JP2014188522A - 筒状素材の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品の筒状部の肉厚と同じ肉厚の筒状の素材を使用することにより、チューブスピニング処理を不要と、筒状の素材を用い、該素材に厚肉の底部を容易に形成することができるようにした成形方法を提供すること。
【解決手段】均一な肉厚twの筒状の素材Wを用い、この素材Wに底部Pbを形成する成形方法であって、素材Wをその軸芯回りに回転させながら素材Wの一端部を押圧ローラR1で軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分Waを形成した後、この厚肉部分Waを押圧ローラR2で塑性変形させることによりクロージング処理をして、素材Wの肉厚twよりも厚肉の底部Pbを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、筒状の素材を用い、該素材に底部を形成する成形方法に関するものである。
従来、筒状の素材を用い、該素材に底部を形成するために、スピニング加工方法が汎用されている。
ところで、筒状の素材を用い、該素材に底部を形成する場合、製品の設計強度等の理由から、底部の肉厚を筒状部の肉厚より大きく形成する要請がある。
この要請にスピニング加工方法によって応えるようにする場合、図4(a)に示すように、製品P’の筒状部Pa’の肉厚tpa’より大きい、均一な肉厚tw’の筒状の素材W’をその軸芯回りに回転させながら、素材W’を、押圧ローラR’を軸芯に対して平行に直線状に移動させて塑性変形させることによりチューブスピニング処理をして製品P’の筒状部Pa’を形成し(このとき、端部に素材W’の肉厚tw’の部分(厚肉部)を残すようにする。)(第1工程)、それに続けて、図4(b)に示すように、素材W’の端部に残した肉厚tw’の部分(厚肉部)を、押圧ローラR’を軸芯に対して曲線状に移動させて塑性変形させることによりクロージング処理をして、製品P’の筒状部Pa’の肉厚tpa’よりも厚肉の底部Pb’を形成するようにする(第2工程)。
しかしながら、上記のスピニング加工方法による、筒状の素材W’を用い、該素材W’に厚肉の底部Pb’を形成する成形方法は、製品P’の筒状部Pa’の肉厚tpa’より大きい、均一な肉厚tw’の筒状の素材W’に、押圧ローラR’を軸芯に対して平行に直線状に移動させて塑性変形させることによりチューブスピニング処理をして製品P’の筒状部Pa’を形成するようにするものであるため、加工に時間がかかり、コストが高くなるという問題があった。
本発明は、上記従来の筒状の素材を用い、該素材に厚肉の底部を形成する成形方法の有する問題点に鑑み、製品の筒状部の肉厚と同じ肉厚の筒状の素材を使用することにより、チューブスピニング処理を不要とし、筒状の素材を用い、該素材に厚肉の底部を容易に形成することができるようにした成形方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の筒状素材の成形方法は、均一な肉厚の筒状の素材を用い、該素材に底部を形成する成形方法において、素材をその軸芯回りに回転させながら素材の一端部を押圧ローラで軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分を形成した後、該厚肉部分を押圧ローラで塑性変形させることによりクロージング処理をして、素材の肉厚よりも厚肉の底部を形成するようにしたことを特徴とする。
この場合において、素材をその軸芯回りに回転させながら素材の一端部を、素材の外周面を拘束しながら、押圧ローラで軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分を形成するようにすることができる。
本発明の筒状素材の成形方法によれば、素材をその軸芯回りに回転させながら素材の一端部を押圧ローラで軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分を形成した後、該厚肉部分を押圧ローラで塑性変形させることによりクロージング処理をして、素材の肉厚よりも厚肉の底部を形成するようにすることにより、製品の筒状部の肉厚と同じ肉厚の筒状の素材を使用することが可能となり、また、厚肉の底部を形成するために、従来の筒状素材の成形方法におけるチューブスピニング処理を不要とし、加工時間を短縮化してコストを低廉にできる。
