JP3670209B2 - プラズマ処理装置の性能評価方法、保守方法、性能管理システム、及び性能確認システム、並びにプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理装置の性能評価方法、保守方法、性能管理システム、及び性能確認システム、並びにプラズマ処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ処理装置の性能評価方法、保守方法、性能管理システム、及び性能確認システム、並びにプラズマ処理装置に係り、特に、プラズマ処理装置が継続的に所望の性能を維持し続けることに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
CVD( chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうプラズマ処理装置の一例としては、従来から、図40に示すような、いわゆる2周波励起タイプのものが知られている。
図40に示すプラズマ処理装置は、高周波電源1とプラズマ励起電極4との間に整合回路2Aが介在されている。整合回路2Aはこれら高周波電源1とプラズマ励起電極4との間のインピーダンスの整合を得るための回路として設けられている。
【0003】
高周波電源1からの高周波電力は整合回路2Aを通して給電板3によりプラズマ励起電極4へ供給される。この整合回路2Aは導電体からなるハウジングにより形成されるマッチングボックス2内に収納されており、プラズマ励起電極4および給電板3は、導体からなるシャーシ21によって覆われている。
プラズマ励起電極(カソード電極)4の下側には環状の凸部4aが設けられるとともに、このプラズマ励起電極(カソード電極)4の下には、多数の孔7が形成されているシャワープレート5が凸部4aに接して設けられている。これらプラズマ励起電極4とシャワープレート5との間には空間6が形成されている。この空間6にはガス導入管17が接続されており、導体からなるガス導入管17の途中には絶縁体17aが挿入されてプラズマ励起電極14側とガス供給源側とが絶縁されている。
【0004】
ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の孔7を介してチャンバ壁10により形成されたチャンバ室60内に供給される。なお、符号9はチャンバ壁10とプラズマ励起電極(カソード電極)4とを絶縁する絶縁体である。また、排気系の図示は省略してある。
一方、チャンバ室60内には基板16を載置しプラズマ励起電極ともなるウエハサセプタ(サセプタ電極)8が設けられておりその周囲にはサセプタシールド12が設けられている。
【0005】
サセプタシールド12はサセプタ電極8を受けるシールド支持板12Aと、このシールド支持板12Aの中央部に垂下形成された筒型の支持筒12Bとからなり、支持筒12Bはチャンバ底部10Aを貫通して設けられるとともに、この支持筒12Bの下端部とチャンバ底部10Aとがベローズ11により密閉接続されている。ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、これらの隙間がシャフト13の周囲の設けられた電気絶縁物からなる絶縁手段12Cによって真空絶縁されるとともに電気的にも絶縁されている。また、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、ベローズ11により上下動可能となっており、プラズマ励起電極4,8間の距離の調整ができる。
ウエハサセプタ8には、シャフト13およびマッチングボックス14内に収納された整合回路を介して第2の高周波電源15が接続されている。なお、チャンバ壁10とサセプタシールド12とは直流的に同電位となっている。
【0006】
図41に従来のプラズマ処理装置の他の例を示す。図40に示すプラズマ処理装置とは異なり、図41に示すプラズマ処理装置は1周波励起タイプのプラズマ処理装置である。すなわち、カソード電極4にのみ高周波電力を供給しており、サセプタ電極8は接地されている。図40で示される高周波電源15とマッチングボックス14が省略されている。また、サセプタ電極8とチャンバ壁10とは直流的に同電位となっている。
【0007】
上記のプラズマ処理装置においては、一般的に13.56MHz程度の周波数の電力を投入して、両電極4,8の間でプラズマを生成し、このプラズマにより、CVD(chemical vapor deposition )、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうものである。
しかし、上記のプラズマ処理装置においては、電力消費効率(高周波電源1からプラズマ励起電極4に投入した電力に対してプラズマ中で消費された電力の割合)は必ずしも良好ではない。特に、高周波電源から供給される周波数が高くなるほど、プラズマ処理装置における電力消費効率の低下が顕著である。同時にまた、基板サイズが大きくなるほどその低下が顕著である。
その結果、電力消費効率が低いことにより、プラズマ空間で消費される実効的な電力が上がらないため、成膜速度が遅くなる、また、たとえば絶縁膜の成膜の場合にあってはより絶縁耐圧の高い絶縁膜の形成が困難である、という問題点を有している。
【0008】
そして、このようなプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価方法としては、例えば、以下のように実際に成膜等の処理をおこない、この被成膜特性を評価するというような方法でおこなっていた。
(1)堆積速度と膜面内均一性
▲1▼基板上にプラズマCVDにより所望の膜を成膜する。
▲2▼レジストのパターニングをおこなう。
▲3▼膜をドライエッチングする。
▲4▼アッシングによりレジストを剥離する。
▲5▼膜の膜厚段差を触針式段差計により計測する。
▲6▼成膜時間と膜厚から堆積速度を算出する。
▲7▼膜面内均一性は、6インチ基板面内において16ポイントで測定する。
(2)BHFエッチングレート
上記(1)▲1▼〜▲2▼と同様にレジストマスクをパターニングする。
▲3▼BHF液に1分間基板を浸漬する。
▲4▼純水洗浄後乾燥し、レジストを硫酸過水(H2SO4+H22)で剥離する。
▲5▼上記(1)▲5▼と同様段差を計測する。
▲6▼浸漬時間と段差からエッチング速度を算出する。
(3)絶縁耐圧
▲1▼ガラス基板上にスパッタリングにより導電性膜を成膜し、下部電極としてパターニングする。
▲2▼プラズマCVDにより絶縁膜を成膜する。
▲3▼▲1▼と同様の方法で上部電極を形成する。
▲4▼下部電極用にコンタクト孔を形成する。
▲5▼上下電極にプロービングし、I−V特性(電流電圧特性)を測定する。このとき最大電圧として200V程度まで印加する。
▲6▼電極面積を100μm角とし、100pAをよぎるところが、1μA/cm2 に相当するので、この時のVを絶縁耐圧として定義する。
【0009】
さらに、上記のようなプラズマ処理装置に対しては、従来から、半導体および液晶製造に用いられる場合において、プラズマ処理速度(成膜時の堆積速度や、加工速度)が早く生産性が高いこと、そして、被処理基体面内方向におけるプラズマ処理の均一性(膜厚の膜面内方向分布、加工処理ばらつきの膜面内方向分布)に優れていることが、近年、被処理基板(被処理基体)の大型化に伴って、一段と強まっている。また、被処理基板の大型化に伴い、投入電力量もkWオーダーが投入されるまで増大し、電力消費量が増す傾向にある。このため、電源の高容量化に伴い、電源の開発コストが増大するとともに、装置稼働時には電力使用が増すことからランニングコストを削減することが望まれている。
また、電力消費量が増大することは、環境負荷となる二酸化炭素の排出量が増大する。これは、被処理基板の大型化に伴ってさらに放出量が増大するとともに電力消費効率をさらに下げてしまうため電力消費量が増大するので、この二酸化炭素の放出量削減への要求も高くなっている。
一方、プラズマ励起周波数として、従来一般的であった13.56MHzに対して、これを越える30MHz以上のVHF帯の周波数を用いるなど、高周波数化を図ることで、生成するプラズマ密度を向上させることができる。その結果として、プラズマCVDなどの堆積装置においては、成膜時の堆積速度を向上させることができる可能性が示されていた。
【0010】
さらに、上記のようなプラズマチャンバを複数有するプラズマ処理装置に対しては、個々のプラズマチャンバに対して、特に、プラズマ処理室のみならず、整合回路をも含めたプラズマチャンバに対して、プラズマ処理の機差をなくし、異なるプラズマチャンバにおいて処理をおこなった被処理基板においても、プラズマ処理速度(成膜時の堆積速度や、加工速度)や生産性、そして、被処理基体面内方向におけるプラズマ処理の均一性(膜厚の膜面内方向分布等の、処理のばらつきをなくしたいという要求がある。
同時に、プラズマチャンバを複数有するプラズマ処理装置に対しては、個々のプラズマチャンバに対して、供給するガス流量や圧力、供給電力、処理時間等の外部パラメータが等しい同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果が得られることが望まれている。
そして、プラズマ処理装置の新規設置時や調整・保守点検時において、複数のプラズマチャンバごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間の短縮が求められるとともに、このような調整に必要なコストの削減が要求されていた。
【0011】
さらに、上記のようなプラズマ処理装置を複数有するプラズマ処理システムに対しても、同様に、各プラズマ処理装置における個々のプラズマチャンバに対して、プラズマ処理の機差をなくしたいという要求が存在していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のプラズマ処理装置においては、13.56MHz程度の周波数の電力を投入するように設計されており、これ以上の周波数の電力を投入することに対応していない。より具体的には、高周波電力を投入する部分、つまり、プラズマ処理をおこなうプラズマ処理室のみならず整合回路をも含むプラズマチャンバ全体としては、インピーダンス、共振周波数特性等の電気的高周波的な特性が考慮されておらず、13.56MHz程度以上の周波数の電力を投入した場合、電力消費効率があがらず、成膜時に堆積速度を向上することができないばかりか、むしろ、堆積速度が遅くなる場合があったという不具合が生じていた。さらに投入する電力をより高周波数化すると、周波数の上昇に伴って、生成されるプラズマ密度は上昇してピークを迎え、その後、減少に転じて、ついにはグロー放電できなくなってしまい高周波数化の意味がなくなってしまうという不具合が生じていた。
【0013】
プラズマチャンバを複数有するプラズマ処理装置やプラズマ処理システムにおいては、各プラズマチャンバ、つまり、各プラズマ処理室および整合回路の電気的高周波的な特性は、それぞれの機械的な寸法等、その形状によって規定されている。しかし、それぞれのプラズマチャンバを構成する各部品は、製造時における加工上、必ず機械的公差により寸法等のばらつきを有している。そして、これらの各部品を組み立ててプラズマチャンバを製造する段階で、各プラズマチャンバにおける機械的寸法等の形状に、組み立て公差によるばらつきが加わる。さらに、各部品の組み立て後には採寸をすることができない箇所も存在し、プラズマチャンバ全体として当初の設計どおりの電気的高周波的な特性を有するように組み立てが終了したか否か定量的に知りうる手段がなく、各プラズマチャンバの電気的高周波的な特性の機差を知りうる手段がないという問題があった。
【0014】
さらに、機差に対する配慮が充分になされたプラズマ処理装置であっても、プラズマ処理を繰り返すうちに、所望の性能レベルが維持できなくなる可能性や、複数のプラズマチャンバ間の機差が生じる可能性がある。
特に問題なのは、プラズマ処理を繰り返すうちにこのプラズマチャンバの電気的高周波的特性が初期設定状態とずれてしまい、所望のプラズマ処理がおこなえなくなる可能性があることであり、さらに、この電気的高周波的特性が初期設定状態とずれること、つまり、時間経過に伴った機差(時間的な差)がさらに増大するという可能性が存在することである。また、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業をを行った場合には、調整の不備等により調整作業前の性能が維持されておらず、電気的高周波的特性が初期設定状態とずれてしまう可能性があった。さらに、プラズマ処理装置を搬送する際には、一般に、一端分解してから搬送し、搬送先で再組み立てすることが行われている。この場合にも、搬送中の振動や再組み立て作業の不備等により搬送前の性能が維持されておらず、電気的高周波的特性が初期設定状態とずれてしまう可能性があった。
【0015】
そして、このようなプラズマ処理装置の動作確認、および、動作の評価方法として、上記の(1)〜(3)のような動作評価方法を採用した場合には、プラズマ処理装置を作動させることが必要である上に、プラズマ処理装置の設置場所とは別の検査場所などにおいて被処理基板を複数のステップにより処理測定する必要がある。このため、評価結果がでるまでには数日、あるいは数週間がかかり、その期間製造ラインを停止しなかった場合、プラズマ処理をおこなった被処理基板の特性は未知であり、もし、プラズマ処理装置の状態がよくなかった際には、製品としての基準に達しないおそれがあるため、より簡便な方法でプラズマ処理装置の動作を適正な状態に維持したいという要求があった。
【0016】
さらに、プラズマチャンバを複数有するプラズマ処理装置(プラズマ処理システム)に対しては、複数のプラズマチャンバに対して交流抵抗、容量、インピーダンス、共振周波数特性等の電気的高周波的な特性の機差をなくすという設計がなされていないため、個々のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力や、発生するプラズマ密度等がそれぞれ均一になっていない可能性がある。このため、複数のプラズマチャンバに対して同一のプロセスレシピを適用しているにも関わらず、同一のプラズマ処理結果が得られない可能性がある。
したがって、同じプラズマ処理結果を得るためには、個々のプラズマチャンバごとに、それぞれ供給するガス流量や圧力、供給電力、処理時間等の外部パラメータと上記の(1)〜(3)のような評価方法による処理結果とを比較して、これらの相関関係を把握する必要があるが、そのデータ量は膨大なものになり、すべてをおこなうことが困難である。
【0017】
さらに、複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置やプラズマ処理システムに対して上記の(1)〜(3)のような検査方法を採用した場合には、新規設置時や調整・保守点検時において、複数のプラズマチャンバごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし、同一のプロセスレシピにより同一処理結果を得るために必要な調整時間が、月単位で必要となってしまう。このため、調整期間の短縮が求められるとともに、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストが膨大なものになるという問題があった。
【0018】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.プラズマ処理装置の性能が適正に発揮維持されているかどうかを確認するための迅速かつ簡便な評価方法を提供すること。
2.プラズマ処理装置の性能が適正に維持されていない場合に、簡便で迅速な是正可能な保守方法を提供すること。
3.納入先において、プラズマ処理装置の性能が適正に発揮維持されるように管理するための、あるいは、性能が適正に発揮されていない場合には、保守作業を直ちに行えるよう管理するための性能管理システムを提供すること。
4.適正な動作状態に簡便に維持可能なプラズマ処理装置を提供すること。
5.複数のプラズマチャンバに対して整合回路の交流抵抗の電気的高周波的な特性の均一化を図ること。
6.複数のプラズマチャンバに対して同一のプロセスレシピを適用した際に、プラズマ処理結果の均一化を図ること。
7.ランニングコストおよび調整にかかる費用の削減を図るとともに、生産性の向上を図ること。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ処理装置の性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断した状態で、
前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
前記入力端子側交流抵抗RAの、時刻t とその後の時刻t における値RA 、RA の差ΔRAの絶対値を求めるとともに、
前記出力端子側交流抵抗RBの、時刻t とその後の時刻t r における値RB 、RB の差ΔRBの絶対値をそれぞれ求め、
前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍より小さい範囲、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍より小さい範囲の値である場合に、性能を維持していると判断し、前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍以上の値、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍以上の値である場合に、性能を維持していないと判断することにより上記課題を解決した。
本発明のプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断した状態で、
前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
前記入力端子側交流抵抗RAの時刻t における値RA と、前記出力端子側交流抵抗RBの時刻t における値RB とを記憶するサーバーと、
このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置と、を備え、
前記サーバーは、前記RA のその後の時刻t における値RA を前記納入先入出力装置から受信し、前記RA とこのRA との差であるΔRAの絶対値を演算するとともに、前記RB のその後の時刻t における値RB を前記納入先入出力装置から受信し、前記RB とこのRB との差であるΔRBの絶対値を演算し、
前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍より小さい値、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍より小さい値である場合には、性能を維持している旨の信号を、前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍以上の値、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍以上の値である場合には、性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出 力装置に発信することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。ことにより上記課題を解決した。
本発明のプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断した状態で、
前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
前記入力端子側交流抵抗RAの時刻t における値RA と、前記出力端子側交流抵抗RBの時刻t における値RB と、を記憶するサーバーと、
このサーバーの搬送元における出力装置と、
このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置と、を備え、
前記サーバーは、前記RA のその後の時刻t における値RA を前記納入先入出力装置から受信し、前記RA とこのRA との差であるΔRAの絶対値を演算するとともに、前記RB のその後の時刻t における値RB を前記納入先入出力装置から受信し、前記RB とこのRB との差であるΔRBの絶対値を演算し、
前記ΔRAの絶対値と前記RA の値、前記ΔRBの絶対値と前記RB の値の範囲によって決められた1以上の故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報を記憶しており、
前記ΔRAの絶対値と前記ΔRBの絶対値との値が、前記の何れかの故障レベルの範囲である場合には、前記出力装置から、当該故障レベルと、当該故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報と共に、保守作業命令を出力することにより上記課題を解決した。
本発明のプラズマ処理装置は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置であって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断し
前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
前記入力端子側交流抵抗RAの、時刻t とその後の時刻t における値RA 、RA の差ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍より小さい値に維持されるとともに、
前記出力端子側交流抵抗RBの、時刻t とその後の時刻t における値RB 、RB の差ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍より小さい値に維持されること により上記課題を解決した。
本発明のプラズマ処理装置の性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断し、前記入力端子側から測定した交流抵抗RAの、時刻tとその後の時刻t における値RA、RA の差ΔRAの絶対値を求め、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断し、前記出力端子側から測定した交流抵抗RBの、時刻t とその後の時刻tr における値RB 、RB の差ΔRBの絶対値をそれぞれ求め、
その値が所定の値より小さい値である場合に、所定の性能を維持していると判断し、その値が所定の値以上の値である場合に、所定の性能を維持していないと判断することにより上記課題を解決した。
本発明において、前記入力端子側交流抵抗RAの測定範囲が、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置への接続を切断し、前記測定位置から測定した範囲に設定されてなることが望ましい。
また、本発明において、前記高周波電源と前記入力端子とが高周波電力給電体を介して接続され、
前記入力端子側交流抵抗RAの測定範囲が、前記出力端子への接続を切断し、前記高周波電力給電体の前記高周波電源側端部である測定位置への接続を切断し、前記測定位置から測定した範囲に設定されてなる手段を採用することもできる。
また、本発明は、前記出力端子側交流抵抗RBの測定範囲が、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置への接続を切断し、前記測定位置から測定した範囲に設定されてなるができる。
本発明は、前記電極と前記出力端子とが高周波電力配電体を介して接続され、
前記出力端子側交流抵抗RBの測定範囲が、前記入力端子への接続を切断し、前記高周波電力配電体の前記電極側端部である測定位置への接続を切断し、前記測定位置から測定した範囲に設定されてなることが可能である。
また、本発明においては、前記交流抵抗が、前記委高周波電源の高周波電力の周波数における値に設定されてなることがある。
また、本発明においては、前記ΔRAに対する前記所定の値が前記RA の0.5倍より小さい範囲の値に設定されるとともに、前記ΔRBに対する前記所定の値が前記RB の0.5倍より小さい範囲の値に設定されてなることが好ましく、より好ましくは、前記ΔRAに対する前記所定の値が前記RA の0.4倍より小さい範囲の値に設定されるとともに、前記ΔRBに対する前記所定の値が前記RB の0.4倍より小さい範囲の値に設定されてなることができる。
本発明は、前記入出力端子の間で前記接地電位部分に接続される接続点が複数ある場合には、前記接続点のうち1の接続点のみが前記接地電位部分に接続するよう他の接続点を切断した状態で測定することができる。さらに、各々接続する接続点を切り替えて、それぞれ前記交流抵抗を測定することが可能である。
また、本発明においては、時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理室内に被処理物が導入され、該被処理物にプラズマ処理が行われることか、または、前記プラズマ処理装置に、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されることか、あるいは、分解、搬送、及び再組み立てが施されることができる。
本発明におけるプラズマ処理装置およびその保守方法においては、上記のプラズマ処理装置の評価方法の結果、ΔRA、△RBの絶対値が所定の値以上の場合に、交流抵抗RA、RBの是正作業を行うことにより上記課題を解決した。
本発明のプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断し、前記入力端子側から測定した交流抵抗RAの時刻tにおける値RAと、前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断し、前記出力端子側から測定した交流抵抗RBの時刻tにおける値RBとを記憶するサーバーと、
このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置と、を備え、
前記サーバーは、前記RAのその後の時刻tにおける値RAを前記納入先入出力装置から受信し、前記RAとこのRAとの差であるΔRAの絶対値を演算するとともに、前記RBのその後の時刻tにおける値RBを前記納入先入出力装置から受信し、前記RBとこのRBとの差であるΔRBの絶対値を演算し、
これらの値が所定の値より小さい値である場合には、所定の性能を維持している旨の信号を、所定の値以上の値である場合には、所定の性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することにより上記課題を解決した。
本発明において、前記サーバーが、プラズマ処理室ユニットの固有番号毎に前記RAおよびRBを記憶し、納入先入出力装置から納入したプラズマ処理室の固有番号を受信して、当該固有番号に対応するRAおよびRBを用いて演算をすることが望ましい。
また、本発明において、前記納入先入出力装置に、プラズマ処理装置に接続された高周波特性測定器を接続して、この高周波特性測定器から前記サーバーに、前記RAおよびRBが直接送信される手段を採用することもできる。
また、本発明は、前記サーバーが搬送元において出力装置を備え、ΔRAの絶対値およびΔRBの絶対値がそれぞれ所定の値を超える場合に、前記出力装置から、保守作業命令を出力することができる。
本発明のプラズマ処理装置の性能管理システムにおいては、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断し、前記入力端子側から測定した交流抵抗RAの時刻tにおける値RAと、前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断し、前記出力端子側から測定した交流抵抗RBの時刻tにおける値RBと、各々所定の値の範囲によって決められた故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報とを記憶するサーバーと、
このサーバーの搬送元における出力装置と、
このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置と、を備え、
前記サーバーは、前記RAのその後の時刻tにおける値RAを前記納入先入出力装置から受信し、前記RAとこのRAとの差であるΔRAの絶対値を演算するとともに、前記RBのその後の時刻tにおける値RBを前記納入先入出力装置から受信し、前記RBとこのRBとの差であるΔRBの絶対値を演算し、
これらの値が、何れかの故障レベルの所定の値の範囲である場合には、前記出力装置から、当該故障レベルと、当該故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報と共に、保守作業命令を出力することにより上記課題を解決した。
本発明において、上記所定の値の範囲は、表1に示すように、|ΔRA|と|ΔRB|がそれぞれ所定の値に対してどのレベルにあるかを、それぞれ、式(20A)(20B)
|ΔRA| ; C×RA (20A)
|ΔRB| ; C×RB (20B)
における係数Cの値で示すことができる。
本発明は、前記サーバーが、前記当該故障レベルを、前記納入先入出力装置にも発信することが可能である。
本発明のプラズマ処理装置は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置であって、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において、前記入力端子側から測定した交流抵抗RAの、時刻tとその後の時刻t における値RA、RA の差ΔRAの絶対値が所定の値より小さい値に維持されるとともに、
前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において、前記出力端子側から測定した交流抵抗RBの、時刻t とその後の時刻tにおける値RB、RBの差ΔRBの絶対値が所定の値より小さい値に維持されることにより上記課題を解決した。
本発明において、購入発注者が販売保守者から購入した上記記載のプラズマ処理装置の時刻tとその後の時刻tにおいて計測可能な動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、
販売保守者が前記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、
前記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段と、を具備する手段を採用することもできる。
また、本発明は、ができる。
本発明は、性能状況情報が、前記交流抵抗RA,RBを含むことが可能であり、また、性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されることができる。
【0020】
以下、上記各発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、それぞれのプラズマ処理室に対応するプラズマチャンバ(プラズマ処理室ユニット)において、前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において、前記入力端子側から測定した交流抵抗RAの、時刻t0 とその後の時刻t1 における値RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値を求めるとともに、前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において、前記出力端子側から測定した交流抵抗RBの、時刻t0 とその後の時刻tr における値RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値をそれぞれ求め、その値がそれぞれ所定の値より小さい値である場合に、所定の性能を維持していると判断し、その値が各々所定の値以上の値である場合に、所定の性能を維持していないと判断することにより、この値を比較することにより、プラズマ処理装置の性能評価を可能とした。
さらに、時刻t0 にはプラズマチャンバの調整をおこなっておき、時刻t1 においてさらにプラズマチャンバの動作状態を確認してこの確認結果に基づいて交流抵抗の値を調整することができ、その結果、時間経過によってプラズマチャンバの状態が変化した場合でも交流抵抗の変化に伴う、プラズマ空間で消費される実効的な電力以外の電力損失が増大することの防止を図ることができる。
すなわち、分解搬送後の新規設置時やその後の使用によるプラズマ処理の繰り返し、あるいは調整・保守点検等の際に、プラズマチャンバの性能が所定の性能レベルを維持しているか、また、プラズマチャンバが複数ある場合には、性能の機差が充分抑えられているか等の評価、つまり、プラズマチャンバにおいて例えば成膜をおこなった際に、同一の成膜条件において、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、所望の膜特性の膜を得ることができるかどうかを評価することが可能となる。
【0021】
この交流抵抗RA,RBの測定は瞬時に行うことができるので、基板への実際の成膜等による従来の検査方法を採用した場合に比べて、大幅に評価時間を短縮することができる。また、性能評価に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の検査処理費用、および、評価作業に従事する作業員の人件費等の、コストを削減することが可能となる。
そのため、本発明に係るプラズマ処理装置の評価方法によれば、プラズマ処理装置の性能評価を瞬時にしかも低コストに行うことができる。また、プラズマ処理装置が、複数のプラズマ処理室を有している場合には、それぞれ求めた交流抵抗RA,RBを指標とし、時刻t0 にプラズマチャンバの調整をおこなって機差を無くしておくことにより、時刻t1 において各プラズマ処理室に対して、常に同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、プラズマ処理室において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を継続して得ることを可能とするものである。
また、本発明に係る保守方法によれば、性能評価結果を瞬時に、かつコストをかけずに行うことができるので、所望の頻度で性能評価を行い、その結果を直ちに反映して是正作業を行うことができる。
【0022】
また、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムによれば、メーカー等が管理するサーバーを利用することにより、納入先の使用者等が簡便に性能評価結果を知ることができる。また、本発明に係るプラズマ処理システムの性能管理システムによれば、メーカー等が管理するサーバーを利用することにより、納入先の使用者等が簡便に性能評価結果や機差に関する情報を知ることができる。また、本発明に係るプラズマ処理装置によれば、交流抵抗RA,RBという、常時確認可能な指標により性能を維持されるので、良好なプラズマ処理を行うことが可能となる。
さらに、本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムによれば、販売保守者が管理するサーバーを利用することにより、購入発注者が、プラズマ処理装置の動作性能状況を簡便に知ることができる。
【0023】
従って、何れの発明も、問題のあるプラズマ処理作業を行ってしまうことを事前に回避し、良好な状態にプラズマ処理装置を保つことに寄与するものである。また、複数回おこなう同一のプラズマ処理に対して、時間的に常に同一のプロセスレシピを適用して略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、プラズマチャンバにおいて例えば成膜をおこなった際に、所望の膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を継続して得ることを可能とするものである。
なお、プラズマ処理装置が、複数のプラズマ処理室を有していたり、複数のプラズマ処理装置が結合してプラズマ処理システムを構成している場合には、各プラズマ処理室毎にこの交流抵抗RA,RBを求めて指標とすることができる。
【0024】
ここで、交流抵抗の定義について説明する。
整合回路は、プラズマ処理室内のプラズマ状態等の変化に対応してインピーダンスを調整するために、その多くは複数の受動素子を具備する構成とされている。
図3は整合回路2Aを示す模式図である。
具体的には、整合回路2Aの構成例として、図3に示すように、高周波電源1とプラズマ放電用の電極4との間に、インダクタンスコイル23とチューニングコンデンサ24とが直列に設けられ、さらに、入力端子とされる測定位置PR3とインダクタンスコイル23との間である分岐点B1には、他のロードコンデンサ22が高周波電源1からチューニングコンデンサ24に対して並列に接続されその一端が接地電位部分(マッチングボックス)2に接続されてアースされている構成が挙げられる。
そして、これ以外にも、整合回路2Aの電気的高周波的な要因として、前記の各受動素子を接続する導体や同軸ケーブルのような要因も存在している。これらの導体や同軸ケーブルは、交流的に、レジスタンスやインダクタンスを有しており、交流電流を流した際に、寄生的に抵抗が存在している。そして、受動素子としてレジスタンスを考慮していないインダクタンスコイル23等においても同様にレジスタンスは寄生的に存在している。
【0025】
図4は整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
これらの寄生抵抗としては、具体的には図4に示すように、入力端子とされる測定位置PR3とインダクタンスコイル23とを接続する導体R1における寄生抵抗RR1と、ロードコンデンサ22と接地電位部分(マッチングボックス)2とを接続する導体R2における寄生抵抗RR2と、インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLTと、を考慮することができる。
このような整合回路2Aの受動素子および回路を構成する導体等までも考慮して、入力端子側から、および出力端子側から、整合回路2Aの交流適応を測定する。このとき、後述するように整合回路2Aのインピーダンス測定範囲を規定し、このインピーダンス測定範囲に対して、供給する電力周波数fe を含む範囲に測定周波数を設定してインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定することにより、整合回路2Aのインピーダンスを計測する。ここで、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の値に設定される電力周波数fe に対応して、測定周波数を例えば1MHz〜100MHz程度の範囲に設定することができる。
