JP3670206B2 - プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムの性能評価方法、保守方法、性能管理システム、及び性能確認システム、並びにプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムの性能評価方法、保守方法、性能管理システム、及び性能確認システム、並びにプラズマ処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムの性能評価方法、保守方法、性能管理システム、及び性能確認システム、並びにプラズマ処理装置に係り、特に、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムが納入後に所望の性能を維持し続けることに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
CVD( chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうプラズマ処理装置の一例としては、従来から、図38に示すような、いわゆる2周波数励起タイプのものが知られている。
図38に示すプラズマ処理装置は、高周波電源1とプラズマ励起電極4との間に整合回路2Aが介在されている。整合回路2Aはこれら高周波電源1とプラズマ励起電極4との間のインピーダンスの整合を得るための回路として設けられている。
【0003】
高周波電源1からの高周波電力は整合回路2Aを通して給電板3によりプラズマ励起電極4へ供給される。この整合回路2Aは導電体からなるハウジングにより形成されるマッチングボックス2内に収納されており、プラズマ励起電極4および給電板3は、導体からなるシャーシ21によって覆われている。
プラズマ励起電極(カソード電極)4の下側には凸部4aが設けられるとともに、このプラズマ励起電極(カソード電極)4の下には、多数の孔7が形成されているシャワープレート5が凸部4aに接して設けられている。これらプラズマ励起電極4とシャワープレート5との間には空間6が形成されている。この空間6にはガス導入管17が接続されており、導体からなるガス導入管17の途中には絶縁体17aが挿入されてプラズマ励起電極側とガス供給源側とが絶縁されている。
【0004】
ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の孔7を通ってチャンバ壁10により形成されたチャンバ室60内に供給される。なお、符号9はチャンバ壁10とプラズマ励起電極(カソード電極)4とを絶縁する絶縁体である。また、排気系の図示は省略してある。
一方、チャンバ室(プラズマ処理室)60内には基板16を載置しプラズマ励起電極ともなるウエハサセプタ(サセプタ電極)8が設けられておりその周囲にはサセプタシールド12が設けられている。
【0005】
サセプタシールド12はサセプタ電極8を受けるシールド支持板12Aと、このシールド支持板12Aの中央部から垂下形成された筒型の支持筒12Bとからなり、支持筒12Bはチャンバ底部10Aを貫通して設けられるとともに、この支持筒12Bの下端部とチャンバ底部10Aとがベローズ11により密閉接続されている。これら、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、これらの隙間がシャフト13の周囲に設けられた電気絶縁物からなる絶縁手段12Cによって真空絶縁されるとともに電気的にも絶縁されている。また、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、ベローズ11により上下動可能となっており、プラズマ励起電極4,ウエハサセープタ8間の距離の調整ができる。
ウエハサセプタ8には、シャフト13および第2のマッチングボックス14内に収納された整合回路を介して第2の高周波電源15が接続されている。なお、チャンバ壁10とサセプタシールド12とは直流的に同電位となっている。
【0006】
図39に従来のプラズマ処理装置の他の例を示す。図39に示すプラズマ処理装置は、図38に示すプラズマ処理装置とは異なり、1周波数励起タイプのプラズマ処理装置である。すなわち、カソード電極4にのみ高周波電力が供給されるようになっており、サセプタ電極8は接地されている。また、図38で示される第2の高周波電源15と第2のマッチングボックス14は設けられていない。また、サセプタ電極8とチャンバ壁10とは直流的に同電位となっている。
【0007】
上記のプラズマ処理装置においては、一般的に13.56MHz程度の周波数の電力を投入して、両電極4,8の間でプラズマを生成し、このプラズマにより、CVD( chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうものである。
しかし、上記のプラズマ処理装置においては、電力消費効率(高周波電源1からプラズマ励起電極4に投入した電力に対してプラズマ中で消費された電力の割合)は必ずしも良好ではない。特に、高周波電源から供給される周波数が高くなるほど、プラズマ処理装置における電力消費効率の低下が顕著である。同時にまた、基板サイズが大きくなるほどその低下が顕著である。
その結果、電力消費効率が低いことにより、プラズマ空間で消費される実効的な電力が上がらないため、成膜速度が遅くなる、また、たとえば絶縁膜の成膜の場合にあってはより絶縁耐圧の高い絶縁膜の形成が困難である、という問題点を有している。
【0008】
そして、このようなプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価方法としては、例えば、以下のように実際に成膜等の処理をおこない、この被成膜特性を評価するというような方法でおこなっていた。
(1)堆積速度と膜面内均一性
▲1▼基板上にプラズマCVDにより所望の膜を成膜する。
▲2▼レジストのパターニングをおこなう。
▲3▼膜をドライエッチングする。
▲4▼アッシングにより上記レジストを剥離する。
▲5▼膜の膜厚段差を触針式段差計により計測する。
▲6▼成膜時間と膜厚から堆積速度を算出する。
▲7▼膜面内均一性は、6インチ基板面内において16ポイントで測定する。
(2)BHFエッチングレート
上記(1)▲1▼〜▲2▼と同様に膜を成膜後、レジストマスクをパターニングする。
▲3▼BHF液に1分間基板を浸漬する。
▲4▼純水洗浄後乾燥し、レジストをH2SO4+H22 で剥離する。
▲5▼上記(1)▲5▼と同様段差を計測する。
▲6▼浸漬時間と段差からエッチング速度を算出する。
(3)絶縁耐圧
▲1▼ガラス基板上にスパッタリングにより導電性膜を成膜し、下部電極としてパターニングする。
▲2▼プラズマCVDにより絶縁膜を成膜する。
▲3▼▲1▼と同様の方法で上部電極を形成する。
▲4▼下部電極用にコンタクト孔を形成する。
▲5▼上下電極にプロービングし、I−V特性(電流電圧特性)を測定する。このとき最大電圧として200V程度まで印加する。
▲6▼電極面積を100μm角とし、100pAをよぎるところが、1μA/cm2 に相当するので、この時のVを絶縁耐圧として定義する。
【0009】
さらに、上記のようなプラズマ処理装置に対しては、従来から、半導体および液晶表示装置製造に用いられる場合において、プラズマ処理速度(成膜時の堆積速度や、加工速度)が早く生産性が高いこと、そして、被処理基体面内方向におけるプラズマ処理の均一性(膜厚の膜面内方向分布、加工処理ばらつきの膜面内方向分布)に優れていることが求められているが、近年では、被処理基板の大型化に伴い、膜面内方向の均一性に対する要求が一段と強まっている。
また、被処理基板の大型化に伴い、投入電力量もkWオーダーが投入されるまで増大し、電力消費量が増す傾向にある。このため、電源の高容量化に伴い、電源の開発コストが増大するとともに、装置稼働時には電力使用が増すことからランニングコストを削減することが望まれている。
また、電力消費量が増大することは、環境負荷となる二酸化炭素の排出量が増大する。これは、被処理基板の大型化に伴ってさらに放出量が増大するとともに電力消費効率をさらに下げてしまうため電力消費量が増大するので、この二酸化炭素の放出量削減への要求も高くなっている。
一方、プラズマ励起周波数として、従来一般的であった13.56MHzに対して、これを越える30MHz以上のVHF帯の周波数を用いるなど、高周波化を図ることで、プラズマ空間で消費される実効的な電力の増加を図ることができる。その結果として、プラズマCVDなどの堆積装置においては、成膜時の堆積速度を向上させることができる可能性が示されていた。
【0010】
さらに、上記のようなプラズマチャンバを複数有するプラズマ処理装置に対しては、個々のプラズマチャンバに対して、プラズマ処理の機差をなくし、異なるプラズマチャンバにおいて処理をおこなった被処理基板においても、プラズマ処理速度(成膜時の堆積速度や、加工速度)や生産性、そして、被処理基体面内方向におけるプラズマ処理の均一性(膜厚の膜面内方向分布等の、処理のばらつきをなくしたいという要求がある。
同時に、プラズマチャンバを複数有するプラズマ処理装置に対しては、個々のプラズマチャンバに対して、供給するガス流量や圧力、供給電力、処理時間等の外部パラメータが等しい同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果が得られることが望まれている。
そして、プラズマ処理装置の新規設置時や調整・保守点検時において、複数のプラズマチャンバごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間の短縮が求められるとともに、このような調整に必要なコストの削減が要求されていた。
【0011】
さらに、上記のようなプラズマ処理装置を複数有するプラズマ処理システムに対しても、同様に、各プラズマ処理装置における個々のプラズマチャンバに対して、プラズマ処理の機差をなくしたいという要求が存在していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のプラズマ処理装置においては、13.56MHz程度の周波数の電力を投入するように設計されており、13.56MHzを越える周波数の電力を投入することに対応していない。より具体的には、高周波電力を投入する部分、つまり、プラズマ処理をおこなうチャンバ全体としては、容量、インピーダンス、共振周波数特性等の電気的高周波的な特性が考慮されておらず、次のような不具合が生じていた。
▲1▼13.56MHzを越える周波数の電力を投入した場合、電力消費効率があがらず、成膜時に堆積速度を向上することができないばかりか、むしろ、堆積速度が遅くなる場合があった。
▲2▼さらに投入する電力をより高周波化すると、周波数の上昇に伴って、プラズマ空間で消費される実効的な電力は上昇してピークを迎え、その後、減少に転じて、ついにはグロー放電できなくなってしまい高周波化の意味がなくなってしまう。
【0013】
また、次のような不具合も生じていた。
プラズマチャンバを複数有するプラズマ処理装置やプラズマ処理システムに対しては、複数のプラズマチャンバに対してインピーダンス、共振周波数特性等の電気的高周波的な特性の機差をなくすという設計がなされていないために、個々のプラズマチャンバにおいて、プラズマ空間で消費される実効的な電力等がそれぞれ均一になっていない可能性がある。
このため、複数のプラズマチャンバに対して同一のプロセスレシピを適用しているにも関わらず、同一のプラズマ処理結果が得られない可能性がある。
したがって、同じプラズマ処理結果を得るためには、個々のプラズマチャンバごとに、それぞれ供給するガス流量や圧力、供給電力、処理時間等の外部パラメータと上記の(1)〜(3)のような評価方法による処理結果とを比較して、これらの相関関係を把握する必要があるが、そのデータ量は膨大なものになり、すべてをおこなうことが困難である。
【0014】
また、上記のようなプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価方法として、上記の(1)〜(3)のような方法を採用した場合には、適正な動作をしているかどうかの確認をするためにはプラズマ処理装置を作動させることが必要である上に、プラズマ処理装置の設置場所とは別の検査場所において被処理基板を複数のステップにより処理測定する必要がある。
このため、評価結果がでるまでには数日、あるいは数週間を要しており、装置開発段階においては、プラズマ処理室の性能確認に時間がかかりすぎるため、これを短縮したいという要求があった。
【0015】
さらに、複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置やプラズマ処理システムに対して上記の(1)〜(3)のような検査方法を採用した場合には、複数のプラズマチャンバごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし、同一のプロセスレシピにより同一処理結果を得るために必要な調整時間が、月単位で必要となってしまう。このため、調整期間の短縮が求められるとともに、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストが膨大なものになるという問題があった。
【0016】
このように、プラズマ処理装置においては、所望のレベルの性能を備えるという配慮が求められており、さらに複数のプラズマチャンバ(プラズマ処理室)を備えるプラズマ処理装置やプラズマ処理システムにあっては、プラズマ処理の性能の機差をなくすような配慮が求められていた。しかし、たとえこのような配慮が充分になされたプラズマ処理装置であっても、プラズマ処理装置を搬送する際には、一般に一旦分解してから搬送し、搬送先で再組み立てすることが行われている。この場合には、搬送中の振動や再組み立て作業の不備等により搬送前の性能が維持されていない恐れがあった。
さらに、納入後、すなわち、納入先にて再組み立て後にプラズマ処理を繰り返す内に、所望の性能レベルが維持できなくなったり複数のプラズマ処理室間の機差が生じる可能性があった。また、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業を行った場合には、調整の不備等により調整作業前の性能が維持されていない可能性があった。
【0017】
また、上記のようなプラズマ処理装置の性能が所望の性能レベルや所望の機差内に維持されているかどうかを確認するための評価方法として、上記の(1)〜(3)のような動作評価方法を採用した場合には、プラズマ処理装置を作動させることが必要である上に、プラズマ処理装置の設置場所とは別の検査場所などにおいて被処理基板を複数のステップにより処理測定する必要がある。
そして、装置性能が仕様を満足できない場合には、装置を調整して、プラズマ処理を実施し、被処理基板を評価するといった一連の長いサイクルを繰り返す必要がある上、納入した装置の立ち上げ期間が長期化するといった問題があった。製造ラインの立ち上げ期間の長短は、そのまま年度の売り上げに大きな影響を及ぼしていた。
このため、より簡便な方法でプラズマ処理装置の性能を把握し、問題発見から改善までのサイクルを早め、装置の立ち上げ期間を短縮するという要求があった。
【0018】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
納入先においてプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能が適正に発揮維持されていたかどうかを確認するための迅速かつ簡便な評価方法の提供を目的の一つとする。
プラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能が適正に維持されていない場合に、簡便で、迅速に是正可能な保守方法の提供を目的の一つとする。
納入先においてプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能が適正に発揮されるように管理するための、あるいは、性能が適正に発揮されていない場合には、保守作業を直ちに行えるよう管理するための性能管理システムの提供を目的の一つとする。
適正な動作状態に簡便に維持可能なプラズマ処理装置の提供を目的の一つとすること。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、
入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量C の、時刻tとその後の時刻tにおける値CX0、CX1の差ΔCの絶対値を求め、その値が前記CX0の0.1倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、その値が前記CX0の0.1倍以上である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るプラズマ処理装置の保守方法は、上記発明に係る評価方法の結果、ΔCの絶対値が前記CX0の0.1倍を超えていた場合に、容量Cの是正作業を行うことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量C の、時刻tにおける値CX0を記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
上記サーバーは、上記容量CX0のその後の時刻tにおける値CX1を、上記納入先入出力装置から受信し、上記CX0と、このCX1との差であるΔCの絶対値を演算し、その値が前記CX0の0.1倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、前記CX0の0.1倍値以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、 入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量Cの、時刻tにおける値Cx0と、各々所定の値の範囲によって決められた1以上の故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報とを記憶するサーバーと、このサーバーの搬送元における出力装置と、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
上記サーバーは、上記Cx0のその後の時刻tにおける値Cx1を、上記納入先入出力装置から受信し、上記Cx0と、このCx1との差であるΔCの絶対値を演算し、その値が、前記の何れかの故障レベルの所定の値の範囲である場合には、上記出力装置から、当該故障レベルと、当該故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報と共に、保守作業命令を出力することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るプラズマ処理装置は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、 入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置であって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量Cの、時刻tとその後の時刻tにおける値CX0、X1の差ΔCの絶対値が前記CX0の10%より小さい値に維持されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムは、購入発注者が販売保守者から購入した上記のプラズマ処理装置の時刻t0とその後の時刻t1において計測可能な動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、販売保守者が上記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、上記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段と、
を具備することを特徴とする。
【0025】
また、上記各発明において、時刻t0とその後の時刻t1との間になされて、容量Cxに影響を与える可能性のある事象としては、例えば、プラズマ処理室内に被処理物が導入され、該被処理物にプラズマ処理が行われることが挙げられる。また、他の事象としては、プラズマ処理装置に、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されることが挙げられる。さらに他の事象としては、分解、搬送、及び再組み立てが施されることが挙げられる。
【0026】
上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムにおいては、上記サーバーが、プラズマ処理装置の固有番号毎にCx0を記憶し、納入先入出力装置から納入したプラズマ処理装置の固有番号を受信して、当該固有番号に対応するCを用いて演算をするようにしてもよい。
【0027】
また、上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムにおいては、上記納入先入出力装置に、プラズマ処理装置に接続された容量を測定する測定器を接続して、該測定器からサーバーに、Cx1が直接送信されるようにすることもできる。
【0028】
また、上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムにおいては、上記サーバーが搬送元において出力装置を備え、ΔCの絶対値が前記CX0の0.1倍を超える場合に、上記出力装置から、保守作業命令信号を出力するようにしてもよい。
【0029】
また、上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムにおいては、上記サーバーが搬送元における出力装置から保守作業命令を出力すると共に、上記納入先入出力装置に当該故障レベルを発信するようにしてもよい。
【0030】
また、上記本発明に係るプラズマ処理装置においては、ΔCの絶対値が前記CX0の10%以上の値である場合に、プラズマ電極容量Cの是正作業を行うことにより、ΔCの絶対値が前記CX0の10%より小さい値に維持されるようにする態様が好適に採用できる。
【0031】
また、上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムにおいては、上記性能状況情報が、上記容量Cxを含むものとすることができる。また、上記性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されるものとすることができる。
【0032】
上記課題を解決するため、本発明に係わるプラズマ処理装置の性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、
搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの納入後における値Cx1の値が、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の26倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、上記プラズマ極容量Ce の26倍以上の値である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係わるプラズマ処理装置の性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、 入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、
搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、
その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され
e1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、
0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の、納入後における値CX1の値のばらつきCX1rが、その最大値CX1maxと最小値CX1minによって、
X1r=(CX1max−CX1min)/(CX1max+CX1min
と定義され、
X1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、
0.1以上である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係わるプラズマ処理装置の性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、
搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、
その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され、
e1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、
0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、 上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が0.1より小さい値であり、かつ上記Cx1の値のいずれも上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Cの26倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、
x1rの値が0.1以上の値である場合、又は上記Cx1の値のいずれかが上記プラズマ電極容量Cの26倍以上の値である場合性能を維持していないと判断することを特徴とする。
【0035】
また、本発明に係わるプラズマ処理システムの性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、上記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能評価方法であって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、
その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され、
e1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、
0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの、納入後における値CX1の値のばらつきCX1rが、その最大値CX1maxと最小値CX1minによって、
X1r=(CX1max−CX1min)/(CX1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が0.1より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、0.1以上の値である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係わるプラズマ処理システムの性能評価方法は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、上記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能評価方法であって、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、
その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され、
e1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が0.1より小さい値であり、かつ上記Cx1の値のいずれも上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Cの26倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、
x1rの値が0.1以上の値である場合、又は上記Cx1の値のいずれかが上記プラズマ電極容量Cの26倍以上の値である場合性能を維持していないと判断することを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係わるプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、上記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、
搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ceを記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
上記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、上記納入先入出力装置から受信し、
納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とする。
【0038】
また、本発明に係わるプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ceを記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
上記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、上記納入先入出力装置から受信し、納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係わるプラズマ処理装置の性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
出力装置を備えたサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入力装置とを備え、
上記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1を、各々のプラズマ処理室の固有番号と共に上記納入先入出力装置から受信し、この値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され、このCe1rの値が0.1以上である場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Ce 1max又は最小値Ce 1minを与えたプラズマ処理室の固有番号と共に出力し、
上記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、各々のプラズマ処理室の固有番号と共に上記納入先入出力装置から受信し、
この値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が0.1以上の場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Cx1max又は最小値Cx1minを与えたプラズマ処理室の固有番号と共に出力することを特徴とする。
【0040】
また、本発明に係わるプラズマ処理システムの性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、上記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、
搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能管理システムであって、
上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ceを記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
上記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、上記納入先入出力装置から受信し、
納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とする。
【0041】
また、本発明に係わるプラズマ処理システムの性能管理システムは、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、上記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に上記高周波電源を接続するとともに上記電極に接続した高周波電力配電体を上記出力端子に接続することにより上記プラズマ処理室と上記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能管理システムであって、
出力装置を備えたサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
上記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1を、各々のプラズマ処理装置の固有番号と共に上記納入先入出力装置から受信し、この値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され、このCe1rの値が0.1以上である場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Ce 1max又は最小値Ce 1minを与えたプラズマ処理装置の固有番号と共に出力し、
