JP2000015380A - 金属管の増肉加工方法 - Google Patents

金属管の増肉加工方法

Info

Publication number
JP2000015380A
JP2000015380A JP10190287A JP19028798A JP2000015380A JP 2000015380 A JP2000015380 A JP 2000015380A JP 10190287 A JP10190287 A JP 10190287A JP 19028798 A JP19028798 A JP 19028798A JP 2000015380 A JP2000015380 A JP 2000015380A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
die
metal tube
longitudinal direction
thickness
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10190287A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3660802B2 (ja
Inventor
Yasuo Watanabe
康男 渡辺
Masatsugu Fujita
正継 藤田
Tadanobu Miyagawa
忠伸 宮川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Ichi High Frequency Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi High Frequency Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Ichi High Frequency Co Ltd filed Critical Dai Ichi High Frequency Co Ltd
Priority to JP19028798A priority Critical patent/JP3660802B2/ja
Publication of JP2000015380A publication Critical patent/JP2000015380A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3660802B2 publication Critical patent/JP3660802B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Forging (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属管1の内側にダイス10を挿入した状態
で増肉加工を行った後のダイス引き抜き作業を容易とす
る。 【解決手段】 ダイス10の外面に金属管1の長手方向
沿いに勾配を設けておき、金属管1の増肉加工によって
ダイス10の外側に厚肉部1Aを形成した後のダイス引
き抜きに際し、ダイス10を外径が大きい側に引き抜く
ことで、厚肉部との間に隙間を生じさせ、小さい力で容
易に且つ厚肉部内面を傷付けることなくダイスを引き抜
き可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、角形鋼管、丸形鋼
管等の金属管の長手方向の所望区間を増肉させて厚肉部
を形成する金属管の増肉加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼管等の金属管の長手方向の小領
域を、誘導コイル等で局部的に加熱して赤熱状態の加熱
部を形成し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させな
がら該加熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順
次増肉させ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷
却して固化させ、それ以上の増肉が生じないようにする
ことによって、金属管を連続的に所望厚さに増肉させて
ゆく金属管の増肉加工方法が知られている。ところが、
この増肉加工方法では増肉を生じている部分が何ら拘束
されていないので、不安定な歪みが生じることがあり、
このため増肉加工条件(温度、圧力等)を厳密に制御す
る必要があった。また、増肉加工で形成した厚肉部に熱
処理を施すことがあるが、その熱処理で加熱した際に好
