JP3669052B2 - 離散コサイン変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードウエアで構成される離散コサイン変換装置に関するもので、詳しくは、入力データを絶対値と正負の符号に分離し、数値演算と符号演算とを別々に行なう構成にすることで正負の符号を有する乗算回路の回路規模を縮小し、消費電力を低減するとともに高速動作を可能にした離散コサイン変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
離散コサイン変換(DCT)は、JPEG,MPEG等の符号化標準規格で採用されている。これらの規格で採用された離散コサイン変換(DCT)は、そのサイズが8×8画素である。ハードウエアで構成される2次元離散コサイン変換装置は、同じ回路設計ですむことから、1次元離散コサイン変換を2回繰り返す構成をとることが多い。
【0003】
係る離散コサイン変換(DCT)には、いくつかの高速算法がある。高速算法の代表的なものとして、チャンのアルゴリズムが知られている。(W.H.Chen,C.H.Smith and S.C.Fralick,”A FastComputational Algorithm for the Discrete Cosine Transform”,IEEE Trans.Comm.,Vol.COM−25,No.9,pp.1004−1009,Sep.1977.)
図3は、従来の2次元離散コサイン変換装置のブロック構成図である。従来の2次元離散コサイン変換装置101は、2組の1次元DCT回路102,104と、転置回路103とから構成される。8×8画素のブロックに分割された入力データは、前段の1次元DCT回路102によって1次元離散コサイン変換がなされ、転置回路103によって水平、垂直方向の入れ替えがなされ、さらに、後段の1次元DCT回路104によって1次元離散コサイン変換がなされる。
【0004】
図4は、この従来の1次元DCT回路のブロック構成図である。従来の1次元DCT回路102,104は、データ選択回路部105と、複数の演算器106〜109と、セレクタ110と、システムカウンタ111とを備える。データ選択回路部105は、シフトレジスタ121と、演算処理データセレクタ122と、入力データ加算器123とを備える。各演算器106〜109は、入力レジスタ131と、係数発生器132と、符号付乗算器133と、加算器135と、出力レジスタ136とを備える。
【0005】
入力データは、データ選択部105内のシフトレジスタ121へ入力される。演算処理データセレクタ122は、上記チャン(W.H.Chen)のアルゴリズムにしたがって、シフトレジスタ121から2つのデータを選択する。演算処理データセレクタ122で選択された2つのデータは、入力データ加算器123で加算される。入力データ加算器123での加算結果123aは、演算器106内の入力レジスタ131へ供給される。入力レジスタ131の出力側のデータライン137は、パイプライン構造となっており、他の演算器107,108,109へ順次データが流れるようになっている。
【0006】
係数発生器132は、システムカウンタ111のカウント値111aに基づいて、カウント値111aに対応して予め設定した乗算係数132aを出力する。符号付乗算器133は、データライン137を介して供給される正負の符号付きデータと係数発生器132から供給される乗算係数132aとを乗算する。符号付乗算器133の乗算結果133aは、加算器135へ供給される。
【0007】
加算器135は、出力レジスタ136の記憶値136aと乗算結果133aとを加算する。加算結果135aは、出力レジスタ136に格納される。出力レジスタ136の記憶値136aと乗算結果133aとを加算器135で加算することで、乗算結果の累積加算がなされる。出力レジスタ136の記憶値136aは、システムカウンタ111のカウンタ値111aに基づいてリセットされる。各演算器106〜109の各出力は、セレクタ110に供給される。セレクタ110は、システムカウンタ111のカウンタ値111aに基づいて各演算器106〜109の出力を選択し、出力データとして出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の2次元離散コサイン変換装置101内の、1次元DCT回路102,104では、データ選択回路部105から出力される正負の符号がついたデータを各演算器106〜109へ供給している。各演算器106〜109内の符号付乗算器133は、正負の符号による場合分けを行なって演算を行なう必要がある。このため従来の2次元離散コサイン変換装置101は、符号付乗算器133の回路規模が大きくなり、それに伴い消費電力の増大、処理スピードの低下を招いていた。
【0009】
この発明はこのような課題を解決するためなされたもので、乗算に要する回路規模を縮小し、消費電力を低減するとともに高速動作を可能にした離散コサイン変換装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためこの発明に係る離散コサイン変換装置は、入力データを絶対値と正負の符号とに分離する絶対値化回路と、入力データの絶対値と演算係数との乗算を行なった後に、システムカウンタ値と符号とに基づいて符号演算を行なって正負の符号付き演算結果を出力する演算器とを備えたことを特徴とする。
【0011】
以上のように構成されたこの発明に係る離散コサイン変換装置は、乗算と正負の符号演算とを分けて行なう構成にすることで、符号付乗算器よりも回路規模を減少させることができる。よって、離散コサイン変換装置は、演算器の回路規模を縮小し、低消費電力化ならびに動作の高速化が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る2次元離散コサイン変換装置のブロック構成図である。2次元離散コサイン変換装置1は、2組の1次元DCT回路2,4と、転置回路3とから構成される。8×8データのブロックに分割されたデータ入力は、前段の1次元DCT回路2によって1次元離散コサイン変換がなされ、転置回路3によって水平、垂直方向の入れ替えがなされ、さらに、後段の1次元DCT回路4によって1次元離散コサイン変換がなされる。なお、以上の基本構成は、従来のものと同じである。
【0013】
図2は、2次元離散コサイン変換装置1の1次元DCT回路のブロック構成図である。1次元DCT回路2,4は、データ選択回路部5と、複数の演算器6〜9と、セレクタ10と、システムカウンタ11と、絶対値化回路12とから構成されている。
【0014】
データ選択回路部5は、シフトレジスタ21と、演算処理データセレクタ22と、入力データ加算器23とを備える。各演算器6〜9は、入力レジスタ31と、係数発生器32と、乗算器33と、符号演算器34と、加算器35と、出力レジスタ36とを備える。
