JPH09308461A - 加工生肉 - Google Patents

加工生肉

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JPH09308461A
JPH09308461A JP8128404A JP12840496A JPH09308461A JP H09308461 A JPH09308461 A JP H09308461A JP 8128404 A JP8128404 A JP 8128404A JP 12840496 A JP12840496 A JP 12840496A JP H09308461 A JPH09308461 A JP H09308461A
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祐昭 札場
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱調理後の食感に優れた加工生肉を提供す
ること。 【解決手段】 ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成
性糖質を含む水溶液を生肉に添加してなる加工生肉。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱調理後の食感
が良好な加工生肉、及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】食品の内でも肉類、特に生肉は細菌や微
生物が増殖しやすいため、チルド(冷蔵)状態や冷凍状
態で流通されている。生肉はそのまま食する場合もある
が通常は加熱調理して食するのが一般的である。しかし
肉類を加熱調理すると、肉にパサツキがみられたり、肉
が硬くなって、肉の食感を悪くする等の問題がしばしば
見られた。これに対して、例えば黒毛和牛のような肉用
種をグレインフェッドで肥育すると、肉質そのものが非
常に軟らかくなり、加熱調理しても肉の食感が低下しな
いが、価格が非常に高くなるという問題があった。一
方、老廃家畜、経産家畜、ホルスタイン種などの乳肉種
より得られる牛肉等はより安価であるが、肉質そのもの
が非常に硬くて加熱調理によってさらに食感が悪くなる
等の問題があった。
【0003】上記のような問題、即ち食肉の食感等を改
善する試みとして、プロテアーゼ、界面活性剤、塩類、
タンパク質等を使用する方法が提案されている。プロテ
アーゼを使用する方法としては、パパイヤ由来のパパイ
ンやパイナップル由来のプロメラインなどのようなプロ
テアーゼ以外に、食肉の風味などを重視してキウイフル
ーツまたはナシの抽出物で食肉を処理する方法(特開平
4−27806号)やキウイフルーツの水溶性成分を精
製後粉末状にした食肉改質剤を使用する方法(特開平7
−179041号)、或は肉にプロテアーゼによる処理
と筋原繊維蛋白質を主として軟化する高圧処理(100〜40
00kg/cm2)とを組合せて処理する方法等が提案されてい
る。これらの方法では、肉タンパク自体を分解させて肉
質を軟化させているため、肉の風味が変わったり、肉料
理の種類によってプロテアーゼの反応条件や失活条件を
コントロールする必要があった。
【0004】界面活性剤で食肉を処理する方法として
は、新鮮な肉をアセチル化モノグリセライドのような有
機酸モノグリセライドの中に浸漬するか、新鮮な肉に該
モノグリセライドを噴霧して新鮮な肉を安定化する方法
(特開昭49−20353号)、モノグリセライド或は
ジグリセライドとポリカルボン酸とのエステルを含有す
る食肉改質剤で肉片を処理する方法(特開平7−170
942号)等が開示されている。これらの方法では、食
肉の貯蔵安定性を改善したり、ある程度肉質を軟らかく
する作用は認められるものの、肉に異味が感じられたり
して、肉本来の風味を悪くする等の欠点が見られた。
【0005】塩類で食肉を処理する方法としては、重炭
酸ソーダの水溶液又はそれに調味料を添加した調味液に
食肉を浸漬する等の方法で食肉に重炭酸ソーダを含ませ
て、加熱処理する方法(特開平4−36167号)、塩
