JP2000306807A - 露光装置、露光方法、及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

露光装置、露光方法、及び半導体デバイスの製造方法

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JP2000306807A
JP2000306807A JP11112297A JP11229799A JP2000306807A JP 2000306807 A JP2000306807 A JP 2000306807A JP 11112297 A JP11112297 A JP 11112297A JP 11229799 A JP11229799 A JP 11229799A JP 2000306807 A JP2000306807 A JP 2000306807A
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gas
illumination light
optical
lens barrel
exposure apparatus
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JP11112297A
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English (en)
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Kuniharu Matsuda
国治 松田
Toru Nakamura
徹 中村
Kajiro Ushio
嘉次郎 潮
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学素子の経時的な汚染による透過率の低下
や照度分布の不均一化を十分に防止することである。 【解決手段】 レンズ等の光学素子を鏡筒に接着保持し
て構成されるレンズユニット23,27に、光学素子の
接着に用いた接着剤の種類(例えば、シリコーン系、エ
ポキシ系)に応じて、酸素濃度調整装置46により酸素
濃度を所定値に調整した気体(空気)及び/又は水蒸気
圧調整装置48により水蒸気圧を所定値に調整した気体
(空気)を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体素
子、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等の半導体デバ
イスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクのパタ
ーンを基板上に転写するために使用される露光装置、露
光方法及びこれらを用いて製造された半導体デバイスに
関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスを製造するためのリソグ
ラフィ工程においては、光源からの照明光でパターンが
形成されたマスク(レチクルを含む)を介して、感光剤
が塗布された半導体ウエハ等の基板(感光基板)を露光
することにより、該基板上にマスクのパターンの像を転
写する露光装置が使用される。光源からの照明光は、複
数の光学素子(レンズ、ミラー等)を含む光学系を介し
て基板まで導かれ、光源からマスクに至る光路を構成す
る光学系は照明光学系と、マスクから基板に至る光路を
構成する光学系は投影光学系と一般に呼ばれている。ま
た、光源からの照明光は、各種位置決めに使用されるア
ライメント光学系に導かれる。これらの光学系を構成す
るレンズ等の光学素子は、接着剤により鏡筒に直接にあ
るいは保持枠等を介して接着・固定される。また、これ
らの光学系はその全体あるいは一部が樹脂からなる隔壁
等を有する筐体に収容される場合がある。
【0003】ところで、このような露光装置において
は、半導体デバイスの集積度及び微細度の向上に対応す
るため、特に解像力を高めることが要求されており、そ
の解像力は、ほぼ照明光の波長に比例するため、照明光
は次第に短波長化されている。即ち、照明光は水銀ラン
プの可視域のg線(波長436nm)から紫外域のi線
(波長365nm)へと代わり、最近ではKrFエキシ
マレーザ光(波長248nm)が実用されるようになっ
ている。そして、現在では、ArFエキシマレーザ光
(波長193nm)が実用されつつあり、さらにはF
レーザ光(波長157nm)等の使用が検討されて
いる。
【0004】ここで、光学素子等の接着に使用する接着
剤や筐体を構成する樹脂部材はモノマーやオリゴマーの
重合等によって硬化する。重合が進行するにつれて、分
子鎖は密なネットワークを形成するようになり、その反
応性が低下してくる。また、特に複数の液を混合して調
整する種類のものでは、反応種の化学量論比が満足され
ていないことがある。このような理由から、通常、硬化
した樹脂中には未反応のモノマーやオリゴマーが含まれ
ている。また、モノマーやオリゴマー中には、精製によ
って除去できなかったモノマー原料が含まれていること
もある。これらの残留低分子量物質は樹脂から脱ガスと
して放散される。
【0005】そして、ArFエキシマレーザ光程度以下
の波長域、即ちほぼ200nm程度以下の真空紫外域
(VUV)では、光路中に存在する前記脱ガス等を含む
汚染物質や該汚染物質が紫外線照射により光化学反応し
て生成された物質(これらを総称して、不純物とする)
が光学素子の表面に凝集付着することにより、照明光の
透過率が低下し、あるいは照度分布の均一性が劣化して
しまうという問題が生じた。
【0006】この問題を緩和すべく、上述した鏡筒や筐
体の内部に、窒素、又はヘリウム等の不活性ガスを封入
し、あるいは漏洩を考慮して当該不活性ガスを当該鏡筒
