JP3671675B2 - フレキシブルプリントケーブルの固定装置およびリニアアクチュエータ並びにレンズ鏡筒 - Google Patents

フレキシブルプリントケーブルの固定装置およびリニアアクチュエータ並びにレンズ鏡筒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特にカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置における撮影レンズを駆動するリニアアクチュエータおよびレンズ鏡筒に関し、特に通電用のフレキシブルプリントケーブルの固定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カメラ、ビデオカメラ等の技術の進歩は目覚ましく、デジタル記録、小型軽量化、長時間撮影化、高速、高倍率ズーム等多方面に渡って多くの性能向上が図られている。撮像部であるレンズ鏡筒においては、フォーカスレンズ群を光軸方向に移動して、焦点調整を行う必要があり、これを自動的に行うオートフォーカス機能を備えたレンズ鏡筒が用いられている。特に、高速応答性が要求されるカメラ、ビデオカメラにおいては、フォーカスレンズ群の駆動手段として、リニアアクチュエータを用いたものが知られている。この種のリニアアクチュエータとしては、例えば特開平8−248293号公報に開示されており、図16、図17にその側面断面図を示す。
【0003】
光軸方向(Z軸方向)前方を開口した後部レンズ鏡筒103には、固定レンズ群であるところの補正用レンズ群121を保持した固定レンズ枠122が取付けられ、さらに、図示しないズーム用レンズ群と前部レンズ鏡筒が、光軸方向に順に配置される。
この後部レンズ鏡筒103の内部には、フォーカスレンズ102が、レンズ枠101に保持されている。このレンズ枠101は、両端を後部レンズ鏡筒103と固定レンズ枠122に固定されたガイドシャフト104に沿って光軸方向(Z軸方向)に摺動自在に支持されている。
【0004】
このレンズ枠101を光軸方向に駆動するリニアアクチュエータは、可動部材であるところのレンズ枠101に接着したコイル109と、固定部材であるところの後部レンズ鏡筒103側に設けたヨーク106、およびこのヨークに取り付けた駆動用マグネット105とから構成している。
制御部からの制御出力によってコイル109に駆動電流が供給されると、ヨーク106と駆動用マグネット105で形成する磁気回路の中にあるコイル109に、光軸方向に向かう磁気的推進力が生じる。推進力の正負の方向は、コイル109に供給する駆動電流の向きによって決まり、レンズ枠101が光軸方向に移動動作する。これによって、フォーカスレンズ群が光軸方向に移動し、焦点調整が行われる。
【0005】
このようなリニアアクチュエータの動作を実施するためには、コイル109に外部から駆動電流を供給する必要がある。このためにレンズ枠101には、フレキシブルプリントケーブル108が備えられている。一方、後部レンズ鏡筒103には、フレキシブルプリントケーブル108を光軸方向と直角な方向に引き出すケーブル引出部131を、光軸方向前方の開口部の外縁部に設けている。またレンズ枠101には、フレキシブルプリントケーブル108を接続するための端子接続部132を、光軸方向の後方面部に設けている。この端子接続部132に接続したフレキシブルプリントケーブル108は、やはり光軸方向と直角な方向に、レンズ枠101から引き出されることになる。そしてコイル109の両端は、このレンズ枠101の端子接続部132において、フレキシブルプリントケーブル108に半田付けされている。
【0006】
このようにして、フレキシブルプリントケーブル108を介して、コイル109に外部から駆動電流を供給すると、レンズ枠101がガイド軸に沿って光軸方向に移動する。図16はレンズ枠101が光軸方向後方に位置している時の状態を示しており、図17はレンズ枠101が光軸方向前方に位置している時の状態を示している。このように、レンズ枠101の移動に応じて、フレキシブルプリントケーブル108の湾曲状態が変化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成のリニアアクチュエータにおいては、可動部材であるところのレンズ枠101が光軸方向に移動する際に、フレキシブルプリントケーブル108の湾曲部頂点Aの高さ方向(Y軸方向)の移動量が大きくなるという問題があった。図16における頂点Aの位置に対して、図17の状態では頂点Aの位置がY軸方向に移動して、高くなっていることがわかる。これは、以下のような理由による。フレキシブルプリントケーブル108は、ケーブル引出部131と、端子接続部132において固定されている。
【0008】
一方、レンズ枠101が図16の状態から左側に動くと、ケーブル引出部131と、端子接続部132の光軸方向(Z軸方向)の距離が短くなる。両者の間のフレキシブルプリントケーブル108の長さは常に一定であるので、Z軸方向の距離が短くなった分だけ、Y軸方向に突き出るように変形し、湾曲部頂点Aの位置がY軸方向に移動するのである。
【0009】
したがって、上記のような構成のリニアアクチュエータを用いた場合には、フレキシブルプリントケーブル108の湾曲部頂点AがY軸方向に移動する範囲をスペースとして用意する必要があり、装置の大型化を招くことになる。具体的には、このリニアアクチュエータを用いたレンズ鏡筒においては、後部レンズ鏡筒103の高さ方向(Y軸方向)のサイズが大きくなるという欠点があった。特に、湾曲部頂点Aの移動量はレンズ枠101の移動量に比例するので、レンズ枠101のストロークが大きい場合に顕著となる。
【0010】
また、フレキシブルプリントケーブル108が一方向に曲げられているので、曲げに対する反力がレンズ枠101に加わり、リニアアクチュエータがレンズ枠101を駆動する際の負荷が大きくなるという問題もあった。このような負荷の増大に対処するためには、リニアアクチュエータの駆動力を増やす必要がある。すなわち、コイル109の巻き数を増やしたり、駆動用マグネット105をさらに大形のものとすることが考えられるが、レンズ鏡筒の外形がさらに大きくなるとともに、重量が大きくなるといった欠点があった。
