JP3668585B2 - 亜酸化窒素の製造方法 - Google Patents

亜酸化窒素の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3668585B2
JP3668585B2 JP07388097A JP7388097A JP3668585B2 JP 3668585 B2 JP3668585 B2 JP 3668585B2 JP 07388097 A JP07388097 A JP 07388097A JP 7388097 A JP7388097 A JP 7388097A JP 3668585 B2 JP3668585 B2 JP 3668585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide
degrees
catalyst
reaction
ammonia
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP07388097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10167710A (ja
Inventor
英昭 中村
謙二 藤原
寛 加藤
進 吉永
和生 腋村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP07388097A priority Critical patent/JP3668585B2/ja
Publication of JPH10167710A publication Critical patent/JPH10167710A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3668585B2 publication Critical patent/JP3668585B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は亜酸化窒素の製造方法に関する。詳しくは、アンモニアを水蒸気の存在下に酸素で酸化して亜酸化窒素を製造する方法および該方法に用いられる触媒に関する。亜酸化窒素は麻酔ガスやロケット燃料用支燃剤あるいは半導体洗浄剤として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、亜酸化窒素の製造方法としては、(1)アンモニア酸化法、(2)硝酸アンモニウム分解法、(3)スルファミン酸と硝酸との反応による方法、等が知られてい る。この内、アンモニア酸化法(1)は原料が安価なアンモニアと酸素であり、ま た、高収率が得られるために工業的には好ましい方法である。
【0003】
アンモニア酸化法で触媒活性がある触媒としてCuO-MnO2系、Bi2O3系、Mn2O3-Bi2O3系等いくつかの触媒が古くから知られている。しかし、例えば、触媒工学講座10(地人書館、1967)412頁にはCuO-MnO2は水に弱く、水蒸気によって被毒さ れることが記載されている等ほとんどが数時間〜数ヶ月で劣化することも知られており、実用的な触媒とはなっていない。
【0004】
この触媒劣化対策として、触媒の再生方法が提案されている(特公昭30-1 225号公報参照)。また、例えば、触媒調製時の硝酸アンモニウムを完全に洗浄して劣化しにくい実用的な触媒の調製方法が開示され、このようにして調製されたMn2O3-Bi2O3が実用化されている(諏訪佑他、工業化学雑誌、64、1879(1961)参照)。
【0005】
アンモニア酸化法の中でも水蒸気の存在下、アンモニアと酸素を反応させる製造方法は高濃度の亜酸化窒素を直接製造でき、安全で工業的に好ましい方法である(特開平5−58607、同5−139710、同6−122505、同6−122506、同6−122507各号公報参照)。この中ではCuO-MnO2系、Bi2O3系、Fe2O3-Bi2O3-MnO2系、MnO-CoO-NiO系、Ba2O-CuO系、MnO2系、Pr2O3-Nd2O3-CeO3系、Pt系が使用でき、CuO-MnO2系が好ましいことが開示されている。
【0006】
また、CuO-MnO2系酸化物は種々の調製法が知られている。例えば、一酸化炭素の燃焼触媒としての酸化第二銅−二酸化マンガン触媒の調製方法が開示されている(J. Am. Chem. Soc.,1982-1987(1921)参照)。この中ではスチームは触媒毒として、徹底的に避けなければならないことも記載されている。
【0007】
また、CuxMn(3-x)O4のX線回折分析に関し、その調製方法および分析方法に関する記載がある(Ann. Chim.(paris),3,429(1978)、Bull. Soc. Chim. Fr.,I363(1980)、J. Chim. Phys.,Phys. Chim. Biol.,86,1889(1989)参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
公知の方法で調製した銅マンガン酸化物を亜酸化窒素製造用の触媒として使用すると、活性が低いか、たとえ、活性が得られても、反応初期において、NOxの副生が多く、定常値が得られるまでの時間が長い。また、触媒ライフが短く、実用的な触媒でないことがわかった。
【0009】
例えば、諏訪佑他、工化、64、1879(1961)に記載された触媒、あるいは、特開平5−58607号公報に記載された触媒について、通常入手できる酸化物を使用しても活性は低い。また、熱分解法で調製した銅マンガン酸化物も亜酸化窒素製造用の触媒として適用しても活性は低い。また、活性を高めるために反応温度を上げると、窒素生成の選択率が増加して、亜酸化窒素生成の選択率が低下し、また、微量不純物であるNOxの副生が増加することもわかった。
【0010】
特に主副生成物である窒素と分離し、高純度の亜酸化窒素を回収する場合、亜酸化窒素生成の選択率が低下すると、副生成物である窒素に同伴する亜酸化窒素も増し、亜酸化窒素の回収率が大幅に低下する。したがって、窒素、酸素および亜酸化窒素等の非凝縮性ガス中の亜酸化窒素濃度が高く、また、NOxの副生が少なく、さらに、活性の高い劣化の少ない触媒が切望されていた。
【0011】