化カルシウム等のカルシウム塩に重炭酸ナトリウム及び
/又はHLB10以上の乳化剤を混合した食肉軟化剤を
使用する方法(特開平4−148663号)等が提案さ
れている。これらの方法では、重炭酸ソーダのようなア
ルカリ塩や乳化剤等の作用によって肉質の軟化や肉の保
存性にある程度の効果は得られるものの、肉に苦味など
の異味を与えて風味を悪くしたり、食品素材でなく食品
添加物であるためにそれらの使用が嫌われる傾向にあ
る。
【0006】タンパク質で食肉を処理する方法として
は、大豆タンパク質及び/又は大豆タンパク質分解物を
含有するピックル液を原料肉にインジェクションし、タ
ンブリング後、冷凍庫で1〜3日間冷凍し、成型、スラ
イスし、衣を付与してフライするフライ食品の製造法
(特開平5−328939号)が提案されている。この
方法では、肉と衣との結着性がよく、加熱調理後の肉に
弾力を与える効果はあるが、肉質自体を硬くする傾向が
あった。
【0007】一方、ハム、ソーセージ等の肉製品の調
味、離水防止、水分活性の低下、歩留向上等の目的で、
砂糖、グルコース、マルトース、水飴等の糖類やソルビ
トール等の糖アルコールが利用されている。これらの糖
質を生肉の品質改善に利用したものとしては、例えばフ
ライ食品原料(生肉、ソーセージ、或いはアップルパ
イ)を、DE8〜40のデキストリンに水素添加したデ
キストリンアルコール、マルチトール、プロピレングリ
コール、コーンシラップ等の湿潤剤の20〜60%水溶
液中に浸漬後、引き上げることにより、湿潤剤をフライ
食品の表面に薄膜状に付着させ、衣をつけずにフライし
たフライ食品(特開昭54−154541号)や、魚肉
及び/又は畜肉の冷凍、凍結乾燥時におけるタンパク質
の変性を防止するために、重合度3〜10のオリゴ糖及
び/又はその還元物を主成分とする糖質を魚肉及び/又
は畜肉に添加し、冷凍した、冷凍乾燥品及びその製造法
(特開平5−103586号)等が開示されている。特
開昭54−154541号は湿潤剤を肉等のフライ食品
材料の表面に薄膜状に付着させることでフライ食品材料
の表面の光沢を改善するものであり、特開平5−103
586号は糖質によって冷凍中のタンパクの変質をある
程度軽減するものである。しかし、上記のような糖質を
肉に添加するだけでは、加熱による肉の縮み等によって
肉が硬くなるのを防止する効果は十分なものとはいえな
かった。このように、上記のような方法で処理された生
肉を加熱調理しても必ずしも満足のいける食感のものが
得られなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加熱
調理後も食感が低下することのない加工生肉及びその製
造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決すべく鋭意検討の結果、特定の澱粉加水分解物を
含有する水溶液を用いて生肉を処理することにより上記
課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至
った。本発明は、ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形
成性糖質を含む水溶液を生肉に添加してなる加工生肉で
ある。本発明に使用するゲル形成性澱粉加水分解物は、
固形分20重量%の水溶液が60℃で5〜3000cp
の粘度を有し、9℃に冷却して15時間後のゲル強度が
50〜1000gの値を示すような澱粉加水分解物であ
る。ゲル形成性澱粉加水分解物(固形分)の添加量は生
肉に対して0.1重量%以上であることが好ましく、さ
らに好ましくは、0.3〜2.0重量%である。またゲル非
形成性糖質(固形分)の添加量は生肉に対して1〜10
重量%であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の対象とする生肉は、牛、
豚、羊等の家畜、鶏、七面鳥、鴨、ガチョウ等の家きん
類から得られ、肉の表面積として少なくとも1cm2
度以上の大きさを有するブロック状で、焼く、煮る等の
加熱処理等が施されていない肉類を総称し、硬質タイプ
