JP3666797B2 - 光ディスク貼り合わせ方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光ディスクの製造方法および装置の内、2枚のディスクを貼り合わせて1枚の光ディスクを作る貼り合わせ方法および装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来の光ディスク貼り合わせ方法および装置に関して、特に液体状の紫外線硬化型接着剤を使用して貼り合わせる方法および装置に関しては、例えば図7に示すようなものがあった。
【0003】
図7に従って従来例の構造を説明する。まず、図示しない処理装置によって均一に広げられた液体状の紫外線硬化型接着剤3を介して重ねられた2枚の単板ディスク1、2からなる硬化前貼り合わせディスク4が、ガラス製の支持部材30上に載置される。支持部材30の中心部にはピン状部材31が備えられ、硬化前貼り合わせディスク4の中心穴に嵌合する。上記ピン状部31は、それの中心部から放射方向に対して弾性的に可能な部材32で構成されており、自然状態では重ねられた2枚の単板ディスク1、2の中心穴よりも大きい直径を持つ。支持部材30の進行方向上下には紫外線照射装置33、34が備えられる。
【0004】
次に、図7の従来例の動作を説明する。図示しない搬送装置によって、支持部材30上に紫外線硬化処理の行われていない硬化前貼り合わせディスク4が載置されると、上記ピン状部材31が硬化前貼り合わせディスク4の中心穴に嵌合する。すると上記弾性的に可動な部材32が弾性的に動いて、単板ディスク1、2の中心穴と同じ直径になろうとする。このときの反作用により、硬化前貼り合わせディスク4の中心穴を最大にしようとする力が働き、硬化前貼り合わせディスク4を構成する2枚の単板ディスク1と2の位置合わせがなされる。この状態にて支持部材30を水平方向に移動させて紫外線照射装置33、34の間の位置に到達させ、紫外線照射を施し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させる。このようにして、2枚の単板ディスク1、2をずれない状態にて貼り合わせすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のものにあっては、紫外線硬化型接着剤3を硬化させるための紫外線照射を施す際に、硬化前貼り合わせディスク4の中心穴の部分に大きなストレスが掛かるという問題点があった。
【0006】
光ディスクはプラスティック材料の射出成形にて形作られることが多いが、成形金型においてディスク中心穴は熔解した樹脂の充填口部分に相当し、成形機から取り出す際には、ここに溜まった不要樹脂であるスプールをパンチで打ち抜いてディスク中心穴を形成する。従ってディスクの中心穴近傍部分は変形しやすく、また他の部分よりもディスク冷却後の残留応力が大きいので、ディスク中心穴近傍は一般的に急峻に反った状態で成形されてくる。この部分にストレスをかけると、ディスク外周部分に大きな変形が生じる。
【0007】
未硬化貼り合わせディスク4を構成する2枚の単板ディスク1、2はこのように成形されるので、図7のような方法で接着剤3を硬化させると、貼り合わせディスクの形状を大きく変形した状態で固定してしまうため、反りの大きな硬化済み貼り合わせディスクができてしまう。
【0008】
このような傾向は、単板ディスクに記録層を持つようなもの、例えばDVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)の内、DVD−RAMやDVD−RWのような記録ディスクの場合に大きくなる。その理由としてはまず第1に、記録層は多層膜から構成されており、その成膜の際に単板ディスクの反りが大きくなってしまうことがあげられる。第2には、形成された記録層が単なる反射層に比べて固いため、それが形成された単板ディスクの曲げ剛性が高くなり、貼り合わせによってディスクの反りを矯正しようとしても困難であること、すなわち、2枚の単板ディスクの反りの状態に少々のアンバランスが有っても、反りの大きな側へ曲げられる力が強くなって、貼り合わせ後に大きな反りが残りやすいことがあげられる。上記のように、単板ディスクの反り自体が大きく、かつ2枚の単板ディスクの反り状態のアンバランスが貼り合わせディスクの反りとして発生しやすい性質があるので、図7に示すような従来のもので上記記録ディスクを貼り合わせると大きな反りを生じやすいことが分かる。
【0009】
