JP3671749B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、 自動変速機の非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時におけるN−Dセレクトショックを軽減する機能に優れた変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は各種摩擦要素(油圧作動クラッチや、油圧作動ブレーキ等)の選択作動(締結)により動力伝達経路を切換えて自動変速するように構成する。
従って非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時には、この時に締結される前発進摩擦要素の締結ショック、所謂N−Dセレクトショックが発生するのを免れず、
また非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時にも、この時に締結される後発進摩擦要素の締結ショック、所謂N−Rセレクトショックが発生するのを免れず、
さらに変速段間(通常は前進変速段間のみ)での変速時も、この変速時に締結される変速摩擦要素の締結ショック、所謂変速ショックが発生するのを免れない。
【0003】
これらのショック対策としては通常、対応する摩擦要素の作動(締結)油圧に応動して当該作動油圧の上昇を過渡制御するアキュムレータが用いられるのが常套である。
ところでアキュムレータは嵩高であるため占有スペースが大きく、これらを設置すると自動変速機のコントロールバルブボディーが大型になることから、同時に発生することのないN−Rセレクトショックおよび変速ショック対策用のアキュムレータを兼用する技術が従来、例えば特開平5−346157号公報などにより提案されており、同公報における3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータがこれに相当する。
【0004】
一方で何れのアキュムレータも作動油圧の上昇を過渡制御するに当たっては、これをエンジン負荷状態に応じた時系列変化で上昇させるのがショック対策上好ましく、N−Dセレクト用のN−Dアキュムレータおよび3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータはそれぞれエンジン負荷対応のアキュムレータ背圧に抗して発進摩擦要素および変速摩擦要素の作動油圧に応動するよう構成される。
なお、3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータが後発進摩擦要素の作動油圧に応動してN−Rセレクトショックを軽減する時は、N−Rセレクトの発生頻度が少ないこともあって必ずしもエンジン負荷状態に応じた制御である必要がないことから、またコスト上の観点からも、N−Rセレクト時は3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータを3−4変速時とは逆の方向へ内蔵スプリングに抗して後発進摩擦要素の作動油圧に応動させるようにする。
【0005】
そして上記の文献には、N−Dセレクト時および3−4変速時にN−Dアキュムレータおよび3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータにそれぞれ供給すべきエンジン負荷対応のアキュムレータ背圧を作り出すためのアキュムレータコントロールバルブも、スペース上の制約およびコスト上の観点からこれら両アキュムレータに共通なものとすることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来の変速制御装置にあっては、共通なアキュムレータコントロールバルブが元圧として、前進走行レンジで発生するDレンジ圧を入力ポートに供給され、これを、エンジン負荷状態に対応した制御圧に応じ減圧してエンジン負荷対応のアキュムレータ背圧を作り出すものであったため以下の問題を生ずることを確かめた。
つまり、Dレンジ圧はN−Dセレクト操作があってから発生するものであり、当該セレクト操作から応答遅れの後に出現する。
従ってこの応答遅れの間、共通なアキュムレータコントロールバルブがアキュムレータ背圧を予定通りにエンジン負荷対応の値にし得ず、N−Dアキュムレータの設計通りの機能を妨げる。
上記Dレンジ圧の応答遅れは各種の条件によってバラツキを持ったものであることもあり、N−Dセレクトショックを確実に軽減することができない。
【0007】
これに対する対策としては、自動変速機内に常時発生しているライン圧を共通なアキュムレータコントロールバルブの元圧として入力ポートに供給することが考えられるが、この場合、当該アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジでもアキュムレータ背圧を発生し続け、当該アキュムレータ背圧が後退走行レンジで3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータを前記内蔵スプリングに抗してストロークさせた状態に保持する。
このことは、N−Rセレクト時に3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータが内蔵スプリングに抗し後発進摩擦要素の作動油圧に応動し得なくなることを意味し、N−Rセレクト時に3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータがN−Rセレクトショック軽減機能を果たし得なくなる。
【0008】
かといってN−Dアキュムレータと、3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータとにそれぞれ、専用のアキュムレータコントロールバルブを設けるのではコスト的におよびスペース的に不利となり、現実的な解決策とはなり得ない。
【0009】
そこで請求項1に記載の本発明は、上記N−Dアキュムレータおよび兼用アキュムレータのためのアキュムレータコントロールバルブは従前通り共通な1個のみとし、
その入力ポートに供給すべき元圧を、常時発生しているライン圧とすることで先ず前記アキュムレータ背圧の発生遅れに関する問題解決を実現し、
更に、かかる元圧の選択によってもN−Rセレクト時はアキュムレータコントロールバルブがアキュムレータ背圧を確実に消失させ得るようにして、当該N−Rセレクト時に兼用アキュムレータがセレクトショック軽減作用を行い得なくなることのないようにした自動変速機の変速制御装置を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的のため本発明による自動変速機の変速制御装置は、
元圧を制御圧に応じ減圧してアキュムレータ背圧を作り出すアキュムレータコントロールバルブと、
該アキュムレータ背圧に抗し、非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時に締結される前発進摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御するN−Dアキュムレータと、
前記アキュムレータ背圧に抗し、前進変速段間での変速時に締結される変速摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御すると共に、非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時に締結される後発進摩擦要素の作動油圧に応動して逆方向へストロークすることにより該作動油圧の上昇を過渡制御する兼用アキュムレータとを具えた自動変速機において、
前記アキュムレータコントロールバルブの元圧として、常時発生しているライン圧を該アキュムレータコントロールバルブの入力ポートに供給し、
該アキュムレータコントロールバルブの制御用に、前記制御圧の他に、前記後退走行レンジで発生する後退走行レンジ圧を供給して、アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジで前記アキュムレータ背圧を消失させるよう構成したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明においてアキュムレータコントロールバルブは、元圧を制御圧に応じ減圧してアキュムレータ背圧を作り出し、N−Dアキュムレータおよび兼用アキュムレータに供給する。
N−Dアキュムレータは当該アキュムレータ背圧に抗し、非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時に締結される前発進摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御することで、当該レンジ切り換え時における前発進摩擦要素の締結ショックであるN−Dセレクトショックを軽減することができる。
【0012】
