JP3667651B2 - 弾性及び断熱性を備えたローラ及びこれを用いた加熱装置 - Google Patents

弾性及び断熱性を備えたローラ及びこれを用いた加熱装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、乾式電子写真機器における加熱装置、湿式電子写真機器及びインクジェットプリンタにおける乾燥装置、並びにリライタブルメディア用消去装置等で好適に用いられる弾性及び断熱性を備えたローラ及びこれを用いた加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱装置の一種である定着装置に用いられる定着ローラには、熱効率及びいわゆるニップ圧の均一化の観点から、断熱性及び弾性を備えていることが望まれる。
【0003】
従来、アルミニウム等の中空芯金よりなる定着ローラの内部にハロゲンランプを配置し、ハロゲンランプを発熱させて定着ローラを所定の温度に設定する構成のものがあったが、この構成においては、ハロゲンランプによる熱変換率が低く、また、ハロゲンランプによる間接的な加熱であるため、ハロゲンランプから定着ローラの中空芯金への熱伝達効率が低かった。また、中空芯金内部の空気に対する放熱が避けられなかった。
【0004】
さらに、強度上の問題から、定着ローラ芯金の肉厚を薄くすることには限界があり、定着ローラの熱容量が大きかった。
【0005】
これらにより、定着ローラの加熱開始時の立ち上がりが遅くなり、ウォームアップ時間が長いといった問題があった。
【0006】
そこで、このような問題を解決するものして、特開昭59−46668号公報には、中空壁を鏡面にし、真空にした金属ローラの外周に内側から、発熱層、熱伝導層、オフセット防止層(被覆層)を順次形成した定着ローラが開示されている。
【0007】
このような構成の定着ローラにおいては、定着ローラ自体に発熱層が設けられ、定着ローラが発熱するため、熱変換効率、熱伝達効率に優れており、定着ローラ中心部に位置する金属ローラの中空壁内部が真空であるため、中空部での空気を介しての放熱がないことから、加熱開始時の立ち上がりが速く、ウォームアップ時間の短縮が図れる、とされている。
【0008】
ところが、上記特開昭59−46668号公報に開示されている定着ローラにおいては、依然として、強度上の問題から、定着ローラの熱容量の低減化は図れていない。
【0009】
ここで、一般に、ウォームアップ時間の短縮には、熱変換効率、熱伝達効率の向上や、中空部への空気放熱防止よりも、定着ローラの熱容量低減の方が効果があるとされている。特に、カラー用定着ローラにおいては、オフセット防止層(被覆層)として、厚肉(1〜2mm)のシリコンゴム層が一般的に用いられるが、この被覆層の熱容量は芯金以上に大きくなることが多い。
【0010】
よって、ウォームアップの短縮には被覆層の低熱容量化が必要不可欠であるが、上記の定着ローラの構成ではこの点が何ら改善されていない。
【0011】
また、定着装置では表面に弾性体層を有し、定着ローラと圧接することで所定のニップ幅を確保するための加圧ローラが使用される。このとき、定着ローラから加圧ローラへの熱拡散による加熱効率の低下も、定着装置のウォームアップ時間を短縮するための弊害となっているが、上記構成のローラにおいては、弾性を備えていないため、このような弾性を必要とするローラには適用できなかった。
【0012】
そこで、特開平8−129313号公報には、内部に弾性体層を備え、その外部に厚さ10〜150μmの金属スリーブを設けた加熱ローラにおいて、該金属スリーブを外部から加熱する構成が記載されている。
【0013】
この構成では、加熱ローラが薄い金属スリーブで形成されているので、熱容量を小さくできるためウォームアップ時間を短縮でき、また、金属スリーブは適度な剛性を有しており、芯金の上に固定された弾性体層の上に固定されているので、耐久性に優れている、とされている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−129313号公報に開示されている定着ローラにおいては、金属スリーブは非常に薄肉で熱容量は非常に小さいものの、金属スリーブに与えられた熱、又は金属スリーブで発生した熱が、内部の弾性体層に逃げるために、例えば中空芯金を鉄製とすることで肉厚0.3〜0.5mm程度にまで薄肉化を図った従来型の定着ローラと比較すると、加熱効率は低く、その結果として、ウォームアップ時間としてはほとんど変わらなった。
【0015】
特に、金属スリーブと弾性体層との固定に接着剤を使用すると、金属スリーブの熱容量に接着剤の熱容量が付加され、金属スリーブの見かけの熱容量が増加するとともに、弾性体層への熱伝導性もよくなることから、加熱効率が更に悪くなる。といった課題があった。
【0016】
この発明の目的は、断熱性に優れ、加熱による立ち上がりが速く、弾性を必要とするローラにも適用可能な弾性及び断熱性を備えたローラ及びこれを用いた加熱装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は以下の構成を備えている。
【0018】
(1)中心軸を含む芯材と、該芯材外周に形成された弾性体層と、該弾性体層の外周に形成された金属スリーブとを備えたローラにおいて、
