JP3665471B2 - 画像記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像記録方法に係り、特に、記録ヘッドの上のバンドと下のバンドとを一部重ねて記録するとともに、この重ね記録範囲における複数ドット分の記録データを上のバンドと下のバンドとに振り分けて記録を行なうようにした画像記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高記録品質、低騒音、低コスト、メンテナンスの容易性等の理由により、コンピュータ、ワードプロセッサ等の出力装置として熱転写プリンタが多く用いられている。
【0003】
このような一般的な熱転写プリンタにおいては、プラテンの前方に用紙を支持するとともに、キャリッジに、複数の発熱素子が形成されたサーマルヘッドを搭載し、これらのサーマルヘッドとプラテンとの間にインクリボンと前記用紙とを挟持した状態で、サーマルヘッドをキャリッジとともにプラテンに沿って往復動させながら、前記インクリボンを繰り出し、前記サーマルヘッドの発熱素子に記録情報に基づいて選択的に通電して発熱させることにより、インクリボンのインクを部分的に用紙に転写して用紙上に所望の文字等の画像の記録を行なうようになっている。
【0004】
そして、このような熱転写プリンタにおいては、紙送り誤差等により、サーマルヘッドの1回の走査により記録される範囲と、次のサーマルヘッドの走査により記録される範囲とが、近接しすぎていわゆるブラックラインが発生したり、逆に前記各範囲が離れていわゆるホワイトラインが発生してしまうという問題があった。
【0005】
例えば、N×Mのディザマトリクスからなる基本網点を基本セルとすると、この基本セルをサーマルヘッドの走査方向へ右下がりになるようにずらしてスクリーン角をマイナスとする記録を行う場合に、図18に示すように、記録紙の紙送り量が適正であるときは、1回のサーマルヘッドの走査による記録範囲(上のバンド)と、次のサーマルヘッドの走査による記録範囲(下のバンド)との間隔が均等になっている。
【0006】
しかし、図19に示すように、記録紙の紙送り量が小さ過ぎたときは、上のバンドと下のバンドとの間隔が狭くなり、ブラックラインが発生する。また、図20に示すように、記録紙の紙送り量が大き過ぎたときは、上のバンドと下のバンドとの間隔が広くなり、ホワイトラインが発生する。このようなブラックラインやホワイトラインは、見た目にも悪く、記録画像の品質に大きく影響する。
【0007】
このため、従来から、ブラックラインやホワイトラインの発生を防止するため、上のバンドと下のバンドとを一部重ねて記録することが行なわれている。
【0008】
図21は、このような従来の記録方法の概略を示したもので、例えば、サーマルヘッドの発熱ドットが240ドットある場合に、4ドット分、すなわち、上のバンドによる237ドット目、238ドット目、239ドット目および240ドット目と、下のバンドによる1ドット目、2ドット目、3ドット目および4ドット目とを重ねて記録するようになっている。そして、この4ドット分の記録データを、上のバンドと下のバンドとに振り分けるようになっている。
【0009】
従来、このような場合に、重ね記録範囲(4ドット分)において、サーマルヘッドの各発熱素子の配列方向(カラム方向)のドットを見ながら、1つのカラム毎に上のバンドと下のバンドとに記録データの振り分けを行なうようにしていた。すなわち、図21に示すように、1番目のカラムにおいて、4つのドットのすべてに記録データがある場合、この4つのドットのうち、1番目と2番目の2つのドットを上のバンドに振り分けるとともに、3番目と4番目の2つのドットを下のバンドに振り分けるようになっている。また、2番目のカラムにおいては、1番目のドットを上のバンドに振り分けるとともに、3番目と4番目の2つのドットを下のバンドに振り分けるようになっている。さらに、3番目のカラムにおいては、1番目のドットを上のバンドに振り分けるとともに、2番目と4番目の2つのドットを下のバンドに振り分けるようになっている。
【0010】