したがって、本発明は紫外線硬化型接着剤を介して2枚の単板ディスクを重ね合わせ、それらの中心穴を機械的に位置合わせをした状態で第1の紫外線照射を行って、上記2枚の単板ディスクに反りが発生しない程度に紫外線硬化型接着剤を増粘させて上記中心穴がずれにくくし、しかる後にその中心穴に機械的ストレスを与えない状態で第2の紫外線照射を行って、反りの小さな貼り合わせディスクを得るという課題を達成するものである。さらに、第2の紫外線照射を行うときには、支持部材の平坦面に紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた2枚の単板ディスクを密着保持させて反りの小さな状態で行うことにより、更に反りの小さな貼り合わせディスクを得るという課題を達成するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、請求項1の発明は、液体状の紫外線硬化型接着剤を使用して2枚の単板ディスクを貼り合わせ、1枚の貼り合わせディスクを形成する光ディスクの貼り合わせ方法において、液体状の紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた2枚の単板ディスクの中心穴を機械的に位置合わせした状態にて、上記紫外線硬化型接着剤完全硬化させないで、粘度の増加した液体状ないしゲル状にする程度に紫外線を照射する未硬化貼り合わせディスクを得る第1の紫外線照射工程と、上記中心穴に機械的ストレスを与えないで、上記未硬化貼り合わせディスクを平坦面に密着保持させた状態で1秒以上維持した後上記第1の紫外線照射工程の紫外線の照射量よりも多く、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる程度の紫外線を上記重ね合わせた2枚の単板ディスクに照射して貼り合わせディスクを得る第2の紫外線照射工程と、を備えたことを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法を提案するものである。
【0011】
請求項2の発明は、上記課題を解決するため、請求項1において、上記第1の紫外線照射工程は、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させない程度の照射量で紫外線をパルス的に照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法を提案するものである。
【0012】
請求項3の発明は、上記課題を解決するため、請求項1又は請求項2において、上記第1の紫外線照射工程は、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させない程度の照度照射量紫外線を点状の光源から上記重ね合わせた2枚の単板ディスクに照射し、かつその紫外線がほぼ全面に当たる程度の間隔で照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法を提案するものである。
【0013】
請求項4の発明では、上記課題を解決するため、請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、上記第の紫外線照射工程は、上記重ね合わせた2枚の単板ディスクの上下両側から紫外線を照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法を提案するものである。
【0014】
請求項5の発明は、上記課題を解決するため、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、上記第の紫外線照射工程は、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる照射量の紫外線をパルス的に照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法を提案するものである。
【0015】
請求項6の発明は、上記課題を解決するため、液体状の紫外線硬化型接着剤を使用して2枚の単板ディスクを貼り合わせ、1枚の貼り合わせディスクを形成する光ディスクの貼り合わせ装置において、上記液体状の紫外線硬化型接着剤を介して上記2枚の単板ディスクを重ね合わせた未硬化貼り合わせディスクの中心穴に進入可能で、該中心穴内で放射方向に拡縮径動作可能な構造の3個以上の可動部材を備えた拡縮機構と、該拡縮機構が拡径状態にあるときに上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させないで、粘度の増加した液体状ないしゲル状にする照射量の紫外線を照射する第1の紫外線照射装置と、上記未硬化貼り合わせディスクの上記中心穴に機械的ストレスを与えずに、上記未硬化貼り合わせディスクの下面を密着保持させる平坦面を有する支持部材と、この支持部材に1秒以上支承された上記未硬化貼り合わせディスクに対して、上記第1の紫外線照射工程の紫外線の照射量よりも多く、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる照射量の紫外線を照射する第2の紫外線照射装置と、を備えて、反りの小さな貼り合わせディスクを得ることを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置を提案するものである。
【0016】