該弾性体層は、その外周に設けられた前記金属スリーブを含む被覆部材により密閉されているとともに、それぞれの空気密度が大気中の空気密度よりも低い複数の気泡を有する発泡体であることを特徴とする。
【0019】
この構成においては、前記弾性体層は、その外周に設けられた前記金属スリーブを含む被覆部材により密閉されており、かつ、それぞれの空気密度が大気中の空気密度よりも低い複数の気泡を有する発泡体であることから、該ローラ生産時における該発泡体の気泡内の空気密度が長期間にわたって低い状態のまま維持される。
【0020】
また、空気密度が低い状態では、気泡中の空気を介して熱が伝わりにくくなるため、弾性体層全体として断熱性が向上する。
【0021】
(2)前記複数の気泡は、その一部又は全部が連続気泡であることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、前記複数の気泡は、その一部又は全部が連続気泡であることから、前記弾性体層を構成する発泡体層の内部にいたるまで各気泡が連続しているため、前記弾性体層における発泡体の気泡の真空引き等による空気密度の低下作業が容易になる。
【0023】
(3)前記複数の気泡は、その一部又は全部が独立気泡であることを特徴とする。
【0024】
この構成においては、前記複数の気泡は、その一部又は全部が独立気泡であることから、それぞれの気泡の気密性が高く空気の出入りが微小であるため、気泡の空気密度を低下させた後の弾性体層の密閉作業等における該ローラの取り扱いが容易になる。
【0025】
(4)前記複数の気泡は、その一部又は全部の径が空気の平均自由行程以下であることを特徴とする。
【0026】
この構成においては、前記複数の気泡は、その一部又は全部の径が空気の平均自由行程以下であることから、気泡内に残留する気体分子が他の気体分子と衝突することが稀であるため、該気体を介しての熱伝導がされにくく、弾性体層全体として断熱性が向上する。なお、平均自由行程とは、気体分子が他の分子と衝突せずに自由に飛び廻る距離をいい、これが短い程気体の熱伝導が活発になる、とされている。
【0027】
(5)前記芯材は、中空状のシャフトであり、前記弾性体層との当接面と芯材内部とを連通させる複数の貫通孔を設けたことを特徴とする。
【0028】
この構成においては、前記芯材は、中空状のシャフトであり、前記弾性体層との当接面と芯材内部とを連通させる複数の貫通孔を設けたことから、発泡体の気泡が芯材の貫通孔及び中空部を介して外部に連通する。このため、芯材の中空部及び貫通孔を用いて外部から前記空気密度の低下作業、前記弾性体層の密閉作業、及び所定期間経過後の再脱気作業が容易に行ない得る。
【0029】
また、シャフトの軸方向に関して均一に脱気処理が行なわれるため、気泡の真空度がより均一化される。
【0030】
(6)前記芯材は、その中空部に空気を吸収する吸気剤を有することを特徴とする。
【0031】
この構成においては、前記芯材は、その中空部に空気を吸収する吸気剤を有することから、前記空気密度の低下作業後に気泡内に空気が残留していた場合や長期間の使用により気泡内に空気が侵入した場合等においても、該吸気剤が空気を吸収し、熱の伝導に寄与する気泡内の空気密度が低下するため、弾性体層全体としての断熱性が向上する。
【0032】
(7)前記弾性体層の端面部が柔軟性を有するシーリング材により、発熱層となる前記金属スリーブと一体となってシールされることを特徴とする。
【0033】
この構成においては、前記弾性体層の端面部が柔軟性を有するシーリング材により、発熱層となる前記金属スリーブと一体となってシールされることから、該シーリング材をシールすることにより弾性体層の弾性効果が損なわれることがない。
【0034】
さらに、シーリング材が発熱層と一体となっているため、発熱層を発泡弾性体層と接着しなくても、発熱層の位置ずれが防止され、発熱層から発泡弾性体層への熱拡散が効果的に防止される。
【0035】
(8)前記シーリング材は、シリコン系接着剤であることを特徴とする。
【0036】
この構成においては、前記シーリング材は、シリコン系接着剤であることから、柔軟性を有し、耐熱性にも優れるため、弾性体層の弾性効果が損なわれることがなく、金属スリーブの発熱時においても、金属スリーブの温度に耐えられるため、シーリング材として機能が十分に担保される。
【0037】
また、通常、弾性体層として用いられることになるシリコンゴムとの接着性にも優れるため、シーリング材の接着状態が良好になる。
【0038】
(9)(1)〜(8)に記載のローラを、加熱ローラ又は加圧ローラの少なくとも一方に用いたことを特徴とする。
【0039】
この構成においては、上述の弾性及び断熱性を備えたローラを定着装置等の加熱装置に適用することから、例えば用紙上の未定着のトナー像を定着させるために金属スリーブを加熱する際には、これに接している弾性体層の断熱性が高いため、発熱層で発生した熱が弾性体層に逃げにくく熱効率が向上し、該加熱装置のいわゆるウォーミングアップ時間が短縮する。
【0040】
また、弾性体層の気泡内の空気が熱膨張することによるこれらのローラ径の変化が防止されるため、これらのローラによって処理される被加熱媒体等の処理に支障が生じること、例えば搬送される用紙にしわが発生すること等が防止される。
【0041】
(10)単数又は複数のローラに張架される加熱ベルトと、この加熱ベルトに圧接する加圧ローラと、前記加熱ベルトを加熱する加熱手段とを備えた加熱装置において、