他方で兼用アキュムレータは上記アキュムレータ背圧に抗し、前進変速段間での変速時に締結される変速摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御すると共に、非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時に締結される後発進摩擦要素の作動油圧に応動して逆方向へストロークすることにより該作動油圧の上昇を過渡制御する。
前者による変速摩擦要素に関した作動油圧の過渡制御により、該当変速時における変速摩擦要素の締結に伴う変速ショックを軽減することができる。
また後者による後発進摩擦要素に関した作動油圧の過渡制御により、非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時における後発進摩擦要素の締結ショックであるN−Rセレクトショックを軽減することができる。
【0013】
ところで本発明においては特に、上記アキュムレータコントロールバルブの元圧として、常時発生しているライン圧を該アキュムレータコントロールバルブの入力ポートに供給したから、
アキュムレータコントロールバルブの元圧が、N−Dセレクト操作瞬時に既に規定通りに存在することとなり、全くの応答遅れなしに出現する。
この応答遅れがあると、その間アキュムレータコントロールバルブがアキュムレータ背圧を、上記制御圧で狙った通りの値にし得ず、N−Dアキュムレータの設計通りの機能を妨げるが、本発明によればかかる問題を生ずることがなく、N−Dセレクトショックを確実に軽減することができる。
【0014】
なお上記本発明のごとく、常時発生しているライン圧をアキュムレータコントロールバルブの元圧とする場合本来なら、当該アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジでもアキュムレータ背圧を発生し続け、このアキュムレータ背圧が後退走行レンジで兼用アキュムレータを前記変速時とは逆の方向へストロークさせた状態に保持して、兼用アキュムレータによるN−Rセレクトショック軽減作用を得られなくするところながら、
本発明においては更に、アキュムレータコントロールバルブの制御用に、前記制御圧の他に、後退走行レンジで発生する後退走行レンジ圧を供給して、アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジで前記アキュムレータ背圧を消失させるよう構成したから、上記のごとくライン圧をアキュムレータコントロールバルブの元圧にすると雖も、後退走行レンジで兼用アキュムレータがストローク不能になってN−Rセレクトショック軽減作用を果たし得なくなるといった問題を回避することができる。
【0015】
なお当該問題回避に際して、N−Dアキュムレータと兼用アキュムレータとにそれぞれ、専用のアキュムレータコントロールバルブを設けることにしなかったために、コスト的およびスペース上の不利益を被らずに上記の問題回避を実現することができて大いに現実的である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明一実施の形態になる変速制御装置を具えた自動変速機を示し、図1はその動力伝達列、図2は同動力伝達列における摩擦要素の締結論理、図3は同締結論理を実現させるための変速制御油圧回路、図4および図5は本発明に係わるため後で詳述するが、同変速制御油圧回路における兼用アキュムレータおよびアキュムレータコントロールバルブの詳細を示す。
【0017】
先ず図1の動力伝達列を説明するに、この動力伝達列はエンジン出力軸1からの回転を入力軸2に伝達するトルタコンバータ3、第1遊星歯車4、第2遊星歯車組5、出力軸6および後述の各種摩擦要素により構成する。
トルクコンバータ3は、エンジン出力軸1により駆動され、オイルポンプ0/Pの駆動にも用いられるポンプインベラ3Pと、このポンプインベラにより内部作動流体を介して流体駆動され、動力を入力軸2に伝達するタービンランナ3Tと、ワンウェイクラツチ7を介して固定軸上に置かれ、タービンランナ3Tへのトルクを増大するステータ3Sとで構成し、これにロックアップクラッチ3Lを付加した通常のロックアップトルクコンバータとする。
【0018】
そしてこのトルタコンバータ3は、レリーズ室3Rから作動流体の供給を受け、アプライ室3Aより作動流体を排除される間、ロックアップクラッチ3Lを釈放されてエンジン動力をポンプインベラ3Pおよびタービンランナ3Tを介し(コンバータ状態で)入力軸2にトルク増大しつつ流体伝動し、
逆にアプライ室3Aから作動流体の供給を受け、レリーズ室3Rより作動流体を排除される間、ロックアップクラッチ3Lを締結されてエンジン動力をそのままこのロックアップクラッチ3Lを介し(ロックアップ状態で)入力軸2に伝達するものとする。
【0019】
第1遊星歯車組4はサンギヤ4S、リングギヤ4R、これらに噛合するピニオン4P、およびこれらピニオン4Pを回転自在に支持するキヤリア4Cよりなる通常の単純遊星歯車組とし、
第2遊星歯車組5もサンギヤ5S、リングギヤ5R、ピニオン5Pおよびキヤリア5Cよりなる単純遊星歯車組とする。
次に、これら遊星歯車組4,5を経由する動力伝達経路(変速段)を決定する前記の各種摩擦要素を鋭明する。
キャリア4CはハイクラッチH/Cを介して入力軸2に結合可能とし、サンギヤ4SはバンドブレーキB/Bにより適宜固定可能とする他、リバースクラッチR/Cにより入力軸2に結合可能とする。
キャリア4Cは更にエンジンブレーキ用摩擦要素としての多板式のローリバースブレーキLR/Bにより適宜固定可能にすると共に、ローワンウェイクラッチLO/Cを介して逆転(エンジンと逆方向の回転)を不能にする。
【0020】
リングギヤ4Rはキャリア5Cに一体結合して出力軸6に駆動結合し、サンギヤ5Sを入力軸2に結合する。
リングギヤ5RはオーバーランクラッチOR/Cを介してキャリア4Cに結合可能とする他、フォワードワンウェイクラツチFO/CおよびフォワードクラッチF/Cを順次介してキャリア4Cに相関させる。
フォワードワンウェイクラッチFO/CはフォワードクラッチF/Cの結合状態でリングギヤ5Rを逆転方向(エンジン回転と逆の方向)においてキャリア4Cに結合させるものとする。
【0021】
ハイクラッチH/C、リバースクラッチR/C、ローリバースブレーキLR/B、オーバーランクラツチOR/CおよびフォワードクラッチF/Cは夫々、油圧の供給により作動されて前記の結合および固定を行なうものであるが、
バンドブレーキB/Bは特に図3に示すように2速サーボアプライ室2S/A、3速サーボレリーズ室3S/Rおよび4速サーボアプライ室4S/Aを有し、2速サーボアプライ室2S/Aに2速選択圧が供給される時に締結され、この状態で3速サーボレリーズ室3S/Rにも3速選択圧が供給される時、受圧面積の大小関係によって釈放され、その後4速サーボアプライ室4S/Aにも4速選択圧が供給される時、再締結されるものとする。
【0022】
図1の動力伝達列は、変速摩擦要素B/B,H/C,F/C,OR/C,LR/B,R/Cを図2に〇印により示す組み合わせで締結作動させることにより、ワンウェイクラッチFO/C,LO/Cの適宜係合と相まって同図に示す通りに前進第1速〜第4速と、後退の変速段を得ることができる。
なお図2において△印は、エンジンブレーキが必要な時に締結作動させるべき摩擦要素を示す。
そして図2から明らかなように、非走行レンジから前進走行レンジにした時に締結される摩擦要素はフォワードクラッチF/Cであり、これが本発明における前発進摩擦要素を構成し、
非走行レンジから後退走行レンジにした時に締結される摩擦要素はリバースクラッチR/Cであり、これが本発明における後発進摩擦要素を構成する。
【0023】
図3は、上記動力伝達列を変速制御するための油圧回路に本発明の着想を適用して具体化したもので、基本的には本願出願人が開発して実用中のRE4R01A型オートマチックトランスミッションに同じ、つまり同願人が昭和62年3月に発行した同オートマチックトランスミッションの整備要領書(A261C07)に記載の変速制御油圧回路に同じものとし、
プレッシャレギュレータバルブ20と、プレッシャモデイファイアバルブ22と、モディファイアアキュームバルブ24と、パイロットバルブ26と、ロックアップコントロールバルブ28と、トルクコンバータリリーフバルブ30と、ライン圧ソレノイド32と、マニュアルバルブ34と、第1シフトバルブ36と、第2シフトバルブ38と、4−2リレーバルブ40と、4−2シーケンスバルブ42と、オーバーランクラッチコントロールバルブ44と、オーバーランクラッチレデューシングバルブ46と、ファーストレデューシングバルブ48と、シャトルシフトバルブ50と、第1シフトソレノイド52と、第2シフトソレノイド54と、オーバーランクラッチソレノイド56と、3−2タイミングバルブ58と、シャトルシフトバルブ60と、アキュムレータコントロールバルブ62と、サーボチャージャバルブ64と、ロックアップソレノイド66と、N−Dアキュムレータ68と、2−3アキュムレータ70と、1−2アキュムレータ72と、3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74とを主たる構成要素とする。