【0011】
さらに、レンズ枠101に加わる反力の大きさは、曲げ半径の逆数に比例する。最も曲げ半径が小さくなるのは、湾曲部頂点A近傍である。図16と図17を比較するとわかるように、レンズ枠101の移動と共に、曲げ半径も変化していることがわかる。このため、フレキシブルプリントケーブル108の湾曲状態が変化するにつれて、負荷の大きさが変化する。この負荷変動を正確に見積もることは困難なため、レンズ枠101の移動状態を精密に制御することが困難になるという欠点もあった。
【0012】
一方、コイル109の両端は、レンズ枠101の端子接続部132において、フレキシブルプリントケーブル108に半田付けしなくてはならない。すなわち、コイル109をレンズ枠101に接着した後、端子接続部132にフレキシブルプリントケーブル108を接続し、コイルの両端を引き出して、レンズ枠101の上で半田付け作業を実施する必要がある。
【0013】
このような状態で半田付け作業を行うと、熱の流入によってレンズ枠101が変形したり、半田やフラックス等の光学性能に有害な物質がフォーカスレンズ102へ飛散したりする可能性があり、作業性・生産性を著しく低下させるという問題があった。
本発明は、可動部材が移動した際に、フレキシブルプリントケーブルの湾曲部頂点の高さ方向の移動量を小さくするなどのために、フレキシブルプリントケーブルを作業性よく、かつ浮き上がることなく固定するのに適した固定装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可動部材に設けたコイルにフレキシブルプリントケーブルにより通電するリニアアクチュエータであって、前記可動部材の平面に凹部を設けるとともにその凹部の中央から直立したピンを設け、前記フレキシブルプリントケーブルに前記ピンの直径に対して幅を80%から90%に設定した長穴をその長辺の方向がフレキシブルプリントケーブルの長手方向になるように設け、前記フレキシブルプリントケーブルの長穴を前記ピンに挿入し、かつそのフレキシブルプリントケーブルを前記可動部材の平面よりもへこんだ凹部内に押しつけてその長穴周囲のフレキシブルプリントケーブルの弾性変形によるピンへの圧接によりフレキシブルプリントケーブルを可動部材に固定したリニアアクチュエータである。
また、本発明は、上記において、可動部材はレンズを保持するレンズ保持手段であるレンズ鏡筒である。
さらに、本発明は、フレキシブルプリントケーブルを固定する固定平面に凹部を設けるとともにその凹部の中央から直立したピンを設け、前記フレキシブルプリントケーブルに前記ピンの直径に対して幅を80%から90%に設定した長穴をその長辺の方向がフレキシブルプリントケーブルの長手方向になるように設け、前記フレキシブルプリントケーブルの長穴を前記ピンに挿入し、かつそのフレキシブルプリントケーブルを前記固定平面よりもへこんだ凹部内に押しつけてその長穴周囲のフレキシブルプリントケーブルの弾性変形によるピンへの圧接によりフレキシブルプリントケーブルを固定平面に固定したことを特徴とするフレキシブルプリントケーブルの固定装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のリニアアクチュエータおよびこれを用いたレンズ鏡筒の実施の形態を、図1〜図13に基づいて説明する。図1と図2はレンズ鏡筒の分解斜視図、図3一部断面を含むレンズ鏡筒を示す斜視図、図4と図5はコイルとフレキシブルプリントケーブルの組立方法を示す斜視図、図6と図7はコイルとレンズ枠の組立方法を示す斜視図、図8はレンズ枠の拡大側面図、図9、図10、図11、図12はフレキシブルプリントケーブルの固定方法を示す断面図、図13と図14はレンズ鏡筒を側面から見た一部断面図である。
【0018】
図1、図2に示すように、後部レンズ鏡筒23の光軸方向前方の開放面40には、固定レンズ群であるところの補正用レンズ群41を保持した固定レンズ枠42が取付けられ、さらに、図示しないズーム用レンズ群と前部レンズ鏡筒が、光軸方向に順に配置される。また光軸方向後方には、CCDユニット2が取り付けられ、各レンズ群によって結像した像を映像信号として出力する。
【0019】
固定部材であるところの後部レンズ鏡筒23の内部には、移動レンズ群であるところのフォーカスレンズ22が、可動部材もしくはレンズ保持手段としてのレンズ枠21に保持されている。このレンズ枠21は、両端を後部レンズ鏡筒23と固定レンズ枠42に固定したガイドシャフト24a、24bに沿って光軸方向(Z軸方向)に摺動自在に支持されている。レンズ枠21が光軸方向に移動する際、フォーカスレンズ22が傾くと所望の光学性能が得られなくなるため、レンズ枠21には光軸方向に突き出た形状の軸受け部9が設けられ、その両端でガイドシャフト24aと摺動するように構成している。
【0020】
このレンズ枠21を光軸方向に駆動する駆動手段としてのリニアアクチュエータは、固定子として駆動方向(Z軸方向)と垂直に磁化した駆動用マグネット25と、コの字型のメインヨーク26および板状のサイドヨーク27とを後部レンズ鏡筒23に設けている。一方、可動子としてコイル29を駆動用マグネット25と所定の空隙を有するようにレンズ枠21に固定してており、フレキシブルプリントケーブル28を用いて、駆動用マグネット25の発生する磁束と直交する様にコイル29に電流を流すことで、レンズ枠21を光軸方向に駆動するしくみになっている。
【0021】
また後部レンズ鏡筒23を切断して示した図3からわかるように、後部レンズ鏡筒23に取り付けたホルダ1は、図1のZ軸方向に向かう磁場の変化を検出する磁気抵抗素子を備えており、レンズ枠21の軸受け部9に沿って設けた磁気スケール30と向かい合わせて設置し、その位置検出に利用する。すなわち、磁気抵抗素子の出力からレンズ枠21の位置を検出し、制御回路がコイル29に電流を通電する際にクローズド・ループを形成して、レンズ枠21の高精度な位置決めを可能としている。