整合回路2Aの前記入力端子側交流抵抗RAとしては、図4にIRAで示すように、入力端子とされる測定位置PR3から分岐点B1を経て接地電位部分まで、つまり、導体R1における寄生抵抗RR1と、導体R2における寄生抵抗RR2とを測定することになる。また、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBとしては、図4にIRBで示すように、出力端子とされる測定位置PRから分岐点B1を経て接地電位部分まで、つまり、インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLTと、導体R2における寄生抵抗RR2とを測定することになる。
これにより、高周波電源から電極へ至る部分である整合回路2Aの入力端子から出力端子に至るまでの寄生抵抗を考慮することが可能となる。
ここで、寄生抵抗RR1およびRLTにおいては、分岐点B1からチューニングコンデンサ24までの導体の抵抗値をも含むものとみなすことができる。
【0026】
次に、プラズマチャンバにおける整合回路の交流抵抗測定範囲(高周波数特性測定範囲)について説明する。
プラズマチャンバの整合回路には、その入力端子に高周波電力給電体(給電線)を介して高周波電源が接続され、出力端子に高周波電力配電体(給電板)を介して電極が接続されるとともに、これら入出力端子の間に接地電位部分が接続される。この整合回路において、出力端子における接続を切り離した状態で、入力端子側交流抵抗RAとして、入力端子側から接地電位部分に至る整合回路2Aの部分を前記測定範囲と定義することができる。さらに、入力端子における接続を切り離した状態で、出力端子側交流抵抗RBとして、出力端子側から接地電位部分に至る整合回路2Aの部分を前記測定範囲と定義することができる。
このとき、入力端子側、出力端子側それぞれの測定位置としては、例えば、図4にPR3で示すように、入力端子側交流抵抗RAでは前記入力端子が、また、図4にPRで示すように、出力端子側交流抵抗RBでは前記出力端子が適用される。
これにより、整合回路2Aの入力端子から出力端子に至るまでの交流抵抗を測定することが可能となる。
【0027】
このように、本発明において、前記それぞれのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の整合回路において、前記入力端子側交流抵抗RAの測定範囲が、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子とされる図4にPR3で示す測定位置からへの接続を切断し、その測定位置測定した範囲に設定されてなることにより、整合回路も含めたプラズマチャンバに対し、時刻t0 にはプラズマチャンバの調整をおこなっておき、時刻t1 においてさらにプラズマチャンバの動作状態を確認してこの確認結果に基づいて交流抵抗の値を調整することができ、その結果、時間経過によってプラズマチャンバの状態が変化した場合でも交流抵抗の変化に伴う、プラズマ空間で消費される実効的な電力以外による電力損失増大の防止を図ることができる。これにより、電気的高周波的な特性の時間変化をなくすことが可能となり、プラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の時間的な略均一性を高めることができ、例えばプラズマ処理をおこなう際に、時間的に同一のプロセスレシピを適用して、測定範囲に整合回路を含めない場合に比べて、時間的に略同一性の高いつまり時間変化のないプラズマ処理結果を得ることができる。また、プラズマチャンバが複数ある場合には、整合回路も含めた複数のプラズマチャンバに対し、電気的高周波的な特性の時間経過に伴う機差をなくすことが可能となり、個々のプラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の略均一性を高めることができ、これに同一のプロセスレシピを適用して、略同一性の高いプラズマ処理結果を得ることができる。
【0028】
また、本発明においては、上記の前記入力端子側交流抵抗RAの測定位置に変えて、前記それぞれのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)において、前記出力端子への接続を切断し、前記高周波電力給電体(給電線)の前記高周波電源側端部とされる図3にPR2で示す測定位置への接続を切断し、その測定位置から測定した範囲に設定されてなることにより、測定範囲に高周波電力給電体(給電線)を含めない場合に比べて、整合回路だけでなく給電線も含めて、発生することが考えられる電気的高周波的な特性の時間変化をなくすことが可能となり、プラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の時間的な略均一性をさらに高めることができ、例えばプラズマ処理をおこなう際に、時間的に同一のプロセスレシピを適用して、測定範囲に給電線を含めない場合に比べて、さらに時間的に略同一性の高いつまり時間変化のないプラズマ処理結果を得ることができる。また、プラズマチャンバが複数ある場合には、給電線も含めた複数のプラズマチャンバに対し、電気的高周波的な特性の時間経過に伴う機差をなくすことが可能となり、個々のプラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の略均一性を高めることができ、これに同一のプロセスレシピを適用して、給電線を含めない場合に比べて、さらに略同一性の高いプラズマ処理結果を得ることができる。
【0029】
さらに、本発明においては、前記それぞれのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の整合回路において、前記出力端子側交流抵抗RBの測定範囲が、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子とされる図4にPRで示す測定位置への接続を切断し、その測定位置から測定した範囲に設定されてなることにより、整合回路も含めたプラズマチャンバに対し、時刻t0 にはプラズマチャンバの調整をおこなっておき、時刻t1 においてさらにプラズマチャンバの動作状態を確認してこの確認結果に基づいて交流抵抗の値を調整することができ、その結果、時間経過によってプラズマチャンバの状態が変化した場合でも交流抵抗の変化に伴う、プラズマ空間で消費される実効的な電力以外による電力損失増大の防止を図ることができる。これにより、電気的高周波的な特性の時間変化をなくすことが可能となり、プラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の時間的略均一性を高めることができ、時間経過があった場合にも各動作時においてそれぞれ同一のプロセスレシピを適用して、略同一性の高いプラズマ処理結果を得ることができる。また、プラズマチャンバが複数ある場合には、整合回路も含めた複数のプラズマチャンバに対し、電気的高周波的な特性の時間経過に伴う機差をなくすことが可能となり、個々のプラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の略均一性を高めることができ、これに同一のプロセスレシピを適用して、略同一性の高いプラズマ処理結果を得ることができる。
【0030】
また、本発明においては、上記の前記出力端子側交流抵抗RBの測定位置に変えて、前記それぞれのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)において、前記出力端子への接続を切断し、前記高周波電力配電体(給電板)の前記電極側端部とされる図3にPR4で示す測定位置への接続を切断し、その測定位置から測定した範囲ことにより、測定範囲に高周波電力配電体(給電板)を含めない場合に比べて、整合回路だけでなく給電板も含めて、発生することが考えられる電気的高周波的な特性の時間変化をなくすことが可能となり、プラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の時間的な略均一性をさらに高めることができ、例えばプラズマ処理をおこなう際に、時間的に同一のプロセスレシピを適用して、測定範囲に給電板を含めない場合に比べて、さらに時間的に略同一性の高いつまり時間変化のないプラズマ処理結果を得ることができる。また、プラズマチャンバが複数ある場合には、給電板も含めた複数のプラズマチャンバに対し、電気的高周波的な特性の時間経過に伴う機差をなくすことが可能となり、個々のプラズマチャンバにおいてプラズマ空間で消費される実効的な電力の略均一性を高めることができ、これに同一のプロセスレシピを適用して、給電板を含めない場合に比べて、さらに略同一性の高いプラズマ処理結果を得ることができる。
【0031】
また、本発明においては、上記のような一つの評価基準(以下「評価基準1」という。)として、前記ΔRA,ΔRBと比較する前記所定の値に特に制限は設けないことができる。
しかし、例えば、前記RA0 の0.5倍より小さい範囲の値に設定されるとともに、前記ΔRBに対する前記所定の値が前記RB0 の0.5倍より小さい範囲の値に設定されてなることが好ましい。この場合、プラズマCVD装置において、例えばプラズマ処理をおこなう際に、複数の処理回数における各回の堆積速度の変動を±7%以内に抑えることができる。
さらに、より好ましくは、前記ΔRAに対する前記所定の値が前記RA0 の0.4倍より小さい範囲の値に設定されるとともに、前記ΔRBに対する前記所定の値が前記RB0 の0.4倍より小さい範囲の値に設定されてなることができる。この場合、たとえばプラズマCVD装置において、堆積速度の変動を±3%以内に抑えることができる。
【0032】
また、本発明においては、前記交流抵抗が、前記委高周波電源の高周波電力の周波数における値に設定されてなる手段を採用することにより、プラズマチャンバの動作時である時間的に隔たった実際のプラズマ発生時における、プラズマチャンバの電気的高周波的な特性の差をなくすことが可能となり、これにより、交流抵抗、インピーダンス等の高周波特性などを指標とする一定の管理幅内にプラズマチャンバの状態を設定することが可能となるので、時間が経過した状態のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
ここで、プラズマチャンバの電気的高周波的な特性として、レジスタンスRを採用することにより、これらレジスタンスRとリアクタンスXとのベクトル量であるインピーダンスZを見ることに比べて、より直接的にプラズマチャンバのプラズマ励起する周波数における電気的高周波数的特性を捉えることができる。
【0033】
本発明においては、他の評価基準(以下「評価基準2」という。)として、プラズマ処理装置またはこのプラズマ処理装置を複数有するプラズマ処理システムが、複数のプラズマチャンバを有する場合にそれぞれの整合回路およびプラズマ処理室に対応するプラズマチャンバ(プラズマ処理室ユニット)において、少なくとも前記時刻t0 および前記時刻t1 に整合回路等の前記入力端子側交流抵抗RAおよび前記出力端子側交流抵抗RBの最大値と最小値のばらつきを、それぞれ以下の式(14A)(14B)
<RA> = (RAmax −RAmin )/(RAmax +RAmin ) (14A)
<RB> = (RBmax −RBmin )/(RBmax +RBmin ) (14B)
として定義し、この値<RA>,<RB>を所定の範囲の値に設定することで、複数のプラズマチャンバ(プラズマ処理室ユニット)に対してインピーダンスに寄与する交流抵抗の値、つまり、電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、インピーダンス特性などを指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバを設定することが可能となるので、個々のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
その結果、複数のプラズマチャンバに対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマチャンバにおいて例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。
【0034】
この交流抵抗は、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各実機(プラズマチャンバ)ごとに異なっていると考えられる。上記の範囲に、この交流抵抗を設定することにより、各実機に対しても、従来考慮されていなかったその全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、各プラズマチャンバで均一な動作が期待できるプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムを提供することが可能となる。
さらに、上記の所定の値を0.4より小さい範囲に設定することで、複数のプラズマチャンバに対して、インピーダンス、インピーダンスの実部である交流抵抗、共振周波数特性、容量等の電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、インピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバを設定することが可能となるので、個々のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
その結果、複数のプラズマチャンバに対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマチャンバにおいて例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値を0.4より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなっプラズマチャンバにおいて、膜厚のばらつきの値を±3%の範囲におさめることができる。
【0035】
また、本発明においては、上記評価基準1と評価基準2とを組み合わせて用いることができる。この場合、動作安定性の高いプラズマ処理装置を維持する上で、適切な性能評価方法を提供することが可能となると共に、複数のプラズマ処理室に対して交流抵抗RA,RB等の電気的高周波的な特性の機差が小さい状況を維持する上で、適切な性能評価方法を提供することが可能となる。
【0036】
本発明において、前記入出力端子の間で前記接地電位部分に接続される接続点が複数ある場合には、これらの接続点のうち1箇所の接続点のみを前記接地電位部分に接続するよう他の接続点を切断した状態とし、かつ、各々接続する接続点を切り替えて、異なる接続点に対してそれぞれ前記入力端子側交流抵抗および前記出力端子側交流抵抗を測定することにより、整合回路に複数の接続点が存在する場合であっても、各接続点ごとに接続状態を設定して測定範囲を設定し、この測定範囲ごとに異なる状態とされる整合回路の受動素子に対して測定したそれぞれの交流抵抗を、各時刻におけるプラズマチャンバに対して設定することで、時間経過を伴った状態のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
ここで、各接続状態に対応する測定範囲のうち、交流抵抗の各時刻における差の値が最も大きいものが上記の所定の範囲の値に設定されることが好ましい。
【0037】
上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムは、たとえば、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムのメーカー、流通業者、メンテナンス業者等からユーザー等にプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムを納入するに際して、搬送元で分解後、納入先に搬送して、納入先にて再組み立てをするという一連の処理工程を経た後、あるいは、その後の使用期間中のように、時刻t0 からある時間が経過した後の時刻t1 において、プラズマ処理装置の性能が維持されているかどうかを評価しその性能を管理するシステムである。
本管理システムにおけるサーバーは、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムのメーカー、流通業者、メンテナンス業者等の搬送元が管理するものであるが、その設置場所は搬送元に特に限定されない。このサーバーは交流抵抗RA,RBの分解前の値RA0 ,RB0 を記憶している。そして、この記憶したRA0 ,RB0 を用いて、搬入先にあるプラズマ処理装置の性能を評価するものである。
【0038】
このRA0 ,RB0 等の値は、メーカー等で管理している標準的な容量RA0 ,RB0 等の値としても良いが、プラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号毎にRA0 ,RB0 等の値を記憶することにより、納入先の個別のプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室に対応して、より的確な評価ができる。従って、より精度の高い管理システムとすることができる。
なお、プラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号とは、プラズマ処理装置あるいは整合回路およびプラズマ処理室を含むプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)を個別に特定できる番号であれば特に限定はなく、その形式は数字だけでなく文字等を含むものであってもよい。例えば、プラズマチャンバを一つ備えたプラズマ処理装置の場合、当該プラズマ処理装置の製造番号を、当該プラズマ処理室の固有番号として扱うこともできる。また、複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置、あるいは、複数のプラズマ処理装置を備えたプラズマ処理システムにおいては、個々のプラズマチャンバにおける識別するために固有番号が付されることになる。
【0039】
サーバーには、納入先に設置された入出力装置が通信回線で接続されている。この通信回線の媒体や形式に特に限定はなく、離間した地点におかれたサーバーと入出力装置との間で信号の授受ができるものであればよい。すなわち、ケーブル回線、光ファイバー回線、衛星回線等の種々の有線や無線の通信媒体を適宜使用できると共に、電話回線網、インターネット網等種々の通信形式を活用できる。また、納入先の入出力装置、入力装置にも特に限定はなく、パーソナルコンピュータ、専用端末機、電話機等を利用する通信回線の種類等に適応できる範囲で適宜選択できる。なお、評価基準2を用いる性能管理システムにおける納入先入力装置では、少なくとも入力機能が必要で、出力機能は必須ではないが、出力機能を備えていても差し支えないのはもちろんである。
【0040】
サーバーは、係る納入先入出力装置から納入後(あるいは再組み立て後)における交流抵抗RA0 ,RB0 を受信する。また、必要に応じてプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号を受信する。ここで、納入後とは、再組み立て直後だけでなく、その後の使用期間中を含むものである。すなわち、サーバーは、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能を反映する値として交流抵抗RA1 ,RB1 を、適宜継続して受信できるものである。また、評価基準1を用いる性能管理システムの場合、このサーバーは上記交流抵抗RA0 ,RB0 を記憶している。そして、この記憶した交流抵抗RA0 ,RB0 を用いて、搬入先にあるプラズマ処理装置の性能を評価するものである。また、上記サーバーは、納入先入出力装置から、交流抵抗RA0 ,RB0 の納入後における交流抵抗RA1 ,RB1 を必要に応じて、その値を与えるプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号と共に受信するようにしてもよい。
納入先入出力装置からサーバーに対して、交流抵抗RA1 ,RB1 の値やプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号を送信するためには、納入先入出力装置に納入先のユーザーや、納入先を訪問したサービスマン等がこれらの値を手で入力することができるが、この入力作業は適宜自動化や省力化が可能である。例えば、納入先入出力装置に、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムに接続された交流抵抗を測定する測定器を接続して、この測定器から上記サーバーに、交流抵抗値RA1 ,RB1 等を直接送信することができる。また、単独のプラズマ処理室を備えたプラズマ処理装置を単独で使用する納入先においては、プラズマ処理装置の固有番号を一度納入先入出力装置に登録し、その後は入力作業を省略することができる。
【0041】
サーバーは、上記交流抵抗RA0 ,RB0 ,RA1 ,RB1 の値から、内部の演算処理装置を用いてRA0 とRA1 との差であるΔRAの絶対値、および、RB0 とRB1 との差であるΔRBの絶対値を演算する。そして、その値ΔRA,ΔRBの絶対値いずれも所定の値より小さい値であった場合には、所定の性能を維持している旨の信号を、また、少なくとも値ΔRA,ΔRBの絶対値のいずれかが所定の値以上の値である場合には、所定の性能を維持していない旨の信号を、各々評価情報として納入先入出力装置に発信する。すなわち、納入先入出力装置は評価情報を受信することができ、これにより、納入先においてプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の性能評価結果を把握することが可能となる。なお、納入先入出力装置は、評価情報を表示器に表示したり、プリントアウトしたり、あるいは警報信号を発する等、適宜の方法で評価情報をユーザー等に伝達することができる。なお、
【0042】
この場合のサーバーは、また、搬送元において出力装置を備え、値ΔRAの絶対値、または、ΔRBの絶対値が所定の値を超える場合に、上記出力装置から、評価情報として保守作業命令を出力することができる。この場合、対応するプラズマ処理室の固有番号も併せて出力することが望ましい。これにより、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの不具合を搬送元においていち早く把握し、直ちに保守サービスを提供することができる。
なお、サーバーが搬送元におかれていない場合には、サーバーと出力装置との間には任意の通信回線が使用される。
【0043】
サーバーが、納入先入出力装置と搬送元の出力装置との双方に評価情報を提供する場合、両評価情報の基礎となる所定の値は必ずしも同一の値でなくともよい。例えば、納入先入出力装置に発信する評価情報については、前記所定の値をRA0 の0.5倍より小さい範囲の値に設定し、この値を越えたときに所定の性能を維持していない旨の信号を発信するとともに、一方、搬送元の出力装置には、所定の値をRA0 の0.4倍より小さい範囲の値に設定して、この値を越える場合に保守作業命令を出力するようにしても良い。このように、搬送元の出力装置に対して、納入先入出力装置に対するよりも厳しい評価基準に基づき保守作業命令が出される場合には、納入先のプラズマ処理装置の性能が大きく変動する以前に搬送元(納入者)による保守サービスを行うことができる。すなわち、より先手を打った保守体制を確立することができる。
【0044】
また、本発明における他のプラズマ処理装置の性能管理システムも、たとえば、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムのメーカー、流通業者、メンテナンス業者等からユーザー等にプラズマ処理装置を納入するに際して、搬送元で分解後、納入先に搬送して、納入先にて再組み立てをするという一連の処理工程を経た後、あるいは、その後の使用期間中のように、時刻t0からある時間が経過した後の時刻t1において、プラズマ処理装置の性能が維持されているかどうかを評価しその性能を管理するシステムである。
本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの特徴が、先のプラズマ処理装置の性能管理システムの特徴と異なる点は、サーバーが、各々所定の値の範囲によって決められた故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報とを記憶するとともに、搬送元における出力装置を備える点である。そして、サーバーが、ΔRA,ΔRBの絶対値を演算した後、その値が、何れかの故障レベルの所定の値の範囲である場合には、上記出力装置から、当該故障レベルと、当該故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報と共に、保守作業命令を出力するという処理をおこなう点にある。
【0045】
この性能管理システムの場合、搬送元では、保守作業命令が出力されるとともに、どの程度の故障レベルであるかの情報や、その故障レベルに応じてランク分けされた対応するサービスエンジニアの情報も出力される。
そのため、この本発明に係る他のプラズマ処理装置の性能管理システムによれば、遠隔地に納入したプラズマ処理装置であっても、搬送元において、その故障レベルを把握することができる。そして、その故障レベルに応じて、教育訓練度合の異なるサービスエンジニアを派遣することができる。したがって、人材活用が合理化できると共に、迅速、かつ、的確なサポートを常におこなうことが可能となる。すなわち、装置納入後のフィールドサポート体制の合理化が可能となるものである。
【0046】
評価基準2を用いる性能管理システムの場合、サーバーは出力装置を備えている。この出力装置の設置場所に特に限定はないが、搬送元、メーカー、サービスセンター等、納入先に対する保守サービスを提供する場所におかれていることが望ましい。サーバーと出力装置とが遠隔地におかれている場合には、両者の間には任意の通信回線が使用される。
そして、このサーバーは、評価基準2を用いて、搬入先にあるプラズマ処理装置の性能を評価すると共に、望ましくない評価結果を得た場合には、出力装置から保守作業命令を、その評価結果に用いられた値として、時刻t0 および/または時刻t1 における交流抵抗RAの最大値RAmax と最小値RAmin とそのばらつき<RA>、および、交流抵抗RBの最大値RBmax と最小値Bmin とそのばらつき<RB>を、この値を与えたプラズマ処理室の固有番号と共に出力するものである。
【0047】
このように、複数のプラズマチャンバがある場合、サーバーは評価基準2による評価を行うために、納入先入力装置から各プラズマチャンバにおける高周波特性としての交流抵抗RA,RBの納入後における交流抵抗RA1 ,RB1 を受信する。ここで、納入後とは、再組み立て直後だけでなく、その後の使用期間中を含むものである。すなわち、サーバーは、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能を反映する交流抵抗RA1 ,RB1 適宜継続して受信できるものである。
また、上記サーバーは、納入先入力装置から、高周波特性としての交流抵抗RA,RBの納入後における交流抵抗RA1 ,RB1 とともに、その値を与える個々のプラズマ処理室あるいはプラズマ処理装置の固有番号も受信する。
【0048】
サーバーは、プラズマ処理装置全体またはプラズマ処理システム全体におけるプラズマ処理室のRA1 を総て受信すると、それらの値の中から、最大値RA1maxと最小値RA1minと、これらに対応する固有番号を特定する。そして、式(14A)に従ってばらつきの値<RA1> を求め、その値が所定の値以上の場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値および最小値を与えたプラズマ処理室あるいはプラズマ処理装置の固有番号とともに出力する。同時に、サーバーは、プラズマ処理装置全体またはプラズマ処理システム全体におけるプラズマ処理室のRB1 を総て受信すると、それらの値の中から、最大値RB1maxと最小値RB1minと、これらに対応する固有番号を特定する。そして、式(14B)に従ってばらつきの値<RB1> を求め、その値が所定の値以上の場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値および最小値を与えたプラズマ処理室あるいはプラズマ処理装置の固有番号とともに出力する。
これにより、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの不具合を搬送元等のサービス提供者側でいち早く把握し、直ちに保守サービスを提供することができる。
【0049】
本発明のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの性能確認システムにおいて、販売保守者がアップロードした各プラズマ処理室ユニットの動作性能状況を示す性能状況情報に対して、購入発注者が情報端末から公衆回線を介して閲覧を可能とすることにより、購入発注者に対して、購入時に判断基準となる情報を伝達することが可能となり、かつ、使用時における、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの動作性能・保守情報を容易に提供することが可能となる。また、前記性能状況情報が、上述したようにプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムに対する性能パラメータとしての時刻t0 および/または時刻t1 における前記交流抵抗RA,RBおよびそのばらつきの値等の高周波特性を含むことにより、購入発注者のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムに対する性能判断材料を提供できるとともに、購入時における適切な判断をすることが可能となる。さらに、前記性能状況情報を、カタログまたは仕様書として出力することができる。
【0050】
また、本発明において、交流抵抗測定時における各プラズマチャンバと高周波特性測定器との間の高周波特性Aがそれぞれ等しく設定されてなることができる、これにより、複数のプラズマチャンバに対して、高周波特性測定器からの交流抵抗、インピーダンス等の測定値を、いずれも、設定された測定位置に対して、それぞれの測定位置から高周波特性測定器までの高周波特性測定値に対して補正をおこなった値と同等と見なすことができるため、交流抵抗、インピーダンス等の高周波特性の算出の補正が事実上不要となり、実測値の換算が不要となるので、作業効率を向上することができる。
具体的に上記を実現する手段としては、各プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)における、前記測定位置から高周波特性測定器までの同軸ケーブルの長さを等しくする等の手段を適応することができる。
【0051】
本発明において、プラズマ処理システムは、少なくとも1のプラズマ処理装置を含むものとされる。
なお、本発明において、個々のプラズマ処理装置に設けられたプラズマチャンバの数、および、プラズマ処理システムにおけるプラズマ処理装置の数およびプラズマチャンバの数は任意に設定することができる。
そして、プラズマ処理装置ごとに、用途が異なりプロセスレシピを一致させる必要がない場合などには上述した交流抵抗RA,RB等の高周波特性の設定条件を、例えばプラズマ処理システム中のプラズマ処理装置ごとに異なった設定とすることも可能である。
【0052】
さらに、本発明では、第1の高周波電源と、該第1の高周波電源と接続される高周波電極と、前記第1の高周波電源と前記高周波電極との間のインピーダンスの整合を得る整合回路を備えた高周波電極側マッチングボックスと、第2の高周波電源と、前記高周波電極と対向配置され前記第2の高周波電源と接続されるとともに被処理基板を支持するサセプタ電極と、前記第2の高周波電源と前記サセプタ電極との間のインピーダンスの整合を得る整合回路を備えたサセプタ電極側マッチングボックスとを有する、いわゆる2周波数励起型プラズマCVD処理ユニットにおいても、サセプタ側の整合回路に対して交流流抵等の高周波特性を、前述のカソード電極側と同様にして設定することができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は本実施の形態のプラズマ処理装置71の概略構成を示す図である。本実施の形態のプラズマ処理装置71は、例えば、トップゲート型TFTの半導体能動膜をなす多結晶シリコンの成膜からゲート絶縁膜の成膜までの一貫処理が可能なものとされ、複数の処理室ユニットを有する装置とされる。
【0054】
本実施の形態のプラズマ処理装置71は、図1に示すように、略七角形状の搬送室72の周囲に、5つの処理室ユニットと1つのローダ室73と1つのアンローダ室74とが連設されている。また、5つの処理室ユニットの内訳としては、アモルファスシリコン膜を成膜する第1成膜室、シリコン酸化膜を成膜する第2成膜室、およびシリコン窒化膜を成膜する第3成膜室からなるプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)75,76,77、成膜後の被処理基板のアニーリング処理を行うレーザアニール室78、成膜後の被処理基板の熱処理を行う熱処理室79、である。
【0055】
プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)である、第1成膜室75、第2成膜室76、第3成膜室77はそれぞれ異なる種類の膜を成膜するような異なる処理をおこなうことも可能であり、また、同一のプロセスレシピにより同一の処理をおこなうこともできるものであるが、略同一の構成とされている。そして、これらの複数のプラズマチャンバ75,76,77においては、後述するように、整合回路2Aにおいて、その入力端子側から測定した交流抵抗RA0 と出力端子側から測定した交流抵抗RB0 とが、分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後の使用期間の時刻t1 においても、その時の交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)が、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そして、入力端子側交流抵抗RA0 の最大値RA0maxと最小値RA0minとのばらつきを前述の式(14A)として定義するとともに、出力端子側交流抵抗RB0 の最大値RB0max と最小値RB0min とのばらつきを前述の式(14B)として定義し、これらの値が所定の範囲の値に設定されて設計、製造されている。
ここでは第1成膜室75を例に挙げてその構成を説明する。
【0056】
図2は本実施形態のプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の概略構成を示す断面図、図3は図2におけるプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の整合回路を示す模式図である。
【0057】
さらに詳細に説明すると、プラズマチャンバ75は、図2,図3に示すように、チャンバ室(プラズマ処理室)60の上部位置に高周波電源1に接続されたプラズマ励起電極(電極)4およびシャワープレート5が設けられ、チャンバ室60の下部にはシャワープレート5に対向して被処理基板16を載置するサセプタ電極(対向電極)8が設けられている。プラズマ励起電極4は、給電板3および整合回路2Aを介して第1の高周波電源1と接続されている。これらプラズマ励起電極4および給電板3は、シャーシ21に覆われるとともに、整合回路2Aは導電体からなるマッチングボックス2の内部に収納されている。
給電板3としては、例えば、幅50〜100mm、厚さ0.5mm、長さ100〜300mmの形状を有する銅の表面に銀めっきを施したものが用いられており、この給電板3は、後述する整合回路2Aのチューニングコンデンサ24の出力端子およびプラズマ励起電極4にそれぞれネジ止めなどの結合手段により着脱可能に取り付けられている。
【0058】
また、プラズマ励起電極(カソード電極)4の下側には環状の凸部4aが設けられるとともに、このプラズマ励起電極(カソード電極)4の下には、多数の孔7が形成されているシャワープレート5が凸部4aに接して設けられている。これらプラズマ励起電極4とシャワープレート5との間には空間6が形成されている。この空間6にはシャーシ21の側壁を貫通するとともにプラズマ励起電極(カソード電極)4を貫通してガス導入管17が接続されている。
【0059】
このガス導入管17は、導体からなるとともに、ガス導入管17の途中には絶縁体17aがシャーシ21内側位置に介挿されてプラズマ励起電極14側とガス供給源側とが絶縁される。
ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の多数の孔7,7からチャンバ壁10により形成されたチャンバ室60内に供給される。チャンバ壁10とプラズマ励起電極(カソード電極)4とは絶縁体9により互いに絶縁されている。また、図2において、チャンバ室60に接続されるべき排気系の図示は省略してある。
一方、チャンバ室60内には基板16を載置しプラズマ励起電極ともなる盤状のウエハサセプタ(サセプタ電極)8が設けられている。
【0060】
サセプタ電極(対向電極)8の下部中央には、シャフト13が接続され、このシャフト13がチャンバ底部10Aを貫通して設けられるとともに、シャフト13の下端部とチャンバ底部10A中心部とがベローズ11により密閉接続されている。これら、ウエハサセプタ8およびシャフト13はベローズ11により上下動可能となっており、プラズマ励起電極4,8間の距離の調整ができる。
これらサセプタ電極8とシャフト13とが接続されているため、サセプタ電極8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10は直流的に同電位となっている。さらに、チャンバ壁10とシャーシ21は接続されているため、チャンバ壁10,シャーシ21,マッチングボックス2はいずれも直流的に同電位となっている。
【0061】
