JP3660695B2 - 気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品 - Google Patents
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Description
本発明は適量のマンニトールおよび/またはエリトリトールを用いて得られる新規な気泡を吹き込んだ粒状の菓子製品、およびその製造方法に関する。
【0002】
”気泡を吹き込んだ粒状の菓子製品”という言葉は、当業者にとっては、常に製造が非常に過酷だと思われる特別な類の菓子製品を意味する。これらの製品は物理的にとても複雑な構造を有し、その構造は発泡体および分散体の両方の構造と類似点があり、時にはエマルジョンの構造とも類似点がある。
【0003】
第一にこれらの菓子製品は、その中に、一般に空気の泡からなるガス状の網状組織があるという理由で、発泡体であるとみなされる。そして、その網状組織があるために、これらの品物は大多数の菓子製品類よりも密度が低いものとなる。気泡を吹き込む加工は、例えば、引張、泡立てといった特別な機械的操作や、あるいは特定の適当な材料、とりわけ促進剤(overrun agent)を選択して用いることによって行われる。
【0004】
気泡を吹き込んだ粒状の菓子製品はまた、その中に、味覚芽では感知できない非常に細かい結晶があり、この結晶は可溶性分子からなる飽和砂糖シロップ中に一様に分布している。そのために、この菓子製品は安定した分散体であるともみなされる。砂糖菓子の場合、問題の微細結晶はスクロースからなっている。
【0005】
最後にこれらの菓子製品は、その製品が脂肪を含んでいるときは水中油滴型のエマルジョンでもあるともいえる。その時、脂肪相は連続した水相中に小滴の状態で分散している。
【0006】
本発明の主題を形成するタイプの菓子製品は、水分含有量が通常3〜15%、一般には7〜10%であること、および柔らかく、歯にくっつくことなく噛める、さらにはぼろぼろして溶けるといった、さくさくして、たれにくいきめ(テクスチャー;texture)を有することを特徴とするものである。チュウイングガムと対比すると、これらの菓子製品は、口の中に不溶の固体のかすを残すことなく完全に溶けるものである。
【0007】
明確に言えば、本発明の主題を形成する菓子製品は、以下の列記するものに限られるわけではないが、フォンダン、粒状のマシュマロ、細く絞り出したトフィーまたはファッジ、結晶化されたトフィー、ヌガー、トロン(torrones)、ファッジチュウ(fudge chews)、あるいは微細結晶化され、香り付けされたムースなどである。
【0008】
これらの品物は、時には、ピーナッツ、ゴマの実、刻まれたウォールナッツ、アーモンド、膨らませた米、またはココナッツフレーク、あるいは、充填物質、リキュール、脂肪充填物、またはチョコレートペーストのような飾りを含んで成る。さらにこれらの品物は、他の菓子製品およびチョコレート製造用製品を飾り付けたり、被覆するのにも用いることができ、ビスケット製造用製品にも同様に用いることができるということも注目されるべきである。
【0009】
一方、気泡が吹き込まれない製品および結晶化された状態での甘味料を含まない製品、例えば柔らかいトフィー、柔らかいヌガーまたクロカン(crocansts)、チョコレートマシュマロやマシュマロの動物などの伝統的なマシュマロ、およびチューイングガムは、本発明から除外される。
【0010】
現在、菓子や甘い食べ物に関しては、その消費に新しい強い傾向があらわれているように見える。現代の食べ物において、栄養のバランスやヘルシーなライフスタイルの概念が、意識的にあるいは無意識に考慮されている。砂糖に付随する欲求は依然として非常にしっかりと残っているが、相当多くの消費者が砂糖の消費に付随する問題を避けたがっている。この目的のために、菓子類にあっては、砂糖不使用の製法の開発が進むにいたり、ポリオール、時には糖アルコールという、が、歯に関して無害であり、スクロースに比べてカロリー価も低いという理由で、正当な地位を得るようになったのである。
【0011】
砂糖不使用の菓子類の製法が逃れることができない大きな困難の1つは、産業的に確立された設備や手順を事実上修正したり、さらに複雑にしたりすることなく、すべての点で伝統的な製品と間違うほど、似た製品の製造を成功させることの困難さである。このことは、本発明の主題である菓子製品にもあてはまる。
【0012】
この方向での活発な研究を証拠付ける様々な文書が知られている。主要な記述を以下に示す。