や筐体に与圧供給することが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光路中
に存在する不純物の種類が異なる場合がある。例えば、
鏡筒に対する光学素子の接着等に使用される接着剤とし
ては、その成分が異なる種々のものが使用される場合が
あり、それぞれの接着剤からの脱ガスが混合すると、紫
外線照射により光学素子の汚染が促進される場合があ
る。
【0008】また、同様に接着剤としてその成分の異な
る複数種類のものを使用した場合において、各鏡筒や筐
体に単一種類の気体を供給した場合には、ある種類の接
着剤からの脱ガスを含む雰囲気に接触する光学素子に対
する汚染を有効に抑制できたとしても、他の種類の接着
剤からの脱ガスを含む雰囲気に接触する光学素子に対す
る汚染を有効に抑制することはできない場合があり、そ
れぞれに適した成分の気体をその光路上に供給すること
が望ましい。
【0009】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、光学素子の経時的な汚染による透過率の低下や照
度部分の不均一化を十分に防止し、高精度で信頼性の高
い半導体デバイスを製造することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以下、この項に示す説明
では、理解の容易化のため、本発明の各構成要件に実施
の形態の図に示す参照符号を付して説明するが、本発明
の各構成要件は、これら参照符号によって限定されるも
のではない。
【0011】1.上記目的を達成するため、本発明の第
1の観点によると、照明光源(13)からの照明光(I
L)をマスク(R)に照射して、前記マスク上のパター
ンを光学系(21,PL)を介して基板(W)上に転写
する露光装置において、前記光学系の一部を構成する光
学素子(231,232)を保持する鏡筒(234)
と、前記鏡筒内に気体を供給する供給装置(12)と、
前記鏡筒内に存在する不純物の種類に応じて前記気体の
酸素濃度及び水蒸気圧の少なくとも一方を調整する調整
装置(46,48)とを備えることを特徴とする露光装
置が提供される。
【0012】また、本発明の第1の観点によると、照明
光源(13)からの照明光(IL)をマスク(R)に照
射して、前記マスク上のパターンを基板(W)上に転写
する露光方法において、前記照明光の光路又はその近傍
で、かつ不純物を含む雰囲気に配置される光学部材(2
31,232,233)の周囲に気体を供給し、前記不
純物の種類に応じて、前記気体のガス濃度及び水蒸気圧
の少なくとも一方を調整し、前記ガス濃度及び前記水蒸
気圧の少なくとも一方を調整した状態で、前記マスク上
のパターンを前記基板上に転写することを特徴とする露
光方法が提供される。前記ガス濃度とは、前記気体が混
合気体である場合のある特定の成分の全体に対する体積
比を意味する。
【0013】これらの場合において、前記光学系には投
影光学系のみならず、前記照明光源からの前記照明光を
前記マスクに照射する照明光学系も含まれる。また、前
記光学系にはマスクや基板等の位置決めに使用されるア
ライメント光学系やその他の光学系も含まれる。
【0014】ここで、前記光学部材とは、光学系を構成
するあらゆる部材を含み、レンズ、ミラー、フィルタ、
ビームスプリッタ、ガラス板(透明板)、受光素子等の
光路上に配置される光学素子のみならず、これらを保持
するための保持部材(例えば、保持枠)等を含む。但
し、光学素子という語には、光学素子単体のみならず、
保持部材等に保持された状態の光学素子をも含む場合が
あるものとする。前記所定箇所とは、例えば、前記光学
部材がレンズ保持枠である場合には鏡筒に相当し、前記
光学部材がレンズである場合にはレンズ保持枠又は鏡筒
に相当する。
【0015】これらの場合において、前記接着剤がシリ
コーン系樹脂である場合には前記気体の酸素濃度を調整
することが望ましく、前記接着剤がエポキシ系樹脂であ
る場合には前記気体の水蒸気圧を調整することが望まし
い。
【0016】ArFエキシマレーザ光の波長(発振中心
波長193nm)程度以下の紫外線は極めて高いエネル
ギーを持っているため、その照射により光路中の雰囲気
に応じて、種々の光化学反応が起こっていることが実験
的に推測される。光学素子の透過率や反射率等の光学特
性に影響を与える光化学反応としては、当該雰囲気中の
有機物(接着剤からの脱ガスを含む)等を化学的に分解
して、光学素子の表面で凝集・付着することにより光学
特性を劣化させる物質を生成する反応(以下、汚染反応
という)と、これと逆に、光学素子の表面に付着した該
光学特性を劣化させる物質を分解して除去する、いわゆ
る光洗浄を行う反応(以下、洗浄反応という)の二つが
同時に進行しているものと考えられる。
【0017】そして、前者の反応(汚染反応)が後者の
反応(洗浄反応)より優勢である場合には、光学素子の
光学特性は経時的に劣化していき、一方、後者の反応
(洗浄反応)が前者の反応(汚染反応)よりも優勢であ
る場合には、光学素子の光学特性は劣化することはな
い。このことは、照明光の光路の雰囲気を調整すること
により、後者の反応、即ち洗浄反応が優勢となるように
すれば、経時的な光学特性の劣化が防止され、照度の低
下や照度分布の均一性の劣化を抑制することができるこ
とを意味する。
【0018】本願発明者はかかる観点から鋭意、実験研
究を重ねた結果、光路雰囲気中の気体の酸素濃度又は水
蒸気圧を調整することより、かかる洗浄反応を汚染反応
よりも優勢にできる場合があることを見出した。
【0019】即ち、前記本発明の露光装置は、前記接着
剤の種類に応じて、光学素子を保持する鏡筒内又は光学
部材の周囲に供給する気体の酸素濃度及び水蒸気圧の少
