JP3659014B2 - メモリの故障診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制御装置においてメモリの故障を診断する故障診断装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の制御装置においては、各種装置は、図4に示すようなコントロールユニット1のCPU(演算処理装置)2により制御される。CPU2は、バスによりメモリ3と接続される。メモリ(記憶装置)3には、CPU2における各種演算に必要なプログラムやデータを記憶するROM(リードオンリーメモリ)4とRAM(ランダムアクセスメモリ)5が備えられている。
【0003】
また、このような車両の制御装置では、ROM4の所定の領域に記憶されたプログラムに基づいて、車両の各種構成に故障が発生していないか否かの検査がなされる。この検査によりいずれかの構成に故障が発生したとの判定がなされた場合には、RAM5の所定の領域に記憶された所定のフラグが立てられる。このフラグONを認識したCPU2により、その故障に対応したフェールセーフ処理(例えば車両の出力を低下させたり、警告を発したりする処理)が実行される。
【0004】
このような故障診断処理(故障の診断からフェールセーフ処理に至る処理)は、メモリ3のROM4とRAM5の故障についても実行される。
【0005】
具体的に、ROM4の診断は、ROM4自身の所定の記憶領域6に記憶されたROM故障診断用プログラムに基づいて実行され、例えば、ROM4の各記憶領域に記憶された数値の総和を演算し、この総和が正しい値と一致するか否かを確認することにより、ROM4の各記憶領域のデータが壊れていないかを確認する。また、RAM4の診断は、ROM4の所定の記憶領域7に記憶されたRAM故障診断用プログラムに基づいて実行され、例えば、RAM5の各記憶領域に所定の値を書き込んで行き、これを読み出すことにより、RAM5の各記憶領域が正しく機能しているか否かを確認する。
【0006】
このようなROM4およびRAM5の診断により、ROM4の故障が検出された場合には、RAM4の所定の記憶領域8のROM故障フラグが立てられ、またRAM5の故障が検出された場合には、RAM4の所定の記憶領域9のRAM故障フラグが立てられる。CPU2は、ROM故障フラグまたはRAM故障フラグが立っていることを確認すると、ROM4またはRAM5の故障があったと判断し、それぞれの故障に対応した処理(例えばROM4またはRAM5の故障があったことを警告灯の点灯により報知する処理)を実行する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなROM4の故障診断においては、ROM故障診断用プログラムはROM4自身の記憶領域6に記憶されているので、ROM4の故障がこの記憶領域6の故障であった場合には、故障診断自体が正しく行われず、ROM4に故障が発生しているにもかかわらず、ROM故障フラグが正しく立てられない。
【0008】
また、RAM5の故障診断においても、RAM5の故障診断がRAM故障フラグの記憶領域9に発生している場合には、この記憶領域9のRAM故障フラグを正しく立てることができない。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、車両の制御装置において、メモリ(ROMおよびRAM)の故障を確実に確認し得る故障診断装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、車両の制御装置に備えられ、演算処理装置における各種演算に必要な情報を記憶するメモリの故障を診断するメモリの故障診断装置において、前記メモリのROMに、このROM自身の故障を診断する同一のプログラムを別々に記憶する複数の記憶領域を備え、前記演算処理装置は、各記憶領域に記憶された各プログラムに基づく、複数のプログラムの記憶された領域を含むROM内の領域についての複数の故障診断の少なくとも一つでROMの故障を検出した場合に、ROMの故障に対応するフェールセーフ処理を実施する。
【0011】
第2の発明では、車両の制御装置に備えられ、演算処理装置における各種演算に必要な情報を記憶するメモリの故障を診断するメモリの故障診断装置において、前記メモリのRAMに、このRAMの故障の同一の診断結果を示す複数のRAM故障フラグが独立して設けられると共にその各フラグがRAM内の異なる記憶領域に備えられ、前記演算処理装置は、前記異なる記憶領域に記憶された複数のRAM故障フラグの少なくとも一つがRAMの故障を示す場合に、RAMの故障に対応するフェールセーフ処理を実施する。
【0012】
【発明の作用および効果】
第1の発明では、ROMの故障の診断は、ROM内の異なる記憶領域に記憶された2つのROM故障診断用プログラムに基づく独立の診断により実行され、演算制御装置は、これらの2つの故障診断の少なくとも一つでROMの故障が検出された場合に、ROMの故障があったと判断し、ROM故障に対応するフェールセーフ処理(例えばROM4の故障を知らせる警告灯を点灯する処理)を行う。したがって、たとえ、ROMに生じた故障がROM故障診断用プログラムを記憶している記憶領域のいずれかに生じたものであったとしても、この故障は、他の(故障していない)記憶領域に記憶されたROM故障診断用プログラムに基づく診断により検出されるので、ROMの故障確認の確実性が高められ、フェールセーフ処理を確実に実行することができる。
