JP3658852B2 - 露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路、液晶表示素子等の微細パターンの形成に用いられる投影露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造用クリーンルームでは、粒子状汚染物質の除去のためにHEPAフィルターやULPAフィルターを用いた空気浄化システムが採用されている。また、半導体製造工程で使用する装置、例えば紫外域の光(UV光)又は遠紫外域の光(DUV光)を使用する露光装置の場合、雰囲気中にNH4 +やSOxのようなガス状不純物が存在すると、それが化学変化又は物理変化を起こして、例えば(NH4)2SO4 の様な物質としてレンズやミラー等の硝材表面に付着し、曇りを生じさせたり透過率を低下させることがあった。
【0003】
したがって、UV光源やDUV光源を使用する露光装置においては、光源からの照明光を継続的効果的に使用するためにも、照射光の光路中を例えば窒素やヘリウム等のUV光やDUV光に不活性なガスで置換するか、ガス状不純物を除去した環境ガス(外気)を供給する必要があった。このため、従来は光路部を密閉型とし、照明光に対して不活性なガスをガスボンベやストレージタンクのようなガス供給部より供給したり、露光装置の使用環境中の大気を一度ケミカルフィルターのような不純物除去フィルターに通してガス状不純物を除去してから照明系部に供給していた。
【0004】
ケミカルフィルターは、HEPAフィルターやULPAフィルターでは除去できない雰囲気中のガス状汚染物を除去できるフィルターであり、繊維状又は粒状の活性炭を用いたもの、イオン交換樹脂によるイオン交換反応を利用したもの、活性炭繊維に薬品を添着したもの等がある。イオン交換反応を利用したケミカルフィルターの例としては荏原製作所製の「EPIX」があり、活性炭繊維に薬品を添着したケミカルフィルターの例としては近藤工業製の「CLEAN SORB」などがある。
【0005】
また、基板にパターンを形成するホトリソグラフィー工程で使用されるレジストとして化学増幅型レジストがある。化学増幅型レジストは、一般に樹脂、感光性の酸発生剤、溶解促進剤あるいは架橋剤からなる。そして、露光によって酸発生剤から酸が発生し、露光後のベーク時にその酸がポジ型の場合は高分子鎖を切断する分解促進剤の触媒として、ネガ型の場合は高分子鎖を架橋させる架橋剤の触媒として働き、現像によってパターンを形成するものである。溶解促進剤を用いたものはポジタイプのパターンを形成し、架橋剤を用いたものはネガタイプのパターンを形成する。ポジ型の化学増幅型レジストの例としてはフジハント社製の「FH−EX1」があり、ネガ型の例としてはシプレイ社製の「XP」がある。
【0006】
この化学増幅型レジストを使用するとき、基板雰囲気中にアンモニアやアミン類などの塩基性のガス状不純物が存在すると、露光から露光後ベーク時までの間に、酸発生剤から発生した酸とこれらのガス状不純物が中和反応を起こしてしまうために、感度低下を起こし、特にポジ型レジストの場合には表面難溶化層を形成してパターン転写に悪影響を及ぼす等の問題を生じる。これらのガス状不純物による悪影響を回避するために、化学増幅型レジストが塗布された基板の、塗布もしくは露光から露光後ベークまでの工程の雰囲気を不純物の含有していない清浄なガスで置換することが行われていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ガス状不純物の除去手段として一般に使用されているケミカルフィルターは、図3に示すように、ガス状不純物を除去するにしたがって時間とともに不純物除去効率が低下するという性質がある。不純物除去効率の低下の度合いは、ケミカルフィルターを使用する環境中の不純物の濃度や湿度等によって異なり、環境中のガス状不純物濃度は半導体製造工場の稼働率等によっても変動する。
【0008】
不純物除去フィルターは、除去効率が低下してきたら交換する必要がある。例えば、フィルターの不純物除去効率がある一定の効率まで低下したときをフィルターの寿命と定め、この寿命前にフィルターを交換する必要がある。しかし、フィルターの劣化度は前述のように使用環境によって異なり、使用環境中の不純物濃度も一定ではないために、フィルターの寿命到達時を前もって正確に知ることは困難である。
【0009】
不純物除去フィルターの除去効率を知るには、一定期間ごとにガス濃度測定手段を露光装置に設置して測定を行う必要がある。すると、測定手段設置中もしくは測定中は露光装置の使用を停止しなければならない場合もあり、生産性の低下を招くことがある。また、不純物除去フィルターを設置した露光装置が複数台ある場合には、露光装置の設置場所によって環境中の不純物濃度が異なり、フィルターの劣化度も異なるため、全ての露光装置について個別に不純物ガスの濃度測定を行う必要があり、作業が極めて煩雑であるとともに生産性の低下を招くことがある。
