JP3660802B2 - 金属管の増肉加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角形鋼管、丸形鋼管等の金属管の長手方向の所望区間を増肉させて厚肉部を形成する金属管の増肉加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼管等の金属管の長手方向の小領域を、誘導コイル等で局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させながら該加熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順次増肉させ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却して固化させ、それ以上の増肉が生じないようにすることによって、金属管を連続的に所望厚さに増肉させてゆく金属管の増肉加工方法が知られている。ところが、この増肉加工方法では増肉を生じている部分が何ら拘束されていないので、不安定な歪みが生じることがあり、このため増肉加工条件(温度、圧力等)を厳密に制御する必要があった。また、増肉加工で形成した厚肉部に熱処理を施すことがあるが、その熱処理で加熱した際に好ましくない変形が生じることもあった。
【0003】
これらの問題点を解決するため、本出願人等は先に、金属管の増肉加工すべき領域内に、形成する厚肉部の長さ以上の長さを有するダイスをあらかじめ挿入しておき、この状態で前記金属管に増肉加工を施し、また必要に応じ熱処理を施す方法を開発し、特許出願した(特開平9−76011号公報参照)。この方法は、増肉加工時にダイスの外面で、金属管の増肉変形を生じている部分の内面を規制し、増肉加工時の不安定な変形を抑制することができ、また、熱処理時にはやはりダイスの外面で厚肉部の好ましくない変形を抑制することができるという効果を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、増肉加工時に金属管の厚肉部内面をダイスで規制した場合、厚肉部の内面が強くダイスに押し付けられることとなり、しかも、増肉加工や熱処理の終了時に厚肉部が冷える時の収縮によって一層強く締め付けられた状態となる。このため、ダイスを金属管から引き抜く際にきわめて大きい力が必要となるばかりでなく、引き抜きの際に金属管内面に傷をつけてしまうことがあった。また、場合によっては引き抜き不能となることもあった。
【0005】
この問題点を解決するには、ダイス表面に潤滑剤を塗布して滑りを良くすることが考えられるが、増肉加工時にきわめて高温となることから、潤滑剤が燃焼してしまい、本来の性能を発揮しない。そこで、前記した特開平9−76011号公報では、ダイスを拡縮可能又は分解可能な構造とし、ダイスの引き抜き時にはダイスを縮径させるか又は分解して引き抜くことを提案している。
【0006】
しかしながら、拡縮可能や分解可能なダイスは構造が複雑で高価であり、しかも構造が複雑なためメンテナンスを頻繁に行う必要があり、維持費が大となる。また、寸法的な制約から構成部材が小さく、弱い。従って、寿命も短く、これらの欠点は小径管ほど顕著に生じる。更に拡縮可能な構成とした場合には、ダイスを周方向に複数のセグメントに分割した構造とする必要があり、そのため、厚肉部内面を規制するため拡径した状態ではセグメント間の隙間が大きくなり、その隙間の部分では厚肉部内面を良好に規制できず、厚肉部の形状を悪くすることがある。この欠点は、特に円管の場合に顕著に生じる。また、分解可能な構成とした場合には、ダイス引き抜きに際し、分解する必要があり、作業性が悪いという問題もあった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みて為されたもので、金属管の内面をダイスで規制する方式で増肉加工を行う方法において、拡縮可能な構成のダイスを用いることなく、容易にダイスを引き抜くことを可能とする金属管の増肉加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した問題点を解決するため、金属管内に挿入するダイスとして、その外面の金属管の長手方向沿いに、金属管からの引き抜き側が大径となる勾配を施してあるダイスを用いたものである。このようにダイスに勾配を施しておくと、金属管からダイスを引き抜く際、そのダイス外面に金属管内面が強く押し付けられた状態であっても、ダイスを金属管の長手方向に且つダイスの大径側にわずかに移動させるのみでダイスと金属管との接触圧が急減し、引き抜きに要する力がきわめて小さくなり且つ安定する。