JP3667871B2 - 燃焼機器および燃焼機器の寿命判断方法 - Google Patents

燃焼機器および燃焼機器の寿命判断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、COセンサーを備えた燃焼機器および該燃焼機器の寿命判断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の燃焼機器においては、例えば、燃焼状態を判断するものとして特願平1−295374号があった。すなわち、COセンサーによりCO濃度を検出し、その濃度を燃料供給量に応じて変化させる異常判定限度値と比較して異常燃焼を判断し、CO濃度が異常判定限度値を越えたときは警告を発するようにしたものである。また、異常燃焼と判断したときに燃焼機器の運転を強制的に停止するものもある。
【0003】
このような装置においては、前述の警告動作や機器の運転の強制的停止等がなされた後は人間が機器の点検を行って異常の原因やその原因となった状態の程度の判断をしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、異常燃焼による排気ガス中のCO濃度の上昇は給排気系や熱交換器の劣化による詰まりといった機器の性能低下に起因するものに限らず、給排管の潰れや破損、使用環境における強風による不十分な排気等が原因となって起こることもある。特に、燃焼機器の燃焼ファンの能力を絞って最小能力付近で運転しているときは、燃焼機器に全く異状がなくても風に起因する不十分な排気状態が発生することによりCO濃度の上昇が起こり易くなる。
【0005】
そのため従来、CO濃度の上昇が起こった場合、機器の劣化による閉塞状態が生じているのか、風の影響によるものなのか或いは他の原因によるものなのかを調べていたが、その間、燃焼機器の運転を停止する時間が長くなり不便であるという問題点があった。
【0006】
特に、機器の破損等が原因である場合は比較的短時間で容易に発見できるが、機器の劣化による閉塞状態によるものかまたは風によるものか、或いはそれらが複合したものによるのかの判断には時間と手間がかかり不便であった。
【0007】
また、機器の劣化による閉塞が原因となったっ場合、燃焼機器の安全な運転に支障の有る状態、即ち機器に寿命が来たのか或いは支障の無い状態なのかの判断は必ずしも容易ではなく、従って安全のために閉塞状態の発生した部分の部品交換や修理を行っていたが、機器の軽度の閉塞と一時的な強風とが複合して原因となった場合などは、燃焼機器の安全な運転に支障がないにも拘わらず部品交換や修理をすることになり不経済であるという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、燃焼機器における給排気系の閉塞に起因する異常燃焼を適確に発見して燃焼機器の安全な運転を行い、且つ、使用者に燃焼機器の運転状態から部品の交換や修理の適切な時期を知らせることができる燃焼機器の寿命判断方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための要旨とするところは、次の各項に存する。
【0010】
[1] COセンサー(48)を備えた燃焼機器(10)の寿命判断方法であって、
前記COセンサー(48)で前記燃焼機器(10)で発生するCOの値を測定し、
燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる設定条件を満たす燃焼があったとき、その間に測定した前記COの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えた回数によって前記燃焼機器の寿命を判断することを特徴とする燃焼機器の寿命判断方法。
【0011】
[2] COセンサー(48)を備えた燃焼機器(10)の寿命判断方法であって、
前記COセンサー(48)で前記燃焼機器(10)で発生するCOの値を測定し、
燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる複数の設定条件の何れかを満たす燃焼があったとき、その間に測定した前記COの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えるごとに積算するカウント値によって前記燃焼機器の寿命を判断する際、前記カウント値を前記複数の設定条件毎に異なる値としたことを特徴とする燃焼機器の寿命判断方法。
【0012】
[3] 前記複数の設定条件のうち前記供給ガス量の最も多い設定条件の供給ガス量を、前記燃焼機器の最大供給ガス量に近い値としたことを特徴とした請求項2に記載の燃焼機器の寿命判断方法。
【0013】