ここで、整合回路2Aは、チャンバ室60内のプラズマ状態等の変化に対応してインピーダンスを調整するために、その多くは複数の受動素子を具備する構成とされている。
整合回路2Aは、図2,図3に示すように、複数の受動素子として、高周波電源1と給電板3との間に設けられ、インダクタンスコイル23と、エアバリコンからなるチューニングコンデンサ24と、真空バリコンからなるロードコンデンサ22と、これらの受動素子を接続するための銅板とされる導体R1,R2とから構成されている。
これらのうち、導体R1,インダクタンスコイル23,チューニングコンデンサ24は、整合回路2Aの入力端子側から出力端子側へ直列に接続されるとともに、導体R1,インダクタンスコイル23の間の分岐点B1からこれらと並列にロードコンデンサ22が接続されている。このインダクタンスコイル23,チューニングコンデンサ24は、導体を介さずに直接接続されており、また、ロードコンデンサ22の一端は、接続点BP1において導体R2を介してマッチングボックス2(接地電位部分)に接続されている。
ここで、チューニングコンデンサ24は整合回路2Aの受動素子のうち最終端とされ、このチューニングコンデンサ24の出力端子は整合回路2Aの出力端子とされており、チューニングコンデンサ24は給電板3を介してプラズマ励起電極4に接続されている。
マッチングボックス2は、同軸ケーブルとされる給電線(高周波電力給電体)1Aのシールド線に接続されており、このシールド線が直流的にアースされている。これにより、サセプタ電極8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10,シャーシ21,マッチングボックス2は接地電位に設定されることになり、同時に、ロードコンデンサ22の一端も直流的にアースされた状態となる。
【0062】
本実施形態のプラズマチャンバ75においては、13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の電力を投入して、両電極4,8の間でプラズマを生成し、このプラズマにより、サセプタ電極8に載置した基板16にCVD( chemical vapor deposition)、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうことができる。
このとき、高周波電力は、高周波電源1から給電線1Aの同軸ケーブル,整合回路2A,給電板3,プラズマ励起電極(カソード電極)4に供給される。一方、高周波電流の経路を考えた場合、電流はこれらを介してプラズマ空間(チャンバ室60)を経由した後、さらにもう一方の電極(サセプタ電極)8,シャフト13,サセプタシールド12,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10を通る。その後、シャーシ21,マッチングボックス2,給電線1Aのシールド線を通り、高周波電源1のアースに戻る。
【0063】
ここで、本実施形態のプラズマチャンバ75における高周波特性としての整合回路2Aの交流抵抗RA,RBについて説明する。
【0064】
整合回路2Aの交流抵抗としては、この整合回路2Aの入力端子側から、入力端子側交流抵抗RAを測定するとともに、整合回路2Aの出力端子側から、出力端子側交流抵抗RBを測定する。このとき、測定周波数を高周波電源1の電力周波数を含むように1MHz〜100MHz程度の範囲から選択する。より好ましくは、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の値に設定される電力周波数fe に対応した周波数に設定した状態により測定する。
この交流抵抗RA,RBは、整合回路2Aの構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、具体的には図4に示すように測定される。
【0065】
図4、図5は図3の整合回路における寄生抵抗を示す模式回路図である。
本実施形態の整合回路2Aにおける測定範囲としては、整合回路2Aの受動素子のうち入力最初段の受動素子の入力端子位置PR3および、受動素子のうち出力最終段の受動素子の出力端子位置PRで切り離した状態をその対象とする。つまり、図4に示すように、整合回路2Aに接続される給電線1Aを切り離すとともに、給電板3に接続されるチューニングコンデンサ24の出力端子位置PRで、給電板3と整合回路2Aの端子との接合部つまりネジ止めを外して切り離した状態の整合回路2Aを測定範囲とする。
【0066】
この測定範囲のうち入力端子側交流抵抗RAを測定するには、図4に破線で示すように、インピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、切り離した入力端子位置PR3および整合回路2Aの接続されたマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば1MHz〜100MHzの範囲から所定の周波数、例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを交流抵抗として定義する。
このプローブ105は、図4に示すように、導線110上に絶縁被覆112を設け、この絶縁被覆112上に外周導体111を被覆してなるものである。このプローブ105は同軸ケーブルを通してインピーダンス測定器ANに接続されている。ここで、プローブ105は、導線110を入力端子位置PRに、また、外周導体111をマッチングボックス2の上面中央とされるアース位置に接続される。
【0067】
本実施形態における整合回路2Aにおける交流抵抗は、整合回路2Aの前述の各構成要素、インダクタンスコイル23、チューニングコンデンサ24、ロードコンデンサ22、導体R1,R2は、交流的に、レジスタンスやインダクタンスを有しており、交流電流を流した際に、寄生的に存在している抵抗を含めて定義されるものである。
このとき、整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RAの測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図4にIRAで示すように、入力端子とされる測定位置PR3から、分岐点B1を経て、接続点BP1(接地電位部分)まで、つまり、以下のものが考えられる。
導体R1における寄生抵抗RR1
導体R1におけるインダクタンスLR1
ロードコンデンサ22の容量CL
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンスLR1
【0068】
これらの電気的高周波的要因のち、整合回路2Aの前記入力端子側交流抵抗RAとしては、図4に示すように、導体R1における寄生抵抗RR1、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
ここで、寄生抵抗R1は、入力端子側交流抵抗RAの測定時において、分岐点B1からロードコンデンサ22までの抵抗値等、上記のIRAの回路における図示しない寄生抵抗をも含んでいるものとする。
【0069】
同様にして、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBを測定するには、図5に示すように、インピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、切り離した出力端子位置PRおよび整合回路2Aの接続されたマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば1MHz〜100MHzの範囲に変化させて、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを交流抵抗として定義する。
このプローブ105は、図5に示すように、導線110を出力端子位置PRに、また、外周導体111をマッチングボックス2の上面中央とされるアース位置に接続される。
【0070】
このとき、整合回路2Aの出力端子側交流抵抗RBの測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図5にIRBで示すように、出力端子とされる測定位置PRから、分岐点B1を経て、接地電位部分まで、つまり、以下のものが考えられる。
チューニングコンデンサ24の容量CT
インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT
インダクタンスコイル23におけるインダクタンスLT
ロードコンデンサ22の容量CL
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンス R2
【0071】
これらの電気的高周波的要因のち、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBとしては、図5に示すように、インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
ここで、寄生抵抗R LT は、出力端子側交流抵抗RBの測定時において、分岐点B1からロードコンデンサ22までの抵抗値等、上記のIRBの回路における図示しない寄生抵抗をも含んでいるものとする。
【0072】
本実施形態のプラズマチャンバ75の整合回路2Aにおいては、このように測定された高周波特性としての入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBが、プラズマチャンバ75のの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定する。そして、本プラズマ処理装置が分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後それが使用され被処理物のプラズマ処理が行われても、さらには、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されても、その時点(時刻t1 )において、その時の交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)が、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そのために、もし、少なくともΔRAおよびΔRBのどちらか上記の所定の値以上となった場合は是正作業が行われる。
ここで、交流抵抗RA,RBを設定する方法としては、例えば、
▲1▼銅板(導体R1,R2)の形状(長さ,幅)を調整する。
▲2▼銅板(導体R1,R2)の組み立て状態(取り付け状態)を調整する。
▲3▼銅板(導体R1,R2)に銀をメッキする。
等の手法を適用することができる。
【0073】
本実施形態のプラズマ処理装置71においては、分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後においても、交流抵抗RA,RBが、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そのため、ある時間が経過する間に、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で、電気的高周波的な特性の差をなくすことが可能となり、これにより、交流抵抗、容量、インピーダンス等の高周波数特性を指標とする一定の管理幅内に本装置のプラズマチャンバ75の状態を維持することが可能となるので、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ時間的に略均一になるように維持することができる。
【0074】
そして、本実施形態のプラズマ処理装置71においては、プラズマチャンバ(第2成膜室)76およびプラズマチャンバ(第3成膜室)77は、プラズマチャンバ75と略同等の構造とされている。そして、このプラズマチャンバ76およびプラズマチャンバ77に対しても、高周波特性としての交流抵抗RA,RBをプラズマチャンバ75と同様にして設定する。
具体的には、これらプラズマチャンバ75,76,77において、いずれも、電力周波数fe を40.68MHzに設定して、交流抵抗RA,RBを測定する。
ところが、この交流抵抗RA,RBは、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各実機ごとにそれぞれ異なっていると考えられる。
【0075】
プラズマチャンバ75の回路においては、上述のように交流抵抗RA,RBを設定することにより、プラズマ励起電極4,サセプタ8間のプラズマ発生空間に投入される実効的な消費電力に影響する、いわゆる、抵抗による電力損失を設定することになる。これは、虚数単位をj(j2 =−1)、角振動数をω(ω=2πfe ;fe は電力周波数)とすると、インピーダンスZ(Ω)およびインダクタンスXが以下の式(11A)、
Z = R+jX (11A)
X = f(ω,L,C)
で示される関係を満たしている。ここで、 f(ω,L,C)は、インピーダンスXがω,L,Cの関数で表現されることを示すものである。さらに式(11B)
R = Re(Z) (11B)
で示されるように、インピーダンスZの実部が交流抵抗Rであるため、整合回路2Aにおける交流抵抗RA,RBを設定することにより、電極4,8よりも高周波電源1側に位置する整合回路2Aにおける電力損失を設定することが可能となる。その結果、電圧降下に対するもっとも寄与の大きい抵抗(レジスタンス)Rを設定することになるために、つまり、プラズマ発生のエネルギーの減少に対してもっとも寄与の大きい抵抗を設定するために、実効的なエネルギーロスが増加することを抑制することができる。これにより、時間的にプラズマチャンバ75の状態を変化しないように維持することが可能となる。
【0076】
さらに、計測したプラズマチャンバ(第1成膜室)75に対する入力端子側交流抵抗RA75、プラズマチャンバ(第2成膜室)76に対する入力端子側交流抵抗RA76、プラズマチャンバ(第3成膜室)77に対する入力端子側交流抵抗RA77のうち、その最大値RAmax と最小値RAmin に対して、
<RA> = (RAmax −RAmin )/(RAmax +RAmin ) (14A)
のように複数のプラズマチャンバ75,76,77の入力端子側交流抵抗RAのばらつき<RA>として定義し、この(14A)式で表されるばらつきの値を0.5より小さい範囲の値に設定する。この際、入力端子側交流抵抗RAのばらつき<RA>を設定する方法としては、上述の▲1▼〜▲3▼等のような手法を適用することができる。
【0077】
同時に、計測したプラズマチャンバ(第1成膜室)75に対する出力端子側交流抵抗RB75、プラズマチャンバ(第2成膜室)76に対する出力端子側交流抵抗RB76、プラズマチャンバ(第3成膜室)77に対する出力端子側交流抵抗RB77のうち、その最大値RBmax と最小値RBmin に対して、
<RB> = (RBmax −RBmin )/(RBmax +RBmin ) (14B)
のように複数のプラズマチャンバ75,76,77の出力端子側交流抵抗RBのばらつき<RB>として定義し、この(14B)式で表されるばらつきの値を0.5より小さい範囲の値に設定する。この際、入力端子側交流抵抗RBのばらつき<RB>を設定する方法としても、上述の▲1▼〜▲3▼等のような手法を適用することができる。
【0078】
上記構成の処理室75,76,77のいずれかにおいてアモルファスシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の成膜をおこなう際には、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、高周波電源1から高周波電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともにガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ室60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16上にアモルファスシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等を成膜する。
【0079】
レーザアニール室78は、図6に示すように、チャンバ80の上部にレーザ光源81が設けられる一方、チャンバ80内の下部には被処理基板16を載置するためのステージ82が直交するX方向、Y方向の2方向に水平移動可能に設けられている。そして、レーザ光源81の出射部81aからスポット状のレーザ光83(1点鎖線で示す)が出射されると同時に、被処理基板16を支持したステージ82がX方向、Y方向に水平移動することにより、レーザ光83が被処理基板16の全面を走査できるようになっている。レーザ光源81には例えばXeCl、ArF、ArCl、XeF等のハロゲンガスを用いたガスレーザを用いることができる。
また、レーザアニール室78の構成は、レーザ光を出射するレーザ光源を備え、レーザ光源から出射されるスポット状のレーザ光が被処理基板の表面をくまなく走査できる構成のものであれば、種々の構成の装置を用いることができる。この場合、レーザ光源は例えばXeCl、ArF、ArCl、XeF等のハロゲンガスを用いたガスレーザを用いることができる。膜の種類によってはYAGレーザ等の他のレーザ光源を用いることもでき、レーザ光の照射の形態としては、パルスレーザアニール、連続発振レーザアニールを用いることができる。また、熱処理室の構成は、例えば多段式電気炉型の装置を用いることができる。
【0080】
熱処理室79は、図7に示すように、多段式電気炉型のものであり、チャンバー84内に多段に設けられたヒータ85の各々に被処理基板18が載置される構成になっている。そして、ヒータ85の通電により複数枚の被処理基板16が加熱されるようになっている。なお、熱処理室89と搬送室72との間にはゲートバルブ86が設けられている。
【0081】
図1に示すローダ室73、アンローダ室74には、ローダカセット、アンローダカセットが着脱可能に設けられている。これら2つのカセットは、複数枚の被処理基板16が収容可能なものであり、ローダカセットに成膜前の被処理基板16が収容され、アンローダカセットには成膜済の被処理基板16が収容される。そして、これら処理室ユニットとローダ室73、アンローダ室74の中央に位置する搬送室72に基板搬送ロボット(搬送手段)87が設置されている。基板搬送ロボット87はその上部に伸縮自在なリンク機構を有するアーム88を有し、アーム88は回転可能かつ昇降可能となっており、アーム88の先端部で被処理基板16を支持、搬送するようになっている。
【0082】
上記構成のプラズマ処理装置71は、例えば各処理室ユニットにおける成膜条件、アニール条件、熱処理条件等、種々の処理条件や処理シーケンスをオペレータが設定する他は、各部の動作が制御部により制御されており、自動運転する構成になっている。したがって、このプラズマ処理装置71を使用する際には、処理前の被処理基板16をローダカセットにセットし、オペレータがスタートスイッチを操作すれば、基板搬送ロボット87によりローダカセットから各処理室内に被処理基板16が搬送され、各処理室で一連の処理が順次自動的に行われた後、基板搬送ロボット87によりアンローダカセットに収容される。
【0083】
本実施形態のプラズマ処理装置71の個々のプラズマチャンバ75,76,77においては、分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後においても、交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)が、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そのため、ある時刻t0 ,から時刻t1 における時間が経過する間に、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で、電気的高周波的な特性の差をなくすことが可能となり、これにより、交流抵抗RA,RB、容量、インピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内にそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77の状態を時間的に維持することが可能となるので、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一に維持することができる。
【0084】
その結果、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77において例えばある時間を隔てて成膜をおこなった際に、経過した時間の前後で、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略同等な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記の差ΔRAの絶対値をRA0 の0.5倍より小さい値に維持するとともに、差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍より小さい値に維持することにより、時間の経過にかかわらず、すなわち、分解、搬送、再組み立てや使用回数、調整作業等の存在にかかわらず、略同一の条件で積層をおこなったそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77において、膜厚のばらつきの値を±7%の範囲におさめることができる。
そのため、従来考慮されていなかった整合回路2Aまでも含んだそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77の全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77で時間的に均一な動作が期待できるプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
さらに、複数のプラズマチャンバ75,76,77間においても、同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果が得られる状態を時間経過的的に維持することが可能となる。
これにより、膨大なデータから外部パラメータと実際の基板を処理するような評価方法による処理結果との相関関係によるプロセス条件の把握を不必要とすることができる。
【0085】
さらに、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77において、各前記整合回路2Aの入力端子位置PR3および出力端子PRから測定したそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77の高周波特性として入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBのうち、それぞれの最大値と最小値のばらつきを、上記(10A)(10B)式に示すように定義し、この値を0.5より小さい範囲の値に設定することで、複数のプラズマチャンバ75,76,77に対して電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、インピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバ75,76,77の状態を設定することが可能となるので、個々のプラズマチャンバ75,76,77において、プラズマ空間で消費される実効的な電力を時間的にそれぞれ略均一にすることができる。
【0086】
その結果、複数のプラズマチャンバ75,76,77に対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマチャンバ75,76,77において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値<RA><RB>をそれぞれ0.5より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなったプラズマチャンバ75,76,77において、膜厚のばらつきの値を±7%の範囲におさめることができる。
したがって、複数のプラズマチャンバ75,76,77において、機差により被処理基体16に対する膜面内方向におけるプラズマ処理の均一性がプラズマチャンバ75,76,77ごとにばらつきを生じてしまうことを低減することができ、成膜処理においては、機差により膜厚の膜面内方向分布の均一性がプラズマチャンバ75,76,77ごとにばらつきを生じてしまうことを低減することが可能となる。
【0087】
同時に、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態の向上、すなわち、堆積した膜における絶縁耐圧や、エッチング液に対する耐エッチング性、そして、いわゆる膜の「固さ」つまり膜の緻密さ等の膜特性がプラズマチャンバ75,76,77ごとにばらつきを生じてしまうことを低減することが可能となる。
ここで、膜の緻密さは例えば、BHF液によるエッチングに対する浸食されにくさ、耐エッチング性によって表現可能である。
そのため、従来考慮されていなかったプラズマ処理装置71の全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、各プラズマチャンバ75,76,77で均一な動作が期待できるプラズマ処理装置71を提供することが可能となる。
これにより、複数のプラズマチャンバ75,76,77に対する膨大なデータから外部パラメータと実際の基板を処理するような評価方法による処理結果との相関関係によるプロセス条件の把握を不必要とすることができる。
【0088】
したがって、処理のばらつきをなくし同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間を、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合に比べて、整合回路2Aにおける交流抵抗RA,RBを測定することにより、大幅に短縮することができる。しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマチャンバ75,76,77の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマチャンバ75,76,77の評価を、しかも、プラズマ処理装置71のプラズマチャンバ75,76,77が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマチャンバ75,76,77についても、結果をほぼ同時に得ることができる。
【0089】
同時に、新規設置時や調整・保守点検時において、各プラズマチャンバ75,76,77ごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間を、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合に比べて、プラズマチャンバ75,76,77に電力を直接供給する部分である整合回路2Aにおける交流抵抗RA,RBを測定することにより、大幅に短縮することができる。しかも、本実施形態の検査方法によれば、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理装置71の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の検査方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理装置71の評価をおこなうことが可能で、しかも、プラズマ処理装置71の実機が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々におこなうしかなかった複数のプラズマチャンバ75,76,77に対する結果をほぼ同時に実現することができる。
このため、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置71の動作確認および、動作の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。また、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0090】
さらに、本実施形態の各プラズマチャンバ75,76,77においては、その整合回路2Aにおける交流抵抗RA,RBを設定することにより、従来は、考慮されていなかったプラズマチャンバ75,76,77の全体的な電気的高周波的な特性をそれぞれ適正な範囲に収めることができる。これにより、各プラズマチャンバ75,76,77において動作安定性を向上して、従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数の電力を投入した場合であっても、高周波電源1からの電力を、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ発生空間に効率よく導入することが可能となる。同時に、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置71と比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の上昇を図ることができる。
さらに、プラズマ空間に効率よく電力が供給されることにより、プラズマの不要な広がりも抑制でき、被処理基体16における膜面内方向におけるプラズマ処理の均一性の向上を図ることができ、成膜処理においては膜厚の膜面内方向分布の均一性の向上を図ることが可能となる。
同時に、プラズマ空間で消費される実効的な電力の増加により、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態の向上、すなわち、堆積した膜における絶縁耐圧や、エッチング液に対する耐エッチング性、そして、いわゆる膜の「固さ」つまり膜の緻密さ等の膜特性の向上を図ることが可能となる。
ここで、膜の緻密さは例えば、BHF液によるエッチングに対する浸食されにくさ、耐エッチング性によって表現可能である。
その結果、プラズマ励起周波数の高周波化による処理速度の向上を図ること、つまり、プラズマCVD等により膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることができる。
【0091】
なお、各プラズマチャンバ75,76,77において、図8に示すように、それぞれのインピーダンスが一致する複数本の導線101a〜101hの一端をプローブ取付具104に接続してなる測定具(フィクスチャ)を使用してプラズマチャンバ75,76,77のインピーダンス特性を測定することも可能である。プローブ取付具104は、例えば50mm×10mm×0.5mmの銅板を、締め付け部106とリング部とができるように成形されている。リング部はプローブ105の外側にはめ込み可能な径とされる。このプローブ取付部104に導線101a〜101hの一端をハンダ付けなどにより電気的に接続する。
導線101a〜101hの他端には、測定対象(プラズマチャンバ75,76,77)との着脱用の端子(圧着端子)102a〜102hが取り付けられている。
このフィクスチャを使用するに際してはプローブ取付具104のリング状部104をプローブ105にはめ込み、締め付け部106で締め付けを行う。一方各導線101a〜101hは略点対称となるように圧着端子102a〜102hにおいて測定対象に、図9に示すように、ねじ114により着脱自在にネジ止めする。
導体101a〜101hは、例えばアルミニウム、銅、銀、金により構成すればよく、または、銀、金を50μm以上メッキして構成してもよい。
【0092】
このような測定具(フィクスチャ)を使用してインピーダンスを測定する方法を図9を用いて説明する。
まず測定するプラズマチャンバ75,76,77の入力端子側交流抵抗RAの測定時において、高周波電源1と給電板3を整合回路2Aから取り外す。インピーダンス測定具のプローブ105の導線110を入力端子位置PR3に接続する。次いでインピーダンス測定具(フィクスチャ)の導線101a〜101hに接続する圧着端子102a〜102hをマッチングボックス2に入力端子位置PR3を中心とする略点対称となるようにネジ114によってネジ止めする。インピーダンス測定具をこのように配置した後、測定信号をインピーダンス測定具の導線110に供給し、プラズマチャンバ75,76,77の整合回路2Aにおける経路のインピーダンスを測定する。
これにより、測定対象の大きさ、あるいは、測定する2点間の距離に制約を与えることなく、かつ、測定対象に均一に電流を流すことができ、測定対象のインピーダンスを測定するのに影響を及ぼさない残留インピーダンス値を設定し、より正確にインピーダンス測定をおこなうことができる。
整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBを測定する際には、同様にして、インピーダンス測定具のプローブ105の導線110を出力端子位置PRに接続する。次いでインピーダンス測定具(フィクスチャ)の導線101a〜101hに接続する圧着端子102a〜102hをマッチングボックス2に出力端子位置PRを中心とする略点対称となるようにネジ114によってネジ止めする。
【0093】
なお、本実施形態においては、複数のプラズマチャンバ75,76,77を有するタイプとしたが、単一のプラズマチャンバ75をを有する構成とすることもできる。また、プラズマチャンバ75,76,77において、サセプタ電極側8に基板16を載置してプラズマ励起電極4に対する整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBを設定したが、RIE(reactive ion etching)反応性スパッタエッチングに対応するようにカソード電極4側に基板16を取り付けるよう対応することも可能である。
【0094】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第2実施形態]
図10は本実施形態のプラズマ処理装置91の概略構成を示す模式断面図である。
本実施形態のプラズマ処理装置91は、図10に示すように、略四角形の搬送室92の周囲にロードロック室93と熱処理室99と処理室94,95とが設けられた構成とされている。この装置は基板移載用の搬送ロボットが設置されている搬送室92を中央にして、各室の間が、ゲートg1,g2,g3,g4で区切られている。搬送室(待機室)92と加熱室99とその他の処理室ユニット94,95はそれぞれ個別の高真空ポンプによって高真空度に排気されている。ロードロック室91は低真空ポンプによって低真空度に排気されている。
【0095】
本実施形態のプラズマ処理装置91においては、その構成要素が図1〜図7に示した第1実施形態のプラズマ処理装置71に対応しており、それぞれ、搬送室72に搬送室92が、熱処理室79に熱処理室99が、ロードロック室93がローダ室73およびアンローダ室74に対応しており、略同一の構成の部分に関しては説明を省略する。
【0096】
プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95,96は、図1〜図5に示した第1実施形態のプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)75,76に対応して、それぞれ異なる種類の膜を成膜するような異なる処理をおこなうことも可能であり、また、同一のプロセスレシピにより同一の処理をおこなうこともできるものであるが、略同一の構成とされている。
そして、これらの複数のプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95,96は、図10に示すように、後述するスイッチSW2等を介してインピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANに接続されている。
ここではプラズマ処理室ユニット95を例に挙げてその構成を説明する。
【0097】
図11は本実施形態のプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の概略構成を示す断面図、図12は図11の整合回路のを示す断面図、図13は図12の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【0098】
本実施形態のプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95は、2周波数励起タイプのプラズマ処理室とされ、図2〜図5に示した第1実施形態のプラズマ処理室75と異なるのはサセプタ電極8側に電力を供給する点と、整合回路2Aの受動素子の構成および、交流抵抗RA,RBの設定に関する点である。それ以外の対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のプラズマチャンバ95,96は、整合回路2Aにおいて、その入力端子側から測定した交流抵抗RA0 と出力端子側から測定した交流抵抗RB0 とが、分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後の使用期間の時刻t1 においても、その時の交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)が、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値がRB0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そして、入力端子側交流抵抗RA0 の最大値RA0maxと最小値RA0minとのばらつきを前述の式(14A)として定義するとともに、出力端子側交流抵抗RB0 の最大値RB0max と最小値RB0min とのばらつきを前述の式(14B)として定義し、これらの値が所定の範囲の値に設定されて設計、製造されている。
【0099】
本実施形態のプラズマチャンバ95は、図11,図12に示すように、サセプタ電極8の周囲にサセプタシールド12が設けられ、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、これらの隙間がシャフト13の周囲の設けられた電気絶縁物からなる絶縁手段12Cによって真空絶縁されるとともに電気的にも絶縁されている。また、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、ベローズ11により上下動可能に構成されている。この構成により、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間の距離が調整可能となっている。また、サセプタ電極8は、シャフト13下端に接続された給電板28、および、導電体からなるサセプタ電極側マッチングボックス26内部に収納された整合回路25を介して第2の高周波電源27と接続されている。