このため、ダイスを引き抜き時に縮径させるとか、分解するといった操作を行うことなく、ダイスを容易に引き抜くことができ且つ金属管内面に傷を付けるということもない。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの実施の形態は、増肉加工すべき金属管内に、増肉加工によって形成される厚肉部の内側に位置するように、その厚肉部の長さ以上の長さを有するダイスをあらかじめ挿入しておき、この状態で前記金属管の長手方向の小領域を加熱装置で局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させながら該加熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順次増肉させ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却することによって、金属管を連続的に増肉させて前記ダイスの外側に厚肉部を形成する方法において、前記ダイスとして、その外面の金属管の長手方向沿いに、金属管からの引き抜き側が大径となる勾配を施してあるダイスを用いるという構成としたものである。この構成では、金属管の増肉加工が定位置に配置されたダイスの外側で行われ、従って、増肉時に生じがちな好ましくない変形をダイス外面で規制でき、安定して良好に増肉加工を行なうことができる。そして、増肉加工を終わった後は、ダイスの外面に厚肉部が押し付けられた状態となっているが、ダイス引き抜きの際には、ダイスに大径側に向かう方向の且つ金属管の長手方向の力を与えるか衝撃を与えてわずかに動かせば、ダイス外面の勾配によってダイスと金属管との間に隙間が生じて接触圧が急減し、引き抜き力がきわめて小さくなり、このため、金属管内面を傷付けることなく、ダイスを容易に引き抜くことができる。
【0010】
ここで、勾配を有するダイスを金属管内に挿入させた状態で増肉加工する際の厚肉部の増肉率を、金属管の長手方向に一定とし一定肉厚の厚肉部を形成する構成としてもよいが、この構成とすると、厚肉部の外面にダイスの勾配を倣った勾配が形成され、外径寸法が長手方向に変化する場合がある。従って、もし厚肉部外面の寸法公差が厳しく要求される場合には、厚肉部外面の勾配をなくすことが必要であり、その場合には、金属管の増肉率を、金属管の長手方向位置及びダイスの勾配に応じて調整しながら増肉加工する構成とすることにより、厚肉部の外径寸法を金属管の長手方向に沿って一定となるようにすることができる。
【0011】
上記したダイスに形成する勾配は、ダイスを抜きやすくする点からは大きい方が良いが、増肉によって形成する厚肉部の形状からは極力小さい方が良い。本発明者等が確認した結果、ダイスの勾配を1/1000程度とした場合でも容易に抜くことができたので、ダイスの勾配は1/000〜1/100程度に設定することが好ましい。
【0012】
本発明の他の実施の形態は、増肉加工すべき金属管の長手方向の小領域を加熱装置で局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させながら該加熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順次増肉させ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却することによって、金属管を連続的に増肉させて厚肉部を形成する方法において、前記金属管の加熱部の内側に位置するように、外面に金属管の長手方向沿いに勾配を施してあるダイスを、勾配の大径側が引き抜き側となり且つ前記加熱部の金属管に対する移動方向側となるように位置させると共にそのダイスを前記加熱部の金属管に対する移動に同調させて金属管に対して相対的に移動させる構成としたものである。この構成においても、増肉加工時には、金属管の増肉変形を生じている部分の内面にはダイスがあって内面の好ましくない変形を抑制しており、良好な増肉加工を行うことができ、また、ダイス引き抜き時には外面の勾配により、容易に且つ金属管内面に傷付けることなく引き抜くことができる。なお、この場合には、ダイスは増肉で形成した厚肉部の一端の一部のみを支持しているので、ダイスに設ける勾配はあまり小さくする必要はなく、例えば、1/10〜1/2程度とすることが好ましい。
【0013】
【実施例】
以下、図面に示す本発明の好適な実施例を説明する。