【0024】
これら主たる構成要素を前記トルクコンバータ3、フォワードクラッチF/C、ハイクラッチH/C、バンドブレーキB/B、リバースクラッチR/C、ローリバースブレーキLR/B、オーバーランクラッチOR/C、およびオイルポンプO/Pに対し図3のごとく接続して本実施の形態になる変速制御装置は構成するが、本発明に係わる部分についての詳細説明に先立って先ず、その理解を容易にするために変速作用を概略説明する。
【0025】
プレッシャレギュレータバルブ20、プレッシャモデイファイアバルブ22およびライン圧ソレノイド32は、ライン圧ソレノイド32がプレッシャモデイファイアバルブ22への制御圧PC をエンジン出力トルクに対応した値に制御することにより、オイルポンプO/Pからのオイルをエンジン出力トルクに比例して高くなるライン圧PL に調圧し、このライン圧PL を常時ライン圧回路76に出力している。
(P、Nレンジ)
運転者が走行を希望しないためマニュアルバルブ34を駐車(P)レンジ又は停車(N)レンジにしている場合、マニュアルバルブ34のDレンジ圧出力ポート34D 、IIレンジ圧出力ポート342 、Iレンジ圧出力ポート341 、後退レンジ圧出力ポート34R の全ての出力ポートがドレンポートとなり、これらポートにライン圧回路76のライン圧PL が出力されることはないので、全ての摩擦要素が非作動状態となり釈放されることとなり、自動変速機を中立状態にしておくことができる。
【0026】
(Dレンジ)
運転者が前進走行を希望してマニュアルバルブ34を前進自動変速走行(D)レンジにした状態では、以下の如くに自動変速が行なわれる。
「第1速」
マニュアルバルブ34をPレンジ又はNレンジから当該Dレンジにすると、そのポート34D に回路76のライン圧PL がDレンジ圧として出力されるようになり、このDレンジ圧は回路78によりフォワードクラッチF/Cに向かってその締結に供される。
一方、Dレンジにした停車状態ではコンピュータが、第lシフトソレノイド52および第2シフトソレノイド54を共にONにしているため、上記Dレンジ圧の出力によっても第lシフトバルブ36および第2シフトバルブ38がハイクラッチH/Cを非作動状態にし続け、バンドブレーキB/Bを2速サーボアプライ室2S/A、3速サーボレリーズ室3S/R、4速サーポアプライ室4S/Aのドレンにより非作動状態にし続ける。
従って、自動変速機は中立状態から上記フォワードクラッチF/Cの締結により第1速選択状態になり、当該変速段での動力伝達が可能である。
【0027】
ところで上記フォワードクラッチF/Cの締結を司るDレンジ圧の上昇は、これに応動するN−Dアキュムレータ68が、アキュムレータコントロールバルブ62から回路80へ出力されるエンジン出力対応のアキュムレータ背圧PACC に抗してストロークしつつ過渡制御することからDレンジ圧の上昇が緩やかなものとなり、Pレンジ又はNレンジからDレンジへのセレクト時におけるフォワードクラッチF/Cの締結ショック、つまりN−Dセレクトショックを軽減することができる。
【0028】
「第2速」
上記第1速での発進後、第2速を選択すべき運転状態になるとコンピュータは第1シフトソレノイド52をOFFに切換えて第lシフトバルブ36を状態変化させることにより、バンドブレーキB/Bの2速サーボアプライ室2S/AにDレンジ圧を供給し、当該バンドブレーキB/Bを締結作動させる。
これがため自動変速機は、フォワードクラッチF/Cの作動保持およびフォワードワンウェイクラッチFO/Cの係合と相まって第1速から第2速選択状態となる。
この時、2速サーポアプライ室2S/Aの油圧上昇は、これに応動する1−2アキュムレータ72が、アキュムレータコントロールバルブ62から回路80へ出力されるエンジン出力対応のアキュムレータ背圧PACC に抗してストロークしつつ過渡制御することから、1−2変速時におけるバンドブレーキB/Bの締結ショック、つまり1−2変速ショックを軽減することができる。
【0029】
「第3速」
その後第3速を選択すべき運転状態になると、コンピュータは第2シフトソレノイド54をもOFFして第2シフトバルブ38を状態変化させることにより、Dレンジ圧をハイクラッチH/Cに供給してこれを締結作動させると同時に、3速サーボレリーズ室3S/RにもDレンジ圧を供給してバンドブレーキB/Bを非作動にする。
従つて、自動変速機はハイクラッチH/Cの締結作動、バンドブレーキB/Bの非作動により、フォワードワンウェイクラッチFO/Cの係合と相まって第3速を選択することができ、第2速から第3速へのアップシフト変速を行うことができる。
なお、この第2速から第3速へのアップシフト変速を司るハイクラッチH/Cおよび3速サーボレリーズ室3S/Rへの圧力上昇は、2−3アキュムレータ70が回路82からのライン圧PL をアキュムレータ背圧として過渡制御するため、当該2−3変速時の変速ショックを軽減することができる。
【0030】
「第4速」
その後第4速を選択すべき運転状態になると、コンピュータは第1シフトソレノイド52をONに切換えて第1シフトバルブ36を元の状態に切換えることにより、Dレンジ圧を4速選択圧P4 として4速サーボアップライ室4S/Aに供給することでバンドブレーキB/Bを再び締結作動させ、フォワードクラッチF/C、ハイクラッチH/Cの作動保持と相まって自動変速機を第4速選択状態にすることができ、第3速から第4速へのアップシフト変速を可能にする。
ここで、上記第3速から第4速へのアップシフト変速を司る4速サーボアプライ室4S/Aへの4速選択圧P4 の上昇は、これに応動する3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74が、アキュムレータコントロールバルブ62から回路80へ出力されるエンジン出力対応のアキュムレータ背圧PACC に抗してストロークしつつ過渡制御することから、3−4変速時におけるバンドブレーキB/Bの締結ショック、つまり3−4変速ショックを軽減することができる。
【0031】
(Rレンジ)
運転者が後退走行を希望してマニュアルバルブ34をPレンジ又はNレンジから後退走行(R)レンジにすると、このマニュアルバルブ34はポート34R のみに回路76のライン圧PL を後退走行レンジ圧PR として出力する。
この後退走行レンジ圧PR はマニュアルバルブ34のポート34R から回路84を経由し、リバースクラッチR/Cに供給されてこれを締結作動すると同時に、ローリバースブレーキLR/Bにも供給されてこれを締結作動させ、これにより自動変速機を後退変速段選択状態にすることができる。
ところで、リバースクラッチR/Cに向かう後退走行レンジ圧PR は、回路86を経て3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74にも達し、これを前記の3−4変速時とは逆の方向にストロークさせつつ過渡制御下に上昇するため、P又はNレンジからRレンジへの切換時におけるリバースクラッチR/Cの締結ショック、つまりN−Rセレクトショックを軽減することができる。
【0032】
次いで、本発明に係わる3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74、および当該アキュムレータ74と、N−Dアキュムレータ68と、1−2アキュムレータ72とに共通なアキュムレータコントロールバルブ62について、図4および図5に基づき詳細に説明する。
図4に示すように3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74は、段付きピストン74aを内蔵スプリング74bにより図中左半部位置に弾支して構成し、段付きピストン74aの両端間に密閉室74cを画成すると共に、段付きピストン74aの小径端面および大径端面を夫々密閉室74d,74eに臨ませる。
【0033】
そして、密閉室74cには図3における回路80を接続してアキュムレータコントロールバルブ62からのアキュムレータ背圧PACC を供給し、密閉室74dには図3の回路86を接続してリバースクラッチR/Cに向かう後退走行レンジ圧PR を供給し、密閉室74eには4速サーボアプライ室4S/Aへ向かっている4速選択圧P4 を供給する。
【0034】
図5に示すように共通なアキュムレータコントロール弁62は、スプリング62aにより図中右半部位置に弾支された段付きスプール62bを具え、スプリング62aを作用させた段付きスプール62bの大径側端面が臨む室62cに、図3のライン圧ソレノイド32からのエンジン出力トルク対応の制御圧PC を供給し、スプリング62aから遠い段付きスプール62bの小径側端面が臨む室62dに、回路88を介し図3の回路84を接続して後退走行レンジ圧PR を供給する。