前記ローラの少なくともひとつは、(1)〜(8)のいずれかに記載のローラであることを特徴とする。
【0042】
この構成においては、上述の弾性及び断熱性を備えたローラを単数又は複数のローラに張架される加熱ベルトと、この加熱ベルトに圧接する加圧ローラと、前記加熱ベルトを加熱する加熱手段とを備えた加熱装置に適用することから、加熱ベルトの支持部材となるこれらのローラに加熱ベルトの熱が放出されにくく、この加熱装置の熱効率が向上し、いわゆるウォーミングアップ時間が短縮する。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の実施形態の説明をする。
【0044】
本発明の加熱装置を、乾式電子写真器における定着装置に適用した実施の一形態について説明する。
【0045】
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成の一部を示している。
【0046】
本発明が適用される乾式電子写真方式のカラー画像形成装置は、図1に示すように、4色の画像形成ユニット10を記録媒体搬送路に沿って配列したいわゆるタンデム式のプリンタである。
【0047】
被加熱材である用紙72の供給トレイ20と定着装置1とを繋ぐ用紙の搬送路に沿って、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、及び10Bを配置し、無端状ベルトの用紙搬送手段30によって搬送される用紙72に各色トナーを多重転写した後、定着装置1によってこれを定着してフルカラー画像を形成するものである。
【0048】
上記記録用紙搬送手段30は、駆動ローラ31及びアイドリングローラ32によって張架されるとともに所定の周速度に制御されて回動する無端状の搬送ベルト33を有しており、このベルト上に用紙72を静電吸着させて搬送する。
【0049】
また、各画像形成ユニット10は、像を担持する感光体ドラム11と、その周囲に帯電ローラ12、レーザスキャナユニット13、現像装置14、転写ローラ15、及び清掃装置16を配置しており、各画像形成ユニット10の現像装置14には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(M)、ブラック(B)の各トナーが収容されている。
【0050】
そして、各画像形成ユニットは、以下の工程により、トナー画像を用紙72上に画像形成処理を行なう。
【0051】
具体的には、感光体ドラム11表面を帯電ローラ12で一様に帯電した後、レーザスキャナユニット13により感光体ドラム11表面を画像情報に応じて露光して静電潜像を形成する。
【0052】
その後、現像装置14により感光体ドラム11の表面にトナーを供給して静電潜像をトナー像に顕像化し、この顕像化されたトナー画像をトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ローラ15により、搬送手段上を搬送される用紙72に順次転写する。
【0053】
その後、用紙72は駆動ローラ31の曲率により、搬送ベルトから剥離され、定着装置1に搬送される。この定着装置において、所定の温度に保たれた加熱ローラにより適度な温度と圧力が与えられ、用紙72上の未定着のトナー71は溶解して用紙72に固定され堅牢な画像となる。
【0054】
図2は本発明の定着装置の構成を示す図である。この定着装置1は、案内されてくる用紙上のトナー71を溶融するために加熱する加熱ローラ50と、この用紙に所定の圧力を与えてトナー像を定着させる加圧ローラ60と、加熱のための磁界を発生させる励磁回路42と、加熱ローラ50を回転駆動する駆動手段44と、これらの定着装置1における動作の制御を行なう制御回路43とから構成されている。
【0055】
この定着装置1は発熱層である金属スリーブ46を有する加熱ローラ50を、その外部に配置した加熱手段である磁界発生手段41により加熱し、一定温度で加熱された該加熱ローラ50と加圧ローラ60とのニップ部に未定着のトナー像を有する用紙を通紙することで用紙に画像を定着させるものである。
【0056】
加熱ローラ50は、アルミニウム、鉄又はステンレス等の金属からなる芯金40(芯材、誘導加熱による発熱を防止するため、アルミニウムがより望ましい。)上に発泡シリコンゴムからなる弾性体層47と金属スリーブ46が順次形成された構成である。
【0057】
金属スリーブ46は、誘電加熱作用により発熱する発熱体であり、表面温度の立ち上がり時間を短縮するために、その肉厚は、40μm〜50μmと薄肉化されている。
【0058】
金属スリーブ46の基材の材質は、誘導加熱で加熱するため、鉄やSUS430ステンレス材等、磁性を有する導電性部材であれば良い。特に比透磁率が高ければ良く、珪素鋼板や電磁鋼板、ニッケル鋼等であっても良い。
【0059】
また、非磁性体であっても、SUS304ステンレス材等抵抗値の高い材料であれば誘導加熱できるのでこれらを使用することもできる。更に、セラミックス等の非磁性の金属スリーブ46であっても、非透磁率の高い前記材料が導電性を有するように配置されているような構成であればこれを採用することができる。
【0060】
ここでは、金属スリーブ46の基材に電鋳法により作成した厚さ40μmのニッケルを使用している。また、発熱量を増大させるために金属スリーブ46を複数層からなるスリーブで構成しても良い。