図1は本発明方法の実施に用いる増肉加工装置の好適な例を示す概略断面図、図2(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A矢視断面図、B−B矢視断面図、図3は増肉加工終了時の厚肉部及びダイスを示す概略断面図である。1は増肉加工の対象とする金属管であり、本実施例では角形鋼管が使用されている。この金属管1は図2から良く分かるように、4つの平坦な管壁(以下側壁という)1aと4つのコーナー部の円弧状の管壁(以下コーナー壁という)1bを備えている。2は金属管1の一端を定位置に固定、保持するための固定支持体、3は金属管1の反対端を保持して金属管1の軸線方向に移動可能な可動支持体である。この可動支持体3には油圧シリンダ等の圧縮装置(図示せず)が連結されており、可動支持体3を介して金属管1に圧縮力を作用させうる構成となっている。
【0014】
4は金属管1の長手方向の小領域を局部的に加熱して赤熱状態の加熱部5とすることの可能な加熱装置であり、ここでは誘導コイルが用いられている。6は加熱装置4に取り付けられた冷却装置であり、加熱装置4が矢印Cで示す方向に移動した際、加熱部5の後ろ側に冷却水等の冷却媒体7を吹き付けるものである。8は、加熱装置4及び冷却装置6を金属管1に沿って所望の速度で移動させる移動装置であり、加熱装置4と冷却装置6を保持して移動する移動台8aと、その移動台8aを移動させる送りねじ8bと、その送りねじ8bを回転駆動するサーボモータ8c等を備えている。なお、移動装置8としては、図示実施例に示すものに限らず、モータと送り用チェーンを用いたもの、油圧シリンダを用いたもの等、適宜変更可能である。
【0015】
10は、金属管1の内側に配置されたダイスであり、金属管1の増肉加工時に生じる恐れのある不安定な変形を抑制するためのものである。本実施例ではダイス10として図2に示すように、金属管1の内面に相似な外面を有する角形管が使用されており、金属管1の平坦な側壁1aに対向する平坦な側壁ダイス面10aと、金属管1の円弧状のコーナー面1bに対向する円弧状のコーナーダイス面10bを有している。ダイス10は、その内側に長手方向に適当な間隔をあけて配置された支持材11を介して支持軸12に保持されており、その支持軸12は可動支持体3側に延び出し、ダイス10を金属管1に対して出し入れするための油圧シリンダ等のダイス移動装置(図示せず)に連結されている。
【0016】
ダイス10の長さは、金属管1に形成する厚肉部1Aの長さLよりも長い長さに作られている。更にダイス10の外面には、その全長に渡って、金属管1の長手方向沿いに勾配を施している。この勾配は、図3で誇張して示すように、ダイス10の金属管1からの引き抜き側(図1、図3では左側)が大径となるように、すなわち、引き抜き側の外径D1 が反対側の外径D2 よりも大きくなるように形成している。なお、本明細書では、用語「径」は円形断面の直径を示す場合に限らず、図2に示すような角形断面における直径(中心を通る直線上での寸法)をも示しており、前記した径D1 、D2 は一対の側壁ダイス面10a間の距離である。勾配の大きさとしては、通常、1/1000〜1/100程度(傾斜角θは0.057°〜0.57°)に設定する。
【0017】
ダイス10の外径寸法は、ダイス10と金属管1との間に、ダイス10を金属管1内に容易に挿入させうる隙間が生じるように定められている。更に、ダイス10と金属管1との間隙g(図2参照)は、増肉加工時に生じる恐れのある好ましくない変形(例えば、金属管1の平坦な側壁1aが内側に凹むような変形)をダイス10で抑制しうるように定められている。更に具体的には、ダイス10と金属管1との間隙g(図2参照)は、増肉による金属管1の内面の内側への変位量(通常は、増肉量の1/2)よりも小さくし、金属管1の増肉加工時に増肉した厚肉部1Aの内面を常にダイス10の外面で規制しうるように定めたものでも良いし、或いは、金属管1の内面の内側への変位量よりも少し大きくし、金属管1が正常な形状で増肉した時にはダイス10の外面に厚肉部内面がほとんど接触しないが、平坦な側壁1aが内側に凹むような好ましくない変形を生じた時には、その内面を規制しうるように定めたものでもよい。
【0018】
次に、上記構成の増肉加工装置を用いた増肉加工動作を説明する。図1において、増肉加工すべき金属管1を固定支持体2及び可動支持体3で所定位置に保持し、その金属管1の厚肉部1Aを形成する領域内にダイス10を挿入し、その位置に停止させる。次いで、金属管1に可動支持体3を介して圧縮装置(図示せず)で圧縮力を作用させた状態で、加熱装置4によって金属管1の長手方向の小領域を加熱して、塑性変形容易な赤熱状態の加熱部5とし、その加熱部5に圧縮力による増肉を生じさせながら、その加熱装置4を金属管1に沿って矢印C方向に移動させ、同時に冷却装置6から冷却媒体7を加熱部5の後端部分に吹き付けて増肉直後の部分を冷却、固化する。これにより、金属管1が長手方向に連続的に増肉させられ、厚肉部1Aが形成されてゆく。そして所望長さLの厚肉部1Aが形成された時点で上記した動作を終了する。