の肉、生鮮肉、チルド状態の肉、冷凍状態の肉等を包含
する。本発明の加工生肉は、スライス、ミンチ等にして
利用してもよい。この明細書において、「加熱調理後の
肉」とは、焼肉、焼鳥、ステーキ、八宝菜、酢豚、唐揚
げ、豚カツ、ビーフカツ、鶏野菜煮、肉野菜煮、肉じゃ
が、カレー、シチュー、茶碗蒸し等のように、焼く、炒
める、揚げる、煮込む、蒸す等の加熱処理を施した肉、
又は肉料理に含まれる肉を指称し、加熱調理の方法は特
に限定されない。
【0010】本発明に使用するゲル形成性澱粉加水分解
物は、水溶液を高温に保持すると流動性を有するが、低
温にすると容易にゲル化して特定のゲル強度となる特性
を有するもの、即ち固形分20重量%の水溶液が60℃
で5〜3000cpの粘度を有し、9℃に冷却して15
時間後に50〜1000gのゲル強度となる澱粉加水分
解物を総称する。このような特定の澱粉加水分解物は、
澱粉をペースト状又はスラリー状で加水分解した後、乾
燥することにより得られる。さらに具体的には、原料澱
粉の分散液に酵素(例えば、アルファアミラーゼ)及び
/又は酸(例えば、塩酸や蓚酸)を添加してペースト状
でDE4を越えない程度に加水分解して得られるデキス
トリン、原料澱粉に枝切酵素を添加してペースト状で軽
度に枝切りした枝切りデキストリン、原料澱粉の水分散
液に塩酸等の酸、過酸化水素や次亜塩素酸ソーダ等の酸
化剤を添加してスラリー状態で反応させ、中和、脱水、
乾燥して得られる酸処理澱粉、酸化澱粉及びそれらをド
ラムドライヤー等で処理してアルファー化したもの等を
例示できる。中でもゲル強度が70〜300g程度を示
すDE4を越えない程度に加水分解したデキストリンが
好ましい。これを使用した加工生肉は、加熱調理後の肉
がより美味しく感じられるためである。また本発明に使
用するゲル形成性澱粉加水分解物の原料澱粉としては、
特に制限はないが、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスター
チ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、タピ
オカ澱粉等が挙げられる。
【0011】ゲル形成性澱粉加水分解物の粘度は、試料
を固形物20重量%になるように水に分散又は溶解し、
90℃まで加熱後、60℃まで冷却してB型回転粘度計
を用いて測定した値であり、ゲル強度は、粘度測定後の
水溶液を9℃まで冷却し、この温度で15時間保持後、
(株)レオテック製のレオメータを用い、プランジャー
サイズ球形7mmを使用して測定した値である。
【0012】本発明に使用するゲル非形成性糖質とは、
固形分20重量%の水溶液が60℃で30cp以下の粘
度を有し、9℃に冷却して15時間後のゲル強度が10
g未満の値を示すような糖質を意味するものである。こ
のような糖質としては、例えば、グルコース、蔗糖、フ
ラクトース、異性化糖、マルトース、マルトトリオース
等の直鎖状の糖類、イソマルトースやシクロデキストリ
ン等の分岐或いは環状の糖類、及びマルトデキストリ
ン、水飴、コーンシラップ等の澱粉加水分解物、それら
の還元物が挙げられる。中でも実質的に甘味を与えな
い、或は水溶液が高濃度で使用できる等の理由で、乳
糖、DE7〜45程度のマルトデキストリン(還元物を
含む)、水飴(還元物を含む)が好ましい。
【0013】従来、生肉そのものを加熱すると、加熱に
よって肉の縮みが大きくて肉が硬くなって食感が悪くな
るのはよく見られる現象であるが、肉の冷凍変性を防止
する効果があるといわれるソルビトール等の糖質のみを
含有する水溶液を単に生肉に添加しても加熱調理後の肉
の食感の改善がはかれなかった。しかし、ゲル形成性澱
粉加水分解物とゲル非形成性糖質を含有する水溶液で生
肉を処理することで初めて、加熱調理後の肉の食感に優
れた加工生肉の製造が可能になった。ゲル形成性澱粉加
水分解物の添加量は加熱調理後の肉の食感を大きく左右
し、生肉の種類や形状等によって一概にいえないが、生
肉に対して該ゲル形成性澱粉加水分解物(固形分として
の添加量、以下同様)の添加量が0.1重量%未満では効
果が少なく、0.1重量%以上添加することで、硬質タイ