上記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、上記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、各々のプラズマ処理装置の固有番号と共に上記納入先入出力装置から受信し、
この値Cx1の値のばらつきCx1rが、
その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が0.1以上の場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Cx1max又は最小値Cx1minを与えたプラズマ処理装置の固有番号と共に出力することを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係わるプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムの性能確認システムは、購入発注者が販売保守者から購入した上記の何れかに記載の性能管理システムで管理されたプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムの搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組立てした後の動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、販売保守者が上記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、上記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段とを具備することを特徴とする。
【0043】
また、上記各発明において、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量CXの、納入後における値CX1の値のばらつきCX1r と対比する所定の値として好ましい値は、0.1であり、より好ましい値は0.03である。
また、上記各発明において、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ce の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rと対比する所定の値として好ましい値は、0.1であり、より好ましい値は0.03である。
【0044】
また、上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システム又はプラズマ処理システムの性能管理システムにおいて、上記Ceの26倍と納入後の上記容量CX1とを比較して性能を判断する場合には、上記サーバーが搬送元において出力装置を備え、納入後における値Cx1が上記プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値である場合に(Ceの26倍が納入後におけるが上記容量CX1の値以下である場合に)、上記出力装置から、保守作業命令を出力することが望ましい。また、上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムにおいては、上記性能状況情報が、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ce と、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量CXを含むものとすることができる。
また、上記性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されるものとすることができる。
【0045】
以下、上記各発明をさらに詳細に説明する。
上記各発明では、高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量(ロス容量)CX を評価指標とした。これは容量Cxが、プラズマ空間で消費される実効的な電力等のプラズマ処理装置の性能と密接な関連性を有するとともに、汚れが付着したり、組み立て精度に狂いが生じる等、性能に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、容易に変動する値であることに着目したものである。また、容量Cx は、搬送中の振動や納入後の再組み立ての不備で精度に狂いが生じる等、性能に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、容易に変動する値であることに着目したものである。
そして、この指標とした容量Cxは、時刻t0とその後の時刻t1における値Cx0、Cx1の差ΔCxの絶対値が、プラズマ処理装置の性能変動幅と密接な関連を有すること、及びこの値が所定の値よりも小さい場合は、性能変動幅も所定の範囲内であると見なせることを見いだし、このΔCxの絶対値と所定の値を比較することにより、プラズマ処理装置の性能評価を可能とした。
すなわち、分解搬送後に再組立する新規設置時やその後の使用によるプラズマ処理の繰り返し、あるいは調整・保守点検等の際に、プラズマ処理室の性能が所定の性能レベルを維持しているか、また、プラズマ処理室が複数ある場合には、性能の機差が充分抑えられているか等の評価を可能としたものである。
【0046】
この容量Cxの測定は瞬時に行うことができるので、基板への実際の成膜等による従来の検査方法を採用した場合に比べて、大幅に評価時間を短縮することができる。また、性能評価に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の検査処理費用、および、評価作業に従事する作業員の人件費等の、コストを削減することが可能となる。
そのため、本発明に係るプラズマ処理装置の評価方法によれば、プラズマ処理装置の性能評価を瞬時にしかもコストをかけずに行うことができる。
また、本発明に係るプラズマ処理システムの評価方法によれば、プラズマ処理装置の性能評価を瞬時にしかもコストをかけずに行うことができる。また、プラズマ処理装置が、複数のプラズマ処理室を有している場合には、それぞれ求めた容量Cxを指標とすることにより、各プラズマ処理室に対して、常に同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、プラズマ処理室において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を継続して得ることを可能とするものである。
また、本発明に係る保守方法によれば、性能評価結果を瞬時に、かつコストをかけずに行うことができるので、所望の頻度で性能評価を行い、その結果を直ちに反映して是正作業を行うことができる。
【0047】
また、本発明に係るプラズマ処理システムの評価方法によれば、プラズマ処理装置の性能評価を瞬時にしかもコストをかけずに行うことができる。また、プラズマ処理システムは、複数のプラズマ処理装置からなるため、複数のプラズマ処理室を有している。これら各プラズマ処理装置においてそれぞれに求めた容量Cxを指標とすることにより、各プラズマ処理室に対して、常に同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、プラズマ処理室において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を継続して得ることを可能とするものである。
【0048】
また、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムによれば、メーカー等が管理するサーバーを利用することにより、納入先の使用者等が簡便に性能評価結果を知ることができる。また、本発明に係るプラズマ処理システムの性能管理システムによれば、メーカー等が管理するサーバーを利用することにより、納入先の使用者等が簡便に性能評価結果や機差に関する情報を知ることができる。また、本発明に係るプラズマ処理装置によれば、容量Cxという、常時確認可能な指標により性能を維持されるので、良好なプラズマ処理を行うことが可能となる。
さらに、本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムによれば、販売保守者が管理するサーバーを利用することにより、購入発注者が、プラズマ処理装置の動作性能状況を簡便に知ることができる。
【0049】
従って、何れの発明も、問題のあるプラズマ処理作業を行ってしまうことを事前に回避し、良好な状態にプラズマ処理装置を保つことに寄与するものである。また、プラズマ処理室に対して、常に同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、プラズマ処理室において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を継続して得ることを可能とするものである。
なお、プラズマ処理装置が、複数のプラズマ処理室を有していたり、複数のプラズマ処理装置が結合してプラズマ処理システムを構成している場合には、各プラズマ処理室毎にこの容量Cxを求めて指標とすることができる。
【0050】
本発明においては、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量(ロス容量)CX を指標とし、さらにこの容量CX をコントロールすることにより、プラズマ電極容量Ce を容量CX より大きな範囲の値に設定(より具体的にはプラズマ電極容量Ce の26倍が、容量CX より大きな範囲の値に設定、あるいは容量Cxの値がプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値に設定)することが可能で、高周波電源から供給される電流のうち、電極以外への分流分をコントロールすることが可能となるため、電力を効率よくプラズマ発生空間に導入することが可能となり、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の増大を図ることができる。その結果、例えば、膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることができる。
【0051】
ここで、虚数単位をj(j2 =−1)、角振動数をω(ω=2πfe ;fe は電力周波数)とすると、電流IはインピーダンスZ(Ω)に反比例し、インピーダンスZは容量Cに対して以下の式(11)、
Z ∝ −j/ωC (11)
で示される関係を満たしているため、容量CXを小さく設定する(ロス容量CX をプラズマ電極容量Ce に対して設定する)ことにより、電極間のインピーダンスに比べて、各接地電位部のインピーダンスが大きくなり、その結果、従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数の電力を投入した場合であっても、プラズマ発生空間に投入されるプラズマ電流Ieを増大することが可能となる。
【0052】
この容量(ロス容量)CX は、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各実機ごとに異なっていると考えられる。上記の範囲に、このロス容量CX を小さく設定すること(プラズマ電極容量Ce の26倍が、容量CX より大きな範囲の値に設定すること)により、各実機に対しても、従来考慮されていなかった部分の全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、プラズマ発生空間に投入されるプラズマ電流Ie に対してプラズマ処理室(プラズマ処理室ユニット)の他の各接地電位部に分流してしまうロス電流IX を削減し、プラズマ発生空間に投入される実効的な電力が目減りすることを防止し、プラズマ密度が減少することを防止することができる。
従ってこの容量Cxをプラズマ発生の安定性や均一な動作に密接に関係する評価指標として用いると、的確な性能評価が可能となるものである。
【0053】
また、本発明においては上記プラズマ電極容量Ce の7倍が、上記容量(ロス容量)CX より大きな範囲の値に設定されることが好ましく、この範囲に設定することにより、各接地電位部に分流する高周波電流の減少を図ることが可能となり、同一のプラズマ処理条件においては、プラズマ発生空間に投入される実効的な電力をより一層向上することが可能となり、さらに処理速度を向上することができる。特に、成膜処理をおこなう際においては、膜の堆積速度をさらに向上することができる。また、プラズマ発生空間に投入される実効的な電力が向上されることにより、成膜された膜の特性をより向上することができる。例えば、絶縁膜の成膜に際しては、膜の絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。同時に、高周波電源に接続された電極からこの電極と対向する電極に向かう高周波電流を、これら電極間に収束させることが可能となり、プラズマ発生空間に投入される実効的な電力が向上されることにより、膜面内方向における被成膜の均一性を向上することができる、つまり、膜厚や絶縁耐圧等の膜特性の膜面内方向におけるばらつきを減少することが可能となる。
【0054】
さらに、本発明においては、上記プラズマ電極容量Ce の5倍が、上記容量(ロス容量)CX より大きな範囲の値に設定されてなることが好ましく、この範囲に設定することにより、同一の条件として、処理速度、膜の面内方向の均一性、膜特性を得るために必要な電力を従来に比べて削減することが可能となり、省電力化をはかり、ランニングコストの低減を図ることができる。ここで、成膜時においては、処理速度は堆積速度、膜の面内方向の均一性としては膜厚や膜特性、膜特性としては絶縁耐圧等が対応する。
【0055】
ここで、ロス容量CX について説明する。
高周波電源から供給された電流I は、図8に示すように、プラズマ励起電極により形成されるプラズマ発生空間に投入されるプラズマ電流Ieと、それ以外の部分に分流してしまうロス電流IX とに分けられる。このロス電流IX が流入する部分、つまり、高周波電源に接続された電極およびこの電極と対向する電極の間の容量成分(プラズマ電極容量Ce )以外の、高周波電源に接続された電極およびプラズマチャンバにおけるアースされた各接地電位部との間に発生する容量成分を総括してロス容量CX とする。
【0056】
次に、容量CXを測定するための測定範囲について説明する。
容量CXの測定範囲としては、例えば、図1に示すような、上記プラズマを励起するための電極が平行平板型とされ、この平行平板型の対向する電極間の容量が上記プラズマ電極容量Ce とされ、この電極のうち、上記高周波電源の接続された電極が上記プラズマ処理室の蓋体の一部を構成するプラズマ処理装置においては、蓋体において上記整合回路の上記出力端子とされる測定位置PRよりもプラズマ処理室側、つまり、この測定位置PRから高周波電力配電体,プラズマ励起電極側のプラズマ処理室の範囲を設定することができる。
ここで、整合回路は、プラズマ処理室内のプラズマ状態等の変化に対応してインピーダンスを調整するために、その多くは複数の受動素子を 具備する構成とされている。
【0057】
図2は整合回路を示す模式図である。
例えば、整合回路としては、図2に示すように、高周波電源1とプラズマ放電用の電極4との間に、コイル23とチューニングコンデンサ24とが直列に設けられ、さらに、高周波電源1には他のロードコンデンサ22が並列に接続され一端がアースされている構成の整合回路2Aが挙げられる。このような整合回路の受動素子のうち、出力最終段の受動素子の出力端子位置で切り離す、つまり、直接電極4側に接続される素子、上記例の場合は、チューニングコンデンサ24の出力端子位置PRで、整合回路2Aを切り離した状態で、これよりも先のプラズマ処理室部分を上記測定範囲とする。
【0058】
図4は測定時における蓋体を示す模式図である。
蓋体の全体容量を計測する場合においても同様にして、図4に示すように、プラズマチャンバから蓋体を取り外した状態で、この出力端子位置PRから電極4の容量成分を計測することにより、ロス容量CX を導出することができる。ここで、ロス容量CX は、後述するように、図5に示すCABC 等の合成容量として求めることができる。
【0059】
または、上記の測定位置に変えて、測定範囲としては、図1に示すように、蓋体において上記高周波電力を供給する際に上記高周波電源および上記整合回路の上記入力端子に接続される上記高周波電力給電体(給電線)の上記高周波電源側端部とされる測定位置PR2よりもプラズマ処理室側、つまり、この測定位置PR2から高周波電力給電体,整合回路,高周波電力配電体,プラズマ励起電極側のプラズマ処理室の範囲を設定することができる。
【0060】
または、上記の測定位置に変えて、測定範囲としては、図1に示すように、蓋体において上記整合回路の上記入力端子とされる測定位置PR3よりもプラズマ処理室側、つまり、この測定位置PR3から整合回路,高周波電力配電体,プラズマ励起電極側のプラズマ処理室の範囲を設定することができる。
【0061】
上記各発明において、上記容量Cxの、時刻t0とその後の時刻t1における値Cx0、Cx1の差ΔCxの絶対値と比較する所定の値に特に制限はないが、例えば、Cx0の10%と設定することができる。この場合、たとえばプラズマCVD装置において、堆積速度の変動を±5%以内に抑えたり、膜厚や絶縁耐圧等の膜特性の膜面内方向におけるばらつきを±5%以内に抑えることができる。
また、より好ましくは、Cx0の3%と設定することができる。この場合、たとえばプラズマCVD装置において、堆積速度の変動を±2%以内に抑えたり、膜厚や絶縁耐圧等の膜特性の膜面内方向におけるばらつきを±2%以内に抑えることができる。
【0062】
また、本発明においては、一つの評価基準(以下「評価基準1」という。)として、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量CXの納入後における値Cx1の値が、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい範囲であるかどうか(上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ce の26倍、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量CXより大きな値の範囲であるかどうか)を用いた。これは、以下の理由による。
すなわち、容量CXの納入後における値Cx1の値が、プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい範囲の値(プラズマ電極容量Ce の26倍が、容量CX より大きな範囲の値)であれば、高周波電源から供給される電流のうち、電極以外への分流分を少なくすることが可能となるため、電力を効率よくプラズマ発生空間に導入することが可能となり、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の増大を図ることができる。その結果、例えば、膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることができる。
この容量(ロス容量)CX は、上述したように機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各実機(各プラズマ処理室あるいは各プラズマ処理装置)ごとに異なっていると考えられる。そしてこのロス容量CX をもとに性能を評価することにより、各実機に対しても、従来考慮されていなかった部分の全般的な電気的高周波的特性を評価することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待しうるかどうかの判断ができる。その結果、動作安定性の高いプラズマ処理装置を維持する上で、適切な性能評価方法と性能管理システムを提供することが可能となる。
【0063】
本発明においては、他の評価基準(以下「評価基準2」という。)として、
納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、所定の値より小さな値の範囲であるかどうかを用い、また、納入後における値CX1の値のばらつきCX1rが、所定の値より小さな値の範囲であるかどうかを用いた。これは、以下の理由による。
すなわち、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ce を、複数あるプラズマ処理室のそれぞれについて測定し、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minを求める。そして、こららの最大値Ce1maxと最小値Ce1min を用いて、ばらつきCe1rを以下の式のように定義する。
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
このCe1rの値が所定の値より小さい値であれば、複数のプラズマ処理室に対し
プラズマ電極容量Ce等の電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、プラズマ電極容量Ceなどを指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマ処理室を設定することが可能となるので、個々のプラズマ処理室において、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一にすることができる。
また、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量CX を、複数あるプラズマ処理室のそれぞれについて測定し、その最大値CX1maxと最小値CX1minを求める。そして、これらの最大値CX1maxと最小値CX1minを用いて、ばらつきCX1r を以下の式のように定義する。
X1r=(CX1max−CX1min)/(CX1max+CX1min
このCX1rの値が所定の値より小さい値であれば、複数のプラズマ処理室に対してロス容量Cx等の電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、ロス容量CXなどを指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマ処理室を設定することが可能となるので、個々のプラズマ処理室において、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一にすることができる。
その結果、複数のプラズマ処理室に対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマ処理室において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。
【0064】
また、本発明においては、上記評価基準1と評価基準2とを組み合わせて用いることができる。この場合、動作安定性の高いプラズマ処理装置を維持する上で、適切な性能評価方法を提供することが可能となると共に、複数のプラズマ処理室に対してプラズマ電極容量Ce、ロス容量CX等の電気的高周波的な特性の機差が小さい状況を維持する上で、適切な性能評価方法を提供することが可能となる。
この場合、プラズマ電極容量Ceの、納入後における値Ce1の値のばらつき
e1rと対比する所定の値に特に制限はないが、例えば、0.1とすることができる。また、上記容量CXの、納入後における値CX1の値のばらつきCX1r と対比する所定の値に特に制限はないが、例えば、0.1とすることができる。
この場合、略同一の条件で積層をおこなったプラズマ装置において、膜厚のばらつきの値を±5%の範囲におさめる等、プラズマ処理の均一性を維持することが可能になる。
【0065】
さらに、上記の所定の値を0.03より小さい範囲に設定することで、複数のプラズマ処理室に対してプラズマ電極容量Ce、ロス容量Cx等の電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、プラズマ電極容量Ce、ロス容量Cxを指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマ処理室を設定することが可能となるので、個々のプラズマ処理室において、プラズマ空間で消費される実効的な電力をそれぞれ略均一にすることができる。
その結果、複数のプラズマ処理室に対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマ処理室において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値を0.03より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなったプラズマ処理室において、膜厚のばらつきの値を±2%の範囲におさめることができる。
【0066】
上記本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システム又はプラズマ処理システムの性能管理システムは、たとえば、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムのメーカー、流通業者、メンテナンス業者等からユーザー等にプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムを納入するに際して、搬送元で分解後、納入先に搬送して、納入先にて再組み立てをするという一連の処理工程を経た後、あるいは、その後の使用期間中のように、時刻t0からある時間が経過した後の時刻t1において、プラズマ処理装置の性能が維持されているかどうかを評価しその性能を管理するシステムである。
本管理システムにおけるサーバーは、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムのメーカー、流通業者、メンテナンス業者等の搬送元が管理するものであるが、その設置場所は搬送元に特に限定されない。このサーバーは容量Cxの分解前の値Cx0を記憶している。そして、この記憶したCx0を用いて、搬入先にあるプラズマ処理装置の性能を評価するものである。また、このサーバーは、プラズマ電極容量Ce の分解前の値Ce0も記憶しているのが好ましい。この場合、この記憶したCe0も用いて、搬入先にあるプラズマ処理装置の性能を評価できる。
【0067】
このCx0等の値は、メーカー等で管理している標準的な容量Cx等の値としても良いが、プラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号毎にCx0 やCe0
等の値を記憶することにより、納入先の個別のプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室に対応して、より的確な評価ができる。従って、より精度の高い管理システムとすることができる。
なお、プラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号とは、プラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室を個別に特定できる番号であれば特に限定はなく、その形式は数字だけでなく文字等を含むものであってもよい。例えば、プラズマ処理室を一つ備えたプラズマ処理装置の場合、当該プラズマ処理装置の製造番号を、当該プラズマ処理室の固有番号として扱うこともできる。
【0068】
サーバーには、納入先に設置された入出力装置が通信回線で接続されている。この通信回線の媒体や形式に特に限定はなく、離間した地点におかれたサーバーと入出力装置との間で信号の授受ができるものであればよい。すなわち、ケーブル回線、光ファイバー回線、衛星回線等の種々の有線や無線の通信媒体を適宜使用できると共に、電話回線網、インターネット網等種々の通信形式を活用できる。また、納入先の入出力装置、入力装置にも特に限定はなく、パーソナルコンピュータ、専用端末機、電話機等を利用する通信回線の種類等に適応できる範囲で適宜選択できる。なお、評価基準2を用いる性能管理システムにおける納入先入力装置では、少なくとも入力機能が必要で、出力機能は必須ではないが、出力機能を備えていても差し支えないのはもちろんである。
【0069】
サーバーは、係る納入先入出力装置から納入後(あるいは再組み立て後)における値Cx1や、値Ce1を受信する。また、必要に応じてプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号を受信する。ここで、納入後とは、再組み立て直後だけでなく、その後の使用期間中を含むものである。すなわち、サーバーは、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能を反映する値Cx1やCe1を、適宜継続して受信できるものである。また、評価基準1を用いる性能管理システムの場合、このサーバーは上記プラズマ電極容量Ce (特にCe0)とロス容量Cx(特にCx0)を記憶している。そして、この記憶したプラズマ電極容量Ce(特にCe0)、ロス容量Cx(特にCx0)を用いて、搬入先にあるプラズマ処理装置の性能を評価するものである。また、上記サーバーは、納入先入出力装置から、ロス容量Cxの納入後における値Cx1や、プラズマ電極容量Ceの納入後における値Ce1を必要に応じて、その値を与えるプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号と共に受信するようにしてもよい。
納入先入出力装置からサーバーに対して、Cx1の値やCe1の値やプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の固有番号を送信するためには、納入先入出力装置に納入先のユーザーや、納入先を訪問したサービスマン等がこれらの値を手で入力することができるが、この入力作業は適宜自動化や省力化が可能である。例えば、納入先入出力装置に、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムに接続された容量を測定する測定器を接続して、この測定器から上記サーバーに、Cx1等を直接送信することができる。また、単独のプラズマ処理室を備えたプラズマ処理装置を単独で使用する納入先においては、プラズマ処理装置の固有番号を一度納入先入出力装置に登録し、その後は入力作業を省略することができる。
【0070】
サーバーは、上記容量Cx0、Cx1の値から、内部の演算処理装置を用いてCx0と、このCx1との差であるΔCxの絶対値を演算する。そして、その値が所定の値より小さい値である場合には、所定の性能を維持している旨の信号を、所定の値以上の値である場合には、所定の性能を維持していない旨の信号を、各々評価情報として納入先入出力装置に発信する。また、サーバーは、納入後における値Cx1の値と、プラズマ電極容量Ce(特に、納入後におけるプラズマ電極容量Ce1 )の値から、内部の演算処理装置を用いてCx1の値と、プラズマ電極容量Ce(特に、納入後におけるプラズマ電極容量Ce1 )の値を比較し、納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ce(特に、納入後におけるプラズマ電極容量Ce1 )の26倍より小さい値である場合には、所定の性能を維持している旨の信号を、納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ce(特に、納入後におけるプラズマ電極容量Ce1 )の26倍以上の値である場合には、所定の性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信する。すなわち、納入先入出力装置は評価情報を受信することができ、これにより、納入先においてプラズマ処理装置あるいはプラズマ処理室の性能評価結果を把握することが可能となる。なお、納入先入出力装置は、評価情報を表示器に表示したり、プリントアウトしたり、あるいは警報信号を発する等、適宜の方法で評価情報をユーザー等に伝達することができる。
【0071】
この場合のサーバーは、また、搬送元において出力装置を備え、ΔCxの絶対値が所定の値を超える場合に、上記出力装置から、評価情報として保守作業命令を出力することができる。この場合、対応するプラズマ処理室の固有番号も併せて出力することが望ましい。これにより、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの不具合を搬送元においていち早く把握し、直ちに保守サービスを提供することができる。また、サーバーは、また、搬送元において出力装置を備え、納入後における値Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合に、上記出力装置から、評価情報として保守作業命令を出力することができる。
なお、サーバーが搬送元におかれていない場合には、サーバーと出力装置との間には任意の通信回線が使用される。
【0072】
サーバーが、納入先入出力装置と搬送元の出力装置との双方に評価情報を提供する場合、両評価情報の基礎となる所定の値は必ずしも同一の値でなくともよい。例えば、納入先入出力装置に発信する評価情報については、所定の値をCxの10%とし、この値を越えたときに所定の性能を維持していない旨の信号を発信し、一方、搬送元の出力装置には、所定の値をCxの3%として、この値を越える場合に保守作業命令を出力するようにしても良い。このように、搬送元の出力装置に対して、納入先入出力装置に対するよりも厳しい評価基準に基づき保守作業命令が出される場合には、納入先のプラズマ処理装置の性能が大きく変動する以前に搬送元による保守サービスを行うことができる。すなわち、より先手を打った保守体制を確立することができる。