【0061】
また、金属スリーブ46の外周面には、ニップ部70で加熱され粘度が低下したトナー71が加熱ローラ50に付着するのを防止するために、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(以下、PFAという。)等のフッ素樹脂、又は、シリコンゴム、フッ素ゴム、フロロシリコンゴム等の弾性体、若しくはこれらが複数積層された離型層45が被覆されている。
【0062】
本実施例では、被覆層として層厚150μmのシリコンゴム層を形成している。上述のように金属スリーブ46は非常に薄く、それだけでは十分な機械的強度が得られない。
【0063】
そこで、本実施例における加熱ローラ50においては、金属スリーブ46を固定、支持するために、金属スリーブ46の内側に発泡弾性体の弾性体層47が設けられている。金属スリーブ46からの熱逃げを極力防止すると同時に、金属スリーブ46の温度に耐えられるように、弾性体層47には断熱性及び耐熱性に優れる発泡シリコンゴムが用いられており、厚さとしては例えば6mmのものが使用される。
【0064】
加熱ローラ50と接触し、用紙を通過させるニップ部70を形成するための加圧ローラ60は、鉄、ステンレス、又はアルミニウムの芯金40上に、シリコンゴム等の弾性体層47を有するように構成されている。
【0065】
この加圧ローラ60の表面には、PFAやPTFEからなる離型層45が形成されていても良い。
【0066】
加圧ローラ60は図示しないバネ等の弾性部材によって、加熱ローラ50に圧接されており、これにより加熱ローラ50との間に、幅6.5mm程度の接触ニップ部70が形成される。
【0067】
加熱ローラ50を加熱する誘導加熱手段である磁界発生手段41は、図3に示す誘導コイルから構成されており、加熱ローラ50の外周部を取り囲むように構成されている。このように構成すると曲率が存在するため、誘導コイルの中心側に磁束が集中し、渦電流の発生量が多くなるため、加熱ローラ50の表面温度をすばやく立ち上げるのに都合が良い。
【0068】
誘導コイルの材質には、ここでは、耐熱性を考慮して、酸化膜等の表面絶縁層を有するアルミニウム単線を使用しているが、銅線又は銅ベースの複合部材線であっても良いし、エナメル線等を撚り線にしたリッツ線であっても良い。
【0069】
いずれの線材を使用するにしても、コイルでのジュール損を抑えるためには、誘導コイルの全抵抗値は、0.5Ω以下、望ましくは0.1Ω以下とすべきである。また、誘導コイルを、定着させる用紙のサイズに応じて複数個配置しても良い。
【0070】
この誘導コイルに、図2中の励磁回路42からより高周波電流を流すことで生じる交番磁界により、加熱ローラ50が誘導加熱される。このとき、ニップ部70近傍には、サーミスタ48が配置されており、サーミスタ48の検知信号に応じて、図示しないCPU等を備えた制御手段が励磁回路を制御し、これにより加熱ローラ50の温度は一定温度に制御される。
【0071】
このように一定温度に制御された加熱ローラ50を、駆動手段43により回転させることで、ニップ部70に未定着画像を通紙させ、この画像を熱と圧力とにより紙に定着させる。また、このときトナー71の特性に応じて、加熱ローラ50表面にシリコンオイル等からなるオフセット防止剤を塗布してもよい。
【0072】
次に、加熱ローラ50について、図4を用いて説明する。
【0073】
図4は本実施形態における加熱ローラ50の正面断面図である。上述のように、弾性体層47は発泡シリコンゴムからなるが、通常、発泡シリコンゴムはその気泡52内部に大気中と同じ密度の空気を有している。この場合、発泡シリコンゴムの熱伝導率としては、約0.07(W/m°C)程度であり、空気の熱伝導率0.0257(W/m°C)より大きく断熱性が良くないため、金属スリーブ46から弾性体層47に逃げる熱量は、従来のような中空芯金40を用いた加熱ローラ50において芯金40から中空部の空気に放出される熱量に比べて大きいことが知られている。
【0074】
このような場合には、薄層の金属スリーブ46を用いることで加熱体を低熱容量化した本発明の加熱ローラ50の特徴・効果を相殺してしまい、ウォームアップ時間としては、従来型で芯金40材料に例えばアルミニウムに比べて強度的に優れる鉄系材料を用いて芯金40を薄肉化した加熱ローラとほとんど変わらない。
【0075】
ここで、一般的に、弾性体層47に逃げる熱のうち、約60%が弾性体材料、すなわち本実施形態においてシリコンゴム自体を伝わる熱であり、残りの約40%が弾性発泡体内の気泡中の空気を介して伝わる熱である、とされている。
【0076】
従って、発泡シリコンゴムの気泡52内部の空気密度を大気中の空気密度よりも低くすれば、発泡シリコンゴムの熱伝導率を低くすることができ、弾性体層47の断熱性をさらに向上することができる。
【0077】
そこで、本実施形態における加熱ローラ50においては、製造工程時に弾性体層47である発泡シリコンゴムの気泡52内部にある空気の脱気処理を施している。具体的には、芯金40上に弾性体層47が形成されたローラ(以下、弾性ローラという。)を作製し、また、これとは別工程で金属スリーブ46上に離型層45を形成し、加熱ローラ50製作装置を用いて金属スリーブ46内に弾性ローラを挿入する。
【0078】
