JP3663366B2 - プッシュスイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のホーンのスイッチ等圧着型接点を有するプッシュスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動二輪車のホーンのスイッチは、図9に示すようにハンドルバーに固定されたスイッチケースに形成されており、運転手が所望時に押すとホーンが鳴るよう構成されている。従来のかかるホーンのスイッチは、図8に示すように、固定接点103を有する基台部101と、可動接点104を有し、回動軸102aを中心に回動自在なボタン部102と、ボタン部102を基台部101から離間させる方向に付勢するリターンスプリング105とから主に構成されている。
【0003】
上記構成により、運転手がボタン部102を押すことにより当該ボタン部102をリターンスプリング105の付勢力に抗して基台部101に近接させると、可動接点104が固定接点103に接触し、固定接点103側に接続された配線と可動接点104側に接続された配線とが接続され、車両のホーン(不図示)を鳴らすのである。即ち、一方の配線は固定接点103に直接接続される一方、他方の配線はリターンスプリング105の基端部105aに接続され、当該リターンスプリング105を介して電気的接続が成されるのである。
【0004】
尚、運転手がボタン部102を押す手を離せば、リターンスプリング105の付勢力でボタン部102が回動して元の位置に戻るよう構成されている。このように、圧着型接点を有するスイッチをプッシュスイッチという。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のプッシュスイッチにおいては、スイッチを小型化しようとすると固定接点103とリターンスプリング105の基端部105aとの間のクリアランスが極めて小さくなり、例えば雨水等の水が基台部101内に浸入した場合、リーク(漏電)し易いという問題があった。即ち、基台部101内に浸入した水がリターンスプリング105基端部105aと固定接点103とに跨ってしまうと、そこで電気が導通、即ちリークするのである。
【0006】
また、基台部101内に浸入した水は、その表面張力で当該基台部101から抜けにくくなっている。このため、過大な振動が加わった際や蒸発等するまで長時間に亘って基台部101内に留まることとなり、プッシュスイッチの信頼性を損なう虞もあった。
【0007】
更にまた、リターンスプリング105を介して電気的接続がなされるため、プッシュスイッチの電流容量を大きくするためには、リターンスプリング105の線径を太くする必要があり、付勢力が過大になってしまう虞があった。即ち、プッシュスイッチにおいては運転手の適当な押圧力でスイッチ可能とする必要があるのに対し、リターンスプリングの付勢力が過大になると、より大きな押圧力をボタン部に付与する必要があり、作動荷重が重くなって操作性が悪化してしまうのである。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作性を維持しつつ、雨水等の浸入によるリークを確実に防止して信頼性を向上することができるプッシュスイッチを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、2つの固定接点が形成された基台部と、可動接点が形成されるとともに一端が前記基台部に軸支され、前記基台部に対して近接すべく回動されることにより当該可動接点が前記固定接点に接触して導通させるボタン部と、前記ボタン部を基台部から離間する方向に付勢するリターンスプリングとを有するプッシュスイッチにおいて、前記ボタン部の回動に伴い当該ボタン部に形成された支点を軸に揺動可能なシーソー部を具備し、当該シーソー部の両端に夫々前記可動接点を一体的に形成して、これら可動接点が電気的に連結された状態とするとともに、前記リターンスプリングで前記基台部の一方の固定接点にシーソー部の一端側の可動接点を押圧した状態に組み付けられ、前記ボタン部の基台部に対する揺動動作で前記シーソー部が揺動し、シーソー部の他端側の可動接点を他方の固定接点に接触させることによって、前記可動接点で前記固定接点間を導通させ得ることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、ボタン部を基台部に対して回動させると、シーソー部の一端側の可動接点が基台部の一方の固定接点を押圧しつつ当該シーソー部が支点を軸に揺動し、シーソー部の他端側の可動接点が基台部の他方の固定接点と接触して導通させるとともに、ボタン部の回動動作を止めれば、リターンスプリングの付勢力によってボタン部が基台部から離間して元の位置に戻る。即ち、スイッチのための電気は、基台部側の一方の固定接点からシーソー部の一端側の可動接点に伝達され、その後、シーソー部の他端側の可動接点、基台部側の他方の固定接点を伝わって導通することとなり、リターンスプリングは導通に関与しない。