アキュムレータコントロール弁62は、段付きスプール62bがスプリング62aおよび制御圧PC により図中右半部位置に弾支されている間、出力ポート62eを入力ポート62fに通じて出力ポート62eからのアキュムレータ背圧PACC を上昇させ、かように上昇されたアキュムレータ背圧PACC が段付きスプール62bの両端間受圧面積差に作用して当該スプール62bを押し戻す。
段付きスプール62bが図中左半部に示す調圧位置を超えて押し戻されるようなアキュムレータ背圧PACC になると、アキュムレータコントロール弁62は出力ポート62eをドレンポート62gに通じてアキュムレータ背圧PACC を低下させ、段付きスプール62bが図中左半部に示す調圧位置に戻った時に調圧を終了する。
かくしてアキュムレータ背圧PACC は制御圧PC に応じた値に調圧されるが、この制御圧PC がエンジン出力トルク対応の値であることから、アキュムレータ背圧PACC もエンジン出力トルク対応のものとなる。
【0035】
なお上記アキュムレータコントロール弁62によるアキュムレータ背圧PACC の調圧作用は、回路88から室62dに後退走行レンジ圧PR が供給されない場合に、つまりRレンジ以外で行われ得るもので、
後退走行レンジ圧PR が発生するRレンジでは当該圧力が、スプリング62gのバネ力および制御圧PC に関係なく段付きスプール62bを図5において左半部に示す調圧位置以上に上昇させ、アキュムレータ背圧PACC を消失させるものとする。
そして本実施の形態においては、アキュムレータコントロール弁62の元圧である入力ポート62fへの入力圧を、自動変速機内で常時発生しているライン圧PL とするために、入力ポート62fは回路90を経て図3に示すようにライン圧回路76に接続する。
【0036】
上記した図4および図5に示す3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74および共通なアキュムレータコントロールバルブ62の構成、そして、これらの上記した図3に示す接続配置によれば、
アキュムレータコントロールバルブ62の元圧として、回路76(90)内に常時発生しているライン圧PL を該アキュムレータコントロールバルブ62の入力ポート62fに供給するようになしたから、
アキュムレータコントロールバルブ62の元圧が、N−Dセレクト操作瞬時に既に規定通りに存在していることとなり、当該元圧はN−Dセレクト操作瞬時に全くの応答遅れなしに出現する。
【0037】
この応答遅れがあると、その間アキュムレータコントロールバルブ62が出力ポート62eからのアキュムレータ背圧PACC を、制御圧PC で狙った通りの値にし得ずにN−Dアキュムレータ68の設計通りの機能を妨げ、N−Dセレクトショックを前記した通りに軽減することができなくなる。
しかして本実施の形態によれば、アキュムレータコントロールバルブ62の元圧として、常時発生しているライン圧PL を用いることから、アキュムレータコントロールバルブ62が出力ポート62eからのアキュムレータ背圧PACC を、N−Dセレクト操作瞬時より全くの応答遅れなしに、制御圧PC で狙った通りの値にし得ることとなり、アキュムレータ背圧PACC を受けて作動するN−Dアキュムレータ68の前記したN−Dセレクトショック軽減効果を確実なものにすることができる。
【0038】
なお上記のごとく、常時発生しているライン圧PL をアキュムレータコントロールバルブ62の元圧とする場合本来なら、当該アキュムレータコントロールバルブ62が後退走行(R)レンジでもアキュムレータ背圧PACC を発生し続けようとし、このアキュムレータ背圧が後退走行レンジで3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74を図4の右半部位置にストロークさせた状態に保持して、室74dへの後退走行レンジ圧PR が発生した時にその上昇を過渡制御し得なくし、前記したN−Rセレクトショック軽減作用を得られなくする。
【0039】
ところで本実施の形態によれば、後退走行レンジ圧PR が発生するRレンジでは前記した通り、当該後退走行レンジ圧PR が図5に示すアキュムレータコントロールバルブ62の室62dに達し、スプリング62gのバネ力および制御圧PC に関係なく段付きスプール62bを図5において左半部に示す調圧位置以上に上昇させ、アキュムレータ背圧PACC を消失させるよう機能する。
これがため本実施の形態によれば、常時発生しているライン圧PL をアキュムレータコントロールバルブ62の元圧とすると雖も、N−Rセレクト操作瞬時にアキュムレータ背圧PACC の消失により3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74を図4の左半部位置にストロークさせることができる。
【0040】
よって、N−Rセレクト操作時に発生する後退走行レンジ圧PR が、図4に示す3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74の段付きピストン74aを、同図の左半部位置から内蔵スプリング74bに抗してストロークさせつつ制御下に上昇し得ることとなり、当該後退走行レンジ圧PR の前記した過渡制御を可能ならしめ、予定通りにN−Rセレクトショックを軽減することができる。
【0041】
なお3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74は、4速選択圧P4 が発生しない4速選択時以外の前進走行(D)レンジでアキュムレータ背圧PACC により内蔵スプリング74bに抗し図4の右半部位置にストロークされており、4速選択時に4速選択圧P4 が発生した時に当該圧力P4 の上昇をアキュムレータ背圧PACC に応じた特性で過渡制御することができ、前記した通りの3−4変速ショック軽減作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる変速制御装置を具えた自動変速機の動力伝達列を示す模式図である。
【図2】 同動力伝達列における摩擦要素の締結の組み合わせと、選択変速段との関係を示す摩擦要素の締結論理説明図である。
【図3】 同動力伝達列における摩擦要素の締結論理を実現する変速制御油圧回路に本発明の着想を適用した一実施の形態を示す変速制御装置の油圧回路図である。
【図4】 同変速制御油圧回路における3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータを示す詳細断面図である。
【図5】 同変速制御油圧回路におけるアキュムレータコントロールバルブを示す詳細断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン出力軸
2 変速機入力軸
3 トルタコンバータ
4 第1遊星歯車
5 第2遊星歯車
6 変速機出力軸
H/C ハイクラッチ
B/B バンドブレーキ(変速摩擦要素)
R/C リバースクラッチ(後発進摩擦要素)
LR/Bローリバースブレーキ
F/C フォワードクラッチ(前発進摩擦要素)
OR/Cオーバーランクラッチ
O/P オイルポンプ
20 プレッシャレギュレータバルブ
22 プレッシャモデイファイアバルブ
24 モディファイアアキュームバルブ
26 パイロットバルブ
28 ロックアップコントロールバルブ
30 トルクコンバータリリーフバルブ
32 ライン圧ソレノイド
34 マニュアルバルブ
36 第1シフトバルブ
38 第2シフトバルブ
40 4−2リレーバルブ
42 4−2シーケンスバルブ
44 オーバーランクラッチコントロールバルブ
46 オーバーランクラッチレデューシングバルブ
48 ファーストレデューシングバルブ
50 シャトルシフトバルブ
52 第1シフトソレノイド
54 第2シフトソレノイド
56 オーバーランクラッチソレノイド
58 3−2タイミングバルブ
60 シャトルシフトバルブ
62 アキュムレータコントロールバルブ
64 サーボチャージャバルブ
66 ロックアップソレノイド
68 N−Dアキュムレータ
70 2−3アキュムレータ
72 1−2アキュムレータ
74 3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ
76 ライン圧回路
78 Dレンジ圧回路
80 アキュムレータ背圧回路
84 後退走行レンジ圧
90 アキュムレータコントロールバルブ入力圧回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、 自動変速機の非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時におけるN−Dセレクトショックを軽減する機能に優れた変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は各種摩擦要素(油圧作動クラッチや、油圧作動ブレーキ等)の選択作動(締結)により動力伝達経路を切換えて自動変速するように構成する。