【0013】
第2の発明では、RAMの故障診断の診断結果は、RAMの複数のRAM故障フラグに示され、演算処理装置は、これらのRAM故障フラグのいずれか一つが故障を示す場合に、RAMの故障があったと判断し、RAMの故障に対応するフェールセーフ処理(例えばROMの故障を知らせる警告灯を点灯する処理)を行う。したがって、たとえ、RAMの故障の場所が、RAM故障フラグの記憶領域のいずれかで生じたものであったとしても、演算処理装置は、他の(故障していない)RAM故障フラグによりRAMの故障を確認することができる。よって、RAMの故障確認の確実性が高められ、フェールセーフ処理を確実に実行することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1には、本発明の実施の形態における、車両の電子制御システムのコントロールユニット1の構成を示す。このコントロールユニット1の基本的構成は、図4に示した従来例と同様のもので、コントロールユニット1は、CPU2と、このCPU2にバスで接続されたメモリ3を備え、このメモリ3には、ROM4とRAM5が備えられる。
【0016】
ROM4は、ROM故障診断用プログラムが記憶される記憶領域として、一対の記憶領域、すなわち第1の記憶領域6Aと第2の記憶領域6Bを備える。これらの記憶領域6A、6Bには、同一のROM故障診断用プログラムが記憶される。そして、第1の記憶領域6Aに記憶された第1のROM故障診断用プログラムに基づく故障診断と、第2の記憶領域6Bに記憶された第2のROM故障用プログラムに基づく故障診断とは並列に実行され、第1のROM故障診断用プログラムに基づく故障診断、または第2のROM故障用プログラムに基づく故障診断の少なくとも一方においてROM5が故障しているとの判定がなされたならば、RAM5の所定の記憶領域8のROM故障フラグが立てられる。
【0017】
RAM5は、RAM故障フラグのための記憶領域として、一対の記憶領域、すなわち第1の記憶領域9Aと第2の記憶領域9Bが備える。そして、ROM4の記憶領域7に記憶されているRAM故障診断用プログラムに基づく故障診断で、RAM4の故障が検出された場合には、第1の記憶領域9Aの第1のRAM故障フラグと、第2の記憶領域9Bの第2のRAM故障フラグが、共に立てられようになっている。
【0018】
図2は、本実施の形態におけるROM4の故障診断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0019】
図示されるように、ROM4の故障診断処理においては、ステップS1〜ステップS5に至る第1のROM診断用プログラムに基づく処理(第1のROM故障診断処理)と、ステップS11〜ステップS15に至る第2のROM診断用プログラムに基づく処理(第2のROM故障診断処理)が並列に実行される。
【0020】
ステップS1では、第1のROM故障診断用プログラムに基づいて、ROM4の診断がなされる。
【0021】
ステップS2では、ステップS1の診断結果に異常があるか否か、すなわちステップS1の診断によってROM4の故障が検出されたか否かの判断がなされる。
【0022】
このステップS2において診断結果に異常ありと判定された場合には、ステップS3に進み、ROM故障フラグを立て(ROM故障フラグ=1として)、ステップS4に進む。一方、ステップS2において診断結果に異常ありと判定されなかった場合には、そのままステップS4に進む。
【0023】
ステップS4では、ROM故障フラグ=1であるか否かの判定がなされる。このステップS4でROM故障フラグ=1であると判定されたならば、ステップS5に進み、ROM故障時のフェールセーフ処理を実行してルーチン終了する。一方、ステップS4でROM故障フラグ=1でないと判定されたならば、そのままルーチン終了する。
【0024】
ステップS11〜ステップS12の処理は、それぞれ、第1のROM診断用プログラムに基づくステップS1〜ステップS2の処理に対応する処理を、第2のROM診断用プログラムに基づいて行うものである。
【0025】
すなわち、ステップS11では第2のROM診断用プログラムに基づいてROM4の診断がなされる。ステップS12ではこの診断結果に異常があるか否かの判定がなされ、この判定で異常ありの場合には、ステップS13でROM故障フラグ(ステップS3のROM故障フラグと同じフラグ)をONする。ステップS14では、ROM故障フラグ=1であるか否かの判定がなされ、ROM故障フラグ=1である場合には、ステップS15でフェールセーフ処理が実施される。
【0026】
図3は、本実施の形態におけるRAM5の故障診断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS21では、RAM診断用プログラムに基づいてRAM5の診断がなされる。
【0028】
ステップS22では、ステップS21の診断結果に異常があるか否か、すなわちステップS21の診断によってRAM5の故障が検出されたか否かの判断がなされる。
【0029】