このように、従来は、各カラム毎にドットの記録データをそれぞれ適宜に上のバンドと下のバンドとに振り分け、これら振り分けた記録データに基づいてサーマルヘッドの各発熱素子を駆動することにより、重ね記録範囲における記録を行なうようになっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の熱転写プリンタにおいては、各カラム毎にドットの記録データを振り分けるようにしているので、記録データの処理量が極めて多く、処理速度が著しく遅くなってしまうという問題を有している。そのため、例えば、サーマルヘッドの発熱素子への通電時間を制御して、記録ドットの径を変化させることにより、多階調の記録を行なう場合等のように、多くの記録データを扱う必要があるような記録の場合、記録データの処理が間に合わなくなり、記録速度が低下してしまい、高速な記録を行なうことができないという問題を有している。
【0012】
本発明は前述した点に鑑みてなされたもので、記録データの処理速度を著しく高めることができて高速な記録を行なうことのできるとともに、ブラックラインやホワイトラインが生じるのを防止して高品質の記録画像を得ることができる画像記録方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明に係る請求項1に記載の画像記録方法の特徴は、 前記記録ヘッドの走査方向のドットを順次見て、このドットに記録データがあるときはそのドットに連続フラグを付与し、記録データがなくなったときにのみ、連続フラグが付与されたドットの記録データを前記上のバンドと下のバンドとに振り分ける振り分け処理を行うようにし、
前記連続フラグが1の記録データについては前記上のバンドあるいは下のバンドのいずれか一方のバンドに振り分けるようにし、
前記連続フラグが2以上の場合は、前記記録データを前記記録ヘッドの走査方向に2つのグループに分けて、それぞれ上のバンドと下のバンドとに振り分ける振り分け処理を行うようにした前記記録ヘッドの走査方向のドットを順次見て、このドットに記録データがあるときはそのドットに連続フラグを付与し、記録データがなくなったときにのみ、連続フラグが付与されたドットの記録データを上のバンドと下のバンドとに振り分ける振り分け処理を行うようにし、前記連続フラグが1の記録データについては前記上のバンドあるいは下のバンドのいずれか一方のバンドに振り分けるようにし、前記連続フラグが2以上の場合は、前記記録データを前記記録ヘッドの走査方向に2つのグループに分けて、それぞれ上のバンドと下のバンドとに振り分ける振り分け処理を行うようにした点にある。
【0014】
そして、このような方法を採用したことにより、従来のように、1つのカラム毎にそれぞれ記録データの振り分け処理を行なう場合に比較して、記録データの振り分け処理の処理の仕方が規則的で単純となり、しかも、処理量を著しく低減させることができ、容易に、かつ、迅速に処理を行なうことができる。また、記録紙の搬送誤差が生じて上のバンドと下のバンドとの間の距離が狭まったり、広がったりした場合であっても、記録ヘッドの走査方向に適当な間隔をもって適正間隔を有するドットが記録されるため、記録画像にブラックラインやホワイトラインが生じるのを防止し、きわめて高品質の記録画像を得ることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の画像記録方法の特徴は、請求項1において、基本セルの配列をずらすことにより形成されるスクリーン角がマイナスの右下がりになるように記録を行う場合に、前記記録ヘッドの走査方向に2つのグループに分けた連続ドットの記録データのうち、走査方向の左側の記録データを下のバンドに振り分けるとともに、走査方向の右側の記録データを上のバンドに振り分けるようにし、前記スクリーン角がプラスの右上がりになるように記録を行う場合に、前記2つのグループに分けた連続ドットの記録データのうち、走査方向の左側の記録データを上のバンドに振り分けるとともに、走査方向の右側の記録データを下のバンドに振り分けるように振り分け処理を行うようにした点にある。
【0016】
そして、このような方法を採用したことにより、記録紙の紙送りピッチが狭くなったり広くなったりしても、常に、そのカラム方向に記録ドット間の距離の正しいドットを混在させているため、記録画像にブラックラインやホワイトラインが生じるのを防止することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の画像記録方法の特徴は、請求項1または請求項2において、少なくともシアン、マゼンタおよびイエローの3色に色分解された画像情報に基づいて、各色の記録データについてそれぞれ振り分け処理を行なってフルカラーの記録を行なうようにした点にある。
【0018】