【0073】
上記本発明に係る他のプラズマ処理装置の性能管理システムもまた、たとえば、プラズマ処理装置のメーカー、流通業者、メンテナンス業者等からユーザー等にプラズマ処理装置を納入するに際して、搬送元で分解後、納入先に搬送して、納入先にて再組み立てをするという一連の処理工程を経た後、あるいは、その後の使用期間中のように、時刻t0からある時間が経過した後の時刻t1において、プラズマ処理装置の性能が維持されているかどうかを評価しその性能を管理するシステムである。
本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの特徴が、先のプラズマ処理装置の性能管理システムの特徴と異なる点は、サーバーが、各々所定の値の範囲によって決められた故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報とを記憶すると共に、搬送元における出力装置を備える点である。そして、サーバーが、ΔCxの絶対値を演算した後、その値が、何れかの故障レベルの所定の値の範囲である場合には、上記出力装置から、当該故障レベルと、当該故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報と共に、保守作業命令を出力するという処理を行う点にある。
【0074】
この性能管理システムの場合、搬送元では、保守作業命令が出力されると共に、どの程度の故障レベルかや、その故障レベルに応じてランク分けされたサービスエンジニアの情報も出力される。
そのため、この本発明に係る他のプラズマ処理装置の性能管理システムによれば、遠隔地に納入したプラズマ処理装置であっても、搬送元において、その故障レベルを把握することができる。そして、その故障レベルに応じて、教育訓練度合の異なるサービスエンジニアを派遣することができる。従って、人材活用が合理化できると共に、迅速、かつ、的確なサポートが可能となる。すなわち、装置納入後のフィールドサポート体制の合理化が可能となるものである。
【0075】
評価基準2を用いる性能管理システムの場合、サーバーは出力装置を備えている。この出力装置の設置場所に特に限定はないが、搬送元、メーカー、サービスセンター等、納入先に対する保守サービスを提供する場所ににおかれていることが望ましい。サーバーと出力装置とが遠隔地におかれている場合には、両者の間には任意の通信回線が使用される。
そして、このサーバーは、評価基準2を用いて、搬入先にあるプラズマ処理装置の性能を評価すると共に、望ましくない評価結果を得た場合には、出力装置から保守作業命令を、その評価結果に用いられた最大値Ce1max又は最小値Ce1minや最大値CX1max又は最小値CX1minを与えたプラズマ処理室の固有番号と共に出力するものである。
【0076】
この場合、サーバーは評価基準2による評価を行うために、納入先入力装置から高周波特性としてのロス容量CXの納入後における値CX1 やプラズマ電極容量Ce の、納入後における値Ce1を受信する。ここで、納入後とは、再組み立て直後だけでなく、その後の使用期間中を含むものである。すなわち、サーバーは、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能を反映するCe1値や、このCe1と全体容量CTから算出できるCx1を適宜継続して受信できるものである。
また、上記サーバーは、納入先入力装置から、高周波特性としてのCXの納入後における値CX1や、プラズマ電極容量Ce の納入後における値Ce1と共に、その値を与えるプラズマ処理室あるいはプラズマ処理装置の固有番号も受信する。
【0077】
サーバーは、プラズマ処理装置全体、又はプラズマ処理システム全体におけるプラズマ処理室のCX1を総て受信すると、それらの値の中から、最大値CX1maxと最小値CX1minと、これらに対応する固有番号を特定する。そして、
X1r=(CX1max−CX1min)/(CX1max+CX1min
との定義に従い、ばらつきCX1rを求め、その値が所定の値以上の場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値CX1max又は最小値CX1minを与えたプラズマ処理室あるいはプラズマ処理装置の固有番号と共に出力する。
また、サーバーは、プラズマ処理装置全体、又はプラズマ処理システム全体におけるプラズマ処理室のCe1を総て受信すると、それらの値の中から、最大値Ce1 maxと最小値Ce1minと、これらに対応する固有番号を特定する。そして、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
との定義に従い、ばらつきCe1rを求め、その値が所定の値以上の場合に、上記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Ce1max又は最小値Ce1minを与えたプラズマ処理室あるいはプラズマ処理装置の固有番号と共に出力する。
これにより、納入先のプラズマ処理装置やプラズマ処理システムの不具合を搬送元等のサービス提供者側でいち早く把握し、直ちに保守サービスを提供することができる。なお、各プラズマ処理室のCX1は、対応するプラズマ処理室のCeと全体容量CTから計算することができる。
【0078】
また、本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムにおいて、販売保守者がアップロードした各プラズマ処理室ユニットの動作性能状況を示す性能状況情報に対して、購入発注者が情報端末から公衆回線を介して閲覧を可能とすることにより、購入発注者に対して、購入後の使用時における、プラズマ処理装置の動作性能・保守情報を容易に提供することが可能となる。また、上記性能状況情報が、上述したようにプラズマ処理装置に対する性能パラメータとしてのプラズマ電極容量Cxと、上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ce を含むことにより、購入発注者のプラズマ処理装置に対する性能判断材料を提供することが可能となる。さらに、上記性能状況情報を、カタログまたは仕様書として出力することができる。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は本実施形態のプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図、図2は図1におけるプラズマ処理装置の整合回路を示す模式図、図3は図1における蓋体を示す模式図である。
【0080】
本実施形態のプラズマ処理装置は、CVD( chemical vapor deposition)、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなう1周波数励起タイプのプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)75とされ、プラズマを励起するための平行平板型電極4,8が設けられ、この電極4に接続された高周波電源1と、プラズマチャンバ75と高周波電源1とのインピーダンス整合を得るための整合回路2Aとを具備する構成とされる。
同時に、本実施形態のプラズマ処理装置は、後述するように、平行平板型電極4,8のプラズマ電極容量Ce の26倍が、上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量(ロス容量)CX より大きな範囲の値に設定されて設計、製造されている。そして、分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後の使用期間においても、その時のCX1(時刻t0の後の時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)が、CX1と、CX0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値) との差ΔCXの絶対値がCX0の10%より小さい値となるように維持されている。
【0081】
さらに詳細に説明すると、本実施形態のプラズマ処理装置は、プラズマチャンバ75は、図1〜図3に示すように、チャンバ室(プラズマ処理室)60の上部位置に高周波電源1に接続されたプラズマ励起電極(電極)4およびシャワープレート5が設けられ、チャンバ室60の下部にはシャワープレート5に対向して被処理基板16を載置するサセプタ電極(対向電極)8が設けられている。プラズマ励起電極4は、給電板(高周波電力配電体)3,整合回路2A,高周波電力供給電体(給電線)1Aを介して高周波電源1と接続されている。これらプラズマ励起電極4および給電板3は、シャーシ21に覆われるとともに、整合回路2Aは導電体からなるマッチングボックス2の内部に収納されている。
給電板3としては、例えば、幅50〜100mm、厚さ0.5mm、長さ100〜300mmの形状を有する銅の表面に銀めっきを施したものが用いられており、この給電板3は後述する整合回路2Aのチューニングコンデンサ24の出力端子、およびプラズマ励起電極4にそれぞれネジ止めされている。
【0082】
また、プラズマ励起電極(カソード電極)4の下側には凸部4aが設けられるとともに、このプラズマ励起電極(カソード電極)4の下には、多数の孔7が形成されているシャワープレート5が凸部4aに接して設けられている。これらプラズマ励起電極4とシャワープレート5との間には空間6が形成されている。この空間6にはガス導入管17が接続されている。
このガス導入管17は、導体からなるとともに、ガス導入管17の途中には絶縁体17aがシャーシ21内側位置に介挿されてプラズマ励起電極4側とガス供給源側とが絶縁される。
【0083】
ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の多数の孔7,7からチャンバ壁10により形成されたチャンバ室60内に供給される。チャンバ壁10とプラズマ励起電極(カソード電極)4とは絶縁体9により互いに絶縁されている。また、図1において、チャンバ室60に接続される排気系の図示は省略してある。
一方、チャンバ室60内には基板16を載置しプラズマ励起電極ともなる盤状のウエハサセプタ(サセプタ電極)8が設けられている。
【0084】
チャンバ壁10の上端部分は、その全周にわたってチャンバ壁上部10aとして分離可能とされており、このチャンバ壁上部10aとチャンバ壁10との間には図示しないOリング等の密閉手段が設けられてチャンバ室60内部の密閉を維持可能となっている。このチャンバ壁上部10aはシャーシ21側壁の下端部と接続されており、チャンバ壁上部10aとシャーシ21は直流的に同電位となっている。
図3に示すように、チャンバ壁上部10a,プラズマ励起電極4,シャワープレート5,絶縁体9,シャーシ21,ガス導入管17は、一体として,チャンバ壁10,サセプタ電極8等の下部構造から分離可能とされる蓋体19を構成しており、蓋体19は例えば図示しないヒンジ等の開放手段により、チャンバ壁10に対して回動してチャンバ室60を開放可能な構造とされている。
【0085】
サセプタ電極(対向電極)8の下部中央には、シャフト13が接続され、このシャフト13がチャンバ底部10Aを貫通して設けられるとともに、シャフト13の下端部とチャンバ底部10A中心部とがベローズ11により密閉接続されている。これら、ウエハサセプタ8およびシャフト13はベローズ11により上下動可能となっており、電極4,8間の距離の調整ができる。
これらサセプタ電極8とシャフト13とが接続されているため、サセプタ電極8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10,チャンバ壁上部10aは直流的に同電位となっている。さらに、チャンバ壁10とチャンバ壁上部10aとシャーシ21は接続されているため、チャンバ壁10,チャンバ壁上部10a,シャーシ21,マッチングボックス2はいずれも直流的に同電位となっている。
【0086】
ここで、整合回路2Aは、チャンバ室60内のプラズマ状態等の変化に対応してインピーダンスを調整するために、その多くは複数の受動素子を具備する構成とされている。
整合回路2Aは、図1,図2に示すように、複数の受動素子として、高周波電源1と給電板3との間に、コイル23とチューニングコンデンサ24とが直列に設けられ、これらコイル23とチューニングコンデンサ24とには、並列にロードコンデンサ22が接続され、このロードコンデンサ22の一端はマッチングボックス2に接続されている。ここで、チューニングコンデンサ24は給電板3を介してプラズマ励起電極4に接続されている。
マッチングボックス2は、同軸ケーブルとされる給電線(高周波電力供給電体)1Aのシールド線に接続されており、このシールド線が直流的にアースされている。これにより、サセプタ電極8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10,シャーシ21,マッチングボックス2は接地電位に設定されることになり、同時に、ロードコンデンサ22の一端も直流的にアースされた状態となる。
【0087】
ここで、本実施形態のプラズマチャンバ75におけるプラズマ電極容量Ce とロス容量CX について説明する。
図4はプラズマチャンバ75のロス容量CX を説明するための模式図であり、図5は、図4の等価回路を示す回路図である。
【0088】
プラズマ電極容量Ce は、平行平板型とされるプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間の容量であり、電極4,8の面積とこれら電極4,8間の距離とにより規定される。
一方、ロス容量CX は、プラズマ励起電極4からサセプタ電極8以外に流れる電流に対する容量成分の総和であり、すなわち、プラズマ励起電極4と、直流的にアースされた各接地電位部との間の容量である。ここで、各接地電位部とは、サセプタ電極8以外のアース電位にあるプラズマチャンバ75の各部であり、シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10,チャンバ壁上部10a,シャーシ21,マッチングボックス2,ガス導入管17,を意味するものであるが、ロス容量CX としてプラズマ励起電極4に対向する部分として、具体的には図4に示すように、ガス導入管17,シャーシ21,チャンバ壁上部10aを考慮する。
すると、ロス容量CX としては、絶縁体17aを挟んだプラズマ励起電極4とガス導入管17との間の容量CA 、プラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CB 、プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の容量CC の和として定義される。
つまり、図4に示すように、蓋体19をプラズマチャンバ75から電気的に分離した状態において、この蓋体19におけるプラズマ励起電極4からサセプタ電極8以外に流れる電流に対する容量成分の和をロス容量CX と見なすことができる。
【0089】
実際には、図3に示すように、チャンバ壁10から分離した蓋体19において上記整合回路2Aの出力端子とされる測定位置PRから測定した容量がロス容量CX とされる。ここで、「分離」とはヒンジ等により蓋体19を回動させること等によりチャンバ室60を開放した状態を示しており、これは、蓋体とチャンバ壁10とが物理的に接続されていないことも含んでいるが、主に、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との容量が非計測状態となっていることを意味するものである。
本実施形態における蓋体19における測定範囲としては、整合回路2Aの受動素子のうち出力最終段の受動素子の出力端子位置で切り離した状態をその対象とする。つまり、図4に示すように、給電板3に接続されるチューニングコンデンサ24の出力端子位置PRで、給電板3と整合回路2Aの端子との接合部つまりネジ止めを外して整合回路2Aを切り離した状態の蓋体19を測定範囲とする。
【0090】
そして図4に破線で示すように、高周波特性測定器ANのプローブ105を、切り離した出力端子位置PRおよび蓋体19の例えばシャーシ21とされるアース位置に接続する。このプローブ105は、図4に示すように、導線110上に絶縁被覆112を設け、この絶縁被覆112上に外周導体111を被覆してなるものである。このプローブ105は同軸ケーブルを通してインピーダンス測定器(高周波特性測定器)ANに接続されている。ここで、プローブ105は、導線110を出力端子位置PRに、また、外周導体111をシャーシ21の上面中央とされるアース位置に接続する。なお、本実施形態では高周波特性測定器ANとして、インピーダンス測定器を用いたが、測定周波数固定のLCRメーターや、容量測定機能付きのテスタを用いてもよい。
これにより、図5に示すように、ロス容量CX として、以下の電気的高周波的要因が計測できる。
絶縁体17aを挟んだプラズマ励起電極4とガス導入管17との間の容量CA
プラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CB
プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の容量CC
【0091】
本実施形態のプラズマチャンバ75においては、このように定義されたロス容量CX とプラズマ電極容量Ce とが、プラズマ電極容量Ce の26倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるように設定する。
ここで、ロス容量CX とプラズマ電極容量Ce とが上記の関係を満たすように設定する方法としては、例えば、
▲1▼プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との距離、面積等を調整する。
▲2▼プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとのオーバーラップ面積を調整する。
▲3▼プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の絶縁材の材質を調節する。
▲4▼プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の絶縁材の厚さを調整する。
▲5▼プラズマ励起電極4とシャーシ21との距離、面積等を調整する。
▲6▼ガス導入管17に挿入した絶縁体17aの材質を調整する。
▲7▼ガス導入管17に挿入した絶縁体17aの長さを調整する。
等の手法を適用することができる。
【0092】
本実施形態のプラズマ処理装置(プラズマチャンバ)75においては、蓋体19をチャンバ壁10に接続するとともに、整合回路2A,マッチングボックス2,給電線1A,高周波電源1をそれぞれ所定の場所に接続し、高周波電源1により13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の電力を投入して、両電極4,8の間でプラズマを生成し、このプラズマにより、サセプタ電極8に載置した基板16にCVD( chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうことができる。
このとき、高周波電力は、高周波電源1から給電線1Aの同軸ケーブル,整合回路2A,給電板3,プラズマ励起電極(カソード電極)4に供給される。一方、高周波電流の経路を考えた場合、電流はこれらを介してプラズマ空間(チャンバ室60)を経由した後、さらにもう一方の電極(サセプタ電極)8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10,チャンバ壁上部10aを通る。その後、シャーシ21,マッチングボックス2,給電線1Aのシールド線を通り、高周波電源1のアースに戻る。
【0093】
ここで、プラズマ発光時に供給される高周波電流が流れる回路に対して、考慮される電気的高周波的要因は、図6,図7に示すように、上記測定範囲のうち、以下のものが考えられる。
給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rf
プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce
シャフト13のインダクタンスLC および抵抗RC
ベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RB
チャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA
絶縁体17aを挟むガス導入管17とプラズマ励起電極4との間の容量CA
プラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CB
プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の容量CC
【0094】
これらの電気的高周波的要因が、図5に示すように、給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rf 、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce 、シャフト13のインダクタンスLC および抵抗RC 、ベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RB 、チャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA 、が順に直列に接続されてその終端の抵抗RA がアースされるとともに、抵抗Rf とプラズマ電極容量Ce との間に、容量CA ,容量CB ,容量CC の一端がアースされた状態でそれぞれ並列に接続された等価回路を形成しており、この等価回路において、高周波電源1から供給された電流I は、概略、図8に示すように、プラズマ電極容量Ceに投入されるプラズマ電流Ieと、それ以外の部分に分流してしまうロス電流IX とに分けられる。
=Ie+IX (14)
【0095】
プラズマチャンバ75の回路においては、上述のように、プラズマ電極容量Ce の26倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるように設定されていることにより、プラズマ励起電極4,サセプタ8間のインピーダンスに比べて、プラズマ励起電極4,各接地電位部17,21,10aのインピーダンスが大きくなる。これは、虚数単位をj(j2 =−1)、角振動数をω(ω=2πfe ;fe は電力周波数)とすると、インピーダンスZ(Ω)が容量Cに対して以下の式(11)、
Z ∝ −j/ωC (11)
で示される関係を満たしているため、容量を定義することにより、上記の様にインピーダンスを設定することが可能なためである。その結果、電流IはインピーダンスZ(Ω)に反比例するために、プラズマ電流Ieに比べてロス電流IX の分流が増加することを抑制することができる。
従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数fe の電力を投入した場合であっても、プラズマ発生空間に投入されるプラズマ電流Ie を増大することが可能となる。
【0096】
そして、 上記のように定義されたロス容量CXがプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい範囲の値に設定されてなる(プラズマ電極容量Ce の26倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値に設定されてなる)ことにより、高周波電源1から供給される電流I のうち、電極4,8以外への分流分をコントロールすることが可能となるため、電力を効率よくチャンバ室60のプラズマ発生空間に導入することが可能となり、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の上昇を図ることができる。その結果、膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることを可能とすることができる。上記の範囲に、プラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX を設定することにより、各実機に対しても、従来考慮されていなかった部分の全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性の高いプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
その結果、プラズマ発生空間に投入されるプラズマ電流Ie に対してプラズマチャンバ(プラズマ処理室ユニット)の他の各接地電位部に分流してしまうロス電流IX を削減して、プラズマ発生空間に投入される電力が目減りすることを防止し、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の上昇を図ることができる。
【0097】
さらに、プラズマ空間で消費される実効的な電力の上昇により、被処理基体16における膜面内方向におけるプラズマ処理の均一性の向上を図ることができ、成膜処理においては膜厚の膜面内方向分布の均一性の向上を図ることが可能となる。
同時に、プラズマ空間で消費される実効的な電力の上昇により、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態の向上、すなわち、堆積した膜における絶縁耐圧や、エッチング液に対する耐エッチング性、そして、いわゆる膜の「固さ」つまり膜の緻密さ等の膜特性の向上を図ることが可能となる。
ここで、膜の緻密さは例えば、BHF液によるエッチングに対する浸食されにくさ、耐エッチング性によって表現可能である。
【0098】
さらに、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べてプラズマ空間で消費される実効的な電力の上昇を図ることができるため、電力の消費効率を向上し、同等の処理速度もしくは膜特性を得るために、従来より少ない投入電力ですむようにできる。したがって、電力損失の低減を図ること、ランニングコストの削減を図ること、生産性の向上を図ることができる。同時に、処理時間を短縮することが可能となるため、プラズマ処理時において放出される二酸化炭素の総量を削減することが可能となる。
【0099】
そして、プラズマ電極容量Ce の26倍が、上記のように定義された容量(ロス容量)CX より大きな範囲の値になるようにCe0 が設定されて設計、製造されている。そして、本プラズマ処理装置が分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後それが使用され被処理物のプラズマ処理が行われても、さらには、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されても、その時のCX1(時刻t0の後の時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)が、CX1と、CX0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値) との差ΔCXの絶対値がCX0の10%より小さい値となるように維持されている。そのために、もし、ΔCXの絶対値がCx0の10%以上となった場合は是正作業が行われる。
ここで、上記CX1を是正する方法としては、例えば、
▲1▼プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との距離、面積等を調整する。
▲2▼プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとのオーバーラップ面積を調整する。
▲3▼プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の絶縁材の材質を調節する。
▲4▼プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の絶縁材の厚さを調整する。
▲5▼プラズマ励起電極4とシャーシ21との距離、面積等を調整する。
▲6▼ガス導入管17に挿入した絶縁体17aの材質を調整する。
▲7▼ガス導入管17に挿入した絶縁体17aの長さを調整する。
等の手法を適用することができる。
【0100】
本実施形態のプラズマ処理装置においては、分解、搬送、再組み立て、その後の使用(プラズマ処理)、あるいは調整作業が施された後においても、CX1が、CX1とCX0との差ΔCXの絶対値がCX0の10%より小さい値となるように維持されている。そのため、ある時間が経過する間に、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で、電気的高周波的な特性の差をなくすことが可能となり、これにより、ロス容量CXを指標とする一定の管理幅内に本装置のプラズマチャンバ75の状態を維持することが可能となるので、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一に維持することができる。
【0101】
その結果、上記のような電気的高周波的な特性に影響を与える可能性のある事象があった場合にも、その時間の前後で同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、プラズマチャンバ75において例えばある時間を隔てて成膜をおこなった際に、経過した時間の前後で、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略同等な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のΔCxの絶対値がCx0の10%より小さい値に維持することにより、時間の経過にかかわらず、すなわち、分解、搬送、再組み立てや使用回数、調整作業等の存在にかかわらず、略同一の条件で積層をおこなったプラズマチャンバCNにおいて、堆積速度の変動を5%以内に抑えたり、膜厚や絶縁耐圧等の膜特性の膜面内方向におけるばらつきを5%以内に抑えることができる。
そのため、従来考慮されていなかったプラズマ処理装置の全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、プラズマチャンバ75で均一な動作が期待できるプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
さらに、プラズマ処理室60を複数備えたプラズマ処理装置、あるいはプラズマ処理装置(プラズマチャンバ)75を複数備えたプラズマ処理システムとして構成した場合には、複数のプラズマ処理室60や、複数のプラズマチャンバ75間においても、同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果が得られる状態を維持することが可能となる。
これにより、膨大なデータから外部パラメータと実際の基板を処理するような評価方法による処理結果との相関関係によるプロセス条件の把握を不必要とすることができる。
【0102】
したがって、処理のばらつきをなくし同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間を、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合に比べて、ロス容量(高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量)CXを測定することにより、大幅に短縮することができる。しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理装置の評価を、しかも、プラズマ処理装置のプラズマチャンバ75が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマ処理室60や、複数のプラズマチャンバ75を有するプラズマ処理装置の場合についても、結果をほぼ同時に得ることができる。このため、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。また、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0103】
なお、図9に示すように、それぞれのインピーダンスが一致する複数本の導線101a〜101hの一端をプローブ取付具104に接続してなるフィクスチャを使用してプラズマチャンバ75の蓋体19における高周波数特性としてロス容量CX を測定することも可能である。
プローブ取付具104は、例えば50mm×10mm×0.5mmの銅板を、締め付け部106とリング部とができるように成形されている。リング部は上記高周特性測定器ANのプローブ105の外側にはめ込み可能な径とされる。このプローブ取付部104に導線101a〜101hの一端をハンダ付けなどにより電気的に接続する。
導線101a〜101hの他端には、測定対象(プラズマチャンバ75)との着脱用の端子(圧着端子)102a〜102hが取り付けられている。
このフィクスチャを使用するに際してはプローブ取付具104のリング状部をプローブ105にはめ込み、締め付け部106で締め付けを行う。一方各導線101a〜101hは略点対称となるように圧着端子102a〜102hにおいて測定対象に、図10に示すように、ねじ114により着脱自在にねじ止めする
