JP3669609B2 - 塗膜保護用シート - Google Patents

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光義 白井
満 洞田
剛 井上
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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、初期接着性と長期接着後の剥離性に優れて、自動車のボディーや部品、塗装鋼板等の表面保護に好適な塗膜保護用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装を終えた自動車ないしその部品等をトラックや船に荷積して海外等の遠隔地に移送する際などにおける塵や埃、雨や石粒等の浮遊物ないし衝突物による塗膜の損傷や艶ボケないし変色等を予防する手段が求められている。
【0003】
従来、かかる予防手段としてワックス系塗膜材料を5〜20μm厚で塗布したものが知られていた。しかしながら、ワックス塗膜を均一厚に形成することが困難で一様な塗膜が得られにくく、汚れやすいことや酸性雨に弱いこと、さらにはワックス塗膜の付与とその除去に多大な労力を要し、溶剤の使用や廃液の処理等の環境問題を誘発しやすいことなどの問題点があった。
【0004】
一方、支持基材上に粘着層を設けてなる塗膜保護用の種々の表面保護用シートも知られている。かかるシート方式によれば前記した問題点は克服しうる。しかしながら、夏場などの屋外暴露では屋根部の温度が80℃以上にも達するとされる前記の自動車用途の如く、屋外の高温下に長期間放置される用途にあっては、紫外線等による強度や柔軟性等の劣化、接着力の経日上昇などにより塗膜に接着した保護用シートを剥離することが困難になる問題点があった。
【0005】
【発明の技術的課題】
本発明は、塗膜への接着に際して良好な初期接着性を示すと共に、その接着力が経日上昇しにくくて屋外の高温下に長期間放置した場合にも糊残りなく容易に剥離できる塗膜保護用シートの開発を課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明は、エチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部にシリコーンオイル0.005〜0.5重量部を配合した粘着層を支持基材に設けてなることを特徴とする塗膜保護用シートを提供するものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、シリコーンオイルの配合でエチレン・酢酸ビニル共重合体の接着力を低下させて塗膜に対する接着力を制御でき、塗膜への接着時における良好な初期接着性を達成しつつ、接着力の経日上昇を抑制して屋外の高温下に長期間放置した場合にも糊残りなく容易に剥離できる塗膜保護用シートを得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の塗膜保護用シートは、エチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部にシリコーンオイル0.005〜0.5重量部を配合した粘着層を支持基材に設けたものからなる。
【0009】
エチレン・酢酸ビニル共重合体としては、接着力と流動性による糊残りを生じない剥離性とのバランスなどの点より、酢酸ビニル含有量が4〜60重量%、就中10〜55重量%、特に15〜50重量%のものが好ましく用いうる。エチレン・酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量等が異なる異種のものを2種以上併用することができる。
【0010】
シリコーンオイルの配合は、上記のように接着力の低下や高温下での接着力の経日上昇の抑制などを目的とするが、これは接着力に乏しく熱に対して安定なシリコーンオイルが、エチレン・酢酸ビニル共重合体との相溶性等の関係で粘着層の表面、従って塗膜との接着界面に配向しやすいことによるものと考えられる。
【0011】
シリコーンオイルとしては、適宜なものを1種又は2種以上用いてよいが、前記の点よりは下記の一般式(A),(B),(C)で表されるジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキサンやメチルハイドロジェンポリシロキサン、あるいはそれらの変性体などが好ましく用いうる。
【0012】
Figure 0003669609
【0013】
また前記の変性体としては、例えば種々の官能基の導入により水への溶解性、相溶性、反応性等を改良したものなどの適宜なものを用いうる。ちなみにその例としては、エポキシ系やアルキル系、アミノ系やカルボキシル系、アルコール系やフッ素系、アルキル・アラルキルポリエーテル系やエポキシ・ポリエーテル系、ポリエーテル系などの変性体があげられる。
【0014】