また、触媒の利用効率を高めるために、空間速度を大きくする必要がある。しかしながら、同じ反応温度で空間速度を大きくした場合、アンモニア転化率は低下し充分な効果が得られない。このような場合、反応温度を高くすることにより、アンモニア転化率を高く維持することができるが、反応温度を高くするとNOxの副生量も多くなることから、その除去コストは多大となる。
NOxは毒性が強いため徹底的に除去する必要があり、例えば、亜酸化窒素を医療用として使用するには亜酸化窒素中のNOx含有量は0.1ppm以下まで除去する必要がある。空間速度を大きくし反応温度を高めることは、触媒の利用効率は高まるが副生NOx量が増加し有利ではない。
【0012】
本発明は、触媒コストが軽減され、且つ、NOx副生の少ない亜酸化窒素の製造方法および該方法に用いられる触媒の提供を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明者らは水蒸気の存在下においてアンモニアを酸化する触媒について、高活性で、高選択率が得られ、さらに、触媒ライフの長い触媒について鋭意検討を行った結果、X線回折法による分析で特徴のある回折角度を有する銅マンガン酸化物系触媒が高活性であり、また、1年以上にわたり触媒劣化もほとんどないこと、さらには、驚くべきことに反応温度を上げると窒素の副生量が低下して目的とする亜酸化窒素の選択率が向上することを見い出し本発明を完成した。特に、銅マンガン酸化物系触媒を沈殿法で調製し、スチームの存在下、反応温度で焼成した触媒は反応初期でもNOx副生が少なく、反応初期から高純度の亜酸化窒素を製造することができることも見出した。
【0014】
特徴的な回折角度を有する触媒を使用すれば反応温度を上げることにより、活性も、また、選択率も共に向上させることができる。この現象は一般的な通常の反応とは全く逆の現象である。
【0015】
上記の目的は以下に示す本発明によって達成される。
すなわち、本発明は、水蒸気の存在下、アンモニアおよび酸素を、X線回折法による測定値として、少なくとも、約36度、約58度および約64度の回折角度を有する銅マンガン酸化物系触媒の存在下、アンモニアを反応帯域で反応させ、亜酸化窒素を含む反応生成ガスを得ることを特徴とする亜酸化窒素の製造方法ならびに該方法に用いられる触媒を開示するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施態様を詳細に説明する。
本発明で使用する触媒はX線回折法による分析で回折角度(2θ値、管球Cu- Kα1線、波長λ=1.5406オングストローム、測定範囲0〜80度)として、少なくとも、約36度、約58度および約64度の回折角度を有する銅マンガン酸化物系触媒である。回折角度は乾燥条件などの違いによりそれぞれ1〜2度程度、また相対強度も若干変化するので、上記X線回折角度は、それぞれ35.5〜36.5度、57.0〜58.0度、62.5〜64.5度の範囲を示す。このような回折角度を有する銅マンガン酸化物を含有している触媒が本発明の特徴である。
【0017】
このような回折角度と極めて近いものとして、X線のデータファイルにはCu1Mn2O4、Cu1.2Mn1.8O4、Cu1.4Mn1.6O4、Cu1.5Mn1.5O4に関するデータしかないが(表1参照)、これらの回折角度はほとんど等しく、固溶体を形成しているものと考えられ、本発明で使用する触媒は、CuxMn(3-x)O4、x=1.0〜1.5と同定された。また、これらは、高温下で以下の式に示すような平衡の関係にあり、実質的に同じ化合物であると考えられる。
【0018】
Cu1.5Mn1.5O4 ⇔ yCuxMn(3-x)O4 + 3(1-y)CuO + (1-y)/2O2
ここで、x=3(2y-1)/2y, 1<x<1.5
本発明の触媒は、文献で知られているものとしてCuxMn(3-x)O4、x=1.0〜1.5 であるということであり、若干CuおよびMnの価数が異なっている酸化物であっても前述の回折角度を有する酸化物であれば本発明に含まれるものである。
【0019】
また、固溶体を形成するカチオンとして、銅とマンガンの他に銀や鉄、クロム等を含有していてもよい。また、反応条件下において、これらの回折角度を有する銅マンガン酸化物が生成する前駆体も本発明に包含される。
【0020】
【表1】
Figure 0003668585
本発明で使用する触媒は、二酸化マンガンあるいは酸化第二銅のいずれか一方を沈殿法で調製する途中で、他方の酸化物あるいは他方の酸化物を沈殿法で調製する途中の前駆体と溶媒中で混合し、沈殿物を分離・乾燥して調製する。
乾燥した二酸化マンガンと乾燥した酸化第二銅を、ただ単に混合して焼成しても回折角度が異なる酸化物しか得られず、活性の高い触媒は得られない。
【0021】
また、熱分解法、例えば、酢酸マンガンあるいは硝酸マンガン等と、酢酸銅、炭酸銅あるいは硝酸銅等を混合し、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような沈殿剤を使用しない、熱分解によって得られた銅マンガン酸化物も回折角度は異なり、活性は低い。
【0022】
本発明の沈殿法とは熱分解法と区別されるものであり、共沈法は本発明の方法に含まれる。二酸化マンガンを沈殿法で調製する方法は、汎用の公知の方法が使用できる。例えば、硝酸マンガン、酢酸マンガン等のマンガン化合物を水に溶解し(以下、この状態をMn−Aと表す)、これに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の沈殿剤を加え、得られたマンガン化合物からの沈殿物を水で洗浄後(同、Mn−B、なお水洗浄前の状態も含む)、乾燥する(同、Mn−C)。
【0023】
また、銅酸化物を沈殿法で調製する方法も汎用の公知の方法が使用できる。例えば、酢酸銅、炭酸銅、硝酸銅等の銅化合物の水溶液(同、Cu−A)に沈殿剤を添加し、銅化合物からの沈殿物を水で洗浄後(同、Cu−B、なお水洗浄前の状態も含む)、乾燥する(同、Cu−C)。
これらのマンガン化合物、銅化合物および沈殿剤はいずれも公知の化合物が使用できる。
【0024】
Mn−CおよびCu−Cは出発原料により、また、乾燥温度により、種々の酸化物、水酸化物、アンモニア塩等の形態をとるが、触媒を調製する上で、実質上、それぞれを二酸化マンガンおよび酸化第二銅と考えても支障はない。
【0025】