プ、チルド、或は冷凍等何れの生肉を用いて製造して
も、得られた加工生肉は加熱調理後の肉の食感に優れた
ものとなる。ゲル形成性澱粉加水分解物の添加量を0.3
重量%以上にすると加熱調理後の肉の食感をさらに向上
させることができる。この際、ゲル形成性澱粉加水分解
物の添加量が2重量%を超えても加熱調理後の良好な食
感を維持できるが、加熱調理による肉の香気の発現が幾
分弱くなったり、肉の味が幾分薄くなったりする傾向が
あるので、生肉に対するゲル形成性澱粉加水分解物の添
加量は0.3〜2重量%程度にすることがより好ましい。
【0014】一方、ゲル非形成性糖質は、ゲル形成性澱
粉加水分解物が存在する状態で使用することで初めて効
力を発揮する。その添加量は、糖質の種類等によって一
概にいえないが、一般的には生肉に対してゲル非形成性
糖質(固形分として、以下同様)が0.4重量%程度の添
加から加熱調理後の肉の食感改善に効果を発揮し、添加
量が1重量%を超えるとその効果が一層大きくなる。こ
の際、添加量を多くするほど加熱調理後の食感をよくす
る傾向にあるが、添加量が10重量%を超えると肉に甘
味が感じられたりするので、添加量は1〜10重量%程
度とすることが好ましい。
【0015】次に、生肉に対してゲル形成性澱粉加水分
解物及びゲル非形成性糖質を添加する方法について説明
する。ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成性糖質は
その水溶液を別々に添加しても良いが、効果は変わらな
いので、両者を含む水溶液を使用した方が効率的であ
る。水溶液の添加法として、例えば水溶液を単に生肉に
噴霧する方法では生肉の表面処理に限定されるし、生肉
を水溶液に単に浸漬したりする方法では水溶液に粘度が
あったり、生肉が大型のブロック状では肉の内部まで水
溶液が浸透し難い、或は水溶液の浸透に時間がかかりす
ぎて作業性を極端に悪くする等の問題等がある。従っ
て、生肉の形状や組織によっても異なるが、タンブリン
グすることを基本とし、これに必要によりインジェクシ
ョンを組み合わせる方法が好ましい。例えば、畜肉のよ
うに大型で厚みがあり、組織のしっかりしている生肉に
は、水溶液をインジェクション後、タンブラーでタンブ
リングする方法を、また鶏肉のように小型で厚みがなく
組織が比較的脆い生肉にはタンブラーに生肉を入れた
後、水溶液を直接投入してタンブリングを行う方法を用
いることが好ましい。こうすることによって、肉の形状
や組織を壊さないで水溶液を、短時間に容易にしかも均
一に生肉に添加することかできる。この際、水溶液の粘
度をあまりに高くしすぎるとインジェクシヨンしにくく
なる。従って、インジェクターの種類等によって必ずし
も一概にいえないが、通常のインジェクターが使用でき
るように、生肉に添加する際の水溶液の粘度は1000
0cp程度以下に抑えておくことが望ましい。また、生
肉の変質を防止するためには水溶液を生肉の温度付近に
調整して使用することがより好ましい。さらに、生肉に
添加する水溶液の量があまりに少ないと均一に添加する
ことが困難になり、また逆に多すぎると水溶液を生肉に
保持させることが困難になるので、生肉に対する水溶液
の添加量は、生肉100重量部に対して5〜30重量部
程度にすることが好ましい。
【0016】次に本発明をより明確にするために以下に
その方法の具体例を示す。0.1〜20重量部のゲル形成
性澱粉加水分解物、及び0.4〜70重量部のゲル非形成
性糖質を、攪拌下にある99.5〜10重量部の水に添加
し、水溶液100重量部を得る。攪拌を続け、ゲル形成
性澱粉加水分解物及びゲル非形成性糖質が冷水(例え
ば、20℃)に完全に溶解する場合は攪拌のみで溶解し
てもよいし、冷水では完全に溶解しない場合、或は溶解
を早くしたい場合には、80〜90℃程度まで加熱溶解
して水溶液を調製する。その際、ゲル形成性澱粉加水分
解物とゲル非形成性糖質は別々に溶解してから混合して
もよい。また、上記水溶液に調味の目的で食塩等の調味
料、或は肉の保水性や結着力を図る等の目的で少量のリ
ン酸塩等を添加しても本発明の目的を何ら阻害するもの