ましくない変形が生じることもあった。
【0003】これらの問題点を解決するため、本出願人
等は先に、金属管の増肉加工すべき領域内に、形成する
厚肉部の長さ以上の長さを有するダイスをあらかじめ挿
入しておき、この状態で前記金属管に増肉加工を施し、
また必要に応じ熱処理を施す方法を開発し、特許出願し
た(特開平9−76011号公報参照)。この方法は、
増肉加工時にダイスの外面で、金属管の増肉変形を生じ
ている部分の内面を規制し、増肉加工時の不安定な変形
を抑制することができ、また、熱処理時にはやはりダイ
スの外面で厚肉部の好ましくない変形を抑制することが
できるという効果を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、増肉加工時
に金属管の厚肉部内面をダイスで規制した場合、厚肉部
の内面が強くダイスに押し付けられることとなり、しか
も、増肉加工や熱処理の終了時に厚肉部が冷える時の収
縮によって一層強く締め付けられた状態となる。このた
め、ダイスを金属管から引き抜く際にきわめて大きい力
が必要となるばかりでなく、引き抜きの際に金属管内面
に傷をつけてしまうことがあった。また、場合によって
は引き抜き不能となることもあった。
【0005】この問題点を解決するには、ダイス表面に
潤滑剤を塗布して滑りを良くすることが考えられるが、
増肉加工時にきわめて高温となることから、潤滑剤が燃
焼してしまい、本来の性能を発揮しない。そこで、前記
した特開平9−76011号公報では、ダイスを拡縮可
能又は分解可能な構造とし、ダイスの引き抜き時にはダ
イスを縮径させるか又は分解して引き抜くことを提案し
ている。
【0006】しかしながら、拡縮可能や分解可能なダイ
スは構造が複雑で高価であり、しかも構造が複雑なため
メンテナンスを頻繁に行う必要があり、維持費が大とな
る。また、寸法的な制約から構成部材が小さく、弱い。
従って、寿命も短く、これらの欠点は小径管ほど顕著に
生じる。更に拡縮可能な構成とした場合には、ダイスを
周方向に複数のセグメントに分割した構造とする必要が
あり、そのため、厚肉部内面を規制するため拡径した状
態ではセグメント間の隙間が大きくなり、その隙間の部
分では厚肉部内面を良好に規制できず、厚肉部の形状を
悪くすることがある。この欠点は、特に円管の場合に顕
著に生じる。また、分解可能な構成とした場合には、ダ
イス引き抜きに際し、分解する必要があり、作業性が悪
いという問題もあった。
【0007】本発明は、かかる問題点に鑑みて為された
もので、金属管の内面をダイスで規制する方式で増肉加
工を行う方法において、拡縮可能な構成のダイスを用い
ることなく、容易にダイスを引き抜くことを可能とする
金属管の増肉加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した問題点
を解決するため、金属管内に挿入するダイスとして、そ
の外面の金属管の長手方向沿いに勾配を施してあるダイ
スを用いたものである。このようにダイスに勾配を施し
ておくと、金属管からダイスを引き抜く際、そのダイス
外面に金属管内面が強く押し付けられた状態であって
も、ダイスを金属管の長手方向にわずかに移動させるの
みでダイスと金属管との接触圧が急減し、引き抜きに要
する力がきわめて小さくなり且つ安定する。このため、
ダイスを引き抜き時に縮径させるとか、分解するといっ
た操作を行うことなく、ダイスを容易に引き抜くことが
でき且つ金属管内面に傷を付けるということもない。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の1つの実施の形態は、増
肉加工すべき金属管内に、増肉加工によって形成される
厚肉部の内側に位置するように、その厚肉部の長さ以上
の長さを有するダイスをあらかじめ挿入しておき、この
状態で前記金属管の長手方向の小領域を加熱装置で局部
的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成し、該加熱部を金
属管の長手方向に移動させながら該加熱部に金属管の長
手方向の圧縮力を付与して順次増肉させ、且つ前記加熱
部の後端部分を増肉直後に冷却することによって、金属
管を連続的に増肉させて前記ダイスの外側に厚肉部を形
成する方法において、前記ダイスとして、その外面の金
属管の長手方向沿いに勾配を施してあるダイスを用いる
という構成としたものである。この構成では、金属管の
増肉加工が定位置に配置されたダイスの外側で行われ、
従って、増肉時に生じがちな好ましくない変形をダイス
外面で規制でき、安定して良好に増肉加工を行なうこと
ができる。そして、増肉加工を終わった後は、ダイスの
