JP3662124B2 - 作動規制装置 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、作動規制装置に関し、さらに詳細には、作業台に電気式のレベリング装置を有し、この作業台を先端部に取り付けて絶縁性を有した伸縮ブームの移動を規制する作動規制装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高所作業車は、車体上に設けられた旋回台に伸縮・起伏等の作動が自在な伸縮ブームを枢支し、この伸縮ブームの先端部に作業台を設けて構成されているものがある。この高所作業車は電線等の配電設備の工事等の高所作業に使用される場合もあるので、作業台を取り付けた伸縮ブームの一部をFRP等の絶縁性部材で構成することで、作業台と車体間の電気的な絶縁を図り、配電設備の工事を安全に行うことができる。また、配電設備の工事の安全をさらに確保するために作業台の傾きを常時水平に保つレベリング装置を作業台に設けているものがある。
【0003】
ところで、レベリング装置には電気式のものがあり、この電気式のレベリング装置は伸縮ブームの先端部に設けられた上部レベリングシリンダと、この上部レベリングシリンダを作動させる油圧回路と、この油圧回路内の作動油の流れを制御する上部コントローラと、作業台の傾きを検知する傾きセンサとを有しており、上部コントローラにはこの電力供給源である上部バッテリが電気的に接続されている。油圧回路には作動油を吐出させる作動ポンプとこれを回転駆動させる電動モータとが設けられ、この電動モータにはこれを駆動させる駆動用バッテリが電気的に接続されている。上部バッテリは容量に制限があるので、作業をしていないときには上部コントローラへの電力供給を停止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気式のレベリング装置の上部コントローラに上部バッテリからの電力が供給されていない状態で伸縮ブームを作動させると、電気式のレベリング装置は作動しないので、作業台の姿勢を水平状態に保持することはできない。
【0005】
そこで、車体側から電気式のレベリング装置への電源投入を遠隔操作により行なう方法が考えられる。即ち、電気式のレベリング装置をスタンバイ状態にしておいて、車体側からワイヤレスリモコンを操作して、電気式のレベリング装置に上部バッテリの電力を供給する方法である。
【0006】
しかしながら、この方法では電気式のレベリング装置を常時スタンバイ状態にする必要があるので上部バッテリの電力が少量ではあるが消費し続けるので、バッテリを作業台に設置して長期間使用する態様ではバッテリ上がりが生じる、という問題が生じた。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、上部バッテリを長期間使用することができ、電気式のレベリング装置に電源が投入されていないときには、伸縮ブームの作動を規制する作動規制装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の作動規制装置は、少なくとも一部が絶縁され走行可能な車体上に起伏等自在に設けられたブーム(例えば、実施形態における伸縮ブーム9)と、ブームの先端に上下に揺動自在に取り付けられた作業台と、電源(例えば、実施形態におけるバッテリ21)と、電源の電力供給を受けて作動する第1作動制御手段(例えば、実施形態における上部コントローラ25)と、ブームの先端と作業台との間に配設されてブームの起伏に拘らず作業台の水平保持を行うように構成され、第1作動制御手段により作動を制御される電気作動装置(例えば、実施形態における上部レベリングシリンダ29)と、電源から第1作動制御手段への電力供給をオンオフ制御する電気スイッチと、第1作動制御手段と別個に設けられて電気的に絶縁され、ブームの作動を制御する第2作動制御手段(例えば、実施形態における下部コントローラ27)と、第1作動制御手段と第2作動制御手段とを情報の伝達が可能に接続する非電気式の通信回線(例えば、実施形態における光ファイバーケーブル37)と、電気スイッチがオン作動されて電源から第1作動制御手段に電力供給がなされたときに、第2作動制御手段に非電気式の通信回線を介して第1作動制御手段への電力供給情報を伝達する情報伝達手段(例えば、実施形態における情報伝達回路33)とを有し、情報伝達手段が電力供給情報を第2作動制御手段に伝達しない限り、第2作動制御手段の作動が規制されてブームの作動を規制することが好ましい。
【0009】