これら給電板28は、サセプタシールド12の支持筒12B下端に接続されたシャーシ29に覆われるとともに、シャーシ29は、同軸ケーブルとされる給電線27Aのシールド線によって接続されマッチングボックス26とともにアースされている。これにより、サセプタシールド12,シャーシ29,マッチングボックス29は直流的に同電位となっている。
【0100】
ここで、整合回路25は、第2の高周波電源27とサセプタ電極8との間のインピーダンスの整合を図るものとされ、この整合回路25としては、図11,図12に示すように、複数の受動素子として、第2の高周波電源27と給電板28との間に、チューニングコイル30とチューニングコンデンサ31とが直列に設けられ、これらと並列にロードコンデンサ32が接続され、このロードコンデンサ32の一端はマッチングボックス26に接続されており、整合回路2Aと略同様の構成とされている。マッチングボックス26は給電線27Aのシールド線を介して接地電位に設定されており、同時に、ロードコンデンサ32の一端がアースされている。なお、チューニングコイル30と直列にチューニングコイルを接続することや、ロードコンデンサ32と並列にロードコンデンサを設けることも可能である。
給電板28としては給電板3と同様なものが適用され、この給電板28は整合回路25からの端子およびシャフト13にそれぞれネジ止めされている。
【0101】
整合回路2Aは、図11,図12,図13に示すように、高周波電源1と給電板3との間に設けられ、複数の受動素子として、インダクタンスコイル23と、エアバリコンからなるチューニングコンデンサ24と、真空バリコンからなるロードコンデンサ22と、これらの受動素子を接続するための銅板とされる導体R1,R2,R3,R4、および、同軸ケーブルK1とを有する構成とされている。
これらのうち、導体R1,同軸ケーブルK1,導体R3,インダクタンスコイル23,導体R4,チューニングコンデンサ24は、整合回路2Aの入力端子側から出力端子側へ直列に接続されるとともに、導体R3,インダクタンスコイル23の間の分岐点B1からこれらと並列にロードコンデンサ22が接続されている。このロードコンデンサ22の一端は、接続点BP1において導体R2を介してマッチングボックス2(接地電位部分)に接続されており、また、同軸ケーブルK1のシールド線は分岐点B2から接続点BP2においてマッチングボックス2(接地電位部分)に接続されている。
ここで、チューニングコンデンサ24は整合回路2Aの受動素子のうち最終端とされ、このチューニングコンデンサ24の出力端子は整合回路2Aの出力端子とされており、チューニングコンデンサ24は給電板3を介してプラズマ励起電極4に接続されている。
【0102】
本実施形態のプラズマチャンバ95においては、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、第1、第2の高周波電源1,27からプラズマ励起電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともにガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ室60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16に対して成膜等のプラズマ処理をおこなう。このとき、第1の高周波電源1から13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の電力を投入する。そして、第2の高周波電源27からも第1の高周波電源1からと同等か、異なる周波数の電力、例えば1.6MHz程度の電力を投入することもできる。
【0103】
ここで、本実施形態のプラズマチャンバ95における高周波特性としての整合回路2Aの交流抵抗RA,RBは、第1実施形態と同様にして測定・定義する。本実施形態の交流抵抗RA,RBは、具体的には図11〜図14に示すように測定・定義される。
【0104】
本実施形態の整合回路2Aにおける測定範囲としては、第1実施形態と同様に整合回路2Aの受動素子のうち入力最初段の受動素子の入力端子位置PR3および、受動素子のうち出力最終段の受動素子の出力端子位置PRで切り離した状態をその対象とする。つまり、図12,図13,図14に示すように、整合回路2Aに接続される給電線1Aを切り離すとともに、給電板3に接続されるチューニングコンデンサ24の出力端子位置PRで、給電板3と整合回路2Aの端子との接合部つまりネジ止めを外して切り離した状態の整合回路2Aを測定範囲とする。
【0105】
この測定範囲のうち入力端子側交流抵抗RAを測定するには、先ず、図13に示すように、接続点BP2をマッチングボックス2から切り離すとともに、第1実施形態と同様に図13に破線で示すように、インピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、入力端子位置PR3およびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを入力端子側交流抵抗RA(BP1)として定義する。
【0106】
このとき、整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RAの測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図13にIRAで示すように、入力端子とされる測定位置PR3から、分岐点B1を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP1まで、つまり、以下のものが考えられる。
導体R1における寄生抵抗RR1
導体R1におけるインダクタンスLR1
同軸ケーブルK1における寄生抵抗RK1
同軸ケーブルK1におけるインダクタンスLK1
導体R3における寄生抵抗RR3
導体R3におけるインダクタンスLR3
ロードコンデンサ22の容量CL
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンス R2
【0107】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記入力端子側交流抵抗RA(BP1)としては、図13に示すように、導体R1における寄生抵抗RR1、同軸ケーブルK1における寄生抵抗RK1、導体R3における寄生抵抗RR3、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
ここで、入力端子側交流抵抗RA(BP1)の測定時において、寄生抵抗R1は、分岐点B2までの同軸ケーブルK1の抵抗値を含み、および、寄生抵抗R3は、分岐点B1からロードコンデンサ22までの抵抗値を含み、これらによって、上記のIRAの回路における図示しない寄生抵抗をも含んでいるものとする。
【0108】
次に、入力端子側交流抵抗RA(BP2)として、図14に示すように、接続点BP1をマッチングボックス2から切り離すとともに接続点BP2をマッチングボックス2に接続する。この状態で、同様にインピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、出力端子位置PRおよびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続するとともに、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを入力端子側交流抵抗RA(BP2)として定義する。
【0109】
このとき、整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RA(BP2)の測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図14にIRAで示すように、入力端子とされる測定位置PR3から、分岐点B1を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP2まで、つまり、以下のものが考えられる。
導体R1における寄生抵抗RR1
導体R1におけるインダクタンスLR1
同軸ケーブルK1における寄生抵抗RK1
同軸ケーブルK1におけるインダクタンスLK1
同軸ケーブルK1における容量CK1
ここで、同軸ケーブルK1における容量CK1とは、シールド線との間に発生する容量を意味するものである。
【0110】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記入力端子側交流抵抗RA(BP2)としては、図14に示すように、導体R1における寄生抵抗RR1、同軸ケーブルK1における寄生抵抗RK1、を測定することになる。
ここで、入力端子側交流抵抗RA(BP2)の測定時において、図14に示すように、同軸ケーブルK1における寄生抵抗RK1は分岐点B2よりも測定位置PR側に位置しているが、これは模式図であり、実際には入力端子側交流抵抗RA(BP2)の測定時において、同軸ケーブルK1の抵抗値および、接続点BP2側の抵抗値を含み、上記のIRAの回路における図示しない寄生抵抗をも含んでいるものとする。
【0111】
同様にして、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBを測定するには、先ず、図13に示すように、接続点BP2をマッチングボックス2から切り離すとともに、インピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、第1実施形態と同様にして、入力端子位置PR3およびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを入力端子側交流抵抗RB(BP1)として定義する。
【0112】
このとき、整合回路2Aの出力端子側交流抵抗RB(BP1)の測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図13にIRBで示すように、出力端子とされる測定位置PRから、分岐点B1を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP1まで、つまり、以下のものが考えられる。
チューニングコンデンサ24の容量CT
導体R4における寄生抵抗RR4
導体R4におけるインダクタンスLR4
インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT
インダクタンスコイル23におけるインダクタンスLT
ロードコンデンサ22の容量CL
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンスLR1
【0113】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RB(BP1)としては、図13に示すように、導体R4における寄生抵抗RR4、インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
ここで、寄生抵抗RRLTは、出力端子側交流抵抗RBの測定時において、分岐点B1からロードコンデンサ22までの抵抗値等、上記のIRBの回路における図示しない寄生抵抗をも含んでいるものとする。
【0114】
次に、出力端子側交流抵抗RB(BP2)として、図14に示すように、接続点BP1をマッチングボックス2から切り離すとともに接続点BP2をマッチングボックス2に接続する。この状態で、同様にインピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、出力端子位置PRおよびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続するとともに、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを出力端子側交流抵抗RB(BP2)として定義する。
【0115】
このとき、整合回路2Aの出力端子側交流抵抗RB(BP2)の測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図14にIRBで示すように、出力端子とされる測定位置PRから、分岐点B2を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP2まで、つまり、以下のものが考えられる。
チューニングコンデンサ24の容量CT
導体R4における寄生抵抗RR4
導体R4におけるインダクタンスLR4
インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT
インダクタンスコイル23におけるインダクタンスLT
導体R3における寄生抵抗RR3
導体R3におけるインダクタンスLR3
同軸ケーブルK1における寄生抵抗RK1
同軸ケーブルK1におけるインダクタンスLK1
同軸ケーブルK1における容量CK1
【0116】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RB(BP2)としては、図14に示すように、導体R4における寄生抵抗RR4、インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT、導体R3における寄生抵抗RR3、同軸ケーブルK1における寄生抵抗RK1、を測定することになる。
【0117】
本実施形態のプラズマチャンバ75の整合回路2Aにおいては、このように測定された高周波特性としての入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBが、プラズマチャンバ75の作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定する。具体的には、それぞれの入力端子側交流抵抗RA(BP1),入力端子側交流抵抗RA(BP2),出力端子側交流抵抗RB(BP1),および出力端子側交流抵抗RB(BP2)を、各々後述する所定の範囲の値になるように設定する。
ここで、交流抵抗RA,RBを設定する方法としては、例えば、
▲1▼銅板(導体R1,R2,R3,R4)の形状(長さ,幅)を調整する。
▲2▼銅板(導体R1,R2,R3,R4)の組み立て状態(取り付け状態)を調整する。
▲3▼同軸ケーブルK1の形状(長さ,幅)を調整する。
▲4▼銅板(導体R1,R2,R3,R4)に銀をメッキする。
等の手法を適用することができる。
【0118】
そして、本実施形態のプラズマ処理装置91においては、プラズマチャンバ96は、プラズマチャンバ95と略同等の構造とされている。そして、このプラズマチャンバ96に対しても、高周波特性としての交流抵抗RA,RB、具体的には、交流抵抗RA(BP1),RA(BP2),RB(BP1),RB(BP2)をそれぞれプラズマチャンバ95と同様にして設定する。
ここで、これらプラズマチャンバ95,96において、いずれも、電力周波数fe を40.68MHzに設定して、交流抵抗RA,RBを測定する。
ところが、この交流抵抗RA,RBは、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各実機ごとにそれぞれ異なっていると考えられる。
【0119】
入力端子側交流抵抗RAとしては、まず、計測したプラズマチャンバ95に対する入力端子側交流抵抗RA(BP1)95、プラズマチャンバ96に対する入力端子側交流抵抗RA(BP1)96のうち、その最大値RA(BP1)max と最小値RA(BP1)min に対して、
【数1】
Figure 0003670209
この式(14A’)のように複数のプラズマチャンバ95,96の入力端子側交流抵抗RA(BP1)のばらつき<RA(BP1)>として定義する。
【0120】
同様にして、計測したプラズマチャンバ95に対する入力端子側交流抵抗RA(BP2)95、プラズマチャンバ96に対する入力端子側交流抵抗RA(BP2)96のうち、その最大値RA(BP2)max と最小値RA(BP2)min に対して、
【数2】
Figure 0003670209
この式(14A”)のように複数のプラズマチャンバ95,96の入力端子側交流抵抗RA(BP2)のばらつき<RA(BP2)>として定義する。
【0121】
そして、これら入力端子側交流抵抗RA(BP1)のばらつき<RA(BP1)>および入力端子側交流抵抗RA(BP2)のばらつき<RA(BP2)>のうち、その値の大きいものを入力端子側交流抵抗RAのばらつき<RA>とし、この(14A’)(14A”)式で表されるばらつきの値を0.4より小さい範囲の値に設定する。つまり、接続点BP1,BP2に対応する入力端子側交流抵抗RAのばらつきの値<RA(BP1)>および<RA(BP2)>をすべて、0.4とされる所定の範囲の値となるように設定する。
この際、入力端子側交流抵抗RAのばらつき<RA>を設定する方法としては、上述の▲1▼〜▲4▼等のような手法を適用することができる。
【0122】
同時に、出力端子側交流抵抗RBとしては、計測したプラズマチャンバ95に対する出力端子側交流抵抗(BP1)RB95、プラズマチャンバ96に対する出力端子側交流抵抗RB(BP1)96のうち、その最大値RB(BP1)max と最小値RB(BP1)min に対して、
【数3】
Figure 0003670209
式(14B’)のように複数のプラズマチャンバ95,96の出力端子側交流抵抗RB(BP1)のばらつき<RB(BP1)>として定義する。
【0123】
同様にして、計測したプラズマチャンバ95に対する出力端子側交流抵抗RB(BP2)95、プラズマチャンバ96に対する出力端子側交流抵抗RB(BP2)96のうち、その最大値RB(BP2)max と最小値RB(BP2)min に対して、
【数4】
Figure 0003670209
この式(14B”)のように複数のプラズマチャンバ95,96の入力端子側交流抵抗RA(BP2)のばらつき<RA(BP2)>として定義する。
【0124】
そして、これら出力端子側交流抵抗RB(BP1)のばらつき<RB(BP1)>および出力端子側交流抵抗RB(BP2)のばらつき<RB(BP2)>のうち、その値の大きいものを出力端子側交流抵抗RBのばらつき<RB>とし、この(14B’)(14B”)式で表されるばらつきの値を0.4より小さい範囲の値に設定する。つまり、接続点BP1,BP2に対応する入力端子側交流抵抗RBのばらつきの値<RB(BP1)>および<RB(BP2)>をすべて、0.4とされる所定の範囲の値となるように設定する。
この際、出力端子側交流抵抗RBのばらつき<RB>を設定する方法としては、上述の▲1▼〜▲4▼等のような手法を適用することができる。
【0125】
本実施形態のプラズマチャンバ95,96の整合回路2Aにおいては、上記のように(このときを時刻t0 とする)測定された高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA(BP1),RA(BP2)および出力端子側交流抵抗RB(BP1),RB(BP2)が、時間的にプラズマチャンバ95,96の作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定する。つまり、プラズマチャンバ95,96が分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後それが使用され被処理物のプラズマ処理が行われても、さらには、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されても、その時点(時刻t1 )において、その時の入力端子側交流抵抗RA(BP1)1 ,RA(BP2)1 ,出力端子側交流抵抗RB(BP1)1 ,RB(BP2)1 が、それぞれ、RA(BP1)0 、RA(BP1)1 の差ΔRA(BP1)の絶対値がRA(BP1)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持され、RA(BP2)0 、RA(BP2)1 の差ΔRA(BP2)の絶対値がRA(BP2)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB(BP1)0 、RB(BP1)1 の差ΔRB(BP1)の絶対値がRB(BP1)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持され、RB(BP2)0 、RB(BP2)1 の差ΔRB(BP2)の絶対値がRB(BP2)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そのために、もし、少なくともΔRA(BP1),ΔRA(BP2),ΔRB(BP1),ΔRB(BP2)の少なくとも一つが上記の所定の値以上となった場合は是正作業が行われる。
ここで、交流抵抗RA(BP1),RA(BP2),RB(BP1),RB(BP2)を設定する方法としては、例えば、上述の▲1▼〜▲4▼等のような手法を適用することができる。
【0126】
上記構成のプラズマ処理装置91は、ゲートg0を開放して被処理基板16をロードロック室93に搬入し、ゲートg0を閉塞してロードロック室93を低真空ポンプによって排気する。ゲートg1,g2を開放してロードロック室93に搬入された基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによって熱処理室99に移動し、ゲートg1,g2を閉塞して搬送室92と熱処理室99を高真空ポンプによって排気する。ついで基板16を加熱処理し、終了後、ゲートg2,g4を開放して熱処理された基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによってプラズマチャンバ95に移動する。プラズマチャンバ95の基板16を反応処理し、終了後ゲートg4,g3を開放して処理された基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによってプラズマチャンバ96に移動する。プラズマチャンバ96の基板16を反応処理し、終了後ゲートg3,g1を開放して基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによってロードロック室93に移動する。
【0127】
このとき、例えば各処理室における成膜条件等の処理条件や処理シーケンスをオペレータが設定する他は、各部の動作が制御部により制御されており、自動運転する構成になっている。したがって、このプラズマ処理装置91を使用する際には、処理前の被処理基板16をロードロック室93のローダカセットにセットし、オペレータがスタートスイッチを操作すれば、基板搬送ロボットによりローダカセットから各処理室内に被処理基板16が搬送され、各処理室で一連の処理が順次自動的に行われた後、基板搬送ロボットによりアンローダカセット(ローダカセット)に収容される。
【0128】
上記構成のプラズマチャンバ95,96においては、第1実施形態と同様に、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、高周波電源1から高周波電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともにガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ室60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16上にアモルファスシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等を成膜する。
【0129】
本実施形態のプラズマ処理装置91においては、第1実施形態と同等の効果を奏するとともに、各プラズマチャンバ95,96の整合回路2Aにおいて、分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後でも、交流抵抗RA(BP1),RA(BP2),RB(BP1),RB(BP2)がいずれも、ΔRA(BP1),ΔRA(BP2),ΔRB(BP1),ΔRB(BP2)の絶対値が、それぞれRA(BP1)0 ,RA(BP2)0 ,RB(BP1)0 ,RB(BP2)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そのため、ある時間が経過する間に、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で、電気的高周波的な特性の差をなくすことが可能となり、さらに、時刻t0 において複数のプラズマチャンバ95,96におけるそれぞれの電気的高周波的な機差をなくすように設定していることにより、交流抵抗、容量、インピーダンス等の高周波数特性を指標とする一定の管理幅内に本装置のプラズマチャンバ95,96の状態を維持することが可能となるので、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ時間的に略均一になるように維持することができる。具体的には、時間の経過にかかわらず、すなわち、分解、搬送、再組み立てや使用回数、調整作業等の存在にかかわらず、略同一の条件で積層をおこなったそれぞれのプラズマチャンバ95,96において、膜厚のばらつきの値を±3%の範囲におさめることができる。
【0130】
さらに、本実施形態のプラズマ処理装置91においては、各プラズマチャンバ95,96の整合回路2Aにおける入力端子側交流抵抗RA,出力端子側交流抵抗RBのばらつきが、それぞれ0.4より小さい範囲の値に設定されてなることで、複数のプラズマチャンバ95,96に対して電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、インピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバ95,96の状態を時間的に設定しておくことが可能となるので、個々のプラズマチャンバ95,96において、プラズマ空間で消費される実効的な電力を時間的にそれぞれ略均一にすることができる。
その結果、複数のプラズマチャンバ95,96に対して同一のプロセスレシピを適用して、時間的に略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマチャンバにおいて例えば複数回の成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を毎回得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値を0.4より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなったプラズマチャンバにおいて、膜厚のばらつきの値を±3%の範囲におさめることができる。
【0131】
本実施形態のように、複数の接続点BP1,BP2がある場合には、これらの接続点BP1,BP2のうち1箇所の接続点BP1のみをマッチングボックス(接地電位部分)2に接続するよう他の接続点BP2を切断した状態として入力端子側交流抵抗RA(BP1)および出力端子側交流抵抗RB(BP1)を測定し、かつ、接続する点を切り替えて、接続点BP2のみをマッチングボックス(接地電位部分)2に接続するよう他の接続点BP1を切断した状態として入力端子側交流抵抗RA(BP2)および出力端子側交流抵抗RB(BP2)を測定することにより、各接続点BP1,BP2ごとに接続状態を設定して測定範囲を設定し、この測定範囲ごとに異なる状態とされる整合回路2Aの受動素子に対して測定したそれぞれの交流抵抗RA(BP1),RA(BP2),RB(BP1),RB(BP2)を、各プラズマチャンバ95,96に対して式(14A’)(14A”)(14B’)(14B”)に示すようなばらつきの値を定義して、各測定範囲毎の交流抵抗のばらつきの値<RA><RB>を設定することで、個々のプラズマチャンバ95,96において、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
【0132】
さらに、本実施形態のプラズマ処理装置91およびその検査方法においては、複数のプラズマチャンバ95,96の前記整合回路2Aにおいて、時刻t0 および時刻t1 に、それぞれ入力端子側交流抵抗RA,出力端子側交流抵抗RBを同時に設定することにより、複数の分岐点B1,B2を有する整合回路2Aにおいても、これらの寄生抵抗を設定してその機差および時間経過に従って生じる差をなくすことができる。このため、前記プラズマチャンバ95,96のインピーダンス特性を測定する際における作業効率を向上することができる。
【0133】
さらに、本実施形態においては、プラズマ励起電極4に対する入力端子側交流抵抗RA,出力端子側交流抵抗RBを設定したが、サセプタ電極側8側の整合回路25に対する入力端子側交流抵抗RA,出力端子側交流抵抗RBを設定するよう対応することも可能である。この場合、それぞれの測定位置を、図11,図12に示すように、整合回路25の出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を規定する測定位置PR’として設定し、整合回路25の入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を規定する測定位置PR3’として設定することができる。
【0134】
さらに、平行平板型の電極4,8を有するタイプに変えて、ICP(inductive coupled plasma)誘導結合プラズマ励起型、RLSA(radial line slot antenna)ラジアルラインスロットアンテナ型などのプラズマ処理装置や、RIE(Riactive Ion Etching)反応性スパッタエッチング用の処理装置に適用することもできる。
なお、電極4,8に替えて、ターゲット材を取り付けることにより、プラズマ処理としてスパッタリングをおこなうことも可能である。
【0135】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第3実施形態]
図15は本実施形態のプラズマチャンバの概略構成を示す模式図である。
【0136】
本実施形態のプラズマ処理装置は、図1〜図14に示した第1,第2実施形態と略同等の構成とされ、図1〜図14に示した第1,第2実施形態と異なる点は、プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の部分で、整合回路、および、スイッチに関する点のみであり、プラズマ処理装置としての構成に関しては第1ないし第2実施形態に準ずるものとされる。また、これ以外の第1ないし第2実施形態と略同等の構成要素に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0137】
本実施形態においては、プラズマチャンバの構成として第2実施形態と同様の2周波数励起タイプとされるとともに、図15にPR2で示すように、高周波数特性としての入力端子側交流抵抗RAを測定する測定範囲を規定する測定位置が、各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97において、整合回路2Aの高周波電源1に接続される高周波電力供給電体(給電線)1Aの入力端子位置に設定される。
【0138】
図16は、図15の整合回路の概略構成を示す模式図、図17は、図16の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
整合回路2Aは、図15〜図17に示すように、高周波電源1と給電板3との間に設けられ、複数の受動素子として、エアバリコンからなるチューニングコンデンサ24と、真空バリコンからなるロードコンデンサ22と、これらの受動素子を接続するための銅板とされる導体R1,R2,R3,R4、R5とを有する構成とされている。
これらのうち、導体R1,導体R5,導体R3,導体R4,チューニングコンデンサ24は、整合回路2Aの入力端子側から出力端子側へ直列に接続されるとともに、導体R3,導体R4の間の分岐点B1からこれらと並列にロードコンデンサ22が接続されている。ロードコンデンサ22の一端は、接続点BP1において導体R2を介してマッチングボックス2(接地電位部分)に接続されている。
ここで、チューニングコンデンサ24は整合回路2Aの受動素子のうち最終端とされ、このチューニングコンデンサ24の出力端子は整合回路2Aの出力端子とされており、チューニングコンデンサ24は給電板3を介してプラズマ励起電極4に接続されている。
【0139】
本実施形態の整合回路2Aの入力端子位置PR3には、図15〜図17に示すように、入力端子側交流抵抗RAを測定するための測定用端子61と、この測定用端子61と高周波数特性測定器ANとを接続する同軸ケーブルとされる接続線61Aと、高周波数特性測定時および、プラズマ発生時に、プラズマチャンバに対する接続を給電線1Aと高周波特性測定器(インピーダンス測定器)ANとの間で切り替えるスイッチSW5とが接続される。スイッチSW5には、測定用端子61を介した整合回路2Aの入力端子位置PR3と、給電線1Aと、接続線61Aとが接続されている。また、スイッチSW5、給電線1A、接続線61Aは、プラズマ発生時と高周波特性測定時とのいずれの場合にも、マッチングボックス2が接地電位になるよう構成されている。
ここで、スイッチSW5で切り替えられる入力端子位置PR3から給電線1Aの高周波電源1側端部(高周波電源1の出力端子位置)とされる測定位置PR2までのインピーダンスと、入力端子位置PR3から接続線61Aを介して高周波特性測定器ANまでのインピーダンスとがそれぞれ等しく設定されている。具体的には、給電線1Aと接続線61Aとの長さが等しく設定されている。さらに、各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97と高周波特性測定器ANまでのインピーダンスとが等しくなるようにそれぞれ設定されている。これにより、整合回路2Aと高周波特性測定器ANとの接続を着脱することなく、スイッチSW5切り替えのみにより、インピーダンスなどの測定による高周波特性、特に入力端子側交流抵抗RAの測定を容易におこなうことが可能となる。
【0140】
本実施形態の整合回路2Aの出力端子位置PR近傍には、図15〜図17に示すように、出力端子側交流抵抗RBを測定するための測定用端子61’と、この測定用端子61’と高周波特性測定器ANとを接続する同軸ケーブルとされる接続線61Bと、高周波特性測定時および、プラズマ発生時に、整合回路2Aに対する接続を給電板3側と高周波特性測定器(インピーダンス測定器)ANとの間で切り替えるスイッチSW1およびSW1’とが接続される。スイッチSW1には整合回路2Aの出力端子位置PRと測定用端子61’および給電板3側への出力線とが接続され、スイッチSW1’はマッチングボックス2と接続線61Bのシールド線を介した高周波特性測定器行きのアース電位部分に接続されている。また、スイッチSW1,SW1’、接続線61Bは、プラズマ発生時と高周波特性測定時とのいずれの場合にも、マッチングボックス2が接地電位になるよう構成されている。
ここで、各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97から高周波特性測定器ANまでのインピーダンスとが等しくなるようにそれぞ接続線61Bの長さが等しくれ設定されている。これにより、整合回路2Aと高周波特性測定器ANとの接続を着脱することなく、スイッチSW1,SW1’の切り替えのみにより、インピーダンスなどの測定による高周波特性、特に出力端子側交流抵抗RBの測定を容易におこなうことが可能となる。
【0141】
ここで、本実施形態のプラズマチャンバ75,76,77,95,96,97における高周波特性としての整合回路2Aの交流抵抗RA,RBは、第1,第2実施形態と同様にして測定・定義する。
【0142】
入力端子側交流抵抗RAを測定するには、図17に示すように、スイッチSW1,SW1’を切り替えて整合回路2Aを出力端子位置PRでプラズマチャンバから切り離した状態とするとともに、スイッチSW5をインピーダンス測定器(高周波特性測定器)AN側に切り替えた状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを交流抵抗として定義する。
【0143】
このとき、整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RAの測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図17にIRAで示すように、高周波電源1側の測定位置PR2とインピーダンス特性の等しい高周波特性測定器AN側の測定位置PR2から、分岐点B3、B1を経て、マッチングボックス2等の接地電位部分まで、つまり、以下のものが考えられる。
接続線61Aにおける寄生抵抗R61A
接続線61AにおけるインダクタンスL61A
接続線61Aにおける容量C61A
スイッチSW5における寄生抵抗RSW5
スイッチSW5におけるインダクタンスLSW5
測定用端子61における寄生抵抗R61
測定用端子61におけるインダクタンスL61
導体R1における寄生抵抗RR1
導体R1におけるインダクタンスLR1
導体R5における寄生抵抗RR5
導体R5におけるインダクタンスLR5
導体R3における寄生抵抗RR3
導体R3におけるインダクタンスLR3
ロードコンデンサ22の容量CL
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンスLR1
ここで、接続線61Aにおける容量C61A とは、シールド線との間に発生する容量を意味するものである。
【0144】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記入力端子側交流抵抗RAとしては、図17に示すように、接続線61Aにおける寄生抵抗R61A 、スイッチSW5における寄生抵抗RSW5 、測定用端子61における寄生抵抗R61、導体R1における寄生抵抗RR1、導体R5における寄生抵抗RR5、導体R3における寄生抵抗RR3、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
ここで、入力端子側交流抵抗RAの測定時において、寄生抵抗R3は、分岐点B1からロードコンデンサ22までの抵抗値を含み、これによって、上記のIRAの回路における図示しない寄生抵抗をも含んでいるものとする。