従って非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時には、この時に締結される前発進摩擦要素の締結ショック、所謂N−Dセレクトショックが発生するのを免れず、
また非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時にも、この時に締結される後発進摩擦要素の締結ショック、所謂N−Rセレクトショックが発生するのを免れず、
さらに変速段間(通常は前進変速段間のみ)での変速時も、この変速時に締結される変速摩擦要素の締結ショック、所謂変速ショックが発生するのを免れない。
【0003】
これらのショック対策としては通常、対応する摩擦要素の作動(締結)油圧に応動して当該作動油圧の上昇を過渡制御するアキュムレータが用いられるのが常套である。
ところでアキュムレータは嵩高であるため占有スペースが大きく、これらを設置すると自動変速機のコントロールバルブボディーが大型になることから、同時に発生することのないN−Rセレクトショックおよび変速ショック対策用のアキュムレータを兼用する技術が従来、例えば特開平5−346157号公報などにより提案されており、同公報における3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータがこれに相当する。
【0004】
一方で何れのアキュムレータも作動油圧の上昇を過渡制御するに当たっては、これをエンジン負荷状態に応じた時系列変化で上昇させるのがショック対策上好ましく、N−Dセレクト用のN−Dアキュムレータおよび3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータはそれぞれエンジン負荷対応のアキュムレータ背圧に抗して発進摩擦要素および変速摩擦要素の作動油圧に応動するよう構成される。
なお、3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータが後発進摩擦要素の作動油圧に応動してN−Rセレクトショックを軽減する時は、N−Rセレクトの発生頻度が少ないこともあって必ずしもエンジン負荷状態に応じた制御である必要がないことから、またコスト上の観点からも、N−Rセレクト時は3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータを3−4変速時とは逆の方向へ内蔵スプリングに抗して後発進摩擦要素の作動油圧に応動させるようにする。
【0005】
そして上記の文献には、N−Dセレクト時および3−4変速時にN−Dアキュムレータおよび3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータにそれぞれ供給すべきエンジン負荷対応のアキュムレータ背圧を作り出すためのアキュムレータコントロールバルブも、スペース上の制約およびコスト上の観点からこれら両アキュムレータに共通なものとすることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来の変速制御装置にあっては、共通なアキュムレータコントロールバルブが元圧として、前進走行レンジで発生するDレンジ圧を入力ポートに供給され、これを、エンジン負荷状態に対応した制御圧に応じ減圧してエンジン負荷対応のアキュムレータ背圧を作り出すものであったため以下の問題を生ずることを確かめた。
つまり、Dレンジ圧はN−Dセレクト操作があってから発生するものであり、当該セレクト操作から応答遅れの後に出現する。
従ってこの応答遅れの間、共通なアキュムレータコントロールバルブがアキュムレータ背圧を予定通りにエンジン負荷対応の値にし得ず、N−Dアキュムレータの設計通りの機能を妨げる。
上記Dレンジ圧の応答遅れは各種の条件によってバラツキを持ったものであることもあり、N−Dセレクトショックを確実に軽減することができない。
【0007】
これに対する対策としては、自動変速機内に常時発生しているライン圧を共通なアキュムレータコントロールバルブの元圧として入力ポートに供給することが考えられるが、この場合、当該アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジでもアキュムレータ背圧を発生し続け、当該アキュムレータ背圧が後退走行レンジで3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータを前記内蔵スプリングに抗してストロークさせた状態に保持する。
このことは、N−Rセレクト時に3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータが内蔵スプリングに抗し後発進摩擦要素の作動油圧に応動し得なくなることを意味し、N−Rセレクト時に3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータがN−Rセレクトショック軽減機能を果たし得なくなる。
【0008】
かといってN−Dアキュムレータと、3−4変速・N−Rセレクト兼用のアキュムレータとにそれぞれ、専用のアキュムレータコントロールバルブを設けるのではコスト的におよびスペース的に不利となり、現実的な解決策とはなり得ない。
【0009】
そこで請求項1に記載の本発明は、上記N−Dアキュムレータおよび兼用アキュムレータのためのアキュムレータコントロールバルブは従前通り共通な1個のみとし、
その入力ポートに供給すべき元圧を、常時発生しているライン圧とすることで先ず前記アキュムレータ背圧の発生遅れに関する問題解決を実現し、
更に、かかる元圧の選択によってもN−Rセレクト時はアキュムレータコントロールバルブがアキュムレータ背圧を確実に消失させ得るようにして、当該N−Rセレクト時に兼用アキュムレータがセレクトショック軽減作用を行い得なくなることのないようにした自動変速機の変速制御装置を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的のため本発明による自動変速機の変速制御装置は、
元圧を制御圧に応じ減圧してアキュムレータ背圧を作り出すアキュムレータコントロールバルブと、
該アキュムレータ背圧に抗し、非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時に締結される前発進摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御するN−Dアキュムレータと、
前記アキュムレータ背圧に抗し、前進変速段間での変速時に締結される変速摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御すると共に、非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時に締結される後発進摩擦要素の作動油圧に応動して逆方向へストロークすることにより該作動油圧の上昇を過渡制御する兼用アキュムレータとを具えた自動変速機において、
前記アキュムレータコントロールバルブの元圧として、常時発生しているライン圧を該アキュムレータコントロールバルブの入力ポートに供給し、
該アキュムレータコントロールバルブの制御用に、前記制御圧の他に、前記後退走行レンジで発生する後退走行レンジ圧を供給して、アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジで前記アキュムレータ背圧を消失させるよう構成したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明においてアキュムレータコントロールバルブは、元圧を制御圧に応じ減圧してアキュムレータ背圧を作り出し、N−Dアキュムレータおよび兼用アキュムレータに供給する。
N−Dアキュムレータは当該アキュムレータ背圧に抗し、非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時に締結される前発進摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御することで、当該レンジ切り換え時における前発進摩擦要素の締結ショックであるN−Dセレクトショックを軽減することができる。
【0012】
他方で兼用アキュムレータは上記アキュムレータ背圧に抗し、前進変速段間での変速時に締結される変速摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御すると共に、非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時に締結される後発進摩擦要素の作動油圧に応動して逆方向へストロークすることにより該作動油圧の上昇を過渡制御する。
前者による変速摩擦要素に関した作動油圧の過渡制御により、該当変速時における変速摩擦要素の締結に伴う変速ショックを軽減することができる。