導体101a〜101hは、例えばアルミニウム、銅、銀、金により構成すればよく、または、銀、金を50μm以上メッキして構成してもよい。
【0104】
このようなフィクスチャを使用して容量CXを測定する方法を、図1、図9、及び図10を用いて説明する。
まず測定するプラズマチャンバ75において、高周波電源1とマッチングボックス2をプラズマチャンバ75から取り外す。そして、蓋体19を測定範囲とする場合に、この蓋体19をチャンバ壁10から取り外す。測定具ANのプローブ105の導線110を給給電板3に接続する。次いでフィクスチャの導線101a〜101hに接続する圧着端子102a〜102hをプラズマチャンバ75(蓋体19)のシャーシ21に給電板3を中心とする略点対称となるようにネジ114によってネジ止めする。フィクスチャをこのように配置した後、測定信号を測定具ANの導線110に供給し、プラズマチャンバ75(蓋体19)の給電板3からプラズマ空間(プラズマ処理室)60を経てシャーシ21に至る経路のインピーダンスを測定する。
これにより、測定対象の大きさ、あるいは、測定する2点間の距離に制約を与えることなく、かつ、測定対象に均一に電流を流すことができ、測定対象のインピーダンスを測定するのに影響を及ぼさない残留インピーダンス値を設定し、より正確にインピーダンス測定をおこなうことができる。従って、高周波数特性としてのプラズマ電極容量Ce およびロス容量CX をより正確に測定することができる。
また、本実施形態のプラズマ処理装置は、高周波特性全般でなく、特に、容量に着目しているので、安価な測定器の利用が可能である。
【0105】
なお、本実施形態においては、プラズマチャンバ75において、サセプタ電極側8に基板16を載置してプラズマ励起電極4に対するプラズマ電極容量Ce およびロス容量CX を設定したが、カソード電極4側に基板16を取り付けるよう対応することも可能である。
【0106】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第2実施形態]
図11は本実施形態のプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)の概略構成を示す断面図、図12は図11における蓋体を示す模式図である。
【0107】
本実施形態のプラズマ処理室ユニットは、2周波励起タイプのプラズマ処理装置とされ、図1〜図4に示した第1実施形態のプラズマチャンバ75と異なるのはサセプタ電極8側にも高周波電力を供給する点、高周波特性測定用端子61およびその付近の構成に関する点、および、プラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX の設定に関する点である。それ以外の対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0108】
本実施形態のプラズマチャンバ95は、図11に示すように、サセプタ電極8の周囲にサセプタシールド12が設けられ、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、これらの隙間がシャフト13の周囲の設けられた電気絶縁物からなる絶縁手段12Cによって真空絶縁されるとともに電気的にも絶縁されている。また、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、ベローズ11により上下動可能に構成されている。この構成により、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間の距離が調整可能となっている。また、サセプタ電極8は、シャフト13下端に接続された給電板28、および、導電体からなるサセプタ電極側マッチングボックス26内部に収納された整合回路25を介して第2の高周波電源27と接続されている。
給電板28は、サセプタシールド12の支持筒12B下端に接続されたシャーシ29に覆われており、このシャーシ29は、同軸ケーブルとされる給電線27Aのシールド線によって接続されたマッチングボックス26とともにアースされている。これにより、サセプタシールド12,シャーシ29,マッチングボックス26は直流的に同電位となっている。
【0109】
ここで、整合回路25は、第2の高周波電源27とサセプタ電極8との間のインピーダンスの整合を図るものとされ、この整合回路25としては、図11に示すように、複数の受動素子として、第2の高周波電源27と給電板28との間に、チューニングコイル30とチューニングコンデンサ31とが直列に設けられ、これらと並列にロードコンデンサ32が接続され、このロードコンデンサ32の一端はマッチングボックス26に接続されており、上記整合回路2Aと略同様の構成とされている。マッチングボックス26は給電線27Aのシールド線を介して接地電位に設定されており、同時に、ロードコンデンサ32の一端がアースされている。なお、チューニングコイル30と直列にチューニングコイルを接続することや、ロードコンデンサ32と並列にロードコンデンサを設けることも可能である。
給電板28としては給電板3と同様なものが適用され、この給電板28は整合回路25からの端子およびシャフト13にそれぞれネジ止めされている。
【0110】
本実施形態のプラズマチャンバ95は、平行平板型電極4,8のプラズマ電極容量Ce の5倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるように、CX0 が設定されて設計、製造されている。
そして、分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後の使用期間においても、その時のCX1(時刻t0の後の時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)が、CX1と、CX0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値) との差ΔCXの絶対値がCX0の10%より小さい値となるように維持されている。
【0111】
本実施形態のプラズマチャンバ95の測定範囲としては、図11,図12に示す測定位置PRよりもプラズマ励起電極4側とされ、この測定範囲における、整合回路2Aの受動素子のうち出力最終段の受動素子の出力端子位置のチューニングコンデンサ24の出力端子位置である測定位置PRより配電体3側には、図13,図14に示すように、上記プラズマチャンバ95のインピーダンス測定用端子(高周波特性測定用端子)61が設けられている。この測定用端子61は、第1実施形態で測定位置PRとされた配電体3入力端子位置とされる分岐点Bから、導体によってシャーシ21の外部までのびている。
そして、整合回路2Aの出力端子位置PR付近に、上記整合回路2Aと上記高周波特性測定用端子(インピーダンス測定用端子)61とを切り替えるスイッチとして、整合回路2Aと給電板3との間に設けられるスイッチSW1と、測定用端子61と給電板との間に設けられるスイッチSW2とが設けられている。
【0112】
ここで、スイッチSW2を上記高周波特性測定用端子(インピーダンス測定用端子)61側に接続した場合における高周波特性測定用端子(インピーダンス測定用端子)61側からのインピーダンス特性と、スイッチSW1を整合回路2A側に接続した場合における整合回路2Aの出力端子位置PR側からのインピーダンス特性と、が等しく設定される。つまり、図11に示すように、スイッチSW1付近のインピーダンスZ1 とスイッチSW2付近のインピーダンスZ2 とが等しく設定される。
これは、スイッチSW1を整合回路2A側に接続してスイッチSW2を開いた場合における整合回路2Aの出力端子とされる測定位置PR側つまり測定位置PRからスイッチSW2への分岐点BまでのインピーダンスZ1 と、上記スイッチSW2を測定用端子61側に接続してスイッチSW1を開いた場合における高周波特性測定用端子(インピーダンス測定用端子)61側つまり高周波特性測定用端子(インピーダンス測定用端子)61からスイッチSW1への分岐点BまでのインピーダンスZ2 とが等しく設定されるということを意味している。
【0113】
高周波特性測定用端子(インピーダンス測定用端子)61には、図11,図12に示すように、高周波数特性測定器(インピーダンス測定器)ANのプローブが着脱自在に接続されている。このプローブには、同時に、プラズマチャンバ95の例えばシャーシ21とされるアース位置に着脱自在に接続されている。
【0114】
本実施形態のプラズマチャンバ95においては、スイッチSW1を閉じるとともに、スイッチSW2を開いた状態において、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、第1、第2の高周波電源1,27からプラズマ励起電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともに、ガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ室60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16に対して成膜等のプラズマ処理をおこなう。このとき、第1の高周波電源1から13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の電力を投入する。そして、第2の高周波電源27からも第1の高周波電源1からと同等か、異なる周波数の電力、例えば1.6MHz程度の電力を投入することもできる。
【0115】
ここで、本実施形態のプラズマチャンバ95における高周波特性としてのプラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX を第1実施形態と同様にして測定・定義する。本実施形態のプラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX は、具体的には図5、図13に示すように測定・定義される。
図13は図11の本実施形態のプラズマチャンバ95のプラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX 測定用の等価回路を示す回路図である。また、本実施形態のプラズマ処理装置の蓋体19において、プラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX 測定用の等価回路を示す回路図は、第1実施形態で示した図5と同様である。
【0116】
本実施形態のプラズマチャンバ95の測定範囲としては、測定位置PRからみたプラズマチャンバ95における蓋体19の状態をその対象とする。これは、図11に示すように、スイッチSW1付近のインピーダンスZ1 とスイッチSW2付近のインピーダンスZ2 とが等しく設定されたことで、測定用端子(インピーダンス測定用端子)61からみた状態のプラズマチャンバ95の蓋体19を測定範囲とした際の高周波数特性(インピーダンス特性)に等しいものとなっている。
ここで、高周波特性測定時において、整合回路2Aを電気的に切り離すためには機械的に整合回路2Aおよびマッチングボックス2等を着脱する必要のあった第1実施形態に対して、本実施形態では、図11、図12に示すように、高周波特性測定時において、スイッチSW1によって切断されている整合回路2Aは測定範囲に含まれず、測定範囲外とすることができるためで、これにより、プラズマチャンバ95の蓋体19における高周波特性を測定することが容易になる。そして、第1実施形態における測定範囲に対して、配電体3の入力端子位置とされた分岐点Bと直列に接続された測定用端子(インピーダンス測定用端子)61,スイッチSW2を含んで測定範囲とすることができる。
【0117】
このとき、測定範囲とされるプラズマチャンバ95に対して、考慮されている電気的高周波的要因は、図13に示すように、以下のものが考えられる。
スイッチSW2のインダクタンスLSWおよび抵抗RSW
給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rf
プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce
整合回路25からの寄与
サセプタ電極8とサセプタシールド12との間の容量CS
サセプタシールド12の支持筒12BのインダクタンスLC および抵抗RC
ベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RB
チャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA
絶縁体17aを挟んでガス導入管17とプラズマ励起電極4との間の容量CA
プラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CB
プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の容量CC
【0118】
ここで、第1実施形態における測定範囲と比べるとスイッチSW2が加わっているが、これは、プラズマ発光時にはスイッチSW1は閉じた状態となっている、つまり、インピーダンス特性に対するスイッチSW1の寄与が存在していることに対応している。すなわち、このスイッチSW1付近のインピーダンスZ1 と等しいインピーダンスZ2 を有するスイッチSW2付近を含んで上記測定範囲とすることにより、測定用端子(インピーダンス測定用端子)61からみたプラズマチャンバ95の測定範囲を、実際にプラズマ発光時に高周波電流の流れる回路状態に近づけて高周波数特性測定の正確性をより向上することが可能となる。
【0119】
そして、高周波数特性測定器(インピーダンス測定器)ANに接続された図9に示したプローブ105を測定用端子61およびプラズマチャンバ95の例えばシャーシ21とされるアース位置に接続する。この状態で、スイッチSW2を閉じるとともに、スイッチSW1を開いた状態に設定して、高周波数特性測定器ANによりプラズマチャンバ95の蓋体19における高周波特性としてロス容量CX を測定する。
図12に示すように、蓋体19をチャンバ壁10から電気的に分離した状態において、この蓋体19におけるプラズマ励起電極4に生じる容量成分をロス容量CX と見なすことができる。
【0120】
ロス容量CX は、プラズマ励起電極4からサセプタ電極8以外に流れる電流に対する容量成分の総和であり、すなわち、プラズマ励起電極4と、直流的にアースされた各接地電位部との間の容量である。ここで、各接地電位部とは、サセプタ電極8以外のアース電位にあるプラズマチャンバ95の各部であり、サセプタシールド12,支持筒12B,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁1,チャンバ壁上部10a,シャーシ21,マッチングボックス2,絶縁体17aからガス供給源側のガス導入管17,高周波電力供給電体(給電線)1Aのシース線等を意味するものであるが、ロス容量CX に関与する部分としてプラズマ励起電極4に対向する要素としては、具体的には、図4に示した第1実施形態と同様に、ガス導入管17,シャーシ21,チャンバ壁上部10aを考慮する。
すると、ロス容量CX としては、プラズマ励起電極4と絶縁体17aを挟んだガス導入管17との間の容量CA 、プラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CB 、プラズマ励起電極4とチャンバ壁上部10aとの間の容量CC の和として定義される。
【0121】
ついで、平行平板型とされるプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間の容量であり、電極4,8の面積とこれら電極4,8間の距離とにより規定されるプラズマ電極容量Ce を、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との寸法等から規定する。
【0122】
本実施形態のプラズマチャンバ75においては、このように定義されたロス容量CX とプラズマ電極容量Ce との関係として、プラズマ電極容量Ce の5倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるように設定する。
ここで、ロス容量CX とプラズマ電極容量Ce とが上記の関係を満たすように設定する方法としては、例えば、第1実施形態で述べた▲1▼〜▲7▼等の手法を適用することができる。
【0123】
さらに、本実施形態においては、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce を、プラズマ発光空間における実効的な電極間の距離δにより設定する。
【0124】
図14は、プラズマ発光状態における電極間の状態を示す模式図である。
まず、図14に示すように、この対向する平行平板型とされるプラズマ励起電極4,サセプタ電極8間の距離をdとし、この電極4,8間の距離方向においてそれぞれの電極4,8と発光時のプラズマとの距離の和をδとする。つまり、プラズマ発光時に目視できるプラズマ発光領域Pとプラズマ励起電極4との間のプラズマ発光していない部分の距離をδa 、プラズマ発光領域Pとサセプタ電極8との間のプラズマ発光していない部分の距離をδb としたときに、式(6)に示すようにこれらの和をδとする。
δa +δb = δ (6)
ここで、電極4,8間の距離dと、電極4,8間においてプラズマの発光していない部分の距離の和δとから、実際にプラズマ発光状態における電極4,8間のモデル的な容量Ce"が求められる。
【0125】
プラズマ発光時における平行平板電極4,8は、その間にあるプラズマ発光領域Pが導体として見なせるため、あたかも、電極4,8間の距離がδになったようにみなすことができる。その結果、プラズマ発光時の平行平板電極4,8間の容量Ce"は、電極4,8間の距離に反比例するため、非プラズマ発光時に容量Ce だったものが、プラズマ発光時には見かけ上d/δ倍になる。
Figure 0003670206
【0126】
従って、このプラズマ発光時のプラズマ電極容量Ce"の5倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるように設定することもできる。
つまり、プラズマ電極容量Ce の5×d/δ倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるように設定することもできる。
これにより、より一層のプラズマ発光時における電力消費効率の向上を図ることが可能となる。
【0127】
上記のように定義されたプラズマ電極容量Ce あるいはプラズマ発光時のプラズマ電極容量Ce"の5倍(プラズマ電極容量Ce の5×d/δ倍)が、上記のように定義された容量(ロス容量)CX より大きな範囲の値になるようにCe0 が設定されて設計、製造されている。そして、本プラズマ処理装置(プラズマチャンバ)が分解搬送後、納入先において再組み立てした後においても、さらに、その後それが使用され被処理物のプラズマ処理が行われても、さらには、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されても、その時のCX1(時刻t0の後の時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)が、CX1と、CX0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値) との差ΔCXの絶対値がCX0の10%より小さい値となるように維持されている。そのために、もし、ΔCXの絶対値がCe0の10%以上となった場合は是正作業が行われる。
ここで、上記CX1を是正する方法としては、例えば、第1実施形態で述べた▲1▼〜▲7▼等の手法を適用することができる。
【0128】
本実施形態においては、第1実施形態と同等の効果を奏するとともに、測定用端子61に高周波数特性測定器ANを着脱自在に接続するとともに、スイッチSW1,SW2を設け、これらのインピーダンスZ1 とインピーダンスZ2 とを等しく設定することで、プラズマチャンバ95と整合回路2Aを着脱することなく、スイッチSW1,SW2切り替えのみにより、高周波特性の測定、特に、プラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX の測定を容易におこなうことが可能となる。
さらに、本実施形態において、プラズマ電極容量Ce の5倍が、容量(ロス容量)CX より大きな範囲の値に設定されてなることにより、同一の条件として、処理速度、膜の面内方向の均一性、膜特性を得るために必要な電力を従来に比べて削減することが可能となり、省電力化をはかり、ランニングコストの低減を図ることができる。ここで、成膜時においては、処理速度は堆積速度、膜の面内方向の均一性としては膜厚や膜特性、膜特性としては絶縁耐圧等が対応する。
【0129】
なお、本実施形態においては、2つのスイッチSW1およびスイッチSW2を設ける構成としたが、分岐点から出力端子位置PRまでと分岐点からプローブまでのインピーダンスが等しく設定されていれば、よく、例えば1つのスイッチによりこれらの接続を切り替え可能とすることもできる。
また、本実施形態においては、本願発明を平行平板型電極4,8を有するタイプのプラズマ処理装置に適用した場合について説明したが、平行平板型電極4,8を有するタイプに代えてICP(inductive coupled plasma)誘導結合プラズマ励起型、RLSA(radial line slot antenna)ラジアルラインスロットアンテナ型などのプラズマ処理装置や、RIE(Riactive Ion Etching)反応性スパッタエッチング用の処理装置に適用することもできる。
なお、電極4,8に替えて、ターゲット材を取り付けることにより、プラズマ処理としてスパッタリングをおこなうことも可能である。
【0130】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムを第3実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第3実施形態]
図15は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図、図16は、同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【0131】
図15に示す性能管理システムは、サーバー210と、納入先の入出力装置220と、これらサーバー210と入出力装置220とを接続する通信回線230と、サーバー210に接続された搬送元の出力装置240とから構成されている。
【0132】
サーバー210は、プラズマ処理装置のメーカー、流通業者、メンテナンス業者等の搬送元が管理するもので、その設置場所も搬送元とすることが望ましい。また、このサーバー210は、同時に複数の納入先の入出力装置220に対してサービスを提供するための高速な処理能力を持った計算機と、多様なサービスと納入先のプラズマ処理装置に関する情報を格納するための大容量記憶装置を備えたものであることが望ましい、具体的には、大型計算機、高性能ワークステーション等がよい。
サーバー210は、計算機211およびこれに接続された記憶装置212と、通信回線230と接続するための送受信手段213とから構成されている。また、このサーバー210に、搬送元に設置された出力装置240が接続されている。
【0133】
また、納入先の入出力装置220は、納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等が利用するもので、納入先に設置されるか、又は納入先に携帯されて利用される。この入出力装置は通信回線230を利用してサーバー210と信号の授受を行えるものであれば特に限定はなく、具体的にはパーソナルコンピュータ、専用端末機、電話機等が利用できる。
納入先入出力装置220は、本体221、および通信回線230と接続するための送受信手段223とから構成されている。
【0134】
通信回線230は、その媒体や形式に特に限定はなく、離間した地点におかれたサーバー210と入出力装置220との間で信号の授受ができるものであればよい。すなわち、ケーブル回線、光ファイバー回線、衛星回線等の種々の有線や無線の通信媒体を適宜使用できると共に、電話回線網、インターネット網等種々の通信形式を活用できる。
【0135】
以下、図15を参照しながら、図16のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、納入先に納入された、あるいは使用中のプラズマ処理装置について、高周波特性としての値Cx1(時刻t0の後の時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)、値Ce1(時刻t0の後の時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量の値)を測定し、この値を入出力装置220から入力する(ステップ301)。
この入力されたCx1の値は、通信回線230を通じてサーバ210に送信される。
【0136】
これに対しサーバ210は、記憶装置212に格納された基準となる高周波特性としてのCX0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)と、Ce0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量の値)の情報500を呼び出し、これら値に基づき、CX0とCx1との差の絶対値|ΔCX|を計算する(ステップ302)。
なお、基準となる高周波特性としてのロス容量CX0は、プラズマ処理装置を納入先に搬送するに先立ち分解をする前に、搬送元で設定した高周波特性値であって、例えば平行平板型電極4,8のプラズマ電極容量Ce の26倍が、ロス容量CX より大きい範囲の値になるようにような関係を満たすCX0 であり(Cx0は、上記プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい範囲の値になるような関係を満たす値)、より好ましくはプラズマ電極容量Ce の7倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるようにような関係を満たすCX0 、さらに好ましくはプラズマ電極容量Ce の5倍が、ロス容量CX より大きな範囲の値になるようにような関係を満たすCX0である。
【0137】
次にサーバ210は、|ΔCX|とCX0とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、|ΔCX|がCX0の10%より小さい値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、|ΔCX|がCX0の10%以上の値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する(ステップ303)。
【0138】
次にサーバ210は、上記性能評価の結果を納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ304)。
この内、入出力装置220に対しては、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、音声信号を送信したりする。具体的には、所定の性能を維持していると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますので、そのままご使用ください。」といったメッセージを、所定の信号を維持していないと判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されていない恐れがありますので、取扱説明書に従い調整をお願いします。」といったメッセージを、プリントアウト、画面表示、音声等で顧客やサービスマン等に伝えられるようにする。
また、出力装置240に対しても、所定の信号を維持していないと判断した場合に、プリントアウトや画面表示、信号出力等の指令信号を送信したり、あるいは、警報音発生信号を送信したりする。
そして、出力装置240から、プリントアウト、画面表示、信号出力、あるいは警報音等の保守作業命令を出力する。
なお、搬送元において、いずれの納入先のどの装置が保守を必要としているかを判断するために、入出力装置220からプラズマ処理室の固有番号を受信し、これを出力装置240から出力することが望ましいが、入出力装置220の固有番号、例えばアドレス番号や電話番号等から判断して、その判断結果を出力装置240から出力してもよい。
【0139】
この結果、納入先の顧客や納入先を訪問したサービスマン等は、プラズマ処理装置を実際に動作させて成膜された基板を検査するという作業を行うことなく、直ちに当該プラズマ装置の性能を評価することができる。
しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理装置の評価を、しかも、プラズマ処理装置(プラズマチャンバ)75あるいは95が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマチャンバあるいは複数のプラズマ処理室を有するプラズマ処理装置の場合についても、結果をほぼ同時に得ることができる。
このため、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。また、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0140】
また、搬送元のメーカー等においては、納入先のプラズマ処理装置に問題が生じた場合には、保守作業命令を受けて直ちにこれを知ることができるので、顧客に対するアフタサービス体制を充実させることができる。
【0141】
なお、本実施形態のように、サーバー210が、納入先の入出力装置220と搬送元の出力装置240との双方に評価情報を提供する場合、両評価情報の基礎となる所定の値は必ずしも同一の値でなくともよい。例えば、納入先入出力装置に発信する評価情報については、所定の値をCX0の10%とし、この値を越えたときに所定の性能を維持していない旨の信号を発信し、一方、搬送元の出力装置には、所定の値をCX0の3%として、この値を越える場合に保守作業命令を出力するようにしても良い。このように、搬送元の出力装置に対して、納入先入出力装置に対するよりも厳しい評価基準に基づき保守作業命令が出される場合には、納入先のプラズマ処理装置の性能が大きく変動する以前に搬送元による保守サービスを行うことができる。すなわち、より先手を打った保守体制を確立することができる。
【0142】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの他の実施形態を第4実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第4実施形態]
図17は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図、図18は、同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。なお、両図において、図15及び図16と同一の構成要素には、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0143】
図17に示す性能管理システムは、サーバー210と、納入先の入出力装置220と、これらサーバー210と入出力装置220とを接続する通信回線230と、サーバーに接続された搬送元の出力装置240とに加えて、プラズマ処理装置250に接続された容量を測定する測定器260とから構成されている。
【0144】
本実施形態では、容量測定器260の出力端子が入出力装置220に接続され、容量測定器260で測定されたプラズマ測定装置250の高周波特性としての容量Cxが、入出力装置220及び通信回線230を介して、人手による入力作業を経ることなく、直接サーバー210に送信されるようになっている。また、入出力装置220は、プラズマ処理室の固有番号Sの入力を受けると、容量測定器260の測定結果を読みとるようにプログラムされている。
【0145】
以下、図17を参照しながら、図18のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、予め容量測定器260を入出力装置220に接続した上で、納入先に納入された、あるいは使用中のプラズマ処理装置について、プラズマ処理室の固有番号Sを入出力装置220から入力する。このとき、プラズマ処理室の高周波特性としての容量の値CX1(時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)、値Ce1(時刻t0の後の時刻t1における上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量の値)の測定値が、入出力装置220のプログラムに従い、自動的に容量測定器260から入出力装置220に入力される。(ステップ401)。
この入力された固有番号S及びCx1及びCe1の値は、通信回線230を通じてサーバー210に送信される。
【0146】
これに対しサーバー210は、記憶装置212に格納された高周波特性としての容量の値Cx0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値)、値Ce0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量の値)の情報の中から、固有番号Sに対応する固有Cx0やCe1情報600を呼び出し、この値に基づき、Cx0とCx1との差の絶対値|ΔCx|を計算する(ステップ402)。
