JP3668987B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接続用のケーブルを持つ電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
接続用のケーブルが導出される電子機器において、このケーブルを収納する場合、従来一般に広く用いられていた方法は、図1に示す如く電子機器1の一部に箱状の収納部2を設け、この収納部2に束ねたケーブル3を収納する方法である。
しかし、この方法は収納部として大きなスペースを必要とするため、小型の電子機器には向かなかった。
【0003】
そこで、一部の小型電子機器では、図2に示す如く機器1の筐体の背面や底面等に、ケーブル3の太さと略等しい溝幅の収納溝4を設け、そこにケーブル3を嵌め込むようにして収納する方法が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、電子機器から導出されるケーブル3の長さと、電子機器側の収納溝4の長さとを一致させる必要があるが、ケーブル作製時の長さのばらつき(例えば485mmのケーブルで、±15mm程度)と組み立て時のばらつきを考えると、両者の長さを一致させることは難しい。
【0005】
これを一致させるためには、ケーブル作製時の厳密な寸法管理を必要とするのでケーブルのコストアップにつながり、また機器の組み立て時には検査治具を必要とすると共に、この検査のための工数増加により、さらなるコストアップを招くことになる。
本発明は斯る点に鑑みてなされたもので、ケーブルの長さのばらつきを効果的に吸収できる構造を提供し、上記の問題点を解消することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、
一端にコネクタ部を有するケーブルを備えた電子機器において、
コネクタ部を収納可能なように凹部が形成されたコネクタ収納部と、
ケーブルを嵌め込んで収納可能なように凹部がケーブルの導出部位からコネクタ収納部まで連続して形成された第1のケーブル収納溝部と、
この第1のケーブル収納溝部の途中から電子機器の側面に開放するように連続して凹部が形成された第2のケーブル収納溝部と、
第1のケーブル収納溝部の途中にケーブルの太さより大きい開口寸法を有しケーブルの長さのばらつきを吸収可能なように形成された長さ吸収用凹部と、
を備えてなるものである。
【0007】
【作用】
上記の如く構成される本発明の電子機器においては、ケーブルを収納溝部に収納する際にケーブルを長さ吸収用凹部において屈曲して弛ませた状態で収納することにより、ケーブルの長さのばらつきを効果的に吸収することができる。
【0008】
【実施例】
以下、図3〜図7を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
【0009】
図3は情報処理装置のシステムの全体を示し、即ちこの図3において10は情報処理装置の本体、11はこの情報処理装置10にデータを入力するためのキーボードである。
このキーボード11からは接続用のケーブル12が導出され、さらにこのケーブル12の先端部にはコネクタ13が取り付けられている。
【0010】
そしてこのコネクタ13を、情報処理装置10の側面に設けられた入力端子部14に結合することにより、キーボード11と情報処理装置10との間が電気的に接続され、即ちキーボード11の上面のキー11aを操作することによって情報処理装置10にデータが入力されるようになっている。
【0011】
このキーボード11は、データを入力しないときや、携帯するときには、ケーブル12(コネクタ13を含む)を筐体の底面側に収納できる構造となっている。
【0012】
図4はこのキーボード11を底面側から見た図である。
尚、15a及び15bは脚で、キーボード11を使用するときには必要に応じてこの脚を起立させることによりキーボード11を傾斜状に置いた状態で使用するものである。
【0013】
そしてこの図4において明らかなように、キーボード11の筐体の底面には、ケーブル12を収納するための凹部である収納溝(第1のケーブル収納溝部)16と、コネクタ13を収納するための収納凹部(コネクタ収納部)17とが連続して形成されている。
