JP3666354B2 - 車両用電気接続箱 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バスバーに設けた接続部と回路基板に設けた導電部とをクリップにより接触保持するようにした車両用電気接続箱に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車等の車両においては、種々の電装品を電気接続するための電気接続箱が用いられている。この種の電気接続箱では、ケース本体内にバスバーと呼ばれる回路状の金属板と、回路基板としての可撓性プリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit Board)とが収容されている。そして、バスバーと可撓性プリント基板同士を重ね合わせ、それをスポット溶接したり、或いは半田付けしている。これにより、バスバーと回路基板との電気的な接続が図られている。
【0003】
しかしながら、このような方法では、溶接や半田付けするのに時間がかかるため製造効率が悪いばかりか、溶接や半田付けするための設備を整える必要があるため、コストが高く大量生産に向かないという問題がある。そこで、従来より、配線板の導体パターンを低コストかつ一度に接続する方法として、バスバーと可撓性プリント基板とを重ね合わせ、それをクリップによって挟み込み、そのクリップの弾性力により、バスバーと可撓性プリント基板とを電気的に接続するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、バスバーと可撓性プリント基板との外側から圧入するようにしてクリップを装着しているため、バスバーと可撓性プリント基板とが位置ずれしやすい。この結果、バスバーの接続部と可撓性プリント基板の導電部とが接触不良を起こし、信頼性の低下につながるおそれがある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスバーに設けた接続部と回路基板に設けた導電部との接触不良を防止することにより、信頼性の向上を図ることが可能な車両用電気接続箱を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、複数の絶縁板の各々とバスバーとが交互に積層された積層体の上面に回路基板を配設し前記各バスバーの端部には、前記絶縁板及び前記バスバーの積層方向に沿って折曲された接続部を形成する一方、前記複数の絶縁板のうち最下層に位置する絶縁板の端部には、前記各バスバーの接続部に沿って第1の折曲部を形成する他方、前記回路基板の端部には、前記バスバーの接続部と電気的に接続される導電部が露出された第2の折曲部を形成し、前記第1の折曲部及び前記第2の折曲部同士を重ね合わせた部分をクリップで弾性的に挟持することにより、前記バスバーに設けた接続部と前記回路基板に設けた導電部とを接触保持した車両用電気接続箱であって、前記積層体前記回路基板とを位置決めし、前記バスバーの接続部と前記回路基板の導電部とを対向配置した状態に保持する位置決め手段を設け、その位置決め手段を、前記回路基板及び前記積層体のうちいずれか一方に設けられた係止孔と、他方に設けられた先端先細り状の係止突部とから構成し、前記回路基板と前記積層体とが重ね合わせられることにより、前記係止突部が係止孔に係合されるように構成したことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、複数の絶縁板の各々とバスバーとが交互に積層された積層体の上面に回路基板を配設し、前記各バスバーの端部には、前記絶縁板及び前記バスバーの積層方向に沿って折曲された接続部を形成する一方、前記複数の絶縁板のうち最下層に位置する絶縁板の端部には、前記各バスバーの接続部に沿って第1の折曲部を形成する他方、前記回路基板の端部には、前記バスバーの接続部と電気的に接続される導電部が露出された第2の折曲部を形成し、前記第1の折曲部及び前記第2の折曲部同士を重ね合わせた部分をクリップで弾性的に挟持することにより、前記バスバーに設けた接続部と前記回路基板に設けた導電部とを接触保持した車両用電気接続箱であって、前記積層体と前記回路基板とを位置決めし、前記バスバーの接続部と前記回路基板の導電部とを対向配置した状態に保持する位置決め手段を設け、その位置決め手段を、前記絶縁板及び前記バスバーの積層方向に沿って延びるように前記第1の折曲部の両側に形成された鉤状の係止部により構成し、前記回路基板の両側が前記係止部に沿ってスライドされて前記回路基板と前記積層体とが重ね合わせられることにより、前記回路基板と前記積層体とが係合されて位置決めされるように構成したことを要旨とする。
【0008】