ここで、固有Cx0、Ce1は、固有番号Sと1対1の関係で記憶装置212に格納されたもの、すなわち、各々のプラズマ処理室毎に設定した、あるいは、製造時等に実際に測定した個別の高周波特性としての容量の値Cx0、値Ce1である。
【0147】
次にサーバー210は、|ΔCx|とCx0とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、|ΔCx|がCx0の10%より小さい値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、|ΔCx|がCx0の10%以上の値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する(ステップ403)。
【0148】
次にサーバー210は、上記性能評価の結果を納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ404)。
この内、入出力装置220に対しては、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、音声信号を送信したりする。具体的には、所定の性能を維持していると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますので、そのままご使用ください。」といったメッセージを、所定の信号を維持していないと判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されていない恐れがありますので、取扱説明書に従い調整をお願いします。」といったメッセージを、プリントアウト、画面表示、音声等で顧客やサービスマン等に伝えられるようにする。
また、サーバー210は、出力装置240に対しても、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、警報音発生信号を送信したりする。具体的には、所定の信号を維持していないと判断した場合に、保守作業命令を送信する。なお、搬送元において、いずれの納入先のどの装置が保守を必要としているかを判断するために、サーバー210から出力装置240に対してプラズマ処理室の固有番号も同時に提供される。
【0149】
本実施形態のプラズマ処理装置の管理システムにおいては、第3実施形態と同等の効果を奏するとともに、固有番号S毎に実際の値を記憶することで、より精密な管理が可能となる。また、出力装置240に保守作業命令と共に固有番号240の情報が提供されるので、搬送元において、何れのプロセス処理装置に問題が生じたか、あるいは何れのプロセス処理装置のいずれのプロセス処理室に問題が生じたか等を直ちに把握できる。
なお、複数のプラズマ処理室を備えたプラズマ処理装置やプラズマ処理装置を複数備えたプラズマ処理システムにおいては、各々のプラズマ処理室の動作条件を揃え、同一のプロセスレシピで同等の成膜特性を得るために、同等の高周波特性を設定することが望ましい。そのため、固有Cx0やCe1は、プロセス処理室間でバラツキなく設定することが望ましいが、納入先の事情等種々の要因により他のプロセス処理装置と大きく異なるCx0やCe1を設定しても差し支えない。
【0150】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの他の実施形態を第5実施形態として説明する。
[第5実施形態]
本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成もまた、第4実施形態の図17で示される。
本実施形態と第5実施形態との構成上の相違は、サーバー210が、エンジニア情報601として、各々所定の値の範囲によって決められた故障レベルを含む状態レベルと、故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報を記憶しているものである点である。表1は、エンジニア情報601の一例を示すものである。
【0151】
【表1】
Figure 0003670206
【0152】
以下、図17を参照しながら、図19のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。図19のフローチャートにおけるステップ501及びステップ502は、各々図18のステップ401、402と同一なのでその説明を省略する。
【0153】
ステップ502で|ΔCx|を求めた後、サーバー210は、|ΔCx|をエンジニア情報601に照らして、どの状態レベルにあるかを評価する。そして、|ΔCx|のレベルが、いずれかの故障レベルであると評価した際は、当該故障レベルに対応してエンジニア情報601に登録されているサービスエンジニアの情報を呼び出す。(ステップ503)。
【0154】
次にサーバー210は、上記性能評価の結果として、状態レベルを納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ504)。
この内、入出力装置220に対しては、状態レベル(故障レベル)をプリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、音声信号を送信したりすることにより発信する。
具体的には、状態レベルは「最良」であると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますので、そのままご使用ください。」といったメッセージを、状態レベルは「良」であると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますが、そろそろ点検が必要です。」といったメッセージを、状態レベルが何れかの故障レベルであると判断した場合には、例えば「ご照会の装置は、故障レベル2に該当します。性能が適切に維持されていない恐れがありますので、サービスエンジニアに調整を依頼してください。」といったメッセージを、プリントアウト、画面表示、音声等で顧客やサービスマン等に伝えられるようにする。
また、サーバー210は、出力装置240に対しては、状態レベルがいずれかの故障レベルに該当する場合、状態レベルだけでなく、当該故障レベルに対応したサービスエンジニアの情報と共に保守作業命令を出力する。
【0155】
本実施形態のプラズマ処理装置の管理システムによれば、搬送元において、保守作業命令が出力されると共に、どの程度の故障レベルかや、その故障レベルに応じてランク分けされたサービスエンジニアの情報も出力される。
そのため、このシステムによれば、遠隔地に納入したプラズマ処理装置であっても、搬送元において、その故障レベルを把握することができる。そして、その故障レベルに応じて、教育訓練度合の異なるサービスエンジニアを派遣することができる。従って、人材活用が合理化できると共に、迅速、かつ、的確なサポートが可能となる。すなわち、装置納入後のフィールドサポート体制の合理化が可能となるものである。
本管理システムの対象となるプラズマ処理装置に特に限定はなく、第1、2実施形態において示したプラズマ処理装置又は、後述する第9、10の実施形態において示したプラズマ処理装置又は第11の実施形態において示したプラズマ処理システムにおけるプラズマ処理装置等も対象となる。
【0156】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムの実施形態を第6実施形態として、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、購入発注者を単に発注者、また販売保守者を単に保守者という。
[第6実施形態]
図20は本実施形態のプラズマ処理装置の性能確認システムのシステム構成図である。
この図において、参照符号C1 ,C2 ,……はクライアント・コンピュータ(以下、単にクライアントという)、Sはサーバー・コンピュータ(性能状況情報提供手段,以下単にサーバーという)、Dはデータベース・コンピュータ(基準情報記憶手段,以下単にデータベースという)、またNは公衆回線である。クライアントC1 ,C2 ,……とサーバーSとデータベースDとは、この図に示すように公衆回線Nを介して相互に接続されている。
【0157】
クライアントC1 ,C2 ,……は、一般に広く普及しているインターネットの通信プロトコル(TCP/IP等)を用いてサーバーSと通信する機能(通信機能)を備えたものである。このうち、クライアントC1 (発注者側情報端末)は、発注者が保守者に発注したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムのプラズマチャンバの性能状況を公衆回線Nを介して確認するためのコンピュータであり、サーバーSが保持する「プラズマチャンバの性能情報提供ページ」を情報提供ページ(Webページ)として閲覧する機能(プラズマチャンバの性能状況情報閲覧機能)を備えたものである。また、クライアントC2 (保守者側情報端末)は、保守者が上記「性能状況情報」の一部である「CX0情報(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量の値情報)」や「Ce0(時刻t0における上記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量の値情報)」をサーバーSにアップロードするとともに、クライアントC1 を介して発注者から発せられた電子メールを受信するためのものである。
ここで、プラズマ処理装置又はプラズマ処理システムは、上記の第1〜第2実施形態に準じる構成とされるとともに、チャンバ数等の構成条件は、任意に設定可能なものとされる。
【0158】
上記サーバーSの通信機能は、公衆回線Nがアナログ回線の場合にはモデムによって実現され、公衆回線NがISDN(Integrated Services Digital Network)等のデジタル回線の場合には専用ターミナルアダプタ等によって実現される。 サーバーSは、性能状況情報提供用のコンピュータであり、上記クライアントC1 から受信される閲覧要求に応じて、性能状況情報をインターネットの通信プロトコルを用いてクライアントC1 に送信する。ここで、上述した発注者が保守者からプラズマ処理装置を納入された時点では、性能状況情報を閲覧するための個別の「閲覧専用パスワード」が保守者から個々の発注者に提供されるようになっている。このサーバーSは、正規な閲覧専用パスワードが提供された場合のみ、性能状況情報のうち動作保守状況情報をクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0159】
ここで、具体的詳細については後述するが、上記「性能状況情報」は、保守者の販売するプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおけるプラズマチャンバの機種に関する情報、各機種における仕様書としての品質性能情報、納入された各実機における品質性能を示すパラメータの情報、および、このパラメータ、メンテナンスの履歴情報等から構成されている。
このうち、各実機における品質性能、パラメータ、メンテナンスの履歴情報については、「閲覧専用パスワード」が提供された発注者のみに閲覧可能となっている。
【0160】
また、これら「性能状況情報」は、保守者または発注者からサーバーSに提供されるとともに実際の動作・保守状況を示す「動作保守状況情報」と、データベースDに蓄積されると共にカタログとして未購入のクライアントが閲覧可能な「性能基準情報」とから構成されるものである。「性能基準情報」は、保守者が各プラズマチャンバによっておこなうプラズマ処理に対して客観的に性能を記述するためのものであり、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態を予測可能とするものである。
【0161】
本実施形態では、これら「性能基準情報」は、データベースDに蓄積されるようになっている。
サーバーSは、クライアントC1 から受信される「性能状況情報」の閲覧要求に対して、データベースDを検索することにより必要な「性能基準情報」を取得して、「性能状況情報提供ページ」として発注者のクライアントC1 に送信するように構成されている。また、サーバーSは、「閲覧専用パスワード」が提供された発注者から受信される「性能状況情報」の閲覧要求に対しては、同様に、データベースDを検索することにより必要な「性能基準情報」を取得するとともに、当該「性能基準情報」にクライアントC2 を介して保守者から提供された「動作保守状況情報」を組み合わせて「性能状況情報」を構成し、「性能状況情報提供ページ」として発注者のクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0162】
データベースDは、このような「性能状況情報」を構成する「性能基準情報」をプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムのプラズマチャンバの機種毎に記憶蓄積するものであり、サーバーSから受信される検索要求に応じてこれら「性能基準情報」を読み出してサーバーSに転送する。図20では1つのサーバーSのみを示しているが、本実施形態では、汎用性のある「性能基準情報」を保守者が複数箇所から管理する複数のサーバー間で共通利用することが可能なように、これらサーバーとは個別のデータベースDに「性能基準情報」を蓄積するようにしている。
【0163】
次に、このように構成されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの性能確認システムの動作について、図21に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。なお、このフローチャートは、上記サーバーSにおける「性能状況情報」の提供処理を示すものである。
【0164】
通常、保守者は、不特定の発注者に対して販売するプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバの「性能状況情報」、特に「性能基準情報」を購入時の指標として提示することになる。一方、発注者は、この「性能基準情報」によってプラズマチャンバにどのような性能、つまりどのようなプラズマ処理が可能なのかを把握することができる。
【0165】
また、保守者は、特定の発注者に対して納入したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおけるプラズマチャンバの「性能状況情報」のうち、「性能基準情報」を使用時の指標として提示するとともに、「動作保守状況情報」を動作状態のパラメータとして提示することになる。一方、ユーザーとしての発注者は、「性能基準情報」と「動作保守状況情報」とを比較することによってプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバの動作確認をおこなうとともにメンテナンスの必要性を認識し、かつ、プラズマ処理状態の状態を把握することができる。
【0166】
例えば、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムを保守者から購入しようとする発注者は、サーバーSにアクセスすることにより、以下のようにして自らが購入しようとするプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの「性能状況情報」の実体を容易に確認することができる。
【0167】
まず、発注者がアクセスしようとした場合には、予め設定されたサーバーSのIPアドレスに基づいてクライアントC1 からサーバーSに表示要求が送信される。
一方、サーバーSは、上記表示要求の受信を受信すると(ステップS1)、カタログページCPをクライアントC1 に送信する(ステップS2)。
図22は、このようにしてサーバーSからクライアントC1 に送信されたカタログページのメインページの一例である。このカタログページCPには、保守者が販売する多数の機種毎にその「性能状況情報」のうち「性能基準情報」を表示するための機種選択ボタンK1,K2,K3,K4…、と、後述するように、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムを保守者から納入された発注者の使用するカスタマーユーザ画面の表示要求をするためのカスタマーユーザボタンK4から構成されている。
【0168】
例えば、発注者がクライアントC1 に備えられたポインティングデバイス(例えばマウス)等を用いることによって上記プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの機種を選択指定した後、機種選択ボタンK1〜K4…のいずれかを選択指定すると、この指示は、「性能状況情報」のうち「性能基準情報」の表示要求としてサーバーSに送信される。
【0169】
この表示要求を受信すると(ステップS3)、サーバーSは、選択された機種のうち、表示要求された情報に該当するサブページをクライアントC1 に送信する。すなわち、サーバーSは、「性能基準情報」の表示が要求された場合(A)、図23に示すような選択された機種を指定することによってデータベースDから「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータ、およびこれらのデータにおけるプラズマ処理装置またはプラズマ処理システム毎の、各パラメータのばらつきの値のデータを取得し、これらの掲載された仕様書ページCP1をクライアントC1 に送信する(ステップS4)。
【0170】
仕様書ページCP1には、図23に示すように、選択された機種を示す機種種別K6、真空性能表示欄K7、給排気性能表示欄K8、温度性能表示欄K9、プラズマ処理室電気性能表示欄K10から構成されている。これらは、選択された機種のプラズマチャンバにおける「性能基準情報」に対応するものであり、例えば、それぞれ、
真空性能表示欄K7には、
到達真空度 1×10-4Pa以下
操作圧力 30〜300Pa
給排気性能表示欄K8には、
Figure 0003670206
排気特性 500SCCM流して20Pa以下
温度性能表示欄K9には、
ヒータ設定温度 200〜350±10℃
チャンバ設定温度 60〜80±2.0℃
の項目が記載されている。
ここで、SCCM(standard cubic centimeters per minute) は、標準状態(0℃、1013hPa)に換算した際におけるガス流量を表しており、cm3/min に等しい単位を表している。
【0171】
そしてこれらのパラメータPに対して、それぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバ毎のばらつきを、それぞれのパラメータPのうちその最大値Pmax と最小値Pmin のばらつきを、以下の式(10B)
(Pmax −Pmin )/(Pmax +Pmin ) (10B)
として定義し、これらのばらつきの値の各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける設定範囲をそれぞれのパラメータの項目に対して表示する。
【0172】
また、プラズマ処理室電気性能表示欄K10には、前述した第1〜第2実施形態のプラズマ処理装置又は後述する第9、10の実施形態のプラズマ処理装置又は第11の実施形態のプラズマ処理システムにおけるプラズマ処理装置で説明したプラズマ励起電極4とサセプタ電極8間のプラズマ電極容量Ce プラズマ励起電極4と直流的にアースされた各接地電位部との間のロス容量CX の値、及びこの設定範囲とプラズマ電極容量Ce との関係等値が記載される。 また、これ以外にも、共振周波数f、高周波電力の周波数におけるインピーダンスZ、プラズマチャンバのレジスタンスRおよびリアクタンスX等が記載される。共振周波数fとしては、高周波電力を供給する際に整合回路の出力端に接続される高周波電力配電体の端部で測定したプラズマ処理室の第1直列共振周波数f0や、上記電極と協働してプラズマを発生する対向電極との容量によって規定される直列共振周波数を採用したりすることができる。また、プラズマ処理室電気性能表示欄K10には、上記以外にも、上記第1直列共振周波数f0の設定範囲と電力周波数feとの関係等が記載される。
また、仕様書ページCP1には、「プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの納入時においては各パラメータ値がこのページに記載された設定範囲内にあることを保証します」という性能保証の文言が記載される。
【0173】
これにより、従来は、考慮されていなかったプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの全体的な電気的高周波的な特性およびプラズマチャンバの電気的特性のばらつきを購入時の新たなる指標として提示することができる。また、クライアントC1 またはクライアントC2 において、これら性能状況情報をプリンタ等に出力しハードコピーを作ることにより、上記の性能状況情報内容の記載されたカタログまたは仕様書として出力することが可能である。さらに、第1直列共振周波数 、レジスタンスR、アクタンスX、プラズマ電極容量Ce 、容量(ロス容量)CX 等の値および上記性能保証の文言をクライアントC1 …の端末、カタログまたは仕様書等に提示することにより、発注者が、電機部品を吟味するようにプラズマチャンバの性能を判断して保守者から購入することが可能となる。
【0174】
なお、サーバーSは、このようなサブページのクライアントC1 への送信が完了した後に、クライアントC1 から接続解除要求が受信されない場合は(ステップS5)、次のサブページの表示要求を待って待機し(ステップS3)、一方、クライアントC1 から接続解除要求が受信された場合には(ステップS5)、当該クライアントC1 との交信を終了する。
【0175】
また、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムを保守者から納入した発注者は、サーバーSにアクセスすることにより、以下のようにして自らが購入したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおけるプラズマチャンバの「性能状況情報」の実体を容易に確認することができる。
この発注者は保守者と売買契約を締結した時点で、発注者個別に対応するとともに、購入したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの機種番号、およびそれぞれのプラズマチャンバの機種番号にも対応可能なカスタマーユーザIDと、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの「動作保守状況情報」を閲覧するための個別の「ユーザー専用パスワード(閲覧専用パスワード)」が保守者から個々の発注者に提供されるようになっている。このサーバーSは、正規な閲覧専用パスワードが提供された場合のみ、「動作保守状況情報」をクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0176】
まず、発注者がアクセスしようとした場合には、前述のカタログページCPにおいて、カスタマーユーザボタンK5を指定操作することにより、発注者はカスタマーユーザ画面の表示要求をサーバーSに送信する。
一方、サーバーSは、上記表示要求の受信を受信すると(ステップS3−B)、当該発注者に対して、「閲覧専用パスワード」の入力を促す入力要求としてのサブページをクライアントC1 に送信する(ステップS6)。図24はカスタマーユーザページCP2を示すものであり、このカスタマーユーザページCP2はカスタマーユーザID入力欄K11、およびパスワード入力欄K12から構成される。
【0177】
この入力要求としてのカスタマーユーザページCP2はクライアントC1 に表示されるので、発注者は、当該入力要求に応答してプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの識別を可能とするために、保守者から供与された「閲覧専用パスワード」を「カスタマーユーザID」とともにクライアントC1 に入力することになる。
ここで、発注者は、図24に示すカスタマーユーザID入力欄K11およびパスワード入力欄K12に、それぞれ、カスタマーコードIDとパスワードを入力する。サーバーSは、クライアントC1から正規の「カスタマーユーザID」および「閲覧専用パスワード」が受信された場合のみ(ステップS7)、当該「閲覧専用パスワード」に予め関連付けられた「動作保守状況情報」のサブページをクライアントC1 に送信する(ステップS9)。
【0178】
すなわち、「動作保守状況情報」の閲覧は、上記プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの購入契約を締結した特定の発注者のみ、つまり正規の「閲覧専用パスワード」を知り得るもののみに許可されるようになっており、当該発注者以外の第3者がサーバーSにアクセスしても「動作保守状況情報」を閲覧することができない。通常、保守者は同時に多数の発注者との間で納入契約を締結するとともに、各々の発注者へ複数のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの納入を同時に並行して行う場合があるが、上記「閲覧専用パスワード」は、個々の発注者毎および各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバ毎に相違するものが提供されるので、個々の発注者は、各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバに対して、それぞれ自らに提供された「閲覧専用パスワード」に関連付けられた「動作保守状況情報」を個別に閲覧することができる。
【0179】
したがって、納入に係わる秘密情報が発注者相互間で漏洩することを確実に防止することができるとともに、複数のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムが納入された場合にでもそれぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバを個別に識別可能とすることができる。なお、サーバーSは、正規の「閲覧専用パスワード」が受信されない場合には(ステップS7)、接続不許可メッセージをクライアントC1 に送信して(ステップS8)、発注者に「閲覧専用パスワード」を再度入力するように促す。発注者が「閲覧専用パスワード」を誤入力した場合には、この機会に正規の入力を行うことにより「動作保守状況情報」を閲覧することができる。
【0180】
このID、パスワードが確認されると(ステップS7)、サーバーSは、表示要求された情報に該当するサブページをデータベースDから読み出してクライアントC1 に送信する。すなわち、サーバーSは、ユーザIDによって識別された個別のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバに対する「性能基準情報」「動作保守状況情報」の表示が要求された場合、機種を指定することによってデータベースDから「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータを取得し、これらの掲載された仕様書ページのサブページCP3をクライアントC1 に送信する(ステップS9)。
【0181】
図25は、このようにしてサーバーSからクライアントC1 に送信された「動作保守状況情報」のサブページCP3である。このサブページとしてのメンテナンス履歴ページCP3には、図25に示すように、納入されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの機械番号を示すロット番号表示K13、真空性能表示欄K7、給排気性能表示欄K8、温度性能表示欄K9、プラズマ処理室電気性能表示欄K10、そして、真空性能メンテナンス欄K14、給排気性能メンテナンス欄K15、温度性能メンテナンス欄K16、プラズマ処理室電気性能メンテナンス欄K17から構成されている。これらは、納入された実機の「性能基準情報」および「動作保守状況情報」に対応するものであり、例えば、それぞれ、
真空性能表示欄K7、真空性能メンテナンス欄K14には、
到達真空度 1.3×10-5Pa以下
操作圧力 200Pa
給排気性能表示欄K8、給排気性能メンテナンス欄K15には、
Figure 0003670206
排気特性 6.8×10-7Pa・m3/sec
温度性能表示欄K9、温度性能メンテナンス欄K16には、
ヒータ設定温度 302.3±4.9℃
チャンバ設定温度 80.1±2.1℃
の項目が記載されている。
【0182】
そしてこれらのパラメータPに対して、それぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバ毎のばらつきを、それぞれのパラメータPのうちその最大値Pmax と最小値Pmin のばらつきを、以下の式(10B)
(Pmax −Pmin )/(Pmax +Pmin ) (10B)
として定義し、これらのばらつきの値の各プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける設定範囲をそれぞれのパラメータの項目に対して表示する。
【0183】
さらに、このサブページCP3には、各プラズマチャンバ毎のメンテナンス欄を表示するための「詳細」ボタンK18が各メンテナンス履歴欄K14,K15,K16,K17ごとに設けられ、発注者が、当該情報を閲覧可能となっている。
【0184】
発注者が、当該詳細欄により表示要求をおこなった場合には、メンテナンス履歴の詳細情報の記載されたメンテナンス詳細ページCP4がデータベースDからクライアントC1 に送信する。
【0185】
図26は、このようにしてサーバーSからクライアントC1 に送信された「詳細メンテナンス情報」のメンテナンス詳細ページのサブページCP4である。
図には電気性能メンテナンスのページを示している。
このメンテナンス詳細ページCP4には、図26に示すように、納入されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびその各プラズマチャンバの機械番号を示すロット番号表示K13、選択された各メンテナンス欄が表示される。ここで、各メンテナンス欄としては、各プラズマチャンバに対応するパラメータPのメンテナンス時の値と、これらのパラメータPのばらつきの値とが、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システム、および、各プラズマチャンバ毎のロット番号毎に表示される。
【0186】
また、プラズマ処理室電気性能表示欄K10およびプラズマ処理室電気性能メンテナンス欄K17には、前述した第1〜第2実施形態のプラズマ処理装置又は後述する第9、10の実施形態のプラズマ処理装置又は第11の実施形態のプラズマ処理システムにおけるプラズマ処理装置で説明したプラズマ励起電極4とサセプタ電極8間のプラズマ容量Ce 、電極4と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量(ロス容量)CX、この設定範囲とプラズマ容量Ceとの関係が記載される。また、これ以外にも、電力周波数fe におけるプラズマチャンバのレジスタンスRおよびリアクタンスX、そして、第1直列共振周波数f0 の値、および、この設定範囲と電力周波数fe との関係等の値が記載される。
【0187】
同時に、データベースDから「性能基準情報」としての「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータを取得し、これらを図25,図26に示すように、「動作保守状況情報」とセットでメンテナンス履歴ページCP3、メンテナンス詳細ページCP4に表示することにより、「性能基準情報」を参照して「動作保守状況情報」を閲覧することができ、これにより、発注者は、納入されたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびプラズマチャンバの「性能状況情報」のうち、「性能基準情報」を使用時の指標として確認するとともに、「動作保守状況情報」を動作状態を示すパラメータとして検討することができる。同時に、「性能基準情報」と「動作保守状況情報」とを比較することによってプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびプラズマチャンバの動作確認をおこなうとともにメンテナンスの必要性を認識し、かつ、プラズマ処理状態の状態を把握することができる。
【0188】
なお、サーバーSは、このようなサブページCP3、CP4のクライアントC1 への送信が完了した後に、クライアントC1 から接続解除要求が受信されない場合は(ステップS5)、接続不許可メッセージをクライアントC1 に送信して(ステップS8)、発注者に「閲覧専用パスワード」を再度入力するか、次のサブページの表示要求を待って待機し(ステップS3)、一方、クライアントC1 から接続解除要求が受信された場合には(ステップS5)、当該クライアントC1 との交信を終了する。
【0189】
