JP3671986B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はプリント配線板の製造方法に係わり、特には、表層に半田層を有したプリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来プリント配線板に対しては、QFPなどの表面実装部品や半導体素子そのものを半田付けする目的で、導体回路の一部に半田層を形成する処理が行われている。プリント配線板に対して半田層を形成する代表的な方法として、以下のものがあげられる。
【0003】
(1)半田コート法:加熱して溶融状態に保持された半田浴槽の中にプリント配線板を浸漬し、ホット・エア・レベーラー処理を施しながらプリント配線板を取り出すことによって、プリント配線板の所望の部分に半田層を形成するものである。従って、形成される半田の組成は均一であるものの、半田層の厚みは比較的厚いものであって、そのバラツキも大きいものである。また、微細な導体回路に対してこの方法を適用した場合、いったん付着した半田がホット・エア・レベーラー処理によって脱落してしまうものである。
【0004】
(2)半田印刷法: プリント配線板の半田層を形成すべき部分に開口を有したスクリーン印刷版を用いて、半田微粒子およびフラックスなどの結合材を混合して製造された半田ペーストを印刷・塗布して形成し、必要に応じて半田溶融温度以上の温度において熱処理をしてリフローするものである。従って、半田コート法と同様に形成される半田の組成は均一であるものの、微細な導体回路に対してこの方法を適用した場合、半田層の厚みは比較的厚いものであって、そのバラツキも大きいものである。そして極端な場合には、隣接する導体回路と連結してしまうものである。
【0005】
(3)半田めっき法:プリント配線板の表面の半田層非形成部分にめっきレジスト被膜を形成し、無電解あるいは電解めっき法によって錫/鉛合金めっきを施すものである。従って、極端に厚い半田層を形成することはできないが、微細な導体回路に対して、比較的均一な厚みで半田層を形成することができる。しかしながら、合金めっきであることから浴温度や電流密度によって錫/鉛合金の組成比が容易に変化し、組成を制御することが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の方法においてはプリント配線板に対して、均一な厚みで、且つ、均一な錫/鉛合金の組成比の半田被膜を形成することはきわめて困難であった。本発明はこの問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、プリント配線板に対して、均一な厚みで、且つ、均一な錫/鉛合金の組成比の半田被膜を形成することができて、半導体素子や各種パッケージを半田付けによって搭載接続するに適したプリント配線板を簡単に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1に記載の発明は、
表層の導体回路に半田層を設けたプリント配線板を製造するに当たり、
(1)圧延して形成された半田箔と硝子クロスおよび熱硬化性樹脂から成るプリプレグとを積層して一体化して、半田張積層板を形成する工程、
(2)前記半田張積層板の前記半田箔表面にエッチングレジストを形成した後に、該半田箔をエッチング除去して所望の半田パターンを形成し超音波洗浄する工程、
(3)前記半田パターンをブラシ研磨あるいは超音波洗浄する工程、
(4)別途形成された表層に導体回路を有するプリント配線板と前記所望の半田パターンを形成した半田張積層板をプリント配線板の導体回路および半田張積層板の半田パターン側をそれぞれ内側にして位置合わせして積層し、前記半田箔の溶融温度以上にて加熱処理することによって転写する工程、
を含んでなることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記半田張積層板が、離型シートの両側に前記プリプレグを介して前記半田箔を積層して一体化し、次いで、両面同時に半田パターンを形成した後に、前記離型シート界面にて離型分離したものであることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
上記のような本発明の製造方法を実施することによって以下のような作用を奏するのである。