また、素材をその軸芯回りに回転させながら素材の一端部を、素材の外周面を拘束しながら、押圧ローラで軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分を形成するようにすることにより、厚肉部分を高精度に形成することができる。
本発明の筒状素材の成形方法の一実施例を示す説明図で、(a)は第1工程を、(b)は第2工程を示す。 本発明の筒状素材の成形方法の第1工程の動作説明図で、(a)は素材をチャックに取り付けた状態、(b)は加工を完了した状態を示す。 本発明の筒状素材の成形方法の第1工程の変形例の動作説明図で、(a)は素材をチャックに取り付けた状態、(b)は加工を完了した状態を示す。 従来の筒状素材の成形方法の一例を示す説明図で、(a)は第1工程を、(b)は第2工程を示す。
以下、本発明の筒状素材の成形方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の筒状素材の成形方法の一実施例を示す。
この筒状素材の成形方法は、製品Pの筒状部Paの肉厚tpaと同じ、均一な肉厚twの筒状の素材Wを用い、この素材Wに底部Pbを形成する成形方法であって、図1(a)に示すように、素材Wをその軸芯回りに回転させながら素材Wの一端部を押圧ローラR1で軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分Waを形成し(第1工程)、その後、図1(b)に示すように、この厚肉部分Waを押圧ローラR2を軸芯に対して曲線状に移動させて塑性変形させることによりクロージング処理をして、素材Wの肉厚tw、すなわち、製品Pの筒状部Paの肉厚tpaよりも厚肉の底部Pbを形成するものである(第2工程)。
この場合において、本発明の筒状素材の成形方法は、筒状の素材Wとして、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM)等の鋼管、アルミニウム管、銅管等の金属管に広く適用することができる。
なお、筒状の素材Wは、特に限定されるものではないが、素材径が10mm〜200mm程度、肉厚twが1〜10mm程度の金属管を用いることができる。
また、第1工程及び第2工程の成形は、筒状の素材Wの特性や大きさ(筒状の素材Wには、特に限定されるものではないが、素材径が10mm〜200mm程度、肉厚twが1〜10mm程度の金属管を用いることができる。)、成形の程度等に応じて、熱間、温間、冷間をいずれかを任意に選択することができるが、例えば、機械構造用炭素鋼鋼管の場合は、塑性変形量の小さい第1工程は冷間で行い、塑性変形量の大きい第2工程は熱間で行うようにすることが好ましい。
ところで、図2に示すように、第1工程の成形を行うスピニングマシン1は、回転機構に連結される主軸の先端部に配設されて素材Wの基端側の外周面を挟持するチャック2と、素材Wの先端側の端部を押圧する押圧ローラR1とを備えて構成されている。
チャック2は、その軸芯方向に沿って所定深さで形成されるワーク固定穴に、主軸と同軸芯上に配される素材Wを挟持する挟持部材としての割りスリーブ3が組み込まれて構成されている。素材Wは、割りスリーブ3と共にワーク固定穴の奥面に突き当てられた状態で固定されている。
また、チャック2は、主軸から割りスリーブ3と共に取り外し、製品形状(素材W)に応じたチャック2と取り換え可能に構成される。
押圧ローラR1は、素材Wの先端側の端面に接触可能なローラ面R1aを有してなり、主軸の軸芯と直角をなす軸芯回りに回転自在にホルダ4に取り付けられ、回転機構による主軸の回転駆動にて主軸と同軸芯上で回転される素材Wの先端側の端面に接触して転動するようになっている。
この押圧ローラR1を回転自在に支持するホルダ4は、制御機器(図示省略)からの制御信号に応じて、主軸の軸芯方向、言い換えれば素材Wの軸芯方向(図2中符号X矢印方向)に移動するようにされている。
以上に述べたように構成されるスピニングマシン1による素材Wへの塑性加工(据え込み加工)は以下のとおりである。
すなわち、図2(a)〜(b)に示すように、チャック2によって挟持された素材Wを、回転機構による主軸の回転駆動にて主軸の軸芯回りに回転させながら、素材Wの端面に対し押圧ローラR1のローラ面R1aを接触させ、さらに、押圧ローラR1を図2中符号X矢印方向に押進させることにより、素材Wの端部を押圧ローラR1で軸芯方向に圧縮して塑性変形させる。