本実施形態のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの性能確認システムにおいて、購入発注者が販売保守者に発注したプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムの動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、販売保守者が上記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、上記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段と、を具備することができ、さらに、上記性能状況情報が、上記ロス容量Cx およびこのパラメータに対して、それぞれのプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムにおける各プラズマチャンバ毎のばらつきの値を含むとともに、上記性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されることにより、販売保守者がアップロードしたプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびそのプラズマチャンバの性能基準情報および動作保守状況情報からなる性能状況情報に対して、購入発注者が情報端末から公衆回線を介して閲覧を可能とすることにより、発注者に対して、購入時に判断基準となる情報を伝達することが可能となり、かつ、使用時における、プラズマ処理装置またはプラズマ処理システムおよびそのプラズマチャンバごとの動作性能・保守情報を容易に提供することが可能となる。
また、上記性能状況情報が、上述したようにプラズマチャンバに対する性能パラメータとしての上記ロス容量Cx およびそのばらつきの値や、プラズマ電極容量Ceおよびそのばらつきの値を含むことにより、発注者のプラズマ処理装置またはプラズマ処理システムその各プラズマチャンバに対する性能判断材料を提供できるとともに、購入時における適切な判断をすることが可能となる。さらに、上記性能状況情報を、カタログまたは仕様書として出力することができる。
本性能確認システムの対象となるプラズマ処理装置に特に限定はなく、第1、2実施形態において示したプラズマ処理装置又は後述する第9、10の実施形態において示したプラズマ処理装置又は第11の実施形態において示したプラズマ処理システムにおけるプラズマ処理装置等も対象となる。
【0190】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法を第7実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第7実施形態]
本実施形態の性能評価方法の対象となるプラズマ処理装置としては図1乃至図8を用いて説明した第1実施形態のプラズマ処理装置が用いられる。
上記第1実施形態で説明した方法と同様にして測定・定義したロス容量CXの納入後における値Cx1の値が、高周波電源1の接続された電極4と対となり協働してプラズマを発生する電極8との間のプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値の範囲になるかどうか(プラズマ電極容量Ce の26倍がロス容量CXの納入後における値Cx1 より大きい値になるかどうか)により、所望の性能を維持しているか否かが判断される。すなわち、ロス容量CXの納入後における値Cx1の値が、電極4と電極8との間のプラズマ電極容量Ce の26倍以上の値である場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。そして、所望の性能が維持できていないと判断した場合には、ロス容量CXの納入後における値Cx1の値が、電極4と電極8との間のプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値の範囲になるように、ロス容量CX1を是正する措置をとることができる。
【0191】
ここで、上記CX1を是正する方法としては、例えば、第1実施形態で説明した▲1▼〜▲7▼等の手法を適用することができる。
本実施形態の性能評価方法においては、プラズマチャンバ75のロス容量CXの納入後における値Cx1の値が、電極4と電極8との間のプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値の範囲(プラズマ電極容量Ce の26倍がロス容量CXの納入後における値Cx1 より大きい値の範囲)にする是正作業が可能となることにより、従来は、考慮されていなかったプラズマチャンバ75の全体的な電気的高周波的な特性を適正な範囲に収めることができる。
これにより、動作安定性を向上して、従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数の電力を投入した場合であっても、高周波電源1からの電力を、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ発生空間に効率よく導入することが可能となる。同時に、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べて、プラズマ空間で消費される実効的な電力を大きくし、生成するプラズマ密度の上昇を図ることができる。その結果、プラズマ励起周波数の高周波化による処理速度の向上を図ること、つまり、プラズマCVD等により膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることができる。
【0192】
さらに、本実施形態の性能評価の結果、適切な是正作業が施されれば、プラズマ空間に効率よく電力が供給されることにより、プラズマの不要な広がりも抑制でき、被処理基体16における膜面内方向におけるプラズマ処理の均一性の向上を図ることができ、成膜処理においては膜厚の膜面内方向分布の均一性の向上を図ることが可能となる。
同時に、高い電力を投入することによりプラズマポテンシャルを低くすることができ、イオンによるダメージを抑制できるので、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態の向上、すなわち、堆積した膜における絶縁耐圧や、エッチング液に対する耐エッチング性、そして、いわゆる膜の「固さ」つまり膜の緻密さ等の膜特性の向上を図ることが可能となる。
ここで、膜の緻密さは例えば、BHF液によるエッチングに対する浸食されにくさ、耐エッチング性によって表現可能である。
【0193】
さらに、上記是正作業が施されれば、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べてプラズマ空間に効率よく電力が供給することができるため、電力の消費効率を向上し、同等の処理速度もしくは膜特性を得るために、従来より少ない投入電力ですむようにできる。したがって、電力消費の低減を図ること、ランニングコストの削減を図ることができる。同時に、従来と同じ投入時間を用いる場合には、処理時間を短縮することが可能となり、生産性の向上を図ることができる。いずれの場合も省力化が可能となり、プラズマ処理に要する電力消費を減らせることから二酸化炭素の排出総量を削減することが可能となる。
【0194】
そして、本実施形態の性能評価方法によれば、プラズマ処理装置の実機が設置してある場所で、高周波特性測定器ANによりロス容量CXを測定するだけで、短時間にプラズマ処理装置の性能確認および、性能の評価が可能となる。このため、成膜された基板を検査するために、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置の性能確認および、性能の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。
このロス容量CXは、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各プラズマ処理室ごとに異なっていると考えられる。上記の範囲に、このCXを指標とすることにより、各プラズマ処理室に対しても、従来考慮されていなかったその全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性の高いプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
しかも、これらの性能評価を、装置を搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後に実施するために、搬送中の振動や搬入後の再組み立て作業の不備で精度に狂いが生じる等、性能に悪影響を及ぼす事象が発生した後に、簡便かつ短時間で性能を確認できるので、問題発見から改善までのサイクルを早めることができるので、納入後の装置の立ち上げ期間を短縮することが可能となる。
【0195】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法を第8実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第8実施形態]
本実施形態の性能評価方法の対象となるプラズマ処理装置としては図11乃至図14を用いて説明した第2実施形態のプラズマ処理装置である。
上記第2実施形態で説明した方法と同様にして測定・定義したロス容量CXの納入後における値Cx1の値が、高周波電源1の接続された電極4と対となり協働してプラズマを発生する電極8との間のプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値の範囲になるかどうか(プラズマ電極容量Ce の26倍がロス容量CXの納入後における値Cx1 より大きい値になるかどうか)により、所望の性能を維持しているか否か判断される。すなわち、ロス容量CXの納入後における値Cx1の値が、電極4と電極8との間のプラズマ電極容量Ce の26倍以上の値である場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。そして、所望の性能が維持できていないと判断した場合には、ロス容量CXの納入後における値Cx1の値が、電極4と電極8との間のプラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値の範囲になるように、ロス容量CX1を是正する措置をとることができる。
【0196】
ここで、上記CX1を是正する方法としては、例えば、第2実施形態で説明した▲1▼〜▲7▼等の手法を適用することができる。
【0197】
また、第8実施形態では、第2実施形態で説明した方法と同様にして測定・定義したプラズマ発光時のプラズマ電極容量Ce"の5倍が、ロス容量CX より大きい範囲にあるかどうか評価される。ここでのプラズマ発光時のプラズマ電極容量Ce"の5倍が、ロス容量CX より大きい範囲にあるかどうかは、第2実施形態で説明した原理から、プラズマ装置75におけるプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ceの5×d/δ倍がロス容量CX より大きい範囲にあるかどうかを判断することにより評価することが可能である。
【0198】
本実施形態のプラズマ処理装置の性能評価方法においては、第7実施形態と同等の効果を奏するとともに、測定用端子61に高周波特性測定器ANを着脱自在に接続するとともに、スイッチSW1,SW2を設け、これらのインピーダンスZ1 とインピーダンスZ2 とを等しく設定することで、プラズマチャンバ95と整合回路2Aとを着脱することなく、かつ、測定用プローブ105を着脱することなく、スイッチSW1,SW2切り替えのみにより高周波特性の測定、特に、プラズマ電極容量Ce ,ロス容量CX の測定を容易におこなうことが可能となる。
さらに、プラズマ電極容量Ceの5×d/δ倍と、ロス容量CXの値を比較することにより、直接プラズマを発光させる上記電極4,8の周波数特性を評価できるため、プラズマ発光空間に対して電力をより効果的に投入することができ、さらなる電力消費効率、または、処理効率についての適切な判断が可能となる。
【0199】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法の第9実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第9実施形態]
図27は本実施形態の性能評価方法の対象となるプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
このプラズマ処理装置71は、例えば、トップゲート型TFTの半導体能動膜をなす多結晶シリコンの成膜からゲート絶縁膜の成膜までの一貫処理が可能なものとされ、複数のプラズマ処理室を有する装置とされる。
【0200】
本実施の形態のプラズマ処理装置71は、図27に示すように、略七角形状の搬送室72の周囲に、5つの処理室ユニットと1つのローダ室73と1つのアンローダ室74とが連設されている。また、5つの処理室ユニットの内訳としては、アモルファスシリコン膜を成膜する第1成膜室、シリコン酸化膜を成膜する第2成膜室、およびシリコン窒化膜を成膜する第3成膜室からなるプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)75,76,77、成膜後の被処理基板のアニーリング処理を行うレーザアニール室78、成膜後の被処理基板の熱処理を行う熱処理室79、である。
【0201】
プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)である、第1成膜室75、第2成膜室76、第3成膜室77はそれぞれ異なる種類の膜を成膜するような異なる処理をおこなうことも可能であり、また、同一のプロセスレシピにより同一の処理をおこなうこともできるのものであるが、略同一の構成とされている。そして、これらの複数のプラズマチャンバ75,76,77は、それぞれ、前述した図1ないし図8に示す第1実施形態におけるプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)75と略同一の構成とされている。
なお、本実施形態において、プラズマチャンバ75が前述した第1実施形態と異なるのは、プラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)75のプラズマ電極容量Ce と容量(ロス容量)CX とに関する点のみであり、プラズマ処理ユニットとしての構成に関しては第1実施形態に準ずるものとされる。また、これ以外の第1実施形態と略同等の構成要素に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
これらのプラズマチャンバ75,76,77のいずれかにおいてアモルファスシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の成膜をおこなう際には、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、高周波電源1から高周波電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともにガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ室60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16上にアモルファスシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等を成膜する。
【0202】
レーザアニール室78は、図28に示すように、チャンバ80の上部にレーザ光源81が設けられる一方、チャンバ80内の下部には被処理基板16を載置するためのステージ82が直交するX方向、Y方向の2方向に水平移動可能に設けられている。そして、レーザ光源81の出射部81aからスポット状のレーザ光83(1点鎖線で示す)が出射されると同時に、被処理基板16を支持したステージ82がX方向、Y方向に水平移動することにより、レーザ光83が被処理基板16の全面を走査できるようになっている。レーザ光源81には例えばXeCl、ArF、ArCl、XeF等のハロゲンガスを用いたガスレーザを用いることができる。
また、レーザアニール室78の構成は、レーザ光を出射するレーザ光源を備え、レーザ光源から出射されるスポット状のレーザ光が被処理基板の表面をくまなく走査できる構成のものであれば、種々の構成の装置を用いることができる。この場合、レーザ光源は例えばXeCl、ArF、ArCl、XeF等のハロゲンガスを用いたガスレーザを用いることができる。膜の種類によってはYAGレーザ等の他のレーザ光源を用いることもでき、レーザ光の照射の形態としては、パルスレーザアニール、連続発振レーザアニールを用いることができる。また、熱処理室の構成は、例えば多段式電気炉型の装置を用いることができる。
【0203】
熱処理室79は、図29に示すように、多段式電気炉型のものであり、チャンバ84内に多段に設けられたヒータ85の各々に被処理基板16が載置される構成になっている。そして、ヒータ85の通電により複数枚の被処理基板16が加熱されるようになっている。なお、熱処理室89と搬送室72との間にはゲートバルブ86が設けられている。
【0204】
図27に示すローダ室73、アンローダ室74には、ローダカセット、アンローダカセットが着脱可能に設けられている。これら2つのカセットは、複数枚の被処理基板16が収容可能なものであり、ローダカセットに成膜前の被処理基板16が収容され、アンローダカセットには成膜済の被処理基板16が収容される。そして、これら処理室ユニットとローダ室73、アンローダ室74の中央に位置する搬送室72に基板搬送ロボット(搬送手段)87が設置されている。基板搬送ロボット87はその上部に伸縮自在なリンク機構を有するアーム88を有し、アーム88は回転可能かつ昇降可能となっており、アーム88の先端部で被処理基板16を支持、搬送するようになっている。
【0205】
上記構成のプラズマ処理装置71は、例えば各処理室における成膜条件、アニール条件、熱処理条件等、種々の処理条件や処理シーケンスをオペレータが設定する他は、各部の動作が制御部により制御されており、自動運転する構成になっている。したがって、このプラズマ処理装置71を使用する際には、処理前の被処理基板16をローダカセットにセットし、オペレータがスタートスイッチを操作すれば、基板搬送ロボット87によりローダカセットから各処理室内に被処理基板16が搬送され、各処理室で一連の処理が順次自動的に行われた後、基板搬送ロボット87によりアンローダカセットに収容される。
【0206】
本実施形態の性能評価方法の対象となるプラズマ処理装置71においては、複数のプラズマチャンバ75,76,77のそれぞれにおいて、高周波特性としてロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、
その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が所定の値として0.1より小さい値であるかどうかにより、所望の性能を維持しているか否かが判断される。すなわち、Cx1rの値が0.1より小さい場合には所望の性能を維持していると判断し、0.1以上の場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。そして、所望の性能が維持できていないと判断した場合には、Cx1rの値が0.1より小さい値の範囲になるように、ロス容量Cxを是正する措置をとることができる。
ここで、ロス容量Cx の定義及び測定方法と、ロス容量Cxの是正方法は、上記第1実施形態で説明した方法と同様であるので、その説明を省略する。
また、第9実施形態では、上記Cx1rの評価に加えて、複数のプラズマチャンバ75,76,77においては、高周波電源1の接続された電極4と協働してプラズマを発生する電極8との間のプラズマ電極容量Ce の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
とされ、このCe1rの値が0.1より小さい範囲が小さい値であるかどうかにより、所望の性能を維持しているか否かが判断することが好ましい。すなわち、Ce1rの値が0.1より小さい場合には所望の性能を維持していると判断し、0.1以上の場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。
【0207】
上記のように、それぞれのプラズマチャンバ75,76,77(複数のプラズマ処理室)の高周波特性としてロス容量Cxのうち、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minのばらつきを、上記式に示すように定義し、この値が0.1より小さい範囲の値かどうかを評価し、また、プラズマ電極容量Ceのうち、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minのばらつきを、上記式に示すように定義し、この値が0.1より小さい範囲の値かどうかを評価することで、複数のプラズマチャンバ(複数のプラズマ処理室)75,76,77に対して電気的高周波的な特性の機差をなくすような是正措置が可能となり、これにより、ロス容量Cxやプラズマ電極容量Ceを指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバ75,76,77の状態を設定することが可能となるので、個々のプラズマチャンバ75,76,77において、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一にすることができる。
【0208】
その結果、複数のプラズマチャンバ75,76,77に対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマチャンバ(複数のプラズマ処理室)75,76,77において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値を0.1より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなったプラズマチャンバ75,76,77において、膜厚のばらつきの値を±5%の範囲におさめることができる。
そのため、従来考慮されていなかったプラズマ処理装置71の全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、各プラズマチャンバ75,76,77で均一な動作が期待できるプラズマ処理装置71を維持管理することが可能となる。
これにより、複数のプラズマチャンバ75,76,77に対する膨大なデータから外部パラメータと実際の基板を処理するような評価方法による処理結果との相関関係によるプロセス条件の把握を不必要とすることができる。
【0209】
したがって、新規設置時や調整・保守点検時において、各プラズマチャンバ75,76,77ごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間を、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合に比べて、 ロス容量CX、プラズマ電極容量Ceを測定することにより、大幅に短縮することができる。しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理装置71の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理装置71の評価を、しかも、プラズマ処理装置71の実機が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマチャンバ75,76,77に対する結果をほぼ同時に実現することができる。
このため、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置71の動作確認および、動作の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。また、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0210】
さらに、この各プラズマチャンバ75,76,77においては、第7から第8の実施形態において採用した評価方法を併せて採用することができる。すなわち、各々のCXと、プラズマ極容量Ceとを比較した評価基準を上記ばらつきCx1rに基づく評価と併用することにより、機差だけでなく、プラズマチャンバ75,76,77の全体的な電気的高周波的な特性をそれぞれ適正な範囲に収めることができる。これにより、各プラズマ処理室75,76,77において第7から第8の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。しかも、これらを、複数のプラズマチャンバ75,76,77において同時に実現することができる。
【0211】
以下、本発明に係る性能評価方法を第10実施形態としてを図面に基づいて説明する。
[第10実施形態]
図30は本実施形態の性能評価方法の対象となるプラズマ処理装置91の概略構成を示す断面図である。
本実施形態のプラズマ処理装置91は、図30に示すように、略四角形の搬送室92の周囲にロードロック室93と熱処理室99とプラズマ処理室ユニット95,96とが設けられた構成とされている。この装置は基板移載用の搬送ロボットが設置されている搬送室92を中央にして、各室の間が、ゲートg1,g2,g3,g4で区切られている。搬送室(待機室)92と加熱室99とその他の処理室ユニット95,96はそれぞれ個別の高真空ポンプによって高真空度に排気されている。ロードロック室91は低真空ポンプによって低真空度に排気されている。
【0212】
この実施形態のプラズマ処理装置91においては、その構成要素が図1乃至図8に示した第1実施形態のプラズマ処理装置(プラズマチャンバ)75及び図27〜図29に示した第9実施形態のプラズマ処理装置71に対応しており、それぞれ、搬送室72に搬送室92が、熱処理室79に熱処理室99が、ローダ室73およびアンローダ室74にロードロック室93が対応しており、略同一の構成の部分に関しては説明を省略する。
【0213】
上記構成のプラズマ処理装置91は、ゲートg0を開放して被処理基板16をロードロック室93に搬入し、ゲートg0を閉塞してロードロック室93を低真空ポンプによって排気する。ゲートg1,g2を開放してロードロック室93に搬入された基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによって熱処理室99に移動し、ゲートg1,g2を閉塞して搬送室92と熱処理室99を高真空ポンプによって排気する。ついで基板16を加熱処理し、終了後、ゲートg2,g4を開放して熱処理された基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによってプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)95に移動する。プラズマチャンバ(プラズマチャンバ)95の基板16を反応処理し、終了後ゲートg4,g3を開放して処理された基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによってプラズマ処理室ユニット(プラズマチャンバ)96に移動する。プラズマチャンバ96の基板16を反応処理し、終了後ゲートg3,g1を開放して基板16を、搬送室92の搬送ロボットの移載アームによってロードロック室93に移動する。
このとき、例えば各プラズマチャンバ(プラズマ処理室)における成膜条件等の処理条件や処理シーケンスをオペレータが設定する他は、各部の動作が制御部により制御されており、自動運転する構成になっている。したがって、このプラズマ処理装置91を使用する際には、処理前の被処理基板16をロードロック室93のローダカセットにセットし、オペレータがスタートスイッチを操作すれば、基板搬送ロボットによりローダカセットから各処理室内に被処理基板16が搬送され、各処理室で一連の処理が順次自動的に行われた後、基板搬送ロボットによりアンローダカセット(ローダカセット)に収容される。
【0214】
上記構成のプラズマチャンバ95,96においては、第2実施形態と同様に、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、高周波電源1から高周波電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともにガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ室60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16上にアモルファスシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等を成膜する。
【0215】
そして、これらの複数のプラズマチャンバ95,96は、図30に示すように、後述するスイッチSW2等を介して測定器(高周波特性測定器)ANに接続されている。同時に、複数のプラズマチャンバ95,96においては、プラズマ電極容量Ce の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され、このCe1rの値が0.03より小さい範囲が小さい値であるかどうかにより、所望の性能を維持しているか否かが判断される。すなわち、このCe1rの値が0.03より小さい場合には所望の性能を維持していると判断し、0.03以上の場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。
また、複数のプラズマチャンバ95,96においては、高周波特性としてロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、
その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が所定の値として0.03より小さい値であるかどうかにより、所望の性能を維持しているか否かが判断される。すなわち、Cx1rの値が0.03より小さい場合には所望の性能を維持していると判断し、0.03以上の場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。そして、所望の性能が維持できていないと判断した場合には、Cx1rの値が0.03より小さい値の範囲になるように、ロス容量Cxを是正する措置をとることができる。
【0216】
本実施形態においては、第9実施形態と同等の効果を奏するとともに、各プラズマチャンバ95,96におけるプラズマ電極容量Ceの、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが0.03より小さい範囲の値かどうかを評価するので、適切な是正措置を施すことができ、複数のプラズマチャンバ(複数のプラズマ処理室)95,96に対して容量Ceの電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、また、各プラズマチャンバ95,96におけるロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが0.03より小さい範囲の値かどうかを評価するので、適切な是正措置を施すことができ、複数のプラズマチャンバ(複数のプラズマ処理室)95,96に対してロス容量Cxの電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、プラズマ電極容量Ceやロス容量Cxを指標として一定の管理幅内に複数のプラズマ処理室の状態を設定することが可能となるので、個々のプラズマチャンバ95,96において、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一にすることができる。
その結果、複数のプラズマチャンバ95,96に対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマ処理室において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値を0.03より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなったプラズマ処理室において、膜厚のばらつきの値を±2%の範囲におさめることができる。
【0217】
さらに、このプラズマ処理装置91においては、複数のプラズマチャンバ95,96の上記整合回路2Aの出力端子位置PRに測定用端子(インピーダンス測定用端子)61を設け、この測定用端子61に高周波特性測定器(インピーダンス測定器)ANを着脱自在に接続するとともに、スイッチSW1,SW2を設けることで、上記プラズマチャンバ95,96の高周波特性としてのロス容量Cxを測定する際のプロービングを容易におこなうことが可能となり、ロス容量Cxの測定時における作業効率を向上することができる。
【0218】
さらに、これら複数のプラズマチャンバ95,96においてインピーダンスZ1 とインピーダンスZ2 とを等しく設定することにより、個々のプラズマチャンバ95,96において、インピーダンス測定用プローブ105を着脱することなく、スイッチSW1,SW2切り替えのみにより高周波特性としてのロス容量Cxの測定と、プラズマ処理装置の動作状態(プラズマ発生状態)と、の切り替えを容易におこなうことが可能となる。
ここで、ロス容量Cxの測定時において、スイッチSW1,SW2切り替えのみにより複数のプラズマチャンバ95,96を順に切り替えることができ、ロス容量Cxの測定時における作業効率を向上することができる。
さらに、複数のプラズマチャンバ95,96において第9実施形態と同様に、ロス容量Cxとプラズマ電極容量Ceとの値を比較した評価方法により、適切な是正措置を施すことで、直接プラズマを発光させる上記電極4,8の高周波特性をそれぞれのプラズマチャンバ95,96において規定できるため、プラズマ発光空間に対して電力をより効果的に投入することができ、本実施形態のプラズマ処理装置91全体でさらなる電力消費効率の向上か、または、処理効率の向上を図ることが可能となる。