【0022】
次に、フレキシブルプリントケーブルに設けた第1の固定部と、固定部材に備えた第1の固定手段の構成について説明する。コイル29の両端が接続したフレキシブルプリントケーブル28は、レンズ枠21のCCD側から引き出し、レンズ枠21の上側(Y軸の正の方向)を超えて、固定レンズ枠42側の方に湾曲させる。そして、曲線部14を有するフレキシブルプリントケーブル28を、後部レンズ鏡筒23の開放面40から外部に引き出す構成とした。
【0023】
後部レンズ鏡筒23の開放面40には、図1に示すようにフレキシブルプリントケーブル28の幅よりもわずかに広い幅の引き出し溝3を設ており、フレキシブルプリントケーブル28を収納できるように構成している。そして図2に示す固定レンズ枠42に設けたケーブル支持突起43との間に、フレキシブルプリントケーブル28を挟み込み固定する構造となっている。さらに、フレキシブルプリントケーブル28の位置決め突起13a、13bにより、フレキシブルプリントケーブル28の長手方向(Y軸方向)の位置決めを行う。
【0024】
また図2に示すように、固定レンズ枠42には、ケーブル支持突起43の下方(Y軸の負の方向)にケーブル押え44を設けている。ケーブル押え44は、水平面(Z−X平面)に対してX軸回りにわずかに傾いた傾斜面45を有しており、後部レンズ鏡筒23から下方(Y軸の負の方向)に引き出したフレキシブルプリントケーブル28を折り曲げて、光軸方向(Z軸の負の方向)に導くように構成している。
【0025】
次に、コイル29とフレキシブルプリントケーブル28の組立方法について、図4、図5を用いて説明する。図4に示すようにフレキシブルプリントケーブル28の一端は、補強板10によって裏打ちされており、補強板10に設けたカット部11から、フレキシブルプリントケーブル28が、Z軸方向に伸長するように構成している。そして、Z軸方向からY軸方向に伸長方向を変えた後、所定の距離を置いて、第2の固定部であるところの長穴12を設けており、さらにY軸方向に伸長している。ここで長穴12の長辺の方向は、フレキシブルプリントケーブル28の長手方向(Y軸方向)とほぼ平行になるように構成している。
【0026】
このフレキシブルプリントケーブル28を図4に示すようにコイル29と対峙させ、補強板10の表面に接着剤を塗布して、図5のように接着する。その後、コイル29の両端を、フレキシブルプリントケーブル28の端子に半田付けする。したがって、半田付け作業時には、レンズ枠21への熱の流入や、フォーカスレンズ22への光学性能に有害な物質の飛散といった問題は起きない。
【0027】
以上のようにしてフレキシブルプリントケーブル28と接続したコイル29を、レンズ枠21に組み付ける方法について、図6、図7を用いて説明する。図6に示すようにレンズ枠21には、コイル29のZ軸方向の位置決めを行うためのコイル当接面17を、Z軸と垂直な方向に設けている。そして、コイル当接面17からZ軸方向に向かってコイル保持突起7が突き出ており、コイル29のX軸、Y軸方向の位置決めを行う。また、コイル保持突起7には、円弧状の接着溝8a、8bを設けており、コイル29を接着する際に接着強度を高めることができる。
【0028】
またレンズ枠21には、光軸方向と直角な固定平面であるところのケーブル取付け面16が、コイル当接面17よりもZ軸方向に一段高い位置(Z軸の負の方向)に設けている。ただし、コイル保持突起7の先端は、ケーブル取付け面16よりもさらに高い位置になるように構成する。
さらにレンズ枠21には、ケーブル取付け面16から円錐状にへこんだ凹部15を、フォーカスレンズ22の左側に設けると共に、ケーブル取付け面16に垂直な方向(Z軸方向)に、凹部15の中央付近から直立した第2の固定手段であるところの圧入ピン4を設けた。圧入ピン4の先端は、ケーブル取付け面16よりも高く、Z軸の負の方向に直立している。
【0029】
加えて、圧入ピン4からフレキシブルプリントケーブル28が伸長する方向(Y軸の正の方向)には、拘束手段であるところのガイド曲面6を有する立ち上げ突起5を設けている。ガイド曲面6はX軸に平行な中心軸を有する円筒面で、先端部の接平面がほぼ光軸方向(Z軸方向)と平行になる構成となっている。一方、立ち上げ突起5の根元においては、ガイド曲面6の端がケーブル取付け面16と交差する構成であれば良い。
【0030】
以上のような構造のレンズ枠21を、図6に示すように、フレキシブルプリントケーブル28を接着したコイル29と対峙させ、コイル29をコイル保持突起7に沿ってZ軸の正の方向に挿入する。コイル29がコイル当接面17と接触してZ軸方向の位置決めを行った後、コイル29をX軸の負の方向に押し当てながら、接着溝8a、8bに接着剤を充填し、コイル29の接着を完了する。
【0031】
このようにしてコイル29を接着する際のフレキシブルプリントケーブル28の挙動について、引き続き説明を加える。フレキシブルプリントケーブル28は、補強板10に設けたカット部11から、コイル29をコイル保持突起7に挿入する方向(Z軸方向)に伸長するように構成している。一方、レンズ枠21にはケーブル取付け面16を、コイル当接面17よりも挿入方向手前側(Z軸の負の方向)に設けている。このため、コイル29をコイル保持突起7に沿って挿入し始めると、コイル29がコイル当接面17と接触する前に、フレキシブルプリントケーブル28がケーブル取付け面16と接触することになる。さらにコイル29の挿入を続けると、フレキシブルプリントケーブル28が折れ曲がって、徐々にケーブル取付け面16に沿うように変形する。
【0032】