外面に厚肉部が押し付けられた状態となっているが、ダ
イス引き抜きの際には、ダイスに金属管の長手方向の力
を与えるか衝撃を与えてわずかに動かせば、ダイス外面
の勾配によってダイスと金属管との間に隙間が生じて接
触圧が急減し、引き抜き力がきわめて小さくなり、この
ため、金属管内面を傷付けることなく、ダイスを容易に
引き抜くことができる。
【0010】ここで、勾配を有するダイスを金属管内に
挿入させた状態で増肉加工する際の厚肉部の増肉率を、
金属管の長手方向に一定とし一定肉厚の厚肉部を形成す
る構成としてもよいが、この構成とすると、厚肉部の外
面にダイスの勾配を倣った勾配が形成され、外径寸法が
長手方向に変化する場合がある。従って、もし厚肉部外
面の寸法公差が厳しく要求される場合には、厚肉部外面
の勾配をなくすことが必要であり、その場合には、金属
管の増肉率を、金属管の長手方向位置及びダイスの勾配
に応じて調整しながら増肉加工する構成とすることによ
り、厚肉部の外径寸法を金属管の長手方向に沿って一定
となるようにすることができる。
【0011】上記したダイスに形成する勾配は、ダイス
を抜きやすくする点からは大きい方が良いが、増肉によ
って形成する厚肉部の形状からは極力小さい方が良い。
本発明者等が確認した結果、ダイスの勾配を1/100
0程度とした場合でも容易に抜くことができたので、ダ
イスの勾配は1/000〜1/100程度に設定するこ
とが好ましい。
【0012】本発明の他の実施の形態は、増肉加工すべ
き金属管の長手方向の小領域を加熱装置で局部的に加熱
して赤熱状態の加熱部を形成し、該加熱部を金属管の長
手方向に移動させながら該加熱部に金属管の長手方向の
圧縮力を付与して順次増肉させ、且つ前記加熱部の後端
部分を増肉直後に冷却することによって、金属管を連続
的に増肉させて厚肉部を形成する方法において、前記金
属管の加熱部の内側に位置するように、外面に金属管の
長手方向沿いに勾配を施してあるダイスを、勾配の大径
側が前記加熱部の金属管に対する移動方向側となるよう
に位置させ、且つそのダイスを前記加熱部の金属管に対
する移動に同調させて金属管に対して相対的に移動させ
る構成としたものである。この構成においても、増肉加
工時には、金属管の増肉変形を生じている部分の内面に
はダイスがあって内面の好ましくない変形を抑制してお
り、良好な増肉加工を行うことができ、また、ダイス引
き抜き時には外面の勾配により、容易に且つ金属管内面
に傷付けることなく引き抜くことができる。なお、この
場合には、ダイスは増肉で形成した厚肉部の一端の一部
のみを支持しているので、ダイスに設ける勾配はあまり
小さくする必要はなく、例えば、1/10〜1/2程度
とすることが好ましい。
【0013】
【実施例】以下、図面に示す本発明の好適な実施例を説
明する。図1は本発明方法の実施に用いる増肉加工装置
の好適な例を示す概略断面図、図2(a)、(b)はそ
れぞれ図1のA−A矢視断面図、B−B矢視断面図、図
3は増肉加工終了時の厚肉部及びダイスを示す概略断面
図である。1は増肉加工の対象とする金属管であり、本
実施例では角形鋼管が使用されている。この金属管1は
図2から良く分かるように、4つの平坦な管壁(以下側
壁という)1aと4つのコーナー部の円弧状の管壁(以
下コーナー壁という)1bを備えている。2は金属管1
の一端を定位置に固定、保持するための固定支持体、3
は金属管1の反対端を保持して金属管1の軸線方向に移
動可能な可動支持体である。この可動支持体3には油圧
シリンダ等の圧縮装置(図示せず)が連結されており、
可動支持体3を介して金属管1に圧縮力を作用させうる
構成となっている。
【0014】4は金属管1の長手方向の小領域を局部的
に加熱して赤熱状態の加熱部5とすることの可能な加熱
装置であり、ここでは誘導コイルが用いられている。6
は加熱装置4に取り付けられた冷却装置であり、加熱装
置4が矢印Cで示す方向に移動した際、加熱部5の後ろ
側に冷却水等の冷却媒体7を吹き付けるものである。8
は、加熱装置4及び冷却装置6を金属管1に沿って所望
の速度で移動させる移動装置であり、加熱装置4と冷却
装置6を保持して移動する移動台8aと、その移動台8
aを移動させる送りねじ8bと、その送りねじ8bを回
転駆動するサーボモータ8c等を備えている。なお、移
動装置8としては、図示実施例に示すものに限らず、モ
ータと送り用チェーンを用いたもの、油圧シリンダを用
いたもの等、適宜変更可能である。
【0015】10は、金属管1の内側に配置されたダイ
スであり、金属管1の増肉加工時に生じる恐れのある不
安定な変形を抑制するためのものである。本実施例では