そして、この金属スリーブ46が被さった状態で弾性ローラを真空装置内に入れ、弾性体層47端部より、弾性体層47の気泡内部に存在する空気の脱気を行なう。脱気が完了した後、弾性体層47端部をシーリング材51を用いて金属スリーブ46と一体的にシールし、弾性体層47を密閉する。
【0079】
ここで、弾性体層47は加圧ローラ60との圧接により変形し、ニップを形成する必要があることから、シーリング材51に用いられる材料としては、柔軟性を有し、弾性体層47の変形に追従して変形することが必要であり、また、金属スリーブ46と一体となって弾性体層47をシールするため、発熱した金属スリーブ46の温度に十分耐えられる耐熱性を有していることがより望ましい。
【0080】
従って、本実施形態ではシーリング材51としてシリコン系接着剤を用いている。シリコン系接着剤は柔軟性を有し、また、耐熱性にも優れることから、シーリング材51として好適である。
【0081】
また、気泡52の構造としては、脱気効率や気泡内の真空度を極力向上させたい場合は、各気泡の一部又は全部が繋がった連続気泡状態となるように、シリコンゴムの発泡条件を設定すると良い。弾性体層47をこのように構成することで脱気に要する時間が短縮され、また、気泡内部の真空度がより高くなる。このようにして、製作した加熱ローラ50の弾性体層47の熱伝導率を測定すると、その値は0.05(W/m°C)であり、脱気処理を施していない加熱ローラ50の熱伝導率の値の0.072(W/m°C)に比べ、断熱性が向上していることが確認できた。
【0082】
一方、シールドする際の作業性を向上させたい場合は、気泡52の構造として、各気泡の一部又は全部が独立した独立気泡状態となるように、シリコンゴムの発泡条件を設定すると良い。独立気泡はある程度の気密性を備えるが、完璧な機密性を持つわけではないため、真空装置内に放置されると、連続気泡に比べて時間はかかるものの、徐々に気泡内の気体は吸引され、脱気される。
【0083】
そして、脱気後、弾性ローラを大気中に取り出しても、気泡内部に再度気体が侵入するのにも時間を要するため、シールド作業前においても、真空状態がある程度維持される。その結果、シーリング材によるシールド作業を真空装置外である大気中で行なうことができ、作業性を改善することができる。
【0084】
独立気泡の弾性ローラを真空装置で30分間脱気を行なった後、真空装置から取り出し、約3分間でシールドを行なった場合、真空装置内で処理したローラと同等の熱伝導率0.05(W/m°C)に抑えることができることが確認された。
【0085】
また、本発明による弾性ローラの生産性を向上するためには、脱気時間を極力短くする必要があるが、この場合、気泡内が完全に真空とはならず、若干の空気が残ってしまう。一般的には、工業的に容易に得られる真空圧力としては、0.5Torr程度である。このような場合においても、極力、弾性ローラの断熱性を維持するために、気泡の平均直径としては空気の平均自由工程より小さいことが好ましい。平均自由工程とは、気体分子が他の分子と衝突せずに自由に飛び廻る距離であり、これが短い程気体の熱伝導が活発になる。尚、平均自由行程は一般的に次式で表される。
【0086】
L=2.33×10-20 T/(P×σ2
L:平均自由行程(cm)
T:温度(K)
P:圧力(Torr)
σ:気体分子半径(cm)
よって、それぞれの気泡で構成された壁間距離、つまり空隙間距離の方が、平均自由行程より短くなると、気体同士がぶつかる確率がほとんど無視できるオーダーとなり、断熱性が向上する。従って、本実施形態では、平均セル径を、空気の平均自由行程(本実施形態の場合には約130μm)より小さい100μmとしている。
【0087】
ここで、図5は本発明に係る加熱装置1の第2の実施形態における加熱ローラ50の正面断面図である。なお、本実施形態においては加熱ローラ50以外の構成は、第1の実施形態における構成と同一である。
【0088】
さらに、本実施形態における加熱ローラ50は、芯金40を除いて、第1の実施形態のものと同一の構成である。但し、芯金40は、アルミニウムからなる中空円筒形状をしており、外面から内面へ貫かれた、弾性体層47と芯金40の中空部とを連通する多数の貫通孔49を有する点において第1の実施形態と相違する。
【0089】
次に、加熱ローラ50の製造方法について説明する。芯金40上に弾性体層47が挿入、接着されたローラ(以下、弾性ローラという。)を作製し、また、これとは別工程で金属スリーブ46上に離型層45を形成し、加熱ローラ50製造装置を用いて金属スリーブ46内に弾性ローラの挿入を行なう。
【0090】
次に、弾性体層47端部をシリコン系接着剤からなるシーリング材51を用いて金属スリーブ46を一体的にシールする。そして、この金属スリーブ46が被さった状態で弾性ローラを真空装置内に入れ、真空引きを行なう。その結果、弾性体層47の気泡内部に存在する空気は、気泡52から芯金40の貫通孔49、そして芯金40の貫通孔49から中空部を経由して、芯金40両端の開口部というルートにより脱気される。脱気が完了した後、芯金40両端の開口部にシールドキャップ53を挿入し、芯金40内部を密閉する。その後、加熱ローラ50を真空装置外に取り出す。すると、シールドキャップ53は芯金40内外の気圧差により、芯金40に強固に加圧され、芯金40内部の密閉性がより向上する。
【0091】
