JP3659737B2 - 加工生肉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理後の食感が良好な加工生肉、及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の内でも肉類、特に生肉は細菌や微生物が増殖しやすいため、チルド(冷蔵)状態や冷凍状態で流通されている。生肉はそのまま食する場合もあるが通常は加熱調理して食するのが一般的である。しかし肉類を加熱調理すると、肉にパサツキがみられたり、肉が硬くなって、肉の食感を悪くする等の問題がしばしば見られた。
これに対して、例えば黒毛和牛のような肉用種をグレインフェッドで肥育すると、肉質そのものが非常に軟らかくなり、加熱調理しても肉の食感が低下しないが、価格が非常に高くなるという問題があった。一方、老廃家畜、経産家畜、ホルスタイン種などの乳肉種より得られる牛肉等はより安価であるが、肉質そのものが非常に硬くて加熱調理によってさらに食感が悪くなる等の問題があった。
【0003】
上記のような問題、即ち食肉の食感等を改善する試みとして、プロテアーゼ、界面活性剤、塩類、タンパク質等を使用する方法が提案されている。
プロテアーゼを使用する方法としては、パパイヤ由来のパパインやパイナップル由来のプロメラインなどのようなプロテアーゼ以外に、食肉の風味などを重視してキウイフルーツまたはナシの抽出物で食肉を処理する方法(特開平4−27806号)やキウイフルーツの水溶性成分を精製後粉末状にした食肉改質剤を使用する方法(特開平7−179041号)、或は肉にプロテアーゼによる処理と筋原繊維蛋白質を主として軟化する高圧処理(100〜4000kg/cm2)とを組合せて処理する方法等が提案されている。これらの方法では、肉タンパク自体を分解させて肉質を軟化させているため、肉の風味が変わったり、肉料理の種類によってプロテアーゼの反応条件や失活条件をコントロールする必要があった。
【0004】
界面活性剤で食肉を処理する方法としては、新鮮な肉をアセチル化モノグリセライドのような有機酸モノグリセライドの中に浸漬するか、新鮮な肉に該モノグリセライドを噴霧して新鮮な肉を安定化する方法(特開昭49−20353号)、モノグリセライド或はジグリセライドとポリカルボン酸とのエステルを含有する食肉改質剤で肉片を処理する方法(特開平7−170942号)等が開示されている。これらの方法では、食肉の貯蔵安定性を改善したり、ある程度肉質を軟らかくする作用は認められるものの、肉に異味が感じられたりして、肉本来の風味を悪くする等の欠点が見られた。
【0005】
塩類で食肉を処理する方法としては、重炭酸ソーダの水溶液又はそれに調味料を添加した調味液に食肉を浸漬する等の方法で食肉に重炭酸ソーダを含ませて、加熱処理する方法(特開平4−36167号)、塩化カルシウム等のカルシウム塩に重炭酸ナトリウム及び/又はHLB10以上の乳化剤を混合した食肉軟化剤を使用する方法(特開平4−148663号)等が提案されている。これらの方法では、重炭酸ソーダのようなアルカリ塩や乳化剤等の作用によって肉質の軟化や肉の保存性にある程度の効果は得られるものの、肉に苦味などの異味を与えて風味を悪くしたり、食品素材でなく食品添加物であるためにそれらの使用が嫌われる傾向にある。
【0006】
タンパク質で食肉を処理する方法としては、大豆タンパク質及び/又は大豆タンパク質分解物を含有するピックル液を原料肉にインジェクションし、タンブリング後、冷凍庫で1〜3日間冷凍し、成型、スライスし、衣を付与してフライするフライ食品の製造法(特開平5−328939号)が提案されている。この方法では、肉と衣との結着性がよく、加熱調理後の肉に弾力を与える効果はあるが、肉質自体を硬くする傾向があった。
【0007】
一方、ハム、ソーセージ等の肉製品の調味、離水防止、水分活性の低下、歩留向上等の目的で、砂糖、グルコース、マルトース、水飴等の糖類やソルビトール等の糖アルコールが利用されている。これらの糖質を生肉の品質改善に利用したものとしては、例えばフライ食品原料(生肉、ソーセージ、或いはアップルパイ)を、DE8〜40のデキストリンに水素添加したデキストリンアルコール、マルチトール、プロピレングリコール、コーンシラップ等の湿潤剤の20〜60%水溶液中に浸漬後、引き上げることにより、湿潤剤をフライ食品の表面に薄膜状に付着させ、衣をつけずにフライしたフライ食品(特開昭54−154541号)や、魚肉及び/又は畜肉の冷凍、凍結乾燥時におけるタンパク質の変性を防止するために、重合度3〜10のオリゴ糖及び/又はその還元物を主成分とする糖質を魚肉及び/又は畜肉に添加し、冷凍した、冷凍乾燥品及びその製造法(特開平5−103586号)等が開示されている。特開昭54−154541号は湿潤剤を肉等のフライ食品材料の表面に薄膜状に付着させることでフライ食品材料の表面の光沢を改善するものであり、特開平5−103586号は糖質によって冷凍中のタンパクの変質をある程度軽減するものである。しかし、上記のような糖質を肉に添加するだけでは、加熱による肉の縮み等によって肉が硬くなるのを防止する効果は十分なものとはいえなかった。