ダイス10として図2に示すように、金属管1の内面に
相似な外面を有する角形管が使用されており、金属管1
の平坦な側壁1aに対向する平坦な側壁ダイス面10a
と、金属管1の円弧状のコーナー面1bに対向する円弧
状のコーナーダイス面10bを有している。ダイス10
は、その内側に長手方向に適当な間隔をあけて配置され
た支持材11を介して支持軸12に保持されており、そ
の支持軸12は可動支持体3側に延び出し、ダイス10
を金属管1に対して出し入れするための油圧シリンダ等
のダイス移動装置(図示せず)に連結されている。
【0016】ダイス10の長さは、金属管1に形成する
厚肉部1Aの長さLよりも長い長さに作られている。更
にダイス10の外面には、その全長に渡って、金属管1
の長手方向沿いに勾配を施している。この勾配は、図3
で誇張して示すように、ダイス10の金属管1からの引
き抜き側(図1、図3では左側)が大径となるように、
すなわち、引き抜き側の外径D1 が反対側の外径D2
りも大きくなるように形成している。なお、本明細書で
は、用語「径」は円形断面の直径を示す場合に限らず、
図2に示すような角形断面における直径(中心を通る直
線上での寸法)をも示しており、前記した径D1 、D2
は一対の側壁ダイス面10a間の距離である。勾配の大
きさとしては、通常、1/1000〜1/100程度
(傾斜角θは0.057°〜0.57°)に設定する。
【0017】ダイス10の外径寸法は、ダイス10と金
属管1との間に、ダイス10を金属管1内に容易に挿入
させうる隙間が生じるように定められている。更に、ダ
イス10と金属管1との間隙g(図2参照)は、増肉加
工時に生じる恐れのある好ましくない変形(例えば、金
属管1の平坦な側壁1aが内側に凹むような変形)をダ
イス10で抑制しうるように定められている。更に具体
的には、ダイス10と金属管1との間隙g(図2参照)
は、増肉による金属管1の内面の内側への変位量(通常
は、増肉量の1/2)よりも小さくし、金属管1の増肉
加工時に増肉した厚肉部1Aの内面を常にダイス10の
外面で規制しうるように定めたものでも良いし、或い
は、金属管1の内面の内側への変位量よりも少し大きく
し、金属管1が正常な形状で増肉した時にはダイス10
の外面に厚肉部内面がほとんど接触しないが、平坦な側
壁1aが内側に凹むような好ましくない変形を生じた時
には、その内面を規制しうるように定めたものでもよ
い。
【0018】次に、上記構成の増肉加工装置を用いた増
肉加工動作を説明する。図1において、増肉加工すべき
金属管1を固定支持体2及び可動支持体3で所定位置に
保持し、その金属管1の厚肉部1Aを形成する領域内に
ダイス10を挿入し、その位置に停止させる。次いで、
金属管1に可動支持体3を介して圧縮装置(図示せず)
で圧縮力を作用させた状態で、加熱装置4によって金属
管1の長手方向の小領域を加熱して、塑性変形容易な赤
熱状態の加熱部5とし、その加熱部5に圧縮力による増
肉を生じさせながら、その加熱装置4を金属管1に沿っ
て矢印C方向に移動させ、同時に冷却装置6から冷却媒
体7を加熱部5の後端部分に吹き付けて増肉直後の部分
を冷却、固化する。これにより、金属管1が長手方向に
連続的に増肉させられ、厚肉部1Aが形成されてゆく。
そして所望長さLの厚肉部1Aが形成された時点で上記
した動作を終了する。
【0019】以上の増肉加工中、ダイス10を用いない
場合には増肉した部分に不安定な変形(例えば、平坦な
側壁が凹むとか、長手方向にジャバラ状となるといった
変形)が生じる恐れがあるが、金属管1の増肉した部分
の内側にダイス10の外面が位置しているので、そのよ
うな不安定な変形を防止でき、良好な増肉加工を行うこ
とができる。
【0020】図3に示すように、ダイス10の外側に所
定長さの厚肉部1Aが形成された後、必要に応じ、ダイ
ス10をその位置に配置したままで厚肉部1Aの熱処理
を行う。この熱処理は、加熱装置4(図1参照)で厚肉
部1Aを局部的に加熱し、加熱装置4を厚肉部1Aに沿
って移動させることで、厚肉部1Aの全長に対して実施
できる。また、この代わりに、特開平9−76011号
公報に記載のように、加熱装置4の後ろに熱処理用の補
助加熱装置を設け、増肉動作と並行して熱処理を行うこ
とも可能である。このような熱処理の際にも、厚肉部1
Aの内側にダイス10があって厚肉部1Aの内面を規制
するので、好ましくない熱変形を防止できる。
【0021】増肉加工終了後、或いは熱処理終了後、ダ
イス移動装置(図示せず)によってダイス10に引き抜
き力を作用させ、ダイス10を金属管1から引き抜く。
このダイス10の引き抜きの際、ダイス10の外面には