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記基台部に形成され、その側方に突出した凸部と、前記ボタン部に形成され、前記凸部の下部と当接可能な当接部位とから成るストッパ手段を具備することを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、プッシュスイッチ操作後、ボタン部の押圧(回動動作)を止めた際、リターンスプリングの付勢力によってボタン部が基台部から離間して、当接部が凸部に当接して更なる離間が規制され、元の位置に戻った状態を維持する。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記基台部の側面に形成された穴内にスプリングで付勢されたボールを具備し、前記ボタン部の非操作時において前記ボールを穴から所定量突出させつつ保持する凹部を有するとともに、前記ボタン部を基台部に対して近接させると前記ボールを穴内に没入させる側壁が当該ボタン部から延設されたことを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、ボタン部に押圧力を付与して回動動作させた際、凹部に保持されたボールを側壁により穴内に没入させる一方、プッシュスイッチ操作後においては、ボールを凹部に保持させて、当該ボールを凹部から所定量突出した状態とさせる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るプッシュスイッチは、自動二輪車のホーンを鳴らすためのスイッチとして、ハンドルバーに固定されたスイッチケースに形成されたものであり、運転手が押圧すると搭載されたバッテリからの電気がホーンに導通して動作するよう構成されている。当該プッシュスイッチ1の外観は、図7に示すように、基台部2にボタン部3が覆うように構成されている。
【0016】
かかるプッシュスイッチ1は、図1(図7中I−I線断面図)において、基台部2と、ボタン部3と、リターンスプリング4と、シーソー部5とから主に構成されており、車両に搭載されたバッテリ(不図示)と接続されたコード6及びホーン(不図示)と接続されたコード7がそれぞれ接続され、当該ホーンへの電力供給におけるスイッチ操作を可能としている。
【0017】
基台部2は、樹脂等から成る成形品であり、その上面に2つの固定接点2a、2bが形成されている。一方の固定接点2aは、上部が略円板形状の銅から成り、下部においてコード6に接続されているとともに、他方の固定接点2bは、下部においてコード7と接続された銅リベット2c上にロー付けにて固着された銀(Ag)から成るものである。
【0018】
また、基台部2の同図右端側には、ボタン部3を幅方向に貫通するピンから成る回動軸8が形成されており、当該ボタン部3を回動させて、基台部2に対して近接可能としている。即ち、ボタン部3をその上面から押圧すると、回動軸8を中心として回動し、シーソー部5における可動接点5bと基台部2上の固定接点2bとが接触し得る構成とされている。
【0019】
更に、他方の固定接点2bは、その表面(即ち上面)にエンボス加工が施されて凹凸形状とされている。このような形状により、可動接点5bとの接触が凹凸形状の突端で行われるため、ゴミ等の微細な異物が固定接点2b上に付着したとしても、当該異物は表面の凹部内に付着することとなるため、突端における可動接点5bとの接触は維持されることとなる。
【0020】
尚、本実施形態においては、他方の固定接点2bの表面にエンボス加工して凹凸形状としているが、セレーションを形成して凹凸形状としてもよく、他の凹凸形状の転写により凹凸形状を形成してもよい。即ち、他方の固定接点2bにおける表面の粗度を高め、可動接点5bとの接触を維持し得るように構成すれば足りるのである。
【0021】
ボタン部3は、基台部2と同様、樹脂成形品から成り、既述の如く回動軸8を中心に回動して基台部に対して近接可能に構成されたものである。また、ボタン部3には、シーソー部5が揺動するための支点5cが形成されており、当該シーソー部5を揺動自在に保持している。尚、当該支点5cは、シーソー部5の長手方向における略中央近傍を支持する位置に形成されているのが好ましい。
【0022】
更に、ボタン部3には、シーソー部5の一端側(同図中左端側)を一方の固定接点2a側に押圧すべく付勢されたリターンスプリング4が組み付けられており、プッシュスイッチ1の非操作時においては、同図の如く、シーソー部5の一端側に形成された可動接点5aが一方の固定接点2aに当接した状態とされる一方、シーソー部5の他端側に形成された可動接点5bが他方の固定接点2bと所定間隔離間した状態とされている。尚、シーソー部5の他端側の上面が、ボタン部3の内周面3aと当接した状態とされており、当該シーソー部5がリターンスプリング4から付与される力によって更に揺動するのを規制している。