このように、上記のような方法で処理された生肉を加熱調理しても必ずしも満足のいける食感のものが得られなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、加熱調理後も食感が低下することのない加工生肉及びその製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定の澱粉加水分解物を含有する水溶液を用いて生肉を処理することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成性糖質を含む水溶液を生肉に添加してなる加工生肉である。
本発明に使用するゲル形成性澱粉加水分解物は、固形分20重量%の水溶液が60℃で5〜3000cpの粘度を有し、9℃に冷却して15時間後のゲル強度が50〜1000gの値を示すような澱粉加水分解物である。ゲル形成性澱粉加水分解物(固形分)の添加量は生肉に対して0.1重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.3〜2.0重量%である。
またゲル非形成性糖質(固形分)の添加量は生肉に対して1〜10重量%であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の対象とする生肉は、牛、豚、羊等の家畜、鶏、七面鳥、鴨、ガチョウ等の家きん類から得られ、肉の表面積として少なくとも1cm2 程度以上の大きさを有するブロック状で、焼く、煮る等の加熱処理等が施されていない肉類を総称し、硬質タイプの肉、生鮮肉、チルド状態の肉、冷凍状態の肉等を包含する。本発明の加工生肉は、スライス、ミンチ等にして利用してもよい。
この明細書において、「加熱調理後の肉」とは、焼肉、焼鳥、ステーキ、八宝菜、酢豚、唐揚げ、豚カツ、ビーフカツ、鶏野菜煮、肉野菜煮、肉じゃが、カレー、シチュー、茶碗蒸し等のように、焼く、炒める、揚げる、煮込む、蒸す等の加熱処理を施した肉、又は肉料理に含まれる肉を指称し、加熱調理の方法は特に限定されない。
【0010】
本発明に使用するゲル形成性澱粉加水分解物は、水溶液を高温に保持すると流動性を有するが、低温にすると容易にゲル化して特定のゲル強度となる特性を有するもの、即ち固形分20重量%の水溶液が60℃で5〜3000cpの粘度を有し、9℃に冷却して15時間後に50〜1000gのゲル強度となる澱粉加水分解物を総称する。このような特定の澱粉加水分解物は、澱粉をペースト状又はスラリー状で加水分解した後、乾燥することにより得られる。さらに具体的には、原料澱粉の分散液に酵素(例えば、アルファアミラーゼ)及び/又は酸(例えば、塩酸や蓚酸)を添加してペースト状でDE4を越えない程度に加水分解して得られるデキストリン、原料澱粉に枝切酵素を添加してペースト状で軽度に枝切りした枝切りデキストリン、原料澱粉の水分散液に塩酸等の酸、過酸化水素や次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を添加してスラリー状態で反応させ、中和、脱水、乾燥して得られる酸処理澱粉、酸化澱粉及びそれらをドラムドライヤー等で処理してアルファー化したもの等を例示できる。中でもゲル強度が70〜300g程度を示すDE4を越えない程度に加水分解したデキストリンが好ましい。これを使用した加工生肉は、加熱調理後の肉がより美味しく感じられるためである。
また本発明に使用するゲル形成性澱粉加水分解物の原料澱粉としては、特に制限はないが、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等が挙げられる。
【0011】
ゲル形成性澱粉加水分解物の粘度は、試料を固形物20重量%になるように水に分散又は溶解し、90℃まで加熱後、60℃まで冷却してB型回転粘度計を用いて測定した値であり、ゲル強度は、粘度測定後の水溶液を9℃まで冷却し、この温度で15時間保持後、(株)レオテック製のレオメータを用い、プランジャーサイズ球形7mmを使用して測定した値である。