厚肉部1Aの内面が押し付けられた状態となっており、
摩擦による引き抜き抵抗が作用している。いま、図3に
示すように、厚肉部1Aのダイス10外面に対する押付
力(締付力)をQ、ダイス10外面の傾斜角をθ、厚肉
部1Aとダイス10との摩擦係数をμ、最大摩擦角を
ρ、ダイス10の引き抜きに要する力(引き抜き力)を
Fとすると、この力Fは次式で表される。 F=Qtan(ρ−θ)・・・(1) ここで、ρ=tan-1μ・・・(2)
【0022】従って、上記(1)式を満たす力Fをダイ
ス10に加えることにより、ダイス10は金属管1に対
して軸線方向に移動することとなる。そして、ダイス1
0が金属管1に対してわずかに移動すると、ダイス10
の外面に設けている勾配により、厚肉部1A内面とダイ
ス10の外面との間に隙間が生じ、厚肉部1Aによる押
圧力Qが急減する。このため、引き抜き力Fも急減し、
ダイス10をきわめて軽く引き抜くことができる。ま
た、厚肉部1Aがダイス10に強く押し付けられた状態
でダイス10を引き抜くのではないため、ダイス10の
引き抜き時に厚肉部1A内面に傷を付けることもない。
このように、本実施例では、ダイス10の引き抜き開始
時には或る程度大きい引き抜き力が必要であるとして
も、ダイス10がわずかでも動いた後は、きわめて軽い
力で引き抜くことができ、ダイス10を容易に且つ金属
管内面に傷を付けることなく引き抜くことができる。な
お、ダイス10の引き抜き開始時にダイス10に大きい
引き抜き力を与えるために、適当な打撃手段によって支
持軸12に軸線方向の打撃を与えてダイス10を少し移
動させる構成としてもよい。このように構成すると、ダ
イス10を出し入れするためのダイス移動装置には、あ
まり大きい力を発生させる必要がなくなり、装置の小型
化を図ることができる。
【0023】以上に説明した増肉加工は、通常は増肉率
が一定になるように、すなわち、厚肉部の肉厚が均一に
なるように行う。このため、図3に示すように、増肉に
よって形成された厚肉部1Aは、その外面1Aaがダイ
ス10の外面10aに平行となっており、金属管1の軸
線O−Oに対して傾斜した形状となる。しかしながら、
ダイス10に形成している勾配はきわめて小さいので、
厚肉部1Aの大径側と小径側との外径の差はさほど問題
にはならない。例えば、勾配を1/500として、50
0mmの厚肉部を形成した時には大径側と小径側とにお
ける外径差は2mm程度となり、金属管1の外径(通
常、200mm程度以上)に比べて1%以下となり、許
容される場合が多い。
【0024】しかしながら、製品によっては外径寸法を
厳密に均一にするよう要求されるものもある。このよう
に寸法公差を厳密に要求される場合には、厚肉部の増肉
率を、金属管1の長手方向位置及びダイス10の勾配に
応じて調整しながら増肉加工することにより、図4に示
すように、厚肉部1Bの厚みをダイス10の勾配に応じ
て変化させ、厚肉部1Bの外面1Baを金属管1の軸線
O−Oに対して平行とし、従って、外径寸法を金属管の
長手方向に沿って等しくすることができる。ここで、増
肉率βを、「増肉により増加した肉厚÷増肉前の肉厚」
と定義すると、その増肉率βは、図1における加熱部5
の矢印C方向の移動速度すなわち加熱装置4の移動速度
Wと、その加熱部5に向かって押し込まれる金属管1の
未増肉部分の移動速度すなわち可動支持体3の移動速度
Vに対して、 β=V/W・・・(3) で示す関係となっている。従って、加熱装置4の移動速
度Wと可動支持体3の移動速度Vのいずれか一方若しく
は双方を金属管1の長手方向位置に応じて調整する(変
化させる)ことにより、増肉率βを金属管1の長手方向
に沿って所望のように変化させることができ、勾配を有
するダイス10の外側に形成した厚肉部1Aの外径寸法
を長手方向に一定とすることができる。
【0025】増肉率βの調整に当たって、可動支持体3
の移動速度Vを調整する方法としては、1)加熱部5の温
度を一定に保った状態(従って、加熱部の変形抵抗を一
定に保った状態)で、可動支持体3に加える圧縮装置
(図示せず)の押圧力を変化させる方法、2)可動支持体
3に加える圧縮装置(図示せず)の押圧力を一定に保っ
た状態で加熱部5の温度を変化させる方法、3)可動支持
体3を移動させる圧縮装置として、可動支持体3を移動
させる速度を制御可能なもの(例えば、デジタルシリン
ダ、デジタルサーボ機構等を備えたもの)を用いる方法
等を挙げることができる。
【0026】なお、上記実施例では、図2から良くわか
るように、ダイス10として、金属管1の内面に相似な
外面を有する角形管を使用したが、本発明に使用するダ
イスは必ずしも全周がつながった管状のものに限らず、