この際、カット部11から挿入方向に伸長したフレキシブルプリントケーブル28の根元が、最も曲げ強度が低いため、補強板10に沿ってフレキシブルプリントケーブル28が曲がることになる。しかも、強度の高い補強板10でフレキシブルプリントケーブル28を補強しているので、ケーブル取付け面16と接触している部分は、X軸の正の方向に逃げやすい。すなわち、折れ曲がり方向を常に一定の方向に保つことができる。そして、コイル29がコイル当接面17と接触してZ軸方向の位置決めが完了した時には、ほぼ90°近くまで曲げられ、図7に示すようにケーブル取付け面16に沿った状態になる。このように、コイル29をコイル保持突起7に沿って挿入するだけで、フレキシブルプリントケーブル28を折り曲げ、ケーブル取付け面16に沿わせることができるのである。
【0033】
コイル29を接着した後、フレキシブルプリントケーブル28の長穴12を圧入ピン4に差し込む。ここで、長穴12の幅は圧入ピン4の直径よりも狭く構成しており、圧入ピン4に差し込むと長穴12の周囲のフレキシブルプリントケーブル28が弾性変形して、長穴12の側面が圧入ピン4に圧接し、フレキシブルプリントケーブル28をケーブル取付け面16に固定できる。ここで長穴12の長辺の方向は、フレキシブルプリントケーブル28の長手方向(Y軸方向)とほぼ平行になるように構成している。
【0034】
このため、長穴12を圧入ピン4に差し込む際に、フレキシブルプリントケーブル28の弛みを吸収することができ、ケーブル取付け面16からフレキシブルプリントケーブル28が浮き上がらないようになっている。このように、長穴12を圧入ピン4に差し込むだけで、フレキシブルプリントケーブル28をケーブル取付け面16に固定することができるのである。
【0035】
一方、圧入ピン4のフレキシブルプリントケーブル28の長手方向近傍には、立ち上げ突起5を設けている。このため、長穴12を圧入ピン4に差し込んでいくと、立ち上げ突起5と接触したフレキシブルプリントケーブル28が変形して、ガイド曲面6に沿うようになる。
図8はレンズ枠21の圧入ピン4周囲を拡大して表示した側面図である。同図からわかるように、ガイド曲面6は、圧入ピン4から立ち上げ突起5に向かう方向に直交した(X軸)方向の中心軸を有する円筒面であるので、フレキシブルプリントケーブル28はガイド曲面6に沿って曲げられ、ねじれることはない。しかも、ガイド曲面6先端部の接平面は、ほぼ光軸方向(Z軸方向)と平行になっているので、フレキシブルプリントケーブル28が90°近く曲がって、レンズ枠21から光軸方向(Z軸方向)に平行な方向に引き出すことができるのである。
【0036】
次に、圧入ピン4が中央に直立する凹部15について、図9〜図12を用いて説明を続ける。図9は長穴12を圧入ピン4に挿入する直前の様子を示している。この状態からフレキシブルプリントケーブル28がZ軸方向に移動して、長穴12を圧入ピン4に挿入する。上記のように長穴12の幅は圧入ピン4の直径よりも狭く構成している。例えば、圧入ピン4の直径に対して、長穴12の幅を90%に設定すると、良好な結果が得られる。
【0037】
ところが、圧入ピン4の直径にしても、長穴12の幅にしても、加工精度の限界からばらつきを生じる。このため、両者の組み合わせ方法によって、圧入ピン4の直径に対する長穴12の幅の比率が変動することになる。この比率が小さくなって、例えば80%になったとすると、フレキシブルプリントケーブル28の弾性変形量が増加することになる。このため図12に示すように、凹部15を設けていない場合には、スプリングバック現象により長穴12周囲のフレキシブルプリントケーブル28が浮き上がることになる。
【0038】
このような状態では、ケーブル取付け面16からフレキシブルプリントケーブル28が浮き上がりやすくなる。加工精度を上げれば、ばらつきは減るので比率の変動も小さくなり、フレキシブルプリントケーブル28をケーブル取付け面16に安定して固定できる。あるいは、圧入ピン4と長穴12を選択して組み合わせれば、同様の効果が得られる。しかしながら、どちらの方法にしても製造コストが上昇することとなる。
【0039】
これに対して圧入ピン4が中央に直立する凹部15を設けた本発明の実施の形態においては、長穴12を圧入ピン4に挿入した際に、ケーブル取付け面16よりもへこんだ凹部15の底まで、フレキシブルプリントケーブル28を押し付けることができるので、スプリングバック現象によりフレキシブルプリントケーブル28が戻っても、ケーブル取付け面16からフレキシブルプリントケーブル28が浮き上がることはない。すなわち、圧入ピン4の直径に対する長穴12の幅の比率の変動に対して、図10もしくは図11に示すような形状で、フレキシブルプリントケーブル28をケーブル取付け面16に安定して固定できる。
【0040】
以上のようにして、コイル29を接着した後、フレキシブルプリントケーブル28の長穴12を圧入ピン4に差し込むと、レンズ枠21に関する組立は完了する。図7はこの時の外観図である。このようにして組み立てたフォーカスレンズ・ユニットを、レンズ鏡筒に組み付ける方法について、引き続き説明を加える。
初めに、後部レンズ鏡筒23に、ガイドシャフト24a、24bを挿入し、さらに駆動用マグネット25を接着したメインヨーク26を、接着・圧入・ネジ止め等の方法により固定する。次に、ガイドシャフト24a、24bに沿うように、フォーカスレンズ・ユニットを挿入する。
【0041】
この際、拘束手段であるところの立ち上げ突起5によって、フレキシブルプリントケーブル28は、レンズ枠21のCCD側から光軸方向に平行な方向(Z軸の負の方向)に引き出している。そこで、拘束手段であるところの立ち上げ突起5による曲げ方向と逆方向に180°以上に渡って屈曲させ、レンズ保持手段であるところのレンズ枠21を挟んで光軸方向について反対側に折り返し、レンズ枠21の上側(Y軸の正の方向)を超えて、固定レンズ枠42側の方に湾曲させる。さらに光軸方向とほぼ直角な方向にまでフレキシブルプリントケーブル28を導きつつ、フォーカスレンズ・ユニットを挿入する。そして、後部レンズ鏡筒23の開放面40に設けた引き出し溝3にフレキシブルプリントケーブル28を収納する。