[4] バーナー(13)と、給排気を行う燃焼ファン(12)と、熱交換器(14)と、COセンサー(48)と、燃焼機器を制御する制御部(30)とを備えた燃焼機器(10)の寿命判断方法であって、前記制御部(30)は、
前記COセンサー(48)が測定する前記燃焼機器(10)で発生するCOの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えたとき前記COの値が前記異常値以下となるまで前記燃焼ファン(12)の回転数を上げて前記バーナー(13)への給気量を増加させる燃焼改善モードとし、
燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる設定条件を満たす燃焼が所定回数あるごとに、該所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第1設定数およびそれよりも小さい数の第2設定数と比較して、前記第1設定数以上あった場合、判別数に1を累積加算し、
前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数未満で且つ前記第2設定数以上の場合、前記判別数の加算は行わず、
前記燃焼改善モードに入った回数が前記第2設定数未満の場合、累積加算した前記判別数をゼロにリセットし、
累積加算した前記判別数が予め設定した燃焼能力制限数に達したとき、前記熱交換器の燃焼性能が前記燃焼機器の燃焼能力を制限すべき状態であるとして前記燃焼機器(10)への最大供給ガス量を小さく制限した能力制限運転にし、
累積加算した前記判別数が予め設定した前記燃焼能力制限数より大きい値の運転停止数に達したとき、前記熱交換器の寿命がきたとして、前記燃焼機器(10)の運転を停止させることを特徴とする燃焼機器の寿命判断方法。
【0014】
[5] バーナー(13)と、給排気を行う燃焼ファン(12)と、熱交換器(14)と、COセンサー(48)と、燃焼機器(10)を制御する制御部(30)とを備えた燃焼機器(10)の寿命判断方法であって、前記制御部(30)は、
前記COセンサー(48)が測定する前記燃焼機器(10)で発生するCOの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えたとき前記COの値が前記異常値以下となるまで前記燃焼ファン(12)の回転数を上げて前記バーナー(13)への給気量を増加させる燃焼改善モードとし、
燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる第1の設定条件を満たす燃焼が第1の所定回数あるごとに、該第1の所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第1設定数およびそれよりも小さい数の第2設定数と比較して、前記第1設定数以上あった場合、第1判別数に1を累積加算し、
前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数未満で且つ前記第2設定数以上の場合、前記判別数の加算は行わず、
前記燃焼改善モードに入った回数が前記第2設定数未満の場合、累積加算した前記第1判別数をゼロにリセットし、
累積加算した前記第1判別数が予め設定した燃焼能力制限数に達したとき、前記熱交換器(14)の燃焼性能が前記燃焼機器(10)の燃焼能力を制限すべき状態であるとして前記燃焼機器(10)への最大供給ガス量を小さく制限した能力制限運転にし、
該能力制限運転となった後、燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる第2の設定条件を満たす燃焼が第2の所定回数あるごとに、該第2の所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第3設定数およびそれよりも小さい数の第4設定数と比較して、前記第3設定数以上あった場合、第2判別数に1を累積加算し、
前記燃焼改善モードとなった回数が第3設定数未満で且つ第4設定数以上の場合、前記第2判別数の加算は行わず、
前記燃焼改善モードに入った回数が前記第4設定数未満の場合、累積加算した前記第2判別数をゼロにリセットし、
累積加算した前記第2判別数が予め設定した運転停止数に達したとき、前記熱交換器(14)の寿命がきたとして、前記燃焼機器(10)の運転を停止させることを特徴とする燃焼機器(10)の寿命判断方法。
【0015】
[6] 前記第1の所定回数の燃焼の間に、前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数より大きい数値の特定数に達している場合、前記熱交換器(14)の寿命がきたとして、前記燃焼機器(10)の運転を停止させることを特徴とする請求項5に記載の燃焼機器(10)の寿命判断方法。
【0016】