−米国特許第4,597,981号および米国特許第4,963,359号はいずれも、ゼラチンを含有してなる砂糖不使用の柔らかい菓子製品に関するものである。これらは結晶化可能な甘味分子を使用していないので、粒状ではない。
【0013】
−フランス特許第2,522,936号、米国特許第4,323,588号および米国特許第4,450,179号は砂糖不使用のマシュマロおよびヌガー、あるいは殻と芯を有する砂糖不使用の柔らかい製品に関するもので、これらは出願人によりリカシン(LYCASIN、登録商標)という名称で市販されている結晶化できない水素化グルコースシロップと、結晶化できる水素化イソマルツロースisomaruturo−su(isomaltulose)とを結合させて得られる。これらの菓子製品は気泡が吹き込まれ柔らかいものであるが、さくさくとしたきめを有する製品の製造に関しては全く記載がなく、貯蔵で崩壊してしまうような、軟弱な、吸湿性の高い製品に関する記載があるだけである。それはともかく、このさくさくとしたきめは、その出願人が意見を述べているように、単に、菓子製品において水素化イソマルツロースの濃度が非常に高ければ、このポリオールを用いることによって得られるものである。このポリオールは、低分子量ポリオール類に共通の特性のために、予めその傾向がある患者においては消化不良を誘発するというリスクを生じる。そして、これらの菓子製品が、その特別なきめのために消費されやすいという事実によって、なおさら上記のような現象が拡大されるものである。このようにこの文書に記載されている製品は全ての見地から満足されるものではない。
【0014】
−フランス特許出願第2,338,651号には、結晶構造を有する柔らかい甘い菓子類を製造するための、新規な製法がクレームされている。この製法は伝統的な製品および砂糖不使用の製品を得るのにも同様に適したものである。マンニトールは砂糖の代用品として使用可能な多くのもののなかに記載されているが、キシリトールが、これは口の中でさわやかな感覚が得られるために好ましものであるが、ひとつのそして唯一の砂糖とグルコースシロップとの混合物の代用品として用いられている。この出願人は、マンニトールでは、砂糖とグルコースシロップとの混合物の代用品として用いることはできないと認識している。
【0015】
−欧州特許出願第377,278号は、食事制限用の甘味組成物に関するもので、キシリトールも含有する粒状のチュウ(chew)類が記載されている。後者は、普通甘味成分の少なくとも38%に相当し、これはその市場価格のために、製造者が、このような適用に使用することを思いとどまるような傾向にある。さらに、きめと安定性の見地からみて、きわめて有益な製品を得るには、165℃付近の非常に高い加熱温度だけでなく、再び加工に供される前に、加熱された塊を一晩熟成させることが必要である。そのような製法の工業的確立は非常に厳しいということが理解できる。
【0016】
−欧州特許出願第9,325号は、エリトリトールに基づく抗カリエス組成物、特にファッジおよびマシュマロに関するものである。ここに記載されている実施例によって得られる製品は、貯蔵中に完全に結晶化してしまう、そして口の中でざらざらとした砂のようなきめをもたらすという不適切な傾向を有するものである。
【0017】
−欧州特許第273,001号および米国特許第4,911,935号は、ヌガータイプの製品を開示している。このヌガータイプの製品は、水素化グルコースシロップとマンニトールとからなる加熱されたシロップを、マンニトールを含まないが、不溶性のセルロースと可溶性の改質セルロースとを必要として含む、冷やされた製造物に加えることによって得られるものである。実際、欧州特許第273,001号に記載されている発明は、水素化グルコースシロップを含む菓子製品に十分粘性のある構造を与えるために、天然の、あるいは改質されたセルロースを使用することに基づくものである。このようにすることによって、その製品が貯蔵中に流れにくいようにするとともに、くっつきやすいという好ましくない性質を抑えるのである。この特許には、さくさくした、たれにくいきめを有する、気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品を製造することについては全く述べられていない。注目されるべきことは、この文書の記載には、本発明のタイプの菓子であって、質的に受け入れられるものを、マンニトールと水素化グルコースシロップを用い、そして絶対に必要なものとしてセルロースを用いずに得ることができるというのは信じられないと、暗示する傾向がみられるのである。これらの後者を菓子に用いるのは困難であるということは当業者には知られていることである。その理由は、加熱すると、それらは本物ではない味と色、および口の中でざらざらするといった質的に好ましくない性質を生じるためで、このように、提案された方法は不十分なものである。
