JP3659615B2 - ボス部を陥没させる事なく溝を成形する方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボスとその周囲に溝を有する部材の成形に関するものである。主として、厚さが1mm以下の銅、又はアルミニウムの板薄でボスの高さが板厚の1/2程度の部材の成形に適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボスの周囲の溝は、エッチングによって形成していた。しかし、エッチングによる溝の深さは、寸法的にバラツキが大きく、とくに板厚の70〜80%の深さにすることはきわめて困難であった。現在、高精度の部材が要求されていることから、従来のエッチングによる工法を冷間鍛造でトライすることにした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の冷間鍛造による場合、材質が軟質材であるため、ボス部の外周部に例えば、板厚さの1 / 2以上の深さの環状の溝をプレス加工する場合に、ボス部が図4に一点鎖線で示す位置から実線で示す位置に陥没してしまうと言う問題があることが本発明の開発段階において判明した。
【0004】
本発明の目的は、ボス部を陥没させることなく、ボス部の周囲に所定の溝を成形する方法及び装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
ボス部の周囲の溝を形成するとき、溝の裏面にリング状の凸部を形成する。このリング状の凸部は、前記ボス部周囲の溝の凹形をほぼ凸形にした状態に形成されるようにする。そして、ボス部の根元の材料が前記リング状の凸部に向かって流動するのを防ぐ目的で、前記リング状の凸部のリング内径は前記ボス部の外径よりも若干大きくする。更に、リング状のボス部の外径と、前記溝の外周部の径をほぼ同じにする。すなわち、板状素材(1)の表面にあるボス部(2)の周囲に溝(3)を成形するのと同時に、前記溝(3)に対応させて前記板状粗材(1)の裏面に、外径(d2)が前記溝(3)の外径(D2)と等しく、かつ、内径(d1)が前記溝(3)の内径(D1)よりも(0.05〜0.2)×D1だけ大きいリング状の凸部を形成させる。
【0006】
ここで、実施例として板の厚さH1に対し溝の深さH3を4/5H1以下とし、かつ溝の内周部の直径D1に対し、円柱部の直径d1を(0.05?0.2)×D1だけ大きくする。具体的には、板の厚さH1は1mm以下、溝の内周部の直径D1は2mm以下、外周部の直径D2は3mm以下である。
【0007】
主要装置構成は、板状素材の表面にあるボス部(2)の周囲に溝(3)を形成させる上パンチ(11)を上バッキング(10)に設け、前記板状部材の裏面にリング状の凸部を形成させる為のダイ(18)と下パンチ(17)とを下バッキング(16)に前記上パンチ(11)に対向させて設け、前記リング状凸部のリング外径(d2)が前記溝(3)の外径(D2)と等しく、かつ、内径(d1)が前記溝(3)の内径(D1)よりも(0.05〜0.2)×D1だけ大きくなるように、前記上パンチ(11)、ダイ(18)及び下パンチ(17)の形状、寸法とすることを特徴とするボス部を陥没させる事なく溝を形成する装置である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1から図3に本発明におけるボス部を陥没させる事なく溝を成形する方法の実施例及び説明図を示す。
図1は、本発明による溝3の成形方法を示し、素材1は図2に示すように、素材1の表面にボス部2を有し、ボス部2の外周部にボス部2と同心の溝3をプレス加工するものである。
【0009】
素材1は、厚さH1が1mm以下の軟質材、例えば、銅、またはアルミニウムの薄板で、ボス部2は、素材1の厚さH1の1/2の高さH2を有し、かつ直径D0は後述するとおり2mm未満で、素材1の表面に1個以上設けたものである。
【0010】
図1に示すように、溝3は、ボス部2と同心の環状を成し、ボス部2より大きい内周部の直径D1を有し、外周部は直径D2、深さはH3である。
この溝3を成形するに当たり、素材1の底面を、ボス部2と同心で若干大径の直径d1の円柱部4と、溝3の外周部の直径D2と等径で同心の穴を有する平板部5とで支持しておく。
【0011】
このようにして、溝3を加圧成形した時、ボス部3が陥没しない事例は、上述の条件とともに列挙すれば、次のとおりである。
H1≦1.0mm,H2=1/2・H1,H3≦4/5・H1
D1≦φ2.0mm,d1>D1
D2≦φ3.0mm,d2=D2
ここに、特に強調しなければならないことは、円柱部4の直径d1は溝3の内周部直径D1より(0.05〜0.2)×D1だけ大きく設定することである。
【0012】