本発明の銅マンガン酸化物系触媒は、マンガン化合物と銅化合物のいずれかを前述の沈殿法で調製し、水溶液中または水懸濁液中で混合し、乾燥することが必要である。水溶液中または水懸濁液中で混合しないと、特徴のある回折角度を有する触媒が得られないばかりでなく、触媒活性も低い。
【0026】
本発明の二酸化マンガンあるいは第二酸化銅を沈殿法で調製する途中の前駆体とは、前述の例ではMn−A、Mn−BおよびMn−CあるいはCu−A、Cu−BおよびCu−Cあるいはこれらの途中の段階にあるマンガン化合物あるいは銅化合物を意味する。
【0027】
本発明の銅マンガン酸化物は、沈殿法で得られるMn−A、Mn−B、Mn−Cの水溶液または水懸濁液のいずれかの状態のMn化合物と、沈殿法で得られるCu−A、Cu−B、Cu−Cの水溶液または水懸濁液のいずれかの状態の銅化合物を混合し、得られた沈殿物を分離・乾燥し焼成して得られる。
この中でも、好ましくは、二酸化マンガンあるいは酸化第二銅のいずれか一方を沈殿法で調製する途中のアルカリを加える前の段階で、他方の酸化物あるいは他方の酸化物を沈殿法で調製する途中の前駆体と混合し、該混合液にアルカリを加えて得た沈殿物を乾燥して調製する。
【0028】
例えば、前述のMn−CとCu−Aを混合し、沈殿剤を加え、得られた沈殿物を洗浄後乾燥する。具体的には、例えば、硝酸マンガンに水酸化ナトリウムを加え、硝酸マンガンからの沈殿物を濾過後、洗浄し、80〜150℃で乾燥する。この 沈殿物を水に懸濁させ、原料の硝酸銅の水溶液を加え、炭酸ナトリウムのようなアルカリで沈殿させる。この沈殿物を濾過・洗浄し、80〜150℃で乾燥する方法 が挙げられる。
この場合、沈殿法で調製されたMn−Cのような二酸化マンガンが好ましいが、電解法等で調製された二酸化マンガンでも使用できる。原料の銅化合物や沈殿剤としては公知の沈殿法で知られている銅塩や汎用のアルカリを使用することができる。
【0029】
また、例えば、前述のMn−AとCu−Cを混合し、沈殿剤を加え、得られた沈殿物を洗浄後、乾燥する。具体的には例えば、硝酸銅の水溶液に炭酸ナトリウムのようなアルカリを加え、硝酸銅からの沈殿物を濾過・洗浄し、80〜150℃で 乾燥する。この乾燥した酸化第二銅を水に懸濁させ、原料の硝酸マンガンの水溶液を加え、炭酸ナトリウムのようなアルカリで沈殿させる。この沈殿物を濾過・洗浄し、80〜150℃で乾燥する方法が挙げられる。
この場合、酸化第二銅は沈殿法で調製された酸化第二銅が好ましいが、熱分解法で調製した酸化第二銅を使用してもよい。また、使用する原料のマンガン化合物やアルカリとしては公知の沈殿法で使用する汎用のマンガン化合物やアルカリを使用することができる。
【0030】
また、例えば、Mn−AとCu−Aとを混合し、沈殿剤を添加して、洗浄後、乾燥する、いわゆる共沈法も使用することができる。
【0031】
また例えば、Mn−CとCu−Cを水中に懸濁させ、該沈殿を濾過・洗浄し、減圧下あるいは常圧下、80〜150℃で乾燥する方法が挙げられる。
【0032】
いずれの場合においても、沈殿物を乾燥する温度は減圧下あるいは常圧下、80〜150℃の範囲が好ましい。さらには100〜130℃の範囲がより好ましい。
【0033】
銅とマンガンの割合は、原料の硝酸銅や酢酸マンガンを加えるときに調節する。触媒中に銅が多いと活性が低くなり、酸化第二銅と二酸化マンガンができるとして、酸化第二銅に対する二酸化マンガンの重量比が5を越えると触媒の圧壊強度が低下する。したがって、酸化第二銅に対する二酸化マンガンの重量割合は1〜5が好ましい。さらには2〜4がより好ましい。
【0034】
この段階で必要に応じてシリカ等の担体にコーティングしたり、成型したりしてもよい。成型にあたり、バインダーやグラファイト等の滑剤を使用してもよい。以上のようにして得られた銅マンガン酸化物を600℃を越えない温度で常圧下、 酸素の存在下に、3〜24時間焼成する。好ましくは200℃〜600℃、より好ましくは250〜500℃の温度範囲がよい。
【0035】
一般的に触媒分野では触媒ライフを向上させるために、反応温度よりも高い温度で空気焼成するが、沈殿法で調製した銅マンガン酸化物系触媒を反応温度よりも高い温度で焼成した場合、逆に触媒ライフが短くなる。焼成温度が600℃を越 えると目的の回折角度の相対強度が小さくなり、実質上、本発明の触媒とは異なる銅マンガン酸化物になる。また、このような触媒の活性は低く、また、触媒ライフは短い。
【0036】
焼成時にスチームを使用することは好ましい。反応初期でもNOx副生が少なく安定した触媒が得られる。したがって、スチームと接触させ、250〜500℃で3時間以上焼成すると、反応初期におけるNOx濃度が低くなるばかりでなく、触媒ライフが大幅に増加するので好ましいことである。
【0037】
銅とマンガンの組成が前述した範囲であれば目的の回折角度を有する銅マンガン酸化物が形成され、例えば、マンガンが過剰である場合は過剰のマンガンはMn2O3の形態で回折角度に現れる。また、銅が過剰であれば過剰の銅はCuOの形態で回折角度に現れる。このようにして特徴のある回折角度を有する銅マンガン酸化物を調製することができる。
【0038】
本発明の触媒は通常、管型反応器へ充填され、水蒸気、アンモニアおよび酸素等の混合ガスが0℃、1気圧の状態に換算して空間速度100〜100,000/hr、好ましくは500〜50,000/hrで供給される。
【0039】
本発明においては、水蒸気の存在下にアンモニアを酸素で酸化反応せしめるに際し、反応器入り口での組成で水蒸気濃度を50vol%以上にすると、特に触媒活性の劣化を抑制する効果がもたらされので望ましいことである。また、このアンモニアの酸化反応においてはアンモニアの濃度いかんでは爆発の危険性があり、空気中でのアンモニアの爆発下限界は15vol%で、この爆発領域を避けるために酸素あるいは窒素などで希釈して反応ガス中のアンモニア濃度を15vol%未満にする必要があり、安全性の面からは10vol%以下が好ましい。
【0040】
このように酸素あるいは窒素などで希釈した場合には、アンモニア濃度が小さいため反応効率が悪く、さらには得られる反応生成ガス中の余分な酸素および窒素を亜酸化窒素と分離する必要を生じる。
【0041】
しかしながら、本発明における水蒸気濃度を少なくとも50vol%以上、好ましくは60vol%以上にすればアンモニアあるいは酸素の濃度にかかわらず爆発領域を回避できることも見出している。このように反応器入り口において、水蒸気濃度50vol%以上、好ましくはが60vol%以上であれば前記した希釈用としての余分な酸素や窒素は必要がなく、容易に高濃度の亜酸化窒素を分離することができる。したがって、好ましい水蒸気の使用量は反応器入り口濃度で50vol%以上、より好ましくは60vol%以上である。