【0012】
本発明に使用するゲル非形成性糖質とは、固形分20重量%の水溶液が60℃で30cp以下の粘度を有し、9℃に冷却して15時間後のゲル強度が10g未満の値を示すような糖質を意味するものである。このような糖質としては、例えば、グルコース、蔗糖、フラクトース、異性化糖、マルトース、マルトトリオース等の直鎖状の糖類、イソマルトースやシクロデキストリン等の分岐或いは環状の糖類、及びマルトデキストリン、水飴、コーンシラップ等の澱粉加水分解物、それらの還元物が挙げられる。中でも実質的に甘味を与えない、或は水溶液が高濃度で使用できる等の理由で、乳糖、DE7〜45程度のマルトデキストリン(還元物を含む)、水飴(還元物を含む)が好ましい。
【0013】
従来、生肉そのものを加熱すると、加熱によって肉の縮みが大きくて肉が硬くなって食感が悪くなるのはよく見られる現象であるが、肉の冷凍変性を防止する効果があるといわれるソルビトール等の糖質のみを含有する水溶液を単に生肉に添加しても加熱調理後の肉の食感の改善がはかれなかった。
しかし、ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成性糖質を含有する水溶液で生肉を処理することで初めて、加熱調理後の肉の食感に優れた加工生肉の製造が可能になった。ゲル形成性澱粉加水分解物の添加量は加熱調理後の肉の食感を大きく左右し、生肉の種類や形状等によって一概にいえないが、生肉に対して該ゲル形成性澱粉加水分解物(固形分としての添加量、以下同様)の添加量が0.1重量%未満では効果が少なく、0.1重量%以上添加することで、硬質タイプ、チルド、或は冷凍等何れの生肉を用いて製造しても、得られた加工生肉は加熱調理後の肉の食感に優れたものとなる。ゲル形成性澱粉加水分解物の添加量を0.3重量%以上にすると加熱調理後の肉の食感をさらに向上させることができる。この際、ゲル形成性澱粉加水分解物の添加量が2重量%を超えても加熱調理後の良好な食感を維持できるが、加熱調理による肉の香気の発現が幾分弱くなったり、肉の味が幾分薄くなったりする傾向があるので、生肉に対するゲル形成性澱粉加水分解物の添加量は0.3〜2重量%程度にすることがより好ましい。
【0014】
一方、ゲル非形成性糖質は、ゲル形成性澱粉加水分解物が存在する状態で使用することで初めて効力を発揮する。その添加量は、糖質の種類等によって一概にいえないが、一般的には生肉に対してゲル非形成性糖質(固形分として、以下同様)が0.4重量%程度の添加から加熱調理後の肉の食感改善に効果を発揮し、添加量が1重量%を超えるとその効果が一層大きくなる。この際、添加量を多くするほど加熱調理後の食感をよくする傾向にあるが、添加量が10重量%を超えると肉に甘味が感じられたりするので、添加量は1〜10重量%程度とすることが好ましい。
【0015】
次に、生肉に対してゲル形成性澱粉加水分解物及びゲル非形成性糖質を添加する方法について説明する。ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成性糖質はその水溶液を別々に添加しても良いが、効果は変わらないので、両者を含む水溶液を使用した方が効率的である。
水溶液の添加法として、例えば水溶液を単に生肉に噴霧する方法では生肉の表面処理に限定されるし、生肉を水溶液に単に浸漬したりする方法では水溶液に粘度があったり、生肉が大型のブロック状では肉の内部まで水溶液が浸透し難い、或は水溶液の浸透に時間がかかりすぎて作業性を極端に悪くする等の問題等がある。
従って、生肉の形状や組織によっても異なるが、タンブリングすることを基本とし、これに必要によりインジェクションを組み合わせる方法が好ましい。例えば、畜肉のように大型で厚みがあり、組織のしっかりしている生肉には、水溶液をインジェクション後、タンブラーでタンブリングする方法を、また鶏肉のように小型で厚みがなく組織が比較的脆い生肉にはタンブラーに生肉を入れた後、水溶液を直接投入してタンブリングを行う方法を用いることが好ましい。こうすることによって、肉の形状や組織を壊さないで水溶液を、短時間に容易にしかも均一に生肉に添加することかできる。この際、水溶液の粘度をあまりに高くしすぎるとインジェクシヨンしにくくなる。従って、インジェクターの種類等によって必ずしも一概にいえないが、通常のインジェクターが使用できるように、生肉に添加する際の水溶液の粘度は10000cp程度以下に抑えておくことが望ましい。また、生肉の変質を防止するためには水溶液を生肉の温度付近に調整して使用することがより好ましい。