[7] 前記設定条件である燃焼時の前記供給ガス量が、最大供給ガス量に近い値としたことを特徴とした請求項1、4、5または6に記載の燃焼機器(10)の寿命判断方法。
【0017】
[8] 熱交換器(14)とCOセンサー(48)とを備えた燃焼機器(10)において、
前記燃焼機器(10)が設定条件を満たす燃焼を所定回数行ったとき、その間に前記COセンサー(48)が測定した前記燃焼機器(10)で発生したCO値が所定の値を超えた回数によって燃焼機器(10)の運転状態を変更する制御部(30)を備えたことを特徴とする燃焼機器(10)。
【0018】
[9] バーナー(13)と、給排気を行う燃焼ファン(12)と、熱交換器(14)と、COセンサー(48)とを備えた燃焼機器(10)において、
前記COセンサー(48)が測定する前記燃焼機器(10)で発生したCOの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えたとき、前記燃焼ファン(12)の回転数を上げて前記COの値が前記異常値以下となるまで前記バーナー(13)への給気量を増加し、設定条件を満たす燃焼が所定回数あったとき、該所定回数の燃焼の間、前記異常値を超えたCOの値を前記異常値以下に下げるために前記燃焼ファン(12)の回転数を上げる動作を行った回数によって前記燃焼機器(10)の熱交換器(14)の閉塞状態を判断して前記燃焼機器(10)の運転状態を変更する制御部(30)を備えたことを特徴とする燃焼機器(10)。
【0019】
[10] 前記設定条件は燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなることを特徴とする請求項7または8に記載の燃焼機器(10)。
【0020】
[11] 前記設定条件である燃焼時の前記供給ガス量が、最大供給ガス量に近い値としたことを特徴とした請求項9に記載の燃焼機器(10)。
【0021】
次に、上記発明の作用を説明する。
【0022】
前記COセンサー(48)は前記燃焼機器(10)を運転している間、燃焼によって発生するCOの値を測定する。
【0023】
制御部(30)は前記COの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えたとき燃焼機器を燃焼改善モードに入れ、前記COの値が前記異常値以下に下がるまで前記燃焼ファン(12)の回転数を上げて前記バーナー(13)への給気量を増加させる。
【0024】
制御部(30)には、例えば燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなり供給ガス量が最大供給ガス量に近い値である第1の設定条件が設定されており、その条件を満たす燃焼が第1の所定回数あるごとに、該第1の所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第1設定数およびそれよりも小さい数の第2設定数と比較する。
【0025】
その結果、前記燃焼改善モードに入った回数が前記第1設定数以上あった場合、第1判別数に1を累積加算する。
【0026】
もし、前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数未満で且つ前記第2設定数以上であった場合は、前記第1判別数の加算は行われない。
【0027】
また、前記燃焼改善モードに入った回数が前記第2設定数未満の場合には、それまでに累積加算した前記第1判別数をゼロにリセットする。
【0028】
上記過程を繰り返して累積加算した前記第1判別数が燃焼能力制限数に達すると、制御部(30)は前記熱交換器(14)の閉塞状態が前記燃焼機器(10)の燃焼能力を制限すべき状態であると判断し、以降、前記燃焼機器(10)への最大供給ガス量を小さく制限した能力制限運転にする。
【0029】
従って、燃焼機器(10)の使用者は前記熱交換器(14)に閉塞状態が生じてはいるが燃焼機器(10)をそのまま継続使用しても安全性に問題がないことを知ることができる。
【0030】
次に、制御部(30)は燃焼機器(10)を能力制限運転とした後、第1の設定条件とは異なるがやはり燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなり供給ガス量が能力制限運転における最大供給ガス量に近い値である第2の設定条件を満たす燃焼が第2の所定回数あるごとに、該第2の所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第3設定数およびそれよりも小さい数の第4設定数と比較する。
【0031】
その結果、前記燃焼改善モードに入った回数が前記第3設定数以上あった場合、第2判別数に1を累積加算する。
【0032】
もし、前記燃焼改善モードとなった回数が前記第3設定数未満で且つ前記第4設定数以上であった場合は、前記第2判別数の加算は行われない。