なくとも一方を調整する調整装置を備えているので、洗
浄反応を汚染反応よりも優位となるように、当該調整装
置により光路雰囲気中の気体の酸素濃度又は水蒸気圧を
調整することにより、経時的に光学素子の表面に汚染物
質が付着・堆積することが抑制され、透過率や反射率等
の光学特性が経時的に劣化したり、照度低下や照度分布
が不均一となることが少なくなる。
【0020】前記気体としては、例えば、窒素ガス(N
)、ヘリウムガス(He)等を用いることができ
る。前記気体としては、清浄な空気(クリーンエアー)
を用いることもでき、該空気の酸素濃度及び水蒸気圧の
いずれか一方を調整するようにできる。空気はヘリウム
ガス等の不活性ガスと比較して極めて安価であるので、
運転コストを大幅に低減することができる。
【0021】また、前記鏡筒内に供給した前記気体を回
収する回収装置をさらに備えていてもよく、このように
すれば、前記供給装置から前記気体をフロー供給して常
時回収し、あるいは必要に応じて供給及び回収できるか
ら、当該脱ガスを含む気体によって他の光学素子等が汚
染されることを少なくすることができる。
【0022】2.上記目的を達成するため、本発明の第
2の観点によると、照明光源(13)からの照明光(I
L)をマスク(R)に照射して、前記マスク上のパター
ンを光学系(21,PL)を介して基板(W)上に転写
する露光装置において、前記光学系の一部を構成する光
学素子(231,232)を第1接着剤により保持する
第1鏡筒(234)と、前記第1鏡筒内に第1気体を供
給する第1供給装置(12)と、前記光学系の他の一部
を構成する光学素子(271)を第2接着剤により保持
する第2鏡筒(273)と、前記第2鏡筒内に第2気体
を供給する第2供給装置(12)とを備えたことを特徴
とする露光装置が提供される。
【0023】前記第1気体と前記第2気体の種類(成
分)としては互いに同一のもの、あるいは互いに異なる
ものを採用することができ、前記第1気体としてはその
酸素濃度及び水蒸気圧の少なくとも一方を前記第1接着
剤の種類に応じて調整したものを採用するとともに、前
記第2気体としてはその酸素濃度及び水蒸気圧の少なく
とも一方を前記第2接着剤の種類に応じて調整したもの
を採用するようにできる。この場合において、特に限定
されないが、上記構成に追加して、前記第1鏡筒に供給
された前記第1気体を回収する第1回収装置と、前記第
2鏡筒に供給された前記第2気体を回収する第2回収装
置とをさらに設けてもよい。
【0024】また、本発明の第2の観点によると、照明
光源(13)からの照明光(IL)をマスク(R)に照
射して、前記マスク上のパターンを基板(W)上に転写
する露光装置において、前記照明光の光路又はその近傍
で、かつ第1不純物を含む雰囲気内に配置される第1光
学部材(231,232,233)と、前記照明光の光
路又はその近傍で、かつ前記第1不純物の成分とは異な
る第2不純物を含む雰囲気内に配置される第2光学部材
(271,272a,272b)と、前記第1不純物を
含む雰囲気と、前記第2不純物を含む雰囲気とを分離す
る分離手段(234,273)とを有することを特徴と
する露光装置が提供される。
【0025】さらに、本発明の第2の観点によると、照
明光源(13)からの照明光(IL)をマスク(R)に
照射して、前記マスク上のパターンを基板(W)上に転
写する露光方法において、前記照明光の光路又はその近
傍で、かつ第1不純物の近傍に配置される第1光学部材
(231,232,233)の雰囲気と、前記照明光の
光路又はその近傍で、かつ前記第1不純物の成分とは異
なる第2不純物の近傍に配置される第2光学部材(27
1,272a,272b)の雰囲気とを分離し、前記分
離した状態で、前記マスク上のパターンを前記基板上に
転写することを特徴とする露光方法が提供される。
【0026】これらの場合において、前記光学系には投
影光学系のみならず、前記照明光源からの前記照明光を
前記マスクに照射する照明光学系も含まれる。また、前
記光学系にはマスクや基板等の位置決めに使用されるア
ライメント光学系やその他の光学系も含まれる。
【0027】ここで、前記光学部材とは、光学系を構成
するあらゆる部材を含み、レンズ、ミラー、フィルタ、
ビームスプリッタ、ガラス板(透明板)、受光素子等の
光路上に配置される光学素子のみならず、これらを保持
するための保持部材(例えば、保持枠)等を含む。但
し、光学素子という語には、光学素子単体のみならず、
保持部材等に保持された状態の光学素子をも含む場合が
あるものとする。前記所定箇所とは、例えば、前記光学
部材がレンズ保持枠である場合には鏡筒に相当し、前記
光学部材がレンズ自体である場合にはレンズ保持枠又は
鏡筒に相当する。
【0028】光学素子又は光学部材の接着に異なる種類
(成分)の接着剤(第1接着剤と第2接着剤)を使用す
ると、それぞれの接着剤からの脱ガスが混合して、紫外
線照射により光学素子の表面に付着して光学特性を劣化
させる物質の生成が促進される場合がある。本発明で
は、第1鏡筒には第1気体を、第2鏡筒には第2気体を
供給するようにし、あるいは分離手段によって第1接着
剤を含む雰囲気と第2接着剤を含む雰囲気を分離するよ
うにしたので、これらの第1及び第2気体又は第1接着
剤を含む雰囲気と第2接着剤を含む雰囲気が混合するこ
とがないので、そのような問題が生じることがなくな
り、光学素子の透過率又は反射率等の光学特性が経時的
に劣化したり、照度が低下したり、照度分布の均一性が
劣化することも少なくすることができる。
【0029】特に、前記第1鏡筒に供給された前記第1
気体を回収する第1回収装置と、前記第2鏡筒に供給さ
れた前記第2気体を回収する第2回収装置とを追加的に
設ければ、前記第1接着剤からの脱ガスを含む第1気体
と前記第2接着剤からの脱ガスを含む第2気体を、互い