【0018】
ゆえに、現在のところ、上述のような質的特徴を有する気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品を製造できるような、技術的あるいは経済的に実用できる方法はない。
【0019】
本発明はこのような状況においてなされたもので、本出願人は そのような菓子の製造に用いられる結晶化ポリオール類の量をできるだけ減らすという基本的方針に向いながら、この欠陥を取り除くことに注意を傾けた。このことは、製造のしやすさに関連する技術的性質だけでなく、経済的性質および代謝の性質、特に、いわゆる消化耐性の理由により、正しいということが証明された。さらに、結晶化ポリオール類の混入をできるだけ制限することは特に有用である。結晶化ポリオール類は、一般に認められているように砂糖よりも低エネルギーであるが、このような菓子の製法にも関与しうる他の増量剤よりもエネルギー価が高いものである。そしてその結果、もし望まれるならば、エネルギー含有量を明かに大きく減らすことができる。
【0020】
最後に、少量の結晶化ポリオール類を用いることによって、ミネラル、ビタミンおよび必須脂肪酸のような、栄養学的あるいは薬理学的に有益な性質を有する物質を、少なからず導入することをもくろむことが可能となる。
【0021】
多くの試行の後、本出願人は当然の報いとして、驚いたことに、また予想外に、集められた結晶化ポリオールの中で、マンニトールとエリトリトールだけが、これを菓子中の甘味成分に関して述べられている特に低い使用量で用いることによって、優れた安定性とさくさくしたきめの菓子を製造できることを見い出した。
【0022】
ゆえに本発明の内容は、砂糖不使用の、気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品である。この菓子製品は、セルロースより誘導されるセルロース化合物を含まず、マンニトール、エリトリトール、およびこれらの混合物からなる群から選ばれたポリオールを含み、乾燥状態において上記菓子製品の甘味成分の13.5%〜28%が上記のポリオールで構成されていることを特徴とする。
【0023】
本出願人は、これら2種のポリオールの一方あるいは他方の含有量が少ない場合、すなわち甘味成分に比して13.5%より少量である場合は、常に流動性のたれやすいきめおよび包装紙にくっつく性質の製品が得られることを見出していた。
【0024】
逆に、上記甘味料の含有量が多く、本菓子製品の総甘味料の28%を越える場合、それでも依然としてこの種の伝統的な菓子製品の甘味成分が通常50〜75%であることと比較すれば少量の糖であるが、マンニトールおよびエリトリトールを用いた際は、ソルビトール、水素化イソマルツロースあるいはマルチトールにおいて観察されたこととは全く異なり、大半の場合、菓子製品を完全に粒化するまでより長時間観察したところ、結局得られたのは口の中で砂のようにざらつき砕けやすい製品であった。時には、またこのようなことはエリトリトールを用いた際に特に起りやすいのであるが、逆に、加熱処理の後に過度に流動性を有する塊が高濃度で得られる。この塊は機械による取扱が困難である。この問題は、処理温度を上げること、あるいは天然または合成の多糖類の様な増粘剤を加えることによって部分的には解消されることが一般に知られているが、こうした方法は有利ではない。
【0025】
ゆえに、気泡が吹き込まれた粒状の本菓子製品のきめが、最初から適切な状態であって、その結果機械操業に適合し、このきめが保存中も変質しないためには、マンニトールあるいはエリトリトールの含有量は少な過ぎたり、多過ぎたりしてはならない。
マンニトールあるいはエリトリトールの正確な含有量は、製造される製品の性質により異なるが、しかしまた、望ましい最終的なきめに従うものである。後者は、他の原料の選択および菓子製品の水の含有量によって調整されうるものである。
【0026】
一般的には、必要なマンニトールの量は、チュウの場合の方が固いヌガーの場合よりも少量である。この規則はエリトリトールにも適合するが、類似のきめを有する製品を得るためにここで紹介される量は、マンニトールの量よりも僅かに多い。
実際には、マンニトールは甘味成分に比して13.5〜25%であることが望ましく、より望ましくは13.7〜20%、14〜17%であればさらによい。エリトリトールに関しては、その使用量は40%を越えてはならず、望ましくは13.5〜28%、より望ましくは14〜27%で、16〜25%であればさらによい。