この塑性加工(据え込み加工)においては、押圧ローラR1による局部的な圧縮力が回転状態の素材Wの端部に加えられることにより、素材Wの端部の全周に亘って押圧ローラR1からの圧縮力が加えられることになり、素材Wの端部が全周に亘って軸芯方向に均一に押し潰されて断面積が大きくされ、図2(b)に示されるように、素材Wの端部において、径方向の内側に内向きのフランジ10が、径方向の外側に外向きのフランジ11がそれぞれ形成され、上記厚肉部分Waとなる。
この塑性加工(据え込み加工)によれば、必ずしも素材Wを予め所定の温度に加熱する必要はなく、また、素材Wの端部に対する押圧ローラR1からの圧縮力も局部的に作用させることができればよいので、比較的小さな推力でも当該据え込み加工の実施が可能となり、従来の拡径加工法では加工が困難であった比較的肉厚の厚い素材Wであっても、大がかりな設備を要することなく、スピニングマシン1を用いて、厚肉部分Waとしての素材Wの端部に内向きのフランジ10と外向きのフランジ11とを同時に容易に形成することができる。
ところで、押圧ローラR1は、図2に記載したもののほか、素材Wの外周面を拘束することができるものを好適に用いることができる。
具体的には、図3(a)〜(b)に示すように、押圧ローラR1は、素材Wの端部の外周面と端面との交わりの角部に接触可能なローラ面、すなわち、素材Wの先端側の端面に接触可能な第1のローラ面R1aと、素材Wの先端側の端部の外周面と接触可能な第2のローラ面R1bとを有してなるものである。
この押圧ローラR1による塑性加工(据え込み加工)によれば、素材Wの端面が押圧ローラR1の第1のローラ面R1aで軸芯方向に圧縮された際、圧縮された部分の肉が素材Wの径方向の内側と外側とに向かって流れようとするが、径方向外側に向かって流れようとする肉は第2のローラ面R1bによって遮られるので、圧縮された部分の肉はすべて素材Wの径方向内側に向かって流れることになり、図3(b)に示すように、厚肉部分Waとしての素材Wの端部において内向きのフランジ10のみを形成することができる。
これにより、厚肉部分Waを高精度に形成することができる。
また、図1(b)に示す、厚肉部分Waを押圧ローラR2を軸芯に対して曲線状に移動させて塑性変形させることによりクロージング処理をして、厚肉の底部Pbを形成する第2工程は、公知のスピニングマシンを使用して行うことができる。
この筒状素材の成形方法によれば、素材Wをその軸芯回りに回転させながら素材Wの一端部を押圧ローラR1で軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分Waを形成した後、この厚肉部分Waを押圧ローラR2で塑性変形させることによりクロージング処理をして、素材Wの肉厚tw、すなわち、製品Pの筒状部Paの肉厚tpaよりも厚肉の底部Pbを形成するようにすることにより、製品Pの筒状部Paの肉厚tpaと同じ肉厚twの筒状の素材Wを使用することが可能となり、また、厚肉の底部を形成するために、従来の筒状素材の成形方法におけるチューブスピニング処理を不要とし、加工時間を短縮化してコストを低廉にできる。
以上、本発明の筒状素材の成形方法について、その実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の筒状素材の成形方法は、製品の筒状部の肉厚と同じ肉厚の筒状の素材を使用することにより、チューブスピニング処理を不要にできるという特性を有していることから、筒状の素材を用い、該素材に底部を形成する成形方法、より具体的には、金属製の有底の円筒部材の製作の用途に好適に用いることができる。
1 スピニングマシン
R1 押圧ローラ
R2 押圧ローラ
W 素材
P 製品
Pa 筒状部
Pb 底部

Claims (2)

  1. 均一な肉厚の筒状の素材を用い、該素材に底部を形成する成形方法において、素材をその軸芯回りに回転させながら素材の一端部を押圧ローラで軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分を形成した後、該厚肉部分を押圧ローラで塑性変形させることによりクロージング処理をして、素材の肉厚よりも厚肉の底部を形成するようにしたことを特徴とする筒状素材の成形方法。
  2. 素材をその軸芯回りに回転させながら素材の一端部を、素材の外周面を拘束しながら、押圧ローラで軸芯方向に圧縮して塑性変形させることにより厚肉部分を形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の筒状素材の成形方法。
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