シリコーンオイルの具体例としては、SH−200やSH−203、SH−340やSH−3746、SF−8411やSF−8417、SF−8418やSF−8419、SF−8421やSF−8427、SF−1265(いずれも商品名、トーレ・シリコーン社製)、TSF−400やTSF−401、TSF−4300やTSF−4445、TSF−4446やTSF−4452、TSF−4460やTSF−4700(いずれも商品名、東芝シリコーン社製)、KP−301やKP−310、KP−316やKP−321、KP−322やKP−330、KP−354やKP−390(いずれも商品名、信越化学工業社製)などがあげられる。
【0015】
シリコーンオイルの配合量は、エチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部あたり、0.005〜0.5重量部とされる。その配合量が0.005重量部未満では配合効果に乏して接着力が経日上昇しやすくなり、また塗膜に対する保護用シートの接着力が1000g/20mmを超えるなどして剥離性に乏しくなる。一方、前記の配合量が0.5重量部を超えると接着力の低下が大きく、塗膜に対する保護用シートの接着力が100g/20mm未満となるなどし、自動車等に接着して走行すると自然に剥離する問題が生じやすくなる。
【0016】
塗膜に対する保護用シートの好ましい接着力は、100〜1000g/20mm、就中110〜850g/20mm、特に130〜700g/20mmであり、かかる点よりシリコーンオイルの好ましい配合量は、エチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部あたり、0.45重量部以下、就中0.01〜0.4重量部である。
【0017】
塗膜保護用シートの形成は例えば、シリコーンオイルとエチレン・酢酸ビニル共重合体を配合した溶剤による溶液や熱溶融液を支持基材に塗布する方法や、セパレータ上に塗布形成した粘着層を支持基材に移着する方法、シリコーンオイル配合のエチレン・酢酸ビニル共重合体を支持基材上に押出成形塗布する方法、シリコーンオイル配合のエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる粘着層と支持基材を二層押出方式等で成形して積層する方法、就中それらが溶融状態にあるうちに積層する方法などの、公知の接着シートの形成方法に準じて行うことができる。
【0018】
形成する粘着層の厚さは適宜に決定してよく、一般には100μm以下、就中1〜50μm、特に3〜20μmとされる。粘着層は必要に応じて、実用に供されるまでの間、セパレータなどを仮着して保護される。
【0019】
塗膜保護用シートの形成に際しては、必要に応じて粘着層に、例えばポリマー類や粘着付与剤、軟化剤や安定剤、顔料や充填剤、老化防止剤や紫外線吸収剤などの粘着剤で公知の適宜な添加剤を配合することができる。
【0020】
ちなみに前記のポリマー類や粘着付与剤は、接着特性の制御等を目的に配合されるものである。そのポリマー類としては、例えばイソブチレンホモポリマーやイソブチレン・イソプレンコポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸エステルやポリブタジエン、ポリスチレンやポリイソプレン、ポリα-オレフィンや天然ゴム、ポリエステルやポリウレタン、ポリアクリロニトリルやポリアミド、アクリル系コポリマーなどがあげられる。
【0021】
前記のアクリル系コポリマーとしては、例えばエチル基や(n,i,t−)ブチル基や2−エチルヘキシル基などで代表される炭素数が1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上を、必要に応じ(メタ)アクリルアミドの如きアクリル系粘着剤で公知の共重合性モノマーと共に溶液重合等の適宜な方式で重合処理したものなどが用いうる。
【0022】
一方、粘着付与剤としては、例えば炭化水素系樹脂やアルキルフェノール系樹脂、テルペン系樹脂やエポキシ系樹脂、クマロンインデン系樹脂やロジン系樹脂、石油系樹脂などの粘着剤で公知の適宜なものを用いうる。また軟化剤としても、例えばプロセスオイルや石油系軟化剤などの適宜なものを用いうる。さらに充填剤ないし顔料としても、例えば酸化カルシウムや酸化マグネシウム、シリカや酸化亜鉛、酸化チタンなどの適宜なものを用いうる。
【0023】
粘着層を付設する支持基材としては、塗膜保護用シートの使用目的などに応じて適宜なものを用いてよい。一般には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステルの如きプラスチックからなるフィルムや、通気性等を有する多孔質フィルム、紙や不織布などが用いられる。支持基材の厚さは5〜300μm、就中20〜100μmが一般的であるが、これに限定されない。
【0024】
なお支持基材の粘着層付設面には、例えばコロナ処理や火炎処理、プラズマ処理やスパッタエッチング処理、プライマー等の下塗り処理などの、粘着層の密着力の向上等を目的とした表面処理を必要に応じて施すこともできる。また支持基材の粘着層を付設しない面に対しては、巻戻しが容易な巻回体の形成などを目的に例えばシリコーン系や長鎖アルキル系やフッ素系などの適宜な剥離剤からなるコート層を設けることもできる。さらにスリップ剤や帯電防止剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの適宜な添加剤を配合した支持基材とすることもできる。