複数のセグメントで構成されるものとしてもよい。例え
ば、図5(a)に示す4個セグメント10Aaからなる
ダイス10A、或いは、図5(b)に示す4個セグメン
ト10Baからなるダイス10B等を用いることができ
る。これらの複数のセグメント10Aa又は10Baか
らなるダイス10A、又は10Bを用いる場合、各セグ
メント間に隙間が存在することとなるが、これらのセグ
メントは中心に対して拡縮させる必要がないので、各セ
グメント間の隙間をきわめて小さくでき、増肉加工時の
厚肉部の内面支持に何ら支障は生じない。
【0027】更に、図1に示す実施例では、ダイス10
を可動支持体3側から金属管1に出し入れする構成であ
るが、この代わりに、固定支持体2側から金属管1に出
し入れする構成に変更してもよい。その場合には、当
然、ダイス10に形成する勾配は、固定支持体2側の端
部が大径側となるようにする。
【0028】図6は、本発明方法の実施に用いる増肉加
工装置の図1とは異なる例を示す概略断面図、図7
(a)、(b)は増肉加工途中及び終了時の厚肉部及び
ダイスを示す概略断面図であり、図1〜図5に示す装置
と同一又は同様な部品には同一番号を付している。図
6、図7の増肉加工装置では、金属管1内に挿入される
ダイス20が、金属管1の加熱部5を含む短い領域の内
面を支持しうる程度の短いものである。また、このダイ
ス20を支持した支持軸22に連結され、ダイス20を
金属管1の軸線方向に移動させるためのダイス移動装置
(図示せず)が、ダイス20を加熱装置4と同期移動さ
せる機能を備えている。ダイス20の外面には、その全
長に渡って、金属管1の長手方向沿いに勾配を、ダイス
20の金属管1からの引き抜き側(図1では左側)が大
径となるように、形成している。この勾配の大きさは、
図1に示す装置におけるダイス10の勾配よりも大きく
することが好ましく、例えば、1/10〜1/2程度
(傾斜角θは5.7°〜26.6°)に設定する。その
他の構成は、図1に示す装置と同様である。
【0029】この装置では、増肉加工時に加熱装置4の
移動と同期してダイス20が移動し、従って、図7
(a)に示すように、加熱部5の増肉を生じている部分
の内側に常にダイス20が位置してその内面を規制す
る。これにより、増肉時の不安定な変形が阻止される。
そして、図7(b)に示すように増肉動作を終了した時
点では、ダイス20が厚肉部1Cの端部に位置している
のみであり、しかも、そのダイス20には勾配を形成し
ているので、ダイス20をきわめて容易に引き抜くこと
ができる。更に、傾斜角θを大きく設定しているので、
上記した(1)式からわかるように、引き抜き力Fが小
さくなり、増肉加工時にダイス20を移動させる力、及
び増肉終了後にダイス20を引き抜く際に要する力のい
ずれも小さくできる。また、この実施例では、増肉率を
一定としておくことにより、厚肉部1Cの外面を金属管
の軸線に平行とすることができる。
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、金属
管内に挿入するダイスとして、その外面に金属管の長手
方向沿いに勾配を施してあるダイスを用いたことによ
り、ダイスを引き抜く時に縮径させるとか、分解すると
いった操作を行うことなく、ダイスを容易に且つ金属管
内面に傷を付けることなく引き抜くことができ、従っ
て、拡縮機構や分解可能な機構を備えていない簡単な構
造の、安価なダイスを用いることができ、曲げ加工に使
用する装置のコストダウンを図ることができると共に、
ダイスのメンテナンスが簡単となり、維持費も削減でき
るという効果を有している。
【0031】ここで、ダイスとして、増肉により形成す
る厚肉部の全長を支持しうる長さのものを用いると、定
位置に停止させているダイスの外面上に厚肉部を形成で
き、そのダイスで厚肉部を支持した状態で熱処理を行う
ことが可能となり、厚肉部に不安定な熱変形を生じさせ
ることなく、熱処理を行うことができるという効果が得
られる。
【0032】また、増肉のために金属管に形成した加熱
部と同期して移動する短いダイスを用いると、ダイスを
短くできるので一層ダイスのコストを下げることがで
き、しかも引き抜きを一層容易に行うことができるとい
う効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる増肉加工装置の好適
な例を示す概略断面図
【図2】(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A矢視断
面図、B−B矢視断面図
【図3】図1の装置における増肉加工終了時の厚肉部及
びダイスを示す概略断面図