【0027】
また、マンニトールとエリトリトールのいずれか一方の結晶化を他方によって制御するために、マンニトールとエリトリトールを組み合わせることも可能である。この場合も、これらポリオールの含有量は、本菓子製品の甘味成分の総量に比して、乾燥状態において13.5〜28%であることが望ましい。
マンニトールあるいはエリトリトールの最適な量は、その産業工場が菓子の製法に、注入法、型入れ法、切取り法のいずれか、あるいはまた押出し法を認可しているかによって異なるが、当業者が数度の定型試験を行なうことで容易に決定することができる。
【0028】
本発明によれば、気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品を構成する甘味成分は、マンニトールとエリトリトールに限らず、ポリオールシロップあるいはオリゴ糖あるいは多糖シロップを、望ましくは水素化されて、含有するものである。
ここでは、ポリオールシロップは、水素化された単糖類あるいは二糖類のシロップ、なかでも特にキシリトール、ソルビトールおよびマルチトールのシロップを意味する。オリゴ糖あるいは多糖のシロップは、ソルビトールおよびマルチトールには乏しい水素化澱粉水解物、イヌリンおよびその誘導体、デキストリンおよびその誘導体、とりわけデキストリン水解物で望ましくは水素化されたもの、およびポリデキストロース、ポリグルコースとして一般に知られる生成物でやはり望ましくは水素化されたものを意味する。
【0029】
前記甘味成分は単独であるか混合物であるかによらず、圧倒的に上記のシロップによってなる。上記のシロップと同一の生成物を脱水状態あるいは結晶状態で用いることになんら問題はないが、その際には費用が限定要因となる。
前記甘味成分は少量の成分として、アラビアガムのような増粘剤、あるいはグリセロールのような水分活性調整剤、アスパルテームまたはアセサルフェーム(acesulfame)のような強化代替甘味料を包含してもよい。
実際にはこの甘味成分は、本菓子製品が市販される際には、乾燥状態において本菓子製品の60〜96%に相当するが、この割合が70〜90%であることが望ましく、75〜88%であることがより望ましい。
【0030】
本発明の気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品は、常に1.5以下の比重を有するものとする。前記の菓子製品は、特にヌガー、チュウ、トフィーおよび粒状のマシュマロである場合、発泡体に匹敵する構造の生成を促進するために促進剤を含んでいる。これらの促進剤は、ゼラチン、乳蛋白、魚蛋白、グルテン水解物、大豆蛋白および卵白アルブミンのような、動物あるいは植物からとった蛋白質である。
【0031】
ゼラチンに関して、一様なゲルを与える能力の有無は、すなわち、当業者のいう乳白化数は、用量と関連して考慮される。このように、蛋白質の摂取を制限することが望まれる場合、あるいはまた弾力性のあるきめを得ることが望まれる場合は、非常に高い乳白化数を有するゼラチンを選択することが望ましい。それどころか、例えば食事制限用のあるいは薬品としての菓子製品などのような増量製品(bulking products)に、蛋白質を用いることに何の問題もない。低乳白化数のゼラチンおよび乳蛋白および卵白の蛋白が、望ましく選択される。
これらの促進剤は、市販される際の本菓子製品の0.5〜15%を占めることが望ましい。
【0032】
チュウおよびヌガーはいずれも、伝統的製法の慣例として適切な比率で脂肪を含んでいることが、当業者には知られている。その性質に関しては、乳脂あるいは、ヤシまたはコプラまたは代用として大豆からとられる水素化植物油が望ましい。官能基的には、これらの脂肪の優れている点は、おおむねバッカル温度領域内に融点を有していることであり、これらの脂肪を1〜10%の量で用いられるのが望ましい。
【0033】
乳化剤の使用は任意であり、蛋白質含有量が多い場合にはなおさらである。それにもかかわらず、本発明による菓子製品の製法において、僅かとはいえない量の脂肪が使用された場合は常に、本菓子製品に比して0.1〜2%の量の乳化剤の添加を考慮するのが望ましい。この乳化剤は、特にレシチンおよび、グリセロールまたはスクロースまたはソルビトールの脂肪エステルより選択して用いられる。
【0034】
なお、気泡が吹き込まれた粒状の本菓子製品は、一般的に3〜15%で変化する量の水分を含有するが、この水分の含有量は4〜10%であることが望ましく、さらに望ましくは5〜8%である。チュウあるいはヌガーに対してはかなりの少量が選択され、フォンダンあるいはまた粒状のマシュマロに対してはより多い量が選択される。伝統的な配合に比べ、一般的に水分の含有量が僅かに少ないということは注目に値する。
【0035】
本発明による気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品は、既に当産業において確立されている従来公知の方法によって得ることができるという特徴を有する点で優れている。これらの方法は、加熱処理、あるいはまた上述のフランス特許第2,338,651号に記載されているような冷却法、あるいはチューイングガムの製造に用いられる冷却法を必要とする方法であってもよい。
しかし、その製造条件は、最終的に菓子製品の水の含有量が3〜15%になるように微調整される必要がある。
【0036】
結晶化ポリオールの可溶化および、マンニトールまたはエリトリトールを包含する甘味成分の少なくとも75%の加熱処理は、105℃以上で行なわれることが望ましく、通常は110〜135℃で、望ましくは110〜128℃で行なわれる。加熱処理の際の厳密な温度は、設置された蒸発器の形式によって、特に用いられる減圧の程度によって異なるが、得ようとする菓子製品の種類によっても異なる。香料、脂肪、増粘剤、酸味料、着色料、乳化剤、増量剤および促進剤のような菓子製品の構成に加えることのできる他の材料は、加熱処理され加熱温度よりも低く冷却された塊に加える。これらの材料は、混入を促進するために溶液の形態で導入される。
この工程の変形としては、甘味成分の混合物を、熱処理に弱くない製法で用いられる材料とともに、加熱することもできる。
【0037】
さくさくしたきめを得るために必要とされる結晶化は、自発的に起こるものでもよい。加熱された塊を単に冷やしたり、または後者を単に機械的に移したりすることが、事実上結晶作用のきっかけとなりがちである。しかしながら、後者は、加熱された甘味成分の混合物に、平均の直径が100ミクロン以下のマンニトールまたはエリトリトールの粉末を加えることによって、あるいは、これらの結晶化ポリオールからなるフォンダンを加えることによって引き起こされることが好ましい。この添加物は、本菓子製品の甘味成分の0.1〜25%に相当してもよい。
【0038】
加熱された塊は、その後、結晶化を広める目的だけでなく、それに気泡を吹き込む目的で加工が行われる。例えば、空気圧泡立て器または引張機が用いられてもよい。これら機械での加工は、塊の粘性を適切なものとするために、適切な温度で行われるように注意しなければならない。この操作は、一般的には0.4〜1.3、そして好ましくは、0.6〜1.25の比重を有する菓子製品が得られるように管理される。粒状のマシュマロの場合には、この値は、たいていの場合は、0.4〜0.8、一方ファッジ、ヌガー、またはチュウでは、0.8〜1.20の間であり、一般的には1.05に近似する。この比重が、望ましい最終製品を得るために、伝統的な菓子製品のそれよりわずかに低くされているということは、注意すべきことである。
【0039】
最後に、適切に冷やされ熟成されたこの塊は、例えば澱粉に流しこんだり、または押し出されたり、型を用いたりして成形された後で、切断される。その後、冷やされた品物が包装される。
【0040】
第二の製造方法によれば、これは冷却工程とみなされるが、一方はマンニトールおよび/またはエリトリトールの非常に微細な粒径の粉末、そしてもう一方は、濃縮されたシロップ状で導入される補充の甘味成分が、適切な割合で、かつ45〜90℃の間の温度で、単純に完全に混合される。菓子製品が口の中でざらざらしたきめを持たないようにするために、微細粉末の大きさは、100ミクロン以下であることが好ましい。補充の甘味料のシロップの乾燥物の含有量は85%より大きいことが好ましく、90%であればさらによい。菓子製品の他の可能な材料も加えられる。この場合、促進剤もシロップ状の形態で導入される。この第二の製造方法によれば、マンニトールまたはエリトリトールの種やフォンダンを加えることにより結晶化を引き起こすことによって、なんの目的も満たされないことに注意するべきである。
この冷却工程に応じて、気泡を吹き込む工程および成形の工程は、上述したように行われる。
【0041】
【実施例】
本発明のより深い理解が、以下の実施例から得られる。
実施例1
異なる結晶化ポリオールの作用、および総甘味成分に対するポリオールの濃度の影響
ソルビトール、水素化イソマルツロース、キシリトール、マンニトール、エリトリトールおよびマルチトールの高純度粉末の作用が、以下に示す3種類のチュウの製法で比較される。これは、これらの結晶化ポリオールのうちのどれを用いると、甘味成分に対する使用量が、伝統的なチュウにおける砂糖の使用量より少ない量で、さくさくしてたれにくいきめを得ることができるかを決めるためである。ここで選択された基本的な製法は、製法A、製法B、製法Cと呼ばれ、それぞれ以下の通りである:
製法A
甘味成分に比較して、結晶化ポリオールのレベルは、乾燥物/乾燥物として表現され、46.5%である。
【0042】
製法B
この製法は、次に示すもの以外は、製法Aと同様である:
−リカシン(登録商標) 80/55 シロップは6400gまで加えられる。−さらに、結晶化ポリオールは、1800gだけ加えられる。この製法における結晶化ポリオールのレベルは、28%である。
【0043】
製法C
この製法も、使用される量以外の点において、製法Aと同様である:
−リカシン(登録商標) 80/55 シロップは、7330g
−結晶化ポリオールは、870g
結晶化ポリオールのレベルは、14.3%である。
【0044】
チュウを製造するために、製法A、BおよびCを用いて、以下のことが行われる:
−リカシン(登録商標) 80/55と結晶化ポリオールの混合物を、およそ120℃で加熱する。
−加熱された混合物を冷却する間に、乳蛋白を約100℃で加え、脂肪および乳化剤を約90℃で、ゼラチン溶液を約85℃で、そして最後に結晶化の種としてのポリオール粉末を約80℃で加える。
−得られたチュウを1分間引っ張り、1.04に近い比重を得る。
−チュウを成形、切断し、最後にその製品をかわいらしい紙で包装する。
製品の水分含有量は、全ての場合において6.5%程度である。
【0045】
異なるポリオールを用いて得られるチュウ(全部で18種)は、周囲を取り巻く温度および湿度の条件下で、二ヶ月間保存される。
この期間の終わりに、製品が互いに比較される。製品が紙に粘着する傾向や、そのきめに対して特別な注意が払われる。
【0046】
ソルビトール、キシリトールおよびマルチトールを用いて製造された製品は全て、非常にくっつきやすい。これらのきめは、柔らかく、たれやすいものである。それゆえに、これらの使用量では、これらのポリオールを用いて望ましい特徴を得ることはできない。
【0047】
水素化イソマルツロースを用いた製品は、製法Aによるものだけが満足いくものである。製法Bを用いた場合には、チュウは柔らかくてたれやすい、またわずかにくっつきやすい。製法Cで作られたものは、ソルビトール、キシリトールおよびマルチトールを用いた上記のものにひどく似ている。
【0048】
マンニトールとエリトリトールを用いた場合には、製法Bおよび製法Cによるチュウは、ちょうど望ましい特徴を備えている。すなわち、くっつきにくく、さくさくしたきめである。一方、マンニトールを用いた製法Aのものは、完全に粒状であり、味わったときに非常に不快である。エリトリトールを用いた製法Aのものは、微細結晶化されているものの、くっつきやすい。
【0049】
製造された全ての製品の中で、エリトリトールまたはマンニトールを使用し、甘味成分に対して、乾燥物で表して14.3%と28%の結晶化ポリオールを含むチュウだけが、望ましい製品に相当することがわかる。
【0050】
3つの付加的な実験が、以下に示す製法Dによって実行される。これは、結晶化ポリオールとして、マンニトール、エリトリトール、または80%のマンニトールと20%のエリトリトールとの混合物を使用し、結晶化ポリオールのレベルが、乾燥した甘味成分に対し、13%に近くなるようにしたものである。
【0051】
製法D
周囲を取り巻く条件下で二ヶ月間の保存された後のチュウは、三つの場合全てにおいて、くっつきにくいものの、さくさくしたきめが不十分なものである。これらは、望ましい製品に正確に一致するものではない。
【0052】
実施例2
本発明によるチュウ
マンニトールを使用した、さらに2種類のチュウの製造が、上記の実施例で示された製法Cを再び用いて行われる。
第一の場合は、ゼラチン 180 ブルームの溶液のかわりに、ゼラチン 100 ブルームの乾燥物を40%含む同量の溶液が用いられる。上記の手順は、そのままである。
第二の場合は、ラクトースが除かれたタンパクの量が300gに減らされ、乾燥物を50%含むゼラチン 0 ブルームの溶液820gが補足として加えられる。加熱温度が130℃であること以外は、前記実施例に示された手順に従う。
【0053】
両方の場合において、得られた製品は非常に安定しており、望ましいきめの特徴を有している。ゼラチン 180 ブルームを含む製品に比較して、ゼラチン100 ブルームを使用したものはより柔らかく、乳蛋白の含有量がより少ないものは、口の中でより弾力がある。