【0042】
この際、フレキシブルプリントケーブル28には、引き出し溝3よりも幅が広くなった位置決め突起13a、13bを設けているので、引き出し溝3にフレキシブルプリントケーブル28を収納した後、長手方向(Y軸方向)に引っ張ることにより、その方向の位置決めを行うことができる。そして、サイドヨーク27をメインヨーク26に取り付けて、駆動用マグネット25による磁気回路を閉じる。
【0043】
なお、フレキシブルプリントケーブル28は立ち上げ突起5によってレンズ枠21から引き出している。フレキシブルプリントケーブル28の長手方向に対して直角な方向に、フォーカスレンズ22から距離を置いて、立ち上げ突起5を配置しているので、上記のようにフレキシブルプリントケーブル28を湾曲させても、フォーカスレンズ22を通る光束をさえぎることはない。また、フレキシブルプリントケーブル28には、曲線部14を設けているので、図3に示すように軸受け部9とフレキシブルプリントケーブル28は干渉しない。すなわち、レンズ枠21が固定レンズ枠42の方に移動しても、フレキシブルプリントケーブル28が軸受け部9と接触しないように構成している。
【0044】
この後、固定レンズ枠42を光軸方向(Z軸方向)前方から開放面40に、ネジ止め等によって密着して取り付ける。すると、固定レンズ枠42に設けたケーブル支持突起43が、引き出し溝3との間にフレキシブルプリントケーブル28を挟み込み固定する。同時に、ケーブル支持突起43の下方(Y軸の負の方向)に設けたケーブル押え44により、フレキシブルプリントケーブル28がさらに折り曲げられ、光軸方向(Z軸の負の方向)に導かれる。これによって、フレキシブルプリントケーブル28を後部レンズ鏡筒23に沿わせることができるので、組立完了後のレンズ鏡筒の取り扱いが容易になる。また、レンズ鏡筒を装置に組み込む際に余分なスペースが不要となり、装置の小型化が可能となる。しかも、ケーブル押え44は水平面(Z−X平面)に対してX軸回りにわずかに傾いた傾斜面45を有しているので、固定レンズ枠42を光軸方向(Z軸方向)前方からネジ止め等によって密着して取り付けるだけで、フレキシブルプリントケーブル28が自動的に折り曲げられる。この際、フレキシブルプリントケーブル28をその長手方向に引っ張る力が発生するので、位置決め突起13a、13bが後部レンズ鏡筒23に接触する位置までフレキシブルプリントケーブル28が引き出され、その方向の位置決めも自動的に行われる。
【0045】
以上のようにして組み立てたレンズ鏡筒の動作について、さらに説明を続ける。図13と図14は、レンズ鏡筒を側面から見た図で、レンズ枠21、固定レンズ枠42については、ガイドシャフト24aの中心軸を通る平面で切断した時の断面図として表示している。図13はレンズ枠21がCCDユニット2に最も近づいた時の状態を示しており、図14はレンズ枠21が固定レンズ枠42に最も近づいた時の状態を示している。
【0046】
コイル29は、駆動用マグネット25とメインヨーク26およびサイドヨーク27からなる閉磁気回路の中にあるので、制御回路からの制御出力によってコイル29に駆動電流が供給されると、光軸方向に磁気的推進力が生じる。推進力の正負の方向は、コイル29に供給する駆動電流の向きによって決まり、レンズ枠21が光軸方向に移動動作する。そして、ホルダ1の磁気抵抗素子の出力からレンズ枠21の位置を検出し、制御回路がコイル29に電流を通電する際にクローズド・ループを形成して、レンズ枠21の高精度な位置決めが可能となる。
【0047】
図13の状態において、レンズ枠21のCCD側から光軸方向に平行な方向(Z軸の負の方向)に引き出されたフレキシブルプリントケーブル28は、180°以上に渡って屈曲し、可動部材であるところのレンズ枠21を挟んで光軸方向について反対側に折り返され、レンズ枠21の上側(Y軸の正の方向)を超えて、固定レンズ枠42側の方に滑らかに湾曲している。ここで、フレキシブルプリントケーブル28のY軸正方向に最も突き出た位置を湾曲部頂点A、Z軸負方向に最も突き出た位置を湾曲部頂点Bと呼ぶことにする。
【0048】
次に、フレキシブルプリントケーブル28の湾曲部頂点Aに注目して、図13と図14を比較すると、湾曲部頂点Aの高さ方向(Y軸方向)の位置は、ほとんど変化していないことがわかる。これは、以下のような理由による。フレキシブルプリントケーブル28は、第1の固定手段であるところの引き出し溝3とケーブル支持突起43により、後部レンズ鏡筒23に固定されている。可動部材であるところのレンズ枠21が図13の状態から左側に動くと、第1の固定手段と可動部材との光軸方向(Z軸方向)の距離が短くなる。両者の間のフレキシブルプリントケーブル28の長さは常に一定であるので、Z軸方向の距離が短くなった分だけ、フレキシブルプリントケーブル28が、何れかの方向に突き出る必要がある。
【0049】
本実施の形態においては、可動部材としてのレンズ枠21から、光軸方向に平行な方向(Z軸の負の方向)にフレキシブルプリントケーブル28を引き出しているので、光軸方向(Z軸の負方向)に突き出るようにフレキシブルプリントケーブル28が変形する。すなわち、湾曲部頂点Bがレンズ枠21に対して相対的にZ軸方向に移動し、レンズ枠21と湾曲部頂点BとのZ軸方向の距離が図14のように広がるだけで、湾曲部頂点Aの高さ方向(Y軸方向)の位置は変化しないのである。湾曲部頂点BのZ軸方向への相体移動量は、可動部材であるところのレンズ枠21の移動量の約1/2となる。
【0050】
従って、レンズ枠21が図13の状態から左側に動いて、レンズ枠21と湾曲部頂点BとのZ軸方向の距離が広がっても、既に図13の状態で確保しているスペース内に、フレキシブルプリントケーブル28を必ず収めることができる。