情報伝達手段が電力供給情報を第2作動制御手段に伝達しないときには、第2作動制御手段の作動が規制されてブームの作動を規制する。このため、電気作動装置が作動しない状態ではブームが作動せず、また、作業者は第1作動制御手段に電力が供給されていないことを認識できる。このような場合には、電気スイッチをオン作動させることで、電気作動装置を作動させ、情報伝達手段が電力供給情報を第2作動制御手段に伝達することで第2作動制御手段の作動の規制が解除されて、ブームを作動させることができる。
【0010】
電気作動装置は電力供給を受けて作動するものであり、例えば、作業台に設けられる電気式のレベリング装置を例示することができる。電気スイッチはスイッチ部を押圧すると接点間の接続を保持し、再びスイッチ部を押圧すると接点間の接続を開放するスイッチや、接点間を迅速に開閉するためのスナップ動作を与えるようにバネと組み合わされたトグルスイッチを例示することができる。ブームはその先端に作業台が取り付けられ、例えば、高所作業車に設けられた伸縮ブーム等を例示することができる。通信回路は非電気式であり、例えば、光ファイバーケーブルを使用した通信回路を例示することができる。
【0011】
また、上記構成の作動規制装置において、第2作動制御手段を車体側に設け、電源と第1作動制御手段と電気スイッチとをブームの先端に取り付けるのが好ましい。第2作動制御手段に電力供給情報が伝達されないときには、ブームの作動が規制されるので作業者は電気スイッチの入れ忘れを認識でき、電気スイッチをオン作動させることで電気作動装置が作動するとともに、ブームが作動する。
【0012】
さらに、上記構成の作動規制装置において、電源と電気スイッチとを作業台に設けてもよい。作業台の水平レベリングが行なわれないときには、ブームの作動を規制することで、作業台に搭乗する作業者の安全を十分に確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1と図2に基づいて説明する。本実施の形態は車体上に伸縮且つ旋回自在な伸縮ブームを有した高所作業車の態様を示す。最初に、本発明の作動規制装置を説明する前に、この作動規制装置を搭載した高所作業車を説明する。
【0014】
高所作業車1は、図1に示すように、車体3の前後左右の4箇所に車体3を支持するアウトリガジャッキ5と、車体3後側上部に油圧モータ(図示せず)によって旋回自在な旋回台7とを有している。この旋回台7の上部には伸縮ブーム9の基端部が枢支されている。伸縮ブーム9は、旋回台7と伸縮ブーム9間に設けられたブーム起伏シリンダ11の伸縮作動により起伏作動する。
【0015】
伸縮ブーム9の先端には垂直ポスト13が設けられ、この垂直ポスト13には上部レベリングシリンダ(図示せず)が設けられている。上部レベリングシリンダは作業台15を常時水平に保持させる機能を有している。垂直ポスト13の上部には旋回アーム17が水平方向に突出して設けられ、図示しない油圧モータによって垂直ポスト13に対して旋回自在に形成されている。この旋回アーム15の先端部には作業台15が設けられている。
【0016】
次に、作動規制装置を説明する。作動規制装置19は、図2に示すように、バッテリ21と電気スイッチ23と上部コントローラ25と作業台傾き角検知センサ26と下部コントローラ27とを有している。バッテリ21と電気スイッチ23と上部コントローラ25と作業台傾き角検知センサ26は図1に示す作業台15に設けられ、下部コントローラ27は旋回台7の側部に設けられている。電気スイッチ23はバッテリ21から上部コントローラ25への電力供給をオンオフ制御する機能を有し、スイッチ部23aと接点部23bとから構成されている。この電気スイッチ23はスイッチ部23aを押圧すると接点23b間の接続を保持し、再びスイッチ部23aを押圧すると接点23b間の接続を開放するように構成されている。尚、電気スイッチ23はこれに限らず、接点23b間を迅速に開閉するためのスナップ動作を与えるようにバネと組み合わされたトグルスイッチを使用することもできる。
【0017】
上部コントローラ25はバッテリ21からの電力を供給されることで作動し、作業台傾き角検知センサ26の検出値に基づいて作業台15を水平に保持させるために必要な補正角度を算出する作業台水平保持回路28と、この作業台水平保持回路28で算出された補正角度に基づいて上部レベリングシリンダ29の作動を制御するレベリング用バルブ30の開度を調整して作業台15を常時水平に保持させる作動制御回路31と、電気スイッチ23がON作動されてバッテリ21から上部コントローラ25に電力供給がなされたときに上部コントローラ25に電力が供給された旨の情報(電力供給情報)を下部コントローラ27に伝達する情報伝達回路33と、を有している。尚、電気スイッチ23がON作動してバッテリ21から上部コントローラ25に電力が供給されてもその供給電力が所定電力よりも小さいときには、情報伝達回路33は電力供給がなされないものとみなして電力供給情報を下部コントローラ27に伝達しない。