【0145】
同様にして、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBを測定するには、スイッチSW5を切り替えて整合回路2Aを入力端子位置PR3で高周波電源1から切り離した状態とするとともに、スイッチSW1,SW1’をインピーダンス測定器(高周波特性測定器)AN側に切り替えた状態で、出力端子位置PRをインピーダンス測定器ANに接続し、かつ、マッチングボックス2をインピーダンス測定器ANのアース部分に接続してインピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを交流抵抗として定義する。
【0146】
このとき、整合回路2Aの出力端子側交流抵抗RBの測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図17にIRBで示すように、出力端子とされる測定位置PRから、分岐点B1を経て、接地電位部分である接続点B1まで、つまり、以下のものが考えられる。
スイッチSW1における寄生抵抗RSW1
スイッチSW1におけるインダクタンスLSW1
チューニングコンデンサ24の容量CT
導体R4における寄生抵抗RR4
導体R4におけるインダクタンスLR4
ロードコンデンサ22の容量CL
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンスLR1
【0147】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBとしては、図17に示すように、導体R4における寄生抵抗RR4、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
ここで、寄生抵抗RR4は、出力端子側交流抵抗RBの測定時において、分岐点B1からロードコンデンサ22までの抵抗値等、上記のIRBの回路における図示しない寄生抵抗をも含んでいるものとする。
【0148】
なお、整合回路2Aの出力端子側交流抵抗RBの測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図17に示すように、以下の要因が存在しているが、これらは、高周波電源1からプラズマチャンバへの高周波電力供給時にはその寄与が無視し得るため、これらは出力端子側交流抵抗RBの測定後にその影響を排除するように操作をおこなっておく。
接続線61Bにおける寄生抵抗R61B
接続線61BにおけるインダクタンスL61B
接続線61Bにおける容量C61B
測定用端子61’における寄生抵抗R61'
測定用端子61’におけるインダクタンスL61'
【0149】
本実施形態のプラズマチャンバの整合回路2Aにおいては、第1,第2実施形態と同様に、測定された高周波特性としての入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBが、プラズマチャンバのの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定するとともに、複数のプラズマチャンバにおいて、前記式(14A)(14B)に示すように、そのばらつきの値をそれぞれ設定する。
【0150】
本実施形態のプラズマ処理装置においては、第1,第2実施形態と同等の効果を奏するとともに、整合回路2Aの測定範囲に給電線1Aが含まれていることにより、実際に電力を供給する部分の寄生抵抗までも含めて設定することが可能となるため、プラズマチャンバ75,76,77,95,96が分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後においても、測定範囲に高周波電力給電体(給電線)1Aを含めない場合に比べて、整合回路2Aだけでなく、給電線1Aも含めて複数のプラズマチャンバに対して、交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)を、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持することができるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値をRB0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持することができる。そのため、ある時刻t0 ,から時刻t1 における時間が経過する間でも、電気的高周波的な特性の機差をさらになくすことが可能となり、個々のプラズマチャンバにおいて上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で、電気的高周波的な特性の差をさらになくすことが可能となり、これにより、交流抵抗RA,RB、容量、インピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内にそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77,95,96の状態をさらに時間的に維持することが可能となるので、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一に維持することができ、これに同一のプロセスレシピを適用して、給電線1Aを含めない場合に比べて、さらに略同一性の高いプラズマ処理結果を得ることができる。
【0151】
さらに、本実施形態のプラズマ処理装置においては、測定用端子61,61’,スイッチSW5,SW1,SW1’を設けるとともに、入力端子位置PR3から測定位置PR2までのインピーダンスと、入力端子位置PR3から接続線61Aを介して高周波特性測定器ANまでのインピーダンスとがそれぞれ等しく設定されていることにより、個々のプラズマチャンバにおいて、整合回路2Aと高周波電源1、および、整合回路2Aと給電板3側と、をそれぞれ着脱することなく、かつ、インピーダンス測定用プローブ105を着脱することなく、スイッチSW5,SW1,SW1’の切り替えのみにより高周波特性、特に入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの測定と、プラズマ処理装置の動作状態つまりプラズマ発生状態と、の切り替えを容易におこなうことが可能となる。
【0152】
さらに、各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97と高周波特性測定器ANまでのインピーダンスとが等しくなるようにそれぞれ接続線61Aの長さ等が設定されていることにより、高周波特性の測定、特に入力端子側交流抵抗RAの測定時において、スイッチSW5の切り替えのみにより複数のプラズマチャンバ95,96を順に切り替えることができ、入力端子側交流抵抗RAの測定時における作業効率を向上することができる。
また、各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97と高周波特性測定器ANまでのインピーダンスとが等しくなるようにそれぞれ接続線61Bの長さ等が設定されていることにより、高周波特性の測定、特に出力端子側交流抵抗RBの測定時において、スイッチSW1,SW1’の切り替えのみにより複数のプラズマチャンバ95,96を順に切り替えることができ、出力端子側交流抵抗RBの測定時における作業効率を向上することができる。
【0153】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置,プラズマ処理システムおよびこれらの性能確認システム,検査方法の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第4実施形態]
図18は本実施形態のプラズマチャンバにおける整合回路の概略構成を示す模式図である。
【0154】
本実施形態のプラズマ処理装置は、図1〜図17に示した第1〜第3実施形態と略同等の構成とされ、図1〜図17に示した第1〜第3実施形態と異なる点は、プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の整合回路とその測定範囲に関する点のみであり、プラズマ処理装置としての構成に関しては第1ないし第3実施形態に準ずるものとされる。また、これ以外の第1ないし第3実施形態と略同等の構成要素に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0155】
本実施形態においては、入力端子側交流抵抗RAを規定する測定位置が、第3実施形態と同様にして、図18に示すように、PR2とされるとともに、図18にPR4で示すように、高周波数特性としての出力端子側交流抵抗RBを測定する測定範囲を規定する測定位置が、各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97において、整合回路2Aに接続される高周波電力供配電体(給電板)3の電極4側の出力端子位置に設定される。
また、第1,第2実施形態と同様に、整合回路2Aの入力端子は、スイッチSW5を介さずに給電線1Aに接続されている。
【0156】
図19,図20は、図18の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
整合回路2Aは、図18,図19,図20に示すように、高周波電源1と給電板3との間に設けられ、複数の受動素子として、インダクタンスコイル23と、エアバリコンからなるチューニングコンデンサ24と、真空バリコンからなるロードコンデンサ22A,22Bと、これらの受動素子を接続するための銅板とされる導体R1,R2,R5,R6とを有する構成とされている。
これらのうち、導体R1,導体R5,インダクタンスコイル23,チューニングコンデンサ24は、整合回路2Aの入力端子側から出力端子側へ直列に接続されるとともに、導体R1,導体R5の間の分岐点B4からこれらと並列にロードコンデンサ22Aが接続され、導体R5,インダクタンスコイル23の間の分岐点B1からこれらと並列にロードコンデンサ22Bが接続されている。ロードコンデンサ22Aの一端は、接続点BP4において導体R6を介してマッチングボックス2(接地電位部分)に接続されているとともに、ロードコンデンサ22Bの一端は、接続点BP1において導体R2を介してマッチングボックス2(接地電位部分)に接続されている。
ここで、チューニングコンデンサ24は整合回路2Aの受動素子のうち最終端とされ、このチューニングコンデンサ24の出力端子は整合回路2Aの出力端子とされており、チューニングコンデンサ24は給電板3を介してプラズマ励起電極4に接続されている。
【0157】
ここで、本実施形態のプラズマチャンバ75,76,77,95,96,97における高周波特性としての整合回路2Aの交流抵抗RA,RBは、第1ないし第3実施形態と同様にして測定・定義する。本実施形態の交流抵抗RA,RBは、具体的には図18,図19,図20に示すように測定・定義される。
【0158】
本実施形態の整合回路2Aにおける測定範囲としては、図18にPR4で示すように、高周波電力配電体(給電板)の出力端子位置とされる測定位置PR4で整合回路2Aをプラズマチャンバから切り離す、つまり、整合回路2Aの出力端子位置に高周波電力配電体(給電板)3が接続した状態でプラズマチャンバから切り離すとともに、高周波電力給電体(給電線)1Aが整合回路2Aの入力端子に接続した状態で高周波電源1から切り離した状態を測定範囲とする。
【0159】
入力端子側交流抵抗RAを測定するには、図18にPR4で示すように、高周波電力配電体(給電板)の出力端子位置PR4で整合回路2Aをプラズマチャンバから切り離す、つまり、整合回路2Aの出力端子位置に高周波電力配電体(給電板)3が接続した状態でプラズマチャンバから切り離すとともに、高周波電力給電体(給電線)1Aが整合回路2Aの入力端子に接続した状態で高周波電源1から切り離し、この状態で、測定位置PR2から入力端子側交流抵抗RAを、測定する。
【0160】
このとき、先ず、図19に示すように、接続点BP4をマッチングボックス2から切り離すとともに、給電線1Aのシールド線をアース状態としてインピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、第1,第2実施形態と同様にして、測定位置PR2およびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを入力端子側交流抵抗RA(BP1)として定義する。
【0161】
本実施形態において、整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RA(BP1)の測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図19にIRAで示すように、高周波電源1側の測定位置PR2から、分岐点B1を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP1まで、つまり、以下のものが考えられる。
給電線1Aにおける寄生抵抗R1A
給電線1AにおけるインダクタンスL1A
給電線1Aにおける容量C1A
導体R1における寄生抵抗RR1
導体R1におけるインダクタンスLR1
導体R5における寄生抵抗RR5
導体R5におけるインダクタンスLR5
ロードコンデンサ22Bの容量CLB
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンス R2
ここで、給電線1Aにおける容量C1Aとは、シールド線との間に発生する容量を意味するものである。
【0162】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記入力端子側交流抵抗RA(BP1)としては、図19に示すように、給電線1Aにおける寄生抵抗R1A 、導体R1における寄生抵抗RR1、導体R5における寄生抵抗RR5、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
【0163】
次に、入力端子側交流抵抗RA(BP2)として、図20に示すように、接続点BP1をマッチングボックス2から切り離すとともに接続点BP4をマッチングボックス2に接続する。この状態で、同様にインピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、測定位置PR2およびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続するとともに、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを入力端子側交流抵抗RA(BP2)として定義する。
【0164】
このとき、整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RA(BP2)の測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図20にIRAで示すように、入力端子とされる測定位置PR3から、分岐点B4を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP4まで、つまり、以下のものが考えられる。
給電線1Aにおける寄生抵抗R1A
給電線1AにおけるインダクタンスL1A
給電線1Aにおける容量C1A
導体R1における寄生抵抗RR1
導体R1におけるインダクタンスLR1
ロードコンデンサ22Aの容量CLA
導体R6における寄生抵抗RR6
導体R6におけるインダクタンスLR6
【0165】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記入力端子側交流抵抗RA(BP2)としては、図20に示すように、給電線1Aにおける寄生抵抗R1A 、導体R1における寄生抵抗RR1、導体R6における寄生抵抗RR6、を測定することになる。
【0166】
同様にして、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RBを測定するには、先ず、図19に示すように、接続点BP4をマッチングボックス2から切り離すとともに、また、測定位置PR4から入力端子側交流抵抗RBを測定する。ここで、プローブ105を、第1,第2実施形態と同様にして、測定位置PR4およびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを入力端子側交流抵抗RB(BP1)として定義する。
【0167】
このとき、整合回路2Aの出力端子側交流抵抗RB(BP1)の測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図19にIRBで示すように、給電板3の出力端子とされる測定位置PR4から、分岐点B1を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP1まで、つまり、以下のものが考えられる。
給電板3における寄生抵抗R3
給電板3におけるインダクタンスL3
チューニングコンデンサ24の容量CT
インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT
インダクタンスコイル23におけるインダクタンスLT
ロードコンデンサ22Bの容量CLB
導体R2における寄生抵抗RR2
導体R2におけるインダクタンスLR1
【0168】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RB(BP1)としては、図19に示すように、導体R4における寄生抵抗RR4、インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT、導体R2における寄生抵抗RR2、を測定することになる。
【0169】
次に、出力端子側交流抵抗RB(BP2)として、図20に示すように、接続点BP1をマッチングボックス2から切り離すとともに接続点BP4をマッチングボックス2に接続する。この状態で、同様にインピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANのプローブ105を、測定位置PR4およびマッチングボックス2のアース位置(接地電位部分)に接続するとともに、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば電力周波数fe と等しい40.68MHz程度に設定して、整合回路2Aの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定し、インピーダンスの復素表現における実部を算出して、これを出力端子側交流抵抗RB(BP2)として定義する。
【0170】
このとき、整合回路2Aの出力端子側交流抵抗RB(BP2)の測定時に考慮されている電気的高周波的要因としては、図20にIRBで示すように、出力端子とされる測定位置PR4から、分岐点B4を経て、接地電位部分であるマッチングボックス2への接続点BP4まで、つまり、以下のものが考えられる。
給電板3における寄生抵抗R3
給電板3におけるインダクタンスL3
チューニングコンデンサ24の容量CT
インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT
インダクタンスコイル23におけるインダクタンスLT
導体R5における寄生抵抗RR5
導体R5におけるインダクタンスLR5
ロードコンデンサ22Aの容量CLA
導体R6における寄生抵抗RR6
導体R6におけるインダクタンスLR6
【0171】
これらの電気的高周波的要因のうち、整合回路2Aの前記出力端子側交流抵抗RB(BP2)としては、図20に示すように、給電板3における寄生抵抗R3 、インダクタンスコイル23における寄生抵抗RLT、導体R5における寄生抵抗RR5、導体R6における寄生抵抗RR6、を測定することになる。
【0172】
本実施形態のプラズマチャンバの整合回路2Aにおいては、第2実施形態と同様に、測定された高周波特性としての入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBが、プラズマチャンバの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定する。具体的には、交流抵抗RA(BP1),RA(BP2),RB(BP1),RB(BP2)が、それぞれプラズマチャンバの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定するとともに、複数のプラズマチャンバにおいて、式(14A’)(14A”)(14B’)(14B”)に示すように、そのばらつきの値<RA><RB>を設定することで、個々のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
【0173】
さらに、本実施形態のプラズマチャンバの整合回路2Aにおいては、上記のように(このときを時刻t0 とする)測定された高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA(BP1),RA(BP2)および出力端子側交流抵抗RB(BP1),RB(BP2)が、時間的にプラズマチャンバの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定する。つまり、プラズマチャンバが分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後それが使用され被処理物のプラズマ処理が行われても、さらには、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されても、その時点(時刻t1 )において、その時の入力端子側交流抵抗RA(BP1)1 ,RA(BP2)1 ,出力端子側交流抵抗RB(BP1)1 ,RB(BP2)1 が、それぞれ、RA(BP1)0 、RA(BP1)1 の差ΔRA(BP1)の絶対値がRA(BP1)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持され、RA(BP2)0 、RA(BP2)1 の差ΔRA(BP2)の絶対値がRA(BP2)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB(BP1)0 、RB(BP1)1 の差ΔRB(BP1)の絶対値がRB(BP1)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持され、RB(BP2)0 、RB(BP2)1 の差ΔRB(BP2)の絶対値がRB(BP2)0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そのために、もし、少なくともΔRA(BP1),ΔRA(BP2),ΔRB(BP1),ΔRB(BP2)の少なくとも一つが上記の所定の値以上となった場合は是正作業が行われる。
ここで、交流抵抗RA(BP1),RA(BP2),RB(BP1),RB(BP2)を設定する方法としては、例えば、前述した▲1▼〜▲4▼等のような手法を適用することができる。
【0174】
本実施形態のプラズマ処理装置およびその検査方法においては、第1ないし第3実施形態と同等の効果を奏するとともに、整合回路2Aの測定範囲に給電板3が含まれていることにより、実際に電力を供給する部分の寄生抵抗までも含めて設定することが可能となるため、プラズマチャンバが分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後においても、測定範囲に高周波電力配電体(給電板)3を含めない場合に比べて、整合回路2Aだけでなく、高周波電力配電体(給電板)3も含めて複数のプラズマチャンバに対して交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)を、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持することができるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値をRB0 の0.4倍とされる所定の値より小さい値に維持することができる。そのため、ある時刻t0 ,から時刻t1 における時間が経過する間でも、電気的高周波的な特性の機差をさらになくすことが可能となり、個々のプラズマチャンバにおいて上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で、電気的高周波的な特性の差をさらになくすことが可能となり、これにより、交流抵抗RA,RB、容量、インピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内にそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77,95,96の状態をさらに時間的に維持することが可能となるので、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一に維持することができ、これに同一のプロセスレシピを適用して、高周波電力配電体(給電板)3を含めない場合に比べて、さらに略同一性の高いプラズマ処理結果を得ることができる。
【0175】
なお、上記の各実施形態において、所定の値を時刻t0 における値の0.5または0.4のいずれかを選択すること、および、測定範囲を設定するための測定位置を、それぞれ測定位置PR、PR2,PR3,PR4から選択することが可能である。
また、それぞれの、測定位置PRにおいて、高周波特性測定器と、の切り替えをおこなうスイッチおよび測定用端子を、スイッチSW1,SW1’SW5,測定用端子61,61’のように設けることも可能である。
また、これら、測定位置およびスイッチ測定用端子を、整合回路25に対して設定することも可能である。
【0176】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムを第5実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第5実施形態]
図21は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図、図22は、同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【0177】
図21に示す性能管理システムは、サーバー210と、納入先の入出力装置220と、これらサーバー210と入出力装置220とを接続する通信回線230と、サーバー210に接続された搬送元の出力装置240とから構成されている。
【0178】
サーバー210は、プラズマ処理装置のメーカー、流通業者、メンテナンス業者等の搬送元が管理するもので、その設置場所も搬送元とすることが望ましい。また、このサーバー210は、同時に複数の納入先の入出力装置220に対してサービスを提供するための高速な処理能力を持った計算機と、多様なサービスと納入先のプラズマ処理装置に関する情報を格納するための大容量記憶装置を備えたものであることが望ましい、具体的には、大型計算機、高性能ワークステーション等がよい。
サーバー210は、計算機211およびこれに接続され後述する高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA0 (時刻t0 における値)、出力端子側交流抵抗RB1 (時刻t0 における値)が記憶されている記憶装置212と、通信回線230と接続するための送受信手段213とから構成されている。また、このサーバー210に、搬送元に設置された出力装置240が接続されている。
【0179】
また、納入先の入出力装置220は、納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等が利用するもので、納入先に設置されるか、又は納入先に携帯されて利用される。この入出力装置は通信回線230を利用してサーバー210と信号の授受を行えるものであれば特に限定はなく、具体的にはパーソナルコンピュータ、専用端末機、電話機等が利用できる。
納入先入出力装置220は、本体221、および通信回線230と接続するための送受信手段223とから構成されている。
【0180】
通信回線230は、その媒体や形式に特に限定はなく、離間した地点におかれたサーバー210と入出力装置220との間で信号の授受ができるものであればよい。すなわち、ケーブル回線、光ファイバー回線、衛星回線等の種々の有線や無線の通信媒体を適宜使用できると共に、電話回線網、インターネット網等種々の通信形式を活用できる。
【0181】
以下、図21に基づきながら、図22のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、納入先に納入された、あるいは使用中であるものとして、図1〜図20に示した各実施形態と同様のプラズマ処理装置について、高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)、出力端子側交流抵抗RB1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)を測定し、この値を入出力装置220から入力する(ステップ301)。
これらの入力された入力端子側交流抵抗RA1 ,出力端子側交流抵抗RB1 の値は、通信回線230を通じてサーバ210に送信される。
【0182】
これに対しサーバ210は、記憶装置212に格納された基準となる高周波特性として、図1〜図20に示した各実施形態と同様のプラズマ処理装置に対応する入力端子側交流抵抗RA0 (時刻t0 における値)、出力端子側交流抵抗RB0 (時刻t0 における値)の情報500を呼び出し、これら値に基づき、RA0 、RA1 の差の絶対値|ΔRA|およびRB0 、RB1 の差の絶対値|ΔRB|を計算する(ステップ302)。
なお、基準となる高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA0 ,出力端子側交流抵抗RB0 は、プラズマ処理装置を納入先に搬送するに先立ち分解をする前に、搬送元で設定した高周波特性値であって、図1〜図20に示した各実施形態と同様に、例えば複数のプラズマチャンバの整合回路2Aにおいてプラズマチャンバの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定する。具体的には、交流抵抗RA,RBが、それぞれプラズマチャンバの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定するとともに、複数のプラズマチャンバにおいて、式(14A)(14B)に示すように、そのばらつきの値<RA><RB>を設定することで、個々のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にするような関係を満たす値である。
【0183】
次にサーバ210は、ステップ302で算出した|ΔRA|と情報500として呼び出したRA0 とを比較するとともに、ステップ302で呼び出した|ΔRB|と情報500として呼び出したRB0 とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、|ΔRA|がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値であり、同時に、|ΔRB|がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値である場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、|ΔRA|か|ΔRB|のいずれか一方がそれぞれの基準となる所定の値より大きい値である場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する(ステップ303)。
【0184】
次にサーバ210は、上記性能評価の結果を納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ304)。
この内、入出力装置220に対しては、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、音声信号を送信したりする。具体的には、所定の性能を維持していると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますので、そのままご使用ください。」といったメッセージを、所定の信号を維持していないと判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されていない恐れがありますので、取扱説明書に従い調整をお願いします。」といったメッセージを、プリントアウト、画面表示、音声等で顧客やサービスマン等に伝えられるようにする。
また、出力装置240に対しても、所定の信号を維持していないと判断した場合に、プリントアウトや画面表示、信号出力等の指令信号を送信したり、あるいは、警報音発生信号を送信したりする。そして、出力装置240から、プリントアウト、画面表示、信号出力、あるいは警報音等の保守作業命令を出力する。なお、搬送元において、いずれの納入先のどの装置が保守を必要としているかを判断するために、入出力装置220からプラズマチャンバの固有番号を受信し、これを出力装置240から出力することが望ましいが、単一のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置の場合には入出力装置220の固有番号、例えばアドレス番号や電話番号等から判断して、その判断結果を出力装置240から出力してもよい。
【0185】
この結果、納入先の顧客や納入先を訪問したサービスマン等は、プラズマ処理装置を実際に動作させて成膜された基板を検査するという作業を行うことなく、直ちに当該プラズマ装置の性能を評価することができる。
しかも、処理をおこなった基板の評価によりそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77,95,96の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77,95,96の評価を、しかも、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77,95,96が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマ処理装置あるいはそれぞれのプラズマチャンバ75,76,77,95,96を有するプラズマ処理装置71,91の場合についても、結果をほぼ同時に得ることができる。
このため、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。また、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0186】
また、搬送元のメーカー等においては、納入先のプラズマ処理装置に問題が生じた場合には、保守作業命令を受けて直ちにこれを知ることができるので、顧客に対するアフタサービス体制を充実させることができる。
【0187】
なお、本実施形態のように、サーバー210が、納入先の入出力装置220と搬送元の出力装置240との双方に評価情報を提供する場合、両評価情報の基礎となる所定の値は必ずしも同一の値でなくともよい。例えば、納入先入出力装置に発信する評価情報については、所定の値を|ΔRA|にはRA0 の0.5倍で、|ΔRB|にはRB0 の0.5倍とし、|ΔRA|と|ΔRB|とのどちらか一方がこの値を越えたときに所定の性能を維持していない旨の信号を発信し、一方、搬送元の出力装置には、所定の値を|ΔRA|にはRA0 の0.4倍で、|ΔRB|にはRB0 の0.4倍として、|ΔRA|と|ΔRB|とのどちらか一方がこの値を越える場合に保守作業命令を出力するようにしても良い。このように、搬送元の出力装置に対して、納入先入出力装置に対するよりも厳しい評価基準に基づき保守作業命令が出される場合には、納入先のプラズマ処理装置の性能が大きく変動する以前に搬送元による保守サービスを行うことができる。すなわち、より先手を打った保守体制を確立することができる。
【0188】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムを第6実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第6実施形態]
図23は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。なお、図において、図22と同一の構成要素には、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0189】
本実施形態における性能管理システムが、図22に示す第5実施形態における性能管理システムと異なる点は、対象となるプラズマ処理装置が図11ないし図14に示す第2実施形態および図18ないし図20に示す第4実施形態のように、整合回路2Aに複数の接続点を有するタイプとされる点と、これに付随して、演算し評価する高周波特性に関する点のみであり、これ以外の略同一の点に関しては説明を省略する。
【0190】
サーバー210は、計算機211およびこれに接続され後述する高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA(BP1)0 ,RA(BP2)0 (時刻t0 における値),出力端子側交流抵抗RB(BP1)0 ,RB(BP2)0 (時刻t0 における値)が記憶されている記憶装置212と、通信回線230と接続するための送受信手段213とから構成されている。また、このサーバー210に、搬送元に設置された出力装置240が接続されている。
【0191】
以下、図21に基づきながら、図23のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、納入先に納入された、あるいは使用中であるものとして、図11ないし図14に示す第2実施形態および図18ないし図20に示す第4実施形態と同様のプラズマ処理装置について、高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA(BP1)1 ,RA(BP2)1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)、出力端子側交流抵抗RB(BP1)1 ,RB(BP2)1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)を測定し、この値を入出力装置220から入力する(ステップ301)。