加熱ローラ50を以上のような構成とすることにより、通常、真空装置内での非常に手間と時間を要する作業が、芯金40の両端にシールドキャップ53を挿入するだけの真空装置内でも容易に行なえる簡易な作業となる。本構成の加熱ローラ50では、シーリング材51によるシール作業を脱気処理前に真空装置外で行なうことができるため、生産性の向上を図ることができる。
【0092】
第1の実施形態の加熱ローラ50では、弾性体層47端部から脱気されるため、加熱ローラ50端部と中央部で気泡内部の真空度が不均一となりやすい。一方、本実施形態の加熱ローラ50では、軸方向に関して均一に脱気処理されるため、気泡の真空度をより均一とすることができる。
【0093】
加熱ローラ50を長時間使用すると再度、気泡内に徐々に空気が侵入し、断熱性が低下することが考えられる。このような場合においても、本実施形態の加熱ローラ50では、シールドキャップ53の取り外しが可能であるため、再度真空装置内で脱気処理することにより、断熱性を復帰させることができるため、長期間に渡って使用することができる。
【0094】
更に、予め、芯金40内部に活性炭、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、ゼオライト、シリカ系微粉末等の吸気剤であるゲッター剤を挿入しておくことで、長期間の使用により多少気泡内に空気が侵入しても、この空気はゲッター剤により吸収されるため、長期間断熱性を維持することができる。
【0095】
ここで図6は、本発明による弾性ローラの使用状態を示す図である。同図は、本発明による弾性ローラを熱ローラ定着装置の加圧ローラ60に適用した例を示している。本実施形態における、熱ローラ定着装置1はアルミニウム、鉄等の金属からなる中空芯金40の表面にフッ素樹脂等からなる離型層45が設けられた加熱ローラ50と、この定着ローラに圧接する加圧ローラ60とを備え、加熱ローラ50内部に配置されたハロゲンランプ等のヒータ54からの赤外線により、加熱ローラ50の加熱を行なう構成である。
【0096】
加熱ローラ50の周囲には、加熱ローラ50と加圧ローラ60との当接部となるニップ部70の上流側に加熱ローラ50の表面温度を検知し、所定の温度にコントロールするためのサーミスタ等からなる温度センサ48、ニップ部70の下流側には加熱ローラ50への用紙の巻き付きを防止するための剥離爪55、また加熱ローラ50の上方には加熱ローラ50の異常昇温を防止するためのサーモスタット等からなる安全装置56が配置されている。
【0097】
図7は、本実施形態に適用される加圧ローラ60の構成を示している。
【0098】
加圧ローラ60は、鉄又はステンレス等の金属からなる芯金40上に発泡シリコンゴムからなる弾性体層47とPFAチューブとをシーリング部材51により、一体的にシールして構成されている。このため、弾性体層47は密閉状態となっている。
【0099】
このようにして、製作した加圧ローラ60の弾性体層47の熱伝導率を測定したところ、0.05(W/m°C)であり、脱気処理を施していない加圧ローラの熱伝導率の値である0.072(W/m°C)に比べ、断熱性が向上している。これにより、加熱ローラ50から加圧ローラ60に逃げる熱量を低減することができ、定着装置のウォームアップ時間を短縮することができるとともに、定着動作時の熱効率を向上することができる。
【0100】
また、図8は、本発明による弾性ローラをベルト定着装置の加熱ローラ50に適用した状態を示す図である。本実施形態におけるベルト式定着装置は、加熱ローラ50、支持部材としてのバックアップローラ80、加圧ローラ60、テンションローラ80、加熱ベルトとしてのエンドレスベルト59、ヒータ54及び温度センサ48を備えている。
【0101】
エンドレスベルト59は、厚さ40μmのニッケル又はステンレス等の金属製基板の外表面に離型層45をしてシリコンゴムやフッ素樹脂等が被覆された2重構造であり、バックアップローラ80及び加熱ローラ50に対し、180°近い巻き付け角で張架されている。
【0102】
テンションローラ58は、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス等からなる、芯金40の表面にシリコンオイルが含侵されたノーメックスフェルト(登録商標)等の耐熱性の被覆層が螺旋状に貼付されたものであり、エンドレスベルト59に所定の張力を付加するとともに、エンドレスベルト59のクリーニング及びオイル塗布を兼用する。
【0103】
加熱ローラ50はアルミニウム、鉄、又はステンレス等からなる金属製中空芯金40の表面にフッ素ゴムからなる、被覆層が形成されており、加熱ローラ50内部にはハロゲンランプからなるヒータ54が配置されている。また、加熱ローラ50の表面位置におけるエンドレスベルト59との接触範囲の反対側には、温度センサであるサーミスタ48が当接しており、加熱ローラ50の表面温度を検知するようになっている。
【0104】
加圧ローラ60は、アルミニウム、鉄又はステンレスからなる金属製芯金40にシリコンゴムからなる弾性体層47を設けた構成であり、図示しないコイルばねによりエンドレスベルト59を介してバックアップローラ80に圧接することにより、所定の幅のニップ部70を形成している。
【0105】
以上のように構成された定着装置1において、加熱ローラ50はヒータ54により所定の温度に加熱コントロールされるとともに、図示しない駆動手段によって回転する。そして、加熱ローラ50の回転に従動してエンドレスベルト、バックアップローラ、加圧ローラ60が回転し、ニップ部70に未定着トナー画像が形成された用紙が搬送されることで定着が行なわれる。