そして、このような方法を採用したことにより、シアン、マゼンタおよびイエローの3色により適正にフルカラー画像の記録を行なうことができる。
【0019】
また、請求項4に記載の画像記録方法の特徴は、請求項1または請求項2において、モノクロの画像情報の記録データについて振り分け処理を行なってモノクロの記録を行なうようにした点にある。
【0020】
そして、このような方法を採用したことにより、適正にモノクロ画像の記録を行なうことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1から図17を参照して説明する。
【0022】
図1から図16は本発明に係る画像記録方法の実施の一形態を示したもので、本実施形態においては、図1に示すように、1回のサーマルヘッドの走査による記録範囲(上のバンド)と、次のサーマルヘッドの走査による記録範囲(下のバンド)とを一部重ねて記録するようになっている。例えば、サーマルヘッドの発熱ドットが240ドットある場合に、4ドット分、すなわち、上のバンドによる237ドット目、238ドット目、239ドット目および240ドット目と、下のバンドによる1ドット目、2ドット目、3ドット目および4ドット目とを重ねて記録するようになっている。そして、この4ドット分のうち、237ドット目を参考ドットとし、238ドット目(2ドット目)、239ドット目(3ドット目)および240ドット目(4ドット目)を上のバンドと下のバンドとに振り分けるようになっている。
【0023】
そして、本実施形態においては、サーマルヘッドの走査方向(ラスタ方向)のドットを見ながら、重ね記録範囲のドットを上のバンドと下のバンドとに振り分けるようになっている。
【0024】
次に、このような重ね記録範囲のドットを上のバンドと下のバンドとに振り分ける手段について、図2から図14を参照して説明する。
【0025】
まず、図2に示すように、最初に、例えば、記録データを保存するメモリ、その他の制御回路を初期化した後(ST1)、重ね記録範囲のうち最初に記録される最端列(先頭のカラム)のドットにアドレスを設定する(ST2)。
【0026】
その後、この先頭のカラムからそのカラムのドットがベタパターンか否か判断する(ST3)。このベタパターンとは、最大の階調で記録すべきパターンをいい、カラム方向のドットがすべてベタパターンである場合に、ベタパターンであると判断する。
【0027】
そして、そのカラムのドットがベタパターンであれば、ベタフラグを付与して(ST4)、ベタパターン処理を行なう(ST5)。このベタパターン処理は、図3に示すように、ベタパターンが最初のベタパターンであるか否か判断し(ST6)、最初のベタパターンであれば、このカラム方向の各ドットを最大の階調で記録するドットとして、例えば、上のバンドに振り分ける(ST7)。これは、下のバンドに振り分けるようにしてもよいことはもちろんである。ベタパターンが最初のベタパターンでなければ、規則的パターン処理を行なう(ST8)。この規則的パターン処理は、図5に示すように、例えば、カラム方向の各ドットのうち、一部のドットを間引いて、記録すべきドットのみを最大の階調で記録するドットとして、例えば、上のバンドに振り分けるようになっている(ST9)。
【0028】
また、図2に示すように、そのカラムのドットがベタパターンでなければ、1つ前のカラムに戻ってベタパターンか否か判断し(ST10)、この1つ前のカラムのドットがベタパターンであれば、戻り処理を行なう(ST11)。この戻り処理は、図4に示すように、ベタフラグをクリアして(ST12)、このカラム方向の各ドットを最大の階調で記録するドットとして、例えば、上のバンドに振り分ける(ST13)。すなわち、ベタパターンにより記録する範囲は、ベタパターンの最初のカラムおよび最後のカラムにおいては、すべてのドットを記録するとともに、その間のカラムにおいては、間引いたドットを記録するようになっている。このようにベタパターンの最初のカラムおよび最後のカラムにおいてすべてのドットを記録するようにしたのは、例えば、ベタパターンによる長方形のパターン等において、辺のステッチング処理部分が欠けないようにするためであり、また、間のカラムにおいて間引いたドットを記録するようにしたのは、この間のすべてのドットを記録するようにすると、記録が濃くなりすぎ、いわゆるブラックラインが生じてしまうためである。
【0029】