【0219】
なお、このプラズマ処理装置において、2つのスイッチSW1およびスイッチSW2を設ける構成としたが、分岐点から出力端子位置PRまでと分岐点からプローブまでのインピーダンスが等しく設定されていれば、よく、例えば1つのスイッチによりこれらの接続を切り替え可能とすることもできる。
【0220】
さらに、この各プラズマチャンバ95,96においては、第7から第9の実施形態において採用した評価方法を併せて採用することができる。すなわち、各々のロス容量Cxと、プラズマ電極容量Ce の26倍とを比較(各々のロス容量Cx1と、プラズマ電極容量Ce1の26倍とを比較)した評価基準を上記ばらつきCx1r やCx1rに基づく評価と併用することにより、機差だけでなく、プラズマチャンバ95,96の全体的な電気的高周波的な特性をそれぞれ適正な範囲に収めることができる。これにより、各プラズマチャンバ95,96において第7から第9の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。しかも、これらを、複数のプラズマチャンバ95,96において同時に実現することができる。
【0221】
以下、本発明に係る性能評価方法を第11実施形態として図面に基づいて説明する。
[第11実施形態]
図31は本実施形態の性能評価方法の対象となるプラズマ処理システムの概略構成を示す模式図である。
【0222】
このプラズマ処理システムは、図27に示した第9実施形態におけるプラズマ処理装置と略同等のプラズマ処理装置71,71’と、図30に示した第10実施形態におけるプラズマ処理装置と略同等のプラズマ処理装置91と、を組み合わせて概略構成されている。先に説明した第9,第10実施形態におけるプラズマ処理装置の構成要素に対応するものには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0223】
このプラズマ処理システムは、図31に示すように、3つのプラズマチャンバ(プラズマ処理室)95,96,97を有するプラズマ処理装置71、2つのプラズマチャンバ(プラズマ処理室)95,96を有するプラズマ処理装置91、および、3つのプラズマチャンバ(プラズマ処理室)95,96,97を有するプラズマ処理装置71’が製造ラインの一部を構成するものとされている。
【0224】
このプラズマ処理システムの製造ラインにおける工程は、例えば、以下のようになっている。まず、プラズマ処理前処理をおこなった被処理基板16に、プラズマ処理装置71のプラズマチャンバ95において成膜処理をおこない、ついで、熱処理室79において加熱処理をおこない、その後、レーザーアニール室78においてアニール処理がおこなわれ、プラズマチャンバ96,97において、被処理基板16に順次第2,第3の成膜処理がおこなわれる。
次いで、プラズマ処理装置71から搬出された被処理基板16に、図示しない他の処理装置において、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジストの形成をおこなう。
そして、プラズマ処理装置91のプラズマチャンバ95においてプラズマエッチングをおこない、ついで、プラズマチャンバ96において、被処理基板16に成膜処理をおこなう。
次いで、プラズマ処理装置91から搬出された被処理基板16に、図示しない他の処理装置において、レジストを剥離し、新たにフォトリソグラフィー工程によりパターニングする。
最後に、プラズマ処理装置71’のプラズマチャンバ95、96,97において被処理基板16に順次第1,第2,第3の成膜処理がおこなわれ、被処理基板16をプラズマ処理後処理へと送り、製造ラインにおける本実施形態のプラズマ処理システムにおける工程は終了する。
【0225】
このプラズマ処理システムは、図31に示すように、各プラズマ処理室95,96,97の測定用端子61がスイッチSW3を介して測定器ANに接続されている。スイッチSW3は各プラズマ処理室95,96,97の測定時に測定対象のプラズマチャンバ95,96,97と測定器ANとのみを接続して、それ以外のプラズマ処理室95,96,97を切断するよう切り替えるスイッチとして設けられている。そして、この測定用端子61から、スイッチSW3までのインピーダンスが、各プラズマチャンバ95,96,97に対して等しくなるように、測定用の同軸ケーブルの長さが等しく設定されている。測定用端子61には、図11に示す第2実施形態と同様にして、測定器ANのプローブが着脱自在に接続されている。
【0226】
ここで、複数のプラズマ処理装置の各プラズマチャンバ95,96,97におけるプラズマ電極容量Ce と、ロス容量Cxは、スイッチSW3を切り替えることにより、第10実施形態と同様にして測定できる。そして、その複数のプラズマチャンバ95,96,97においては、プラズマ電極容量Ce の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義され、このCe1rの値が0.03より小さい範囲が小さい値であるかどうかにより、所望の性能を維持しているか否かが判断される。すなわち、このCe1rの値が0.03より小さい場合には所望の性能を維持していると判断し、0.03以上の場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。
また、その複数のプラズマチャンバ95,96,97においては、
ロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、
その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義され、
x1rの値が所定の値として0.03より小さい範囲の値であるかどうかにより、所望の性能を維持しているか否かが判断される。すなわち、Cx1rの値が0.03より小さい場合には所望の性能を維持していると判断し、0.03以上の場合には、所望の性能が維持できていないと判断する。そして、所望の性能が維持できていないと判断した場合には、Cx1rの値が0.03より小さい値の範囲になるように、ロス容量Cxを是正する措置をとることができる。
ここで、ロス容量Cx の定義及び測定方法と、ロス容量Cxの是正方法は、上記第2実施形態で説明した方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0227】
本実施形態においては、第9,第10実施形態と同等の効果を奏するとともに、各プラズマチャンバ95,96,97のプラズマ電極容量Ceの、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが0.03より小さい範囲の値かどうかを評価するので、適切な是正措置を施すことができ、複数のプラズマチャンバ(複数のプラズマ処理室)95,96,97に対する容量Ceの電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、また、ロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、0.03より小さい範囲の値かどうかを評価するので、適切な是正措置を施すことができ、複数のプラズマ処理装置71,91,71’において、それぞれ、各プラズマチャンバ95,96,97に対する容量Cxの電気的高周波的な特性の機差をなくすことが可能となり、これにより、プラズマ処理システム全体においてインピーダンス特性を指標とする一定の管理幅内に複数のプラズマチャンバ95,96,97の状態を設定することが可能となるので、個々のプラズマチャンバ95,96,97において、プラズマ空間で消費される実効的な電力等をそれぞれ略均一にすることができる。
【0228】
その結果、プラズマ処理システム全体において複数のプラズマチャンバ95,96,97に対して同一のプロセスレシピを適用して、略同一のプラズマ処理結果を得ること、つまり、複数のプラズマチャンバ95,96,97において例えば成膜をおこなった際に、膜厚、絶縁耐圧、エッチングレート等、略均一な膜特性の膜を得ることが可能となる。具体的には、上記のばらつきの値を0.03より小さい範囲に設定することにより、略同一の条件で積層をおこなったプラズマチャンバ95,96,97において、膜厚のばらつきの値を±2%の範囲におさめることができる。
そのため、従来考慮されていなかったプラズマ処理システムの全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、個々のプラズマチャンバ95,96,97におけるプラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性が高く、各プラズマチャンバ95,96,97で均一な動作が期待できるプラズマ処理システムを提供することが可能となる。
これにより、単一のプラズマ処理装置よりも多数のプラズマチャンバ95,96,97に対する膨大なデータから外部パラメータと実際の基板を処理するような評価方法による処理結果との相関関係によるプロセス条件の把握を不必要とすることができる。
【0229】
したがって、新規設置時や調整・保守点検時において、各プラズマチャンバ95,96,97ごとの機差をなくして処理のばらつきをなくし、各プラズマチャンバ95,96,97において同一のプロセスレシピにより略同一の処理結果を得るために必要な調整時間を、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合に比べて、ロス容量Cx を測定することにより、大幅に短縮することができる。しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理システムの動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理システムの評価を、しかも、プラズマ処理システムの実機が設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板16への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々におこなうしかなかった複数のプラズマチャンバ(プラズマ処理室)95,96,97に対する結果をほぼ同時に実現することができる。
このため、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理システムの動作確認および、動作の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。また、このような調整に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、調整作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0230】
さらに、この各プラズマチャンバ95,96,97においては、第8から第9の実施形態において採用した評価方法を併せて採用することができる。すなわち、各々のロス容量Cxとプラズマ電極容量Ceを比較(各々のロス容量Cx1と、プラズマ電極容量Ce1の26倍とを比較)した評価基準を上記ばらつきCx1rやCx1rに基づく評価と併用することにより、機差だけでなく、プラズマチャンバ95,96,97の全体的な電気的高周波的な特性をそれぞれ適正な範囲に収めることができる。これにより、各プラズマチャンバ95,96,97において第8から第9の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。しかも、これらを、複数のプラズマチャンバ95,96,97において同時に実現することができる。
【0231】
さらに、スイッチSW1,SW2を設けてこれらのインピーダンスZ1 とインピーダンスZ2 とを等しく設定し、同時に、測定用端子61からスイッチSW3までのインピーダンスを複数のプラズマ処理装置71,71’、91における各プラズマチャンバ95,96,97に対して等しくなるように設定することで、スイッチSW1,SW2,SW3を切り替えるだけで、高周波特性としてのロス容量Cxを測定できる。
【0232】
なお、本実施形態において、スイッチSW1,SW2,SW3を測定しようとする各プラズマチャンバ95,96,97に対する切り替え動作を連動させることが可能であり、また、2つのスイッチSW1およびスイッチSW2の構成を、分岐点から出力端子位置PRまでと分岐点からプローブまでのインピーダンスが等しく設定される1つのスイッチとすることもできる。
【0233】
本発明における上記の第9から第11の各実施形態においては、図32に示すように、プラズマチャンバ95,96,97に対応して、整合回路2Aと、高周波電源1とが、それぞれ設けられて、プラズマチャンバ95,96,97における整合回路2Aの接続位置に、SW4を介して測定器ANを接続したが、図33に示すように、個々のプラズマチャンバ95,96,97に対する整合回路2A,2A,2Aが、同一の高周波電源1に接続される構成や、図34に示すように、個々のプラズマチャンバ95,96,97が、同一の整合回路2Aに接続される構成にも適用可能である。この場合、図33に示すように、プラズマチャンバ95,96,97と整合回路2Aとの接続位置に、SW4を介して高周波特性測定器ANが接続される。
【0234】
また、上記の第10、11の各実施形態においては、高周波特性としてプラズマ電極容量Ceとロス容量Cxを採用し、Cx1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min)で示される式に基づいて評価する方法に、上記Ce1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min)式に基づいて評価する方法を組み合わせて評価する場合について説明したが、高周波特性としてロス容量Cxを採用し、Cx1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min)で示される式に基づいて評価をおこなうようにしてもよい。
【0235】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムを第12実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第12実施形態]
本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図は、第3実施形態で示した図15及び図17と同様である。図35は、本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【0236】
図17に示す性能管理システムは、図15の構成に加えて、プラズマ処理装置250に接続された高周波特性測定器(容量測定器)260とから構成されている。本管理システムの対象となるプラズマ処理装置に特に限定はなく、第1から第2、9、10の実施形態において示したプラズマ処理装置又は第11の実施形態において示したプラズマ処理システムにおけるプラズマ処理装置等が対象となる。
【0237】
以下、図15及び図17を参照しながら、図35のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、納入先に納入された、あるいは使用中のプラズマ処理装置について、納入後のプラズマチャンバのプラズマ電極容量Ce1、ロス容量Cx1を測定し、この値を入出力装置220から入力する。また、図17に示す性能管理システムの場合には、プラズマ処理装置250に接続された測定器260から直接測定値が入力される。
この入力されたCx1の値は、通信回線230を通じてサーバ210に送信される(ステップ301)。
【0238】
これに対しサーバ210は、{Cx1÷26}を計算する(ステップ302)。次にサーバ210は、記憶装置212に格納されたプラズマチャンバのプラズマ電極容量Ce(納入前のプラズマ電極容量Ce0 )の情報500を呼び出し、この値と先に計算した{Cx1÷26}とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、
{Cx1÷26}が上記プラズマ電極容量Ce (納入後のプラズマ電極容量Ce1 でもよい)より小さい値である場合(Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ceの26倍より小さい値である場合)には、所定の性能を維持していると判断し、{Cx1÷26}が上記プラズマ電極容量Ce(納入後のプラズマ電極容量Ce1でもよい)以上の値である場合(Cx1の値が上記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合)には、所定の性能を維持していないと判断する(ステップ303)。
なお、実施形態9から実施形態11に示した複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムから複数のCx11の入力を受けた場合には、すべての{Cx1÷26}が上記プラズマ電極容量Ce より小さい値である場合のみ、所定の性能を維持していると判断し、それ以外の場合には、所定の性能を維持していないと判断する。
【0239】
次にサーバ210は、上記性能評価の結果を納入先の入出力装置220、及び搬送元の出力装置240の双方に提供する(ステップ304)。
この内、入出力装置220に対しては、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、音声信号を送信したりする。具体的には、所定の性能を維持していると判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されておりますので、そのままご使用ください。」といったメッセージを、所定の信号を維持していないと判断した場合には、例えば「ご照会の装置の性能は、適切に維持されていない恐れがありますので、取扱説明書に従い調整をお願いします。」といったメッセージを、プリントアウト、画面表示、音声等で顧客やサービスマン等に伝えられるようにする。
また、出力装置240に対しても、所定の信号を維持していないと判断した場合に、プリントアウトや画面表示、信号出力等の指令信号を送信したり、あるいは、警報音発生信号を送信したりする。そして、出力装置240から、プリントアウト、画面表示、信号出力、あるいは警報音等の保守作業命令を出力する。なお、搬送元において、いずれの納入先のどの装置が保守を必要としているかを判断するために、入出力装置220からプラズマチャンバ(プラズマ処理室)の固有番号を受信し、これを出力装置240から出力することが望ましいが、入出力装置220の固有番号、例えばアドレス番号や電話番号等から判断して、その判断結果を出力装置240から出力してもよい。
【0240】
この結果、納入先の顧客や納入先を訪問したサービスマン等は、プラズマ処理装置を実際に動作させて成膜された基板を検査するという作業を行うことなく、直ちに当該プラズマ装置の性能を評価基準1に基づき評価することができる。
しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理装置の評価を、しかも、プラズマ処理装置のプラズマチャンバが設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置の場合についても、結果をほぼ同時に得ることができる。
このため、納入後の装置性能について、簡便かつ短時間で確認でき、問題がある場合には、問題発見から改善までのサイクルを早めることができるので、装置の立ち上げ期間を短縮することができる。また、このような確認に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、確認作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0241】
また、搬送元のメーカー等においては、納入先のプラズマ処理装置に問題が生じた場合には、保守作業命令を受けて直ちにこれを知ることができるので、顧客に対するアフタサービス体制を充実させることができる。
【0242】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの他の実施形態を第13実施形態として、図面に基づいて説明する。
[第13実施形態]
図36は本実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図である。図37は、同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。なお、両図において、図15〜図16と、図35と同一の構成要素には、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0243】
図36に示す性能管理システムは、サーバ210と、納入先の入力装置270と、これらサーバ210と入力装置270とを接続する通信回線230と、サーバーに接続された搬送元の出力装置240とから構成されている。本管理システムの対象となるのは、プラズマ処理室を複数有するプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムで、第9から第11の実施形態において示したプラズマ処理装置又はプラズマ処理システム等が対象となる。
【0244】
以下、図36を参照しながら、図37のフローチャートに従い、本実施形態における処理動作を説明する。
納入先の顧客や、納入先を訪れたサービスマン等、本性能管理システムの納入先側における利用者は、同システムで性能評価を開始するにあたり、まず、入力装置270から、納入先に納入されたプラズマ処理装置について、プラズマチャンバ(プラズマ処理室)の固有番号S及び各プラズマチャンバの高周波特性としてのプラズマ電極容量Ce1、ロス容量Cx1の測定値を入力する。
この入力された固有番号S及びプラズマ電極容量Ce1とCx1の値は、通信回線230を通じてサーバ210に送信される(ステップ401)。
なお、プラズマ処理装置に接続された高周波特性測定器を入力装置270に接続しておいて、サーバー210からの指令により自動的にプラズマチャンバの固有番号S及び各プラズマチャンバの高周波特性としてのCx1の測定値が入力されるようにしてもよい。
【0245】
これに対しサーバ210は、高周波特性としてのプラズマ電極容量Ce1の情報の中から、最大値Ce1max及び最小値Ce1minを検索して対応する固有番号Sと共に特定し、また、高周波特性としてのロス容量Cx1の情報の中から、最大値Cx1max及び最小値Cx1minを検索して対応する固有番号Sと共に特定する(ステップ402)。
次いで、下記式に従いばらつきCe1r、Cx1rを計算する(ステップ403)。
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
【0246】
次にサーバ210は、Ce1rと所定の価、例えば0.1とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、Ce1rが所定の値より小さい値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、Cx1rが所定の値以上の値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する。また、上記サーバ210は、Cx1rと所定の価、例えば0.1とを比較し、当該プラズマ処理装置の性能を評価する。具体的には、Cx1rが所定の値より小さい値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していると判断する。また、Cx1rが所定の値以上の値の場合には、当該プラズマ処理装置が所定の性能を維持していないと判断する(ステップ404)。
【0247】
次にサーバ210は、上記性能評価の結果所定の性能を維持していないと判断した場合に、搬送元の出力装置240に評価情報として、保守作業命令を当該最大値Ce1max又は最小値Ce1minや当該最大値Cx1max又は最小値Cx1minを与えたプラズマチャンバの固有番号と共に提供する(ステップ405)。
具体的には、サーバ210は、出力装置240に対して、プリントアウトや画面表示の指令信号を送信したり、あるいは、警報音発生信号を送信したりする。そして、搬送元において、保守作業命令と共に、いずれの納入先のどの装置が保守を必要としているかを判断するために必要な情報として、該当するプラズマチャンバの固有番号が出力される。
【0248】
本実施形態のプラズマ処理装置の管理システムにおいては、搬送元において、何れのプロセス処理装置に問題が生じたか、あるいは何れのプロセス処理装置のいずれのプロセス処理室に問題が生じたか等を直ちに把握できる。
【0249】
すなわち、メーカーサービス会社等の搬送元においては、納入したプラズマ処理装置やプラズマ処理システムを実際に動作させて成膜された基板を検査するという作業を行うことなく、直ちに当該プラズマ装置の性能を評価基準2に基づき評価することができる。
しかも、処理をおこなった基板の評価によりプラズマ処理装置等の動作確認および、動作の評価をおこなうという2段階の方法でなく、ダイレクトにプラズマ処理装置の評価を、しかも、プラズマ処理装置のプラズマチャンバCNが設置してある場所で短時間におこなうことが可能である。その上、被処理基板への実際の成膜等による検査方法を採用した場合、別々に行うしかなかった複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置の場合についても、結果をほぼ同時に得ることができる。
このため、納入後の装置性能について、簡便かつ短時間で確認でき、問題がある場合には、問題発見から改善までのサイクルを早めることができるので、装置の立ち上げ期間を短縮することができる。また、このような確認に必要な検査用基板等の費用、この検査用基板の処理費用、および、確認作業に従事する作業員の人件費等、コストを削減することが可能となる。
【0250】
また、搬送元のメーカー等において、納入先のプラズマ処理装置に問題が生じた場合には、保守作業命令を受けて直ちにこれを知ることができるので、顧客に対するアフタサービス体制を充実させることができる。
【0251】
【実施例】
(比較例1)
プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ceを25pF、プラズマ励起電極4とアース間のロス容量CX を980pF、平行平板型の電極4,8のサイズが25cm角とされ、これらの電極間隔が30mmに設定され、その電力が1000W、電力周波数fe を40.68MHzに設定した以外は図11に示したプラズマ処理装置と同様の構成のプラズマ処理装置を準備し、このプラズマ処理装置を比較例1とした。
【0252】
(実施例1)
比較例1のプラズマ処理装置に対してプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との距離を改善(電極間隔が20mm)してCeを37pFとし、プラズマ励起電極4とアース間のロス容量CX を980pFに設定し、26Ce >CX としたものを実施例1のプラズマ処理装置とした。ここでの平行平板型の電極4,8のサイズは25cm角とされ、その電力が1000W、電力周波数fe を40.68MHzに設定した。
【0253】
(実施例2)
実施例1に対してプラズマ励起電極8とチャンバ壁上部10aとのオーバーラップ面積を改善して、プラズマ励起電極4とアース間のロス容量CXを250pFに設定し、7Ce >CX としたものを実施例2のプラズマ処理装置とした。ここでの平行平板型の電極4,8のサイズは25cm角とされ、その電力が1000W、電力周波数fe を40.68MHzに設定した。
(実施例3)
実施例2に対しプラズマ励起電極8とチャンバ壁上部10aとの間の絶縁材の材質を調整して、プラズマ励起電極4とアース間のロス容量CXを180pFに設定し、5Ce >CX としたものを実施例3のプラズマ処理装置とした。ここでの平行平板型の電極4,8のサイズは25cm角とされ、その電力が800W、電力周波数fe を40.68MHzに設定した。
【0254】
さらに、これら実施例および比較例に対する評価として、800W、400Wの条件でSiNx 膜の成膜をおこない、このSiNx 膜に対する評価として、以下のようにおこなった。
(1)堆積速度と膜面内均一性
▲1▼ガラス基板上にプラズマCVDによりSiNx 膜を成膜する。
▲2▼フォトリソによりレジストのパターニングをおこなう。
▲3▼SF6 とO2 を用いてSiNx 膜をドライエッチングする。
▲4▼O2 アッシングによりレジストを剥離する。
▲5▼SiNx 膜の膜厚段差を触針式段差計により計測する。
▲6▼成膜時間と膜厚から堆積速度を算出する。
▲7▼膜面内均一性は、6インチガラス基板面内において16ポイントで測定する。
(2)BHFエッチングレート
上記(1)▲1▼〜▲2▼と同様にレジストマスクをパターニングする。
▲3▼25℃のBHF液(HF:NH4F =1:10の混合液)に1分間ガラス基板を浸漬する。
▲4▼純水洗浄後乾燥し、レジストを硫酸過水(H2SO4+H22)で剥離する。▲5▼上記(1)▲5▼と同様段差を計測する。
▲6▼浸漬時間と段差からエッチング速度を算出する。
【0255】
さらに、これら実施例および比較例に対する評価として、800W、400Wの条件でSiNx 膜の成膜をおこない、このSiNx 膜に対する評価を以下のようにおこなった。
(3)絶縁耐圧
▲1▼ガラス基板上にスパッタリングによりクロム膜を成膜し、下部電極としてパターニングする。
▲2▼プラズマCVDによりSiNx 膜を成膜する。
▲3▼▲1▼と同様の方法でクロムからなる上部電極を形成する。
▲4▼下部電極用にコンタクト孔を形成する。
▲5▼上下電極にプロービングし、I−V特性(電流電圧特性)を測定する。このとき最大電圧として200V程度まで印加する。
▲6▼電極面積を100μm角とし、100pAをよぎるところが、1μA/cm2 に相当するので、この時のVを絶縁耐圧として定義する。
これらの結果を、表2に示す。
【0256】
【表2】
Figure 0003670206
【0257】
これらの結果から、堆積速度、膜面内均一性、BHFエッチングレート、絶縁耐圧について、26Ce >CXとした場合(実施例1)には、比較例1に比べて堆積速度が100nm/分以上に改善されており、また、膜厚のバラツキが改善されており、さらにBHFエッチングレートも200nm/分以下となり、膜質が改善されることがわかる。また、7Ce >CXとした場合(実施例2)には、堆積速度が比較例1の5倍程度にまで改善されているとともに、膜厚のばらつきが実施例1の半分程度に改善され、また、絶縁耐圧が改善されていることがわかる。さらに、5Ce >CX とした場合(実施例3)には、80%の出力としても(投入する電力を1000Wから800Wに低減しても)、実施例2と同様の膜特性を有する成膜をおこなうことが可能となっていることがわかる。
つまり、プラズマ励起電極4とアース間のロス容量CX の値を設定することにより、プラズマ処理装置の性能が向上している。
したがって、プラズマ励起電極4とアース間のロス容量CXを性能評価の指標とできることがわかる。
【0258】
(実施例4)
図30と同様の複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置において、実施例4として、プラズマ電極容量Ceの、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
と定義し、このCe1rを0.09に設定し、また、ロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
と定義し、このCx1rを0.09に設定した。
同時に、これらプラズマ電極容量Ce(納入後のプラズマ電極容量Ce1)の平均値を37pFに設定し、これらロス容量Cx(納入後のロス容量Cx1 )の平均値を250pFに設定した。
(実施例5)
図30と同様の複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置において、実施例5として、プラズマ電極容量Ceの、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rを0.02に設定し、また、ロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rを0.02に設定した。同時に、これらプラズマ電極容量Ce(納入後のプラズマ電極容量Ce1)の平均値を37pFに設定し、これらロス容量Cx(納入後のロス容量Cx1 )の平均値を980pFに設定した。
(比較例2)
図30と同様の複数のプラズマチャンバを有するプラズマ処理装置において、比較例2として、プラズマ電極容量Ceの、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rを1に設定し、ロス容量Cxの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rを1に設定した。同時に、これらプラズマ電極容量Ce(納入後のプラズマ電極容量Ce1)の平均値を37pF設定し、これらロス容量Cx(納入後のロス容量Cx1 ) の平均値を180pFに設定。
【0259】
上記の実施例4,5および比較例2において、実施例4、5および比較例2に対する評価として同一のプロセスレシピを適用し、窒化珪素膜を堆積し、以下のように各プラズマ処理室に対する膜厚ばらつきを計測した。
▲1▼ガラス基板上にプラズマCVDによりSiNx 膜を成膜する。
▲2▼フォトリソによりレジストのパターニングをおこなう。
▲3▼SF6 とO2 を用いてSiNx 膜をドライエッチングする。