に分離した状態を保ちつつ、常時あるいは必要に応じて
回収できるから、それぞれの脱ガスを含む気体又はこれ
らの混合気体によって他の光学素子等が汚染されること
が少なくなる。
【0030】3.上記目的を達成するため、本発明の第
3の観点によると、上述した本発明の第1及び第2の観
点の各露光装置又は各露光方法のいずれか一を用いて製
造される半導体デバイスが提供される。上記本発明の露
光装置又は露光方法は、照明光の照度が経時的に低下す
ることが少なく、照度分布の均一性が経時的に劣化する
ことも少ないので、高精度で信頼性が高い半導体デバイ
スを長期に渡って安定的に且つ高いスループットで製造
することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。
【0032】図1は本発明の実施形態の投影露光装置を
示す概略構成図であり、図2は本発明の実施形態の気体
供給・回収装置の構成を示すブロック図である。
【0033】図1において、半導体製造工場のある階の
床F1上のクリーンルーム内に投影露光装置の露光本体
部11が設置され、その階下の床F2上のいわゆる機械
室(ユーティリティスペース)内に、階上の露光本体部
11に気体(この実施形態では、空気)を供給し、さら
に回収する気体供給・回収装置12が設置されている。
気体供給・回収装置12は、発塵し易く、振動発生源と
なる場合があるため、露光本体部11が設置されている
階と別の階に設置することによって、露光本体部11が
設置されているクリーンルーム内の清浄度を極めて高く
設定できるとともに、露光本体部11に対する振動の影
響を小さくすることができる。また、レーザ光源13を
床F2上に配置し、露光本体部11による床F1の占有
面積(フットプリント)を小さくし、かつ露光本体部1
1への振動を小さくしてもよい。
【0034】気体供給・回収装置12は、露光本体部1
1が設置されている階の階上に置いても構わないし、気
体供給・回収装置12のうち、供給装置は床F2上に配
置し、回収装置は床F1又はその階上に配置するように
してもよい。気体供給・回収装置12は、後に詳述する
ように、酸素濃度及び/又は水蒸気圧が所定の範囲内で
調整された清浄、高純度、且つ温度制御された空気(窒
素と酸素を主成分とする混合気体)を供給する供給装置
と、供給した空気を回収する回収装置を備えて構成され
る。
【0035】まず、床F1上のクリーンルーム内におい
て、防振台14,14を介して箱状の光源ケース15が
設置され、光源ケース15内に照明光としてのArFエ
キシマレーザ光(波長193nm)を射出するレーザ光
源(照明光源)13、露光本体部11との間で光路を位
置的にマッチングさせるための可動ミラー等を含むビー
ムマッチングユニット(BMU)16、及び内部を照明
光が通過する遮光性のパイプ17が設置されている。ま
た、ケース15の隣に箱状の気密性の良好な環境チャン
バ18が設置され、環境チャンバ18内で床F1上に床
からの振動を減衰するための防振台19,19を介して
定盤20が設置されている。また、光源ケース15内か
ら突き出ているパイプ17から環境チャンバ18の内部
まで気密性の良好なサブチャンバ21が架設され、サブ
チャンバ21内に照明光学系の大部分が収納されてい
る。
【0036】まず、露光時に、光源ケース15内のレー
ザ光源13から射出された照明光としての波長193n
mの紫外パルス光ILは、BMU16及びパイプ17の
内部を経てサブチャンバ21内に至る。サブチャンバ2
1内において、紫外パルス光ILは、光アッテネータと
しての可変減光器22、複数のレンズを有するレンズユ
ニット(第1レンズユニット)23を含むビーム整形光
学系を経てフライアイレンズ24に入射する。フライア
イレンズ24の射出面には照明条件を種々に変更するた
めの照明系の開口絞り系25が配置されている。
【0037】フライアイレンズ24から射出されて開口
絞り系25中の所定の開口絞りを通過した紫外パルス光
ILは、反射ミラー26、及び複数のレンズを有するレ
ンズユニット(第2レンズユニット)27を有するレン
ズ系を経てレチクルブラインド機構28内のスリット状
の開口部を有する固定照明視野絞り(固定ブラインド)
29に入射する。さらに、レチクルブラインド機構28
内には、固定ブラインド29とは別に照明視野領域の走
査方向の幅を可変とするための可動ブラインド30が設
けられている。
【0038】レチクルブラインド機構28の固定ブライ
ンド29でスリット状に整形された紫外パルス光IL
は、結像用レンズ系31、反射ミラー32、及び主コン
デンサレンズ系33を介して、レチクルRの回路パター
ン領域上のスリット状の照明領域を一様な強度分布で照
射する。
【0039】本実施形態では、パイプ17の射出面から
主コンデンサレンズ系33までがサブチャンバ21内に
収納され、さらにパイプ17の内部からレーザ光源13
の射出面までの空間も密閉されて、サブチャンバ21内
の空間に連通している。また、サブチャンバ21内に
は、レチクルブラインド系28の駆動回路やその他の回
路が形成された複数のプリント配線板(プリント配線板
パッケージ)を、気密性の筐体である回路ケースの内部
に収容した回路ユニット34が配置されている。
【0040】紫外パルス光ILのもとで、レチクルRの
照明領域内の回路パターンの像が投影光学系PLを介し
てウエハW上のレジスト層のスリット状の露光領域に転
写される。その露光領域は、ウエハW上の複数のショッ
ト領域のうちの1つのショット領域上に位置している。
本実施形態の投影光学系PLは、ジオプトリック系(屈
折系)であるが、投影光学系PLをカタジオプトリック
系(反射屈折系)、又は反射系としてもよい。以下で
は、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z