【0010】
また、露光装置の使用環境において何らかの原因でガス状不純物濃度が急激に上昇して高濃度になった場合、たとえケミカルフィルターを通してから外気を露光装置内に導入したとしても高濃度のガス状不純物を完全に除去することができず、露光装置の内部を汚染したり、使用中の化学増幅型レジスト表面に難溶化層が形成されるなどの危険があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、露光装置に設置されているケミカルフィルター等の不純物除去フィルターの寿命を正確に検知し、交換又はクリーニング等のメンテナンスを適切に行うことができるようにすることを目的とする。また、本発明は、装置使用環境中の不純物濃度が急上昇したとき、外気とともにその不純物が装置内に取り込まれることを回避する手段を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のため本発明では、不純物除去フィルターの上流側と下流側あるいは露光装置内の任意の場所に不純物ガス濃度測定手段を設置する。このことにより不純物除去フィルターの寿命を各フィルター毎にもしくは露光装置全体で管理することができ、装置使用者にフィルターの寿命が近いことを知らせることが可能となる。
【0013】
また、環境中の不純物ガス濃度を監視し、高濃度の不純物ガスが検出された場合、回避手段をとることで露光装置の汚染及びレジストの表面難溶化を未然に防ぐ。高濃度の不純物ガスの検出を警報等によって報知するようにすれば、半導体工場内の異常を知ることが可能となる。
【0014】
すなわち、本発明は、紫外域又は遠紫外域の光を射出する光源と、光源から射出された光をマスクに入射させる照明系部と、マスクのパターンを感光性基板上に形成する露光部とを備える露光装置において、露光装置の一部又は全部を収容するチャンバーと、チャンバー内に外気を導入する外気導入手段と、チャンバー内に導入される外気もしくはチャンバー内を循環するガスに含まれるガス状不純物を除去するための不純物除去フィルターと、不純物除去フィルターの上流側及び下流側にそれぞれ配置された不純物濃度測定手段と、不純物除去フィルターの上流側に配置された不純物濃度測定手段の測定値と下流側に配置された不純物濃度測定手段の測定値から不純物除去フィルターの寿命を推定する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
不純物除去フィルターがチャンバー内に導入される外気に含まれるガス状不純物を除去するためのものであるとき、その不純物除去フィルターの上流側に配置された不純物濃度測定手段が所定濃度以上のガス状不純物を検出したとき外気導入手段の運転を停止させるように構成すると、高濃度のガス状不純物が不純物除去フィルターを通過して露光装置内に入り込み、装置を汚染する事態を回避することができる。
【0016】
また、本発明は、紫外域又は遠紫外域の光を射出する光源と、光源から射出された光をマスクに入射させる照明系部と、マスクのパターンを感光性基板上に形成する露光部とを備える露光装置において、露光装置の一部又は全部を収容するチャンバーと、チャンバー内に外気を導入する外気導入手段と、チャンバー内に導入される外気に含まれるガス状不純物を除去するための不純物除去フィルターと、外気導入手段の上流側に配置される不純物濃度測定手段とを有し、不純物濃度測定手段が所定濃度以上のガス状不純物を検出したとき外気導入手段の運転を停止することを特徴とする。
【0017】
不純物濃度測定手段は、NH4 +及びSO4 2-の少なくとも一方の濃度を測定するもの、あるいはシロキサン等の炭化水素系有機物の濃度を測定するものとすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図2は、露光装置の一例を示す概念図である。DUV光を射出する例えばエキシマレーザーやHgランプのような光源1からの照射光は、ミラー2で反射され、フライアイレンズ等のオプチカルインテグレータやコンデンサーレンズ等の照度均一化手段、各種レンズやミラー等からなる照明光学系3によって均一な照明光に整形される。照明光学系3で均一化された照明光は、再びミラー2によって光路を折り曲げられ、パターンが形成されたレチクル4を均一に照明する。レチクル4のパターンは投影レンズ5によって、レジストの塗布されたウエハ等の感光性基板(以下、ウエハという)6上に像を結び、転写される。ウエハ6は、2次元方向に移動可能なXYステージ7上に載置されており、露光前及び露光後のウエハはウエハ待機位置8で待機する。
【0019】