【0019】
以上の増肉加工中、ダイス10を用いない場合には増肉した部分に不安定な変形(例えば、平坦な側壁が凹むとか、長手方向にジャバラ状となるといった変形)が生じる恐れがあるが、金属管1の増肉した部分の内側にダイス10の外面が位置しているので、そのような不安定な変形を防止でき、良好な増肉加工を行うことができる。
【0020】
図3に示すように、ダイス10の外側に所定長さの厚肉部1Aが形成された後、必要に応じ、ダイス10をその位置に配置したままで厚肉部1Aの熱処理を行う。この熱処理は、加熱装置4(図1参照)で厚肉部1Aを局部的に加熱し、加熱装置4を厚肉部1Aに沿って移動させることで、厚肉部1Aの全長に対して実施できる。また、この代わりに、特開平9−76011号公報に記載のように、加熱装置4の後ろに熱処理用の補助加熱装置を設け、増肉動作と並行して熱処理を行うことも可能である。このような熱処理の際にも、厚肉部1Aの内側にダイス10があって厚肉部1Aの内面を規制するので、好ましくない熱変形を防止できる。
【0021】
増肉加工終了後、或いは熱処理終了後、ダイス移動装置(図示せず)によってダイス10に引き抜き力を作用させ、ダイス10を金属管1から引き抜く。このダイス10の引き抜きの際、ダイス10の外面には厚肉部1Aの内面が押し付けられた状態となっており、摩擦による引き抜き抵抗が作用している。いま、図3に示すように、厚肉部1Aのダイス10外面に対する押付力(締付力)をQ、ダイス10外面の傾斜角をθ、厚肉部1Aとダイス10との摩擦係数をμ、最大摩擦角をρ、ダイス10の引き抜きに要する力(引き抜き力)をFとすると、この力Fは次式で表される。
F=Qtan(ρ−θ)・・・(1)
ここで、ρ=tan-1μ・・・(2)
【0022】
従って、上記(1)式を満たす力Fをダイス10に加えることにより、ダイス10は金属管1に対して軸線方向に移動することとなる。そして、ダイス10が金属管1に対してわずかに移動すると、ダイス10の外面に設けている勾配により、厚肉部1A内面とダイス10の外面との間に隙間が生じ、厚肉部1Aによる押圧力Qが急減する。このため、引き抜き力Fも急減し、ダイス10をきわめて軽く引き抜くことができる。また、厚肉部1Aがダイス10に強く押し付けられた状態でダイス10を引き抜くのではないため、ダイス10の引き抜き時に厚肉部1A内面に傷を付けることもない。このように、本実施例では、ダイス10の引き抜き開始時には或る程度大きい引き抜き力が必要であるとしても、ダイス10がわずかでも動いた後は、きわめて軽い力で引き抜くことができ、ダイス10を容易に且つ金属管内面に傷を付けることなく引き抜くことができる。なお、ダイス10の引き抜き開始時にダイス10に大きい引き抜き力を与えるために、適当な打撃手段によって支持軸12に軸線方向の打撃を与えてダイス10を少し移動させる構成としてもよい。このように構成すると、ダイス10を出し入れするためのダイス移動装置には、あまり大きい力を発生させる必要がなくなり、装置の小型化を図ることができる。
【0023】
以上に説明した増肉加工は、通常は増肉率が一定になるように、すなわち、厚肉部の肉厚が均一になるように行う。このため、図3に示すように、増肉によって形成された厚肉部1Aは、その外面1Aaがダイス10の外面10aに平行となっており、金属管1の軸線O−Oに対して傾斜した形状となる。しかしながら、ダイス10に形成している勾配はきわめて小さいので、厚肉部1Aの大径側と小径側との外径の差はさほど問題にはならない。例えば、勾配を1/500として、500mmの厚肉部を形成した時には大径側と小径側とにおける外径差は2mm程度となり、金属管1の外径(通常、200mm程度以上)に比べて1%以下となり、許容される場合が多い。
【0024】
しかしながら、製品によっては外径寸法を厳密に均一にするよう要求されるものもある。このように寸法公差を厳密に要求される場合には、厚肉部の増肉率を、金属管1の長手方向位置及びダイス10の勾配に応じて調整しながら増肉加工することにより、図4に示すように、厚肉部1Bの厚みをダイス10の勾配に応じて変化させ、厚肉部1Bの外面1Baを金属管1の軸線O−Oに対して平行とし、従って、外径寸法を金属管の長手方向に沿って等しくすることができる。ここで、増肉率βを、「増肉により増加した肉厚÷増肉前の肉厚」と定義すると、その増肉率βは、図1における加熱部5の矢印C方向の移動速度すなわち加熱装置4の移動速度Wと、その加熱部5に向かって押し込まれる金属管1の未増肉部分の移動速度すなわち可動支持体3の移動速度Vに対して、