請求項7の発明は、上記課題を解決するため、請求項6において上記支持部材は上記未硬化貼り合わせディスクの中心穴に接触しない程度の隙間をもって進入し得るピン状部材を備え、上記未硬化貼り合わせディスクの水平方向の位置ずれを防ぐ状態で紫外線を照射して反りの小さな貼り合わせディスクを得ることを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置を提案するものである。
【0017】
請求項8の発明は、上記課題を解決するため、請求項6又は請求項7において上記支持部材の上記平坦面はガラス製であり、上記第2の紫外線照射装置が上記支持部材の下方に設置されて上記未硬化貼り合わせディスクの下方から上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる紫外線を照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置を提案するものである。
【0018】
請求項9の発明は、上記課題を解決するため、請求項ないし請求項8のいずれかにおいて、上記支持部材の上記平坦面はガラス製であり、上記第2の紫外線照射装置が上記支持部材の上方および下方に設置されて上記未硬化貼り合わせディスクの上下両方向から上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化する照射量の紫外線を照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置を提案するものである。
【0019】
請求項10の発明は、上記課題を解決するため、請求項6ないし請求項9のいずれかにおいて、上記第1と第2の紫外線照射装置の双方又はいずれか一方が、パルス的に紫外線照射を行う照射装置であることを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置を提案するものである。
【0020】
請求項11の発明は、上記課題を解決するため、請求項6ないし請求項10のいずれかにおいて、上記第1の紫外線照射装置は、点状発光する照射器を有することを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置を提案するものである。
【0033】
【発明の実施の形態及び実施例】
図1により、本発明にかかる実施例を説明する。まず構成を説明する。図示しない通常の処理装置にて2枚の単板ディスク1、2の間に液体状の紫外線硬化型接着剤3が均一に広げられた状態で紫外線が未だ照射されていない未硬化貼り合わせディスク4が載置される位置合わせステージ5が配置され、その上方に第1の紫外線照射装置6が装備される。
【0034】
ここで第1の紫外線照射装置6から未硬化貼り合わせディスク4が受ける紫外線強度を弱くするために、第1の紫外線照射装置6と位置合わせステージ5の間の距離を、第1の紫外線照射装置6の正規の照射距離の3倍から5倍程度にしてある。一例をあげると、DVDの接着剤硬化などによく使用される発光長250mmの集光型メタルハライドランプ付き照射器の場合、正規の照射距離がランプ中心から80mmから100mm程度の場合が多いが、ここではランプ中心から240mmから500mm程度の照射距離としている。また、第1の紫外線照射装置6はシャッター機構を内蔵するとともに、第1の紫外線照射装置6と位置合わせステージ5の間に昇降式の遮光筒7を装備し、紫外線照射時の紫外線漏れを防ぐ。なお、ここで第1の紫外線照射装置6はメタルハライドランプのような連続発光式のものであるが、キセノン・フラッシュランプのようなパルス発光式のものを使用してもよい。なお、照度の低いものを用いれば当然に上記照射距離は短くなる。
【0035】
一方、位置合わせステージ5の中心突部は、未硬化貼り合わせディスク4の中心穴に進入して、未硬化貼り合わせディスク4の中心から放射方向に拡縮径動作を行う3個のピン状部材からなる位置合わせピン8を装備し、出力部が放射方向に動くエアーシリンダ9によって駆動される。なお、上記位置合わせピン8の縮径時の外径は最小で単板ディスク1、2の中心穴の直径よりも小さく、拡径時の外径は最大で単板ディスク1、2の中心穴の直径よりも大きくなるように設定されている。
【0036】
上記位置合わせステージ5の近くには、搬送アーム10とターンテーブル11が配置される。搬送アーム10は位置合わせステージ5上で紫外線照射を受けた未硬化貼り合わせディスク4を真空吸着にて保持してターンテーブル11上へ送るユニットである。
【0037】
ターンテーブル11は、未硬化貼り合わせディスク4の平面部を支持する支持部材12を3個、120゜分割で均等に配置するターンテーブルであり、未硬化貼り合わせディスク4を、供給位置P1から紫外線照射位置P2を通って取り出し位置P3まで搬送する。なお、ターンテーブル11は、支持部材12を2個、180゜分割で均等に配置するものとしてもよく、また支持部材12を4個、90゜分割で均等に配置するものとしてもよい。支持部材12を2個配置するものでは、ディスクの供給位置とディスクの取り出し位置が同一となる。また、支持部材12を4個配置するものでは、ディスクの取り出し位置とディスクの供給位置の間に、紫外線照射時に熱が加わる支持部材12の冷却のための位置を設けることが多い。