図1に、本発明の実施の態様の概略図を示す。図2で説明した露光装置はチャンバー9によって覆われ、内部は空調手段10によって一定の温度に保たれている。チャンバー9の外気導入口からは圧送ファン12によって外気が導入されており、チャンバー9内の雰囲気は圧送ファン11によって循環している。外気導入口には不純物除去部13aが設置されており、そこで外気中の不純物が除去される。チャンバー9内にも不純物除去部13bが設けられ、チャンバー内を循環するガス中の不純物を除去している。チャンバー9は、図1では露光装置全体を収容しているが、露光装置の一部、例えば照明光学系を収容するものであってもよい。
【0020】
不純物除去部13a,13bには、ガス状の不純物を除去するフィルターが設けられている。このガス状の不純物を除去する不純物除去フィルターとしては、繊維状又は粒状の活性炭を用いたケミカルフィルター、イオン交換樹脂によるイオン交換反応を利用したケミカルフィルター、活性炭繊維に薬品を添着したケミカルフィルター等、各種のケミカルフィルター、あるいは正に帯電した電極と負に帯電した電極間にガスを通気して不純物ガスを電極に吸着させて除去するタイプの静電吸着反応を利用したフィルター等を採用することができる。
【0021】
例えば炭素繊維に化学薬品を添着した近藤工業製「CLEAN SORB」のアルカリ系ガス除去用ケミカルフィルターを用いるとアンモニア等の塩基性ガスを除去することができ、イオウ系ガス除去用ケミカルフィルターを用いるとSO2 ガスを除去することができる。アンモニアあるいはSOxのいずれか一方又は双方を完全に除去することができれば、(NH4)2SO4 のような物質が硝材表面に付着して光学部材を曇らせることがない。また、活性炭フィルターを用いるとシロキサンやシラノール等の炭化水素系有機物を除去して、酸化ケイ素のような物質が硝材表面に付着して光学部材を曇らせるのを防止できる。
【0022】
外気導入口に設置された不純物除去部13aの上流側(すなわち露光装置の設置環境中)及び下流側には夫々不純物ガスの濃度測定手段14a,14bが設置され、チャンバー内に設置された不純物除去部13bの上流側及び下流側にも夫々不純物ガスの濃度測定手段14c,14dが配置されている。濃度測定手段14a,14b,14c,14dの測定値は演算部15に送られ、演算部15ではこれらの測定値をもとに不純物ガス除去部13a,13bに設置された不純物除去フィルターの不純物除去効率の計測及び寿命の推定を行う。
【0023】
不純物濃度測定手段14a〜14dはどの様なものでもよく、例えば水晶振動子上に脂質分子膜に類似した合成2分子膜を形成し、合成2分子膜に付着した不純物の量を水晶振動子の振動変化として電気的に検出する手段を用いることができる。多種類の不純物が対象となる場合には、不純物濃度測定手段も各不純物に適したものを複数個用意することが必要である。あるいは、濃度測定場所のガスを定期的にサンプリングし、そのガス中の成分をガスクロマトグラフィーや分光測光法等で分析することによって不純物濃度を検出してもよい。
【0024】
次に、不純物除去フィルターの寿命推定方法について説明する。不純物除去フィルターの不純物除去効率は、フィルター内に蓄積される不純物の量が増えるにつれ、図3に示すように時間とともに低下する。演算部15では、次式のように、各不純物除去部において、その下流側(フィルター通過後)で計測された不純物ガスの濃度値を上流側(フィルター通過前)で計測された濃度値で除算し、それを測定時点でのその不純物除去部の不純物除去効率とする。
除去効率(%)=(下流の不純物濃度)/(上流の不純物濃度)
【0025】
そして、除去効率がある値まで低下した時点、例えば90%になった時点を不純物除去部の寿命と定める。演算部15は、不純物濃度測定手段によって測定された測定値によって連続的あるいは定期的に各々の不純物除去部13a,13bの除去効率を演算し、除去効率が次第に低下してきて90%に近づいた時点、例えば91%になったところで、装置操作部16に不純物ガス除去部13の効率低下が分かるように表示する。装置のオペレータは、装置操作部16への表示により不純物ガス除去部の寿命が近いことを知ることができる。報知手段は、ディスプレイを用いた視覚的な表示、音による表示、合成音声による表示等いずれの表示方法を用いてもよい。
【0026】
不純物濃度測定手段14e,14f,14gは、不純物除去部13a,13bに関連した位置以外にも、XYステージ6の付近、ウエハ待機位置8、照明系3の内部等、不純物汚染による影響が懸念される位置に設置することができる。
【0027】
また、汚染が懸念される装置内の位置における不純物濃度が、予め定められた濃度以上になった時点を不純物除去部13a,13bの寿命と定めることもできる。この場合、各位置での不純物濃度測定値が予め定められた値になった時点か、もしくはその値に近づいてきた時点でそれを報知して、不純物除去フィルターの交換時期を知らせるができる。不純物濃度測定値が寿命点を上回った場合には、装置を停止させるなどして装置の汚染を防止するようにしてもよい。