軸に垂直な平面内で図1の紙面に平行にX軸、図1の紙
面に垂直にY軸を取って説明する。
【0041】レチクルRは、レチクルステージ35上に
吸着保持され、レチクルステージ35は、レチクルベー
ス36上にX方向(走査方向)に等速移動できるととも
に、X方向、Y方向、回転方向に微動できるように載置
されている。レチクルステージ35(レチクルR)の2
次元的な位置、及び回転角は、レーザ干渉計を備えた不
図示の駆動制御ユニットに制御されている。
【0042】一方、ウエハWはウエハホルダ37上に吸
着保持され、ウエハホルダ37はウエハステージ38上
に固定され、ウエハステージ38は定盤20上に載置さ
れている。ウエハステージ38は、オートフォーカス方
式でウエハWのフォーカス位置(Z方向の位置)、及び
傾斜角を制御してウエハWの表面を投影光学系PLの像
面に合わせ込むとともに、ウエハWのX方向への等速走
査、及びX方向、Y方向へのステッピングを行う。ウエ
ハステージ38(ウエハW)の2次元的な位置、及び回
転角も、レーザ干渉計を備えた不図示の駆動制御ユニッ
トに制御されている。走査露光時には、レチクルステー
ジ35を介して紫外パルス光ILの照明領域に対してレ
チクルRが+X方向(又は−X方向)に速度Vrで走査
されるのに同期して、ウエハステージ38を介して露光
領域に対してウエハWが−X方向(又は+X方向)に速
度β・Vr(βはレチクルRからウエハWへの投影倍
率)で走査される。
【0043】サブチャンバ21内の第1レンズユニット
23は、例えば、図3に示されているように構成されて
いる。同図において、231は複数の光学レンズ(光学
素子)であり、232は保護用のガラス板(光学素子)
である。これらの光学レンズ231、ガラス板232の
表面には反射防止膜が形成されている。各光学レンズ2
31、ガラス板232はそれぞれ無塗装のアルミニウム
製の保持枠233に接着剤を用いて接着固定されてい
る。234は外筒235の内側に内筒236を嵌合して
なる鏡筒であり、光学レンズ231、ガラス板232が
それぞれ接着固定された複数の保持枠233が内筒23
6の所定の位置にそれぞれ取り付けられている。外筒2
35には気体の吸入口237、排出口238、及びこれ
らに連通された気体通路239が形成されており、内筒
236には外筒の気体通路239に連通するように内外
に貫通する複数の通孔が形成されている。鏡筒234
(外筒235,内筒236)は無塗装のアルミニウム製
のものを用いた。
【0044】吸入口237から気体が供給されると、外
筒235の気体通路239及び内筒236の通孔を介し
て、各光学レンズ231、ガラス板232及び内筒23
6の内面等により画成される室(空間)に該気体が流入
し、内筒236の通孔、外筒235の気体通路239を
介して排出口238から気体が排出される。光学レンズ
231、ガラス板232を保持枠233に接着するのに
用いる接着剤としては、各種のものを採用することがで
きるが、ここでは、各光学レンズ231を高精度に支持
する為、硬化速度がエポキシ系接着剤より遅く弾性力を
もつ二液混合型のシリコーン系接着剤を用いた。保持枠
233、鏡筒234を無塗装としたのは、塗装に含まれ
る有機溶剤等による汚染を防止するためである。
【0045】サブチャンバ21内の第2レンズユニット
27は、例えば、図4(A)及び(B)に示されている
ように構成されている。同図において、271は複数の
光学レンズ(光学素子)であり、これらの光学レンズ2
71の表面には反射防止膜が形成されている。各光学レ
ンズ271はそれぞれ無塗装のアルミニウム製のレンズ
押え枠272a,272bに押え込まれている。273
は鏡筒であり、光学レンズ271を保持した複数のレン
ズ押え枠272a,272bが鏡筒273の内側の所定
の位置にそれぞれ接着剤を用いて接着固定されている。
レンズ押え枠272a,272bには、各光学レンズ2
71、鏡筒273の内面等により画成される室(空間)
を連通する複数の通孔274が形成されている。鏡筒2
73は無塗装のアルミニウム製のものを用いた。
【0046】鏡筒273の一端側の吸入口(不図示)か
ら気体が供給されると、レンズ押え枠272a,272
bの通孔274を介して、各光学レンズ271、及び鏡
筒273の内面等により画成される室(空間)に該気体
が順次流入し、鏡筒273の他端側の排出口(不図示)
から気体が排出される。レンズ押え枠272a,272
bを鏡筒273に接着するのに用いる接着剤としては、
各種のものを採用することができるが、ここでは、硬化
時間が早く、金物同士の接着剤としてよく用いられる二
液混合型のエポキシ系接着剤を用いた。レンズ押え枠2
72a,272b、鏡筒273を無塗装としたのは、塗
装に含まれる有機溶剤等による汚染を防止するためであ
る。
【0047】サブチャンバ21内の回路ユニット34
は、例えば、図5に示されているように構成されてい
る。同図において、341は複数のIC、LSI等の電
子部品342をプリント配線板343に実装してなるプ
リント配線板パッケージであり、プリント配線板パッケ
ージ341は無塗装のアルミニウム等の金属板を箱状に
形成してなる気密性の筐体である回路ケース344内に
収容されている。プリント配線板パッケージ341の枚
数は、同図では1枚となっているが、複数毎であっても
よい。回路ケース344には気体の吸入口345及び排
出口346がそれぞれ形成されており、回路ケース34
4の吸入口345から気体が供給されると、回路ケース
344の内部を該気体が流通して、排出口346から排
出される。347はプリント配線板パッケージ341と
外部の電気回路等を接続するためのケーブルである。回
路ケース344を無塗装としたのは、塗装に含まれる有