【0025】
本発明の塗膜保護用シートは、上記した如くその粘着層が良好な初期接着性を示すと共に接着後における接着力の経日変化が小さく、目的達成後の剥離作業を容易に行うことができる。また実用上満足できる耐候性を有して日光暴露等で劣化しにくく、運搬時や施工時等に屋外に長期放置されても粘着特性が劣化しにくくて糊残りなく能率的に剥離することができる。
【0026】
従って本発明による塗膜保護用シートは、例えばポリエステル・メラミン系やアルキッド・メラミン系、アクリル・メラミン系やアクリル・ウレタン系などの塗膜で塗装処理された自動車のボディーやその部品、あるいは鋼板等の金属板やその成形品などからなる被着体に対する微小物の衝突や薬品等からの表面保護などに好ましく用いられる。特に、屋外移送等で温度上昇が伴う場合や、長期間接着しておく場合に有利に用いることができる。
【0027】
【実施例】
実施例1
MFR(190℃、2.16kgf、g/10分;JIS K 6730)が100で酢酸ビニル含有量が45重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体100部(重量部、以下同じ)とジメチルポリシロキサン(SH−200)0.03部を溶解させたトルエン溶液を、ポリプロピレン/ポリエチレン(1部/9部)93部と酸化チタン7部の混合物からなる厚さ40μmのフィルム上に予め設けたスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(シェル化学社製、クレイトンG−1657)のトルエン溶液の塗布層からなる厚さ1μmの下塗り層の上に塗布して80℃で3分間乾燥処理し、厚さ10μmの粘着層を有する塗膜保護用シートを得た。
【0028】
実施例2
ジメチルポリシロキサンの配合量が0.4部の粘着層としたほかは実施例1に準じて塗膜保護用シートを得た。
【0029】
実施例3
MFRが15で酢酸ビニル含有量が15重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体100部にアルキル・アラルキルポリエーテル変性シリコーンオイル(SF−8419)0.01部を配合した混合物と、ポリプロピレン/ポリエチレン(1部/9部)93部と酸化チタン7部の混合物をそれぞれ別個のホッパーに供給して個々の加熱スクリュ押出機を介し溶融押出し、それらをダイス出口直前で溶融状態下に積層する二層押出成形方式で、厚さ60μmの支持基材の片面に厚さが20μmの粘着層を有する塗膜保護用シートを得た。
【0030】
実施例4
シリコーンオイルの配合量が0.2部の粘着層としたほかは実施例3に準じて塗膜保護用シートを得た。
【0031】
比較例1
ジメチルポリシロキサンが無配合の粘着層としたほかは実施例1に準じて塗膜保護用シートを得た。
【0032】
比較例2
シリコーンオイルの配合量が0.8部の粘着層としたほかは実施例3に準じて塗膜保護用シートを得た。
【0033】
評価試験
実施例、比較例で得た塗膜保護用シートについて下記の特性を調べた。
初期接着性
ガラス転移点90℃のポリエステル・メラミン塗膜を有する塗装板に塗膜保護用シート(幅25mm)を23℃にて2kgのゴムロールを一往復させて接着し、30分間経過後に塗膜保護用シートを剥離して接着力(180度ピール、剥離速度300mm/分、以下同じ)を調べた。
【0034】
剥離性
前記の初期接着性試験に準じて、塗装板に塗膜保護用シートを接着し、それを沖縄県内の屋外に6ヵ月間暴露した後、23℃下に30分間放置して接着力を調べた。
【0035】
剥離作業性
前記の剥離性試験に準じて、アクリル・メラミン塗膜を有する1m角の塗装板に接着して屋外に6ヵ月間暴露した後の塗膜保護用シートを剥離除去し、その際の作業性を下記の基準で評価した。
良好:スムーズに糊残りなく剥離できた場合
困難:接着力が非常に大きく、剥離が困難であった場合
【0036】
前記の結果を次表に示した。
Figure 0003669609
【0037】
表より、実施例の塗膜保護用シートでは、適度な初期接着力を示すと共に、長期接着後に糊残りなく容易に剥離できることがわかる。しかしシリコーンオイル無配合の比較例1では、接着力の経日上昇が大きくて長期接着後に剥離が困難となり、比較例2ではシリコーンオイルの配合量が過多で接着力に乏しく、自動車に接着して走行した場合に自然剥離するおそれのあることがわかる。

Claims (1)

  1. エチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部にシリコーンオイル0.005〜0.5重量部を配合した粘着層を支持基材に設けてなることを特徴とする塗膜保護用シート。
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