【0018】
上部コントローラ25にはこれと別個に設けられ電気的に絶縁されて伸縮ブーム9の作動を制御する下部コントローラ27が光ファイバーケーブル37を介して接続されている。尚、上部コントローラ25と下部コントローラ27間は伸縮ブーム9の先端部が絶縁製の材料で形成され、また絶縁性を有する光ファイバーケーブル37で接続されているので、両者間は絶縁性が常に保持されている。
【0019】
下部コントローラ27はブーム起伏シリンダ11の作動、即ち、起伏シリンダ用バルブ38の開度を調整する作動制御回路39と、情報伝達回路33が電力供給情報を下部コントローラ27に伝達しない限り作動制御回路39から出力する制御信号を規制する作動規制回路41とを有している。また、下部コントローラ27には下部操作装置43が電気的に接続されており、この下部操作装置43を操作すると作動制御回路39を介して起伏シリンダ用バルブ38の開度が調整されてブーム起伏シリンダ11が作動し伸縮ブーム9が起伏作動する。
【0020】
また、下部コントローラ27に情報伝達回路33から電力供給情報が伝達されない限り警告灯の点灯や警報ブザーを鳴らす警報作動手段(図示せず)を接続することができる。この場合、電気スイッチ23を入れ忘れたときや、作業途中に誤って電気スイッチ23に触れて上部コントローラ25へのバッテリ21からの電力供給が遮断されたときや、電気スイッチ23がON作動してバッテリ21から上部コントローラ25に電力が供給されてもその供給電力が所定電力よりも小さいときには、警報ブザー等が作動して作業者が電気スイッチ23がOFF状態等にあることを認識することができる。さらに、情報伝達回路33から電力供給情報が下部コントローラ27に伝達されない場合に作動規制回路41から出力される規制信号を遮断する規制信号遮断回路(図示せず)と、この規制信号遮断回路を作動させる作動スイッチ(図示せず)とを下部コントローラ27に設けることもできる。即ち、作動スイッチをON作動させることで、下部コントローラ27を介して伸縮ブーム9を作動させることができる。
【0021】
次に、本発明の作動規制装置19の作用を作業台15に作業者が搭乗した状態で下部操作装置43を使用して作業台15を所定位置に移動させる場合について、図1と図2を使用して説明する。尚、作動規制装置19の作用の説明にあたり、電気スイッチ23を当初入れ忘れた場合について説明する。
【0022】
最初に、図1に示すように、車体3上に作業台15を格納した状態で高所作業車1を作業現場まで移動させる。そして、アウトリガジャッキ5を張り出して接地させ車体3を安定支持する。
【0023】
次に、格納された作業台15上に作業者が搭乗し、この作業者(以下、「上部作業者」と記す。)が図2に示す電気スイッチ23を入れ忘れる。そして、車体3側にいる別の作業者(以下、「下部作業者」と記す。)が下部操作装置43を操作する。下部操作装置43からの操作信号は下部コントローラ27に受信される。これとともに、電気スイッチ23はオフ作動(入れ忘れた状態)の状態にあるので、上部コントローラ25は作動せず、上部コントローラ25の情報伝達回路33は電力供給情報を下部コントローラ27に出力せず、下部コントローラ27の作動規制回路41が作動して作動制御回路39から出力される制御信号の出力を規制し、伸縮ブーム9の作動を規制する。即ち、上部レベリングシリンダ29が作動しない状態では下部コントローラ27が伸縮ブーム9の作動を規制する。従って、作業台15に搭乗した上部作業者の安全を十分に確保することができる。
【0024】
次に、下部作業者は伸縮ブーム9が作動しないことから電気スイッチ23が入れ忘れていることを認識した後に、上部作業者にこの旨を声等で伝達して、上部作業者に電気スイッチ23を入れさせる。そして、下部作業者が下部操作装置43を再び操作する。下部操作装置43からの操作信号は下部コントローラ27に受信される。これと同時に、電気スイッチ23はON作動の状態にあるので、上部コントローラ25が作動し、作業台傾き角検知センサ26が作業台15の傾き角を検知し、作業台水平保持回路28がこの検知角度に基づいて補正角度を算出し、この補正角度に基づいて作動制御回路31がレベリング用バルブ30の開度を調整して上部レベリングシリンダ29を伸縮作動させ、作業台15を水平状態に保持する。