下、本発明の「作用」について説明する。
【0009】
請求項1又は請求項2に記載の発明によると、クリップを装着する際に、積層体と回路基板とが位置決めされるため、バスバーの接続部と回路基板の導電部とが位置ずれすることない。従って、接続部と導電部との接続不良を防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0010】
請求項に記載の発明によると、係止孔に係止突部を挿入係合することにより、積層体と回路基板とが位置決めされる。そのため、バスバーと回路基板との接続作業性を向上することができる。
【0011】
また、請求項に記載の発明によると、係止突部の先端は先細り状に形成されているため、係止孔に係止突部を容易に挿入することができる。
請求項2に記載の発明によると、鉤状の係止部に沿って回路基板の両側をスライドさせることにより、積層体と回路基板とが位置決めされる。そのため、バスバーと回路基板との接続作業性を向上することができる。
また、請求項2に記載の発明によると、回路基板に係止孔を形成する必要がないので、配線自由度を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、電気接続箱10のケース本体11は、箱形の下部ケース12を備えており、その上部には有蓋箱形の上部ケース13が着脱可能に取り付けられている。ケース本体11内には、合成樹脂からなる複数の絶縁板14と、平板状をなすバスバー15とが交互に積層された状態で収容されている。
【0013】
各バスバー15の端部には接続部15aが形成され、その接続部15aは絶縁板14及びバスバー15の積層方向に沿って折曲されている。最下層に位置する絶縁板14の端部には、バスバー15の接続部15aに沿って折曲部14aが形成されている。この折曲部14aの先端部は、各接続部15aの先端部とほぼ同じ位置まで延びている。
【0014】
前記折曲部14aの側面において、各接続部15a群の両側に位置する箇所には、合成樹脂製の係止突部16が2つ一体的に形成されている。各係止突部16は円柱状をなし、先端部が先細り状に形成されている。具体的にいうと、係止突部16の中央部から先端部にかけてテーパ部16aが形成されている。
【0015】
前記絶縁板14とバスバー15とによって構成される積層体17の上面には、回路基板としての可撓性プリント基板(FPC)18が配設されている。可撓性プリント基板18は、銅箔からなるパターン19と、それを被覆するポリイミドフィルムとを接着剤で互いに貼り合せたものである。導体パターン19の一部は外部に露出されている。ここでは、可撓性プリント基板18の端部に形成された折曲部18aの側面に導体パターン19の一部が露出されている。そして、この露出部分が可撓性プリント基板18の導電部20となっている。
【0016】
可撓性プリント基板18の折曲部18aにおいて、導体パターン19群の両側に位置する箇所には、円形状の係止孔21が2つ形成されている。そして、可撓性プリント基板18の折曲部18aと、絶縁板14の折曲部14aとを重ね合わせることにより、係止孔21には前記積層体17に設けられた係止突部16が挿入されるようになっている。
【0017】
係止孔21と係止突部16とが係合されることにより、絶縁板14と可撓性プリント基板18とが位置決めされる。この位置決めされた状態では、バスバー15の接続部15aと、導体パターン19の導電部20とが互いに対向配置するように保持される。従って、本実施形態では、係止突部16と係止孔21とから位置決め手段が構成されている。なお、係止孔21の径と、係止突部16の基端部の径とはほぼ等しいため、両者が係合された状態では積層体17と可撓性プリント基板18とが相対的に位置ずれすることはない。
【0018】
そして、絶縁板14と可撓性プリント基板18との折曲部14a,18a同士を重ね合わせた部分には、合成樹脂等の絶縁材からなるクリップ23が装着されている。このクリップ23は、基部24と、その基部24の両側に一体的に設けられた2つの挟持片25とから構成されている。両挟持片25はその先端側に向かうほど間隔が狭くなっている。そして、両折曲部14a,18aがクリップ23の挟持片25により弾性的に挟み込まれることにより、各バスバー15の接続部15aと可撓性プリント基板18の導電部20とが接触保持されるようになっている。
【0019】
なお、両係止突部16の間隔は、クリップ23の幅とほぼ等しくなるように設定されている。そして、クリップ23を装着するときに、両係止突部16の間に、クリップ23が配置されることにより、同クリップ23の位置決めがなされるようになっている。
【0020】
上記のように構成された電気接続箱10について、バスバー15と可撓性プリント基板18とを電気的に接続するには次のように行う。