β=V/W・・・(3)
で示す関係となっている。従って、加熱装置4の移動速度Wと可動支持体3の移動速度Vのいずれか一方若しくは双方を金属管1の長手方向位置に応じて調整する(変化させる)ことにより、増肉率βを金属管1の長手方向に沿って所望のように変化させることができ、勾配を有するダイス10の外側に形成した厚肉部1Aの外径寸法を長手方向に一定とすることができる。
【0025】
増肉率βの調整に当たって、可動支持体3の移動速度Vを調整する方法としては、1)加熱部5の温度を一定に保った状態(従って、加熱部の変形抵抗を一定に保った状態)で、可動支持体3に加える圧縮装置(図示せず)の押圧力を変化させる方法、2)可動支持体3に加える圧縮装置(図示せず)の押圧力を一定に保った状態で加熱部5の温度を変化させる方法、3)可動支持体3を移動させる圧縮装置として、可動支持体3を移動させる速度を制御可能なもの(例えば、デジタルシリンダ、デジタルサーボ機構等を備えたもの)を用いる方法等を挙げることができる。
【0026】
なお、上記実施例では、図2から良くわかるように、ダイス10として、金属管1の内面に相似な外面を有する角形管を使用したが、本発明に使用するダイスは必ずしも全周がつながった管状のものに限らず、複数のセグメントで構成されるものとしてもよい。例えば、図5(a)に示す4個セグメント10Aaからなるダイス10A、或いは、図5(b)に示す4個セグメント10Baからなるダイス10B等を用いることができる。これらの複数のセグメント10Aa又は10Baからなるダイス10A、又は10Bを用いる場合、各セグメント間に隙間が存在することとなるが、これらのセグメントは中心に対して拡縮させる必要がないので、各セグメント間の隙間をきわめて小さくでき、増肉加工時の厚肉部の内面支持に何ら支障は生じない。
【0027】
更に、図1に示す実施例では、ダイス10を可動支持体3側から金属管1に出し入れする構成であるが、この代わりに、固定支持体2側から金属管1に出し入れする構成に変更してもよい。その場合には、当然、ダイス10に形成する勾配は、固定支持体2側の端部が大径側となるようにする。
【0028】
図6は、本発明方法の実施に用いる増肉加工装置の図1とは異なる例を示す概略断面図、図7(a)、(b)は増肉加工途中及び終了時の厚肉部及びダイスを示す概略断面図であり、図1〜図5に示す装置と同一又は同様な部品には同一番号を付している。図6、図7の増肉加工装置では、金属管1内に挿入されるダイス20が、金属管1の加熱部5を含む短い領域の内面を支持しうる程度の短いものである。また、このダイス20を支持した支持軸22に連結され、ダイス20を金属管1の軸線方向に移動させるためのダイス移動装置(図示せず)が、ダイス20を金属管1からの引き抜き側に加熱装置4と同調して移動させる機能を備えている。ダイス20の外面には、その全長に渡って、金属管1の長手方向沿いに勾配を、ダイス20の金属管1からの引き抜き側(図1では左側)が大径となるように、形成している。この勾配の大きさは、図1に示す装置におけるダイス10の勾配よりも大きくすることが好ましく、例えば、1/10〜1/2程度(傾斜角θは5.7°〜26.6°)に設定する。その他の構成は、図1に示す装置と同様である。
【0029】
この装置では、増肉加工時に加熱装置4の移動と同調してダイス20が金属管からの引き抜き側に移動し、従って、図7(a)に示すように、加熱部5の増肉を生じている部分の内側に常にダイス20が位置してその内面を規制する。これにより、増肉時の不安定な変形が阻止される。そして、図7(b)に示すように増肉動作を終了した時点では、ダイス20が厚肉部1Cの端部に位置しているのみであり、しかも、そのダイス20には勾配を形成しているので、ダイス20をきわめて容易に引き抜くことができる。更に、傾斜角θを大きく設定しているので、上記した(1)式からわかるように、引き抜き力Fが小さくなり、増肉加工時にダイス20を移動させる力、及び増肉終了後にダイス20を引き抜く際に要する力のいずれも小さくできる。また、この実施例では、増肉率を一定としておくことにより、厚肉部1Cの外面を金属管の軸線に平行とすることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、金属管内に挿入するダイスとして、その外面に金属管の長手方向沿いに勾配を施してあるダイスを用いたことにより、ダイスを引き抜く時に縮径させるとか、分解するといった操作を行うことなく、ダイスを容易に且つ金属管内面に傷を付けることなく引き抜くことができ、従って、拡縮機構や分解可能な機構を備えていない簡単な構造の、安価なダイスを用いることができ、曲げ加工に使用する装置のコストダウンを図ることができると共に、ダイスのメンテナンスが簡単となり、維持費も削減できるという効果を有している。