【0042】
本発明の方法で使用するアンモニアは純粋なアンモニアは勿論のこと、アンモニア水溶液も用いることができる。また、反応ガスから亜酸化窒素、酸素および窒素の非凝縮性ガスとアンモニアを含む水とに冷却分離して得られるアンモニア水溶液を反応器へ循環させることもできる。
【0043】
アンモニアの反応器入り口の濃度は上記したように、爆発領域を避けるため10vol%以下が好ましいが、水蒸気の使用量(濃度)を60vol%以上にすることによりそのような制限はなくなるので、反応器入り口におけるアンモニアの濃度は1〜30vol%にすることができ、好ましくは1〜20vol%の範囲である。
【0044】
本発明で使用する酸化源としての酸素は純粋な酸素は勿論のこと、窒素を含んだ酸素や空気を用いることもできるが、前述したように、これ以上の窒素などで希釈された酸素を用いることは反応生成ガス中の亜酸化窒素濃度が低くなるため避けるべきであり、好ましい酸素の使用量はアンモニア1モルに対し0.3〜3.0モルの範囲であり、さらに好ましくは0.5〜1.5モルの範囲である。
【0045】
これらのアンモニア、酸素および水蒸気等の混合ガスの供給速度は亜酸化窒素の選択率には大きな影響を与えない。しかし、小さすぎると反応器が大きくなって不経済であり、また大きすぎるとアンモニアの転化率が低下する。したがってこれらの混合ガスの供給速度は、0℃、1気圧の状態に換算して空間速度100〜100,000/hrの範囲、好ましくは500〜50,000/hrの範囲である。
【0046】
反応器容積(触媒量)あたりの亜酸化窒素の収量を増やす場合は2,000〜50,000/hの空間速度が好ましい。反応器を小さくし触媒コストを低く抑えるために空 間速度を大きくした場合、触媒に対する反応原料の負荷が大きくなり、アンモニアの転化率が低下する。
このような場合は、触媒活性を維持するために反応温度を高くすることによりアンモニア転化率を維持することができる。また、触媒を長時間使用することによりアンモニア転化率が低下した場合においても、反応温度を高くすることによりアンモニア転化率を維持することが可能である。
【0047】
本発明の触媒の使用においては、反応温度を上げると活性が向上するばかりでなく、驚くべきことに亜酸化窒素生成の選択率も向上する。また、NOxも少ない。さらに、温度を上げると選択率は変化せず、活性およびNOxが増加する。NOxが許容できるまで反応温度をあげることができる。さらに温度を増すと窒素の副生が増加して亜酸化窒素の選択率が減少するため好ましくない。したがって好適な反応温度は250〜450℃であり、好ましくは250〜380℃である。
なお、本発明におけ温度は、応器出口の温度を基準とする。
【0048】
一方、反応温度を高くする際に、反応帯域の触媒の最高温度と反応器出口ガスの温度との温度差が大きくなるとNOx副生量の急激な増加を招き、NOx除去設備の負荷が増大し好ましくない。
【0049】
このような場合、反応帯域の触媒の最高温度と反応器出口ガスの温度との温度差を0〜120℃の範囲になるようにすることが好ましい。反応帯域の触媒の最高温度と反応器出口ガス温度との温度差が120℃より大きくなるとNOxの生成量が 増加する。
これは反応器出口ガスの温度でアンモニアの酸化が開始され、亜酸化窒素と副生物である窒素が生成するが、反応器出口ガスの温度より120℃よりも高くなった 反応帯域においては、一旦生成した亜酸化窒素や窒素の一部がさらに酸化を受けてNOxに変換されるためと考えられる。なお、本発明でいうNOxとは亜酸化窒素を除く窒素酸化物をいい、主に一酸化窒素および二酸化窒素を表す。
【0050】
上記の範囲に反応帯域の触媒の最高温度と反応器出口ガスとの温度差を調節するためには、反応器に除熱装置を備えたもの、例えば、多管熱交換式、中間熱交換式等の固定床反応器または除熱装置付きの流動層反応器等を用いることが好ましい。このような反応器を用い、除熱のための熱媒体の流量や流速等を調節し反応帯域の触媒の最高温度と反応器出口ガスとの温度差を調節する。また、アンモニアの濃度を低くしてもよいが、亜酸化窒素の生産量に対する水蒸気の使用量が多くなる。
【0051】
このようにして反応を行って得た反応生成ガス中には副生するNOxが殆どなく、次いで水の沸点以下に冷却し、亜酸化窒素、酸素および窒素等の非凝縮性ガスと水およびアンモニアとに分離され、さらに精製工程を経て微量のNOxは完全に除去される。微量のNOxの除去方法としては、例えば、これらの非凝縮性ガスを過マンガン酸カリウムの水酸化ナトリウム水溶液および硫酸水溶液で洗浄する方法が挙げられる。さらに酸素、窒素が分離されて高純度の亜酸化窒素が製造される。
【0052】
本発明の方法における反応帯域の圧力は特に制限はないが、圧力が高い方が反応器の容積が小さくなって好ましい。しかし、10kg/cm2-Gを越すと装置がコスト高になるだけでなく、アンモニアの爆発領域が広くなり、安全性が低下して好ましくない。したがって好適な反応圧力は0〜10kg/cm2-Gであり、好ましくは1〜10kg/cm2-Gの範囲であり、より好ましくは1〜5kg/cm2-Gの範囲である。
【0053】
このようにして得られた反応生成ガスを水の沸点以下に冷却し、アンモニアを含む水と亜酸化窒素、酸素、窒素等の非凝縮性ガスとに分離される。得られる非凝縮性ガス中には、通常亜酸化窒素が40〜90vol%程度含まれている。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
酢酸マンガン水溶液に炭酸ナトリウムを加え、得られた沈殿を濾過・洗浄し、さらにその沈殿物を130℃で乾燥させた。その沈殿物の乾燥品を水に懸濁させた。このようにして得られた懸濁液に、最終的に得られる銅マンガン酸化物中のマンガンおよび硝酸銅が、二酸化マンガンおよび酸化第二銅の形態であるとして、その重量割合が75:25になるように硝酸第二銅を加えた。これに炭酸ナトリウムを加えて沈殿させ、沈殿物を濾過・洗浄して130℃で乾燥した。さらに、グラファイトを添加して打錠成型後、350℃でスチームおよび酸素の存在下、12時間焼成した。
