JP3660818B2 - 基板の除電方法および除電機能付きステージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置または半導体素子等を製造する際に用いる基板の除電方法および除電機能付きステージに関するもので、特に製造処理中に生じた静電気を除去することができる基板の除電方法および除電機能付きステージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置または半導体素子等に用いられる基板に各種の製造装置を用いて所望の処理を施す際には、製造装置のステージに基板を吸着固定して処理を行う。このとき、基板表面または裏面に電荷が付着していると、処理が終了して基板をステージからリフトアップする際に、基板のステージとの間の静電容量が減少し、基板の表面電位は吸着時の100倍になる。例えば、吸着時の基板の表面電位が100Vであった場合、基板を20mmリフトアップしたときには、基板の静電容量は吸着時の約1/100となるので、10kVになる。
【0003】
したがって、図3(a)に示すように、ステージ2に吸着しているときの基板1の表面電位は低くても、図3(b)に示すように、処理が終了して基板1をリフトアップすると、基板1を受け取るためのロボットハンド8等が基板1に接近し、基板1からロボットハンド8に放電9を起こし、基板1上に形成した電極パターン部等の静電破壊を起こす。
【0004】
基板1をステージ2からリフトアップするときに、基板1の表面電位の上昇を防ぐため、以下のような方法が提案されている。
【0005】
一般的に用いられている方法は、図4(a)に示すように、基板1を吸着しているステージ2の上方にイオナイザー(除電装置)6を取り付け、図4(b)に示すように、基板1をステージ2からリフトアップする際、基板1を約1〜2mm持ち上げた状態で一旦停止し、基板1の静電容量減少による表面電位の上昇をイオナイザー6によって防いでから、図4(c)に示すように、再度基板1を上昇させる方法である。
【0006】
また、実開平1−160838号公報で提案されている方法は、図5に示すように、ステージ2内にイオナイザー6を取り付け、基板1をリフトアップする際にイオナイザー6によってイオン化されたエアーを基板1に吹き付け、リフトアップ時に生じる基板1の表面電位の上昇を防ぐ方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す方法では、基板1をステージ2からリフトアップする際の静電容量変化が非常に大きく、またイオナイザー6から発生されるイオン量が十分でないとともにプラスとマイナスのイオン量の釣り合いが通常±50〜100Vずれているため、基板1をステージ2から多少持ち上げた状態にして除電しないと、基板1の電荷を十分に除去することができない。
【0008】
例えば、ステージ2に基板1を吸着させた状態で、表面電位50Vの基板1の表面電荷を除去しようとするとき、市販のイオンバランス±50〜100Vのイオナイザー6では、逆に基板1を帯電させてしまう。仮にイオンバランスが0Vのイオナイザー6を使ったとしても、基板1がステージ2に吸着した状態で基板1の表面電位を下げる、例えば50Vから数Vにするのには数十〜数百秒という非常に長時間を費やす。
【0009】
したがって、生産ラインでの生産タクトでは、基板1をステージ2に吸着した状態で基板1の表面電荷を除去することは実用的ではなく、図4に示すような方法、つまり基板1をステージ2から多少上昇した状態にし、基板1の静電容量を下げることによって表面電位を上昇させた状態にして、イオナイザー6を用いて効率の良い除電を行っている。
【0010】
イオナイザー6を用いた除電では、例えばステージ2に吸着時の表面電位100Vの基板1を20mmリフトアップさせると表面電位10kVになるので、イオナイザー6によって表面電位100Vに容易に下げることができる。しかし、これは基板1上の電荷が1/100になったことに相当し、基板1がステージ2に吸着した状態に置き換えると100Vであった表面電位を1Vにすることに相当するが、現状のイオナイザー6では基板1の表面電位を1Vにすることは不可能である。
【0011】
また、基板1をステージ2からリフトアップする際には、図6に示すように、リフトアップ開始から約0.2秒で放電が起こるため、リフトアップを開始してからの除電では放電を起こす可能性が高い。
【0012】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みなされたものであって、基板がステージに吸着している状態でも基板の表面電位を効率良く下げることができる基板の除電方法および除電機能付きステージを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の基板の除電方法は、ステージに載置した基板に所望の処理を施した後、前記基板上に溜まった電荷を除去する基板の除電方法において、前記基板の表面電位を測定し、この測定結果に基づいて、前記ステージに設けた電極に電圧を印加して前記基板の表面電位を変えるとともに、イオナイザーによって前記基板に電荷を与えることを特徴としている。
【0014】
請求項2記載の除電機能付きステージは、基板を載置し、前記基板に所望の処理を施すためのものであって、所望の処理を施した前記基板上に溜まった電荷を除去する機能を有する除電機能付きステージにおいて、前記基板の表面電位を測定する表面電位計と、電圧を印加して前記基板の表面電位を変える電極と、前記基板に電荷を与えるイオナイザーと、を備えることを特徴としている。
【0015】
本発明の基板の除電方法によれば、測定した基板の表面電位に基づいて、ステージに設けた電極に電圧を印加して基板の表面電位を変えるとともに、イオナイザーによって基板に電荷を与えることにより、ステージ上での除電を短時間で行うことができる。ステージに設けた電極に電圧を印加して基板の表面電位を高めることで、イオナイザーからイオンを受けやすくなり、除電効果を高めることができる。
【0016】