【0028】
チャンバー9の外部に不純物濃度測定手段を設置して外気中の不純物濃度を測定するようにすると、何らかの不都合により外気中の不純物濃度が異常に高くなった時に装置使用環境の異常として報知することができる。外気中の不純物ガス濃度が異常に高くなった場合、たとえ不純物除去部を通してから外気をチャンバー9内に導入しているとはいえチャンバー9内が汚染される可能性があるため、外気導入部の圧送ファン12を止めて外気導入を停止することで、装置の汚染を未然に防止することが好ましい。図1の例においては、外気導入部に設置された不純物除去手段13aの上流側に配置された不純物濃度測定手段14aを、装置外部の不純物濃度測定手段として兼用してもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、露光装置に不純物濃度測定手段を設置して装置内部及び使用環境の不純物濃度を測定することで、不純物除去フィルターの寿命管理を適切に行うことができる。また、装置外部の不純物濃度の管理が行えるので装置設置環境に異常が発生した場合に速やかに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による露光装置の一例を示す概略図。
【図2】露光装置の概念図。
【図3】ケミカルフィルターの不純物除去効率の時間変化を示す図。
【符号の説明】
1…光源部、2…ミラー、3…照明系部、4…レチクル、5…投影レンズ、6…XYステージ、7…ウエハ、8…ウエハ待機部、9…チャンバー、10…空調手段、11…圧送ファン、12…圧送ファン、13…不純物除去部、14…不純物濃度測定手段、15…演算部、16…装置操作部
Claims (8)
- 紫外域又は遠紫外域の光を射出する光源と、前記光源から射出された光をマスクに入射させる照明系部と、前記マスクのパターンを感光性基板上に形成する露光部とを備える露光装置において、
露光装置の一部又は全部を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内に外気を導入する外気導入手段と、
前記チャンバー内に導入される外気もしくは前記チャンバー内を循環するガスに含まれるガス状不純物を除去するための不純物除去フィルターと、
前記不純物除去フィルターの上流側及び下流側にそれぞれ配置された不純物濃度測定手段と、
前記不純物除去フィルターの上流側に配置された不純物濃度測定手段の測定値と下流側に配置された不純物濃度測定手段の測定値から前記不純物除去フィルターの寿命を推定する手段とを備えることを特徴とする露光装置。 - 前記不純物除去フィルターが、前記チャンバー内に導入される外気に含まれるガス状不純物を除去する時、該不純物除去フィルターの上流側に配置された不純物濃度測定手段が所定濃度以上のガス状不純物を検出したとき前記外気導入手段の運転を停止させることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
- 前記不純物濃度測定手段の測定値に基づいて、前記不純物除去フィルターにおける前記ガス状不純物の除去効率を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 紫外域又は遠紫外域の光を射出する光源と、前記光源から射出された光をマスクに入射させる照明系部と、前記マスクのパターンを感光性基板上に形成する露光部とを備える露光装置において、
露光装置の一部又は全部を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内に外気を導入する外気導入手段と、
前記チャンバー内に導入される外気に含まれるガス状不純物を除去するための不純物除去フィルターと、
前記外気導入手段の上流側に配置される不純物濃度測定手段とを有し、
前記不純物濃度測定手段が所定濃度以上のガス状不純物を検出したとき前記外気導入手段の運転を停止することを特徴とする露光装置。 - 前記不純物濃度測定手段は、前記チャンバーの外部に設置されることを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記不純物濃度測定手段の測定結果に基づいて、使用環境の異常を報知することを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
- 前記不純物濃度測定手段は、NH4 +及びSO4 2−の少なくとも一方の濃度を測定するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記不純物濃度測定手段は、炭化水素系有機物の濃度を測定するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の露光装置。
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