次に、フレキシブルプリントケーブル28が、レンズ保持手段であるところのレンズ枠21に及ぼす反力について説明を続ける。フレキシブルプリントケーブル28が及ぼす反力の大きさは、これを曲げる角度に比例し、曲げ半径の逆数に比例する。図13および図14に示すように、湾曲部頂点A近傍と、湾曲部頂点B近傍において、曲げ半径が小さくなっており、曲げ角度は合計で270°程度になる。しかしながらレンズ枠21には、第2の固定手段であるところの圧入ピン4を設けて、フレキシブルプリントケーブル28を、固定平面であるところのケーブル取付け面16に固定すると共に、拘束手段であるところの立ち上げ突起5を設けているので、湾曲部頂点AおよびB近傍とは逆方向に、フレキシブルプリントケーブル28を90°近く曲げている。しかも拘束手段であるところの立ち上げ突起5は、第2の固定手段であるところの圧入ピン4の近傍に設けているので、曲げ半径はさらに小さくなる。
【0051】
このため、湾曲部頂点AおよびB近傍での曲げによる反力と、立ち上げ突起5における曲げによる反力がキャンセルしあって、レンズ枠21に及ぼす反力を極めて小さくすることができる。
上述のように、レンズ枠21を図13の状態から左側に移動させた場合、フレキシブルプリントケーブル28は、より光軸方向(Z軸の負方向)に突き出るように変形しようとする。このため、図13と図14を比較するとわかるように、湾曲部頂点AおよびB近傍における曲げ半径は、レンズ枠21の位置によらず、ほぼ一定の状態を保つことができる。
【0052】
一方、立ち上げ突起5における曲げについては、第2の固定手段としての圧入ピン4と、拘束手段としての立ち上げ突起5の位置関係だけで曲げ半径が決まるので、レンズ枠21の位置には依存しない。したがって、レンズ枠21が移動しても、フレキシブルプリントケーブル28の曲げ半径の小さな部分、換言すればレンズ枠21及ぼす反力の主要発生部分を、ほぼ一定の曲げ半径に保つことができるのである。これにより、レンズ枠21に加わる反力の変動を極めて小さくすることができる。
【0053】
図15は、本実施の形態のレンズ鏡筒において、レンズ枠21を駆動した際に、これに加わる負荷を測定した結果を示している。この測定では、自重1.2gのフォーカスレンズ・ユニットを、3mm/秒の一定速度で、ストローク4.5mmの間を往復移動させた際に、コイル29に流れる電流値の変化から、負荷の変動を測定したものである。横軸は、図13の状態(レンズ枠21がCCDユニット2に最も近づいた時の状態)を原点として、そこからレンズ枠21が移動した距離である。縦軸は、レンズ枠21に加わる負荷の大きさを示しており、軸方向反力51と摺動抵抗52に分けて測定結果を表示している。
【0054】
軸方向反力51は、フレキシブルプリントケーブル28がレンズ枠21に及ぼす反力のうち、光軸方向に平行な成分である。図15を見ると、軸方向反力51は最大でも0.05gfであり、可動部材の自重1.2gに対して十分に小さいことがわかる。すなわち、湾曲部頂点AおよびB近傍での曲げによる反力と、立ち上げ突起5における曲げによる反力がキャンセルしあって、フレキシブルプリントケーブル28がレンズ枠21に及ぼす反力が極めて小さくなっているのである。
【0055】
一方、摺動抵抗52は摩擦力等によりレンズ枠21の移動方向と反対方向に加わる負荷である。通常、摩擦力は自重と摩擦係数にのみ依存する。ただし、フレキシブルプリントケーブル28がレンズ枠21に及ぼす反力のうち、光軸方向と直角な方向の成分が存在すると、見かけ上、自重が変化することになる。このため、反力の大きさと向きに応じて、摩擦力も変化することになる。しかし、図15に示すように本実施の形態のレンズ鏡筒においては、約0.2gfで一定値を保っていることがわかる。すなわち、フレキシブルプリントケーブル28において、反力の主要発生部分を、ほぼ一定の曲げ半径に保つことができるので、レンズ枠21に加わる反力の変動が極めて小さくできるのである。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態のリニアアクチュエータおよびこれを用いたレンズ鏡筒においては、レンズ枠21から光軸方向に平行な方向に引き出したフレキシブルプリントケーブル28を、180°以上に渡って屈曲させ、レンズ枠21を挟んで光軸方向について反対側に折り返し、さらに光軸方向とほぼ直角な方向にまでフレキシブルプリントケーブル28を導き、引き出し溝3とケーブル支持突起43により、後部レンズ鏡筒23に固定しているので、フレキシブルプリントケーブル28の湾曲部頂点Aの高さ方向の移動量が極めて小さいという特徴を有している。すなわち、従来例のようにフレキシブルプリントケーブル28の湾曲部頂点AがY軸方向に移動する範囲をスペースとして用意する必要がなく、リニアアクチュエータおよびこれを用いたレンズ鏡筒の小型化が可能になるという効果がある。
また、レンズ枠21に圧入ピン4を設けて、フレキシブルプリントケーブル28をケーブル取付け面16に固定すると共に、圧入ピン4の近傍に設けた立ち上げ突起5により、フレキシブルプリントケーブル28を90°近く曲げて、光軸方向に平行な方向に引き出している。そして、立ち上げ突起5による曲げ方向と逆方向に、180°以上に渡って屈曲させ、レンズ保持手段であるところのレンズ枠21を挟んで光軸方向について反対側に折り返し、さらに光軸方向とほぼ直角な方向にまでフレキシブルプリントケーブル28を導き、引き出し溝3とケーブル支持突起43により、後部レンズ鏡筒23に固定している。このように曲げの方向を逆にすることにより、反力を相互にキャンセルすることができるので、フレキシブルプリントケーブル28がレンズ枠21に及ぼす反力を極めて小さくすることができる。
【0057】
その結果、リニアアクチュエータがレンズ枠21を駆動する際の負荷も小さくできるので、リニアアクチュエータの小型化が可能となり、レンズ鏡筒の小型化・軽量化が可能になるという効果がある。加えて、フレキシブルプリントケーブル28において、反力の主要発生部分を、ほぼ一定の曲げ半径に保つことができるので、レンズ枠21に加わる反力の変動も小さくすることができ、レンズ枠21の移動状態を容易かつ精密に制御することが可能になるという効果もある。