さらに、生肉に添加する水溶液の量があまりに少ないと均一に添加することが困難になり、また逆に多すぎると水溶液を生肉に保持させることが困難になるので、生肉に対する水溶液の添加量は、生肉100重量部に対して5〜30重量部程度にすることが好ましい。
【0016】
次に本発明をより明確にするために以下にその方法の具体例を示す。
0.1〜20重量部のゲル形成性澱粉加水分解物、及び0.4〜70重量部のゲル非形成性糖質を、攪拌下にある99.5〜10重量部の水に添加し、水溶液100重量部を得る。攪拌を続け、ゲル形成性澱粉加水分解物及びゲル非形成性糖質が冷水(例えば、20℃)に完全に溶解する場合は攪拌のみで溶解してもよいし、冷水では完全に溶解しない場合、或は溶解を早くしたい場合には、80〜90℃程度まで加熱溶解して水溶液を調製する。その際、ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成性糖質は別々に溶解してから混合してもよい。また、上記水溶液に調味の目的で食塩等の調味料、或は肉の保水性や結着力を図る等の目的で少量のリン酸塩等を添加しても本発明の目的を何ら阻害するものでない。尚、生肉の変質を防止するために水溶液を使用するまでに肉の品温程度までに冷却したり、インジエクション等がスムーズにできるようにその時の水溶液の粘度を10000cp以下に調整することも重要である。
生肉としては、ブロック状の形状を有しているものであれば、硬質タイプの肉、生鮮肉、チルドの肉、冷凍の肉等いずれのものでも利用できる。冷凍の肉では予め解凍しておくことが好ましい。
【0017】
次にブロック状の生肉100重量部(表面積1cm2 以上)に対して上記水溶液を添加するが、ゲル形成性澱粉加水分解物を0.1重量部以上、好ましくは0.3〜2.0重量部、一方、ゲル非形成性糖質を少なくとも0.4重量部程度、好ましくは1〜10重量部程度になるような割合で含む水溶液を生肉に添加する。
上記水溶液を生肉に添加する方法として、畜肉では水溶液をインジェクション後、タンブラー又はバキュームタンブラーに投入してタンブリングする方法、鶏肉ではそのままタンブラーに入れ、水溶液を注入してタンブリングする方法等を用いることによって容易に実施できる。
上記の処理の終えた加工生肉は、そのまま加熱調理しても加熱によって肉の硬くなるのが防止され良好な肉の食感が得られる。
【0018】
以下に本発明を実施例により説明するが、これらの例で部は重量部を示す。
【実施例1】
パセリSA−2(商品名:オランダ アべべ社製の固形分20重量%水溶液の粘度が60℃で8cpで9℃に冷却して15時間後に100gのゲル強度となるDE約2の冷水可溶の澱粉加水分解物)とオリゴトース(商品名:三和澱粉製でDE約36のマルトトリオース)を固形分として表1の割合で含有する水溶液を調製した。この際、水溶液にSA−2を含有させる場合には攪拌しながら90℃まで加熱して溶解させた。オリゴトースのみの場合は水溶液を希釈して調製した。得られた水溶液を9℃まで冷却した。
次に、食肉加工業者より直接入手した厚さ約20cmの生鮮牛もも肉ブロック(品温約9℃)100部に、表1の水溶液をそれぞれ20部ずつインジェクションし、5分間タンブリングして加工生肉を製造した。
タンブリング後の加工生肉と未処理の生肉を、冷蔵庫(約9℃)に1日保存してから、焼き肉用には厚さ5mmにスライスし、煮肉用には3×3cmの肉片に裁断した。
加熱調理後の食感や食味は、スライス及び裁断のみをした生肉を対照例として焼き肉(180℃に調整したホットプレートの上にスライスした肉片を乗せて片面2分間ずつ加熱)と煮肉(3×3cmに裁断した肉片を沸騰水中で4分間ボイリング)にし、下記のように評価した。結果を表1に示す。尚、表1でパセリはパセリSA−2、オリゴはオリゴトース、固形分添加量は生肉100部に対する固形分の量(部)を意味する。
【0019】
食感の評価
◎:非常に軟らかい食感を有する。
○:軟らかい食感を有する。
△:やや硬い食感を有する。
×:非常に硬い食感を有する。
食味の評価
◎:肉本来の味を保持し、甘味は殆ど感じられない。
○:肉本来の味を保持しているが、やや甘味が感じられる。
△:甘みがかなり強く感じられ、肉本来の味がやや損なわれる。
【0020】
【表1】
Figure 0003659737
【0021】
【実施例2】
ゲル形成性澱粉加水分解物としてパセリSA−2、ゲル非形成性糖質としてTK−16(商品名:松谷化学工業製でDE約18のマルトデキストリン)、乳糖及び蔗糖を固形分として表2の割合で含有する試料8〜13を実施例1と同じようにして調製した。