これらの入力された入力端子側交流抵抗RA(BP1)1 ,RA(BP2)1 ,出力端子側交流抵抗RB(BP1)1 ,RB(BP2)1 の値は、通信回線230を通じてサーバ210に送信される。
【0192】
これに対しサーバ210は、記憶装置212に格納された基準となる高周波特性として、上記のプラズマ処理装置に対応する入力端子側交流抵抗RA(BP1)0 ,RA(BP2)0 (時刻t0 における値),出力端子側交流抵抗RB(BP1)0 ,RB(BP2)0 (時刻t0 における値)の情報500を呼び出し、これら値に基づき、RA(BP1)0 、RA(BP1)1 の差の絶対値|ΔRA(BP1)|,RA(BP2)0 、RA(BP2)1 の差の絶対値|ΔRA(BP2)|およびRB(BP1)0 、RB(BP1)1 の差の絶対値|ΔRB(BP1)|,RB(BP2)0 、RB(BP2)1 の差の絶対値|ΔRB(BP2)|を計算する(ステップ302)。
なお、基準となる高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA(BP1)0 ,RA(BP2)0 ,出力端子側交流抵抗RB(BP1)0 ,RB(BP2)0 は、プラズマ処理装置を納入先に搬送するに先立ち分解をする前に、搬送元で設定した高周波特性値であって、図11ないし図14に示す第2実施形態および図18ないし図20に示す第4実施形態と同様に、例えば複数のプラズマチャンバの整合回路2Aにおいてプラズマチャンバの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定する。具体的には、交流抵抗RA(BP1),RA(BP2),RB(BP1),RB(BP2)が、それぞれプラズマチャンバの作動状態に適した所定の範囲の値になるように設定するとともに、複数のプラズマチャンバにおいて、式(14A’)(14A”)(14B’)(14B”)に示すように、そのばらつきの値<RA><RB>を設定することで、個々のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にするような関係を満たす値である。
【0193】
次にサーバ210は、ステップ302で算出した|ΔRA(BP1)|と情報500として呼び出したRA(BP1)0 とを比較し、ステップ302で算出した|ΔRA(BP2)|と情報500として呼び出したRA(BP2)0 とを比較し、ステップ302で呼び出した|ΔRB(BP1)|と情報500として呼び出したRB(BP1)0 とを比較し、ステップ302で呼び出した|ΔRB(BP2)|と情報500として呼び出したRB(BP2)0 とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、|ΔRA(BP1)|がRA(BP1)0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値であり、|ΔRA(BP2)|がRA(BP2)0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値であり、同時に、|ΔRB(BP1)|がRB(BP1)0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値であり、|ΔRB(BP2)|がRB(BP2)0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値である場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、|ΔRA(BP1)|,|ΔRA(BP2)|,|ΔRB(BP1)|,|ΔRB(BP2)|のいずれか1つの値がそれぞれの基準となる所定の値より大きい値である場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する(ステップ303)。
【0194】
次にサーバ210は、上記性能評価の結果を納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ304)。これ以後のステップは、第2実施形態と同様におこなわれる。
【0195】
本実施形態の性能管理システムにおいては、整合回路2Aに複数の接続点を有するタイプとされるプラズマ処理装置の性能管理をおこなえるとともに、整合回路2Aに単一の接続点を有する場合には|ΔRA|と|ΔRB|との2つの基準により所定の性能を満たすか否かを判断するのに比べて、|ΔRA(BP1)|,|ΔRA(BP2)|,|ΔRB(BP1)|,|ΔRB(BP2)|という4つの基準から所定の性能を満たすか否かを判断することができるために、より一層細かくプラズマチャンバの性能評価をおこなうことが可能となる。
【0196】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムを第7実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第7実施形態]
図24は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図、図25は、同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。なお、両図において、図21及び図22と同一の構成要素には、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0197】
図24に示す性能管理システムは、サーバー210と、納入先の入出力装置220と、これらサーバー210と入出力装置220とを接続する通信回線230と、サーバーに接続された搬送元の出力装置240とに加えて、図15ないし図17に示す第3実施形態と同様の構成とされるプラズマ処理装置250と、このプラズマ処理装置250に接続された高周波特性を測定するインピーダンス測定器(高周波特性測定器)260とから構成されている。
【0198】
本実施形態では、高周波特性測定器260の出力端子が入出力装置220に接続され、高周波特性測定器260で測定されたプラズマ処理装置250の高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA、出力端子側交流抵抗RBが、入出力装置220及び通信回線230を介して、人手による入力作業を経ることなく、直接サーバー210に送信されるようになっている。また、入出力装置220は、プラズマチャンバの固有番号Sの入力を受けると、高周波特性測定器260の測定結果を読みとるようにプログラムされている。
【0199】
以下、図24を参照しながら、図25のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、予め容量測定器260を入出力装置220に接続した上で、納入先に納入された、あるいは使用中のプラズマ処理装置について、プラズマチャンバの固有番号Sを入出力装置220から入力する。このとき、プラズマチャンバの高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)、出力端子側交流抵抗RB1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)の測定値が、入出力装置220のプログラムに従い、自動的に高周波特性測定器260から入出力装置220に入力される。(ステップ401)。
この入力された固有番号S,入力端子側交流抵抗RA1 ,出力端子側交流抵抗RB1 の値は、通信回線230を通じてサーバー210に送信される。
【0200】
これに対しサーバー210は、記憶装置212に格納された高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA0 (時刻t0 における値)、出力端子側交流抵抗RB0 (時刻t0 における値)の情報の中から、固有番号Sに対応する固有入力端子側交流抵抗RA0 や固有出力端子側交流抵抗RB0 の情報600を呼び出し、この値に基づき、RA0 、RA1 の差の絶対値|ΔRA|およびRB0 、RB1 の差の絶対値|ΔRB|を計算する(ステップ402)。
ここで、固有RA0 、RB0 は、固有番号Sと1対1の関係で記憶装置212に格納されたもの、すなわち、各々のプラズマチャンバ毎に設定した、あるいは、製造時等に実際に測定したプラズマチャンバ個別の高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA0 、出力端子側交流抵抗RB0 (時刻t0 における値)値である。
【0201】
次にサーバ210は、ステップ402で算出した|ΔRA|と情報600として呼び出したRA0 とを比較するとともに、ステップ402で呼び出した|ΔRB|と情報600として呼び出したRB0 とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、|ΔRA|が固有入力端子側交流抵抗RA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値であり、同時に、|ΔRB|が固有出力端子側交流抵抗RB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値である場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、|ΔRA|か|ΔRB|のいずれか一方がそれぞれの基準となる所定の値より大きい値である場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する(ステップ403)。
【0202】
次にサーバー210は、上記性能評価の結果を納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ404)。
この内、入出力装置220に対しては、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、音声信号を送信したりする。具体的には、所定の性能を維持していると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますので、そのままご使用ください。」といったメッセージを、所定の信号を維持していないと判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されていない恐れがありますので、取扱説明書に従い調整をお願いします。」といったメッセージを、プリントアウト、画面表示、音声等で顧客やサービスマン等に伝えられるようにする。
また、サーバー210は、出力装置240に対しても、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、警報音発生信号を送信したりする。具体的には、所定の信号を維持していないと判断した場合に、保守作業命令を送信する。なお、搬送元において、いずれの納入先のどの装置が保守を必要としているかを判断するために、サーバー210から出力装置240に対してプラズマ処理室の固有番号も同時に提供される。
【0203】
本実施形態のプラズマ処理装置の管理システムにおいては、第5実施形態と同等の効果を奏するとともに、固有番号S毎に実際の値を記憶することで、より精密な管理が可能となる。また、出力装置240に保守作業命令と共に固有番号240の情報が提供されるので、搬送元において、何れのプロセス処理装置に問題が生じたか、あるいは何れのプロセス処理装置のいずれのプロセス処理室に問題が生じたか等を直ちに把握できる。
【0204】
さらに、本実施形態では、高周波特性測定器260の出力端子が入出力装置220に接続され、高周波特性測定器260で測定されたプラズマ処理装置250の高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA、出力端子側交流抵抗RBが、入出力装置220及び通信回線230を介して、直接サーバー210に送信されるようになっており、入出力装置220がプラズマチャンバの固有番号Sの入力を受けると、高周波特性測定器260の測定結果を読みとるようにプログラムされているため、プラズマチャンバの高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA1 、出力端子側交流抵抗RB1 の測定値が、入出力装置220のプログラムに従い、自動的に高周波特性測定器260から入出力装置220に入力されその後の性能評価を自動的に行うことができる。これにより、あらかじめ設定した所定の時間が経過した時点において、入力端子側交流抵抗RA1 、出力端子側交流抵抗RB1 の測定を自動的におこなうことや、所定の回数のプラズマ処理がおこなわれた時点で、入力端子側交流抵抗RA1 、出力端子側交流抵抗RB1 の測定を自動的におこなうことができる。従って、プラズマ処理装置の操作者は、装置のメンテナンスに対するメッセージに注意するだけで、自ら高周波特性を測定することなく一定の管理幅内にプラズマ処理装置の性能を維持するしているか否かを判断することができる。
【0205】
なお、複数のプラズマ処理室を備えたプラズマ処理装置やプラズマ処理装置を複数備えたプラズマ処理システムにおいては、各々のプラズマ処理室の動作条件を揃え、同一のプロセスレシピで同等の成膜特性を得るために、同等の高周波特性を設定することが望ましい。そのため、固有入力端子側交流抵抗RA0 や固有出力端子側交流抵抗RB0 は、プロセス処理室間でバラツキなく設定することが望ましいが、納入先の事情等種々の要因により他のプロセス処理装置と大きく異なる値を設定しても差し支えない。
【0206】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムを第8実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第8実施形態]
本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成もまた、第7実施形態の図24で示される。
本実施形態と第7実施形態との構成上の相違は、サーバー210が、エンジニア情報601として、各々所定の値の範囲によって決められた故障レベルを含む状態レベルと、故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報を記憶しているものである点である。表1は、エンジニア情報601の一例を示すものである。
【0207】
【表1】
Figure 0003670209
【0208】
以下、図24を参照しながら、図26のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
図26は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。図26のフローチャートにおけるステップ501及びステップ502は、各々図25のステップ401、402と同一なのでその説明を省略する。
【0209】
ステップ502で|ΔRA|,|ΔRB|を求めた後、サーバー210は、|ΔRA|および|ΔRB|をそれぞれエンジニア情報601に照らして、どの状態レベルにあるかを評価する。そして、|ΔRA|,|ΔRB|のレベルが、いずれかの故障レベルであると評価した際は、当該故障レベルに対応してエンジニア情報601に登録されているサービスエンジニアの情報を呼び出す。(ステップ503)。
なお、表1において、|ΔRA|と|ΔRB|がそれぞれ所定の値に対してどのレベルにあるかは、それぞれ、式(20A)(20B)
|ΔRA| ; C×RA0 (20A)
|ΔRB| ; C×RB0 (20B)
における係数Cの値を示している。
【0210】
次にサーバー210は、上記性能評価の結果として、状態レベルを納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ504)。
この内、入出力装置220に対しては、状態レベル(故障レベル)をプリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、音声信号を送信したりすることにより発信する。
具体的には、状態レベルは「最良」であると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますので、そのままご使用ください。」といったメッセージを、状態レベルは「良」であると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますが、そろそろ点検が必要です。」といったメッセージを、状態レベルが何れかの故障レベルであると判断した場合には、例えば「ご照会の装置は、故障レベル2に該当します。性能が適切に維持されていない恐れがありますので、サービスエンジニアに調整を依頼してください。」といったメッセージを、プリントアウト、画面表示、音声等で顧客やサービスマン等に伝えられるようにする。
【0211】
また、サーバー210は、出力装置240に対しては、状態レベルがいずれかの故障レベルに該当する場合、状態レベルだけでなく、当該故障レベルに対応したサービスエンジニアの情報と共に保守作業命令を出力する。
この場合、たとえば、故障レベル1の場合には○○○,×××といった特定された技術を有するエンジニアを指定するとともに、故障レベルに対応して、派遣指示するエンジニアを指定できるようになっている。このエンジニアの指定情報に関しては、搬送元の出力装置240のみに出力することが好ましい。
【0212】
本実施形態のプラズマ処理装置の管理システムによれば、搬送元において、保守作業命令が出力されると共に、どの程度の故障レベルかや、その故障レベルに応じてランク分けされたサービスエンジニアの情報も出力される。
そのため、このシステムによれば、遠隔地に納入したプラズマ処理装置であっても、搬送元において、その故障レベルを把握することができる。そして、その故障レベルに応じて、教育訓練度合の異なるサービスエンジニアを派遣することができる。従って、人材活用が合理化できると共に、迅速、かつ、的確なサポートが可能となる。すなわち、装置納入後のフィールドサポート体制の合理化が可能となるものである。
本管理システムの対象となるプラズマ処理装置に特に限定はなく、上記の各実施形態において示したプラズマ処理装置、および、後述する実施形態において示したプラズマ処理装置、又は後述するプラズマ処理システムにおける各プラズマ処理装置等も対象となる。
【0213】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムの他の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、購入発注者を単に発注者、また販売保守者を単に保守者という。
図27は本実施形態のプラズマ処理装置の性能確認システムのシステム構成図である。
【0214】
この図において、参照符号C1 ,C2 ,……はクライアント・コンピュータ(以下、単にクライアントという)、Sはサーバ・コンピュータ(性能状況情報提供手段,以下単にサーバという)、Dはデータベース・コンピュータ(基準情報記憶手段,以下単にデータベースという)、またNは公衆回線である。クライアントC1 ,C2 ,……とサーバSとデータベースDとは、この図に示すように公衆回線Nを介して相互に接続されている。
【0215】
クライアントC1 ,C2 ,……は、一般に広く普及しているインターネットの通信プロトコル(TCP/IP等)を用いてサーバSと通信する機能(通信機能)を備えたものである。このうち、クライアントC1 (発注者側情報端末)は、発注者が保守者に発注したプラズマ処理装置またはプラズマ処理装置を複数有するプラズマ処理システムのプラズマチャンバの性能状況を公衆回線Nを介して確認するためのコンピュータであり、サーバSが保持する「プラズマチャンバの性能情報提供ページ」を情報提供ページ(Webページ)として閲覧する機能(プラズマチャンバの性能状況情報閲覧機能)を備えたものである。また、クライアントC2 (保守者側情報端末)は、保守者が上記「性能状況情報」の一部である「第1直列共振周波数f0 情報」をサーバSにアップロードするとともに、クライアントC1 を介して発注者から発せられた電子メールを受信するためのものである。
ここで、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムは、上記の各実施形態に準じる構成とされ、これらと同様のプラズマ処理ユニット(プラズマチャンバ)を有する構成とされるとともに、チャンバ数等の構成条件は、任意に設定可能なものとされる。
【0216】
上記サーバSの通信機能は、公衆回線Nがアナログ回線の場合にはモデムによって実現され、公衆回線NがISDN(Integrated Services Digital Network)等のデジタル回線の場合には専用ターミナルアダプタ等によって実現される。サーバSは、性能状況情報提供用のコンピュータであり、上記クライアントC1 から受信される閲覧要求に応じて、性能状況情報をインターネットの通信プロトコルを用いてクライアントC1 に送信する。ここで、上述した発注者が保守者からプラズマ処理装置を納入された時点では、性能状況情報を閲覧するための個別の「閲覧専用パスワード」が保守者から個々の発注者に提供されるようになっている。このサーバSは、正規な閲覧専用パスワードが提供された場合のみ、性能状況情報のうち動作保守状況情報をクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0217】
ここで、具体的詳細については後述するが、上記「性能状況情報」は、保守者の販売するプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおけるプラズマチャンバの機種に関する情報、各機種における仕様書としての品質性能情報、納入された各実機における品質性能を示すパラメータの情報、および、このパラメータ、メンテナンスの履歴情報等から構成されている。
このうち、各実機における品質性能、パラメータ、メンテナンスの履歴情報については、「閲覧専用パスワード」が提供された発注者のみに閲覧可能となっている。
【0218】
また、これら「性能状況情報」は、保守者または発注者からサーバSに提供されるとともに実際の動作・保守状況を示す「動作保守状況情報」と、データベースDに蓄積されると共にカタログとして未購入のクライアントが閲覧可能な「性能基準情報」とから構成されるものである。「性能基準情報」は、保守者が各プラズマチャンバによっておこなうプラズマ処理に対して客観的に性能を記述するためのものであり、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態を予測可能とするものである。
【0219】
本実施形態では、これら「性能基準情報」は、データベースDに蓄積されるようになっている。
サーバSは、クライアントC1 から受信される「性能状況情報」の閲覧要求に対して、データベースDを検索することにより必要な「性能基準情報」を取得して、「性能状況情報提供ページ」として発注者のクライアントC1 に送信するように構成されている。また、サーバSは、「閲覧専用パスワード」が提供された発注者から受信される「性能状況情報」の閲覧要求に対しては、同様に、データベースDを検索することにより必要な「性能基準情報」を取得するとともに、当該「性能基準情報」にクライアントC2 を介して保守者から提供された「動作保守状況情報」を組み合わせて「性能状況情報」を構成し、「性能状況情報提供ページ」として発注者のクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0220】
データベースDは、このような「性能状況情報」を構成する「性能基準情報」をプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムのプラズマチャンバの機種毎に記憶蓄積するものであり、サーバSから受信される検索要求に応じてこれら「性能基準情報」を読み出してサーバSに転送する。図27では1つのサーバSのみを示しているが、本実施形態では、汎用性のある「性能基準情報」を保守者が複数箇所から管理する複数のサーバ間で共通利用することが可能なように、これらサーバとは個別のデータベースDに「性能基準情報」を蓄積するようにしている。
【0221】
次に、このように構成されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの性能確認システムの動作について、図28に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。なお、このフローチャートは、上記サーバSにおける「性能状況情報」の提供処理を示すものである。
【0222】
通常、保守者は、不特定の発注者に対して販売するプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバの「性能状況情報」、特に「性能基準情報」を購入時の指標として提示することになる。一方、発注者は、この「性能基準情報」によってプラズマチャンバCNにどのような性能、つまりどのようなプラズマ処理が可能なのかを把握することができる。
【0223】
また、保守者は、特定の発注者に対して納入したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおけるプラズマチャンバの「性能状況情報」のうち、「性能基準情報」を使用時の指標として提示するとともに、「動作保守状況情報」を動作状態のパラメータとして提示することになる。一方、ユーザーとしての発注者は、「性能基準情報」と「動作保守状況情報」とを比較することによってプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバの動作確認をおこなうとともにメンテナンスの必要性を認識し、かつ、プラズマ処理状態の状態を把握することができる。
【0224】
例えば、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムを保守者から購入しようとする発注者は、サーバSにアクセスすることにより、以下のようにして自らが購入しようとするプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの「性能状況情報」の実体を容易に確認することができる。
【0225】
まず、発注者がアクセスしようとした場合には、予め設定されたサーバSのIPアドレスに基づいてクライアントC1 からサーバSに表示要求が送信される。一方、サーバSは、上記表示要求の受信を受信すると(ステップS1)、カタログページCPをクライアントC1 に送信する(ステップS2)。
図29は、このようにしてサーバSからクライアントC1 に送信されたメインページCPの一例である。このカタログページCPには、保守者が販売する多数の機種毎にその「性能状況情報」のうち「性能基準情報」を表示するための機種選択ボタンK1,K2,K3,K4…、と、後述するように、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムを保守者から納入された発注者の使用するカスタマーユーザ画面の表示要求をするためのカスタマーユーザボタンK4から構成されている。
【0226】
例えば、発注者がクライアントC1 に備えられたポインティングデバイス(例えばマウス)等を用いることによって上記プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの機種を選択指定した後、機種選択ボタンK1〜K4…のいずれかを選択指定すると、この指示は、「性能状況情報」のうち「性能基準情報」の表示要求としてサーバSに送信される。
【0227】
この表示要求を受信すると(ステップS3)、サーバSは、選択された機種のうち、表示要求された情報に該当するサブページをクライアントC1 に送信する。すなわち、サーバSは、「性能基準情報」の表示が要求された場合(A)、図30に示すような選択された機種を指定することによってデータベースDから「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータ、およびこれらのデータにおけるプラズマ処理装置またはプラズマ処理システム毎の、各パラメータのばらつきの値のデータを取得し、これらの掲載された仕様書ページCP1をクライアントC1 に送信する(ステップS4)。
【0228】
仕様書ページCP1には、図30に示すように、選択された機種を示す機種種別K6、真空性能表示欄K7、給排気性能表示欄K8、温度性能表示欄K9、プラズマ処理室電気性能表示欄K10から構成されている。これらは、選択された機種のプラズマチャンバにおける「性能基準情報」に対応するものであり、それぞれ、
真空性能表示欄K7には、
到達真空度 1×10-4Pa以下
操作圧力 30〜300Pa
給排気性能表示欄K8には、
Figure 0003670209
排気特性 500SCCM流して20Pa以下
温度性能表示欄K9には、
ヒータ設定温度 200〜350±10℃
チャンバ設定温度 60〜80±2.0℃
の項目が記載されている。
ここで、SCCM(standard cubic centimeters per minute) は、標準状態(0℃、1013hPa)に換算した際におけるガス流量を表しており、cm3/min に等しい単位を表している。
【0229】
そしてこれらのパラメータPに対して、それぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバ毎のばらつきを、それぞれのパラメータPのうちその最大値Pmax と最小値Pmin のばらつきを、以下の式(10B)
(Pmax −Pmin )/(Pmax +Pmin ) (10B)
として定義し、これらのばらつきの値の各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける設定範囲をそれぞれのパラメータの項目に対して表示する。
【0230】
また、プラズマ処理室電気性能表示欄K10には、前述した第1〜第5実施形態で説明した入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの値、および、このばらつきの設定範囲が記載される。また、これ以外にも、電力周波数fe におけるプラズマチャンバのレジスタンスRおよびリアクタンスX、そして、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8間のプラズマ容量C0 、プラズマ励起電極4と、プラズマチャンバの接地電位とされる各部との間のロス容量CX 、そして、後述する第1直列共振周波数f0 等の値が記載される。また、仕様書ページCP1には、「プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの納入時においては各パラメータ値がこのページに記載された設定範囲内にあることを保証します」という性能保証の文言が記載される。
【0231】
これにより、従来は、考慮されていなかったプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの全体的な電気的高周波的な特性およびプラズマチャンバの電気的特性のばらつきを購入時の新たなる指標として提示することができる。また、クライアントC1 またはクライアントC2 において、これら性能状況情報をプリンタ等に出力しハードコピーを作ることにより、上記の性能状況情報内容の記載されたカタログまたは仕様書として出力することが可能である。さらに、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RB、第1直列共振周波数f0 、レジスタンスR、アクタンスX、容量C0 ,CX 等の値および上記性能保証の文言をクライアントC1 …の端末、カタログまたは仕様書等に提示することにより、発注者が、電機部品を吟味するようにプラズマチャンバCNの性能を判断して保守者から購入することが可能となる。
【0232】
なお、サーバSは、このようなサブページのクライアントC1 への送信が完了した後に、クライアントC1 から接続解除要求が受信されない場合は(ステップS5)、次のサブページの表示要求を待って待機し(ステップS3)、一方、クライアントC1 から接続解除要求が受信された場合には(ステップS5)、当該クライアントC1 との交信を終了する。
【0233】
ここで、第1直列共振周波数f0 の定義について説明する。
まず、プラズマチャンバのインピーダンスの周波数依存性を計測する。このとき、前述したようにプラズマチャンバのインピーダンス測定範囲を規定し、このインピーダンス測定範囲に対して、供給する電力周波数fe を含む範囲で測定周波数を変化させてインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定することにより、プラズマチャンバのインピーダンスの周波数依存性を計測する。ここで、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の値に設定される電力周波数fe に対応して、測定周波数を例えば1MHz〜100MHz程度の範囲に設定する。
ついで、測定周波数に対してインピーダンスZと位相θをプロットしてインピーダンス特性曲線および位相曲線を描画し、インピーダンスZの極小値のうち周波数の最小のもの、つまり、測定周波数の低い側から数えて一番最初に位相θがマイナスからプラスに変化したときに、位相θがゼロとなる周波数を、第1直列共振周波数f0 として定義したものである。
【0234】
一方、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムを保守者から納入した発注者は、サーバSにアクセスすることにより、以下のようにして自らが購入したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおけるプラズマチャンバの「性能状況情報」の実体を容易に確認することができる。
この発注者は保守者と売買契約を締結した時点で、発注者個別に対応するとともに、購入したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの機種番号、およびそれぞれのプラズマチャンバの機種番号にも対応可能なカスタマーユーザIDと、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの「動作保守状況情報」を閲覧するための個別の「ユーザー専用パスワード(閲覧専用パスワード)」が保守者から個々の発注者に提供されるようになっている。このサーバSは、正規な閲覧専用パスワードが提供された場合のみ、「動作保守状況情報」をクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0235】
まず、発注者がアクセスしようとした場合には、前述のカタログページCPにおいて、カスタマーユーザボタンK5を指定操作することにより、発注者はカスタマーユーザ画面の表示要求をサーバSに送信する。
一方、サーバSは、上記表示要求の受信を受信すると(ステップS3−B)、当該発注者に対して、「閲覧専用パスワード」の入力を促す入力要求としてのサブページをクライアントC1 に送信する(ステップS6)。図31はカスタマーユーザページCP2を示すものであり、このカスタマーユーザページCP2はカスタマーユーザID入力欄K11、およびパスワード入力欄K12から構成される。
【0236】
この入力要求としてのカスタマーユーザページCP2はクライアントC1 に表示されるので、発注者は、当該入力要求に応答してプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの識別を可能とするために、保守者から供与された「閲覧専用パスワード」を「カスタマーユーザID」とともにクライアントC1 に入力することになる。
ここで、発注者は、図31に示すカスタマーユーザID入力欄K11およびパスワード入力欄K12に、それぞれ、カスタマーコードIDとパスワードを入力する。サーバSは、クライアントC1から正規の「カスタマーユーザID」および「閲覧専用パスワード」が受信された場合のみ(ステップS7)、当該「閲覧専用パスワード」に予め関連付けられた「動作保守状況情報」のサブページをクライアントC1 に送信する(ステップS9)。
【0237】
すなわち、「動作保守状況情報」の閲覧は、上記プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの購入契約を締結した特定の発注者のみ、つまり正規の「閲覧専用パスワード」を知り得るもののみに許可されるようになっており、当該発注者以外の第3者がサーバSにアクセスしても「動作保守状況情報」を閲覧することができない。通常、保守者は同時に多数の発注者との間で納入契約を締結するとともに、各々の発注者へ複数のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの納入を同時に並行して行う場合があるが、上記「閲覧専用パスワード」は、個々の発注者毎および各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバ毎に相違するものが提供されるので、個々の発注者は、各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバに対して、それぞれ自らに提供された「閲覧専用パスワード」に関連付けられた「動作保守状況情報」を個別に閲覧することができる。
【0238】
したがって、納入に係わる秘密情報が発注者相互間で漏洩することを確実に防止することができるとともに、複数のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムが納入された場合にでもそれぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバを個別に識別可能とすることができる。なお、サーバSは、正規の「閲覧専用パスワード」が受信されない場合には(ステップS7)、接続不許可メッセージをクライアントC1 に送信して(ステップS8)、発注者に「閲覧専用パスワード」を再度入力するように促す。発注者が「閲覧専用パスワード」を誤入力した場合には、この機会に正規の入力を行うことにより「動作保守状況情報」を閲覧することができる。
【0239】