【0058】
また、長穴12の幅は圧入ピン4の直径よりも狭く構成しているので、長穴12を圧入ピン4に差し込むだけで、フレキシブルプリントケーブル28をケーブル取付け面16に固定することができる。さらに、圧入ピン4の近傍に立ち上げ突起5を設けると共に、中心軸が圧入ピン4から立ち上げ突起5に向かう方向にほぼ直交し、一端の接平面がほぼ光軸方向と平行になるガイド曲面6を立ち上げ突起5に設けたので、長穴12を圧入ピン4に差し込むだけで、フレキシブルプリントケーブル28を90°近く曲げて、レンズ枠21から光軸方向に平行な方向に引き出すことができる。
【0059】
すなわち、長穴12を圧入ピン4に差し込むという極めて簡単な作業だけで、フレキシブルプリントケーブル28をケーブル取付け面16に固定する作業と、フレキシブルプリントケーブル28を曲げる作業とを、同時に完了することができ、組立作業時間を大幅に短縮することができ、製造コストの低減が可能になるという顕著な効果がある。
【0060】
さらに、長穴12の長辺の方向は、フレキシブルプリントケーブル28の長手方向とほぼ平行になるように構成しているので、長穴12を圧入ピン4に差し込む際に、フレキシブルプリントケーブル28の弛みを吸収することができ、ケーブル取付け面16からフレキシブルプリントケーブル28が浮き上がらないように組み立てることができる。
【0061】
加えて、ケーブル取付け面16から円錐状にへこんだ凹部15を設けたので、スプリングバック現象により長穴12周辺のフレキシブルプリントケーブル28が戻っても、ケーブル取付け面16からフレキシブルプリントケーブル28が浮き上がらないように組み立てることができる。すなわち、これらの構成によりフレキシブルプリントケーブル28のケーブル取付け面16への固定を確実に行うことができるので、不良率が低減でき、安価なレンズ鏡筒の製造が可能になるという効果がある。
【0062】
また、レンズ枠21に、コイル29の挿入方向(Z軸方向)の位置決めを行うためのコイル当接面17と、挿入方向に直角な2方向(X軸、Y軸方向)の位置決めを行うコイル保持突起7を設けるているので、フレキシブルプリントケーブル28を接着したコイル29を、コイル保持突起7に沿って挿入するだけで位置決めが行え、容易かつ正確に接着することができる。これによって、コイル29をレンズ枠21に接着する前に、コイル29の両端を、フレキシブルプリントケーブル28の端子に半田付けすることができる。したがって、半田付け作業時には、レンズ枠21への熱の流入や、フォーカスレンズ22への光学性能に有害な物質の飛散といった問題は起きず、作業性・生産性を大幅に向上できるという効果もある。
【0063】
また、フレキシブルプリントケーブル28は、補強板10に設けたカット部11から、コイル29をコイル保持突起7に挿入する方向(Z軸方向)に伸長するように構成している。さらに、レンズ枠21にはケーブル取付け面16を、コイル当接面17よりも挿入方向手前側に設けている。このため、コイル29をコイル保持突起7に沿って挿入するだけで、光軸方向と直角な固定平面であるケーブル取付け面16に沿った状態になるまで、フレキシブルプリントケーブル28を曲げることができる。したがって、コイル29の接着工程の前に、フレキシブルプリントケーブル28を曲げる工程を実施する必要がなく、製造コストを低減できるという効果がある。
【0064】
また、ケーブル支持突起43の下方に、水平面に対してわずかに傾いた傾斜面45を有するケーブル押え44を設けたので、固定レンズ枠42を後部レンズ鏡筒23に光軸方向前方から取り付けるだけで、フレキシブルプリントケーブル28を自動的に折り曲げることができる。したがって、フレキシブルプリントケーブル28を前もって曲げる工程を実施する必要がなく、製造コストを低減できるという効果がある。
【0065】
さらに、フレキシブルプリントケーブル28を折り曲げると同時に、長手方向に引っ張る力が発生する。フレキシブルプリントケーブル28には、位置決め突起13a、13bを設けているので、これらが後部レンズ鏡筒23に接触する位置までフレキシブルプリントケーブル28が引き出され、その方向の位置決めも自動的に行うことができる。すなわち、容易かつ短時間にフレキシブルプリントケーブル28の折り曲げ作業と位置決め作業が完了でき、製造コストをさらに低減できるという効果がある。
【0066】
なお本発明は上記実施の形態を用いて説明したビデオカメラの移動レンズ群を駆動するリニアアクチュエータに限るものではなく、ハードディスクや光磁気ディスクなどの記録再生機器、プロッターやプリンタなどの印刷機器、ロボットなど産業機器の分野で用いられるリニアアクチュエータにも適用でき、これと同様の効果を上げることが可能である。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、フレキシブルプリントケーブルの固定平面に凹部を設けるとともにその凹部の中央から直立したピンを設け、フレキシブルプリントケーブルには前記ピンの直径に対して幅を80%から90%に設定した長穴をその長辺の方向がフレキシブルプリントケーブルの長手方向になるように設け、前記フレキシブルプリントケーブルの長穴を前記ピンに挿入し、かつそのフレキシブルプリントケーブルを前記固定平面よりもへこんだ凹部内に押しつけてその長穴周囲のフレキシブルプリントケーブルの弾性変形によるピンへの圧接によりフレキシブルプリントケーブルを固定するようにしたため、スプリングバック現象によりフレキシブルプリントケーブルが戻ってもこれが前記固定平面から浮き上がるようなことがなくなり、安定に固定することができる。