また、そのカラムのドットがベタパターンでなければ、238ドット目からラスタ処理を行なう(ST14)。このラスタ処理は、図6に示すように、238ドット目のそのカラムのドット部分に記録データがあるか否か調べ(ST15)、記録データがあれば、この記録データが最初の記録データか否か調べ(ST16)、最初の記録データであれば、そのドットに対する連続データの最初のアドレスを保存し(ST17)、連続フラグを付与する(ST18)。また、最初の記録データでなければ、そのまま、連続フラグを付与する(ST18)。
【0030】
また、そのカラムのドット部分に記録データがない場合には、それまでの連続フラグの数を調べ、この連続フラグの数に応じて記録データをラスタ方向に中央位置で2つのグループに分けて、これらの各グループをひとまとまりとして記録データを上のバンドと下のバンドとに振り分ける処理を行なう。このとき、本実施形態においては、連続フラグが偶数か否か判断し(ST19)、連続フラグが偶数である場合には、偶数処理を行い(ST20)、連続フラグが偶数でなければ、奇数か否か判断し(ST21)、連続フラグが奇数である場合には、奇数処理を行うようになっている(ST22)。
【0031】
また、ラスタ方向に分けた2つのグループを上のバンドで記録するか、下のバンドで記録するかは、任意に選択してよいが、本実施形態においては、ディザマトリクスを単位とする基本網点(基本セル)を適当にずらして配列することにより形成される、いわゆるスクリーン角が形成される場合には、このスクリーン角がマイナスであるかプラスであるかにより決定するようになっている。
【0032】
例えば、スクリーン角がマイナスの右下がりの場合には、2つに分けた連続フラグのグループのうち、左側のグループの記録データを下のバンドに振り分けるとともに、右側のグループの記録データを上のバンドに振り分けるようになっており、もし、スクリーン角がプラスの右上がりの場合には、左側のグループの記録データを上のバンドに振り分けるとともに、右側のグループの記録データを下のバンドに振り分けるようになっている。
【0033】
なお、スクリーン角をマイナスまたはプラスに形成するのは、カラー記録において、各インクを重ねて記録したときに生じるモアレ縞の発生を防止したり、記録画像の色相を安定させるためである。
【0034】
ここで、前記偶数処理および前記奇数処理について、スクリーン角がマイナスの右下がりとなるように記録する場合を例にして具体的に説明する。
【0035】
前記偶数処理は、図7に示すように、まず、連続フラグ数を2で割った値Nを算出し(ST23)、連続フラグが付与されたドットのうち、最初のアドレスのカラムのドットの記録データとして、上のバンドに0を書込むとともに(ST24)、下のバンドに記録データを書込む(ST25)。次に、上のバンドおよび下のバンドについてカラムのアドレスをともに1つ進めて(ST26,27)、同様に、次のカラムのドットの記録データとして上のバンドに0を書込むとともに(ST24)、下のバンドに記録データを書込み(ST25)、この処理をN回繰り返す(ST28)。この処理がN回繰り返されたら、次のカラムのドットの記録データを上のバンドに書込むとともに(ST4129)、下のバンドに0を書込む(ST30)。次に、上のバンドおよび下のバンドについてカラムのアドレスをともに1つ進めて(ST31,32)、同様に、次のカラムのドットの記録データを上のバンドに書込むとともに(ST29)、下のバンドに0を書込み(ST30)、この処理を(データ数−N)回繰り返し(ST33)、記録データの振り分け処理を行なうようになっている。これにより、図8に示すように、記録データが振り分けられる。ここで、「○」は記録データがあることを示し、「×」は記録データがないことを示している。
【0036】
次に、前記奇数処理について図9および図10を参照しつつ説明する。
【0037】
連続フラグが奇数の場合、この連続フラグをラスタ方向に左右均等の数に分けることはできず、端数のフラグが生じる。このため、この端数のフラグを左右のグループのいずれかに加えるようにして、各記録データを上のバンドか下のバンドのいずれかのバンドに振り分けて書込むようになっている。
【0038】
本実施形態では、238ドット目のラスタについては、端数の1ドットが左側のグループに加えられるように振り分けるようになっている。すなわち、図9に示すように、連続フラグ数から1を引いた数を2で割った値Mを算出し(ST34)、連続フラグが付与されたドットのうち、最初のアドレスのカラムのドットの記録データとして、上のバンドに0を書込むとともに(ST35)、下のバンドに記録データを書込む(ST36)。次に、上のバンドおよび下のバンドについてカラムのアドレスをともに1つ進めて(ST37,38)、同様に、次のカラムのドットの記録データとして上のバンドに0を書込むとともに(ST35)、下のバンドに記録データを書込み(ST36)、この処理をM回繰り返す(ST39)。この処理がM回繰り返されたら、次のカラムのドットの記録データを上のバンドに書込むとともに(ST40)、下のバンドに0を書込む(ST41)。次に、上のバンドおよび下のバンドについてカラムのアドレスをともに1つ進めて(ST42,43)、同様に、次のカラムのドットの記録データを上のバンドに書込むとともに(ST40)、下のバンドに0を書込み(ST41)、この処理を連続フラグの数からMを減じた数(データ数−M)だけ繰り返して行なうことにより(ST44)、記録データの振り分け処理を行なうようになっている。これにより、図10に示すように、記録データが振り分けられる。
【0039】
なお、前記奇数処理における端数のフラグの1ドットを左右のグループのうちいずれのグループに加えるかは、任意に定めてよい。本実施形態においては、238ドット目と239ドット目のカラムについては、左側のグループに加えるようにし、240ドット目のカラムについては、右側のグループに加えるようにしている。
【0040】
また、図6に示すように、そのカラムのドット部分に記録データがなく、連続フラグの数が0の場合には、上下のバンドのアドレスをそれぞれ保存し(ST45)、0処理を行なう(ST46)。この0処理は、図11に示すように、そのカラムのドットの記録データとして上のバンドに0を書込むとともに(ST47)、下のバンドに0を書込むようになっている(ST48)。これにより、図12に示すように、記録データが振り分けられる。
【0041】
さらに、前記各処理が完了したら、連続フラグをクリアして(ST49)、238ドット目のラスタ処理が完了する。
【0042】
このように238ドット目の記録データの振り分けを行なった後、図2に示すように、同様に、239ドット目のラスタ処理を行なうととともに(ST50)、240ドット目のラスタ処理を行なう(ST51)。
【0043】
その後、次のカラムにアドレスを移動して(ST52)、すべてのカラムについて記録データの振り分けが行なわれたか否か判断し(ST53)、行なわれた場合には、振り分け処理が完了し、行なわれていない場合には、すべてのカラムの記録データについて繰り返し振り分け処理を行なう。
【0044】
そして、このような処理により、記録データの振り分けに基づいて、前記サーマルヘッドを動作させることにより、所望の記録を行なうようになっている。
【0045】
なお、これらの記録データの振り分け処理は、スクリーン角がマイナスの右下がりとなるように記録する場合について説明したが、スクリーン角がプラスの右上がりとなるように記録する場合には、上のバンドおよび下のバンドに振り分けた記録データをそれぞれ上下逆のバンドに振り分けるようになっている。
【0046】
より具体的には、前記偶数処理および前記奇数処理において、スクリーン角がマイナスのときに上のバンドに書込んだ記録データを下のバンドに書込むようにするとともに当該上のバンドに0(記録データなし)を書込むようにし、一方、下のバンドに書込んだ記録データを上のバンドに書込むようにするとともに当該下のバンドに0を書込むようになっている。これにより、図13および図14に示すように、記録データが振り分けられる。
【0047】
また、例えば、シアン、マゼンタ、イエローの各色毎の画像情報に基づいて、各色毎に記録データの振り分け処理を行なうことにより、適正にフルカラー画像の記録を行なうことができる。この場合に、前記各色の振り分け処理は、各色で同様の偶数処理および奇数処理に基づく記録データの振り分けを行なうようにしてもよいし、各色毎に偶数処理と奇数処理とをカラムに応じて異なるよう振り分けるようにしてもよい。
【0048】
さらに、モノクロの画像情報に基づいて、その記録データの振り分け処理を行なうことにより、適正にモノクロ画像の記録を行なうことができる。
【0049】
したがって、本実施形態においては、ラスタ方向のドットについて、このドットに記録データがあるときはそのドットに連続フラグを付与し、記録データがなくなったときにのみ、連続フラグが付与された連続したドットを左右のグループに2つに分けて規則的に各記録データを上のバンドと下のバンドとに振り分ける振り分け処理を行なうようにしているので、従来のように、1つのカラム毎にそれぞれ記録データの振り分け処理を行なう場合に比較して、記録データの振り分け処理の処理の仕方が単純となり、しかも、処理量を著しく低減させることができ、容易に、かつ、迅速に処理を行なうことができる。これにより、従来と比較して振り分け処理時間がきわめて短縮することができて、記録速度の高速化を図ることができ、記録ドットの径を変化させることにより、多階調の記録を行なう場合にも十分に対応することができる。
【0050】
また、図15に示すように、連続フラグが付与された連続したドットを左右のグループに2つに分けて定型的に各記録データを上のバンドと下のバンドとに振り分けるようにしているので、例えば、図16に示すように、スクリーン角がマイナスの右下がりのときには、紙送りピッチが狭くなっても、下のバンドに振り分けた記録データに基づく記録ドット間は、正しい距離に保たれることとなり、記録ドット間の距離の小さい部分が目立たず、記録画像にブラックラインが生じるのを防止することができる。
【0051】
逆に、図17に示すように、紙送りピッチが広くなっても、上のバンドに振り分けた記録データに基づく記録ドット間は、正しい距離に保たれることとなり、記録ドット間の距離の大きい部分が目立たず、記録画像にホワイトラインが生じるのを防止することができる。
【0052】
さらに、スクリーン角がマイナスの右下がりとなるように記録する場合に、左右のグループに分けた連続フラグの記録データのうち左側の記録データを下のバンドに書込みむとともに右側の記録データを上のバンドに書込むようにし、一方、スクリーン角がプラスの右上がりとなるように記録する場合に、左右のグループに分けた連続フラグの記録データのうち左側の記録データを上のバンドに書込みむとともに右側の記録データを下のバンドに書込むようにすることにより、各ドットのつながりのよいきれいな記録を効率よく行なうことができる。
【0053】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0054】
例えば、前述した画像記録方法は、熱転写プリンタにおける画像記録方法として説明したが、このような場合に限る必要はなく、シリアル式のインクジェットプリンタ等に適用することもできる。
【0055】
【発明の効果】
そして、このような方法を採用したことにより、請求項1に記載の発明によれば、従来のように、1つのカラム毎にそれぞれ記録データの振り分け処理を行なう場合に比較して、記録データの振り分け処理の処理の仕方が規則的で単純となり、しかも、処理量を著しく低減させることができ、容易に、かつ、迅速に処理を行なうことができる。また、記録紙の搬送誤差が生じて上のバンドと下のバンドとの間の距離が狭まったり、広がったりした場合であっても、記録ヘッドの走査方向に適当な間隔をもって適正間隔を有するドットが記録されるため、記録画像にブラックラインやホワイトラインが生じるのを防止し、きわめて高品質の記録画像を得ることができる。
【0056】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、記録紙の紙送りピッチが狭くなったり広くなったりしても、常に、そのカラム方向に記録ドット間の距離の正しいドットを混在させているため、記録画像にブラックラインやホワイトラインが生じるのを確実に防止することができる。
【0057】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、シアン、マゼンタおよびイエローの3色により適正にフルカラー画像の記録を行なうことができる。
【0058】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、適正にモノクロ画像の記録を行なうことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像記録方法の実施の一形態を示す説明図
【図2】 本発明の画像記録方法における記録データの振り分け処理を示すフローチャート
【図3】 図2におけるベタパターン処理を示すフローチャート
【図4】 図2における戻り処理を示すフローチャート
【図5】 図3における規則的パターン処理を示すフローチャート
【図6】 図2における238ドット目のラスタ処理を示すフローチャート