先ず、請求項1に記載の発明においては、プリント配線板の個々のパッドに対して供給される半田量が、均一な厚みおよび均一なSn/Pb組成の半田箔をフォト・エッチング法によって形成されると共に、さらにブラシ研磨あるいは超音波洗浄することによってエッチング法によって形成された半田パターンの周囲に残存するPb過剰層が効率よく除去されるので、各々の半田パターンをプリント配線板に対して転写して付与した際にも、プリント配線板に形成される半田バンプなどの半田被膜の厚みおよびSn/Pb組成および量は、従来の印刷法などに比較して極めて均一なものとすることができるのである。
また、各々の半田パターンをプリント配線板に対して転写して付与した際に、パターンのキャリアとして用いた基材を積層固定したままで転写されるために、その形状は平坦なものとなる。従って、後に半導体素子や電子部品等を実装固定する場合に、半導体素子や電子部品等の安定性が極めて良好である。
【0009】
さらに、請求項2に記載の発明においては、請求項1の発明を実施するのに必要となる片面半田張積層板を効率よく製造することができる。
【0010】
また、本発明の如く片面半田張積層板を用いるのではなく、キャリアとなるプリプレグの両側に半田箔を積層して一体化し、所望の半田パターンを形成することによって得られる所謂両面半田張積層板を用いて、一度に複数枚のプリント配線板に対して半田パターンを転写することもできる。この場合、請求項2の発明において用いたような離型材も必要なく、また、離型して片面半田張積層板とする工程も不必要となるものである。
【0011】
そしてこの方法を採用する場合においては、基材(プリプレグを硬化してなるキャリア)の両側に形成される半田パターンの相互の位置精度を考慮する必要がある。加えて、半田が転写されるべきプリント配線板上のパッドとも位置合わせする必要があることから、おのおの(積層位置合わせした際に中央に位置する両面半田張積層板とその両側に位置するプリント配線板)に位置決め用のピン穴を設けてピン固定する方法が好ましい。そして基材がFR−4等のある程度光透過性を有する材料である場合においては、基材を通してプリント配線板との位置合わせを確認することができるので都合がよい。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を更に具体化した実施例を図1〜図3に従って説明する。
(1)一般には銅張積層板を得るための層間絶縁材料として知られているガラスクロスとエポキシ樹脂との複合材料から成る厚さ0.1mmのプリプレグ(松下電工(株)製:商品名R−1661)1と、厚さ35μmの圧延半田箔(福田金属箔工業製、Sn/Pb=63/37)2とを、アルミニウム製の厚さ40μmの離型材(サンアルミニウム工業(株)製:商品名セパニューム)3を介して上記プリプレグ1を内側にして組合せ、次に、1組の厚さ1mmのステンレス製(JIS規格:SUS630 オーステナイト系ステンレス鋼)の鏡面板4によって挟持して積層する(図1−イ)。この離型材3はアルミベースフィルムの表面にエポキシ樹脂が塗布され、さらにシリカ等のマット剤が添加されて適切な粗化処理が施され、離型材3とプリプレグ1との密着強度が所望の値となるよう制御されたものである。
【0013】
(2)次いで、上記の積層体をステンレス製の鏡面板4によって挟持した状態で加熱プレス装置にセットし、加熱加圧することによってプリプレグ1中の樹脂を溶融・硬化して積層体を一体化し半田張積層板5を得た(図1−ロ)。また、積層体の数より1枚多く鏡面板4を用いて(最外層および各積層体間にこの鏡面板4間を配した状態で)一度に加熱プレスして一体化しこの半田張積層板5を同時に複数形成すると生産効率が良い。
【0014】
ここでの加熱加圧プレス条件としては、最初の加圧ステップとして圧力10Kgf/cm2 で20分間、2回目の加圧ステップとして圧力30Kgf/cm2 で160分間、計180分間の2段階で行った。また、加熱加圧プレス中の加熱プロファイルは、常温から175℃までの昇温を90分で行い、175℃で40分間保持し、徐冷は175℃から常温まで50分で到達するように行った。
【0015】
(3)次いで、ドライフィルム状のエッチングレジストを用いたテンティング法により半田張積層板5表層の半田箔を部分的に除去し、両面に所望の半田パターン7が形成された積層板5を得た(図1−ハ)。