【0054】
実施例3
本発明によるヌガー
乾燥物と見なされる甘味成分に対し、約16%のマンニトールを含み、細かく切られたヌガーの製造は、次に示す製品を使用して行われる:
パートA:
マルチトールシロップ リカシン(登録商標) 80/55 6800g
マンニトール 800g
パートB:
33%の乾燥物を含む卵白アルブミン溶液 240g
パートC:
マンニトール SF(平均直径 100ミクロン) 160g
アーモンド 2000g
【0055】
この目的のために、パートAは、大釜の中で120℃で加熱される。冷却する間に、パートBが、加熱されたシロップに約110℃で加えられ、その後、泡立てられて、発泡体の構造に似た、気泡が吹き込まれた構造が得られる。
パートCは約75℃で添加され、その塊は、約40℃まで冷却されて、細かく切断される。こうして、伝統的なモンテリマー(Montelimar)ヌガーによく似た、気泡が吹き込まれた粒状のヌガーが得られる。これらの製品は安定しており、数カ月間の保存の後でも、当初と同様のさくさくしてたれにくいきめを維持している。
Claims (10)
- セルロース化合物を含まず、マンニトール、エリトリトール、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるポリオールを含む、気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品であって、該製品が60〜96%の甘味成分を含み、上記ポリオールが、上記製品に含まれる甘味成分の13.5〜28%を構成してなることを特徴とする気泡が吹き込まれた粒状の菓子製品。
- マンニトールが用いられ、上記製品に含まれる甘味成分の13.5〜25%、好ましくは13.7〜20%、さらに好ましくは14〜17%を構成してなることを特徴とする請求項1記載の菓子製品。
- エリトリトールが用いられ、上記製品に含まれる甘味成分の14〜27%、好ましくは16〜25%を構成してなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の菓子製品。
- 上記菓子製品に含まれる上記甘味成分が、該菓子製品の70〜90%に相当することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の菓子製品。
- 比重が0.4〜1.3、好ましくは0.6〜1.25、さらに好ましくは0.8〜1.20であり、かつ促進剤を0.2〜15%の割合で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の菓子製品。
- 脂肪を1〜10%、および乳化剤を0.1〜2%の割合で含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の菓子製品。
- 水分含有量が3〜15%、好ましくは4〜10%、さらに好ましくは5〜8%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の菓子製品。
- 上記甘味成分が、マンニトールおよび/またはエリトリトールの他に、ポリオールシロップ類、オリゴ糖および多糖シロップ類から選ばれる少なくとも1つを含有し、強化甘味料、増粘剤、または水分活性調整剤と適切に組み合わせて用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の菓子製品。
- マンニトールおよび/またはエリトリトールを溶解した状態で含有してなる菓子製品の甘味成分の少なくとも75%を、110〜135℃の温度で加熱し、
マンニトールおよび/またはエリトリトールを含有してなる粉体またはフォンダンを、加熱された塊に0.1〜25%の割合で添加し、
得られた塊に気泡を吹き込むたための加工を行い、その後、成形し、得られた菓子製品を包装することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の菓子製品を製造する方法。 - 一方では細かい粒子サイズのマンニトールおよび/またはエリトリトール粉体を、他方では濃縮されたシロップ状の補充の甘味成分を用意し、これらを正確な割合で、45〜90℃の温度で完全に混合させ、
得られた塊に気泡を吹き込むための加工を行い、その後、成形し、得られた菓子製品を包装することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の菓子製品を製造する方法。
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