【0106】
次に本発明が適用されるバックアップローラについて図9を用いて説明する。バックアップローラは、鉄又はステンレス等の金属からなる芯金40上に発泡シリコンゴムからなる弾性体層47とPFAチューブからなる被覆層が順次形成された構成である。また、製造工程中において、真空装置により弾性体層47内の気泡内部に存在する空気が脱気処理されており、脱気後、再度気泡内に空気が侵入しないよう、脱気が完了した後、弾性体層47端部がシーリング材によりPFAチューブと一体的にシールされており、これにより弾性体層47は密閉状態となっている。
【0107】
このようにして製作したバックアップローラの弾性体層47の熱伝導率を測定したところ、0.05(W/m°C)であり、脱気処理を施していない従来のバックアップローラの熱伝導率の値である0.072(W/m°C)に比べて断熱性が向上していることが確認できた。
【0108】
その結果、エンドレスベルト59からバックアップローラ80に逃げる熱量を低減することができ、定着装置1のウォームアップ時間を短縮することができるとともに、定着動作時の熱効率を向上することができる。
【0109】
次に、本発明による弾性ローラを用いた定着装置1により、実際に実験によりウォームアップ時間(昇温特性)及び消費電力について測定した結果について示す。実際に用いた定着装置1は、図10に示すように、加熱ローラ50と加圧ローラ60との両方に本発明の弾性ローラを用いている。
【0110】
図11は、実験条件として、投入電力800W、ローラ周速度200mm/sとしたときのウォームアップ時間の測定結果を示すものである。
【0111】
定着温度である190°Cまで昇温させるために要する時間、いわゆるウォームアップ時間は、本実施形態の定着装置で14.6秒、比較例の定着装置で18.6秒となり、これより、弾性ローラの真空断熱化を図ることでウォームアップ時間が約20%短縮されることが示されている。
【0112】
また、測定によりウォームアップ時及び190°Cで30秒間温度制御した時の消費電力量は、ウォームアップ時消費電力量が0.89Wh、そして190°Cにおいて30秒温度制御時の消費電力量が0.42Wh低減しており、定着装置の弾性ローラの真空断熱化を図ることで、消費電力も低減されることが分かった。
【0113】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、
(1)前記弾性体層は、その外周に設けられた前記金属スリーブを含む被覆部材により密閉されており、かつ、それぞれの空気密度が大気中の空気密度よりも低い複数の気泡を有する発泡体であることから、該ローラ生産時における該発泡体の気泡内の空気密度を長期間にわたって低い状態のまま維持することができる。
【0114】
また、空気密度が低い状態では、気泡中の空気を介して熱が伝わりにくくなるため、弾性体層全体として断熱性を向上させることができる。
【0115】
(2)前記複数の気泡は、その一部又は全部が連続気泡であることから、前記弾性体層を構成する発泡体層の内部にいたるまで各気泡が連続しているため、前記弾性体層における発泡体の気泡の真空引き等による空気密度の低下作業を容易に行なうことができる。
【0116】
(3)前記複数の気泡は、その一部又は全部が独立気泡であることから、それぞれの気泡の気密性が高く空気の出入りが微小であるため、気泡の空気密度を低下させた後の弾性体層の密閉作業等における該ローラの取り扱いを容易にすることができる。
【0117】
(4)前記複数の気泡は、その一部又は全部の径が空気の平均自由行程以下であることから、気泡内に残留する気体分子が他の気体分子と衝突することが稀であるため、該気体を介しての熱伝導がされにくく、弾性体層全体として断熱性を向上させることができる。
【0118】
(5)前記芯材は、中空状のシャフトであり、前記弾性体層との当接面と芯材内部とを連通させる複数の貫通孔を設けたことから、発泡体の気泡が芯材の貫通孔及び中空部を介して外部に連通するため、芯材の中空部及び貫通孔を用いて外部から前記空気密度の低下作業、前記弾性体層の密閉作業、及び所定期間経過後の再脱気作業を容易に行なうことができる。
【0119】
また、シャフトの軸方向に関して均一に脱気処理が行なわれるため、気泡の真空度をより均一化することができる。
【0120】
(6)前記芯材は、その中空部に空気を吸収する吸気剤を有することから、前記空気密度の低下作業後に気泡内に空気が残留していた場合や長期間の使用により気泡内に空気が侵入した場合等においても、該吸気剤が空気を吸収し、熱の伝導に寄与する気泡内の空気密度が低下するため、弾性体層全体としての断熱性を向上させることができる。
【0121】
(7)前記弾性体層の端面部が柔軟性を有するシーリング材により、発熱層となる前記金属スリーブと一体となってシールされることから、該シーリング材をシールすることにより弾性体層の弾性効果が損なわれることを防止できる。
【0122】
さらに、シーリング材が発熱層と一体となっているため、発熱層を発泡弾性体層と接着しなくても、発熱層の位置ずれが防止され、発熱層から発泡弾性体層への熱拡散を効果的に防止できる。
【0123】
