で2溶液を混合してハロゲン銀写真感光材料に供給され、処理液のたれ等による自動現像機部材の汚れが低減できる。
【0115】
請求項9記載の発明では、塗布部とハロゲン化銀写真感光材料の表面とで形成される間隙で少なくとも2つの部分液が混合され、実質的に同時に塗布することで、液保存安定性が改良され、具体的には液の析出がなく、液の酸化劣化がなく、また2液の混合度合いの変動等による処理ムラが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機の処理工程の概略構成図である。
【図2】 液供給部の拡大概略構成図である。
【図3】 液供給部の拡大概略構成図である。
【図4】 液供給部の拡大概略構成図である。
【図5】 液供給部の拡大概略構成図である。
【図6】 液供給部の参考例の拡大概略構成図である。
【図7】 液供給部の拡大概略構成図である。
【図8】 液供給部の拡大概略構成図である。
【図9】 ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機のさらに他の実施の形態の概略構成図である。
【図10】 塗布供給部の拡大概略構成図である。
【図11】 接触角の測定法を説明する図である。
Claims (9)
- 少なくとも2つ以上の部分液を混合したハロゲン化銀写真感光材料用処理液を塗布する塗布部を有するハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機において、
前記塗布部は、前記処理液を混合後に前記ハロゲン化銀写真感光材料に供給する手段と、前記ハロゲン化銀写真感光材料を通過させる間隙とを有し、
前記供給する手段は、少なくとも2つ以上の部分液を各々供給する吐出口を有し、その吐出口から前記部分液が前記ハロゲン化銀写真感光材料に供給される間で混合され、
前記間隙の距離は、前記ハロゲン化銀写真感光材料の厚みの1.05倍から20倍の範囲であって、前記間隙に前記ハロゲン化銀写真感光材料用処理液を充満させることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。 - 前記塗布部の感光材料進行方向の距離が、ハロゲン化銀写真感光材料の厚みの2倍から500倍の範囲であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
- 前記部分液が混合される混合部が実質的に塗布の直前に存在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
- 前記ハロゲン化銀写真感光材料を直接加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
- 前記加熱手段が45℃以上に加熱することを特徴とする請求項4記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
- 前記塗布部における処理液供給量を、前記ハロゲン化銀写真感光材料1m2当たり10ml〜160mlに制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
- 前記ハロゲン化銀写真感光材料を、前記塗布部で処理する前に、カットするカッティング工程を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
- 前記処理液を混合後に前記ハロゲン化銀写真感光材料に供給する手段が、攪拌ローラで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
- 前記塗布部と前記ハロゲン化銀写真感光材料の表面とで形成される間隙で少なくとも2つの部分液が混合され、実質的に同時に塗布されることを特徴とする請求項1乃至請求項 8 のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
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