【0056】
この銅マンガン酸化物についてX線回折分析を行った結果、表1に示すような35.94度(相対強度100)、57.74度(同26)、63.46度(同30)と特徴ある回折角度を有する銅マンガン酸化物が得られた。この他に、18.02度、30.50度、43.60 度、54.14度に回折角度が認められ、また、28.96、32.48、58.80、60.04等の回 折角度から少量のMn2O3が認められた(図1参照)。
【0057】
なお、X線回折分析には(株)リガク製RINT-1500型を使用し、X線はCu-Kα1(波長1.5406オングストローム)を使用し、管電圧50kV、管電流200mA、発散スリット1deg.、散乱スリット1deg.、受光スリット0.15mmで測定し、以下の実施例および比較例についても同様の条件で測定を行った。
【0058】
この触媒500gを内径2.8cmの管型反応器へ充填し、アンモニア3.8vol%、酸素3.9vol%、水蒸気92.3vol%の割合で各ガスを供給した。反応温度は320℃、反応圧力は0.5kg/cm2-Gで反応を行った。得られた反応生成ガスを30℃に冷却し、その気 相部を分析した結果、亜酸化窒素75.1vol%、窒素11.7vol%、酸素13.1vol%であった。さらに、反応温度を10℃上げ、気相部を分析した結果、亜酸化窒素77.2vol%、窒素12.1vol%、酸素10.7vol%であり、液相部からはアンモニアが若干検出され、アンモニア転化率は99%であった。
【0059】
反応温度を320℃に下げ、反応を12ヶ月間行ったが、活性、亜酸化窒素濃度は 反応初期と比べて変化はなかった。また、NOxは反応初期には430ppmであったが、3日後には50ppmとなり、以後20〜50ppmとなり変化しなかった。
【0060】
また、反応生成ガス(気相部)を過マンガン酸カリウムを含むアルカリ水溶液に通してNOxを除去し、さらに10kg/cm2-Gで、約−80℃に冷却して亜酸化窒素を液化させ、酸素および窒素とを分離した。このようにして得られた亜酸化窒素の純度は99vol%以上であり、満足すべき品質であった。
【0061】
[実施例2]
沈殿法で調製したマンガン化合物からの沈殿物を濾過・洗浄後、120℃で乾燥 した。また、沈殿法で調製した銅化合物からの沈殿物を濾過・洗浄後120℃で乾 燥した。このとき、二酸化マンガンと酸化第二銅の重量割合が75:25になるよう に混合した。これらを水に懸濁させ、沈殿物を濾過・洗浄後、120℃で乾燥した。さらに、この乾燥した沈殿物にグラファイトを添加して打錠成型後、この触媒500gを内径2.8cmの管型反応器へ充填し、320℃で24時間スチームと空気に連続的に接触させ、少量の触媒を抜きだし、X線回折分析を行った結果、表2に示すような、35.86度、57.60度、63.38度の回折角度を有する触媒を得た。
【0062】
次いで、実施例1と同様の組成の原料ガスを供給し、330℃で反応を行った。 得られた反応生成ガスを30℃に冷却した。その気相部の分析の結果、亜酸化窒素は77.2vol%であり、液相部の分析の結果から、アンモニア転化率は98%であった。また、反応初期のNOxは260ppmであり、3日後には20〜50ppmに減少し、以後 変化しなかった。
【0063】
[実施例3]
実施例2で得られた乾燥した銅化合物およびマンガン化合物からの沈殿混合物を、320℃で24時間スチームと空気に連続的に接触させるかわりに、520℃で空気を流しながら24時間焼成した以外は実施例1と同様に行った。X線回折分析を行った結果、表2に示すような、36.07度、57.74度、63.45度に回折角度を有する 銅マンガン酸化物が得られた。
【0064】
実施例1と同様に反応を行い、得られた反応生成ガスを30℃に冷却した。その気相部の分析の結果、亜酸化窒素は74.6vol%であり、液相部の分析の結果から、アンモニア転化率は96%であった。また、反応初期においてもNOxの副生は970ppmであった。7日後NOxは100〜150ppmまで減少し以後変化しなかった。触媒ライフは約6ヶ月持続したが、以後活性は低下傾向を示した。
【0065】
[実施例4]
沈殿法で得られた乾燥前のマンガン化合物からの沈殿物懸濁液に、沈殿法で調製した銅化合物からの沈殿物を洗浄後130℃で乾燥したものを加え、懸濁液を得 た。このとき、二酸化マンガンと酸化第二銅の重量割合が78:22になるように銅 化合物からの沈殿物を加えた。懸濁液中の沈殿物を濾過して135℃で乾燥した。 さらに400℃まで温度を上げ、スチームと空気を流しながら24時間焼成した。
【0066】
得られた銅マンガン酸化物のX線回折分析を行った結果、表2に示すような、35.94度、57.73度、63.42度に回折角度を示した。反応器を内径1cmのガラス管 にかえ、触媒を成型することなくガラスビーズで1/10に希釈して反応器の2cmの 高さまで充填した。アンモニア4.1vol%、酸素4.3vol%、水蒸気91.6vol%の割合で各ガスを供給し、また、反応温度を330℃、反応圧力をほぼ常圧にした以外は実 施例1と同様に反応を行った。得られた反応生成ガスを10℃に冷却してその気相部を分析した結果、亜酸化窒素73.7vol%であった。また、液相部の分析結果から、アンモニア転化率は98%であった。また反応初期のNOxは230ppmであった。
【0067】
[実施例5]
二酸化マンガンと酸化第二銅の重量比が40:60になるようにマンガン化合物からの沈殿物懸濁液および乾燥した銅化合物からの沈殿物を水中で混合して濾過後、120℃で乾燥し、また焼成を520℃で24時間、空気中で行った以外は実施例4と同様に触媒を調製した。銅とマンガンの原料の比率が実施例1と異なっていたが、X線回折分析を行った結果、表2に示すような、35.91度、57.71度、63.42度の 回折角度を有する銅マンガン酸化物が得られた。この他に回折角度から少量のCuOの存在が認められた。この触媒を使用した以外は実施例4と同様の方法で反応を行った。
【0068】
得られた反応生成ガスを10℃に冷却してその気相部を分析した結果、亜酸化窒素75.8vol%であり、液相部の分析結果から、アンモニア転化率は95%であった。 また、反応初期のNOxは920ppmであった。
【0069】
[実施例6]