(8)前記シーリング材は、シリコン系接着剤であることから、柔軟性を有し、耐熱性にも優れるため、弾性体層の弾性効果が損なわれることがなく、金属スリーブの発熱時においても、金属スリーブの温度に耐えられるため、シーリング材として機能を十分に担保することができる。
【0124】
また、通常、弾性体層として用いられることになるシリコンゴムとの接着性にも優れるため、シーリング材の接着状態を良好にすることができる。
【0125】
(9)上述の弾性及び断熱性を備えたローラを定着装置等の加熱装置に適用することから、例えば用紙上の未定着のトナー像を定着させるために金属スリーブを加熱する際には、これに接している弾性体層の断熱性が高いため、発熱層で発生した熱が弾性体層に逃げにくく熱効率が向上し、該加熱装置のいわゆるウォーミングアップ時間を短縮することができる。
【0126】
また、弾性体層の気泡内の空気が熱膨張することによるこれらのローラ径の変化が防止されるため、これらのローラによって処理される被加熱媒体等の処理に支障が生じること、例えば搬送される用紙にしわが発生すること等を防止することができる。
【0127】
(10)上述の弾性及び断熱性を備えたローラを単数又は複数のローラに張架される加熱ベルトと、この加熱ベルトに圧接する加圧ローラと、前記加熱ベルトを加熱する加熱手段とを備えた加熱装置に適用することから、加熱ベルトの支持部材となるこれらのローラに加熱ベルトの熱が放出されにくく、この加熱装置の熱効率が向上し、いわゆるウォーミングアップ時間を短縮することができる。
【0128】
よって、断熱性に優れ、加熱による立ち上がりが速く、弾性を必要とするローラにも適用可能な弾性及び断熱性を備えたローラ及びこれを用いた加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の加熱装置の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の過熱手段の構成を示す図である。
【図4】本発明の加熱ローラの構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の加熱ローラの構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の加圧ローラの使用状態を示す図である。
【図7】本発明の加圧ローラの構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の弾性ローラの使用状態を示す図である。
【図9】本発明のバックアップローラの構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の弾性ローラの使用状態を示す図である。
【図11】本発明におけるウォームアップ時間の測定結果を示すものである。
【符号の説明】
1−定着装置
40−芯金
41−加熱手段
42−励磁回路
43−制御手段
44−駆動手段
45−離型層
46−金属スリーブ
47−弾性体層
48−温度センサ
49−貫通孔
50−加熱ローラ
60−加圧ローラ

Claims (10)

  1. 中心軸を含む芯材と、該芯材外周に形成された弾性体層と、該弾性体層の外周に形成された金属スリーブとを備えたローラにおいて、
    該弾性体層は、その外周に設けられた前記金属スリーブを含む被覆部材により密閉されているとともに、それぞれの空気密度が大気中の空気密度よりも低い複数の気泡を有する発泡体であることを特徴とする弾性及び断熱性を備えたローラ。
  2. 前記複数の気泡は、その一部又は全部が連続気泡であることを特徴とする請求項1に記載の弾性及び断熱性を備えたローラ。
  3. 前記複数の気泡は、その一部又は全部が独立気泡であることを特徴とする請求項1に記載の弾性及び断熱性を備えたローラ。
  4. 前記複数の気泡は、その一部又は全部の径が空気の平均自由行程以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弾性及び断熱性を備えたローラ。
  5. 前記芯材は、中空状のシャフトであり、前記弾性体層との当接面と芯材内部とを連通させる複数の貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の弾性及び断熱性を備えたローラ。
  6. 前記芯材は、その中空部に空気を吸収する吸気剤を有することを特徴とする請求項5に記載の弾性及び断熱性を備えたローラ。
  7. 前記弾性体層の端面部が柔軟性を有するシーリング材により、発熱層となる前記金属スリーブと一体となってシールされることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の弾性及び断熱性を備えたローラ。
  8. 前記シーリング材は、シリコン系接着剤であることを特徴とする請求項7に記載の弾性及び断熱性を備えたローラ。
  9. 請求項1〜8に記載のローラを、加熱ローラ又は加圧ローラの少なくとも一方に用いたことを特徴とする加熱装置。
  10. 単数又は複数のローラに張架される加熱ベルトと、この加熱ベルトに圧接する加圧ローラと、前記加熱ベルトを加熱する加熱手段とを備えた加熱装置において、
    前記ローラの少なくともひとつは、請求項1〜8のいずれかに記載のローラであることを特徴とする加熱装置。
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