また、フレキシブルプリントケーブルに設けた穴は長穴であるためにこれをピンに差し込む際に、フレキシブルプリントケーブルの弛みを吸収し、フレキシブルプリントケーブルの浮き上がりがこの長穴によっても防止されるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒を示す分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒を示す分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒の内部構造を説明するための、一部断面を含むレンズ鏡筒を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態におけるコイルとフレキシブルプリントケーブルの組立方法を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態におけるコイルとフレキシブルプリントケーブルの組立方法を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態におけるコイルとレンズ枠の組立方法を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態におけるコイルとレンズ枠の組立方法を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリントケーブルの曲げ方法を示すレンズ枠の拡大側面図
【図9】フレキシブルプリントケーブルの固定方法を示す断面図
【図10】フレキシブルプリントケーブルの固定方法を示す断面図
【図11】フレキシブルプリントケーブルの固定方法を示す断面図
【図12】フレキシブルプリントケーブルの固定方法を示す断面図
【図13】本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒を側面から見た一部断面図
【図14】本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒を側面から見た一部断面図
【図15】本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒について負荷を実測した結果を示す図
【図16】従来例のレンズ鏡筒を側面から見た一部断面図
【図17】従来例のレンズ鏡筒を側面から見た一部断面図
【符号の説明】
1 ・・・・・・・ ホルダ
2 ・・・・・・・ CCDユニット
3 ・・・・・・・ 引き出し溝
4 ・・・・・・・ 圧入ピン
5 ・・・・・・・ 立ち上げ突起
6 ・・・・・・・ ガイド曲面
7 ・・・・・・・ コイル保持突起
8a、8b ・・・・・・・ 接着溝
9 ・・・・・・・ 軸受け部
10 ・・・・・・・ 補強板
11 ・・・・・・・ カット部
12 ・・・・・・・ 長穴
13a、13b ・・・・・・・ 位置決め突起
14 ・・・・・・・ 曲線部
15 ・・・・・・・ 凹部
16 ・・・・・・・ ケーブル取付け面
17 ・・・・・・・ コイル当接面
21 ・・・・・・・ レンズ枠
22 ・・・・・・・ フォーカスレンズ
23 ・・・・・・・ 後部レンズ鏡筒
24a、24b ・・・・・・・ ガイドシャフト
25 ・・・・・・・ 駆動用マグネット
26 ・・・・・・・ メインヨーク
27 ・・・・・・・ サイドヨーク
28 ・・・・・・・ フレキシブルプリントケーブル
29 ・・・・・・・ コイル
30 ・・・・・・・ 磁気スケール
40 ・・・・・・・ 開放面
41 ・・・・・・・ 補正用レンズ群
42 ・・・・・・・ 固定レンズ枠
43 ・・・・・・・ ケーブル支持突起
44 ・・・・・・・ ケーブル押え
45 ・・・・・・・ 傾斜面

Claims (3)

  1. 可動部材に設けたコイルにフレキシブルプリントケーブルにより通電するリニアアクチュエータであって、前記可動部材の平面に凹部を設けるとともにその凹部の中央から直立したピンを設け、前記フレキシブルプリントケーブルに前記ピンの直径に対して幅を80%から90%に設定した長穴をその長辺の方向がフレキシブルプリントケーブルの長手方向になるように設け、前記フレキシブルプリントケーブルの長穴を前記ピンに挿入し、かつそのフレキシブルプリントケーブルを前記可動部材の平面よりもへこんだ凹部内に押しつけてその長穴周囲のフレキシブルプリントケーブルの弾性変形によるピンへの圧接によりフレキシブルプリントケーブルを可動部材に固定したことを特徴とするリニアアクチュエータ。
  2. ヨークとマグネットからなる固定子と、ガイドに沿って光軸方向に移動自在のレンズ保持手段と、前記レンズ保持手段に設けたコイルからなる可動子と、前記レンズ保持手段を光軸方向に駆動するために前記コイルに電流を通電するフレキシブルプリントケーブルを備え、前記レンズ保持手段のケーブル取付け面に凹部を設けるとともにその凹部の中央から直立したピンを設け、前記フレキシブルプリントケーブルには前記ピンの直径に対して幅を80%から90%に設定した長穴をその長辺の方向がフレキシブルプリントケーブルの長手方向になるように設け、前記フレキシブルプリントケーブルの長穴を前記ピンに挿入し、かつそのフレキシブルプリントケーブルを前記ケーブル取付け面よりもへこんだ凹部内に押しつけてその長穴周囲のフレキシブルプリントケーブルの弾性変形によるピンへの圧接によりフレキシブルプリントケーブルをレンズ保持手段に固定したことを特徴とするレンズ鏡筒。
  3. フレキシブルプリントケーブルを固定する固定平面に凹部を設けるとともにその凹部の中央から直立したピンを設け、前記フレキシブルプリントケーブルに前記ピンの直径に対して幅を80%から90%に設定した長穴をその長辺の方向がフレキシブルプリントケーブルの長手方向になるように設け、前記フレキシブルプリントケーブルの長穴を前記ピンに挿入し、かつそのフレキシブルプリントケーブルを前記固定平面よりもへこんだ凹部内に押しつけてその長穴周囲のフレキシブルプリントケーブルの弾性変形によるピンへの圧接によりフレキシブルプリントケーブルを固定平面に固定したことを特徴とするフレキシブルプリントケーブルの固定装置。
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