硝酸第二銅の水溶液に炭酸ナトリウムを加え、得られた沈殿物を洗浄後、減圧下、120℃で乾燥した。その沈殿物の乾燥品を水に懸濁させ、触媒の二酸化マン ガンと酸化第二銅の重量割合が67:33になるように、懸濁液に硝酸マンガンを加 えた。これに炭酸ナトリウムを加えて沈殿させ、沈殿物を濾過・洗浄して120℃ で乾燥した。さらに、400℃で24時間スチームと空気を流して焼成した。
【0070】
この触媒についてX線回折分析を行った結果、表2に示すような、35.89度、57.67度、63.45度に回折角度を有する銅マンガン酸化物が得られた。この触媒を 使用した以外は実施例4と同様に反応を行った。気相部を分析した結果、亜酸化窒素74.0vol%であり、液相部の分析結果から、アンモニア転化率は97%であった。また、反応初期のNOxは290ppmであった。
【0071】
[比較例1]
酢酸第二銅と酢酸マンガンの水溶液を混合し、炭酸ナトリウムを加え、得られた沈殿物を瀘過・洗浄後、150℃で乾燥し、空気中650℃で15時間焼成した。出発原料の酢酸第二銅および酢酸マンガンをそれぞれ、二酸化マンガンと酸化第二銅になるものとして、重量比で1:1になるように混合した。X線回折分析を行った ところ、相対強度順に回折角度が35.0度、29.0度、33.5度、36.1度、29.8度を有する銅マンガン酸化物が得られた。
【0072】
この触媒を使用した以外は実施例4と同様に反応を行った。得られた反応生成ガスを10℃に冷却してその気相部を分析した結果、亜酸化窒素8.3vol%であり、 アンモニアの転化率は25%であった。
【0073】
[比較例2]
二酸化マンガンおよび酸化第二銅を重量比1:1で物理的に混合し、さらに空気 中、750℃で10時間焼成した。X線回折分析を行ったところ、回折角度35.6度、37.1度、38.7度、56.0度が主であるCuO-MnO2触媒が得られた。この触媒を使用し た以外は実施例4と同様に反応を行った。
【0074】
得られた反応生成ガスを10℃に冷却してその液相部を分析した結果、アンモニアの転化率は16%であり、温度を上げても転化率はほとんど向上しなかった。ま た、亜酸化窒素濃度は2.2vol%であった。
【0075】
[比較例3]
二酸化マンガンおよび酸化第二銅を重量比2:1で物理的に混合し、さらに空気 中、350℃で24時間焼成した。X線回折分析で回折角度35.6度、37.1度、38.7度、56.0度であり、焼成前と変わらなかった。このCuO-MnO2触媒を使用した以外は実施例4と同様に反応を行った。得られた反応生成ガスを10℃に冷却してその液相部を分析した結果、アンモニアの転化率は21%であり、気相の亜酸化窒素濃度は1.9vol%であった。
【0076】
[比較例4]
X線回折分析で回折角度35.6度、37.1度、38.7度、56.0度が主である市販のCuO-MnO2触媒(東洋CCI(株)製、酸化第二銅の含有量68wt%)を使用した以外は実 施例4と同様に反応を行った。アンモニアの転化率は19%であり、気相の亜酸化 窒素濃度は2.2vol%であった。
【0077】
[比較例5]
実施例2の触媒を650℃、スチームおよび空気の存在下で焼成したサンプルはCuO、Mn2O4、MnO2等が含まれる複雑な回折角度を示し、この触媒を使用した以外 は実施例4と同様に反応を行った。分析の結果、亜酸化窒素濃度24.1vol%であり、また、アンモニアの転化率は59%であった。
【0078】
【表2】
Figure 0003668585
[実施例7]
円管部の内径が2.8cmの二重管式熱交換器型反応器に実施例1と同様に調製したCuO-MnO2触媒500gを充填し、環状部(ジャケット)に熱媒体としてモノエチルビフェニルを強制循環させた。この反応器に、アンモニア4.0vol%、酸素4.0vol%、水蒸気92.0vol%の割合で各ガスを供給し、反応帯域の触媒の最高温度362℃、反 応器出口の反応生成ガス温度は300℃、空間速度7500/hr、反応圧力0.5Kg/cm2-G で反応させた。反応帯域の触媒の最高温度は熱媒体の流量により調節した。
【0079】
得られた反応生成ガスを30℃に冷却し、その気相部を分析した結果、亜酸化窒素74.5vol%、窒素16.4vol%、酸素9.1vol%であり、アンモニアは検出されなかっ た。一方、液相部の分析結果から、アンモニアの転化率は99%であった。NOx は気相部に28ppm(亜酸化窒素に対して38ppm)含まれていた。
【0080】
[実施例8]
反応帯域の触媒の最高温度を380℃、反応器出口の反応生成ガス温度を310℃とした他は実施例7と同様に反応を行った。得られた反応生成ガスを30℃に冷却し、その気相部を分析した結果、亜酸化窒素75.5vol%、窒素16.3vol%、酸素8.2vol% であり、アンモニアは検出されなかった。一方、液相部の分析結果から、アンモニアの転化率は99%であった。NOxは気相部に38ppm(亜酸化窒素に対して50ppm)含まれていた。
【0081】
【発明の効果】
アンモニアを酸素で酸化するアンモニア酸化法において、本発明による特定の回折角度を有する特定の銅マンガン酸化物系触媒を使用することにより、高活性、且つ高選択率で亜酸化窒素を製造することができる。さらに、高濃度の亜酸化窒素を効果的に製造することができ、特に該触媒の反応帯域の最高温度と反応器出口ガス温度との温度差を120℃以下にして反応を行うと、NOx副生が少なく、 より高選択率で亜酸化窒素が得られる。
【0082】
したがって、本発明により工業的に有利な亜酸化窒素製造方法ならびに該方法に用いられる高活性で劣化の少ない優れた触媒が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の触媒のX線回折分析の測定結果であり、回折角度(2θ値、管球Cu-Kα1線、測定範囲0〜80度)として35.94度(相対強度100)、57.74度(同26)、63.46度(同30)が認められた。また、この他に、28.96度、32.48度、58.80度、60.04度はMn2O3に相当し、26.54度は錠剤成型に使用したグラファイトである。
【図2】図1と同条件で測定された実施例2の触媒のX線回折分析の測定結果であり、回折角度として35.86度(相対強度100)、57.60度(同24)、63.38度(同32)が認められた。また、この他に、28.92度、32.40度、58.82度、60.02度はMn2O3に 相当し、26.48度は錠剤成型に使用したグラファイトである。