可撓性プリント基板18に形成された係止孔21に、積層体17に設けた係止突部16を挿入係合し、絶縁板14及び可撓性プリント基板18の折曲部14a,18a同士を重ね合わせる。この重ね合わせにより、バスバー15の接続部15aと、可撓性プリント基板18の導電部20とが対向配置される。この状態で、折曲部14a,18aにクリップ23を挟み込む。すると、そのクリップ23における挟持片25の弾性力によりバスバー15の接続部15aと可撓性プリント基板18の導電部20とが接触保持される。これにより、バスバー15と可撓性プリント基板18との電気的な接続が図られる。
【0021】
従って、本実施形態によれば以下に示す効果を得ることができる。
(1) 絶縁板14と可撓性プリント基板18とを位置決めすることにより、バスバー15の接続部15aと可撓性プリント基板18の導電部20とが対向配置された状態に保持されるようになっている。そのため、絶縁板14の折曲部14aと可撓性プリント基板18の折曲部18aとを、クリップ23を挟み込む際に、絶縁板14と可撓性プリント基板18との位置が相対的にずれることがない。この結果、接続部15aと導電部20との接触不良を無くすことができ、電気接続箱10の信頼性を向上することができる。
【0022】
(2) 絶縁板14と可撓性プリント基板18とを位置決めする手段は、可撓性プリント基板18に形成された係止孔21と、絶縁板14に設けられた係止突部16とから構成されている。そのため、係止孔21に係止突部16を挿入するだけで可撓性プリント基板18と絶縁板14とを簡単に重ね合わせることができ、バスバー15と可撓性プリント基板18との接続作業性を向上することができる。
【0023】
(3) 係止突部16の先端は、テーパ部16aの存在により先細り状に形成されているため、係止孔21に係止突部16をいっそう容易に挿入することができる。
【0024】
(4) 両係止突部16の間隔は、クリップ23の幅とほぼ等しくなるように設定されている。そのため、両係止突部16によってクリップ23を位置決めしながら装着することができる。従って、絶縁板14と可撓性プリント基板18とが位置ずれするのを確実に防止することができる。
【0025】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 図4に示すように、絶縁板14の折曲部14aの両側に、絶縁板14とバスバー15との積層方向に沿って延びる鉤状の係止部30を形成し、この係止部に可撓性プリント基板18の両側をスライドさせながら係合して位置決めを図ってもよい。この構成にすれば、可撓性プリント基板18に係止孔21を形成する必要がないので、導体パターン19の配線自由度を高めることができる。
【0026】
・ 可撓性プリント基板18以外にも、例えばリジッドなプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)に変更してもよい。この構成にした場合には、プリント回路基板に係止突部16を設け、絶縁板14に係止孔21を設けてもよい。
【0027】
・ 係止突部16及び係止孔21の位置を任意の位置に変更してもよい。例えば、最上層に位置する絶縁板14の上面に係止突部16を設け、それと対応する可撓性プリント基板18に係止孔21を形成してもよい。
【0028】
・ 前記実施形態では、クリップ23はケース本体11とは別体に構成している。この構成以外にも、ケース本体11とクリップ23とを一体的に成形してもよい。
【0029】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項において、前記係止孔は前記回路基板に設けられ、前記係止突部は前記絶縁板に設けられていることを特徴とする車両用電気接続箱
【0030】
(2)前記(1)において、前記係止突部は、クリップの両側付近に複数個配置され、互いに対向した位置関係にある係止突部の間隔は、クリップの幅とほぼ同じに設定されている。この構成にすれば、クリップを装着する際に同クリップの位置決めをすることができる。
【0031】
(3)請求項において、前記係止孔及び係止突部はそれぞれ複数個設けられ、各係止孔と係止突部との係合位置は、バスバーに設けた接続部と回路基板に設けた導電部とが接続されている箇所の近傍であることを特徴とする車両用電気接続箱。この構成にすれば、絶縁板と回路基板との位置ずれをよりいっそう確実に防止することができる。
【0032】
(4)請求項1、(1)〜(3)のうちいずれかにおいて、前記絶縁板及び回路基板は、その一部がほぼ直角に折り曲げられ、その折り曲げられた部分において、前記係止孔及び係止突部が配置されていることを特徴とする車両用電気接続箱