【0033】
また、前記燃焼改善モードに入った回数が前記第4設定数未満の場合には、それまでに累積加算した前記第2判別数をゼロにリセットする。
【0034】
上記過程を繰り返して累積加算した前記第2判別数が運転停止数に達すると、制御部(30)は前記熱交換器(14)の閉塞状態が前記燃焼機器(10)の安全な運転の限界に達している、即ち前記燃焼機器(10)の寿命がきたと判断し、燃焼機器(10)の運転を強制的に停止する。
【0035】
従って、燃焼機器(10)の使用者は前記熱交換器(14)等の寿命がきており、交換をすべきであることを知ることができる。
【0036】
このように、本発明においては燃焼機器の最大供給ガス量に近いガス量が供給されているときの燃焼において発生するCOの値を用いて燃焼状態の判断を行うので、風によるCO濃度への影響は非常に小さく、燃焼機器の燃焼性能と寿命の判断を適確に行うことができる。
【0037】
なお、前記第1の所定回数の燃焼の間に、前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数よりかなり多い場合に、能力制限運転状態を経ずに前記熱交換器(14)に寿命が来ていると判断するようにしてもよい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の一形態を説明する。
【0039】
各図は本発明の一形態を示している。
【0040】
図1および図3に示すように、本燃焼機器10は屋内に取り付けられている。燃焼機器10の燃焼室11内の下部にはバーナー13が配設され、バーナー13の下方には給排気を行う燃焼ファン12が設けられている。燃焼ファン12にはそのファンの回転状態を検出するための回転検出センサー(図示せず)が設けられている。
【0041】
燃焼室11内の上部には熱交換器14が配設されている。熱交換器14には、例えば入口側に給水管(図示せず)が接続され、出口側には給湯管(図示せず)が接続されている。
【0042】
バーナー13は、ガスノズル22、ノズルホルダ23を備え、比例弁24およびアクチュエーター27により開閉可能な電磁弁25を介してガス用配管26が接続されている。バーナー13のガス取込み口とガスノズル22の先端部との間には、燃焼用の空気を取込み可能な間隙が形成されている。
【0043】
バーナー13の下方と上方とはバイパス17により連通している。バイパス17の中間部には、空気量センサー18が設けられている。
【0044】
燃焼室11の最上部には排気を装置外部へ導くための排気通路19が連通している。その排気通路19内には、COセンサー48が設けられている。COセンサーは感度および信頼性ともに良好な接触燃焼式のものであり、代表的には白金の細線をコイル状に巻き、この上からアルミナを塗布して固めたもので、CO等の可燃性ガスが接触してそこで燃焼すると白金の抵抗が増加することを利用したものであるが、アルミナに貴金属触媒を塗布又は含浸させた検知素子とガスに反応しない補償素子をブリッジ状に組んだものでもよい。また、ガス中での電気抵抗の変化を利用した半導体式のものでもよい。
【0045】
図2は、本制御装置のブロック図である。
【0046】
本制御装置は制御部30、電源回路(図示せず)が備えられている。
【0047】
制御部30は、制御器C、メモリ31、演算部32を備える。制御部30は演算部32からの信号に応じてパワーアンプ33およびアクチュエータ27を介して比例弁24を駆動し、燃料の供給量を制御し、また、演算部32からの信号に応じてパワーアンプ34およびアクチュエータ37を介して燃焼ファン12を作動させて燃焼のための空気の供給量を制御するものである。
【0048】
制御器CはCOセンサー48の出力信号を取り入れるタイミングを取るためのクロック(図示せず)が備えられている。
【0049】
メモリ31には制御プログラム、後述するCOの値に関する異常値、燃焼に関する所定回数、燃焼改善モードの回数に関する設定数、判別数、燃焼能力制限数、運転停止数等が記録されている。
【0050】
演算部32は制御器Cからの信号に従ってメモリ31に記憶された前記各種情報を取り込んで、後述するように各種判断を行って制御器Cへ信号を出力するものである。
【0051】
COセンサー48の出力信号は、図示省略したサンプルホールド回路、A−D変換回路を介して、デジタル値としてメモリ31に入力される。メモリ31はRAM、または記録書き換え可能なEEPROMが用いられている。
【0052】
次に作用を説明する。
【0053】
本発明の実施の態様においては、燃焼中に発生するCOをCOセンサー48によって測定し、その測定値に基づいて制御部30が燃焼機器10の燃焼性能と寿命を判断し、燃焼性能に応じて適宜燃焼機器10の制御を行う。
【0054】
燃焼性能の判断は測定したCO値が予め設定した前記異常値を超えた場合を、異常燃焼の発生とみなし、異常燃焼の発生頻度を燃焼機器10の燃焼性能および寿命の判断基準としている。
【0055】
通常、異常な燃焼による排気ガス中のCO濃度の上昇は給排気系や熱交換器等の劣化による詰まりといった機器の性能低下に起因するもの、給排管の潰れや破損によるもの、また、使用環境における強風により排気が不十分となった場合にも起こる。特に、供給燃料を少量にして燃焼機器の最小能力付近で運転しているときは、風に起因する不十分な排気状態の発生によるCO濃度の上昇が起こり異常な燃焼が発生し易くなる。
【0056】
逆に、多量の燃料を供給して燃焼機器を高い能力で運転しているときには、上記のような風に起因する異常な燃焼は発生しにくくなる。したがって、本発明の実施の態様においては、図2の制御部30に所定の供給ガス量と時間とからなる設定条件を設定して、その設定条件を満たす燃焼が有ったとき、すなわち、所定の時間以上継続して高い能力での燃焼が有ったとき、その間の異常燃焼発生頻度によって燃焼機器10の燃焼性能と寿命を判断する。
【0057】
図4は本発明の実施の態様を示すフローチャートである。
【0058】
燃焼機器10の運転を開始するとCOセンサー48が燃焼によって発生するCOの値を測定し制御器Cに出力した後、メモリ31に書き込まれる。
【0059】
COの値は演算部32に読み出されるとともに、メモリ31に予め記録された異常値と比較して、異常値よりも大きい場合は制御器Cがパワーアンプ34に信号を出力し、アクチュエータ37を介して燃焼ファン12の回転数を上げてバーナー13への給気量を増大させる(以下、このようにして給気量を増大させた状態を「燃焼改善モード」と記す。)。燃焼中に一度燃焼改善モードに入ると、燃焼が停止されるまで給気量を増大させた燃焼ファン12のファンの回転数と燃焼量との特性に従って制御される。一度燃焼が停止され再度運転が開始された時にCOの値が異常値よりも小さければ、通常の給気状態に戻っているとして燃焼ファン12の回転を正常時の燃焼量とファン回転数との特性に従って制御しつづける。
【0060】
制御部30には、例えば燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなり供給ガス量が最大供給ガス量に近い値である第1の設定条件が設定されている。具体的には、例えば最大供給ガス量が30、000kcal/hである燃焼機器において、供給ガス量を20、000kcal/hとし、その燃焼継続時間を2分とする。なお、第1の設定条件の供給ガス量の20、000kcal/hは最大供給ガス量の66%であり、後述する第2の設定条件は75%の15、000kcal/hとしているが、この数値に限定する必要はなく最大ガス量に近い値であればよいので、図4においては煩雑になることを避けるために第1の設定条件および第2の設定条件ともに、80%の能力としている。
【0061】
第1の設定条件のうち供給ガス量をこのように大きい値に取るのは、通常、給排気系や熱交換器の閉塞による燃焼への悪影響は燃焼状態が最大能力に近い程大きく、すなわちCOが発生し易く、一方、風による排気への影響で燃焼状態が悪くなるのは上述のように低い能力で燃焼を行っているときであり、したがって、燃焼状態が最大能力に近い状態であればあるほど風による排気への影響等、外乱によるCOの発生機会が少なくなり、異常燃焼による排気ガス中のCO濃度の上昇が給排気系や熱交換器の詰まりによるものであると判断できる確率が高くなるからである。
【0062】
燃焼機器10を始動したとき、前回の燃焼能力制限運転に入っていない場合、上述の条件(S5)を満たす燃焼回数Kが予め設定した第1の所定回数(例えば10回)あると(図4のS11参照)、演算部32がその10回の燃焼の間において燃焼改善モードに入った回数Lをメモリ31に予め記憶した第1設定数A1(例えば、「6」)および第2設定数A2(例えば、「2」)と比較する(S14、S22)。ここで、燃焼回数とは、燃焼機器の運転を開始してから終了するまで、すなわち、一度点火してから次に消火するまでをいう。
【0063】
図5は、一回の燃焼における燃焼状態をグラフに例示したもので、横軸に時間を縦軸に供給ガス量をとったものである。ここでは、上述の第1の設定条件を満たす燃焼状態はFおよびGで示したように2回行われている。このFおよびGの燃焼中にCOの値が前記メモリ31に記憶した所定値よりも大きくなり燃焼改善モードに入った回数が1回の燃焼における燃焼モード回数Lである。
【0064】
その結果、10回の燃焼の間において燃焼改善モードに入った回数Lが第1設定数A1以上あった場合(S14)、それを第1判別数Mとして1をカウントする(S15)。以降、燃焼改善モードに入った回数Lが第1設定数A1以上あるごとに、第1判別数Mに1を累積加算する(S15)。
【0065】
燃焼改善モードとなった回数Lが第1設定数A1未満で且つ第2設定数A2より大きい場合は(S22)、第1判別数Mへの1の加算は行わずその数を維持する。
【0066】
もし、燃焼改善モードに入った回数Lが第2設定数A2以下の場合には(S22)、第1判別数Mがメモリ31に記憶された燃焼能力制限数(例えば、25)に達していなければそれまでに累積加算した第1判別数Mをゼロにリセットする(S23、S24)。
【0067】
上記過程を繰り返して累積加算した第1判別数Mが燃焼能力制限数25に達すると(S18)、制御部30は熱交換器14の閉塞に起因する燃焼性能が燃焼機器10の燃焼能力を制限すべき状態であるとして能力制限運転を行う(S19)。
【0068】
さらに、第1判別数Mがメモリ31に記憶された特定数(例えば50)を越えた場合には(S20)、燃焼機器10の安全な運転の限界に達しており、燃焼機器10の寿命であるとし、燃焼機器10の運転を強制的に停止する(S21)。特定数以下である場合(S20)、比例弁24の最大開度を制限して燃焼機器10への最大供給ガス量が小さく制限された能力制限運転が持続される。このとき最大供給ガス量は例えば20、000kcal/hに下げる。
【0069】
従って、燃焼機器10が能力制限運転に入ると、使用者は熱交換器14に閉塞状態が生じてはいるが燃焼機器10をそのまま継続使用しても安全性に問題がないことを知ることができる。
【0070】
燃焼機器10が能力制限運転状態に入っている場合、制御部30は第1の設定条件の代わりにやはり燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなり供給ガス量が能力制限運転における最大供給ガス量に近い値として制御部30に予め設定された第2の設定条件(例えば、供給ガス量は15、000kcal/hとするが、上記のように図4においては煩雑を避けるために能力制限運転時の最大供給ガス量の80%とする。)を満たす燃焼に対して、上述したと同様の処理を行う。すなわち、第2の設定条件を満たす燃焼の回数P(図4における煩雑を避けるためにここでは第1の設定条件を満たす燃焼の回数と同一のものとし、以下「K」と記す。)が予め定めた第2の所定回数あるごとに、該第2の所定回数間における燃焼改善モードに入った回数Lを予め定めた第3設定数B3および第4設定数B4と比較する。第2の所定回数は例えば10とする。なお、第3設定数B3および第4設定数B4は、それぞれ第1設定数A1および第2設定数A2と同一でもよいし、異なってもよい。
【0071】
この条件を満たす燃焼回数Kが第2の所定回数である10回あると(S11)、演算部32がその10回の燃焼の間において燃焼改善モードに入った回数Lをメモリ31に予め記憶した第3設定数B3および第4設定数B4と比較する(S14、S22)。
【0072】
その結果、燃焼改善モードに入った回数Lが第3設定数B3以上あった場合、それを第2判別数Mとして1をカウントする。以降、燃焼改善モードに入った回数Lが第3設定数B3以上あるごとに、第2判別数Lに1を累積加算する(S15)。
【0073】
燃焼改善モードとなった回数Lが第3設定数B3未満で且つ第4設定数B4以上であった場合は(S22)、第2判別数Mへの1の加算は行わずその数を維持する。
【0074】
もし、燃焼改善モードに入った回数Lが第4設定数B4以下の場合には(S22)、それまでに累積加算した第2判別数Mを第1判別数Mが能力制限数25以上で第2判別数Mとなる25にリセットする(S25)。
【0075】
上記過程を繰り返して累積加算した第2判別数Mがメモリ31に記録された運転停止数(例えば50)に達すると(S20)、制御部30は燃焼機器10の寿命であると判断し、制御部30は燃焼機器10の運転を強制的に停止する(S21)。
【0076】
従って、燃焼機器10の運転が強制的に停止されれば、使用者は燃焼機器10の寿命が来たことを知ることができる。
【0077】
本実施の形態では、設定条件、設定回数等を具体的な数字を上げて例示したが、それらに限定されるものではない。
【0078】
このように前記実施の形態に係る燃焼機器の寿命判断方法によれば、燃焼機器がその熱交換器の閉塞状態に応じて燃焼能力を変え、あるいは燃焼機器の運転を強制停止するので高い安全性が得られるとともに、燃焼機器の使用者は極めて容易に燃焼機器の寿命を判断することができる。
【0079】