また後者による後発進摩擦要素に関した作動油圧の過渡制御により、非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時における後発進摩擦要素の締結ショックであるN−Rセレクトショックを軽減することができる。
【0013】
ところで本発明においては特に、上記アキュムレータコントロールバルブの元圧として、常時発生しているライン圧を該アキュムレータコントロールバルブの入力ポートに供給したから、
アキュムレータコントロールバルブの元圧が、N−Dセレクト操作瞬時に既に規定通りに存在することとなり、全くの応答遅れなしに出現する。
この応答遅れがあると、その間アキュムレータコントロールバルブがアキュムレータ背圧を、上記制御圧で狙った通りの値にし得ず、N−Dアキュムレータの設計通りの機能を妨げるが、本発明によればかかる問題を生ずることがなく、N−Dセレクトショックを確実に軽減することができる。
【0014】
なお上記本発明のごとく、常時発生しているライン圧をアキュムレータコントロールバルブの元圧とする場合本来なら、当該アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジでもアキュムレータ背圧を発生し続け、このアキュムレータ背圧が後退走行レンジで兼用アキュムレータを前記変速時とは逆の方向へストロークさせた状態に保持して、兼用アキュムレータによるN−Rセレクトショック軽減作用を得られなくするところながら、
本発明においては更に、アキュムレータコントロールバルブの制御用に、前記制御圧の他に、後退走行レンジで発生する後退走行レンジ圧を供給して、アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジで前記アキュムレータ背圧を消失させるよう構成したから、上記のごとくライン圧をアキュムレータコントロールバルブの元圧にすると雖も、後退走行レンジで兼用アキュムレータがストローク不能になってN−Rセレクトショック軽減作用を果たし得なくなるといった問題を回避することができる。
【0015】
なお当該問題回避に際して、N−Dアキュムレータと兼用アキュムレータとにそれぞれ、専用のアキュムレータコントロールバルブを設けることにしなかったために、コスト的およびスペース上の不利益を被らずに上記の問題回避を実現することができて大いに現実的である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明一実施の形態になる変速制御装置を具えた自動変速機を示し、図1はその動力伝達列、図2は同動力伝達列における摩擦要素の締結論理、図3は同締結論理を実現させるための変速制御油圧回路、図4および図5は本発明に係わるため後で詳述するが、同変速制御油圧回路における兼用アキュムレータおよびアキュムレータコントロールバルブの詳細を示す。
【0017】
先ず図1の動力伝達列を説明するに、この動力伝達列はエンジン出力軸1からの回転を入力軸2に伝達するトルタコンバータ3、第1遊星歯車4、第2遊星歯車組5、出力軸6および後述の各種摩擦要素により構成する。
トルクコンバータ3は、エンジン出力軸1により駆動され、オイルポンプ0/Pの駆動にも用いられるポンプインベラ3Pと、このポンプインベラにより内部作動流体を介して流体駆動され、動力を入力軸2に伝達するタービンランナ3Tと、ワンウェイクラツチ7を介して固定軸上に置かれ、タービンランナ3Tへのトルクを増大するステータ3Sとで構成し、これにロックアップクラッチ3Lを付加した通常のロックアップトルクコンバータとする。
【0018】
そしてこのトルタコンバータ3は、レリーズ室3Rから作動流体の供給を受け、アプライ室3Aより作動流体を排除される間、ロックアップクラッチ3Lを釈放されてエンジン動力をポンプインベラ3Pおよびタービンランナ3Tを介し(コンバータ状態で)入力軸2にトルク増大しつつ流体伝動し、
逆にアプライ室3Aから作動流体の供給を受け、レリーズ室3Rより作動流体を排除される間、ロックアップクラッチ3Lを締結されてエンジン動力をそのままこのロックアップクラッチ3Lを介し(ロックアップ状態で)入力軸2に伝達するものとする。
【0019】
第1遊星歯車組4はサンギヤ4S、リングギヤ4R、これらに噛合するピニオン4P、およびこれらピニオン4Pを回転自在に支持するキヤリア4Cよりなる通常の単純遊星歯車組とし、
第2遊星歯車組5もサンギヤ5S、リングギヤ5R、ピニオン5Pおよびキヤリア5Cよりなる単純遊星歯車組とする。
次に、これら遊星歯車組4,5を経由する動力伝達経路(変速段)を決定する前記の各種摩擦要素を鋭明する。
キャリア4CはハイクラッチH/Cを介して入力軸2に結合可能とし、サンギヤ4SはバンドブレーキB/Bにより適宜固定可能とする他、リバースクラッチR/Cにより入力軸2に結合可能とする。
キャリア4Cは更にエンジンブレーキ用摩擦要素としての多板式のローリバースブレーキLR/Bにより適宜固定可能にすると共に、ローワンウェイクラッチLO/Cを介して逆転(エンジンと逆方向の回転)を不能にする。
【0020】
リングギヤ4Rはキャリア5Cに一体結合して出力軸6に駆動結合し、サンギヤ5Sを入力軸2に結合する。
リングギヤ5RはオーバーランクラッチOR/Cを介してキャリア4Cに結合可能とする他、フォワードワンウェイクラツチFO/CおよびフォワードクラッチF/Cを順次介してキャリア4Cに相関させる。
フォワードワンウェイクラッチFO/CはフォワードクラッチF/Cの結合状態でリングギヤ5Rを逆転方向(エンジン回転と逆の方向)においてキャリア4Cに結合させるものとする。
【0021】
ハイクラッチH/C、リバースクラッチR/C、ローリバースブレーキLR/B、オーバーランクラツチOR/CおよびフォワードクラッチF/Cは夫々、油圧の供給により作動されて前記の結合および固定を行なうものであるが、
バンドブレーキB/Bは特に図3に示すように2速サーボアプライ室2S/A、3速サーボレリーズ室3S/Rおよび4速サーボアプライ室4S/Aを有し、2速サーボアプライ室2S/Aに2速選択圧が供給される時に締結され、この状態で3速サーボレリーズ室3S/Rにも3速選択圧が供給される時、受圧面積の大小関係によって釈放され、その後4速サーボアプライ室4S/Aにも4速選択圧が供給される時、再締結されるものとする。
【0022】
図1の動力伝達列は、変速摩擦要素B/B,H/C,F/C,OR/C,LR/B,R/Cを図2に〇印により示す組み合わせで締結作動させることにより、ワンウェイクラッチFO/C,LO/Cの適宜係合と相まって同図に示す通りに前進第1速〜第4速と、後退の変速段を得ることができる。
なお図2において△印は、エンジンブレーキが必要な時に締結作動させるべき摩擦要素を示す。
そして図2から明らかなように、非走行レンジから前進走行レンジにした時に締結される摩擦要素はフォワードクラッチF/Cであり、これが本発明における前発進摩擦要素を構成し、
非走行レンジから後退走行レンジにした時に締結される摩擦要素はリバースクラッチR/Cであり、これが本発明における後発進摩擦要素を構成する。
【0023】
図3は、上記動力伝達列を変速制御するための油圧回路に本発明の着想を適用して具体化したもので、基本的には本願出願人が開発して実用中のRE4R01A型オートマチックトランスミッションに同じ、つまり同願人が昭和62年3月に発行した同オートマチックトランスミッションの整備要領書(A261C07)に記載の変速制御油圧回路に同じものとし、
プレッシャレギュレータバルブ20と、プレッシャモデイファイアバルブ22と、モディファイアアキュームバルブ24と、パイロットバルブ26と、ロックアップコントロールバルブ28と、トルクコンバータリリーフバルブ30と、ライン圧ソレノイド32と、マニュアルバルブ34と、第1シフトバルブ36と、第2シフトバルブ38と、4−2リレーバルブ40と、4−2シーケンスバルブ42と、オーバーランクラッチコントロールバルブ44と、オーバーランクラッチレデューシングバルブ46と、ファーストレデューシングバルブ48と、シャトルシフトバルブ50と、第1シフトソレノイド52と、第2シフトソレノイド54と、オーバーランクラッチソレノイド56と、3−2タイミングバルブ58と、シャトルシフトバルブ60と、アキュムレータコントロールバルブ62と、サーボチャージャバルブ64と、ロックアップソレノイド66と、N−Dアキュムレータ68と、2−3アキュムレータ70と、1−2アキュムレータ72と、3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74とを主たる構成要素とする。
【0024】
これら主たる構成要素を前記トルクコンバータ3、フォワードクラッチF/C、ハイクラッチH/C、バンドブレーキB/B、リバースクラッチR/C、ローリバースブレーキLR/B、オーバーランクラッチOR/C、およびオイルポンプO/Pに対し図3のごとく接続して本実施の形態になる変速制御装置は構成するが、本発明に係わる部分についての詳細説明に先立って先ず、その理解を容易にするために変速作用を概略説明する。