【0033】
(5)絶縁板上に配設したバスバーと可撓性プリント基板とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分をバスバー及び可撓性プリント基板とは別体なるクリップで弾性的に挟持することにより、バスバーに設けた接続部と可撓性プリント基板に設けた導電部とを接触保持した電装品の接続構造において、前記絶縁板と可撓性プリント基板とを位置決めし、前記バスバーの接続部と可撓性プリント基板の導電部とを対向配置した状態に保持する位置決め手段を設け、この位置決め手段を前記可撓性プリント基板に設けられた係止孔と、絶縁板に設けられた係止突部とから構成したことを特徴とする電装品の接続構造。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、バスバーに設けた接続部と回路基板に設けた導電部との接触不良を防止することができるため、信頼性を向上することができる。
【0035】
また、請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、バスバーと回路基板との接続作業性を向上することができる。
請求項に記載の発明によれば、係止突部の先端は先細り状に形成されているため、係止孔に係止突部を容易に挿入することができる。
請求項2に記載の発明によれば、回路基板に係止孔を形成する必要がないので、配線自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の電装品の接続構造を示す分解斜視図。
【図2】電装品の接続構造の斜視図。
【図3】電装品の接続構造の要部断面図。
【図4】別の実施形態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
10…電気接続箱(車両用電気接続箱)、14…絶縁板、14a…折曲部(第1の折曲部)、15…バスバー、15a…接続部、16…係止突部(位置決め手段)、17…積層体、18…可撓性プリント基板(回路基板)、18a…折曲部(第2の折曲部)、20…導電部、21…係止孔(位置決め手段)、23…クリップ、30…係止部(位置決め手段)

Claims (2)

  1. 複数の絶縁板の各々とバスバーとが交互に積層された積層体の上面に回路基板を配設し前記各バスバーの端部には、前記絶縁板及び前記バスバーの積層方向に沿って折曲された接続部を形成する一方、前記複数の絶縁板のうち最下層に位置する絶縁板の端部には、前記各バスバーの接続部に沿って第1の折曲部を形成する他方、前記回路基板の端部には、前記バスバーの接続部と電気的に接続される導電部が露出された第2の折曲部を形成し、前記第1の折曲部及び前記第2の折曲部同士を重ね合わせた部分をクリップで弾性的に挟持することにより、前記バスバーに設けた接続部と前記回路基板に設けた導電部とを接触保持した車両用電気接続箱であって
    前記積層体前記回路基板とを位置決めし、前記バスバーの接続部と前記回路基板の導電部とを対向配置した状態に保持する位置決め手段を設け、その位置決め手段を、前記回路基板及び前記積層体のうちいずれか一方に設けられた係止孔と、他方に設けられた先端先細り状の係止突部とから構成し、前記回路基板と前記積層体とが重ね合わせられることにより、前記係止突部が係止孔に係合されるように構成したことを特徴とする車両用電気接続箱
  2. 複数の絶縁板の各々とバスバーとが交互に積層された積層体の上面に回路基板を配設し、前記各バスバーの端部には、前記絶縁板及び前記バスバーの積層方向に沿って折曲された接続部を形成する一方、前記複数の絶縁板のうち最下層に位置する絶縁板の端部には、前記各バスバーの接続部に沿って第1の折曲部を形成する他方、前記回路基板の端部には、前記バスバーの接続部と電気的に接続される導電部が露出された第2の折曲部を形成し、前記第1の折曲部及び前記第2の折曲部同士を重ね合わせた部分をクリップで弾性的に挟持することにより、前記バスバーに設けた接続部と前記回路基板に設けた導電部とを接触保持した車両用電気接続箱であって、
    前記積層体と前記回路基板とを位置決めし、前記バスバーの接続部と前記回路基板の導電部とを対向配置した状態に保持する位置決め手段を設け、その位置決め手段を、前記絶縁板及び前記バスバーの積層方向に沿って延びるように前記第1の折曲部の両側に形成された鉤状の係止部により構成し、前記回路基板の両側が前記係止部に沿ってスライドされて前記回路基板と前記積層体とが重ね合わせられることにより、前記回路基板と前記積層体とが係合されて位置決めされるように構成したことを特徴とする車両用電気接続箱
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