Claims (8)

  1. 水蒸気の存在下、アンモニアおよび酸素を、X線回折法による測定値として、少なくとも、約36度、約58度および約64度の回折角度を有する銅マンガン酸化物系触媒と反応帯域で接触させ、亜酸化窒素を含む反応生成ガスを得ることを特徴とする亜酸化窒素の製造方法。
  2. 組成式CuxMn(3-x)O4(x=1〜1.5)で示される銅マンガン酸 化物を主体とし、且つ、X線回折法による測定値として、少なくとも、約36度、約58度および約64度の回折角度を有し、且つ、使用前あるいは使用中に水蒸気と接触させて得られる亜酸化窒素製造用の銅マンガン酸化物系触媒。
  3. 前記銅マンガン酸化物系触媒が、二酸化マンガンあるいは酸化第二銅のいずれか一方を沈殿法で調製する途中の前駆体と、他方の酸化物、あるいは、他方の酸化物を沈殿法で調製する途中の前駆体を水中で混合し、沈殿物を分離・洗浄後、乾燥し、600℃を越えない温度で焼成した銅マンガン酸化物で ある請求項1記載の方法。
  4. 前記銅マンガン酸化物系触媒が、二酸化マンガンあるいは酸化第二銅のいずれか一方を沈殿法で調製する途中の前駆体と、他方の酸化物、あるいは、他方の酸化物を沈殿法で調製する途中の前駆体を水中で混合し、沈殿物を分離・洗浄後、乾燥し、600℃を越えない温度で焼成した銅マンガン酸化物で ある請求項2記載の触媒。
  5. 前記焼成を、スチームの存在下、250〜500℃で3時間以上行う請求項3記載の方法。
  6. 前記反応帯域の最高温度と反応器出口ガス温度との温度差を、0〜120℃の範囲内に保持して反応させる請求項1記載の方法。
  7. 前記水蒸気濃度が、反応器入り口で50vol%以上、酸素/アンモニアのモル比が0.3〜3.0であり、反応圧力が0〜10kg/cm2-G、反応温度が250〜450℃である請求項1記載の方法。
  8. 前記反応生成ガスが、亜酸化窒素、窒素および酸素の非凝縮性ガスとアンモニアを含む水とに冷却分離され、アンモニアを含む水は反応器へ循環される請求項1記載の方法。
JP07388097A 1996-04-03 1997-03-26 亜酸化窒素の製造方法 Expired - Lifetime JP3668585B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07388097A JP3668585B2 (ja) 1996-04-03 1997-03-26 亜酸化窒素の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8132796 1996-04-03
JP26858996 1996-10-09
JP8-81327 1996-10-09
JP8-268589 1996-10-09
JP07388097A JP3668585B2 (ja) 1996-04-03 1997-03-26 亜酸化窒素の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10167710A JPH10167710A (ja) 1998-06-23
JP3668585B2 true JP3668585B2 (ja) 2005-07-06

Family

ID=27301338

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07388097A Expired - Lifetime JP3668585B2 (ja) 1996-04-03 1997-03-26 亜酸化窒素の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3668585B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9587591B2 (en) * 2014-02-27 2017-03-07 Johnson Matthey Public Limited Company Exhaust system having N2O catalyst in EGR circuit

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10167710A (ja) 1998-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7132384B2 (en) Process for producing composite oxide catalyst
EP0799792B1 (en) Process and catalyst for preparation of nitrous oxide
TWI341748B (en) Method for regenerating catalyst for the production of methacrylic acid and process for preparing methacrylic acid
JPH0470946B2 (ja)
EP0208434B1 (en) Process for removing nitrogen oxides and carbon monoxide simultaneously
JP3465350B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造法
JP4951457B2 (ja) メタクリル酸合成用触媒製造用原料、その製造方法、メタクリル酸合成用触媒の製造方法及びメタクリル酸の製造方法
US4827055A (en) Process for preparing vinylidene fluoride by the direct fluorination of vinylidene chloride
JP3668585B2 (ja) 亜酸化窒素の製造方法
JPH1135519A (ja) アクリル酸の製造方法
US3525701A (en) Oxidation catalyst of an oxide composition of antimony,tin and copper
JP3300428B2 (ja) 亜酸化窒素の製造方法
JP3867305B2 (ja) 一酸化炭素転化触媒
JP2614089B2 (ja) アクロレインの製造方法
JPH053404B2 (ja)
JP3300427B2 (ja) 亜酸化窒素の製造方法
JPH0710782A (ja) イソブチレンおよびメタクロレインの製造方法
JPH0463139A (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP3174369B2 (ja) 亜酸化窒素の製造方法
EP0465243B1 (en) Method for stabilizing treatment of catalytic activity
JP3174360B2 (ja) 亜酸化窒素の製造方法
JPH08245211A (ja) 一酸化炭素の製造方法
JP3606682B2 (ja) 亜酸化窒素の製造方法
GB2193114A (en) Catalysts
JPS6115855B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090415

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100415

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110415

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120415

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120415

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130415

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130415

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140415

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term