【0023】
シーソー部5は、その長手方向両端に夫々可動接点5a及び5bが形成されるとともに、ボタン部3の回動に伴って支点5cを軸に揺動するものである。また、図4に示すように、シーソー部5は所定形状の銅板材5eを折り曲げ成形して構成されており、その一端側に凸状の可動接点5aが一体形成されるとともに、他端側に銅リベット5dがかしめにより固定され、当該銅リベット5dにおける先端側略円板形状の表面に銀から成る可動接点5bがロー付けにて固定されている。
【0024】
即ち、一方の可動接点5aと他方の可動接点5bとは、電気的に連結された状態とされており、当該一方の可動接点5aに電流が印加されると他方の可動接点5b側にその電流を流し得る構成とされている。また、他方の可動接点5bが形成された銅リベット5dは、銅板材5eに対してかしめにより固定されているので、両者の組み付けを容易としつつ導通を確実に行わせることができる。
【0025】
基台部2の端部(図1中左端側)には、側方に突出した凸部9が当該基台部2と一体的に形成されているとともに、当該凸部9の下部と当接可能な当接部10がボタン部3と一体的に形成されており、プッシュスイッチ1の非操作時において、ボタン部3を所定位置に係止するよう構成されている。従って、ボタン部3を押圧してホーンを鳴らした後、その押圧を止めると、リターンスプリング4の付勢力によりボタン部3は非操作状態へ回動するが、かかる非操作状態から更に回動するのを凸部9と当接部10とから成るストッパ手段にて規制している。
【0026】
また更に、図5で示すように、基台部2の略中央にはボール用穴11が側方に向かって形成されており、該ボール用穴11内にはスプリング12とボール13とが組み込まれている一方、非操作時に当該ボール13と対応する位置に孔14(凹部)が形成された側壁15がボタン部3に形成されている。尚、ボール13はスプリング12によりボール用穴11から突出する方向(同図中右方向)に付勢されており、側壁15に形成された孔14の径は、ボール13の径より若干小さく形成され、ボール13が孔14内に所定寸法入り込めるよう形成されている。
【0027】
そして、ボタン部3を回動して基台部2に対して近接させると、側壁15も一体的に下方へ移動し、図6に示すように、側壁15がボール13をボール用穴11内に没入させる。これにより、プッシュスイッチ1の操作時における節度感を得ることができる。尚、本実施形態の孔14に代えて、外方へ開口せずボール13を所定量突出させた状態で保持し得る凹部(又は溝部)としてもよい。
【0028】
次に、上記構成のプッシュスイッチにおける作用について説明する。
図1で示す非操作状態のボタン部3に対し上方から押圧すると、当該ボタン部3が回動軸8を中心に回動して図2に示した状態とされる。即ち、ボタン部3の回動に伴い、シーソー部5の他端側(同図中右端側)がボタン部3の内周面3aに押されて支点5cを軸として揺動し、その他端側に形成された可動接点5bを基台部2上の他方の固定接点2bに接触させ導通させる。
【0029】
かかるボタン部3の回動時には、当該ボタン部3から延設された側壁15が移動し、孔14内に保持されたボール13が側壁15が成す壁面で押圧され、スプリング12の付勢力に抗してボール用穴11内に没入される。このボール13が孔14から抜け出る荷重は、プッシュスイッチ1の節度として機能する。
【0030】
車載のバッテリからホーンに電気を導通して当該ホーンを鳴らした後、運転手がボタン部3から手を離すと、リターンスプリング4の付勢力によりボタン部3が元の状態に戻るように回動するとともに、リターンスプリング4で一端が押圧されたシーソー部5も支点5cを軸として揺動して元の状態に戻る。これにより、他端側の可動接点5bと他方の固定接点2bとが離間し、ホーンへの電気の供給が行われなくなる。このように、リターンスプリング4は、他端側の可動接点5bを他方の固定接点2bに押圧すべくこれら接点間の接触圧を常時確保するとともに、ボタン部3の復元バネの役割も兼用している。
【0031】
かかるボタン部3が元の状態に戻るべく回動する際、その回動は当接部10が凸部9の下部に当接した時点で規制されて図1の状態(即ち元の状態)になる。尚、ボール用小穴11に没入されたボール13は、再び孔14内に保持されることとなり、次の操作時においても節度を付与することができる状態とされる。
【0032】
本実施形態に係るプッシュスイッチによれば、電気の導通がシーソー部5の端部に形成された可動接点5a及び5bを介して行われるため、プッシュスイッチ1内に浸入した雨水等によるリークを回避することができる。即ち、雨水等の水が一方の固定接点2a(又は、他端側の可動接点5b)と他方の固定接点2bとに跨って浸入した場合にはリークが生じるのであるが、本実施形態の各接点は、シーソー部5の両端に夫々形成されているため、シーソー部の寸法(即ち、長手寸法)だけ接点を離間させることができ、リークを回避すべく接点間のクリアランスを大きく設定することができるのである。また、シーソー部5の揺動により導通させる構成であるため、ボタン部3を少ストロークとしつつ接点間寸法を大きくすることができる。