【0025】
また、上部コントローラ25の情報伝達回路33が電力供給情報を下部コントローラ27に出力し、下部コントローラ27がこの電力供給情報を受信する。電力供給情報を下部コントローラ27が受信すると、作動規制回路41は作動しないので、下部操作装置43の操作信号は作動制御回路39を介して制御信号の変換され、この制御信号に基づいて起伏シリンダ用バルブ38の開度が制御されてブーム起伏シリンダ11が伸縮作動して伸縮ブーム9が起伏作動する。従って、作業台15は水平状態のままで所定位置に移動する。
【0026】
【発明の効果】
本発明による作動規制装置によれば、情報伝達手段が電力供給情報を第2作動制御手段に伝達しない限り、第2作動制御手段の作動が規制されてブームの作動を規制することで、電気作動装置が作動しない状態ではブームが作動しない。また、ブームが作動しないことにより、作業者は第1作動制御手段に電力が供給されていないことを認識して、電気スイッチをON作動させることで、電気作動装置を作動させるとともに、ブームを作動させることができる。
【0027】
また、第2作動制御手段を車体側に設け、電源と第1作動制御手段と電気スイッチとをブームの先端に取り付けた場合には、第2作動制御手段に電力供給情報が伝達されないときには、ブームの作動が規制されるので作業者は電気スイッチの入れ忘れを認識でき、電気スイッチをON作動させることで電気作動装置を作動させるとともに、ブームを作動させることができる。
【0028】
さらに、電源と電気スイッチとを作業台に設ける場合には、作業台の水平レベリングが行なわれないときにはブームの作動が規制されるので、作業台に搭乗する作業者の安全を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における作動規制装置を搭載した高所作業車の正面図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態における作動規制装置のブロック図を示す。
【符号の説明】
1 高所作業車
3 車体
9 伸縮ブーム
15 作業台
21 バッテリ
23 電気スイッチ
25 上部コントローラ
27 下部コントローラ
29 上部レベリングシリンダ
33 情報伝達回路
37 光ファイバーケーブル
Claims (3)
- 少なくとも一部が絶縁され走行可能な車体上に起伏等自在に設けられたブームと、
前記ブームの先端に上下に揺動自在に取り付けられた作業台と、
電源と、
前記電源の電力供給を受けて作動する第1作動制御手段と、
前記ブームの先端と前記作業台との間に配設されて前記ブームの起伏に拘らず前記作業台の水平保持を行うように構成され、前記第1作動制御手段により作動を制御される電気作動装置と、
前記電源から前記第1作動制御手段への電力供給をオンオフ制御する電気スイッチと、
前記第1作動制御手段と別個に設けられて電気的に絶縁され、前記ブームの作動を制御する第2作動制御手段と、
前記第1作動制御手段と前記第2作動制御手段とを情報の伝達が可能に接続する非電気式の通信回線と、
前記電気スイッチがオン作動されて前記電源から前記第1作動制御手段に電力供給がなされたときに、前記第2作動制御手段に前記非電気式の通信回線を介して前記第1作動制御手段への電力供給情報を伝達する情報伝達手段とを有し、
前記情報伝達手段が前記電力供給情報を前記第2作動制御手段に伝達しない限り、前記第2作動制御手段の作動が規制されて前記ブームの作動を規制することを特徴とする作動規制装置。 - 前記第2作動制御手段が前記車体側に設けられ、前記電源と前記第1作動制御手段と前記電気スイッチとが前記ブームの先端に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の作動規制装置。
- 前記電源と前記電気スイッチとが前記作業台に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の作動規制装置。
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- 1998-09-14 JP JP25964598A patent/JP3662124B2/ja not_active Expired - Fee Related
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