【0038】
ここで支持部材12の構造を図2にて説明する。図2はターンテーブル11の一部を含めた支持部材12の断面図である。支持部材12は透明のガラス製で、特に紫外線透過率が高い必要があることや、紫外線照射時に加わる熱に耐える必要があることから、石英ガラスまたは耐熱ガラスが使用されることが多い。支持部材12は円形をしており、その上面には未硬化貼り合わせディスク4の平面部に密着し保持する平面部13と、未硬化貼り合わせディスク4に形成される集積時の貼り付き防止用円環状突起14との干渉を避けるための逃げ溝15が形成される。支持部材12の中心部には、単板ディスク1、2の中心穴よりも大きな中心穴16が貫通している。なお、この部分ではターンテーブル11には円形状の穴が支持部材12の下方にあいており、下側から照射される紫外線が、透明の支持部材12を通して未硬化貼り合わせディスク4に当たるようにしてある。ちなみに、ディスクに上記貼り付き防止用円環状突起14が形成されない場合もあり、逃げ溝15が不要な場合もある。後記に示す実施例では、説明の簡略化のため、逃げ溝15がない事例を示すことにする。
【0039】
ここで再び図1に戻って説明する。ターンテーブル11の紫外線照射位置P2には、支持部材12の上方および下方に第2および第3の紫外線照射装置17、18が配置される。この第2および第3の紫外線照射装置17、18は支持部材12に対して正規の照射距離になる位置に設置され、支持部材12上の未硬化貼り合わせディスク4の紫外線硬化型接着剤3が完全硬化できる強度の紫外線を照射する。なお、ここで第2および第3の紫外線照射装置17、18はメタルハライドランプのような連続発光式のものであるが、キセノン・フラッシュランプのようなパルス発光式のものを使用してもよい。また、未硬化貼り合わせディスク4の紫外線透過率が高い場合には、支持部材12の上方に配置される第2の紫外線照射装置17または支持部材12の下方に配置される第3の紫外線照射装置18のいずれか一方だけを配置してもよい。
【0040】
次に図1の実施例の動作を説明する。図示しない知られている処理装置にて2枚の単板ディスク1、2の間に液体状の紫外線硬化型接着剤3が均一に広げられた状態の未硬化貼り合わせディスク4が、図示しない搬送装置によって位置合わせステージ5上に載置されると、図示しない駆動源により遮光筒7が下降し、開放部をふさいで紫外線漏洩を防ぐとともに、エアーシリンダ9が起動して、最小径の状態になっていた位置合わせピン8を放射外方向に拡径動作させて、未硬化貼り合わせディスク4を構成する単板ディスク1、2の中心穴の位置を合わせを行う。その後、第1の紫外線照射装置6によって、紫外線硬化型接着剤3が完全硬化しない強さの紫外線照射が施される。この状態で紫外線硬化型接着剤3は硬化不充分とはいうもののかなり高粘度の状態になっており、2枚の単板ディスク1、2は相対的にずれ難くなっているので、以後の処理によって2枚の単板ディスク1、2の位置がずれることは無い。ここで、紫外線の上記強さは2枚の単板ディスク1、2の上面における紫外線の照度、あるいは照度と時間との積による照射量に相当するものである。
【0041】
次に、位置合わせピン8が放射内方向に縮径動作して最小径の状態に戻るとともに、遮光筒7が上昇した後、搬送アーム10によって未硬化貼り合わせディスク4はターンテーブル11の供給位置P1にある支持部材12上に載置される。その後、ターンテーブル11が120゜回転して未硬化貼り合わせディスク4を紫外線照射位置P2へ送る。
【0042】
紫外線照射位置P2において、第2および第3の紫外線照射装置17、18によって紫外線硬化型接着剤3が完全硬化する強さの紫外線が未硬化貼り合わせディスク4に上、下方向から照射され、ここで接着剤3は完全硬化し、未硬化貼り合わせディスク4は貼り合わせディスク19となる。その後、ターンテーブル11が120゜回転して貼り合わせディスク19を取り出し位置P3へ送る。ここから図示しない搬送装置によって、貼り合わせディスク19が取り出される。
【0043】
次に、図1に示す実施例の作用を説明する。本発明の要件は、貼り合わされる2枚の単板ディスクの位置が互いにずれないことと、貼り合わされる単板ディスク中心穴部分に接触せずに紫外線硬化型接着剤の硬化を行うことを両立させることにより、反りの少ない貼り合わせディスクを得ることにある。それには図1の位置合わせステージ6上で受ける紫外線照射によって未硬化貼り合わせディスク4の紫外線硬化型接着剤3の膜が高粘度の液体状かゲル状、すなわち充分柔らかく、未硬化貼り合わせディスク4の状態として紫外線未照射の状態とほとんど変わらないまま、2枚の単板ディスク1、2の位置合わせ処理を完了しておくことが重要な条件となる。この条件を満足した状態で紫外線硬化型接着剤3を完全硬化することになる。
【0044】