機溶剤等による汚染を防止するためである。また、ケー
ブル347の被覆の材質としては、脱ガス成分が少ない
テフロン樹脂を用いる。さらに、ケーブル347の被覆
の材質として通常のナイロンを用いる場合には、その表
面にアルミ箔(アルミホイール)を巻いてもよい。
【0048】投影光学系PLは、例えば、図6(A)及
び(B)にその一部が示されているように構成されてい
る。同図において、391は複数の光学レンズ(光学素
子)であり、これらの光学レンズ391の表面には反射
防止膜が形成されている。各光学レンズ391はそれぞ
れ無塗装のアルミニウム製の保持枠392に接着剤を用
いて接着固定されている。393は外筒394の内側に
内筒395を嵌合してなる鏡筒であり、光学レンズ39
1がそれぞれ接着固定された複数の保持枠392が内筒
395の所定の位置にそれぞれ取り付けられている。外
筒394には気体の吸入口396、排出口397、及び
これらに連通された気体通路398が形成されており、
内筒395には外筒の気体通路398に連通するように
内外に貫通する複数の通孔が形成されている。鏡筒39
3(外筒394,内筒395)は無塗装のアルミニウム
製のものを用いた。
【0049】吸入口396から気体が供給されると、外
筒394の気体通路398及び内筒395の通孔を介し
て、各光学レンズ391及び内筒395の内面等により
画成される室(空間)に該気体が流入し、内筒395の
通孔、外筒394の気体通路398を介して排出口39
7から気体が排出される。光学レンズ391を保持枠3
92に接着するのに用いる接着剤としては、各種のもの
を採用することができるが、ここでは、二液混合型のシ
リコーン系接着剤を用いた。保持枠392、鏡筒393
を無塗装としたのは、塗装に含まれる有機溶剤等による
汚染を防止するためである。
【0050】上述した第1レンズユニット23(図
3)、第2レンズユニット27(図4)、回路ユニット
34(図5)、及び投影光学系PL(図6)の構成は、
説明のために簡略化してある。
【0051】本実施形態の気体供給・回収装置12につ
いて、図1及び図2を参照して詳細に説明する。気体供
給・回収装置12は、酸素濃度及び/又は水蒸気圧が調
整された清浄、高純度、且つ温度制御された空気(窒素
及び酸素を主成分とする混合気体)を所定の室(空間)
に供給し、これを回収する装置である。
【0052】まず、気体(空気)の供給及び回収のため
の配管系について説明する。
【0053】環境チャンバ18には、気体の吸入口及び
排出口がそれぞれ設けられている。環境チャンバ18の
吸入口には、気体供給・回収装置12の気体供給用の供
給管41からの分岐管41aが接続されており、環境チ
ャンバ18の排出口には、気体供給・回収装置12の気
体回収用の回収管42からの分岐管42aが接続されて
いる。
【0054】投影光学系PLの鏡筒393の吸入口39
6(図6)には、気体供給・回収装置12の気体供給用
の供給管41からの分岐管41bが接続されており、投
影光学系PLの鏡筒393の排出口397(図6)に
は、気体供給・回収装置12の気体回収用の回収管42
の分岐管42bが接続されている。
【0055】第1レンズユニット23の鏡筒234の吸
入口237(図3)には、気体供給・回収装置12の気
体供給用の供給管41からの分岐管41cが接続されて
おり、第1レンズユニット23の鏡筒234の排出口2
38(図3)には、気体供給・回収装置12の気体回収
用の回収管42からの分岐管42cが接続されている。
【0056】サブチャンバ21には、気体の吸入口及び
排出口がそれぞれ設けられている。サブチャンバ21の
吸入口には、気体供給・回収装置12の気体供給用の供
給管43からの分岐管43aが接続されており、サブチ
ャンバ21の排出口には、気体供給・回収装置12の気
体回収用の回収管44からの分岐管44aが接続されて
いる。
【0057】第2レンズユニット27の鏡筒273(図
4)の吸入口には、気体供給・回収装置12の気体供給
用の供給管43からの分岐管43bが接続されており、
第2レンズユニット27の鏡筒273(図4)の排出口
には、気体供給・回収装置12の気体回収用の回収管4
4からの分岐管44bが接続されている。
【0058】回路ユニット34の回路ケース344の吸
入口345(図5)には、気体供給・回収装置12の気
体供給用の供給管43からの分岐管43cが接続されて
おり、回路ユニット34の回路ケース344の排出口3
46(図5)には、気体供給・回収装置12の気体回収
用の回収管44からの分岐管44cが接続されている。
【0059】図2に示されているように、各供給管4
1,43の分岐管41a,41b,41c,43a,4
3b,43cには、この気体供給・回収装置12の制御
装置45によりその開閉が制御される開閉バルブV1〜
V6が設けられており、これらの開閉バルブV1〜V6
の作動を制御することにより、環境チャンバ18、投影
光学系PL、第1レンズユニット23、サブチャンバ2
1、第2レンズユニット27、及び回路ユニット34に
対する気体の供給を選択的に実施又は停止することがで
きるようになっている。
【0060】なお、各回収管42,44の分岐管42
a,42b,42c,44a,44b,44cに、この
気体供給・回収装置12の制御装置45によりその開閉
が制御される開閉バルブをそれぞれ設け、これらの開閉
バルブの作動を制御することにより、環境チャンバ1
8、投影光学系PL、第1レンズユニット23、サブチ
ャンバ21、第2レンズユニット27、及び回路ユニッ
ト34からの気体の回収を選択的に実施又は停止するよ
うにできる。
【0061】また、気体供給・回収装置12による気体
の供給及び回収は、環境チャンバ18、投影光学系P
L、第1レンズユニット23、サブチャンバ21、第2
レンズユニット27、及び回路ユニット34に限られる
ことはなく、例えば、光源ケース15やその他の光学ユ
ニット等について行うようにすることができる。
【0062】次に、気体供給・回収装置12の構成につ
いて、図2を参照して説明する。この気体供給・回収装
置12は、制御装置45、酸素濃度調整装置46、窒素
(N )ボンベ47、水蒸気圧調整装置48、純空気
ボンベ49、浄化装置50、酸素濃度センサ51、水蒸
気圧センサ52、温度調整装置(不図示)、回収装置5
3、及び回収ボンベ54を備えて構成されている。
【0063】純空気ボンベ49には、極めて清浄で、高
純度に調整された圧縮空気(窒素78%、酸素21%、
その他1%)が封入されている。窒素ボンベ47には、
純度の高い窒素ガスが封入されている。
【0064】浄化装置50は、回収された空気又はクリ
ーンルーム55内の空気を取り込んで、これらの空気に
含まれている汚染物質を除去・分離する装置であり、こ
れらの空気に含まれている汚染物質を分離・除去するの
に適した化学フィルタ、その他の濾過装置、空気と汚染
物質との化学的性質の違いを利用した分離装置等を単体
であるいは組み合わせたものを用いることができる。
【0065】本実施形態では、浄化装置は、活性炭フィ
ルター、ゼオライトフィルター、あるいはこれらを組み
合わせたものを有しており、空気中に存在するシロキサ
ン(Si−Oの鎖が軸となる物質)やシラザン(Si−
Nの鎖が軸となる物質)等のシリコーン系有機物、アン
モニア等の窒素化合物や硫化化合物等を除去する。
【0066】ここで、シロキサンの1つである、Si−
Oの鎖が輪となった「環状シロキサン」という物質が、
投影露光装置で用いられる接着剤、シーリング剤、塗料
等に含まれており、これが経年変化により脱ガスとして
発生する。環状シロキサンは、感光基板や光学素子(レ
ンズなど)の表面に付着し易く、さらに紫外光が当たる
と、酸化されて、光学素子表面におけるケイ素酸化物系
の曇り物質となる。
【0067】また、シラザンとしては、レジスト塗布工
程で前処理剤として用いられるHMDS(ヘキサ・メチ
ル・ジ・シラザン)がある。HMDSは、水と反応して
シラノールという物質に変化(加水分解)する。シラノ
ールは、感光基板や光学素子などの表面に付着し易く、
さらに紫外光が当たると、酸化されて、光学素子表面に
おけるケイ素酸化物系の曇り物質となる。なお、シラザ
ンは上記加水分解でアンモニアを発生するが、このアン
モニアがシロキサンと共存するとさらに光学素子表面を
曇り易くする。
【0068】さらに、前述の有機物だけでなく、環境チ
ャンバ18内の配線やプラスチックなどの脱ガスとし
て、可塑剤(フタル酸エステルなど)、難燃剤(燐酸、
塩素系物質)なども発生するが、本実施形態ではこれら
可塑剤や難燃剤なども浄化装置50で除去される。な
お、クリーンルーム55内に浮遊するアンモニウムイオ
ンや硫酸イオン等も浄化装置50で除去される。
【0069】酸素濃度調整装置46は、純空気ボンベ4
9又は浄化装置50からの空気に窒素ボンベ47からの
窒素ガスを混合して、その空気の酸素濃度を調整する
(低下させる)ミキサーであり、供給管41に設けられ
た酸素濃度センサ51からの検出信号に基づく制御装置
45からの制御信号に応じて任意の酸素濃度に調整する
ことができる。
【0070】水蒸気圧調整装置48は、純空気ボンベ4
9又は浄化装置50からの空気の水蒸気圧(分圧)を調
整する(低下させる)乾燥機若しくは除湿機であり、供
給管43に設けられた水蒸気圧センサ52からの検出信
号に基づく制御装置45からの制御信号に応じて任意の
水蒸気圧に調整することができる。
【0071】これらの酸素濃度調整装置46により酸素
濃度が調整される際、又は水蒸気圧調整装置48により
水蒸気圧が調整される際には、調整対象としての空気の
温度は不図示の温度調整装置により所定の温度(例え
ば、20〜25°C)に温度調整される。
【0072】回収装置53は、環境チャンバ18、投影
光学系PL、第1レンズユニット23、サブチャンバ2
1、第2レンズユニット27、及び回路ユニット34に
供給された空気を回収管42,44を介して回収するポ
ンプ又はファンを備え、回収した空気を回収ボンベ54
に封入し、あるいは浄化装置50に送る。なお、回収装
置53により回収され、浄化装置50により浄化された
空気は、クリーンルーム55あるいはその外に排出する
ようにしてもよい。また、場合によっては、回収装置5
3により回収された空気を浄化することなく、クリーン
ルーム55の外に排出するようにしてもよい。
【0073】次に、酸素濃度調整装置46による酸素濃
度及び水蒸気圧調整装置48による水蒸気圧の具体的な
数値について検討する。図7は酸素濃度及び水蒸気圧
(分圧)と光吸収量の変化(PA信号の変化)との関係
を実験的に求めた結果を示している。この実験は、光学
レンズを二液混合型のシリコーン系接着剤で接着した図
3又は図6に示したような構成のレンズユニットを用
い、酸素濃度及び水蒸気圧を適宜に変更しつつ、該レン
ズユニットの光吸収量の変化を光音響法により計測した
ものである。また、図8はレンズ押え枠272a,27
2bを鏡筒273に二液混合型のエポキシ系接着剤によ
り接着したことを除いては、図7と同様にして実験的に
求めた結果を示している。
【0074】なお、光音響法とは、音響発生部材に光を
断続的に照射したときの照射光吸収に起因する該音響発
生部材の体積変化により発生する音響信号を計測するこ
とにより、汚染又は付着に起因する光吸収量を計測する
ようにした方法であり、例えば、特開平9−89650
号公報に開示されている。
【0075】また、こららの図7及び図8において、縦
軸は光吸収量の変化をPA(光音響)信号の変化で表し
たものであり、数値が大きくなるほど光吸収量は低下