尚、本例のキーボード11では、ケーブル12はコネクタ用の収納凹部17の部分から導出されている。
【0014】
ケーブル用の収納溝16は、コネクタ用の収納凹部17を介して連続した枠形状に形成されており、かつその長さは、キーボード11から導出されるケーブル12の長さと略等しく形成されている。
またこの収納溝16は、ケーブル12をきっちりと嵌め込んで収納できるように、ケーブル12の太さ(外径)と略等しい溝幅及び深さに形成されている。
【0015】
さらにキーボード11の筐体の底面には、収納溝16に連続して二本のガイド溝(第2のケーブル収納溝部)18及び19が形成されている。
【0016】
これらのガイド溝18,19もまた収納溝16と同様にケーブル12の太さと略等しい溝幅及び深さを有し、一方のガイド溝18はキーボード11の背側面に開放され、もう一方のガイド溝19はキーボード11の横側面に開放されている。
【0017】
そしてキーボード11を使用するときの使い勝手に応じて、ケーブル12を収納溝16から第1のガイド溝18に嵌め込んでキーボード11の背面側に引き出す状態(図5A)と、ケーブル12を収納溝16から第2のガイド溝19に嵌め込んでキーボード11の側面に引き出す状態(図5B)とを選択できる構造となっている。
【0018】
図6はケーブル12を収納した状態を示している。
このケーブル収納状態では、ケーブル12が収納溝16にぴったりの長さで収まるのが理想的であるが、実際にはケーブル12の長さのばらつきにより、簡単には行かない。
【0019】
そこでこの対策としてキーボード11の筐体の底面においては、収納溝16の一部に、ケーブル12の長さのばらつきを吸収するための長さ吸収用凹部20が収納溝16と連続して同じ深さで形成されている。
【0020】
この長さ吸収用凹部20は、収納溝16の溝幅即ちケーブル12の太さよりも大きい開口寸法を有し、特に本例では人の指が充分に入る程度の大きさの円形状に形成されており、これが収納溝16のコーナー部分に3箇所設けられている。
【0021】
この長さ吸収用凹部20におけるケーブル12の長さのばらつきの吸収状態を図7に示す。
即ち、先ずケーブル12の長さが比較的短い場合は、図7Aに示す如くケーブル12は収納溝16に沿ってぴったりと収納される。
これより若干長いケーブルの場合は、同図Bのようにケーブル12を長さ吸収用凹部20においてU字状に屈曲して弛ませた状態で収納溝16に嵌め込んで収納する。
さらにこれよりも長いケーブルの場合には、同図Cの如くケーブル12を長さ吸収用凹部20の全体を使って大きく弛ませた状態で収納溝16に嵌め込んで収納する。
【0022】
このようにケーブル12の長さのばらつきに応じて長さ吸収用凹部20を利用してケーブル12を弛ませた状態で収納することにより、ケーブル12の長さのばらつきを効果的に吸収することができ、その結果ケーブル12を確実に収納溝16に収納することができる。
【0023】
またケーブル12を収納溝16から取り外すときには、長さ吸収用凹部20に指先を差し込んでケーブル12をつまみ出すことにより、簡単に取り外すことができる。
【0024】
以上が本発明の最も好適な実施例である。
本例のキーボード11は、筐体の一部にケーブル12を収納することにより、携帯性の向上、ケーブルの損傷防止など、多くの利益が生じる。さらにこのキーボード11は、筐体の底面側に平面的にケーブル12を収納する構造としたことにより、ケーブルの収納スペースに深さを要しないため、小型薄型化に一層有利である。
【0025】
そしてこのキーボード11におけるケーブル12の収納構造は、収納溝16の一部に長さ吸収用凹部20を設けたことにより、ケーブル12の長さを効果的に吸収できるので、ケーブル12の作製時には厳密な寸法管理を必要とせず、従ってケーブルには従来と同じものを用いることができ、追加部品も一切不要であるため、部品コストが増加することはない。また機器の組み立て時においても特別な配慮を必要としないので、製造コストが増加することもない。
【0026】
また、本例では長さ吸収用凹部20を収納溝16のコーナー部分に設けたことにより、この長さ吸収用凹部20においてケーブル12の長さのばらつきを吸収する際にケーブル12を弛ませ易く、扱いが容易であり、しかもこの長さ吸収用凹部20は3箇所に設けてあるのでケーブル12の長さのばらつきが大きくても充分に対応することができる。