【図7】 図6における偶数処理のうちスクリーン角がマイナスのときの処理を示すフローチャート
【図8】 図7の偶数処理による振り分け結果を示す説明図
【図9】 図6における奇数処理のうちスクリーン角がマイナスのときの処理を示すフローチャート
【図10】 図9の奇数処理による振り分け結果を示す説明図
【図11】 図6における0処理を示すフローチャート
【図12】 図11の0処理による振り分け結果を示す説明図
【図13】 図6における偶数処理のうちスクリーン角がプラスのときの処理による振り分け結果を示す説明図
【図14】 図6における奇数処理のうちスクリーン角がプラスのときの処理による振り分け結果を示す説明図
【図15】 本発明の画像記録方法における紙送りピッチが合っているときの上のバンドと下のバンドとの重ね記録部分を示す説明図
【図16】 本発明の画像記録方法における紙送りピッチが狭いときの上のバンドと下のバンドとの重ね記録部分を示す説明図
【図17】 本発明の画像記録方法における紙送りピッチが広いときの上のバンドと下のバンドとの重ね記録部分を示す説明図
【図18】 従来の画像記録方法における紙送りピッチが合っているときの上のバンドと下のバンドとの境界部分の記録を示す説明図
【図19】 本発明の画像記録方法における紙送りピッチが狭いときの上のバンドと下のバンドとの境界部分の記録を示す説明図
【図20】 本発明の画像記録方法における紙送りピッチが広いときの上のバンドと下のバンドとの境界部分の記録を示す説明図
【図21】 従来の画像記録方法において上のバンドと下のバンドとを重ねて記録するときの処理を示す説明図
Claims (4)
- 1回の記録ヘッドの走査による記録範囲である上のバンドと、次の記録ヘッドの走査による記録範囲である下のバンドとを複数のドット分だけ重なるように記録紙を搬送するとともに、この重ね記録範囲における複数ドット分の記録データを、上のバンドと下のバンドとに振り分け、この振り分けられた記録データに基づいて前記記録ヘッドの各記録素子を動作させて記録を行う画像記録方法であって、
前記記録ヘッドの走査方向のドットを順次見て、このドットに記録データがあるときはそのドットに連続フラグを付与し、記録データがなくなったときにのみ、連続フラグが付与されたドットの記録データを前記上のバンドと下のバンドとに振り分ける振り分け処理を行うようにし、
前記連続フラグが1の記録データについては前記上のバンドあるいは下のバンドのいずれか一方のバンドに振り分けるようにし、
前記連続フラグが2以上の場合は、前記記録データを前記記録ヘッドの走査方向に2つのグループに分けて、それぞれ上のバンドと下のバンドとに振り分ける振り分け処理を行うようにしたことを特徴とする画像記録方法。 - 基本セルの配列をずらすことにより形成されるスクリーン角がマイナスの右下がりになるように記録を行う場合には、前記記録ヘッドの走査方向に2つのグループに分けた連続ドットの記録データのうち、走査方向の左側の記録データを下のバンドに振り分けるとともに、走査方向の右側の記録データを上のバンドに振り分けるようにし、前記スクリーン角がプラスの右上がりになるように記録を行う場合には、前記2つのグループに分けた連続ドットの記録データのうち、走査方向の左側の記録データを上のバンドに振り分けるとともに、走査方向の右側の記録データを下のバンドに振り分けるように振り分け処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像記録方法。
- 少なくともシアン、マゼンタおよびイエローの3色に色分解された画像情報に基づいて、各色の記録データについてそれぞれ振り分け処理を行なってフルカラーの記録を行なうようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像記録方法。
- モノクロの画像情報の記録データについて振り分け処理を行なってモノクロの記録を行なうようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像記録方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11325298A JP3665471B2 (ja) | 1998-04-23 | 1998-04-23 | 画像記録方法 |
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