【0031】
ここで、ダイスとして、増肉により形成する厚肉部の全長を支持しうる長さのものを用いると、定位置に停止させているダイスの外面上に厚肉部を形成でき、そのダイスで厚肉部を支持した状態で熱処理を行うことが可能となり、厚肉部に不安定な熱変形を生じさせることなく、熱処理を行うことができるという効果が得られる。
【0032】
また、増肉のために金属管に形成した加熱部と同調して移動する短いダイスを用いると、ダイスを短くできるので一層ダイスのコストを下げることができ、しかも引き抜きを一層容易に行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる増肉加工装置の好適な例を示す概略断面図
【図2】(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A矢視断面図、B−B矢視断面図
【図3】図1の装置における増肉加工終了時の厚肉部及びダイスを示す概略断面図
【図4】ダイス外面に形成する厚肉部の変形例を示す、図3と同一部分の概略断面図
【図5】(a)、(b)はそれぞれダイスの変形例を示す概略端面図
【図6】本発明方法の実施に用いる増肉加工装置の他の例を示す概略断面図
【図7】(a)、(b)はそれぞれ、図6の装置における増肉加工途中及び終了時の厚肉部及びダイスを示す概略断面図
【符号の説明】
1 金属管
1A、1B、1C 厚肉部
2 固定支持体
3 可動支持体
4 加熱装置
5 加熱部
6 冷却装置
7 冷却媒体
8 移動装置
10、10A、10B ダイス
10Aa、10Ba セグメント
11 支持材
12 支持軸
20 ダイス
22 支持軸
Claims (4)
- 増肉加工すべき金属管内に、増肉加工によって形成される厚肉部の内側に位置するように、その厚肉部の長さ以上の長さを有するダイスをあらかじめ挿入しておき、この状態で前記金属管の長手方向の小領域を加熱装置で局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させながら該加熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順次増肉させ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却することによって、金属管を連続的に増肉させて前記ダイスの外側に厚肉部を形成する方法において、前記ダイスとして、その外面の金属管の長手方向沿いに、金属管からの引き抜き側が大径となる勾配を施してあるダイスを用いたことを特徴とする金属管の増肉加工方法。
- 前記厚肉部の外径寸法が金属管の長手方向に沿って等しくなるように、前記厚肉部の増肉率を、前記金属管の長手方向位置及び前記ダイスの勾配に応じて調整しながら増肉加工することを特徴とする請求項1記載の金属管の増肉加工方法。
- 前記ダイスの勾配を、1/1000〜1/100としたことを特徴とする請求項1又は2記載の金属管の増肉加工方法。
- 増肉加工すべき金属管の長手方向の小領域を加熱装置で局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させながら該加熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順次増肉させ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却することによって、金属管を連続的に増肉させて厚肉部を形成する方法において、前記金属管の加熱部の内側に位置するように、外面に金属管の長手方向沿いに勾配を施してあるダイスを、その勾配の大径側が引き抜き側となり且つ前記加熱部の金属管に対する移動方向側となるように位置させると共にそのダイスを前記加熱部の金属管に対する移動に同調させて金属管に対して相対的に移動させることを特徴とする金属管の増肉加工方法。
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