このステップS22おいて診断結果に異常ありと判定された場合には、ステップS23に進み、第1のRAM故障フラグ=1とする。続いて、ステップS24に進み、第2のRAM故障フラグ=1として、ステップS25に進む。一方、ステップS22において診断結果に異常ありと判定されなかった場合には、そのままステップS25に進む。
【0030】
ステップS25では、第1のRAM故障フラグ=1であるか、または第2のRAM故障フラグ=1であるかの判定、すなわち第1と第2のRAM故障フラグ=1の少なくとも一方がONであるか否かの判定がなされる。
【0031】
このステップS25で第1と第2のRAM故障フラグ=1の少なくとも一方がONであると判定された場合には、ステップS26に進み、RAM5の故障時のフェールセーフ処理を実施して、ルーチン終了する。一方、ステップS25で第1と第2のRAM故障フラグ=1のいずれもがONでないと判定された場合には、そのままルーチン終了する。
【0032】
つぎに作用を説明する。
【0033】
本発明の車両の制御装置においては、ROM4の故障診断は、ROM4内の異なる記憶領域6A、6Bに記憶された第1、第2のROM故障診断用プログラムに基づく2つの独立の診断が、並列に実行される。そして、これらの2つの故障診断の少なくとも一方でROM4の故障が検出された場合には、RAM5のROM故障フラグがONされ、このROM故障フラグのONを確認したCPU2により、ROM故障時のフェールセーフ処理(例えばROM4の故障を知らせる警告灯を点灯する処理)が実施される。
【0034】
このように、ROM故障診断用プログラムはROM4の異なる2つの記憶領域6A、6Bに記憶され、2つの独立の診断が並列に実行されるので、たとえ、ROM4に生じた故障がROM故障診断用プログラムを記憶している領域6Aまたは6Bの一方に生じたものであったとしても、この故障は、もう一方の(故障していない)記憶領域6Bまたは6Aに記憶されたROM故障診断用プログラムに基づく診断により検出される。したがって、ROM4の故障確認の確実性が高められ、ROM故障に対応するフェールセーフ処理を確実に実行できる。
【0035】
また、RAM5の故障診断は、ROM4に記憶されたRAM故障診断用プログラムに基づいて実行される。そして、この診断によりRAM5の故障が検出されたならば、RAM5の記憶領域9Aの第1のRAM故障フラグと、記憶領域9Bの第2のRAM故障フラグが、共にONされる。CPU2は、第1、第2のRAM故障フラグの少なくとも一方が立っていることを確認したら、RAM故障時のフェールセーフ処理(例えばRAM5の故障を知らせる警告灯を点灯する処理)を実施する。
【0036】
このように、2つのRAM故障フラグがRAM5の異なる記憶領域9A、9Bに独立して設けられ、CPU2は2つのRAM故障フラグの少なくとも一方が立っていることでRAM4の故障を確認できるので、たとえ、RAM4の故障が第1または第2のRAM故障フラグの記憶領域9Aまたは9Bの一方に生じたものであったとしても、CPU2は他方の(故障していない)RAM故障フラグによりRAM4の故障を確認することができる。したがって、RAM4の故障確認の確実性が高められ、ROM故障に対応するフェールセーフ処理を確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の車両の制御装置のコントロールユニットを示す構成図である。
【図2】同じくROM故障診断処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】同じくRAM故障診断処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】同じく従来の車両の制御装置のコントロールユニットを示す構成図である。
【符号の説明】
1 コントロールユニット
2 CPU
3 メモリ
4 ROM
5 RAM
6A 第1のROM故障診断用プログラムの記憶領域
6B 第2のROM故障診断用プログラムの記憶領域
7 RAM故障診断用プログラムの記憶領域
8 ROM故障フラグの記憶領域
9A 第1のRAM故障フラグの記憶領域
9B 第1のRAM故障フラグの記憶領域
Claims (2)
- 車両の制御装置に備えられ、
演算処理装置における各種演算に必要な情報を記憶するメモリの故障を診断するメモリの故障診断装置において、
前記メモリのROMに、このROM自身の故障を診断する同一のプログラムを別々に記憶する複数の記憶領域を備え、
前記演算装置は、各記憶領域に記憶された各プログラムに基づく、複数のプログラムの記憶された領域を含むROM内の領域についての複数の故障診断の少なくとも一つでROMの故障を検出した場合に、ROMの故障に対応するフェールセーフ処理を実施することを特徴とするメモリの故障診断装置。 - 車両の制御装置に備えられ、
演算処理装置における各種演算に必要な情報を記憶するメモリの故障を診断するメモリの故障診断装置において、
前記メモリのRAMに、このRAMの故障の同一の診断結果を示す複数のRAM故障フラグが独立して設けられると共にその各フラグがRAM内の異なる記憶領域に備えられ、
前記演算装置は、前記異なる記憶領域に記憶された複数のRAM故障フラグの少なくとも一つがRAM故障を示す場合に、RAMの故障に対応するフェールセーフ処理を実施することを特徴とするメモリの故障診断装置。
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