このID、パスワードが確認されると(ステップS7)、サーバSは、表示要求された情報に該当するサブページをデータベースDから読み出してクライアントC1 に送信する。すなわち、サーバSは、ユーザIDによって識別された個別のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバに対する「性能基準情報」「動作保守状況情報」の表示が要求された場合、機種を指定することによってデータベースDから「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータを取得し、これらの掲載された仕様書ページCP3をクライアントC1 に送信する(ステップS9)。
【0240】
図32は、このようにしてサーバSからクライアントC1 に送信された「動作保守状況情報」のサブページCP3である。このメンテナンス履歴ページCP3には、図32に示すように、納入されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの機械番号を示すロット番号表示K13、真空性能表示欄K7、給排気性能表示欄K8、温度性能表示欄K9、プラズマ処理室電気性能表示欄K10、そして、真空性能メンテナンス欄K14、給排気性能メンテナンス欄K15、温度性能メンテナンス欄K16、プラズマ処理室電気性能メンテナンス欄K17から構成されている。これらは、納入された実機の「動性能基準情報」および「動作保守状況情報」に対応するものであり、それぞれ、
真空性能表示欄K7、真空性能メンテナンス欄K14には、
到達真空度 1.3×10-5Pa以下
操作圧力 200Pa
給排気性能表示欄K8、給排気性能メンテナンス欄K15には、
Figure 0003670209
排気特性 6.8×10-7Pa・m3/sec
温度性能表示欄K9、温度性能メンテナンス欄K16には、
ヒータ設定温度 302.3±4.9℃
チャンバ設定温度 80.1±2.1℃
の項目が記載されている。
【0241】
そしてこれらのパラメータPに対して、それぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバ毎のばらつきを、それぞれのパラメータPのうちその最大値Pmax と最小値Pmin のばらつきを、以下の式(10B)
(Pmax −Pmin )/(Pmax +Pmin ) (10B)
として定義し、これらのばらつきの値の各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける設定範囲をそれぞれのパラメータの項目に対して表示する。
【0242】
またこのパラメータPとしての高周波特性Pにおける、時刻t0 (販売前の初期時)とその後の時刻t1 (納入販売後の接地完了時または各処理動作終了時)における値P0 、P1 の差ΔPの絶対値は、プラズマ処理装置の性能変動幅と密接な関連を有すること、及びこの値が所定の値よりも小さければ、性能変動幅も所定の範囲内であると見なせることを見いだし、このΔPの絶対値と所定の値を比較することにより、プラズマ処理装置の性能評価を可能とした。
【0243】
さらに、このサブページCP3には、各プラズマチャンバ毎のメンテナンス欄を表示するための「詳細」ボタンK18が各メンテナンス履歴欄K14,K15,K16,K17ごとに設けられ、発注者が、当該情報を閲覧可能となっている。
【0244】
発注者が、当該詳細欄により表示要求をおこなった場合には、メンテナンス履歴の詳細情報の記載されたメンテナンス詳細ページCP4がデータベースDからクライアントC1 に送信する。
【0245】
図33は、このようにしてサーバSからクライアントC1 に送信された「詳細メンテナンス情報」のサブページCP4である。
図には電気性能メンテナンスのページを示している。
このメンテナンス履歴ページCP4には、図33に示すように、納入されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの機械番号を示すロット番号表示K13、選択された各メンテナンス欄が表示される。ここで、各メンテナンス欄としては、各プラズマチャンバに対応するパラメータPのメンテナンス時の値と、これらのパラメータPのばらつきの値とが、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システム、および、各プラズマチャンバ毎のロット番号毎に表示される。
【0246】
また、プラズマ処理室電気性能表示欄K10およびプラズマ処理室電気性能メンテナンス欄K17には、前述した第1〜第5実施形態で説明したように、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの値、および、このばらつきの設定範囲が記載される。また、これ以外にも、電力周波数fe におけるプラズマチャンバの交流抵抗RA,RB、およびアクタンスX、そして、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8間のプラズマ容量C0 、プラズマ励起電極4と、プラズマチャンバの接地電位とされる各部との間のロス容量CX 等の値が記載される。
【0247】
同時に、データベースDから「性能基準情報」としての「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータを取得し、これらを図32,図33に示すように、「動作保守状況情報」とセットでメンテナンス履歴ページCP3、メンテナンス詳細ページCP4に表示することにより、「性能基準情報」を参照して「動作保守状況情報」を閲覧することができ、これにより、発注者は、納入されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびプラズマチャンバの「性能状況情報」のうち、「性能基準情報」を使用時の指標として確認するとともに、「動作保守状況情報」を動作状態を示すパラメータとして検討することができる。同時に、「性能基準情報」と「動作保守状況情報」とを比較することによってプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびプラズマチャンバの動作確認をおこなうとともにメンテナンスの必要性を認識し、かつ、プラズマ処理状態の状態を把握することができる。
【0248】
なお、サーバSは、このようなサブページCP3、CP4のクライアントC1 への送信が完了した後に、クライアントC1 から接続解除要求が受信されない場合は(ステップS5)、接続不許可メッセージをクライアントC1 に送信して(ステップS8)、発注者に「閲覧専用パスワード」を再度入力するか、次のサブページの表示要求を待って待機し(ステップS3)、一方、クライアントC1 から接続解除要求が受信された場合には(ステップS5)、当該クライアントC1 との交信を終了する。
【0249】
本実施形態のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの性能確認システムにおいて、購入発注者が販売保守者に発注したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、販売保守者が前記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、前記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段と、を具備することができ、さらに、前記性能状況情報が、時刻t0 と時刻t1 における前記入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBおよびこのパラメータに対して、時間経過後の性能評価をおこなうための|ΔRA||ΔRB|の値、および、それぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバ毎のばらつきの値を含むとともに、前記性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されることにより、販売保守者がアップロードしたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびそのプラズマチャンバの性能基準情報および動作保守状況情報からなる性能状況情報に対して、購入発注者が情報端末から公衆回線を介して閲覧を可能とすることにより、発注者に対して、購入時に判断基準となる情報を伝達することが可能となり、かつ、使用時における、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびそのプラズマチャンバごとの動作性能・保守情報を容易に提供することが可能となる。
また、前記性能状況情報が、上述したようにプラズマチャンバに対する性能パラメータとしての時刻t0 と時刻t1 における前記入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBおよびこのパラメータに対して、経過後の性能評価をおこなうための|ΔRA||ΔRB|の値およびそのばらつきの値を含むことにより、発注者のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムその各プラズマチャンバに対する性能判断材料を提供できるとともに、購入時における適切な判断をすることが可能となる。さらに、前記性能状況情報を、カタログまたは仕様書として出力することができる。
【0250】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置,プラズマ処理システムの第9実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第9実施形態]
図34は本実施形態のプラズマ処理システムの概略構成を示す模式図である。
【0251】
本実施形態のプラズマ処理システムは、図1に示した第1実施形態と略同等のプラズマ処理装置71,71’と、図10〜図20に示した第2〜第4実施形態と略同等のプラズマ処理装置91と、を組み合わせて概略構成されている。先に説明した第1ないし第4実施形態の構成要素に対応するものには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0252】
本実施形態のプラズマ処理システムは、図34に示すように、3つのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95,96,97を有するプラズマ処理装置71、2つのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95,96を有するプラズマ処理装置91、および、3つのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95,96,97を有するプラズマ処理装置71’が製造ラインの一部を構成するものとされている。
ここで、図1に示したような第1実施形態のプラズマ処理装置71,71’の部分において、プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)75,76,77に替えて、図10〜図20に示した第2〜第4実施形態における2周波数励起タイプのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95と略同等のプラズマ処理室ユニットを3つ有する構成とされており、これらプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95,96,97は略同一の構造とされている。
【0253】
本実施形態のプラズマ処理システムは、図34に示すように、各プラズマチャンバ95,96,97における前述のインピーダンス測定用端子61,スイッチSW5がスイッチSW3を介してインピーダンス測定器ANに接続されている。スイッチSW3は各プラズマチャンバ95,96,97の測定時に測定対象のプラズマチャンバ95,96,97とインピーダンス測定器ANとのみを接続して、それ以外のプラズマチャンバ95,96,97を切断するよう切り替えるスイッチとして設けられている。そして、この測定用端子61から、スイッチSW3までのインピーダンスが、各プラズマチャンバ95,96,97に対して等しくなるように、測定用の同軸ケーブルの長さが等しく設定されている。インピーダンス測定用端子61には、図15,図17に示す第3実施形態と同様にして、インピーダンス測定器ANのプローブが着脱自在に接続されている。
【0254】
本実施形態においては、計測したプラズマチャンバ95に対する入力端子側交流抵抗RA95、プラズマチャンバ96に対する入力端子側交流抵抗RA96、プラズマチャンバ97に対する入力端子側交流抵抗RA97のうち、その最大値RAmax と最小値RAmin に対して、式(14A)のように複数のプラズマチャンバ95,96,97の入力端子側交流抵抗RAのばらつき<RA>として定義し、この(14A)式で表されるばらつきの値を0.5より小さい範囲の値に設定する。この際、入力端子側交流抵抗RAのばらつき<RA>を設定する方法としては、前述した▲1▼〜▲4▼等のような手法を適用することができる。同時に、計測したプラズマチャンバ95に対する出力端子側交流抵抗RB95、プラズマチャンバ96に対する出力端子側交流抵抗RB96、プラズマチャンバ97に対する出力端子側交流抵抗RB97のうち、その最大値RBmax と最小値RBmin に対して、式(14B)のように複数のプラズマチャンバ95,96,97の出力端子側交流抵抗RBのばらつき<RB>として定義し、この(14B)式で表されるばらつきの値を0.5より小さい範囲の値に設定する。この際、入力端子側交流抵抗RBのばらつき<RB>を設定する方法としても、前述した▲1▼〜▲4▼等のような手法を適用することができる。
【0255】
そして、これらの複数のプラズマチャンバにおいては、前述したように、整合回路2Aにおいて、その入力端子側から測定した交流抵抗RA0 と出力端子側から測定した交流抵抗RB0 とが、分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後の使用期間の時刻t1 においても、その時の交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)が、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されて設計、製造されている。
【0256】
本実施形態のプラズマ処理システムにおいては、例えば、プラズマ処理前処理をおこなった被処理基板16に、プラズマ処理装置71のプラズマチャンバ95,96,97において成膜処理をおこない、ついで、熱処理室79において加熱処理をおこない、その後、レーザーアニール室78においてアニール処理をおこなう。次いで、この被処理基板16をプラズマ処理装置71から搬出し、図示しないプラズマ処理装置71と同等の装置におけるプラズマ処理室において、被処理基板16に順次第2,第3の成膜処理をおこなう。
次いで、このプラズマ処理装置から搬出した被処理基板16に、図示しない別の処理装置において、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジストの形成をおこなう。
そして、被処理基板16をプラズマ処理装置91に搬入し、プラズマチャンバ95,96においてプラズマエッチングをおこない、次いで、この被処理基板16をプラズマ処理装置91から搬出し、図示しないプラズマ処理装置91と同等の装置におけるプラズマチャンバにおいて、被処理基板16に成膜処理をおこなう。
次いで、図示しないプラズマ処理装置から搬出された被処理基板16に、図示しない他の処理装置において、レジストを剥離し、新たにフォトリソグラフィー工程によりパターニングする。
最後に、プラズマ処理装置71’のプラズマチャンバ95、96,97において被処理基板16に順次第1,第2,第3の成膜処理がおこなわれ、被処理基板16をプラズマ処理後処理へと送り、製造ラインにおける本実施形態のプラズマ処理システムにおける工程は終了する。
【0257】
本実施形態のプラズマ処理システムにおいては、第1,第2実施形態と同等の効果を奏するとともに、プラズマチャンバ95,96,97の整合回路2Aの入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBのうち、それぞれの最大値と最小値のばらつきを、0.5より小さい範囲の値に設定することで、プラズマ処理システム全体において、複数のプラズマ処理装置71,91,71’において、それぞれ、各プラズマチャンバ95,96,97に対する電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、プラズマ処理システム全体においてインピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバ95,96,97の状態を設定することが可能となるので、個々のプラズマチャンバ95,96,97において、発生するプラズマ密度等をそれぞれ略均一にすることができる。
【0258】
また、本実施形態のプラズマ処理システムの個々のプラズマチャンバ95,96,97においては、分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後においても、交流抵抗RA1 ,RB1 (高周波特性)が、それぞれ、RA0 、RA1 の差ΔRAの絶対値がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されている。そのため、ある時刻t0 ,から時刻t1 における時間が経過する間に、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で、電気的高周波的な特性の差をなくすことが可能となり、これにより、交流抵抗RA,RB、容量、インピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内にそれぞれのプラズマチャンバ95,96,97の状態を時間的に維持することが可能となるので、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一に維持することができる。
【0259】
その結果、プラズマ処理システム全体において複数のプラズマチャンバ95,96,97に対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマチャンバ95,96,97において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値を0.5より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなったプラズマチャンバ95,96,97において、膜厚のばらつきの値を±7%の範囲におさめることができる。そのため、プラズマ処理システムの全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、個々のプラズマチャンバ95,96,97におけるプラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、各プラズマチャンバ95,96,97で均一な動作が期待できるプラズマ処理システムを提供することが可能となる。
これにより、単一のプラズマ処理装置よりも多数のプラズマチャンバ95,96,97に対する膨大なデータから外部パラメータと実際の基板を処理するような評価方法による処理結果との相関関係によるプロセス条件の把握を不必要とすることができる。
【0260】
同時に、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、それぞれのプラズマチャンバ95,96,97において例えばある時間を隔てて成膜をおこなった際に、経過した時間の前後で、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略同等な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記の差ΔRAの絶対値をRA0 の0.5倍より小さい値に維持するとともに、差ΔRBの絶対値がRB0 の0.5倍より小さい値に維持することにより、時間の経過にかかわらず、すなわち、分解、搬送、再組み立てや使用回数、調整作業等の存在にかかわらず、略同一の条件で積層をおこなったそれぞれのプラズマチャンバ95,96,97において、膜厚のばらつきの値を±7%の範囲におさめることができる。
そのため、従来考慮されていなかった整合回路2Aまでも含んだそれぞれのプラズマチャンバ95,96,97の全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、それぞれのプラズマチャンバ95,96,97で時間的に均一な動作が期待できるプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
さらに、複数のプラズマチャンバ95,96,97間においても、同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果が得られる状態を時間経過的的に維持することが可能となる。
【0261】
したがって、本実施形態のプラズマ処理システムおよびその検査方法によれば、新規設置時や調整・保守点検時において、各プラズマチャンバ95,96,97ごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし、各プラズマチャンバ95,96,97において同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間を、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合に比べて、第1直列共振周波数f0 を測定することにより、大幅に短縮することができる。しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理システムの動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理システムの評価を、しかも、プラズマ処理システムの実機が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々におこなうしかなかった複数のプラズマチャンバ95,96,97に対する結果をほぼ同時に実現することができる。
このため、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理システムの動作確認および、動作の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。また、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0262】
さらに、本実施形態におけるプラズマ処理システムにおいては、各プラズマチャンバ95,96,97の入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBを設定することにより、従来は、考慮されていなかった複数のプラズマチャンバ95,96,97の電気的高周波的な特性を一括して適正な範囲に収めることができる。これにより、動作安定性を向上して、従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数の電力を投入した場合であっても、すべてのプラズマチャンバ95,96,97において、高周波電源1からの電力のうち整合回路2Aおよびその近傍における電力損失を低減してプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ発生空間に効率よく導入することが可能となる。同時に、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理システムと比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の向上をすべてのプラズマチャンバ95,96,97において図ることができる。
その結果、プラズマ処理システム全体としてのプラズマ励起周波数の高周波化による処理速度の向上を図ること、つまり、すべてのプラズマチャンバ95,96,97において、プラズマCVD等により膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることができる。同時に、すべてのプラズマチャンバ95,96,97において、プラズマ発生の安定性を期待することができる結果、個々のプラズマ処理装置71,91,71’としての動作安定性が高く、同時に全体として動作安定性の高いプラズマ処理システムを提供することが可能となる。しかも、これらを、複数のプラズマチャンバ95,96,97において同時に実現することができる。
【0263】
したがって、複数のプラズマチャンバ95,96,97において、プラズマ空間で消費される実効的な電力の向上によりそれぞれ被処理基体16における膜面内方向におけるプラズマ処理の均一性の向上を図ることができ、成膜処理においては膜厚の膜面内方向分布の均一性の向上を図ることが可能となる。同時に、プラズマ密度の上昇により、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態の向上、すなわち、堆積した膜における絶縁耐圧や、エッチングに対する耐エッチング性、そして、いわゆる膜の「固さ」つまり膜の緻密さ等の膜特性の向上を図ることが可能となる。
【0264】
また、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理システムと比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の向上を図ることができるため、プラズマ処理システム全体として電力の消費効率を向上し、同等の処理速度もしくは膜特性を得るために、従来より少ない投入電力ですむようにできる。しかも、これらを、複数のプラズマチャンバ95,96,97において実現することができる。したがって、プラズマ処理システム全体の電力損失の低減を図ること、ランニングコストの削減を図ること、生産性の向上を図ることがより一層可能になる。同時に、処理時間をより短縮することが可能となるため、プラズマ処理に要する電力消費を減らせることから環境負荷となる二酸化炭素の総量をより削減することが可能となる。
【0265】
本実施形態のプラズマ処理システムにおいては、各プラズマチャンバ95,96,97の前記整合回路2Aの測定位置PR3にインピーダンス測定用端子61とスイッチSW5とを設け、これを単一のインピーダンス測定器ANをスイッチSW3によって切り替え自在に接続することで、プラズマ処理システムの個々のプラズマチャンバ95,96,97のインピーダンス特性測定時において、第1,第2実施形態のように整合回路2Aと高周波電源1とを切り離すために、電力供給線1Aと整合回路2Aとを着脱する必要がない。また、単一のインピーダンス測定器ANによって複数のプラズマチャンバ95,96,97のインピーダンス特性および交流抵抗RA,RBの測定をおこなうことができる。
このため、前記プラズマチャンバ95,96,97のインピーダンス特性を測定する際のプロービングを容易におこなうことが可能となり、交流抵抗RA,RBの測定時における作業効率を向上することができる。
【0266】
さらに、スイッチSW3,SW5を設けて、測定用端子61からスイッチSW3までのインピーダンスを複数のプラズマ処理装置71,71’、91における各プラズマチャンバ95,96,97に対して等しくなるように設定することで、スイッチSW1,SW2,SW3を切り替えるだけで、インピーダンス測定端子61に接続されたインピーダンス測定器ANからのインピーダンス測定値を、高周波電源1出力側最終段の出力位置PR2から測定した値と同等と見なすことができる。
同時に、各プラズマチャンバ95,96,97のインピーダンス特性に対する測定用端子61からスイッチSW3までのインピーダンス特性の差異を考慮する必要がなくなるため、複数のプラズマ処理装置71,71’、91におけるプラズマチャンバ95,96,97に対する交流抵抗RA,RBの算出の補正が不要となり、実測値の換算が不要となり、プラズマ処理システムの電気的高周波的特性の設定における作業効率を向上し、交流抵抗RA,RBの測定をより正確におこなうことができる。
【0267】
なお、本実施形態において、スイッチSW3,SW5を測定しようとする各プラズマチャンバ95,96,97に対する切り替え動作を連動させることが可能であり、また、2つのスイッチSW1およびスイッチSW2の構成を、分岐点から出力端子位置PRまでと分岐点からプローブまでのインピーダンスが等しく設定される1つのスイッチとすることもできる。
【0268】
さらに、本発明における各実施形態においては、各プラズマチャンバ95,96,97のプラズマ励起電極4に対する交流抵抗RA,RBを設定したが、サセプタ電極側8に対する交流抵抗RA,RBを設定するよう対応することも可能である。この場合、図11,図15にPR’,PR3’,PR4’で示すように、インピーダンス測定範囲を規定する整合回路25の測定位置を設定することができる。
【0269】
さらに、平行平板型の電極4,8を有するタイプに変えて、ICP(inductive coupled plasma)誘導結合プラズマ励起型、RLSA(radial line slot antenna)ラジアルラインスロットアンテナ型などのプラズマ処理装置や、RIE(Riactive Ion Etching)反応性スパッタエッチング用の処理装置に適用することもできる。
【0270】
なお、本発明の各実施形態においては、図35に示すように、プラズマチャンバ(プラズマ処理室ユニット)95,96,97に対応して、整合回路2Aと、高周波電源1とが、それぞれ設けられて、プラズマチャンバ95,96,97における整合回路2Aの接続位置に、SW4を介してインピーダンス測定器ANを接続したが、図36に示すように、個々のプラズマチャンバ95,96,97に対する整合回路2A,2A,2Aが、スイッチ切り替えによって同一の高周波電源1に接続される構成や、図37に示すように、個々のプラズマチャンバ95,96,97が、スイッチ切り替えによって同一の整合回路2Aに接続される構成も可能である。この場合、図36に示すように、プラズマチャンバ95,96,97の整合回路2Aと高周波電源1との接続位置に、SW4を介して入力端子側交流抵抗RA測定用のインピーダンス測定器ANが接続される構成や、図37に示すように、プラズマチャンバ95,96,97のチャンバ室と整合回路2Aとの接続位置に、SW4を介して出力端子側交流抵抗RB測定用のインピーダンス測定器ANが接続される構成が可能である。
また、入力端子側交流抵抗RA測定用のインピーダンス測定器ANと、出力端子側交流抵抗RB測定用のインピーダンス測定器ANとを、同一のプラズマチャンバに接続することも可能であり、この場合には、スイッチ切り替えによって同一のインピーダンス測定器により、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの測定を切り替え可能とすることができる。
【0271】
また、本発明の各実施形態においては、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの測定をおこなう測定周波数として、高周波電源におけるプラズマ発生時に供給する電源周波数を適用した。これにより、それぞれの特性を指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバ95,96,97を設定することが可能となるので、電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、個々のプラズマチャンバ95,96,97において、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
【0272】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法を第10実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第10実施形態]
本実施形態の性能評価方法の対象となるプラズマ処理装置としては図1ないし図9を用いて説明した第1実施形態のプラズマ処理装置が用いられる。
上記第1実施形態で説明した方法と同様にして測定・定義した交流抵抗RA,RB(高周波特性)の納入後における値RA1 ,RB1 が、それぞれ、RA0 、RA1 の差の絶対値|ΔRA|がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差の絶対値|ΔRB|がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されているかどうかにより、所望の性能を維持しているか否かが判断される。すなわち、交流抵抗RA,RBの納入後における値RA1 ,RB1 かさら算出される|ΔRA|か|ΔRB|のいずれかが、前記所定の値以上である場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。そして、所望の性能が維持できていないと判断した場合には、|ΔRA|および|ΔRB|のいずれの値も前記所定の値より小さい値の範囲になるように、交流抵抗RA1 ,RB1 を是正する措置をとることができる。
【0273】
ここで、上記RA1 ,RB1 を是正する方法としては、例えば、第1実施形態で説明した▲1▼〜▲7▼等の手法を適用することができる。
本実施形態の性能評価方法においては、プラズマチャンバの交流抵抗の納入後における値RA1 ,RB1 かさら算出される|ΔRA|および|ΔRB|が、それぞれ、RA0 、RA1 の差の絶対値|ΔRA|がRA0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持されるとともに、RB0 、RB1 の差の絶対値|ΔRB|がRB0 の0.5倍とされる所定の値より小さい値に維持する是正作業が可能となることにより、従来は、考慮されていなかった整合回路2Aまでも含めたプラズマチャンバの全体的な電気的高周波的な特性を適正な範囲に収めることができる。
これにより、動作安定性を向上して、従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数の電力を投入した場合であっても、高周波電源1からの電力を、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ発生空間に効率よく導入することが可能となる。同時に、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べて、プラズマ空間で消費される実効的な電力を大きくし、生成するプラズマ密度の上昇を図ることができる。その結果、プラズマ励起周波数の高周波化による処理速度の向上を図ること、つまり、プラズマCVD等により膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることができる。
【0274】
さらに、本実施形態の性能評価の結果、適切な是正作業が施されれば、分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後においても、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一に維持することができるので、その時間の前後で同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77において例えばある時間を隔てて成膜をおこなった際に、経過した時間の前後で、成膜状態の時間的な均一性、すなわち、堆積した膜における絶縁耐圧や、エッチング液に対する耐エッチング性、そして、いわゆる膜の「固さ」つまり膜の緻密さ等の膜特性を時間的な維持の向上を図ることが可能となる。
ここで、膜の緻密さは例えば、BHF液によるエッチングに対する浸食されにくさ、耐エッチング性によって表現可能である。
【0275】
そして、本実施形態の性能評価方法によれば、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77の実機が設置してある場所で、高周波特性測定器ANにより交流抵抗RA1 ,RB1 を測定するだけで、短時間にプラズマ処理装置の性能確認および、性能の評価が可能となる。このため、成膜された基板を検査するために、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置の性能確認および、性能の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。
この交流抵抗RA1 ,RB1 は、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77ごとに異なっていると考えられる。上記の範囲に、このRA1 ,RB1 を指標とすることにより、各プラズマ処理室に対しても、従来考慮されていなかったその全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性の高いプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
しかも、これらの性能評価を、装置を搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後に実施するために、搬送中の振動や搬入後の再組み立て作業の不備で精度に狂いが生じる等、性能に悪影響を及ぼす事象が発生した後に、簡便かつ短時間で性能を確認できるので、問題発見から改善までのサイクルを早めることができるので、納入後の装置の立ち上げ期間を短縮することが可能となる。
【0276】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの他の実施形態を第11実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第11実施形態]
図38は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図である。図39は、同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。なお、両図において、図21〜図26と同一の構成要素には、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0277】