▲4▼O2 アッシングによりレジストを剥離する。
▲5▼SiNx 膜の膜厚段差を触針式段差計により計測する。
▲6▼成膜時間と膜厚から堆積速度を算出する。
▲7▼膜面内均一性は、6インチガラス基板面内において16ポイントで測定する。
【0260】
ここで、成膜時における条件は、
基板温度 350℃
SiH4 40sccm
NH3 200sccm
2 600sccm
圧力 150Pa
である。
これらの結果を表3に示す。
【0261】
【表3】
Figure 0003670206
【0262】
これらの結果から、プラズマ電極容量Ceの納入後における値Ce1の値のばらつきCe1r の値を設定し、ロス容量Cxの納入後における値Cx1の値のばらつきCx1r の値を設定した場合には、プラズマチャンバ(プラズマ処理室)ごとの機差による膜厚のばらつきが改善されていることがわかる。
つまり、ロス容量Cx の、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1r の値を設定することにより、プラズマ処理装置の動作特性が向上している。
したがって、プラズマ電極容量Ce1のばらつきやロス容量Cx1のばらつきを性能評価の指標とできることがわかる。
【0263】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置又はプラズマ処理システムの性能評価方法によれば、プラズマ処理装置を分解、搬送後再組み立てが施された後、すなわち納入後に、被処理物が導入されてプラズマ処理が行われたり、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されたりした際に、プラズマ処理装置やプラズマ処理システムの性能が適正に維持されているかどうかを迅速かつ簡便に確認できる。また、本発明のプラズマ処理装置の保守方法によれば、プラズマ処理装置の性能が適正に維持されていない場合に、迅速に是正が可能となる。
また、本発明のプラズマ処理装置の性能管理システム又はプラズマ処理システムの性能管理システムによれば、納入先において、プラズマ処理装置の性能が適正に維持されるために、納入先におけるプラズマ処理装置の性能評価をメーカー等の搬送元で支援できると共に、メーカー等の搬送元で充実した保守サービス体制を整えることが可能となる。
さらに、本発明のプラズマ処理装置によれば、適正な動作状態に簡便に維持することが可能であり、良好なプラズマ処理を継続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1におけるプラズマチャンバの整合回路を示す模式図である。
【図3】図1におけるプラズマチャンバの蓋体を示す断面図である。
【図4】図3における蓋体のロス容量CX を説明するための模式図である。
【図5】図4における蓋体のロス容量CX を説明するための等価回路である。
【図6】図1におけるプラズマチャンバの等価回路を示す回路図である。
【図7】図1におけるプラズマチャンバのインピーダンス特性を説明するための模式図である。
【図8】 電流I とプラズマ電流Ie とロス電流IX を説明するための回路図である。
【図9】 高周波特性測定器のプローブと、これに取り付けるフィクスチャを示す斜視図である。
【図10】 図9の測定器のプローブとフィクスチャをプラズマチャンバに接続した状態示す模式図である。
【図11】 本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図12】 図11におけるプラズマチャンバの蓋体を示す断面図を示す回路図である。
【図13】 図11におけるプラズマチャンバの等価回路を示す回路図である。
【図14】 プラズマ発光状態における電極間の状態を示す模式図である。
【図15】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第3実施形態、第12実施形態におけるシステム構成図である。
【図16】 同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図17】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第5実施形態におけるシステム構成図である。
【図18】 同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図19】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能管理システムの第5実施形態で実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図20】 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムを示すシステム構成図である。
【図21】 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサーバーSの建築状況情報の提供処理を示すフローチャートである。
【図22】 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるメインページCPの構成を示す平面図である。
【図23】 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP1の構成を示す平面図である。
【図24】 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるメインページCP2の構成を示す平面図である。
【図25】 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP3の構成を示す平面図である。
【図26】 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP4の構成を示す平面図である。
【図27】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法の第9実施形態の対象となるプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図28】 図27におけるレーザアニール室を示す縦断面図である。
【図29】 図27における熱処理室を示す縦断面図である。
【図30】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法の第10実施形態の対象となるプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図31】 本発明に係るプラズマ処理システムの性能評価方法の第11実施形態の対象となるプラズマ処理システムの概略構成図である。
【図32】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法の対象となる他のプラズマ処理装置を示す概略構成図である。
【図33】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法の対象となる他のプラズマ処理装置を示す概略構成図である。
【図34】 本発明に係るプラズマ処理装置の性能評価方法の対象となる他のプラズマ処理装置を示す概略構成図である。
【図35】 第12実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図36】 第13実施形態に係るプラズマ処理装置の性能管理システムのシステム構成図である。
【図37】 同性能管理システムで実現される評価情報提供方法を示すフローチャートである。
【図38】従来のプラズマ処理装置の一例を示す模式図である。
【図39】従来のプラズマ処理装置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1…高周波電源
1A…給電線
2…マッチングボックス
2A…整合回路
3…給電板
4…プラズマ励起電極(電極:カソード電極)
5…シャワープレート
6…空間
7…孔
8…ウエハサセプタ(対向電極:サセプタ電極)
9…絶縁体
10…チャンバ壁
10A…チャンバ底部
10a…チャンバ壁上部
11…ベローズ
12…サセプタシールド
12A…シールド支持板
12B…支持筒
13…シャフト
16…基板
17…ガス導入管
17a…絶縁体
21…シャーシ
22…ロードコンデンサ
23…コイル
24…チューニングコンデンサ
25…整合回路
26…マッチングボックス
27…第2の高周波電源
27A…給電線
28…給電板(高周波電力配電体)
29…シャーシ
30…コイル
31…チューニングコンデンサ
32…ロードコンデンサ
60…チャンバ室(プラズマ処理室)
61…測定用端子(高周波特性測定用端子)
75、76,77,95,96,97…プラズマチャンバ(プラズマ処理室ユニット)
78…レーザアニール室
79,99…熱処理室
80,84…チャンバ
81…レーザ光源
82…ステージ
83…レーザ光
85…ヒータ
86…ゲートバルブ
87…基板搬送ロボット(搬送手段)
88…アーム
93…ロードロック室
105…プローブ
AN…測定器(高周波特性測定器)
B…分岐点
P…プラズマ発光領域
PR,PR’…出力端子位置
SW1,SW2,SW3,SW4…スイッチ
g0,g1,g2,g3,g4…ゲート

Claims (41)

  1. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量C の、時刻tとその後の時刻tにおける値CX0、CX1の差ΔCの絶対値を求め、その値が前記CX0の0.1倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、その値が前記CX0の0.1倍以上である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とするプラズマ処理装置の性能評価方法。
  2. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理室内に被処理物が導入され、該被処理物にプラズマ処理が行われることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  3. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理装置に、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  4. 時刻tとその後の時刻tとの間に、分解、搬送、及び再組み立てが施されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  5. 請求項1に記載された評価方法の結果、ΔCの絶対値が前記CX0の0.1倍を超えていた場合に、容量Cの是正作業を行うことを特徴とするプラズマ処理装置の保守方法。
  6. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、
    入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量Cの、時刻tにおける値CX0を記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
    前記サーバーは、前記容量CX0のその後の時刻tにおける値CX1を、前記納入先入出力装置から受信し、前記CX0と、このCX1との差であるΔCの絶対値を演算し、その値が前記CX0の0.1倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、前記CX0の0.1倍以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。
  7. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理室内に被処理物が導入され、該被処理物にプラズマ処理が行われることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  8. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理装置に、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  9. 時刻tとその後の時刻tとの間に、分解、搬送、及び再組み立てが施されることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  10. 前記サーバーが、プラズマ処理装置の固有番号毎にCX0を記憶し、納入先入出力装置から納入したプラズマ処理装置の固有番号を受信して、当該固有番号に対応するCX0を用いて演算をすることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  11. 前記納入先入出力装置に、プラズマ処理装置に接続された容量を測定する測定器を接続して、該測定器からサーバーに、CX1が直接送信されることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  12. 前記サーバーが搬送元において出力装置を備え、ΔCの絶対値が前記CX0の0.1倍を超える場合に、前記出力装置から、保守作業命令信号を出力することを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  13. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量Cと、各々所定の値の範囲によって決められた1以上の故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報とを記憶するサーバーと、このサーバーの搬送元における出力装置と、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
    前記サーバーは、前記Cx0のその後の時刻tにおける値Cx1を、前記納入先入出力装置から受信し、前記Cx0と、このCx1との差であるΔCの絶対値を演算し、その値が、前記の何れかの故障レベルの所定の値の範囲である場合には、前記出力装置から、当該故障レベルと、当該故障レベルに対応して登録されたサービスエンジニアの情報と共に、保守作業命令を出力することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。
  14. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理室内に被処理物が導入され、該被処理物にプラズマ処理が行われることを特徴とする請求項13に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  15. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理装置に、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されることを特徴とする請求項13に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  16. 時刻tとその後の時刻tとの間に、分解、搬送、及び再組み立てが施されることを特徴とする請求項13に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  17. 前記サーバーが、プラズマ処理装置の固有番号毎にCx0を記憶し、納入先入出力装置から納入したプラズマ処理装置の固有番号を受信して、当該固有番号に対応するCを用いて演算をすることを特徴とする請求項13に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  18. 前記納入先入出力装置に、プラズマ処理装置に接続された容量を測定する測定器を接続して、該測定器から前記サーバーに、Cx1が直接送信されることを特徴とする請求項13に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  19. 前記サーバーが、前記当該故障レベルを、前記納入先入出力装置にも発信することを特徴とする請求項13に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  20. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチ ャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置であって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の非プラズマ発光時の容量Cの、時刻tとその後の時刻tにおける値CX0、X1の差ΔCの絶対値が前記CX0の10%より小さい値に維持されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  21. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理室内に被処理物が導入され、該被処理物にプラズマ処理が行われることを特徴とする請求項20に記載のプラズマ処理装置。
  22. 時刻tとその後の時刻tとの間に、前記プラズマ処理装置に、分解掃除、部品交換、組み立て調整等の調整作業が施されることを特徴とする請求項20に記載のプラズマ処理装置。
  23. 時刻tとその後の時刻tとの間に、分解、搬送、及び再組み立てが施されることを特徴とする請求項20に記載のプラズマ処理装置。
  24. ΔCの絶対値が前記CX0の10%以上の値である場合に、プラズマ電極容量の是正作業を行うことにより、ΔCの絶対値が前記CX0の10%より小さい値に維持されていることを特徴とする請求項20に記載のプラズマ処理装置。
  25. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの納入後における値Cx1の値が、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Cの26倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、前記プラズマ極容量Ceの26倍以上の値である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とするプラズマ処理装置の性能評価方法。
  26. プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、
    搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
    e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
    と定義され、
    該Ce1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の、納入後における値CX1の値のばらつきCX1rが、その最大値CX1maxと最小値CX1minによって、
    X1r=(CX1max−CX1min)/(CX1max+CX1min
    と定義され、
    X1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、0.1以上である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とするプラズマ処理装置の性能評価方法。
  27. プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、
    搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能評価方法であって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
    e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
    と定義され、
    該Ce1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
    x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
    と定義され、
    該Cx1rの値が0.1より小さい値であり、かつ前記Cx1の値のいずれも前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Cの26倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、
    x1rの値が0.1以上の値である場合、又は前記Cx1の値のいずれかが前記プラズマ電極容量Cの26倍以上の値である場合、性能を維持していないと判断することを特徴とするプラズマ処理装置の性能評価方法。
  28. 前記プラズマ電極容量C と前記容量C とが、いずれも非プラズマ発光時の値であることを特徴とする請求項25又は26又は27に記載のプラズマ処理装置の性能評価方法。
  29. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能評価方法であって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
    e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
    と定義され、
    該Ce1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの、納入後における値CX1の値のばらつきCX1rが、その最大値CX1maxと最小値CX1minによって、
    X1r=(CX1max−CX1min)/(CX1max+Cx1min
    と定義され、
    該Cx1rの値が0.1より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、0.1以上の値である場合に性能を維持していないと判断することを特徴とするプラズマ処理システムの性能評価方法。
  30. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能評価方法であって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
    e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
    と定義され、
    該Ce1rの値が0.1より小さい場合に性能を維持していると判断し、0.1以上である場合に性能を維持していないと判断するとともに、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量Cの、納入後における値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
    x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
    と定義され、
    x1rの値が0.1より小さい値であり、かつ前記Cx1の値のいずれも前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Cの26倍より小さい値である場合に性能を維持していると判断し、
    x1rの値が0.1以上の値である場合、又は前記Cx1の値のいずれかが前記プラズマ電極容量Cの26倍以上の値である場合、性能を維持していないと判断することを特徴とするプラズマ処理システムの性能評価方法。
  31. 前記プラズマ電極容量C と前記容量C とが、いずれも非プラズマ発光時の値であることを特徴とする請求項29又は30に記載のプラズマ処理システムの性能評価方法。
  32. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチ ャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
    前記マッチングボックスを除いた状態において、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ceを記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
    前記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、前記納入先入出力装置から受信し、
    納入後における値Cx1の値が前記プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、納入後における値Cx1の値が前記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。
  33. 前記サーバーが搬送元において出力装置を備え、前記納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の前記CX1の値が前記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合に、前記出力装置から、保守作業命令を出力することを特徴とする請求項32に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  34. プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
    前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ceを記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
    前記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、前記納入先入出力装置から受信し、
    納入後における値Cx1の値が前記プラズマ電極容量Ceの26倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、納入後における値Cx1の値が前記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。
  35. 前記サーバーが搬送元において出力装置を備え、納入後における値Cx1の値のいずれかが前記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合に、前記出力装置から、保守作業命令を出力することを特徴とする請求項34に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  36. プラズマを励起するための電極を有する複数のプラズマ処理室と、各々の電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置を、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理装置の性能管理システムであって、
    出力装置を備えたサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入力装置とを備え、
    前記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1を、各々のプラズマ処理室の固有番号と共に前記納入先入出力装置から受信し、この値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
    e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
    と定義され、該Ce1rの値が0.1以上である場合に、前記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Ce 1max又は最小値Ce 1minを与えたプラズマ処理室の固有番号と共に出力し、
    前記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理室においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、各々のプラズマ処理室の固有番号と共に前記納入先入出力装置から受信し、
    この値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
    x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
    と定義され、
    該Cx1rの値が0.1以上の場合に、前記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Cx1max又は最小値Cx1minを与えたプラズマ処理室の固有番号と共に出力することを特徴とするプラズマ処理装置の性能管理システム。
  37. 前記プラズマ電極容量C と前記容量C とが、いずれも非プラズマ発光時の値であることを特徴とする請求項32乃至37のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置の性能管理システム。
  38. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能管理システムであって、
    前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量Ceを記憶するサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
    前記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、前記納入先入出力装置から受信し、
    納入後における値Cx1の値が前記プラズマ電極容量Ce の26倍より小さい値である場合には性能を維持している旨の信号を、納入後における値Cx1の値が前記プラズマ電極容量Ceの26倍以上の値である場合には性能を維持していない旨の信号を、各々納入先入出力装置に発信することを特徴とするプラズマ処理システムの性能管理システム。
  39. 前記サーバーが搬送元において出力装置を備え、納入後における値Cx1の値のいずれかが前記プラズマ電極容量Ce の26倍以上の値である場合に、前記出力装置から、保守作業命令信号を出力することを特徴とする請求項38に記載のプラズマ処理システムの性能管理システム。
  40. プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、 前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端子に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、前記整合回路がその内部に収納されるとともに前記プラズマ処理室のチャンバ壁と同電位となっている導電体からなるマッチングボックスと、を具備するプラズマ処理装置が複数設けられたプラズマ処理システムを、搬送元にて分解後、納入先に搬送して、該納入先にて再組み立てした後のプラズマ処理システムの性能管理システムであって、
    出力装置を備えたサーバーと、このサーバーと通信回線で接続された納入先入出力装置とを備え、
    前記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と対となり協働してプラズマを発生する電極との間のプラズマ電極容量C の、納入後における値Ce1を、各々のプラズマ処理装置の固有番号と共に前記納入先入出力装置から受信し、この値Ce1の値のばらつきCe1rが、その最大値Ce1maxと最小値Ce1minによって、
    e1r=(Ce1max−Ce1min)/(Ce1max+Ce1min
    と定義され、このCe1rの値が0.1以上である場合に、前記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Ce 1max又は最小値Ce 1minを与えたプラズマ処理装置の固有番号と共に出力し、
    前記サーバーは、前記マッチングボックスを除いた状態において、前記複数のプラズマ処理装置においてそれぞれ測定した、前記高周波電源の接続された電極と直流的にアースされた各接地電位部との間の容量C の納入後における値Cx1を、各々のプラズマ処理装置の固有番号と共に前記納入先入出力装置から受信し、この値Cx1の値のばらつきCx1rが、その最大値Cx1maxと最小値Cx1minによって、
    x1r=(Cx1max−Cx1min)/(Cx1max+Cx1min
    と定義され、
    該Cx1rの値が0.1以上の場合に、前記出力装置から、保守作業命令を当該最大値Cx1max又は最小値Cx1minを与えたプラズマ処理装置の固有番号と共に出力することを特徴とするプラズマ処理システムの性能管理システム。
  41. 前記プラズマ電極容量C と前記容量C とが、いずれも非プラズマ発光時の値であることを特徴とする請求項38乃至40のいずれか一項に記載のプラズマ処理システムの性能管理システムの性能評価方法。
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