【図4】ダイス外面に形成する厚肉部の変形例を示す、
図3と同一部分の概略断面図
【図5】(a)、(b)はそれぞれダイスの変形例を示
す概略端面図
【図6】本発明方法の実施に用いる増肉加工装置の他の
例を示す概略断面図
【図7】(a)、(b)はそれぞれ、図6の装置におけ
る増肉加工途中及び終了時の厚肉部及びダイスを示す概
略断面図
【符号の説明】
1 金属管 1A、1B、1C 厚肉部 2 固定支持体 3 可動支持体 4 加熱装置 5 加熱部 6 冷却装置 7 冷却媒体 8 移動装置 10、10A、10B ダイス 10Aa、10Ba セグメント 11 支持材 12 支持軸 20 ダイス 22 支持軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮川 忠伸 神奈川県川崎市川崎区殿町2丁目17番8号 第一高周波工業株式会社内 Fターム(参考) 4E028 FA01 FA03 4E087 AA09 AA10 BA18 CA31 CA32 CB01 CC03 CC05 DB15 DB16 EA31 EC22

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 増肉加工すべき金属管内に、増肉加工に
    よって形成される厚肉部の内側に位置するように、その
    厚肉部の長さ以上の長さを有するダイスをあらかじめ挿
    入しておき、この状態で前記金属管の長手方向の小領域
    を加熱装置で局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形成
    し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させながら該加
    熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順次増肉さ
    せ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却するこ
    とによって、金属管を連続的に増肉させて前記ダイスの
    外側に厚肉部を形成する方法において、前記ダイスとし
    て、その外面の金属管の長手方向沿いに勾配を施してあ
    るダイスを用いたことを特徴とする金属管の増肉加工方
    法。
  2. 【請求項2】 前記厚肉部の外径寸法が金属管の長手方
    向に沿って等しくなるように、前記厚肉部の増肉率を、
    前記金属管の長手方向位置及び前記ダイスの勾配に応じ
    て調整しながら増肉加工することを特徴とする請求項1
    記載の金属管の増肉加工方法。
  3. 【請求項3】 前記ダイスの勾配を、1/1000〜1
    /100としたことを特徴とする請求項1又は2記載の
    金属管の増肉加工方法。
  4. 【請求項4】 増肉加工すべき金属管の長手方向の小領
    域を加熱装置で局部的に加熱して赤熱状態の加熱部を形
    成し、該加熱部を金属管の長手方向に移動させながら該
    加熱部に金属管の長手方向の圧縮力を付与して順次増肉
    させ、且つ前記加熱部の後端部分を増肉直後に冷却する
    ことによって、金属管を連続的に増肉させて厚肉部を形
    成する方法において、前記金属管の加熱部の内側に位置
    するように、外面に金属管の長手方向沿いに勾配を施し
    てあるダイスを、その勾配の大径側が前記加熱部の金属
    管に対する移動方向側となるように位置させ、且つその
    ダイスを前記加熱部の金属管に対する移動に同調させて
    金属管に対して相対的に移動させることを特徴とする金
    属管の増肉加工方法。
JP19028798A 1998-07-06 1998-07-06 金属管の増肉加工方法 Expired - Fee Related JP3660802B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19028798A JP3660802B2 (ja) 1998-07-06 1998-07-06 金属管の増肉加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19028798A JP3660802B2 (ja) 1998-07-06 1998-07-06 金属管の増肉加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000015380A true JP2000015380A (ja) 2000-01-18
JP3660802B2 JP3660802B2 (ja) 2005-06-15