円柱部4の直径d1が、溝3の内周部直径D1よりも小さい直径d0の場合は、図4に示すように、溝3を加圧成形した時にボス部2は二点鎖線の位置から実線の位置へと陥没してしまう。
陥没の程度は、円柱部4の直径d0が小さい程、大きくなる。
また、円柱部4の直径d1が溝3の内周部直径D1より(0.05〜0.2)×D1を越えて大きい場合は、成形用工具の寿命が短くなってしまう。
【0013】
素材1の材質を銅及びアルミニウムとして、実際にボス部2を陥没させる事なく加圧成形した例は、次のとおりである(図1参照)。
H1=0.5mm,H2=0.25mm,H3=0.35mm,
D1=φ0.6mm,
D2=φ1.1mm,φ1.2mm,φ1.3mm,φ1.7mm
d1=φ0.66mm,
d2=φ1.1mm,φ1.2mm,φ1.3mm,φ1.7mm
但し、D2=d2で数値は互いに対応している。
【0014】
図3は本発明の成形装置を示す。上バッキング10と下バッキング16との間に示されれている部材は素材1を除き成形用の金型を構成する。
【0015】
この金型は、プレス機械に取り付けられ、プレス機械が運転されると、素材を成形する。即ち、上バッキング10はプレス機械のスライドに固定され、下バッキング16はプレス機械のボルスタに固定されることによって、当該金型がプレス機械に装着される。
【0016】
上バッキング10に上パンチ11が上ホルダ12で固定されている。上パンチ11はボス部の周辺に設ける溝を形成する。即ち、上パンチ11の先端部は前記溝の形状を転写して形成させる為のリング状の凸形をしている。
【0017】
ストリッパ14は上パンチ11に沿って昇降自在になっている。ストリッパ14は成形後上パンチ11に付着したワーク1を上パンチ11から抜き取る役目をする。ストリッパ14は上ホルダ12に組み込まれた上スプリング13で下方に向けて付勢されると共に、上ストッパ15で下限を規制されている。
【0018】
下バッキング16には下パンチ17が下ホルダ21で上パンチ11に対向させて固定されている。下パンチ17の先端部は素材1の下面に形成されるリング状の凸部のうち、リングの内周部に転写される形状をしている。
【0019】
下パンチ17の外周部に嵌合させてダイ18が昇降自在に組み込まれている。ダイ18は下ホルダ21に組み込まれた下スプリング19で上方に向けて付勢されていると共に、下ストッパ20でその上限が規制されている。尚、下スプリング19のばね常数は上スプリング13のそれより小さくなっている。
【0020】
素材1はダイ18の上に供給され、プレス機械の運転にともなって、上パンチ11と下パンチ17とで成形される。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ボス部を有する軟質材の薄板を用い、溝の内周部直径D1よりも若干大径の直径d1の円柱部で支持して加圧成形することにより、前述の如くボス部の根元の材料が薄板の裏面に形成したリング状の凸部に向かって流動するのを防止でき、ボス部を陥没させることなく所定の形状のプレス成形品を得ることができる。とくに、素材板厚さの80%以下の深さの溝をボス部の外周に容易に形成することが出来る。
以上
【図面の簡単な説明】
【図1】成形後の縦断面図
【図2】素材の縦断面図
【図3】成形装置の縦断面図
【図4】従来の冷間鍛造工法よる成形後の縦断面図
【符号の説明】
1は素材、2はボス部、3は溝、4は円柱部、5は平板部、
10は上バッキング、11は上パンチ、12は上ホルダ、13は上スプリング、14はストリッパ、15は上ストッパ、16は下バッキング、17は下パンチ、18はダイ、19は下スプリング、20は下ストッパ、21は下ホルダである。
Claims (2)
- 板状素材(1)の表面にあるボス部(2)の周囲に溝(3)を形成するのと同時に、前記溝(3)に対応させて前記板状素材(1)の裏面に、外径(d2)が前記溝(3)の外径(D2)と等しく、かつ、内径(d1)が前記溝(3)の内径(D1)よりも(0.05〜0.2)×D1だけ大きいリング状の凸部を形成することを特徴とするボス部を陥没させる事なく溝を形成する方法。
- 板状素材の表面にあるボス部(2)の周囲に溝(3)を形成させる上パンチ(11)を上バッキング(10)に設け、前記板状素材の裏面にリング状の凸部を形成させる為のダイ(18)と下パンチ(17)とを下バッキング(16)に前記上パンチ(11)に対向させて設け、前記リング状凸部のリング外径(d2)が前記溝(3)の外径(D2)と等しく、かつ、内径(d1)が前記溝(3)の内径(D1)よりも(0.05〜0.2)×D1だけ大きくなるように、前記上パンチ(11)、ダイ(18)及び下パンチ(17)の形状、寸法とすることを特徴とするボス部を陥没させる事なく溝を形成する装置。
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