【0027】
さらにこの長さ吸収用凹部20は、ケーブル12を収納溝16から取り外す際に指を差し込んでつまみ出す目的も兼ねており、このような目的の凹部は一般にも見られることを考慮すると、長さ吸収用凹部20を設けたことで特に余分なスペースを取るということもなく、さらにデザイン的にもすっきり仕上げられる点もこの構造の利点の一つである。
【0028】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこの実施例の構成に限定されるものではない。
特に長さ吸収用凹部20の形状や形成箇所は、実施例に限ることなく種々の変化変更が可能である。
また本発明は例示したキーボードに限ることなく、ケーブルを有する各種の電子機器に広く適用可能であることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明で明らかな如く本発明の電子機器は、ケーブルが収納される第1のケーブル収納溝部の途中に長さ吸収用の凹部を設け、この凹部においてケーブルを弛ませた状態で収納することにより、ケーブルの長さのばらつきを吸収するようにしたものである。
【0030】
そしてこの発明によれば、機器の小型薄型化を阻害することもコストを増加させることもなくケーブルの長さのばらつきを効果的に吸収し、ケーブルを確実に収納溝部に収納することができる。
【0031】
また本発明では、電子機器の使用時にはその使用状況に応じてケーブルを第2のケーブル収納溝部に嵌め込んで引き出すことができるので、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の説明図である。
【図2】他の従来例の説明図である。
【図3】情報処理装置のシステムの説明図である。
【図4】本発明の実施例を示す図で、電子機器(キーボード)を底面側から見た斜視図である。
【図5】同、ケーブルの引き出し状態の説明図である。
【図6】同、ケーブルを収納した状態である。
【図7】同、ケーブルの長さのばらつきを吸収する状態の説明図である。
【符号の説明】
11 キーボード(電子機器)
12 ケーブル
13 コネクタ
16 収納溝(第1のケーブル収納溝部)
17 コネクタ用の収納凹部(コネクタ収納部)
18,19 ガイド溝(第2のケーブル収納溝部)
20 長さ吸収用凹部

Claims (4)

  1. 一端にコネクタ部を有するケーブルを備えた電子機器において、
    上記コネクタ部を収納可能なように凹部が形成されたコネクタ収納部と、
    上記ケーブルを嵌め込んで収納可能なように凹部が上記ケーブルの導出部位から上記コネクタ収納部まで連続して形成された第1のケーブル収納溝部と、
    上記第1のケーブル収納溝部の途中から上記電子機器の側面に開放するように連続して凹部が形成された第2のケーブル収納溝部と、
    上記第1のケーブル収納溝部の途中に上記ケーブルの太さより大きい開口寸法を有し上記ケーブルの長さのばらつきを吸収可能なように形成された長さ吸収用凹部と、
    を備えることを特徴とする電子機器。
  2. 上記第2のケーブル収納溝部の途中に上記ケーブルの太さより大きい開口寸法を有し上記ケーブルの長さのばらつきを吸収可能なように形成された長さ吸収用凹部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
  3. 上記コネクタ収納部は、上記ケーブルの導出部位に隣接し連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
  4. 一端にコネクタ部を有するケーブルを備えた電子機器において、
    上記コネクタ部を収納可能なように凹部が形成されたコネクタ収納部と、
    上記ケーブルを嵌め込んで収納可能なように凹部が上記ケーブルの導出部位から上記コネクタ収納部まで連続して形成された第1のケーブル収納溝部と、
    上記第1のケーブル収納溝部の途中から上記電子機器の側面に開放するように連続して凹部が形成された第2のケーブル収納溝部と、
    を備えることを特徴とする電子機器。
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