【0033】
また、本実施形態のプッシュスイッチ1におけるリターンスプリング4は、従来の如く導通に関与していないため、小型のものを用いても導通作用に不具合が生じる虞がない。従って、リターンスプリング4を小型化することにより作動荷重を軽くして操作性を向上させることができる。尚、本実施形態においては銀を銅リベットにロー付しているが、電流容量の小さいスイッチであれば、銀は不要である。
【0034】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば自動二輪車のホーン用スイッチの他、スタータスイッチやパッシングスイッチ等に適用することができるとともに、四輪車等各種圧着型接点を有するプッシュスイッチに適用することが可能である。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、リターンスプリングが導通に関与しておらず、シーソー部の寸法(即ち、長手寸法)だけ接点を離間させることができるので、雨水等が浸入した場合であっても、これら接点同士を跨ぎ難くすることができ、操作性を維持しつつ雨水等の浸入によるリークを確実に防止して信頼性を向上することができる。
【0036】
請求項2の発明によれば、プッシュスイッチ操作後、当接部が凸部に当接して更なる離間が規制され元の状態に戻しているので、簡単な構成にてストッパ手段を形成することができる。
【0037】
請求項3の発明によれば、凹部からのボールの係脱によりスイッチの節度を得るので、より確実な節度感を得ることができるとともに、樹脂等で構成したものに比べ節度部の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプッシュスイッチにおける非操作時の状態を示す縦断面図
【図2】本発明の実施形態に係るプッシュスイッチにおける操作時の状態を示す縦断面図
【図3】本発明の実施形態に係るプッシュスイッチにおける他方の固定接点を示す模式図
【図4】本発明の実施形態に係るプッシュスイッチにおけるシーソー部を示す縦断面図
【図5】図1におけるV−V線断面図
【図6】図5の状態からボタン部を回動させた状態を示す模式図
【図7】本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの外観を示す上面図及び側面図
【図8】従来のプッシュスイッチを示す模式図
【図9】一般的なプッシュスイッチ(ホーン用スイッチ)が自動二輪車のハンドルバーに形成された状態を示す模式図
【符号の説明】
1…プッシュスイッチ
2…基台部
2a…一方の固定接点
2b…他方の固定接点
2c…銅リベット
3…ボタン部
3a…内周面
4…リターンスプリング
5…シーソー部
5a…一端側の可動接点
5b…他端側の可動接点
5c…支点
5d…銅リベット
5e…銅板材
6、7…コード
8…回動軸
9…凸部
10…当接部
11…ボール用穴
12…スプリング
13…ボール
14…孔(凹部)
15…側壁
Claims (3)
- 2つの固定接点が形成された基台部と、
可動接点が形成されるとともに一端が前記基台部に軸支され、前記基台部に対して近接すべく回動されることにより当該可動接点が前記固定接点に接触して導通させるボタン部と、
前記ボタン部を基台部から離間する方向に付勢するリターンスプリングと、
を有するプッシュスイッチにおいて、
前記ボタン部の回動に伴い当該ボタン部に形成された支点を軸に揺動可能なシーソー部を具備し、当該シーソー部の両端に夫々前記可動接点を一体的に形成して、これら可動接点が電気的に連結された状態とするとともに、前記リターンスプリングで前記基台部の一方の固定接点にシーソー部の一端側の可動接点を押圧した状態に組み付けられ、前記ボタン部の基台部に対する揺動動作で前記シーソー部が揺動し、シーソー部の他端側の可動接点を他方の固定接点に接触させることによって、前記可動接点で前記固定接点間を導通させ得ることを特徴とするプッシュスイッチ。 - 前記基台部に形成され、その側方に突出した凸部と、
前記ボタン部に形成され、前記凸部の下部と当接可能な当接部位と、
から成るストッパ手段を具備することを特徴とする請求項1記載のプッシュスイッチ。 - 前記基台部の側面に形成された穴内にスプリングで付勢されたボールを具備し、
前記ボタン部の非操作時において前記ボールを穴から所定量突出させつつ保持する凹部を有するとともに、前記ボタン部を基台部に対して近接させると前記ボールを穴内に没入させる側壁が当該ボタン部から延設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプッシュスイッチ。
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