次に実施例1で使用したものと同じ生肉100部と、表2の水溶液20部を用い、実施例1に準じて製造した加工生肉の加熱調理後の食感と食味を評価した。結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
Figure 0003659737
【0023】
【実施例3】
ゲル形成性澱粉加水分解物として、パセリSA−2とパーフエクタミル ゲルMB(商品名:オランダ アべべ社製の固形分20重量%水溶液の粘度が60℃で約2000cpで9℃に冷却して15時間後に300gのゲル強度となるDE1未満の熱水可溶の酸処理澱粉)、ゲル非形成性糖質としてパインデックス#3(商品名:松谷化学工業製のDE約25のマルトデキストリン)及び食塩を乾物重量として表3の割合で含有する試料14と試料15を実施例1に準じて調製した。
次に冷凍中の豚ロース肉を冷蔵庫(約9℃)で解凍し、解凍した豚ロース肉100部に、試料14と15の水溶液を15部(肉100部に対して澱粉加水分解物、糖質、食塩を固形分として、それぞれ0.9部、4.5部、0.45部の割合)ずつ実施例1に準じてインジエクションし、タンブリングして加工生肉を製造した。これを解凍のみの生肉と共に冷蔵庫(約9℃)に1日保存後、解凍のみの生肉と共に1.5cm程度の厚さにスライスし、薄力粉を打ち粉し、全卵液をくぐらせ、パン粉付けをしてから、160〜170℃のサラダ油で4分間フライし豚カツを製造した。
澱粉加水分解物を使用しない豚カツは美味しさはあるものの、かなり硬い食感を有するものであった。一方、澱粉加水分解物を使用した豚カツは美味しくて、しかも明らかに軟らかさの感じられる食感を有していた。特にパセリSA−2を使用した豚カツは極めて美味しく食することができた。
【0024】
【表3】
Figure 0003659737
【0025】
【実施例4】
水溶液100部中にパセリSA−2とTK−16を固形分としてそれぞれ、4部、5.0部含有する水溶液を実施例1に準じて調製した。
次に鶏胸肉100部をタンブラーに入れ、上記の水溶液22部を添加し、10分間タンブリングして加工生肉を製造した。これを、未処理の鶏胸肉と共に冷蔵庫(約9℃)に1日保存してから、未処理の生肉を対照例として100℃で20分間蒸煮して蒸し鶏を製造した。
実施例、対照例、何れの蒸し鶏も美味しかった。しかし、対照例の蒸し鶏ではやや硬さがみられたが、実施例の蒸し鶏は明らかに軟らかさの感じられる食感を有していた。

Claims (6)

  1. ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成性糖質を含む水溶液を生肉に添加してなる、表面積が1cm2以上のブロック状の加工生肉であって、ゲル形成性澱粉加水分解物(固形分)の添加量が生肉に対して0.1重量%〜2.4重量%であり、ゲル非形成性糖質(固形分)の添加量が生肉に対して1〜10重量%であり、ゲル形成性澱粉加水分解物は、固形分20重量%の水溶液が60℃で5〜3000cpの粘度を有し、9℃に冷却して15時間後に50〜1000gのゲル強度となるものであることを特徴とする加工生肉。
  2. ゲル非形成性澱粉加水分解物(固形分)の添加量が生肉に対して0.3〜2.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の加工生肉。
  3. ゲル非形成性糖質が乳糖、DE7〜45程度のマルトデキスリン、DE7〜45程度の還元マルトデキストリンの還元物、水飴、及び水飴の還元物からなる群から選ばれる請求項1又は2記載の加工生肉。
  4. ゲル形成性澱粉加水分解物がDE4を超えない程度に分解したデキストリンである請求項1〜3のいずれか1項記載の加工生肉。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の加工生肉の製造方法であって、0.1〜20重量部のゲル形成性澱粉加水分解物と0.4〜70重量部のゲル非形成性糖質を、99.5〜10重量部の水に添加して得られる水溶液を生肉にインジェクション後、タンブラー中でタンブリングすることを特徴とする方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の加工生肉の製造方法であって、0.1〜20重量部のゲル形成性澱粉加水分解物と0.4〜70重量部のゲル非形成性糖質を、99.5〜10重量部の水に添加して得られる水溶液、及び生肉をタンブラーに添加し、タンブラー中でタンブリングすることを特徴とする方法。
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