でない。尚、生肉の変質を防止するために水溶液を使用
するまでに肉の品温程度までに冷却したり、インジエク
ション等がスムーズにできるようにその時の水溶液の粘
度を10000cp以下に調整することも重要である。
生肉としては、ブロック状の形状を有しているものであ
れば、硬質タイプの肉、生鮮肉、チルドの肉、冷凍の肉
等いずれのものでも利用できる。冷凍の肉では予め解凍
しておくことが好ましい。
【0017】次にブロック状の生肉100重量部(表面
積1cm2 以上)に対して上記水溶液を添加するが、ゲ
ル形成性澱粉加水分解物を0.1重量部以上、好ましくは
0.3〜2.0重量部、一方、ゲル非形成性糖質を少なくと
も0.4重量部程度、好ましくは1〜10重量部程度にな
るような割合で含む水溶液を生肉に添加する。上記水溶
液を生肉に添加する方法として、畜肉では水溶液をイン
ジェクション後、タンブラー又はバキュームタンブラー
に投入してタンブリングする方法、鶏肉ではそのままタ
ンブラーに入れ、水溶液を注入してタンブリングする方
法等を用いることによって容易に実施できる。上記の処
理の終えた加工生肉は、そのまま加熱調理しても加熱に
よって肉の硬くなるのが防止され良好な肉の食感が得ら
れる。
【0018】以下に本発明を実施例により説明するが、
これらの例で部は重量部を示す。
【実施例1】パセリSA−2(商品名:オランダ アべ
べ社製の固形分20重量%水溶液の粘度が60℃で8c
pで9℃に冷却して15時間後に100gのゲル強度と
なるDE約2の冷水可溶の澱粉加水分解物)とオリゴト
ース(商品名:三和澱粉製でDE約36のマルトトリオ
ース)を固形分として表1の割合で含有する水溶液を調
製した。この際、水溶液にSA−2を含有させる場合に
は攪拌しながら90℃まで加熱して溶解させた。オリゴ
トースのみの場合は水溶液を希釈して調製した。得られ
た水溶液を9℃まで冷却した。次に、食肉加工業者より
直接入手した厚さ約20cmの生鮮牛もも肉ブロック
(品温約9℃)100部に、表1の水溶液をそれぞれ2
0部ずつインジェクションし、5分間タンブリングして
加工生肉を製造した。タンブリング後の加工生肉と未処
理の生肉を、冷蔵庫(約9℃)に1日保存してから、焼
き肉用には厚さ5mmにスライスし、煮肉用には3×3
cmの肉片に裁断した。加熱調理後の食感や食味は、ス
ライス及び裁断のみをした生肉を対照例として焼き肉
(180℃に調整したホットプレートの上にスライスし
た肉片を乗せて片面2分間ずつ加熱)と煮肉(3×3c
mに裁断した肉片を沸騰水中で4分間ボイリング)に
し、下記のように評価した。結果を表1に示す。尚、表
1でパセリはパセリSA−2、オリゴはオリゴトース、
固形分添加量は生肉100部に対する固形分の量(部)
を意味する。
【0019】食感の評価 ◎:非常に軟らかい食感を有する。 ○:軟らかい食感を有する。 △:やや硬い食感を有する。 ×:非常に硬い食感を有する。 食味の評価 ◎:肉本来の味を保持し、甘味は殆ど感じられない。 ○:肉本来の味を保持しているが、やや甘味が感じられ
る。 △:甘みがかなり強く感じられ、肉本来の味がやや損な
われる。
【0020】
【表1】 試料 水溶液中固形分(%) 固形分添加量(部) 食感 食味 パセリ オリゴ パセリ オリゴ 1(対照例) − − − − × ◎ 2(比較例) − 15 − − × ◎ 3(比較例) 0.25 15 0.05 3 △ ◎ 4(本発明) 0.75 15 0.15 3 ○ ◎ 5(本発明) 0.20 15 0.40 3 ◎ ◎ 6(本発明) 8.0 15 1.60 3 ◎ ◎ 7(本発明) 12.0 15 2.40 3 ◎ ○
【0021】
【実施例2】ゲル形成性澱粉加水分解物としてパセリS
A−2、ゲル非形成性糖質としてTK−16(商品名:
松谷化学工業製でDE約18のマルトデキストリン)、
乳糖及び蔗糖を固形分として表2の割合で含有する試料
8〜13を実施例1と同じようにして調製した。次に実
施例1で使用したものと同じ生肉100部と、表2の水
溶液20部を用い、実施例1に準じて製造した加工生肉
の加熱調理後の食感と食味を評価した。結果を表2に示
す。