このとき、アルミベースフィルムからなる離型材3の表面には、シリカ粉末等のマット剤が添加されたエポキシ樹脂が塗布されて適切に粗面化されているため、半田張積層板5は適度な密着力によって保持されており、エッチング工程のスプレーやシャワー等の外部応力によって剥離することなく、通常の両面プリント配線板と同様にエッチング処理することが出来た。
【0016】
(4)次に、所望の半田パターン7が形成された積層板5を水中に浸漬し、40kHz・300Wの条件で超音波洗浄することによって、半田パターン7の側壁に残存する主にPbからなる層(図示せず)を除去した。この主にPbからなる層は、エッチング溶液に対するSnとPbのエッチングレートの差から生じるものである。この主にPbからなる層は、半田に比較して硬度が高いことから、ブラシ研磨などの方法によっても除去することができる。
【0017】
(5)次に、離型材3から片面回路基板5a、5bをそれぞれ分離した(図2)。このとき、離型材3はアルミベースフィルムの表面にエポキシ樹脂が塗布され、さらにシリカ等のマット剤が添加されて粗化されて、離型材3とプリプレグ1との密着強度が所望の値となるよう制御されているため片面回路基板5a、5bの分離は比較的容易に行えた。
【0018】
また、前記離型材は熱プレスに用いられる鏡面板よりも熱膨張率が大きい材料であり、且つ、比較的強度のある材料であるアルミニウムを用いたため離型材側(離型材と密着している部分)の基材の硬化収縮の進行が半田箔側(半田箔と密着している部分)とほぼ同様に抑えられ、両者(片面回路基板5a、5bと離型材3)を分離した後、各片面回路基板に後工程に支障をきたすような大きな反りは発生しなかった。
【0019】
更に、本実施例の3層サンドウイッチ構造の半田張積層板5を用いることにより、従来別々に回路形成を行っていた片面回路基板5a、5bが2枚同時に回路形成でき、生産性の向上が可能となった。
【0020】
(6)次に、通常の製造方法によって形成されたプリント配線板10の導体回路形成面側と、先に分離して形成した片面回路基板5aあるいは5bの半田パターン7形成面側とを対向して位置合わせして積層し(図3−イ)、適切な荷重を付加しながら半田パータン7を構成している半田の溶融温度以上の温度にてリフローし(図3−ロ)、冷却したのちに基材8を除去することによってプリント配線板10の所望の導体回路に対して半田バンプ11を形成した(図3−ハ)。
【0021】
このように形成された半田バンプ11は、半田パータン7を構成している半田の溶融温度以上の温度にてリフローし、その状態を保持しながら冷却しているので、半田バンプ11上面が基材8によって平坦化されており、後にICチップなどを載置接続する際に極めて都合がよい。また、本発明の方法によって形成された半田バンプ11は、均一な厚みの半田箔2を写真法によってエッチング形成してあるのでその形状も均一であることから、得られる半田量も極めて均一な物となっている。このことからも、後にICチップなどを載置接続する際に極めて都合がよい。
【0022】
なお、本発明は以下のように具体化することもできる。
(1)上記実施例では離型材3をアルミニウムを基材としたが、代わりに、ステンレス製の鏡面板4よりも熱膨張率の高い材料を用いることができる。例えば、鉛(熱膨張率:29×10-6/℃)等の金属、ガラス・エポキシ樹脂の両面にステンレス箔を張りつけた物、ガラス・エポキシ樹脂の両面にテフロン等のフッ素樹脂からなる離型フィルムを張りつけた物。なお、離型材3にガラス・エポキシ樹脂を使用する場合には、剛性を得るために多少厚く(0.5mm以上が好ましい)する必要がある。ガラス・エポキシ樹脂の熱膨張率は20×10-6/℃〜30×10-6/℃で、フッ素樹脂の熱膨張率は30×10-6/℃〜55×10-6/℃であるので、これれらを勘案して各々の厚みを決定するとよい。
【0023】
(2)鏡面板4の半田箔2と接触する面を所定の曲率を有する凸面形状とし、離型材3の両面を鏡面板4の凸面形状と一致する凹面形状として、加熱プレス時において離型材3と接触する側のプリプレグ1を円弧状に引き伸ばすようにしてもよい。このようにすれば、プリプレグ1が硬化収縮する際にその硬化収縮が抑えられた状態となり、上記実施例と同様に反りを抑えることができる。この場合、離型材3はプリプレグ1と接触する側に従来と同様の離型フィルム(テドラー等)が存在するのが好ましい。又、鏡面板4の凸面形状及び離型材3の凹面形状は、プリプレグ1のガラス繊維を曲げる方向に湾曲した形状である必要がある。