さて、硬化済貼り合わせディスク19の反りの状態は、紫外線硬化型接着剤3が完全硬化するときの未硬化貼り合わせディスク4の反りの状態で決まってしまう。したがって、このときの未硬化貼り合わせディスク4の支持方法が重要である。本発明では、未硬化貼り合わせディスク4の中心穴に接触する部材を持たず、つまり機械的ストレスを与えることなく未硬化貼り合わせディスク4の平面部のみを支持する支持部材12を採用することで、未硬化貼り合わせディスク4を反りの少ない平坦な状態に保持して、紫外線硬化型接着剤3の完全硬化のための紫外線照射を施すことができる。その作用を図3に示す。
【0045】
図3はターンテーブル11の供給位置P1にて、支持部材12上に未硬化貼り合わせディスク4が載置された時の状態を示す図である。単板ディスク1、2は完全に同じ反りの状態ではあり得ないから、未硬化貼り合わせディスク4は、その中心部が上側に凸か、または下側に凸のいずれかの方向に反っている。また、上記のような射出成形の特性から、単板ディスク1、2は一般的にその中心穴近傍が急峻に反っているので、未硬化貼り合わせディスク4の反りも、その中心部が急峻で外周部が緩やかな状態になっていることが多い。未硬化貼り合わせディスク4が、その中心部が下側に凸の状態に反っている場合、支持部材12上に載置された時点で、自重によって上記凸部に上向きの垂直抗力が作用するとともに、その外周側が下方に曲げられるような力が作用するから、その中心部が上側に凸の状態になるように曲げられてしまう。結局のところ支持部材12上では、未硬化貼り合わせディスク4は上側に凸の状態になることになる。図3は、そのような状態を示す。
【0046】
図3において、図3(a)は未硬化貼り合わせディスク4が支持部材12に載置された直後の状態を示し、図3(b)は少々時間が経過した後の状態を示す。なお、上記図3(a)から図3(b)の変化については、実際には1秒程度の短時間での変化である。図3(a)では、未硬化貼り合わせディスク4の内、まず比較的反りの緩やかな外周部が支持部材12の平面部13に密着して平坦な形になる。ここで、未硬化貼り合わせディスク4は紫外線硬化型接着剤3の膜が柔らかいために変形しやすい。すなわち、光ディスクの単板ディスクは薄くて可撓性に富むために、自重によって未硬化貼り合わせディスク4が上記平面部13に密着しやすい。またこのときに、未硬化貼り合わせディスク4の中心穴に嵌合する部材が存在しないため、上記未硬化貼り合わせディスク4が平面部13に密着するのを阻害するような作用が生じない。これらの作用によって、未硬化貼り合わせディスク4は、その外周部から平面部13に密着しはじめ、その内周側へ密着領域が広がって行き、図3(b)の段階で、未硬化貼り合わせディスク4のほぼ全面が平面部13に密着している状態、すなわち未硬化貼り合わせディスク4全面が平坦な状態に保持されていることになる。この図3(b)に示す状態を保って紫外線照射を施し、紫外線硬化型接着剤3を完全硬化させれば、反りの少ない硬化済みの貼り合わせディスクが得られる。
【0047】
図4は第2の実施例を示す図で、未硬化貼り合わせディスク4の搬送時間を短くしたい場合に有効な例である。図4に示す実施例は、図1の実施例における支持部材12の中心部にピン状部材20が配置されたもので、上記ピン状部材20の先端部21が未硬化貼り合わせディスク4の中心穴に入り込む形になるが、上記先端部21の直径は、単板ディスク1、2の中心穴の直径より1mmから2mm程度小さく形成されている。
【0048】
上記の構成により、図1におけるターンテーブル11の供給位置P1にて、未硬化貼り合わせディスク4が支持部材12上に載置される際に、その中心穴部分に先端部21が接触しない。その後、図3に示すように未硬化貼り合わせディスク4のほぼ全面が支持部材12の平面部13に密着してから、ターンテーブル11が回転して未硬化貼り合わせディスク4を紫外線照射位置P2へ送るわけだが、その送り時間を短く設定する場合、ターンテーブル11の回転加減速度が大きくなって、未硬化貼り合わせディスク4が水平方向へずれやすくなる。しかし、その場合でも未硬化貼り合わせディスク4の中心穴の垂直端面部が上記先端部21に当たってずれが抑制され、後段の搬送装置にて搬送可能な範囲のずれに留める。一方、未硬化貼り合わせディスク4のほぼ全面が既に支持部材12の平面部13に密着済みであるから、紫外線硬化型接着剤3の完全硬化後に貼り合わせディスクの反りが大きくなることはない。
【0049】
図5は第3の実施例を示す図である。図5に示す実施例は、図1における第1の紫外線照射装置を、点状発光する照射器22を有するものにしており、図示しない光源装置から光ファイバー23にて紫外線を導く構造をもつ。このとき、照射した紫外線が未硬化貼り合わせディスク4全面に当たるようにするため、照射距離を充分長く取っている。一例をあげれば、直径120mmのDVDの場合、照射距離を150mmから300mm程度に設定することが多い。図5に示す実施例では、当該紫外線照射装置部分が小型化できる利点がある。
【0050】
