JP3671078B2 - 金属鋳造法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、金型のキャビティ内に溶融金属を供給した後に、溶融金属の凝固収縮分を補うべく加圧子を押し込んでキャビティ内の溶融金属に圧力を加えるようにした金属鋳造法に関するものである。
【0002】
【技術的背景】
ダイカスト鋳造法などにより製品を鋳造する場合、金型のキャビティ内に供給された溶融金属は金型との接触表面から急速に凝固が進行するので、鋳造製品の一部に肉厚部が存在するとその製品肉厚部に鋳巣が発生しやすく、また製品肉厚部には凝固収縮に伴うひけ巣が発生しやすいことが知られている。
【0003】
【従来の技術】
その対策として従来では、金型のキャビティ内に溶融金属を供給した後に、製品肉厚部内に加圧子を押し込んでキャビティ内の溶融金属に圧力を加えていた。しかし乍ら実際には、加圧子を押し込むタイミングの取り方が非常に難しく、溶融金属がキャビティ表面に接触している外周部分から早期に凝固してしまって加圧子を押し込めなくなったり、逆に加圧子を早く押し込み過ぎて加圧子による押し湯効果をあまり期待できない等の不具合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な従来の不具合に鑑みてなされたものであり、加圧子による確実かつ効果的な押し湯効果を期待し得ると共に、押し込んだ加圧子を容易且つ確実に引き抜くことが出来る金属鋳造法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
斯る目的を達成する本発明の金属鋳造法は、金型のキャビティ内に溶融金属を供給した後に加圧子を押し込んでキャビティ内の溶融金属に圧力を加えるようにした金属鋳造法において、製品部以外の部分に押し湯部を設け、該押し湯部内周と加圧子外周との間に帽子状部を形成するための空隙を設定すると共に、前記押し湯部の内周面又は前記加圧子の外周面に、前記加圧子の進退方向に沿って凸条を形成してなる事を特徴としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1ないし図3に示した実施例のものは、金型キャビティ内の溶融金属に圧力を加えるための加圧子1を、固定型2と可動型3とで形成されるキャビティ4に続く湯口部分に向けて進退自在に設置したものである。従ってこの実施例の場合、金型(固定型2,可動型3)の湯口部分が、製品部以外の部分に設けられる押し湯部5となる。
【0007】
尚、この図示実施例の場合、押し湯部5すなわち湯口部分は金型(固定型2,可動型3)に対して交換可能なように、嵌め込み式に構成されたブロックとなっている。
【0008】
加圧子1は、固定型2側に取付け固定された加圧スリーブ6に摺動自在に嵌挿され、先端部分が押し湯部5すなわち湯口部分に向けて進退自在なるように設置されている。
【0009】
そして、加圧子1の外周と押し湯部5の内周との間には、製品部S1 以外の部分に図4に示す如き帽子状部S2 を形成(鋳造)するための空隙7を設定する。
即ち、押し湯部5の内径を加圧子1の外径よりも十分大きく形成して、加圧子1を押し湯部5内に押し込んだ際に加圧子1の外周に略帽子形状をした帽子状部S2 が形成(鋳造)されるようにするものである。
【0010】
この際、空隙7の幅としては2mm〜5mm程度に設定することが好ましい。空隙7の幅が2mm以下では、当該部分に在る溶融金属が早期に凝固して加圧子1を押し込めなくなってしまうことがあり、かと言って空隙7の幅を5mm以上にすると当該部分で形成(鋳造)される帽子状部S2 の肉厚(量)がいたずらに増加して材料(溶融金属)の無駄使いとなり好ましくない。
【0011】
また、押し湯部5の内周面又は加圧子1の外周面、図示実施例にあっては押し湯部5の内周面に、加圧子1の進退方向に沿って凸条8を形成せしめる。
この凸条8は、上記空隙7の部分で形成(鋳造)される帽子状部S2 の外側又は内側に、長手方向すなわち加圧子1の進退方向に沿って凹溝S3 を形成して当該帽子状部S2 の凝固収縮に伴う加圧子1に対する抱き付き力を軽減させるためのものであり、上記空隙7の幅(2mm〜5mm)と同じか少し小さい高さを有する横断面略三角山形に形成すると共に、加圧子1が進入する距離のほぼ全長にわたって1箇所又は2箇所以上(図示実施例にあっては2箇所)に形成する。
尚、凸条8を2箇所以上に形成する場合には、当然のことながら固定型2と可動型3が型開きできるように配置する。
【0012】
而して、鋳造に際しては、金型(固定型2,可動型3)を型閉めした後、溶融金属を加圧スリーブ6の中腹に開口した溶湯流入口9から加圧スリーブ6内に導入させ、湯口部分(押し湯部5)から湯道10を通してキャビティ4内に供給充満させる。
【0013】