なお、本発明の上記実施の態様においては、30、000kcal/hの燃焼能力を有する燃焼機器において設定条件として20、000kcal/h以上の燃焼が2分以上あったときに寿命判断を行うことを例示したが、30、000kcal/h〜20、000kcal/hのときに判別数に1をカウントしていたが、複数の設定条件を設定して30、000kcal/h〜20、000kcal/hのときに判別数に1をカウントし、20、000kcal/h〜10、000kcal/hのときに判別数に0.2をカウントし、10、000kcal/h〜5、000kcal/hのときに判別数に0.01をカウントするように、各設定条件における判別数のカウントに重みをつけることによって(例えば、S7においてK=K+0.2,S10においてL=L+0.2等)、超大型の給湯器において通常使用状態において常に中間程度の燃焼量しか用いられないような場合でも寿命判断が可能になる。
【0080】
また、上記のように3段階ではなく、無段階にして最大燃焼能力付近での燃焼時にはCOの発生が700ppmのCOの発生が10分あった場合に判別数1を加算して、最小燃焼能力付近での燃焼時にはCOの発生が100ppmのCOの発生が10分あった場合に判別数1を加算してもよい。
【0081】
【発明の効果】
本発明にかかる燃焼機器および燃焼機器の寿命判断方法によれば、燃焼機器自体が熱交換器の閉塞状態に応じて安全性を保てる範囲に運転状態を制限し、それによって使用者は適確に燃焼機器の燃焼性能を判断することができるので部品の交換や修理の必要な時期を適切に判断でき、安全性および経済性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる燃焼機器を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる燃焼機器のブロック図である。
【図3】本発明の実施の一形態にかかる燃焼機器の装着状態説明図である。
【図4】本発明の実施の一形態にかかる燃焼機器の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の一形態にかかる燃焼機器の一回の燃焼における燃焼状態をグラフに例示したものである。
【符号の説明】
10…燃焼機器
12…燃焼ファン
13…バーナー
14…熱交換器
30…制御部
48…COセンサー

Claims (11)

  1. COセンサーを備えた燃焼機器の寿命判断方法であって、
    前記COセンサーで前記燃焼機器で発生するCOの値を測定し、
    燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる設定条件を満たす燃焼があったとき、その間に測定した前記COの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えた回数によって前記燃焼機器の寿命を判断することを特徴とする燃焼機器の寿命判断方法。
  2. COセンサーを備えた燃焼機器の寿命判断方法であって、
    前記COセンサーで前記燃焼機器で発生するCOの値を測定し、
    燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる複数の設定条件の何れかを満たす燃焼があったとき、その間に測定した前記COの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えるごとに積算するカウント値によって前記燃焼機器の寿命を判断する際、前記カウント値を前記複数の設定条件毎に異なる値としたことを特徴とする燃焼機器の寿命判断方法。
  3. 前記複数の設定条件のうち前記供給ガス量の最も多い設定条件の供給ガス量を、前記燃焼機器の最大供給ガス量に近い値としたことを特徴とした請求項2に記載の燃焼機器の寿命判断方法。
  4. バーナーと、給排気を行う燃焼ファンと、熱交換器と、COセンサーと、燃焼機器を制御する制御部とを備えた燃焼機器の寿命判断方法であって、前記制御部は、
    前記COセンサーが測定する前記燃焼機器で発生するCOの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えたとき前記COの値が前記異常値以下となるまで前記燃焼ファンの回転数を上げて前記バーナーへの給気量を増加させる燃焼改善モードとし、
    燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる設定条件を満たす燃焼が所定回数あるごとに、該所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第1設定数およびそれよりも小さい数の第2設定数と比較して、前記第1設定数以上あった場合、判別数に1を累積加算し、
    前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数未満で且つ前記第2設定数以上の場合、前記判別数の加算は行わず、
    前記燃焼改善モードに入った回数が前記第2設定数未満の場合、累積加算した前記判別数をゼロにリセットし、