図6は第4の実施例を示す図である。図6に示す実施例は、図1の実施例におけるターンテーブル11の取り出し位置P3の下方にピン状部材24およびその昇降用のエアーシリンダ25を装備したものである。ピン状部材24は、その先端部がテーパ状になっており、その根元部は円筒状になっている。上記根元部の直径は硬化済貼り合わせディスク19の中心穴径よりも大きいが、支持部材12の中心穴径よりも小さい。また、ピン状部材24の中心軸は図示しない搬送装置の吸着ハンドの中心軸に合っている。硬化済貼り合わせディスク19が取り出し位置P3に到着したときは、図6(a)に示すようにピン状部材24は支持部材12の下方に位置しているが、その後、エアーシリンダ25が起動し、図6(b)に示すようにピン状部材24は上昇する。ピン状部材24は支持部材12の中心穴16を通って上昇し、先端のテーパ状部分の途中にて硬化済貼り合わせディスク19の中心穴部分を引っかけて持ち上げる。ピン状部材24が上限位置に到達したとき、上記テーパ部分の作用により硬化済貼り合わせディスク19の中心軸がピン状部材24の中心軸と合わされる。すなわち、硬化済貼り合わせディスク19の中心軸と図示しない搬送装置の吸着ハンドの中心軸が合わされたことになる。以上のような作用により、硬化済貼り合わせディスク19がターンテーブル11による搬送工程の途中で水平方向にずれたとしても、後段の搬送に支障がないようにすることができる。
【0051】
以上の実施例は、2枚の単板ディスクのいずれか一方のみに1層又は2層の反射層が形成されたDVD−5(1層片面ディスク)又はDVD−9(2層片面ディスク)、あるいは2枚の単板ディスクの双方が1層又は2層の反射層を有するDVD−10(1層両面ディスク)又はDVD−18(2層両面ディスク)のいずれにも採用でき、特に途中で反射層を持たない単板ディスクを引き剥がす工程を含む場合もあるDVD−9(2層片面ディスク)やDVD−18(2層両面ディスク)の場合には、上記中心穴近傍の反りが比較的大きくなることがあるので、有効である。また、2枚の単板ディスクのいずれか一方に記録層を持つDVD−RAMまたはDVD−RWにも有効で、上記記録層の紫外線透過率が高い場合は、上記2枚の単板ディスクの双方に記録層を持つものにも有効である。
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、貼り合わせる2枚の単板ディスクの位置合わせ処理を、その間の接着剤が硬化不充分で柔らかい状態にて完了させ、その後に上記接着剤の完全硬化処理を上記貼り合わせディスクの中心穴部分にほとんど力を加えない状態にて行うため、位置ずれがなく、かつ反りの小さい貼り合わせディスクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる第1の実施例の全体の構造を示す図である。
【図2】 本発明にかかる第1の実施例の一部分の構造を示す図である。
【図3】 本発明にかかる第1の実施例の作用を説明するための図である。
【図4】 本発明にかかる第2の実施例を示す図である。
【図5】 本発明にかかる第3の実施例を示す図である。
【図6】 本発明にかかる第4の実施例を示す図である。
【図7】 従来の光ディスク貼り合わせ装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1−単板ディスク 2−単板ディスク
3−液体状の紫外線硬化型接着剤 4−未硬化貼り合わせディスク
5−位置合わせステージ 6−第1の紫外線照射装置
7−遮光筒 8−位置合わせピン
9−エアーシリンダ 10−搬送アーム
11−ターンテーブル 12−支持部材
13−平面部 14−貼り付き防止用円環状突起
15−逃げ溝 16−中心穴
17−第2の紫外線照射装置 18−第3の紫外線照射装置
19−硬化済み貼り合わせディスク 20−ピン状部材
21−先端部 22−点状発光する照射器
23−光ファイバー 24−ピン状部材
25−エアーシリンダ
30−支持部材 31−ピン状部材
32−弾性的に可動な部材 33−紫外線照射装置
34−紫外線照射装置
P1−ターンテーブル11のディスク供給位置
P2−ターンテーブル11の紫外線照射位置
P3−ターンテーブル11のディスク取り出し位置

Claims (11)

  1. 液体状の紫外線硬化型接着剤を使用して2枚の単板ディスクを貼り合わせ、1枚の貼り合わせディスクを形成する光ディスクの貼り合わせ方法において、
    液体状の紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた2枚の単板ディスクの中心穴を機械的に位置合わせした状態にて、上記紫外線硬化型接着剤完全硬化させないで、粘度の増加した液体状ないしゲル状にする程度に紫外線を照射する未硬化貼り合わせディスクを得る第1の紫外線照射工程と、
    上記中心穴に機械的ストレスを与えないで、上記未硬化貼り合わせディスクを平坦面に密着保持させた状態で1秒以上維持した後上記第1の紫外線照射工程の紫外線の照射量よりも多く、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる程度の紫外線を上記重ね合わせた2枚の単板ディスクに照射して貼り合わせディスクを得る第2の紫外線照射工程と、