然る後、加圧子1を前進動作させてその先端部分を押し湯部5(湯口部分)内に押し込み進入させると、キャビティ4内の溶融金属が押し湯部5(湯口部分)内に在った溶融金属を介して加圧され、その状態でキャビティ4内の溶融金属が凝固して製品が鋳造される。
【0014】
他方、製品が鋳造されると同時に、加圧子1の外周と押し湯部5の内周との間で形成された空隙7の部分でもって帽子状部S2 が形成(鋳造)され、湯道10の部分でもってランナー部S4 が形成(鋳造)され、そして帽子状部S2 の外側(又は内側)には押し湯部5の内周面(又は加圧子1の外周面)に形成せしめた凸条8でもって長手方向すなわち加圧子1の進退方向に沿って凹溝S3 が形成される。(図4参照)
【0015】
そして、加圧子1を元の位置に後退させて、金型(固定型2,可動型3)を型開きし、キャビティ4から鋳造した製品(製品部S1 )を取り出す。すると、鋳造製品と一体にランナー部S4 及び帽子状部S2 が金型(固定型2,可動型3)から離型される。製品部S1 と共に金型から取り出した帽子状部S2 及びランナー部S4 は、プレス機等でもって製品部S1 から分離される。
【0016】
尚、以上の説明では、キャビティ4に続く湯口部分に押し湯部5を設定したが、図5に示した如く、加圧子1を製品部S1 好ましくは製品肉厚部の近傍にあって製品部以外の部分に設けた湯溜り様の押し湯部5に向けて進退自在に設置したものにも同様に適用可能であることは以上の説明で理解されるだろう。
【0017】
【発明の効果】
本発明に係る金属鋳造法は斯様に、押し湯部内周と加圧子外周との間に帽子状部S2 を形成(鋳造)するための空隙を設定したので、加圧子を押し湯部内に押し込む際に押し湯部と加圧子の間に十分な量の溶融金属を保持することが可能となる。すなわち、帽子状部S2 の外周部分が早期に凝固しても帽子状部S2 の内部は半凝固状態となっているので、加圧子を押し湯部内に押し込めなくなるような惧れがなくなり、従って加圧子による確実かつ効果的な押し湯効果を期待することが出来る。
【0018】
しかも、押し湯部の内周面又は加圧子の外周面には、加圧子の進退方向に沿って凸条を形成せしめたので、加圧子外周と押し湯部内周との間の空隙部分で形成(鋳造)される帽子状部S2 が凝固収縮して加圧子の外周に抱き付いても、押し湯部内に押し込んだ加圧子を容易且つ確実に引き抜くことが出来る。
即ち、加圧子の外周に作用する帽子状部S2 の抱き付き力(凝固収縮力)は、帽子状部S2 の肉厚により殆ど決まるが、帽子状部S2 の外側又は内側には凸条でもって加圧子の進退方向に沿って凹溝S3 が形成されているため、実際に加圧子に作用する抱き付き力(凝固収縮力)は凹溝S3 の部分で緩和され、場合によっては凝固収縮の際に凹溝S3 が長手方向に割れてしまい、よって帽子状部S2 が凝固収縮して加圧子の外周に抱き付いても、押し湯部内に押し込んだ加圧子を容易且つ確実に引き抜くことが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する装置の一例を示す正面図。
【図2】 図1の(X)−(X)線拡大断面図。
【図3】 図1の(Y)−(Y)線拡大断面図。
【図4】 本発明の方法で形成(鋳造)されたランナー部S4 と帽子状部S2 の部分の斜視図。
【図5】 本発明の他の実施例を説明する断面図。
【符号の説明】
1:加圧子 2:固定型 3:可動型
4:キャビティ 5:押し湯部 6:加圧スリーブ
7:空隙 8:凸条 9:溶湯流入口
10:湯道 S1 :製品部 S2 :帽子状部
S3 :凹溝 S4 :ランナー部
Claims (1)
- 金型のキャビティ内に溶融金属を供給した後に加圧子を押し込んでキャビティ内の溶融金属に圧力を加えるようにした金属鋳造法において、製品部以外の部分に押し湯部を設け、該押し湯部内周と加圧子外周との間に帽子状部を形成するための空隙を設定すると共に、前記押し湯部の内周面又は前記加圧子の外周面に、前記加圧子の進退方向に沿って凸条を形成してなる事を特徴とする金属鋳造法。
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JP31903895A JP3671078B2 (ja) | 1995-12-07 | 1995-12-07 | 金属鋳造法 |
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JP31903895A JP3671078B2 (ja) | 1995-12-07 | 1995-12-07 | 金属鋳造法 |
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1995
- 1995-12-07 JP JP31903895A patent/JP3671078B2/ja not_active Expired - Fee Related
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