【0025】
プレッシャレギュレータバルブ20、プレッシャモデイファイアバルブ22およびライン圧ソレノイド32は、ライン圧ソレノイド32がプレッシャモデイファイアバルブ22への制御圧PC をエンジン出力トルクに対応した値に制御することにより、オイルポンプO/Pからのオイルをエンジン出力トルクに比例して高くなるライン圧PL に調圧し、このライン圧PL を常時ライン圧回路76に出力している。
(P、Nレンジ)
運転者が走行を希望しないためマニュアルバルブ34を駐車(P)レンジ又は停車(N)レンジにしている場合、マニュアルバルブ34のDレンジ圧出力ポート34D 、IIレンジ圧出力ポート342 、Iレンジ圧出力ポート341 、後退レンジ圧出力ポート34R の全ての出力ポートがドレンポートとなり、これらポートにライン圧回路76のライン圧PL が出力されることはないので、全ての摩擦要素が非作動状態となり釈放されることとなり、自動変速機を中立状態にしておくことができる。
【0026】
(Dレンジ)
運転者が前進走行を希望してマニュアルバルブ34を前進自動変速走行(D)レンジにした状態では、以下の如くに自動変速が行なわれる。
「第1速」
マニュアルバルブ34をPレンジ又はNレンジから当該Dレンジにすると、そのポート34D に回路76のライン圧PL がDレンジ圧として出力されるようになり、このDレンジ圧は回路78によりフォワードクラッチF/Cに向かってその締結に供される。
一方、Dレンジにした停車状態ではコンピュータが、第lシフトソレノイド52および第2シフトソレノイド54を共にONにしているため、上記Dレンジ圧の出力によっても第lシフトバルブ36および第2シフトバルブ38がハイクラッチH/Cを非作動状態にし続け、バンドブレーキB/Bを2速サーボアプライ室2S/A、3速サーボレリーズ室3S/R、4速サーポアプライ室4S/Aのドレンにより非作動状態にし続ける。
従って、自動変速機は中立状態から上記フォワードクラッチF/Cの締結により第1速選択状態になり、当該変速段での動力伝達が可能である。
【0027】
ところで上記フォワードクラッチF/Cの締結を司るDレンジ圧の上昇は、これに応動するN−Dアキュムレータ68が、アキュムレータコントロールバルブ62から回路80へ出力されるエンジン出力対応のアキュムレータ背圧PACC に抗してストロークしつつ過渡制御することからDレンジ圧の上昇が緩やかなものとなり、Pレンジ又はNレンジからDレンジへのセレクト時におけるフォワードクラッチF/Cの締結ショック、つまりN−Dセレクトショックを軽減することができる。
【0028】
「第2速」
上記第1速での発進後、第2速を選択すべき運転状態になるとコンピュータは第1シフトソレノイド52をOFFに切換えて第lシフトバルブ36を状態変化させることにより、バンドブレーキB/Bの2速サーボアプライ室2S/AにDレンジ圧を供給し、当該バンドブレーキB/Bを締結作動させる。
これがため自動変速機は、フォワードクラッチF/Cの作動保持およびフォワードワンウェイクラッチFO/Cの係合と相まって第1速から第2速選択状態となる。
この時、2速サーポアプライ室2S/Aの油圧上昇は、これに応動する1−2アキュムレータ72が、アキュムレータコントロールバルブ62から回路80へ出力されるエンジン出力対応のアキュムレータ背圧PACC に抗してストロークしつつ過渡制御することから、1−2変速時におけるバンドブレーキB/Bの締結ショック、つまり1−2変速ショックを軽減することができる。
【0029】
「第3速」
その後第3速を選択すべき運転状態になると、コンピュータは第2シフトソレノイド54をもOFFして第2シフトバルブ38を状態変化させることにより、Dレンジ圧をハイクラッチH/Cに供給してこれを締結作動させると同時に、3速サーボレリーズ室3S/RにもDレンジ圧を供給してバンドブレーキB/Bを非作動にする。
従つて、自動変速機はハイクラッチH/Cの締結作動、バンドブレーキB/Bの非作動により、フォワードワンウェイクラッチFO/Cの係合と相まって第3速を選択することができ、第2速から第3速へのアップシフト変速を行うことができる。
なお、この第2速から第3速へのアップシフト変速を司るハイクラッチH/Cおよび3速サーボレリーズ室3S/Rへの圧力上昇は、2−3アキュムレータ70が回路82からのライン圧PL をアキュムレータ背圧として過渡制御するため、当該2−3変速時の変速ショックを軽減することができる。
【0030】
「第4速」
その後第4速を選択すべき運転状態になると、コンピュータは第1シフトソレノイド52をONに切換えて第1シフトバルブ36を元の状態に切換えることにより、Dレンジ圧を4速選択圧P4 として4速サーボアップライ室4S/Aに供給することでバンドブレーキB/Bを再び締結作動させ、フォワードクラッチF/C、ハイクラッチH/Cの作動保持と相まって自動変速機を第4速選択状態にすることができ、第3速から第4速へのアップシフト変速を可能にする。
ここで、上記第3速から第4速へのアップシフト変速を司る4速サーボアプライ室4S/Aへの4速選択圧P4 の上昇は、これに応動する3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74が、アキュムレータコントロールバルブ62から回路80へ出力されるエンジン出力対応のアキュムレータ背圧PACC に抗してストロークしつつ過渡制御することから、3−4変速時におけるバンドブレーキB/Bの締結ショック、つまり3−4変速ショックを軽減することができる。
【0031】
(Rレンジ)
運転者が後退走行を希望してマニュアルバルブ34をPレンジ又はNレンジから後退走行(R)レンジにすると、このマニュアルバルブ34はポート34R のみに回路76のライン圧PL を後退走行レンジ圧PR として出力する。
この後退走行レンジ圧PR はマニュアルバルブ34のポート34R から回路84を経由し、リバースクラッチR/Cに供給されてこれを締結作動すると同時に、ローリバースブレーキLR/Bにも供給されてこれを締結作動させ、これにより自動変速機を後退変速段選択状態にすることができる。
ところで、リバースクラッチR/Cに向かう後退走行レンジ圧PR は、回路86を経て3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74にも達し、これを前記の3−4変速時とは逆の方向にストロークさせつつ過渡制御下に上昇するため、P又はNレンジからRレンジへの切換時におけるリバースクラッチR/Cの締結ショック、つまりN−Rセレクトショックを軽減することができる。
【0032】
次いで、本発明に係わる3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74、および当該アキュムレータ74と、N−Dアキュムレータ68と、1−2アキュムレータ72とに共通なアキュムレータコントロールバルブ62について、図4および図5に基づき詳細に説明する。
図4に示すように3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74は、段付きピストン74aを内蔵スプリング74bにより図中左半部位置に弾支して構成し、段付きピストン74aの両端間に密閉室74cを画成すると共に、段付きピストン74aの小径端面および大径端面を夫々密閉室74d,74eに臨ませる。
【0033】
そして、密閉室74cには図3における回路80を接続してアキュムレータコントロールバルブ62からのアキュムレータ背圧PACC を供給し、密閉室74dには図3の回路86を接続してリバースクラッチR/Cに向かう後退走行レンジ圧PR を供給し、密閉室74eには4速サーボアプライ室4S/Aへ向かっている4速選択圧P4 を供給する。
【0034】
図5に示すように共通なアキュムレータコントロール弁62は、スプリング62aにより図中右半部位置に弾支された段付きスプール62bを具え、スプリング62aを作用させた段付きスプール62bの大径側端面が臨む室62cに、図3のライン圧ソレノイド32からのエンジン出力トルク対応の制御圧PC を供給し、スプリング62aから遠い段付きスプール62bの小径側端面が臨む室62dに、回路88を介し図3の回路84を接続して後退走行レンジ圧PR を供給する。
アキュムレータコントロール弁62は、段付きスプール62bがスプリング62aおよび制御圧PC により図中右半部位置に弾支されている間、出力ポート62eを入力ポート62fに通じて出力ポート62eからのアキュムレータ背圧PACC を上昇させ、かように上昇されたアキュムレータ背圧PACC が段付きスプール62bの両端間受圧面積差に作用して当該スプール62bを押し戻す。
段付きスプール62bが図中左半部に示す調圧位置を超えて押し戻されるようなアキュムレータ背圧PACC になると、アキュムレータコントロール弁62は出力ポート62eをドレンポート62gに通じてアキュムレータ背圧PACC を低下させ、段付きスプール62bが図中左半部に示す調圧位置に戻った時に調圧を終了する。