【0024】
(3)離型材3の厚さを任意に変更してもよい。なお、厚さの範囲は、離型以前に半田張積層板を切断加工するこ材料材料コストなどを勘案し、40μ〜250μであることが好ましい。製造する上で最適な範囲は40μm〜100μmである。
【0025】
(4)鏡面板4の材質を他の種類、例えばJIS規格:630〜635、650〜653等のステンレスとしてもよい。
(5)加熱プレスの条件を任意に変更してもよい。プレス圧力を変更する場合、最初のプレス(予備プレス)の圧力は0〜20kgf/cm2 が好ましく、2回目のプレスの圧力は20〜50kgf/cm2 が好ましい。
【0026】
上記実施例から把握できる請求項に記載した以外の技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
【0027】
(1)離型材として、アルミニウムベースフィルムの表面にマット剤を含む熱硬化性樹脂を塗布することにより粗化したものを用いた。このようにすれば、基材との離型性及び多層板形成時における片面配線板と基材との密着性が良好となる。
【0028】
(2)鏡面板の半田箔と接触する面を所定の曲率を有する凸面形状とし、離型材の両面を鏡面板の凸面形状と一致する凹面形状とした。このようにしても、基板の反りを極力抑えることができる。
【0029】
(3)離型材を熱硬化性樹脂含浸基材の両面に金属箔を張りつけて、その熱膨張率を鏡面板の熱膨張率よりも大きくした片面回路基板の製造方法。このようにしても、基板の反りを抑えることができる。
【0030】
(4)離型材を熱硬化性樹脂含浸基材の両面にフッ素樹脂を張りつけて、その熱膨張率を鏡面板の熱膨張率よりも大きくした片面回路基板の製造方法。このようにしても、基板の反りを抑えることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればプリント配線板に対して、均一な量および厚みで、且つ、均一な錫/鉛合金の組成比の半田被膜を形成することができて、半導体素子や各種パッケージや電子部品を半田付けによって搭載接続するに適したプリント配線板を簡単に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半田張積層板を形成する工程を示す模式図である。
【図2】 本発明の半田張積層板を分離した状態を示す模式図である。
【図3】 本発明のバンプを形成する工程を示す模式図である。
【符号の説明】
1…プリプレグ 2…半田箔 3…離型材
4…鏡面板 5…半田張積層板 7…半田パターン
8…基材 9…ソルダーレジスト 10…配線板
11…バンプ
Claims (2)
- 表層の導体回路に半田層を設けたプリント配線板を製造するに当たり、以下の工程を含んでなることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
(1)圧延して形成された半田箔と硝子クロスおよび熱硬化性樹脂から成るプリプレグとを積層して一体化して、半田張積層板を形成する工程、
(2)前記半田張積層板の前記半田箔表面にエッチングレジストを形成した後に、該半田箔をエッチング除去して所望の半田パターンを形成する工程、
(3)前記半田パターンをブラシ研磨あるいは超音波洗浄する工程、
(4)所望の半田パターンを形成した半田張積層板をその導体回路および半田パターン側を内側にして位置合わせして積層し、前記半田箔の溶融温度以上にて加熱処理する工程。 - 前記半田張積層板は、離型シートの両側に前記プリプレグを介して前記半田箔を積層し一体化し、次いで、両面同時に半田パターンを形成した後に、前記離型シート界面にて離型分離したものであることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
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- 1995-03-28 JP JP09608095A patent/JP3671986B2/ja not_active Expired - Fee Related
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