本発明の除電機能付きステージによれば、基板の表面電位を測定する表面電位計と、電圧を印加して基板の表面電位を変える電極と、基板に電荷を与えるイオナイザーと、を備えることにより、ステージ上での除電を短時間で行うことができる。ステージに設けた電極に電圧を印加して基板の表面電位を高めることで、イオナイザーからイオンを受けやすくなり、除電効果を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1および図2を用いて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る除電機能付きステージを示す説明図、図2は本発明に係る他の除電機能付きステージを示す説明図である。
【0018】
本発明でいう基板は、液晶表示装置を構成するガラス基板または半導体ウエハ等に限られるものではなく、ステージ上で所望の処理を行う板状体であれば、特に限定されるものではない。
【0019】
また、本発明に係るステージは、成膜装置、露光装置、配向膜形成装置、ラビング装置、シール形成装置、貼り合わせ装置または分断装置等に用いることができ、ステージ上で基板に所望の処理を行う装置であれば用いることができ、特に限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1に示すように、基板1を載置するステージ2内部には、基板1の表面電位を変えるための電極3が設けられている。電極3は高圧電源4に接続され、高圧電源4はコントローラ7に接続されている。さらに、基板1の表面電位を測定する表面電位計5が設けられ、ステージ2の上方にはイオナイザー6が設けられている。表面電位計5およびイオナイザー6は、コントローラ7に接続されている。
【0021】
このステージ2を有する製造装置において基板1に所望の処理が行われた後、表面電位計5によって基板1の表面電位を測定し、この測定結果に基づき、コントローラ7によって電極3の電圧およびイオナイザー6の出力を制御して、基板1の表面電位を所定の値にする。
【0022】
このように、ステージ2基板1をリフトアップすることなく、基板1の表面に溜まった電荷を急激に除去することができる。
【0023】
(実施の形態2)
図2に示すように、基板1を載置するステージ2には、基板1の表面電位を変えるための電極3が基板1に接するように設けられている。電極3は高圧電源4に接続され、高圧電源4はコントローラ7に接続されている。さらに、基板1の表面電位を測定する表面電位計5が設けられ、ステージ2の上方にはイオナイザー6が設けられている。表面電位計5およびイオナイザー6は、コントローラ7に接続されている。
【0024】
このステージ2を有する製造装置において基板1に所望の処理が行われた後、表面電位計5によって基板1の表面電位を測定し、この測定結果に基づき、コントローラ7によって電極3の電圧およびイオナイザー6の出力を制御して、基板1の表面電位を所定の値にする。
【0025】
このように、ステージ2基板1をリフトアップすることなく、基板1の表面に溜まった電荷を急激に除去することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明のように、本発明の基板の除電方法によれば、測定した基板の表面電位に基づいて、ステージに設けた電極に電圧を印加して基板の表面電位を変えるとともに、イオナイザーによって基板に電荷を与えることにより、ステージに設けた電極に電圧を印加して基板の表面電位を高めることでイオナイザーからイオンを受けやすくし、放電を起こすことなくステージ上での除電を短時間で行うことができる。
【0027】
本発明の除電機能付きステージによれば、基板の表面電位を測定する表面電位計と、電圧を印加して基板の表面電位を変える電極と、基板に電荷を与えるイオナイザーと、を備えることにより、ステージに設けた電極に電圧を印加して基板の表面電位を高めることでイオナイザーからイオンを受けやすくし、放電を起こすことなくステージ上での除電を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除電機能付きステージを示す説明図である。
【図2】本発明に係る他の除電機能付きステージを示す説明図である。
【図3】(a)および(b)は基板をリフトアップする際の放電状態を示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は従来の基板の除電方法を示す説明図である。
【図5】従来の他の基板の除電方法を示す説明図である。
【図6】基板をリフトアップする際の時間と基板の表面電位との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ステージ
3 電極
4 高圧電源
5 表面電位計
6 イオナイザー(除電装置)
7 コントローラ
8 ロボットハンド
9 放電
Claims (2)
- ステージに載置された基板上に溜まった電荷を除去する基板の除電方法において、前記基板の表面電位を測定し、この測定結果に基づいて、前記ステージに設けた電極に電圧を印加して前記基板の表面電位を変えるとともに、イオナイザーによって前記基板に電荷を与えることを特徴とする基板の除電方法。
- 基板を載置し、前記基板に所望の処理を施すためのステージであって、前記基板が前記ステージに載置された状態にて、所望の処理を施した前記基板上に溜まった電荷を除去する機能を有する除電機能付きステージにおいて、前記基板の表面電位を測定する表面電位計と、前記表面電位計の測定結果に基づいて電圧を印加して前記基板の表面電位を変える電極と、前記表面電位計の測定結果に基づいて前記基板に電荷を与えるイオナイザーと、を備えることを特徴とする除電機能付きステージ。
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JP36870798A JP3660818B2 (ja) | 1998-12-25 | 1998-12-25 | 基板の除電方法および除電機能付きステージ |
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JP36870798A Expired - Lifetime JP3660818B2 (ja) | 1998-12-25 | 1998-12-25 | 基板の除電方法および除電機能付きステージ |
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- 1998-12-25 JP JP36870798A patent/JP3660818B2/ja not_active Expired - Lifetime
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