かくしてアキュムレータ背圧PACC は制御圧PC に応じた値に調圧されるが、この制御圧PC がエンジン出力トルク対応の値であることから、アキュムレータ背圧PACC もエンジン出力トルク対応のものとなる。
【0035】
なお上記アキュムレータコントロール弁62によるアキュムレータ背圧PACC の調圧作用は、回路88から室62dに後退走行レンジ圧PR が供給されない場合に、つまりRレンジ以外で行われ得るもので、
後退走行レンジ圧PR が発生するRレンジでは当該圧力が、スプリング62gのバネ力および制御圧PC に関係なく段付きスプール62bを図5において左半部に示す調圧位置以上に上昇させ、アキュムレータ背圧PACC を消失させるものとする。
そして本実施の形態においては、アキュムレータコントロール弁62の元圧である入力ポート62fへの入力圧を、自動変速機内で常時発生しているライン圧PL とするために、入力ポート62fは回路90を経て図3に示すようにライン圧回路76に接続する。
【0036】
上記した図4および図5に示す3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74および共通なアキュムレータコントロールバルブ62の構成、そして、これらの上記した図3に示す接続配置によれば、
アキュムレータコントロールバルブ62の元圧として、回路76(90)内に常時発生しているライン圧PL を該アキュムレータコントロールバルブ62の入力ポート62fに供給するようになしたから、
アキュムレータコントロールバルブ62の元圧が、N−Dセレクト操作瞬時に既に規定通りに存在していることとなり、当該元圧はN−Dセレクト操作瞬時に全くの応答遅れなしに出現する。
【0037】
この応答遅れがあると、その間アキュムレータコントロールバルブ62が出力ポート62eからのアキュムレータ背圧PACC を、制御圧PC で狙った通りの値にし得ずにN−Dアキュムレータ68の設計通りの機能を妨げ、N−Dセレクトショックを前記した通りに軽減することができなくなる。
しかして本実施の形態によれば、アキュムレータコントロールバルブ62の元圧として、常時発生しているライン圧PL を用いることから、アキュムレータコントロールバルブ62が出力ポート62eからのアキュムレータ背圧PACC を、N−Dセレクト操作瞬時より全くの応答遅れなしに、制御圧PC で狙った通りの値にし得ることとなり、アキュムレータ背圧PACC を受けて作動するN−Dアキュムレータ68の前記したN−Dセレクトショック軽減効果を確実なものにすることができる。
【0038】
なお上記のごとく、常時発生しているライン圧PL をアキュムレータコントロールバルブ62の元圧とする場合本来なら、当該アキュムレータコントロールバルブ62が後退走行(R)レンジでもアキュムレータ背圧PACC を発生し続けようとし、このアキュムレータ背圧が後退走行レンジで3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74を図4の右半部位置にストロークさせた状態に保持して、室74dへの後退走行レンジ圧PR が発生した時にその上昇を過渡制御し得なくし、前記したN−Rセレクトショック軽減作用を得られなくする。
【0039】
ところで本実施の形態によれば、後退走行レンジ圧PR が発生するRレンジでは前記した通り、当該後退走行レンジ圧PR が図5に示すアキュムレータコントロールバルブ62の室62dに達し、スプリング62gのバネ力および制御圧PC に関係なく段付きスプール62bを図5において左半部に示す調圧位置以上に上昇させ、アキュムレータ背圧PACC を消失させるよう機能する。
これがため本実施の形態によれば、常時発生しているライン圧PL をアキュムレータコントロールバルブ62の元圧とすると雖も、N−Rセレクト操作瞬時にアキュムレータ背圧PACC の消失により3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74を図4の左半部位置にストロークさせることができる。
【0040】
よって、N−Rセレクト操作時に発生する後退走行レンジ圧PR が、図4に示す3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74の段付きピストン74aを、同図の左半部位置から内蔵スプリング74bに抗してストロークさせつつ制御下に上昇し得ることとなり、当該後退走行レンジ圧PR の前記した過渡制御を可能ならしめ、予定通りにN−Rセレクトショックを軽減することができる。
【0041】
なお3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ74は、4速選択圧P4 が発生しない4速選択時以外の前進走行(D)レンジでアキュムレータ背圧PACC により内蔵スプリング74bに抗し図4の右半部位置にストロークされており、4速選択時に4速選択圧P4 が発生した時に当該圧力P4 の上昇をアキュムレータ背圧PACC に応じた特性で過渡制御することができ、前記した通りの3−4変速ショック軽減作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる変速制御装置を具えた自動変速機の動力伝達列を示す模式図である。
【図2】 同動力伝達列における摩擦要素の締結の組み合わせと、選択変速段との関係を示す摩擦要素の締結論理説明図である。
【図3】 同動力伝達列における摩擦要素の締結論理を実現する変速制御油圧回路に本発明の着想を適用した一実施の形態を示す変速制御装置の油圧回路図である。
【図4】 同変速制御油圧回路における3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータを示す詳細断面図である。
【図5】 同変速制御油圧回路におけるアキュムレータコントロールバルブを示す詳細断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン出力軸
2 変速機入力軸
3 トルタコンバータ
4 第1遊星歯車
5 第2遊星歯車
6 変速機出力軸
H/C ハイクラッチ
B/B バンドブレーキ(変速摩擦要素)
R/C リバースクラッチ(後発進摩擦要素)
LR/Bローリバースブレーキ
F/C フォワードクラッチ(前発進摩擦要素)
OR/Cオーバーランクラッチ
O/P オイルポンプ
20 プレッシャレギュレータバルブ
22 プレッシャモデイファイアバルブ
24 モディファイアアキュームバルブ
26 パイロットバルブ
28 ロックアップコントロールバルブ
30 トルクコンバータリリーフバルブ
32 ライン圧ソレノイド
34 マニュアルバルブ
36 第1シフトバルブ
38 第2シフトバルブ
40 4−2リレーバルブ
42 4−2シーケンスバルブ
44 オーバーランクラッチコントロールバルブ
46 オーバーランクラッチレデューシングバルブ
48 ファーストレデューシングバルブ
50 シャトルシフトバルブ
52 第1シフトソレノイド
54 第2シフトソレノイド
56 オーバーランクラッチソレノイド
58 3−2タイミングバルブ
60 シャトルシフトバルブ
62 アキュムレータコントロールバルブ
64 サーボチャージャバルブ
66 ロックアップソレノイド
68 N−Dアキュムレータ
70 2−3アキュムレータ
72 1−2アキュムレータ
74 3−4変速・N−Rセレクト兼用アキュムレータ
76 ライン圧回路
78 Dレンジ圧回路
80 アキュムレータ背圧回路
84 後退走行レンジ圧
90 アキュムレータコントロールバルブ入力圧回路
Claims (1)
- 元圧を制御圧に応じ減圧してアキュムレータ背圧を作り出すアキュムレータコントロールバルブと、
該アキュムレータ背圧に抗し、非走行レンジから前進走行レンジへの切り換え時に締結される前発進摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御するN−Dアキュムレータと、
前記アキュムレータ背圧に抗し、前進変速段間での変速時に締結される変速摩擦要素の作動油圧に応動して該作動油圧の上昇を過渡制御すると共に、非走行レンジから後退走行レンジへの切り換え時に締結される後発進摩擦要素の作動油圧に応動して逆方向へストロークすることにより該作動油圧の上昇を過渡制御する兼用アキュムレータとを具えた自動変速機において、
前記アキュムレータコントロールバルブの元圧として、常時発生しているライン圧を該アキュムレータコントロールバルブの入力ポートに供給し、
該アキュムレータコントロールバルブの制御用に、前記制御圧の他に、前記後退走行レンジで発生する後退走行レンジ圧を供給して、アキュムレータコントロールバルブが後退走行レンジで前記アキュムレータ背圧を消失させるよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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