    累積加算した前記判別数が予め設定した燃焼能力制限数に達したとき、前記熱交換器の燃焼性能が前記燃焼機器の燃焼能力を制限すべき状態であるとして前記燃焼機器への最大供給ガス量を小さく制限した能力制限運転にし、
    累積加算した前記判別数が予め設定した前記燃焼能力制限数より大きい値の運転停止数に達したとき、前記熱交換器の寿命がきたとして、前記燃焼機器の運転を停止させることを特徴とする燃焼機器の寿命判断方法。
  5. バーナーと、給排気を行う燃焼ファンと、熱交換器と、COセンサーと、燃焼機器を制御する制御部とを備えた燃焼機器の寿命判断方法であって、前記制御部は、
    前記COセンサーが測定する前記燃焼機器で発生するCOの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えたとき前記COの値が前記異常値以下となるまで前記燃焼ファンの回転数を上げて前記バーナーへの給気量を増加させる燃焼改善モードとし、
    燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる第1の設定条件を満たす燃焼が第1の所定回数あるごとに、該第1の所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第1設定数およびそれよりも小さい数の第2設定数と比較して、前記第1設定数以上あった場合、第1判別数に1を累積加算し、
    前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数未満で且つ前記第2設定数以上の場合、前記判別数の加算は行わず、
    前記燃焼改善モードに入った回数が前記第2設定数未満の場合、累積加算した前記第1判別数をゼロにリセットし、
    累積加算した前記第1判別数が予め設定した燃焼能力制限数に達したとき、前記熱交換器の燃焼性能が前記燃焼機器の燃焼能力を制限すべき状態であるとして前記燃焼機器への最大供給ガス量を小さく制限した能力制限運転にし、
    該能力制限運転となった後、燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなる第2の設定条件を満たす燃焼が第2の所定回数あるごとに、該第2の所定回数間における前記燃焼改善モードに入った回数を第3設定数およびそれよりも小さい数の第4設定数と比較して、前記第3設定数以上あった場合、第2判別数に1を累積加算し、
    前記燃焼改善モードとなった回数が第3設定数未満で且つ第4設定数以上の場合、前記第2判別数の加算は行わず、
    前記燃焼改善モードに入った回数が前記第4設定数未満の場合、累積加算した前記第2判別数をゼロにリセットし、
    累積加算した前記第2判別数が予め設定した運転停止数に達したとき、前記熱交換器の寿命がきたとして、前記燃焼機器の運転を停止させることを特徴とする燃焼機器の寿命判断方法。
  6. 前記第1の所定回数の燃焼の間に、前記燃焼改善モードとなった回数が前記第1設定数より大きい数値の特定数に達している場合、前記熱交換器の寿命がきたとして、前記燃焼機器の運転を停止させることを特徴とする請求項5に記載の燃焼機器の寿命判断方法。
  7. 前記設定条件である燃焼時の前記供給ガス量が、最大供給ガス量に近い値としたことを特徴とした請求項1、4、5または6に記載の燃焼機器の寿命判断方法。
  8. 熱交換器とCOセンサーとを備えた燃焼機器において、
    前記燃焼機器が設定条件を満たす燃焼を所定回数行ったとき、その間に前記COセンサーが測定した前記燃焼機器で発生したCO値が所定の値を超えた回数によって燃焼機器の運転状態を変更する制御部を備えたことを特徴とする燃焼機器。
  9. バーナーと、給排気を行う燃焼ファンと、熱交換器と、COセンサーとを備えた燃焼機器において、
    前記COセンサーが測定する前記燃焼機器で発生したCOの値が予め設定した異常燃焼を示す異常値を超えたとき、前記燃焼ファンの回転数を上げて前記COの値が前記異常値以下となるまで前記バーナーへの給気量を増加し、設定条件を満たす燃焼が所定回数あったとき、該所定回数の燃焼の間、前記異常値を超えたCOの値を前記異常値以下に下げるために前記燃焼ファンの回転数を上げる動作を行った回数によって前記燃焼機器の熱交換器の閉塞状態を判断して前記燃焼機器の運転状態を変更する制御部を備えたことを特徴とする燃焼機器。
  10. 前記設定条件は燃焼時の供給ガス量と燃焼継続時間との組合せからなることを特徴とする請求項7または8に記載の燃焼機器。
  11. 前記設定条件である燃焼時の前記供給ガス量が、最大供給ガス量に近い値としたことを特徴とした請求項9に記載の燃焼機器。
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