図38に示す性能管理システムは、サーバ210と、納入先の入力装置270と、これらサーバ210と入力装置270とを接続する通信回線230と、サーバーに接続された搬送元の出力装置240とから構成されている。本管理システムの対象となるのは、前記の各実施形態において示したプラズマ処理室を複数有するプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムが対象となる。
【0278】
以下、図38を参照しながら、図39のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの納入先側における利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、入力装置270から、納入先に納入されたプラズマ処理装置について、プラズマチャンバ(プラズマ処理室)の固有番号S及び各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97の高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)、出力端子側交流抵抗RB1 (時刻t0 の後の時刻t1 における値)を測定し、この値を入出力装置220から入力する。
これらの入力された入力端子側交流抵抗RA1 ,出力端子側交流抵抗RB1 の値は、通信回線230を通じてサーバ210に送信される。(ステップ401)なお、プラズマ処理装置に接続された高周波特性測定器を入力装置270に接続しておいて、サーバー210からの指令により自動的にプラズマチャンバ75,76,77,95,96,97の固有番号S及び各プラズマチャンバ75,76,77,95,96,97の高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA1 ,出力端子側交流抵抗RB1 の測定値が入力されるようにしてもよい。
【0279】
これに対しサーバ210は、高周波特性としての入力端子側交流抵抗RA1 ,の情報の中から、最大値RA1max及び最小値RA1minを検索しこの値が測定されたプラズマチャンバ75,76,77,95,96,97に対応する固有番号Sとともに特定するとともに、出力端子側交流抵抗RB1 の情報の中から、最大値RB1max及び最小値RB1minを検索してこの値が測定されたプラズマチャンバ75,76,77,95,96,97に対応する固有番号Sとともに特定する(ステップ402)。
次いで、下記式に従い交流抵抗のばらつきの値<RA><RB>を計算する(ステップ403)。
<RA> = (RA1max −RA1min )/(RA1max +RA1min )(14A)
<RB> = (RB1max −RB1min )/(RB1max +RB1min )(14B)
【0280】
次にサーバ210は、<RA><RB>と所定の値、例えば0.5とをそれぞれ比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、<RA><RB>がいずれも所定の値より小さい値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、<RA>か<RB>の少なくとも片方が所定の値以上の値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する。また、上記サーバ210は、<RA><RB>と所定の価、例えば0.5とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、<RA><RB>がそれぞれ所定の値より小さい値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、<RA>か<RB>の少なくともいずれか片方が所定の値以上の値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する(ステップ404)。
【0281】
次にサーバ210は、上記性能評価の結果所定の性能を維持していないと判断した場合に、搬送元の出力装置240に評価情報として、保守作業命令を当該最大値RA1max及び最小値RA1min又は最大値RB1max及び最小値RB1minを与えたプラズマチャンバの固有番号Sとともに提供する(ステップ405)。
具体的には、サーバ210は、出力装置240に対して、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、警報音発生信号を送信したりする。そして、搬送元において、保守作業命令と共に、いずれの納入先のどの装置が保守を必要としているかを判断するために必要な情報として、該当するプラズマチャンバの固有番号が出力される。
【0282】
本実施形態のプラズマ処理装置の管理システムにおいては、搬送元において、何れのプロセス処理装置に問題が生じたか、あるいは何れのプロセス処理装置のいずれのプロセス処理室に問題が生じたか等を直ちに把握できる。
【0283】
すなわち、メーカーサービス会社等の搬送元においては、納入したプラズマ処理装置やプラズマ処理システムを実際に動作させて成膜された基板を検査するという作業を行うことなく、直ちに当該プラズマ装置の性能を評価基準2に基づき評価することができる。
しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理装置等の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理装置の評価を、しかも、プラズマ処理装置のプラズマチャンバCNが設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置の場合についても、結果をほぼ同時に得ることができる。
このため、納入後の装置性能について、簡便かつ短時間で確認でき、問題がある場合には、問題発見から改善までのサイクルを早めることができるので、装置の立ち上げ期間を短縮することができる。また、このような確認に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、確認作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0284】
また、搬送元のメーカー等において、納入先のプラズマ処理装置に問題が生じた場合には、保守作業命令を受けて直ちにこれを知ることができるので、顧客に対するアフタサービス体制を充実させることができる。
【0285】
[実施例]
本発明では、プラズマチャンバにおいて、時間的に入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの値を一定以内となるように設定することにより成膜時における膜特性の変化を測定するとともに、複数のプラズマチャンバにおいて、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBのばらつきの値を一定以内の値に設定することにより成膜時における膜特性の変化を測定した。
【0286】
ここで、実際に使用したプラズマ処理装置としては、プラズマ処理室が2周波数励起タイプのものとされる。この際、1つのプラズマ処理室に3つの異なる整合回路を交互に接続して成膜をおこなった。これは、チャンバ室における機差の影響を排除するためである。
使用したプラズマ処理装置としては、平行平板型の電極4,8のサイズが25cm角とされ、これらの電極間隔が15mmに設定され、その電力が600W、電力周波数fe を40.68MHzに設定した。
【0287】
まず、3つの異なる整合回路で入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBを測定する。ここで、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの測定においては、上記第2実施形態と同様にして、それぞれの整合回路2Aを給電線1A給電板3から切り離し、それぞれ測定位置PR、PR3からおこなうものとする。
この状態で接続した高周波特性測定装置における測定周波数を1〜100MHzに変化させインピーダンスのベクトル量を測定し、電源周波数40.68MHzでのZとθからRA,RBを算出する。
【0288】
ここで、整合回路1として、図3に示す第1実施形態の整合回路2Aと同様の構造を有し、表面に銀メッキを施した銅パイプからなるチューニングコイル23のインダクタンス372nH、寄生抵抗成分となる電力周波数fe における出力端子側交流抵抗RBの値が5.52Ω、入力端子側交流抵抗RAの値が0.54Ωのものを用意した。
整合回路2として、上記整合回路1と同等のチューニングコイル23を2本並列に接続しトータルのインダクタンスを370nHとなるように設定し、寄生抵抗成分となる電力周波数fe における出力端子側交流抵抗RBの値が3.17Ω、入力端子側交流抵抗RAの値が0.55Ω、のものを用意した。
整合回路3として、上記整合回路1と同等のチューニングコイル23を4本並列に接続して、トータルのインダクタンスを370nHとなるように設定し、寄生抵抗成分となる電力周波数fe における出力端子側交流抵抗RBの値が1.62Ω、入力端子側交流抵抗RAの値が0.52Ω、のものを用意した。
整合回路4として、上記整合回路1よりも径の太い銅パイプからなるチューニングコイル23を有し、トータルのインダクタンスを370nHとなるように設定し、寄生抵抗成分となる電力周波数fe における出力端子側交流抵抗RBの値が4.13Ω、入力端子側交流抵抗RAの値が0.54Ω、のものを用意した。
【0289】
上記の各整合回路を同一のプラズマ処理室に接続し、これらに対する評価として同一のプロセスレシピを適用し、窒化珪素膜を堆積し、以下のように各プラズマ処理室における被成膜基板に対する膜厚ばらつきを計測した。
▲1▼ガラス基板上にプラズマCVDによりSiNx 膜を成膜する。
▲2▼フォトリソによりレジストのパターニングをおこなう。
▲3▼SF6 とO2 を用いてSiNx 膜をドライエッチングする。
▲4▼O2 アッシングによりレジストを剥離する。
▲5▼SiNx 膜の膜厚段差を触針式段差計により計測する。
▲6▼成膜時間と膜厚から堆積速度を算出する。
▲7▼膜面内均一性は、6インチガラス基板面内において16ポイントで測定する。
【0290】
ここで、成膜時における条件は、
基板温度 300℃
ガス圧 100Pa
SiH4 40sccm
NH3 160sccm
2 600sccm
である。
これらの結果を表2に示す。
【0291】
【表2】
Figure 0003670209
【0292】
(実施例1)
上記の整合回路のうち、実施例1として、整合回路2,3を選択する。
すると、成膜速度が速く良好で、成膜結果のばらつきは2.8%と、3%以下の値になっている。これに対応して、出力端子側交流抵抗RBのばらつきは、式(14B)に従うと、0.32であり、0.4以下の値となっている。
(実施例2)
上記の整合回路のうち、実施例2として、整合回路1,2,3を選択する。
すると、実施例1に次いで成膜速度が早いが、成膜結果のばらつきは12.6%と10%を越えている。これに対応して、出力端子側交流抵抗RBのばらつきは、式(14B)に従うと、0.55であり0.5以上の値となっている。
(実施例3)
上記の整合回路のうち、実施例3として、整合回路2,3,4を選択する。
すると、成膜速度のばらつきは6.8%と7%以下の値となっており、これに対応して、出力端子側交流抵抗RBのばらつきは、式(14B)に従うと、0.44であり、0.5以下の値となっている。
これらの結果を表3に示す。
【0293】
【表3】
Figure 0003670209
【0294】
SiN膜はTFT−LCD(液晶装置)の薄膜トランジスタのゲート絶縁膜や、液晶に印加する電圧の保持を良好にするために負荷する蓄積容量の絶縁膜などに用いられている。このSiN膜は最終製品であるTFT−LCDにおける白黒の輝度の比にあたるコントラストに影響するパラメータであり、SiN膜の膜厚が10%ばらついた場合、最終製品であるTFT−LCDにおいては前記コントラストが約50のばらつきを生じてしまうことになる。すなわち、複数の製品のコントラストが、200〜250でばらつく結果となる。
つまり、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBのばらつきを0.5以下の範囲に設定することにより、成膜特性のばらつきが10%以下になり、最終製品であるTFT−LCDにおける前記コントラストのばらつきが約50以下に設定できる。
そして、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBのばらつきを0.45以下の範囲に設定することにより、成膜特性のばらつきが7%以下になり、最終製品であるTFT−LCDにおける前記コントラストのばらつきが約30以下に設定できる。
さらに、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBのばらつきを0.4以下の範囲に設定することにより、成膜特性のばらつきが3%以下になり、最終製品であるTFT−LCDにおける前記コントラストのばらつきが約10以下に設定できる。
【0295】
つまり、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBのばらつきを設定することにより、複数のプラズマチャンバにおける機差が低減していることがわかる。
【0296】
さらに、実施例4,5,6として上記の整合回路1と同等の構造のものを用意した。
【0297】
次いで、各整合回路で入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBを測定する。ここで、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの測定においては、上記第2実施形態と同様にして、それぞれの整合回路2Aを給電線1A給電板3から切り離し、それぞれ測定位置PR、PR3からおこなうものとする。この状態で接続した高周波特性測定装置における測定周波数を1〜100MHzに変化させインピーダンスのベクトル量を測定し、電源周波数40.68MHzでのZとθからRA,RBを算出し、この値を時刻t0 の交流抵抗RA0 、RB0 とする。
【0298】
次に、上記のプラズマチャンバにおいて、時刻t0 と時刻t1 との間の処理として、プラズマ処理装置を分解し、その後再組み立てをおこない、その後、各整合回路で入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBを測定する。
ここで、入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの測定においては、同様にして、それぞれの整合回路2Aを給電線1A給電板3から切り離し、それぞれ測定位置PR、PR3からおこなうものとする。この状態で接続した高周波特性測定装置における測定周波数を1〜100MHzに変化させインピーダンスのベクトル量を測定し、電源周波数40.68MHzでのZとθからRA,RBを算出し、この値を時刻t1 の交流抵抗RA1 、RB1 とする。
【0299】
次いで、上記の値から、RA0 、RA1 の差の絶対値|ΔRA|およびRB0 、RB1 の差の絶対値|ΔRB|を計算し、|ΔRA|と|ΔRB|がそれぞれ所定の値に対してどのレベルにあるかを、それぞれ、式(20A)(20B)
|ΔRA| ; C×RA0 (20A)
|ΔRB| ; C×RB0 (20B)
における係数Cの値を算出する。
この値のうち、各実施例に対して大きい方の値を表4に示す。
【0300】
さらに、上記の各整合回路を同一のプラズマ処理室に接続し、これらに対する評価として実施例1,2,3と同様の条件でに同一のプロセスレシピを適用し、窒化珪素膜を堆積し、以下のように各プラズマ処理室における被成膜基板に対する膜厚ばらつきを計測した。
これらの結果を表4に示す。
【0301】
【表4】
Figure 0003670209
【0302】
(実施例4)
上記の実施例4は、Cの値が0.32であり、0.4以下の値となっている。これに対応して、成膜速度のばらつきは2.8%と3%を下回っている。
(実施例5)
上記の実施例5はCの値が0.44であり、0.5以下となっている。これに対応して成膜速度のばらつきは6.8%と3%を越えているが7%未満となっている。
(実施例6)
上記の実施例6は、Cの値が0.55であり0.5を越えている。これに対応して、成膜速度のばらつきは12.6%と7%以上、10%を越えている。
【0303】
SiN膜はTFT−LCD(液晶装置)の薄膜トランジスタのゲート絶縁膜や、液晶に印加する電圧の保持を良好にするために負荷する蓄積容量の絶縁膜などに用いられている。このSiN膜は最終製品であるTFT−LCDにおける白黒の輝度の比にあたるコントラストに影響するパラメータであり、SiN膜の膜厚が10%ばらついた場合、最終製品であるTFT−LCDにおいては前記コントラストが約50のばらつきを生じてしまうことになる。すなわち、複数の製品のコントラストが、200〜250でばらつく結果となる。
つまり、時刻t1 における入力端子側交流抵抗RA1 および出力端子側交流抵抗RB1 から算出される|ΔRA|と|ΔRB|の値をそれぞれ固有RA0 、RB0 の0.5倍以下の範囲に設定することにより、成膜特性のばらつきが7%以下になり、最終製品であるTFT−LCDにおける前記コントラストのばらつきが約30以下に設定できる。
そして、時刻t1 における入力端子側交流抵抗RA1 および出力端子側交流抵抗RB1 から算出される|ΔRA|と|ΔRB|の値をそれぞれ固有RA0 、RB0 の0.4倍以下の範囲に設定することにより、成膜特性のばらつきが3%以下になり、最終製品であるTFT−LCDにおける前記コントラストのばらつきが約10以下に設定できる。
【0304】
つまり、時間的に入力端子側交流抵抗RAおよび出力端子側交流抵抗RBの値が均一になるように設定することにより、複数のプラズマチャンバにおける時間的な処理の差が低減していることがわかる。
【0305】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムの性能評価方法によれば、プラズマ処理装置を分解、搬送後再組み立てが施された後、すなわち納入後に、被処理物が導入されてプラズマ処理が行われたり、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されたりした際に、プラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能が適正に維持されているかどうかを迅速かつ簡便に確認できる。また、本発明のプラズマ処理装置の保守方法によれば、プラズマ処理装置の性能が適正に維持されていない場合に、迅速に是正が可能となる。
また、本発明のプラズマ処理装置の性能管理システム又はプラズマ処理システムの性能管理システムによれば、納入先において、プラズマ処理装置の性能が適正に維持されるために、納入先におけるプラズマ処理装置の性能評価をメーカー等の搬送元で支援できると共に、メーカー等の搬送元で充実した保守サービス体制を整えることが可能となる。
さらに、本発明のプラズマ処理装置によれば、適正な動作状態に簡便に維持することが可能であり、良好なプラズマ処理を継続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 図2は、 図1におけるプラズマチャンバを示す断面図である。
【図3】 図3は、 図2におけるプラズマチャンバの整合回路を示す模式図である。
【図4】 図4は、 図3の整合回路におけるにおける寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【図5】 図5は、 図3の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【図6】 図6は、 図1におけるレーザアニール室を示す縦断面図である。
【図7】 図7は、 図1における熱処理室を示す縦断面図である。
【図8】 図8は、 インピーダンス測定器のプローブを示す斜視図である。
【図9】 図9は、 図8のインピーダンス測定器のプローブの接続状態を示す模式図である。
【図10】 図10は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図11】 図11は、 図10におけるプラズマチャンバを示す断面図である。
【図12】 図12は、 図11におけるプラズマチャンバの整合回路を示す模式図である。
【図13】 図13は、 図12の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【図14】 図14は、 図12の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【図15】 図15は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第3実施形態におけるプラズマチャンバの概略構成を示す模式図である。
【図16】 図16は、 図15におけるプラズマチャンバの整合回路を示す模式図である。
【図17】 図17は、 図16の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【図18】 図18は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第4実施形態におけるプラズマチャンバの整合回路を示す模式図である。
【図19】 図19は、 図18の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【図20】 図20は、 図18の整合回路における寄生抵抗を説明するための模式回路図である。
【図21】 図21は、 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第5実施形態におけるシステム構成図である。
【図22】 図22は、 同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図23】 図23は、 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第6実施形態で実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図24】 図24は、 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第7実施形態におけるシステム構成図である。
【図25】 図25は、 同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図26】 図26は、 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第8実施形態で実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図27】 図27は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムを示すシステム構成図である。
【図28】 図28は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサーバSの性能状況情報の提供処理を示すフローチャートである。
【図29】 図29は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるメインページCPの構成を示す平面図である。
【図30】 図30は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP1の構成を示す平面図である。
【図31】 図31は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるメインページCP2の構成を示す平面図である。
【図32】 図32は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP3の構成を示す平面図である。
【図33】 図33は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP4の構成を示す平面図である。
【図34】 図34は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第9実施形態を示す概略構成図である。
【図35】 図35は、 本発明に係るプラズマ処理装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図36】 図36は、 本発明に係るプラズマ処理装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図37】 図37は、 本発明に係るプラズマ処理装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図38】 図38は、 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第11実施形態におけるシステム構成図である。
【図39】 図39は、 同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図40】 図40は、 従来のプラズマ処理装置の一例を示す模式図である。
【図41】 図41は、 従来のプラズマ処理装置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1…高周波電源
1A,27A…給電線(高周波電力給電体)
2,26…マッチングボックス
2A,25…整合回路
3,28…給電板(高周波電力配電体)
4…プラズマ励起電極(カソード電極)
5…シャワープレート
6…空間
7…孔
8…ウエハサセプタ(サセプタ電極)
9…絶縁体
10…チャンバ壁
10A…チャンバ底部
11…ベローズ
12…サセプタシールド
12A…シールド支持板
12B…支持筒
13…シャフト
16…基板(被処理基板)
17…ガス導入管
17a,17b…絶縁体
21,29…シャーシ
22,32…ロードコンデンサ
23,30…チューニングコイル
24,31…チューニングコンデンサ
R1,R2,R3,R4,R5…導体
27…第2の高周波電源
60…チャンバ室(プラズマ処理室)
61…インピーダンス測定用端子(測定用端子)
61A…接続線
71,91…プラズマ処理装置
72,92…搬送室
73…ローダ室
74…アンローダ室
75、76,77,95,96,97…プラズマチャンバ(プラズマ処理室ユニット)
78…レーザアニール室
79,99…熱処理室
80,84…チャンバ
81…レーザ光源
82…ステージ
83…レーザ光
85…ヒータ
86…ゲートバルブ
87…基板搬送ロボット(搬送手段)
88…アーム
93…ロードロック室
105…プローブ
AN…インピーダンス測定器(高周波特性測定器)
B1,B2,B3,B4…分岐点
PR,PR2,PR3,PR4…測定位置
BP1,BP2,BP4…接続点
PR’,PR2’,PR3’,PR4’…測定位置
SW3,SW5…スイッチ
g0,g1,g2,g3,g4…ゲート
210…サーバ
220…入出力装置
230…通信回線
240…出力装置
250…プラズマ処理装置
260…インピーダンス測定器(高周波特性測定器)
270…入力装置

Claims (18)

  1. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
    前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断した状態で
    前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
    前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
    前記入力端子側交流抵抗RAの、時刻tとその後の時刻t における値RA、RA の差ΔRAの絶対値を求めるとともに
    前記出力端子側交流抵抗RBの、時刻t とその後の時刻tr における値RB 、RB の差ΔRBの絶対値をそれぞれ求め、
    前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍より小さい範囲、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍より小さい範囲の値である場合に、性能を維持していると判断し、前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍以上の値、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍以上の値である場合に、性能を維持していないと判断することを特徴とするプラズマ処理装置の性能評価方法。
  2. 前記高周波電源と前記入力端子とが高周波電力給電体を介して接続され、
    前記入力端子側交流抵抗RAの測定範囲が、前記出力端子への接続を切断し、前記高周波電力給電体の前記高周波電源側端部である測定位置への接続を切断し、前記測定位置から接地電位部分まで測定した範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  3. 前記電極と前記出力端子とが高周波電力配電体を介して接続され、
    前記出力端子側交流抵抗RBの測定範囲が、前記入力端子への接続を切断し、前記高周波電力配電体の前記電極側端部である測定位置への接続を切断し、前記測定位置から接地電位部分まで測定した範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  4. 前記交流抵抗が、前記高周波電源の高周波電力の周波数における値に設定されてなることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  5. 前記入出力端子の間で前記接地電位部分に接続される接続点が複数ある場合には、前記接続点のうち1の接続点のみが前記接地電位部分に接続するよう他の接続点を切断して、前記交流抵抗を測定することを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  6. 前記入出力端子の間で前記接地電位部分に接続される接続点が複数ある場合には、各々接続する接続点を切り替えて、それぞれ前記交流抵抗を測定することを特徴とする請求項記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  7. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理室内に被処理物が導入され、該被処理物にプラズマ処理が行われることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  8. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理装置に、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  9. 時刻tとその後の時刻tとの間に、分解、搬送、及び再組み立てが施されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  10. 請求項1から請求項のいずれかに記載された評価方法の結果、ΔRA、△RBの絶対値が前記RA の0.5倍以上、前記RB の0.5倍以上の場合に、交流抵抗RA、RBの是正作業を行うことを特徴とするプラズマ処理装置の保守方法。
  11. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
    前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断した状態で
    前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
    前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
    前記入力端子側交流抵抗RAの時刻tにおける値RAと、前記出力端子側交流抵抗RBの時刻tにおける値RBとを記憶するサーバーと、
    このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置と、を備え、
    前記サーバーは、前記RAのその後の時刻tにおける値RAを前記納入先入出力装置から受信し、前記RAとこのRAとの差であるΔRAの絶対値を演算するとともに、前記RBのその後の時刻tにおける値RBを前記納入先入出力装置から受信し、前記RBとこのRBとの差であるΔRBの絶対値を演算し、
    前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍より小さい値、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍より小さい値である場合には、性能を維持している旨の信号を、前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍以上の値、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍以上の値である場合には、性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。
  12. 前記サーバーが、プラズマ処理室ユニットの固有番号毎に前記RAおよびRBを記憶し、納入先入出力装置から納入したプラズマ処理室の固有番号を受信して、当該固有番号に対応するRAおよびRBを用いて演算をすることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  13. 前記納入先入出力装置に、プラズマ処理装置に接続された高周波特性測定器を接続して、この高周波特性測定器から前記サーバーに、前記RAおよびRBが直接送信されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能管理システム
  14. 前記サーバーが搬送元において出力装置を備え、前記ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍、前記ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍を超える場合に、前記出力装置から、保守作業命令を出力することを特徴とする請求項1載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  15. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
    前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断した状態で
    前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
    前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
    前記入力端子側交流抵抗RAの時刻tにおける値RAと、前記出力端子側交流抵抗RBの時刻tにおける値RBと、を記憶するサーバーと、
    このサーバーの搬送元における出力装置と、
    このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置と、を備え、
    前記サーバーは、前記RAのその後の時刻tにおける値RAを前記納入先入出力装置から受信し、前記RAとこのRAとの差であるΔRAの絶対値を演算するとともに、前記RBのその後の時刻tにおける値RBを前記納入先入出力装置から受信し、前記RBとこのRBとの差であるΔRBの絶対値を演算し、
    前記ΔRAの絶対値と前記RAの値、前記ΔRBの絶対値と前記RBの値の範囲によって決められた1以上の故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報を記憶しており、
    前記ΔRAの絶対値と前記ΔRBの絶対値との値が、前記の何れかの故障レベルの範囲である場合には、前記出力装置から、当該故障レベルと、当該故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報と共に、保守作業命令を出力することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。
  16. 前記納入先入出力装置に、プラズマ処理装置に接続された高周波特性測定器を接続して、この高周波特性測定器から前記サーバーに、前記RAおよびRBが直接送信されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能管理システム
  17. 前記サーバーが、前記当該故障レベルを、前記納入先入出力装置にも発信することを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  18. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に分岐点を介して接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを有するプラズマ処理装置であって、
    前記プラズマ処理室ユニットの整合回路において前記入力端子への前記高周波電源の接続を切断するとともに前記出力端子への前記電極の接続を切断した状態で
    前記入力端子側から測定した入力端子側交流抵抗RAの測定範囲を、前記出力端子への接続を切断し、前記入力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定するとともに、
    前記出力端子側から測定した出力端子側交流抵抗RBの測定範囲を、前記入力端子への接続を切断し、前記出力端子である測定位置から前記分岐点を介して前記接地電位部分まで測定した範囲に設定して、
    前記入力端子側交流抵抗RAの、時刻tとその後の時刻t における値RA、RA の差ΔRAの絶対値が前記RA の0.5倍より小さい値に維持されるとともに、
    前記出力端子側交流抵抗RBの、時刻t とその後の時刻tにおける値RB、RBの差ΔRBの絶対値が前記RB の0.5倍より小さい値に維持されることを特徴とするプラズマ処理装置。
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