    を備えたことを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法。
  2. 請求項1において、
    上記第1の紫外線照射工程は、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させない照射量紫外線をパルス的に照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記第1の紫外線照射工程は、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させない程度の照度と照射量で紫外線を点状の光源から上記重ね合わせた2枚の単板ディスクに照射し、かつその紫外線がほぼ全面に当たる程度の間隔で照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれかにおいて、
    上記第2の紫外線照射工程は、上記重ね合わせた2枚の単板ディスクの上下両側から紫外線を照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれかにおいて、
    上記第2の紫外線照射工程は、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる照射量の紫外線をパルス的に照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ方法。
  6. 液体状の紫外線硬化型接着剤を使用して2枚の単板ディスクを貼り合わせ、1枚の貼り合わせディスクを形成する光ディスクの貼り合わせ装置において、
    上記液体状の紫外線硬化型接着剤を介して上記2枚の単板ディスクを重ね合わせた未硬化貼り合わせディスクの中心穴に進入可能で、該中心穴内で放射方向に拡縮径動作可能な構造の3個以上の可動部材を備えた拡縮機構と、
    該拡縮機構が拡径状態にあるときに上記紫外線硬化型接着剤完全硬化させないで、粘度の増加した液体状ないしゲル状にする照射量の紫外線を照射する第1の紫外線照射装置と、
    上記未硬化貼り合わせディスクの上記中心穴に機械的ストレスを与えずに、上記未硬化貼り合わせディスクの下面を密着保持させる平坦面を有する支持部材と、
    この支持部材に1秒以上支承された上記未硬化貼り合わせディスクに対して、上記第1の紫外線照射工程の紫外線の照射量よりも多く、上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる照射量の紫外線を照射する第2の紫外線照射装置と、
    を備えて、反りの小さな貼り合わせディスクを得ることを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置。
  7. 請求項において、
    上記支持部材は上記未硬化貼り合わせディスクの中心穴に接触しない程度の隙間をもって進入し得るピン状部材を備え、上記未硬化貼り合わせディスクの水平方向の位置ずれを防ぐ状態で紫外線を照射して反りの小さな貼り合わせディスクを得ることを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置。
  8. 請求項又は請求項において、
    上記支持部材の上記平坦面はガラス製であり、上記第2の紫外線照射装置が上記支持部材の下方に設置されて上記未硬化貼り合わせディスクの下方から上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化させる紫外線を照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置。
  9. 請求項ないし請求項のいずれかにおいて、
    上記支持部材の上記平坦面はガラス製であり、上記第2の紫外線照射装置が上記支持部材の上方および下方に設置されて上記未硬化貼り合わせディスクの上下両方向から上記紫外線硬化型接着剤を完全硬化する照射量の紫外線を照射することを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置。
  10. 請求項ないし請求項のいずれかにおいて、
    上記第1と第2の紫外線照射装置の双方又はいずれか一方が、パルス的に紫外線照射を行う照射装置であることを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置。
  11. 請求項ないし請求項10のいずれかにおいて、
    上記第1の紫外線照射装置は、点状発光する照射器を有することを特徴とする光ディスク貼り合わせ装置。
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