Family

ID=16255668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19028798A Expired - Fee Related JP3660802B2 (ja) 1998-07-06 1998-07-06 金属管の増肉加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3660802B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002254421A (ja) * 2001-03-06 2002-09-11 Murata Mfg Co Ltd セラミックグリーンシートの取扱方法および取扱装置
JP2011117525A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Nippon Hume Corp 鋼管コンクリート複合管

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002254421A (ja) * 2001-03-06 2002-09-11 Murata Mfg Co Ltd セラミックグリーンシートの取扱方法および取扱装置
JP2011117525A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Nippon Hume Corp 鋼管コンクリート複合管

Also Published As

Publication number Publication date
JP3660802B2 (ja) 2005-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3902344A (en) Tube bending method
JP2006326667A (ja) 金属管の熱間曲げ加工方法及び装置
JPH0788566A (ja) コルゲートチューブ成形方法とその装置
JP2001293521A (ja) 管の曲げ加工装置
JPH10118729A (ja) 角形管体用の中子装置
US4098106A (en) Bending method and apparatus with slidable clamp
JP2000015380A (ja) 金属管の増肉加工方法
US3896649A (en) Method and apparatus for bending pipe
JP2017170461A (ja) セッチング装置
JP2999698B2 (ja) 金属管の増肉加工熱処理方法及び装置
JPH0669583B2 (ja) 金属円管のアプセツト加工方法及び同装置
JP2006068749A (ja) 継目無金属管及びその製造方法と製造装置
JP3594262B2 (ja) 金属管の曲げ加工方法
JP2005211968A (ja) 加熱処理可能な軸肥大加工装置とその加工方法
JP2507749B2 (ja) 薄肉管の増肉加工装置
JP2016182615A (ja) 回転引き曲げ加工方法及び回転引き曲げ加工装置
JP2014188522A (ja) 筒状素材の成形方法
JP3253539B2 (ja) 拡縮可能な中子装置
JPS6167528A (ja) 金属管の拡管方法
JPH0953121A (ja) 局部増肉金属条材の熱処理方法及び装置
JPH01154825A (ja) ステンレス鋼管の曲げ加工方法
JP2000094043A (ja) 金属管曲げ加工装置
JPS6167524A (ja) 中空円筒管材のスピニング加工方法
JP4899226B2 (ja) 管加工装置及び方法
JPH06277762A (ja) 金属部材の曲げ加工装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050315

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080325

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090325

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090325

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100325

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees