JP3174360B2 - 亜酸化窒素の製造方法 - Google Patents

亜酸化窒素の製造方法

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JP3174360B2 JP22385591A JP22385591A JP3174360B2 JP 3174360 B2 JP3174360 B2 JP 3174360B2 JP 22385591 A JP22385591 A JP 22385591A JP 22385591 A JP22385591 A JP 22385591A JP 3174360 B2 JP3174360 B2 JP 3174360B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は亜酸化窒素の製造方法に
関する。詳しくは、アンモニアを水蒸気の存在化に酸素
で酸化して亜酸化窒素を製造する方法に関する。
【0002】亜酸化窒素は麻酔ガスやロケット燃料用支
燃剤あるいは半導体洗浄剤として有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】従来、亜酸化窒の製造方法としては、
(1) アンモニア酸化法、(2) 硝酸アンモニウム分解法、
(3) スルファミン酸と硝酸との反応による方法等が知ら
れている。この内、アンモニア酸化法(1) は原料が安価
なアンモニアと酸素であり、また、高収率が得られるた
めに工業的には好ましい方法である。
【0004】この方法は酸素あるいは空気を使用して金
属酸化物触媒上でアンモニアを200〜500 ℃で酸化し、
亜酸化窒素を製造する方法であり、使用する触媒は劣化
することが知られている。この対策として、触媒の再生
方法が提案されている(特公昭30-1225 )。また、触媒
調製時の硝酸アンモニウムを完全に洗浄して劣化しにく
い実用的な触媒調製方法(工業化学雑誌、64、11、1879
(1961))等が知られている。
【0005】反応はアンモニア―酸素あるいはアンモニ
ア―酸素混合ガス(空気等)の爆発領域を避けるために
アンモニアの濃度が10 vol%以下になるように酸素ある
いは窒素で希釈して反応が行われる。この結果、80〜90
%の収率が得られるが、反応器出口の亜酸化窒素濃度は
数%にすぎない。さらに酸素を80vol %以上使用し、そ
の反応生成ガスを循環し、アンモニアだけを分割供給す
る方法(特公昭46-33210)が提案されているが、この場
合における亜酸化窒素濃度も40vol %程度が得られてい
るにすぎない(触媒:酸化マンガン+酸化ビスマス(Mn
2O3-Bi2O3))。この反応生成ガスは20Kg/cm2程度の高圧
下において亜酸化窒素を水に溶解し、さらに常圧下に放
出してより高濃度の亜酸化窒素を取り出す方法で濃縮さ
れる。この濃縮操作を繰り返すことにより亜酸化窒素を
さらに濃縮する。
【0006】また、同公報2頁3欄6〜11行目には水蒸
気が「露点以下の温度では触媒に対し、一時的毒作用を
働き触媒の機能を低下させる」との記載がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はアンモニア酸
化法において、安全で、かつ触媒の劣化もなく、また高
濃度の亜酸化窒素を高収率で直接製造する方法を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはアンモニア
酸化法において、水蒸気を共存させてアンモニアを酸化
することにより、(1) 活性の劣化がないこと、(2) 水蒸
気を水に凝縮するだけで80%以上の高濃度の亜酸化窒素
を得る事ができること、(3) 酸素あるいは窒素で爆発限
界を避ける方法に比べ安全領域が大きく、より安全に運
転できること、(4) 水蒸気の熱容量が窒素や酸素よりも
大きいため反応の温度制御が容易なこと、を見い出し本
発明を完成した。すなわち、本発明は、アンモニアを酸
素で酸化して亜酸化窒素を製造するにあたり、水蒸気を
添加することを特徴とする亜酸化窒素の製造方法であ
る。
【0009】本発明で使用する触媒は、アンモニア酸化
用触媒として知られている公知の触媒を使用することが
できる。驚くべきことに、水を添加すると、今まで触媒
の劣化が認められた触媒においても、その劣化はないか
あるいは極めて少ない。おそらく触媒上の硝酸痕のよう
な被毒物質の洗浄効果あるいは触媒の酸化状態の保持効
果のためと推測される。このような触媒の例としては、
CuO-MnO2系、Bi2O3 系、Fe2O3-Bi2O3-MnO2系、MnO-CoO-
NiO系、Ba2O-CuO系、MnO2系、Pr2O3-Nd2O3-CeO 3系、Pt
系が挙げられる。この中でもMn含有触媒が高活性であり
好ましい。さらに調製が容易なCuO-MnO2系が特に好まし
い。
【0010】これらの触媒は通常管型反応器へ充填さ
れ、アンモニア、酸素および水蒸気等の混合ガスは0
℃、1気圧の状態に換算して空間速度100 〜100,000
(1/hr)、好ましくは1,000 〜50,000(1/hr)で供
給される。
【0011】本発明で重要なのは添加した水蒸気の存在
下にアンモニアを酸素で酸化反応せしめることである。
本発明者らの行った条件下ではアンモニア―酸素―水蒸
気系では水蒸気が約60%以上であればアンモニア、酸素
のモル比によらず爆発しないことがわかった。反応器入
り口組成において、50vol %以上の水蒸気濃度があれば
触媒の活性劣化に対する効果がある。しかし、水蒸気が
60vol %未満であれば、アンモニアの爆発領域を避ける
ために酸素あるいは窒素で希釈して反応ガス中のアンモ
ニア濃度を10vol %以下にすることが望ましい。したが
って、これらの余分な酸素あるいは窒素を亜酸化窒素と
分離する必要がある。一方、水蒸気が反応器入り口にお
いて60vol %以上であればこのような余分な酸素や窒素
は必要がなく、直接、高濃度の亜酸化窒素を分離するこ
とができる。したがって、好ましい水蒸気の使用量は反
応器入り口濃度で50vol %以上、さらに好ましくは60vo
l%以上である。
【0012】本発明の方法で使用するアンモニアは純粋
なアンモニアを使用してもよいが、アンモニア水溶液も
使用する事ができる。アンモニアの反応器入り口の濃度
は爆発領域を避けるために10vol %以下が好ましいが、
水蒸気の使用量が60vol %以上の場合にはその制限はな
く、アンモニアの濃度は反応器入り口において1〜30vo
l %の範囲であり、好ましくは1〜20vol %の範囲であ
る。
【0013】本発明で使用する酸素は純粋な酸素も使用
することができるが、窒素を含んだ酸素を使用してもよ
い。空気は使用できるが、これ以上、窒素で希釈された
酸素を使用することは反応生成ガス中の亜酸化窒素濃度
が低くなり好ましくない。酸素の使用量はアンモニア1
モルに対し等モル以上が好ましい。
【0014】これらのアンモニア、酸素および水蒸気等
の混合ガスの供給速度は亜酸化窒素の選択率には影響を
与えない。しかし、小さすぎると反応器が大きくなって
不経済である。また、大きすぎるとアンモニアの転化率
が低下する。したがってこれらの混合ガスの供給速度
は、0℃、1気圧の状態に換算して空間速度 100〜100,
000 (1/hr)の範囲、好ましくは 1,000〜50,000(1
/hr)の範囲である。
【0015】反応温度は200 〜500 ℃が好ましいが、高
すぎると窒素酸化物の副生量が増加し好ましくない。従
って、さらに好ましくは250 〜450 ℃である。
【0016】反応圧力は高圧の方が反応速度が早くなる
が、反応器が高価になり不経済であり、好ましくは0〜
20Kg/cm2-G、更に好ましくは0.3 〜5Kg/cm2-Gである。
【0017】このようにして反応を行った反応生成ガス
は水蒸気の沸点以下に冷却し、水蒸気と亜酸化窒素、酸
素、窒素等の非凝縮性ガスに分離され、さらに精製工程
を経て、微量の窒素酸化物が除去され、さらに酸素、窒
素が分離されて高純度の亜酸化窒素が製造される。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0019】実施例1 CuO-MnO2触媒(東洋CCI社製市販品)500 gを充填し
た内径2.8cm でSUS304製の管型反応器へ、アンモニア5
vol %、酸素5.3vol%、水蒸気89.7vol %の割合で各ガ
スを供給した。反応温度は300 ℃、空間速度は3,000
(1/hr)、反応圧力は0.5Kg/cm2-G であった。反応器
出口の反応生成ガスを30℃に冷却し、その気相部を分析
した結果、亜酸化窒素71.2vol %、窒素 12.6vol %、
酸素16.2vol %であり、アンモニアは検出されなかっ
た。
【0020】一方、液相部を分析したがアンモニアは痕
跡量であった。この結果、アンモニアの転化率は99%以
上、亜酸化窒素の選択率は85%、収率は85%であった。
この運転を3カ月にわたり継続したが活性に変化はな
く、選択率は87%に増加した。この反応生成ガスを過マ
ンガン酸カリウムを含むアルカリ水溶液に通して窒素酸
化物を除去し、さらに10Kg/cm2-Gで、約−80℃に冷却し
て亜酸化窒素を液化させ、酸素および窒素とを分離し
た。このようにして得られた亜酸化窒素の純度は99%以
上であり、満足すべき品質であった。また、運転の途中
で酸素供給量だけ低下させた結果、アンモニアの転化率
は若干低下したが、亜酸化窒素濃度は76%まで向上し
た。
【0021】実施例2 アンモニア5vol%、酸素20vol %、窒素20vol %、水蒸
気55vol %の割合の各ガスを供給した以外は実施例1と
同様の方法で反応を行った。反応器出口の反応生成ガス
を30℃に冷却し、その気相部を分析した結果、亜酸化窒
素6.0vol%、窒素 53.8vol%、酸素 40.2vol%であり、
アンモニアは検出されなかった。
【0022】一方、液相部を分析したがアンモニアは痕
跡量であった。この結果、アンモニアの転化率は99%以
上、亜酸化窒素の選択率は86%、収率は86%であった。
この運転を1カ月にわたり継続したが活性に変化はなく
選択率は87%に増加した。
【0023】比較例1 供給ガスの割合をアンモニア5vol %、酸素95vol %に
変え、水蒸気の供給を停止し、反応器出口の反応生成ガ
スを30℃に冷却した以外は実施例1と同様に行った。反
応生成ガスを分析した結果、亜酸化窒素2.4vol%、窒素
0.4vol%、酸素 97.2vol%であり、アンモニアは検出
されなかった。この結果、アンモニアの転化率は99%以
上、亜酸化窒素の選択率は85%、収率は85%であった。
しかし、運転時間が3日目で活性の低下が認められ、1
カ月目でアンモニアの転化率は90%に低下した。
【0024】実施例3 CuO-MnO2触媒に変えMn2O3-Bi2O3 触媒0.7Kg を充填した
内径2.8cm でSUS304製の管型反応器へ、アンモニア4vo
l %、酸素4.3vol%、水蒸気91.7%の割合で各ガスを供
給した。反応温度は310 ℃、空間速度は3,500 (1/h
r)、反応圧力は0.5Kg/cm2-G であった。反応器出口の
反応生成ガスを30℃に冷却し、その気相部を分析した結
果、亜酸化窒素 68.3vol%、窒素 13.0vol%、酸素 18.
7vol%であり、アンモニアは検出されなかった。
【0025】一方、液相部を分析したがアンモニアは痕
跡量であった。この結果、アンモニアの転化率は99%以
上、亜酸化窒素の選択率は84%、収率は84%であった。
この運転を1カ月にわたり継続したが活性に変化はな
く、選択率は87%に増加した。この反応生成ガスを過マ
ンガン酸カリウムを含むアルカリ水溶液に通して窒素酸
化物を除去し、さらに、10Kg/cm2-Gで、約−80℃に冷却
して亜酸化窒素を液化させ、酸素および窒素とを分離し
た。このようにして得られた亜酸化窒素の純度は99%以
上であり、満足すべき品質であった。
【0026】比較例2 供給ガスの割合をアンモニア4vol %、空気 96vol%に
変え、水蒸気の供給を停止し、反応器出口の反応生成ガ
スを30℃に冷却した以外は実施例3と同様に行った。反
応生成ガスを分析した結果、亜酸化窒素1.9vol%、窒素
82.1vol%、酸素 16.3vol%であり、アンモニアは検出
されなかった。この結果、アンモニアの転化率は99%以
上、亜酸化窒素の選択率は84%、収率は84%であった。
1 カ月間運転を行ったが活性、選択率共に変化しなかっ
た。
【0027】
【発明の効果】アンモニア酸化法において、水蒸気を共
存させてアンモニアを酸化することにより、触媒の活性
の劣化がなく、75%以上の高濃度の亜酸化窒素を直接製
造できる。さらには従来法よりもより安全に運転するこ
とができる。このように、本発明は安全性、触媒、収
率、生成等多くの面で亜酸化窒素を工業的に有利に製造
しうる方法を提供するものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−34092(JP,A) 特公 昭31−10771(JP,B1) 特公 昭36−10958(JP,B1) 特公 昭33−7616(JP,B1) 特公 昭46−33210(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 21/22 B01J 23/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アンモニアを酸素で酸化して亜酸化窒素を
    製造するにあたり、水蒸気を添加することを特徴とする
    亜酸化窒素の製造方法。
  2. 【請求項2】添加する水蒸気が、反応器入り口濃度で50
    vol %以上である請求項1に記載の方法。
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WO2004096702A2 (en) * 2003-04-29 2004-11-11 Johnson Matthey Plc Improved catalyst charge design

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