【0015】
データ選択回路部5内のシフトレジスタ21には、符号付データである入力データが入力される。このシフトレジスタ21は、複数ビットからなる符号付の入力データが供給されるたびに、供給された入力データを順次シフトさせて一時記憶する。演算処理データセレクタ22は、チャン(W.H.Chen)のアルゴリズムにしたがって、シフトレジスタ21から2つのデータを選択する。演算処理データセレクタ22で選択された2つのデータ22a,22bは、入力データ加算器23へ供給されて加算される。入力データ加算器23での加算結果23aは、絶対値化回路12へ供給される。
【0016】
絶対値化回路12は、データ選択回路部5から供給される正負の符号付きデータ23aを絶対値データ12aと正負の符号12bとに分離して出力する。分離された絶対値データ12aならびに正負の符号12bは、演算器6内の入力レジスタ31へ供給され、入力レジスタ31に一時記憶される。入力レジスタ31に一時記憶された絶対値データ12aならびに正負の符号12bは、データライン37へ供給される。データライン37はパイプライン構造となっており、演算器6と同様な回路構成である各演算器7,8,9へと順次データが流れていく。
【0017】
係数発生器32は、システムカウンタ11のカウント値11aと乗算係数との対応テーブル等を備える。係数発生器32は、システムカウンタ11から供給されるカウント値11aに基づいて、カウント値11aに対応して予め設定された乗算係数32aを出力する。乗算器33は、入力レジスタ31から出力される絶対値データ31aと係数発生器32から出力される乗算係数32aとの乗算を行なう。乗算結果33aは、符号演算器34へ供給される。
【0018】
符号演算器34は、システムカウンタ11のカウント値11aと入力レジスタ31から供給される正負の符号31bとに基づいて、乗算結果33aの正負の符号を決定し、正負の符号付きの乗算結果34aを出力するよう構成している。正負の符号付きの乗算結果34aは、加算器35へ供給される。
【0019】
加算器35は、出力レジスタ36の記憶値36aと符号付きの乗算結果34aとを加算する。加算結果35aは、出力レジスタ36に格納される。出力レジスタ36の記憶値36aと符号付きの乗算結果34aとを加算器35で加算することで、符号付きの乗算結果34aの累積加算がなされる。出力レジスタ36の記憶値36aは、システムカウンタ11のカウンタ値11aに基づいてリセットされる。
【0020】
各演算器6〜9の各出力は、セレクタ10に供給される。セレクタ10は、システムカウンタ11のカウント値11aに基づいて各演算器6〜9の出力を選択し、出力データとして出力する。
【0021】
以上のように1次元DCT回路2,4は、データ選択回路部5から出力される正負の符号付きの加算結果23aを絶対値化回路部12で絶対値12aと正負の符号12bに分離して各演算器6〜9へ供給し、各演算器6〜9内では乗算器33によって絶対値12aと乗算係数32aとの乗算を行なった後に、符号演算器34で正負の符号を演算して正負の符号付きの乗算結果34aを出力する構成としているので、従来の符号付乗算器よりも乗算に要する回路規模を縮小することができる。
【0022】
なお、2次元離散コサイン変換装置1においては、図2に示すように、データ選択回路部5と各演算器6〜9との間に絶対値化回路12を介設して構成したが、データ選択回路部5の前段に絶対値化回路12を配置して、入力データを絶対値と正負の符号との分離した後に、分離した絶対値と正負の符号とをデータ選択回路部5へ供給する構成としてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明に係る離散コサイン変換装置は、入力データを絶対値と正負の符号とに分離する絶対値化回路と、入力データの絶対値と演算係数との乗算を行なった後に、システムカウンタ値と正負の符号とに基づいて符号演算を行なって正負の符号付き演算結果を出力する演算器とを備え、乗算と正負の符号演算とを分けて行なう構成にしたので、符号付乗算を行なう従来構成のものよりも乗算に要する回路規模を減少させることができる。よって、演算器の回路規模を縮小し、低消費電力化ならびに動作の高速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る2次元離散コサイン変換装置のブロック構成図である。
【図2】この発明に係る1次元DCT回路のブロック構成図である。
【図3】従来の2次元離散コサイン変換装置のブロック構成図である。
【図4】従来の1次元DCT回路のブロック構成図である。
【符号の説明】
1 2次元離散コサイン変換装置、2,4 1次元DCT回路、3 転置回路、5 データ選択回路部、6〜9 演算器、10 セレクタ、11 システムカウンタ、11a カウンタ値、12 絶対値化回路、31 入力レジスタ、32係数発生器、33 乗算器、34 符号演算器、35 加算器、36 出力レジスタ、37 データライン
Claims (1)
- 入力データを絶対値と正負の符号とに分離する絶対値化回路と、
上記入力データの絶対値と演算係数との乗算を行なった後に、システムカウンタ値と上記入力データの符号とに基づいて符号演算を行なって正負の符号付き演算結果を出力する演算器と
を備えたことを特徴とする離散コサイン変換装置。
Priority Applications (1)
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JP13367196A JP3669052B2 (ja) | 1996-05-28 | 1996-05-28 | 離散コサイン変換装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
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JPH09319732A JPH09319732A (ja) | 1997-12-12 |
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CN114329330A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-04-12 | 上海阵量智能科技有限公司 | 数据处理装置、方法、芯片、计算机设备及存储介质 |
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- 1996-05-28 JP JP13367196A patent/JP3669052B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09319732A (ja) | 1997-12-12 |
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