【0022】
【表2】 試料 水溶液中の固形分(%)(括弧内は固形分添加量)(部) 食感 食味 パセリ TK−16 乳糖 蔗糖 8(本発明) 5.0(1.0) 3.5 (0.7) − − ○ ◎ 9(本発明) 5.0(1.0) 6.5 (1.3) − − ◎ ◎ 10(本発明) 5.0(1.0) 40 (8.0) − − ◎ ◎ 11(本発明) 5.0(1.0) − 40(8.0) − ◎ ◎ 12(本発明) 5.0(1.0) − − 40(8.0) ◎ △13(本発明) 5.0(1.0) 60 (12.0) − − ◎ ○
【0023】
【実施例3】ゲル形成性澱粉加水分解物として、パセリ
SA−2とパーフエクタミル ゲルMB(商品名:オラ
ンダ アべべ社製の固形分20重量%水溶液の粘度が6
0℃で約2000cpで9℃に冷却して15時間後に3
00gのゲル強度となるDE1未満の熱水可溶の酸処理
澱粉)、ゲル非形成性糖質としてパインデックス#3
(商品名:松谷化学工業製のDE約25のマルトデキス
トリン)及び食塩を乾物重量として表3の割合で含有す
る試料14と試料15を実施例1に準じて調製した。次
に冷凍中の豚ロース肉を冷蔵庫(約9℃)で解凍し、解
凍した豚ロース肉100部に、試料14と15の水溶液
を15部(肉100部に対して澱粉加水分解物、糖質、
食塩を固形分として、それぞれ0.9部、4.5部、0.45
部の割合)ずつ実施例1に準じてインジエクションし、
タンブリングして加工生肉を製造した。これを解凍のみ
の生肉と共に冷蔵庫(約9℃)に1日保存後、解凍のみ
の生肉と共に1.5cm程度の厚さにスライスし、薄力粉
を打ち粉し、全卵液をくぐらせ、パン粉付けをしてか
ら、160〜170℃のサラダ油で4分間フライし豚カ
ツを製造した。澱粉加水分解物を使用しない豚カツは美
味しさはあるものの、かなり硬い食感を有するものであ
った。一方、澱粉加水分解物を使用した豚カツは美味し
くて、しかも明らかに軟らかさの感じられる食感を有し
ていた。特にパセリSA−2を使用した豚カツは極めて
美味しく食することができた。
【0024】
【表3】
【0025】
【実施例4】水溶液100部中にパセリSA−2とTK
−16を固形分としてそれぞれ、4部、5.0部含有する
水溶液を実施例1に準じて調製した。次に鶏胸肉100
部をタンブラーに入れ、上記の水溶液22部を添加し、
10分間タンブリングして加工生肉を製造した。これ
を、未処理の鶏胸肉と共に冷蔵庫(約9℃)に1日保存
してから、未処理の生肉を対照例として100℃で20
分間蒸煮して蒸し鶏を製造した。実施例、対照例、何れ
の蒸し鶏も美味しかった。しかし、対照例の蒸し鶏では
やや硬さがみられたが、実施例の蒸し鶏は明らかに軟ら
かさの感じられる食感を有していた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲル形成性澱粉加水分解物とゲル非形成
    性糖質を含む水溶液を生肉に添加してなる加工生肉。
  2. 【請求項2】 ゲル形成性澱粉加水分解物(固形分)の
    添加量が生肉に対して0.1重量%以上であることを特徴
    とする請求項1に記載の加工生肉。
  3. 【請求項3】 ゲル形成性澱粉加水分解物(固形分)の
    添加量が生肉に対して0.3〜2.0重量%である請求項1
    に記載の加工生肉。
  4. 【請求項4】 ゲル非形成性糖質(固形分)の添加量が
    生肉に対して1〜10重量%である請求項1〜請求項3
    のいずれか1項記載の加工生肉。
  5. 【請求項5】 ゲル非形成性糖質が、乳糖、DE7〜4
    5程度のマルトデキストリン、DE7〜45程度のマル
    トデキストリンの還元物、水飴、及び水飴の還元物から
    なる群から選ばれる請求項1〜請求項4のいずれか1項
    記載の加工生肉。
  6. 【請求項6】 ゲル形成性澱粉加水分解物がDE4を超
    えない程度に分解したデキストリンである請求項1〜5
    のいずれか1項記載の加工生肉。
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