し、零で光吸収量に変化はなく、マイナスは光洗浄効果
が現れることを示している。
【0076】図7のシリコーン系接着剤を用いた場合に
おいて、酸素5%及び酸素20%は実測値であり、酸素
10%はこれらの実測値から推定した推定値である。通
常のクリーンルームの環境は、温度20〜25°C、湿
度50%程度であり、この場合の空気中の水蒸気圧は9
〜12mmHgである。図7から、この水蒸気圧の範囲
では酸素濃度10%以下ならば、十分実用できると考え
られる。従って、酸素濃度調整装置46により供給する
空気の酸素濃度を10%以下に設定すればよい。
【0077】また、酸素濃度の調整を行わない場合に
は、通常の空気の酸素濃度は約21%であり、図7か
ら、水蒸気圧8mmHg以下ならば、十分実用できると
考えられる。従って、水蒸気圧調整装置48により供給
する空気の水蒸気圧を8mmHg以下に設定すればよ
い。酸素濃度と水蒸気圧の両方を調整すればさらに効果
的であることはいうまでもない。
【0078】図8のエポキシ系接着剤を用いた場合にお
いて、酸素5%及び酸素20%は実測値であり、酸素1
0%はこれらの実測値から推定した推定値である。通常
のクリーンルームの環境は、温度20〜25°C、湿度
50%程度であり、この場合の空気中の水蒸気圧は9〜
12mmHgである。図8から、この水蒸気圧の範囲で
は酸素濃度5〜6%以下ならば、十分実用できると考え
られる。従って、酸素濃度調整装置46により供給する
空気の酸素濃度を5〜6%以下に設定すればよい。
【0079】また、酸素濃度の調整を行わない場合に
は、通常の空気の酸素濃度は約21%であり、図8か
ら、水蒸気圧9mmHg以下ならば、十分実用できると
考えられる。従って、水蒸気圧調整装置48により供給
する空気の水蒸気圧を9mmHg以下に設定すればよ
い。酸素濃度と水蒸気圧の両方を調整すればさらに効果
的であることはいうまでもない。
【0080】しかして、この実施形態における第1レン
ズユニット23の光学レンズ231、ガラス板232、
投影光学系PLの光学レンズ391は、それぞれシリコ
ーン系接着剤を用いて接着されており、環境チャンバ1
8内はシリコーン系有機物が多いと考えられるので、制
御装置45による供給空気の酸素濃度の目標値を10%
に設定して、酸素濃度調整装置46により酸素濃度10
%に調整した空気を供給管41に供給する。このとき、
開閉バルブV1〜V3は開放されており、酸素濃度10
%の空気は、環境チャンバ18、投影光学系PLの鏡筒
393、第1レンズユニット23の鏡筒234に、それ
ぞれ分岐管41a,41b,41cを介して供給され
る。
【0081】これに伴い、各環境チャンバ18、投影光
学系PLの鏡筒393、第1レンズユニット23の鏡筒
234内のシリコーン系有機物を含む空気は分岐管42
a,42b,42cに排出され、回収管42を介して回
収装置53により回収され、浄化装置50で浄化され、
以下同様に循環することになる。従って、環境チャンバ
18、投影光学系PLの鏡筒393、第1レンズユニッ
ト23の鏡筒234内には常に酸素濃度10%に設定さ
れた清浄且つ温度調整された空気が供給されるので、光
学レンズ231,232,391等に経時的に汚染物質
が付着して、照度が低下したり、照度分布が不均一にな
ることが防止される。
【0082】また、この実施形態における第2レンズユ
ニット27では、光学レンズ271を押え込む押え枠2
72a,272bが鏡筒273にエポキシ系接着剤を用
いて接着されており、サブチャンバ21及び回路ユニッ
ト34の回路ケース344内はエポキシ系有機物が多い
と考えられるので、制御装置45による供給空気の水蒸
気圧の目標値を9mmHgに設定して、水蒸気圧調整装
置48により水蒸気圧を9mmHgに調整した空気を供
給管43に供給する。このとき、開閉バルブV4〜V6
は開放されており、水蒸気圧9mmHgの空気は、サブ
チャンバ21、第2レンズユニット27の鏡筒273、
回路ユニット34の回路ケース344に、それぞれ分岐
管43a,43b,43cを介して供給される。
【0083】これに伴い、各サブチャンバ21、第2レ
ンズユニット27の鏡筒273、回路ユニット34の回
路ケース344内のエポキシ系有機物を含む空気は分岐
管44a,44b,44cに排出され、回収管44を介
して回収装置53により回収され、浄化装置50で浄化
され、以下同様に循環することになる。従って、サブチ
ャンバ21、第2レンズユニット27の鏡筒273、回
路ユニット34の回路ケース344内には常に水蒸気圧
9mmHgに設定された清浄且つ温度調整された空気が
供給されるので、光学レンズ271等に経時的に汚染物
質が付着して、照度が低下したり、照度分布が不均一に
なることが防止される。
【0084】なお、回路ユニット34は光学系を構成す
る光学素子を含まないので、上述のように水蒸気圧を調
整した空気を送る必要はないが、別途気体の供給・回収
のための構成を設けるのも煩雑なので、同様の系統で気
体の供給・回収を行うようにしたが、水蒸気圧を調整し
ない気体供給・回収装置を別途設けてもよい。但し、プ
リント配線板にエポキシ樹脂を使用することが多いの
で、エポキシ系に分類できる第2レンズユニット27等
と同一系統で気体の供給・回収を行うのが効率的であ
る。
【0085】また、本実施形態では、図2に示されてい
るように、気体供給・回収装置12の供給管41と43
の間に一対のバイパス管56,57が接続されており、
供給管41,43の一対のバイパス管56,57が接続
される間の部分に、制御装置45により制御される開閉
バルブV7,V8が設けられているとともに、バイパス
管56,57にも制御装置45により制御される開閉バ
ルブV9,V10が設けられている。開閉バルブV7,
V8を閉塞して、開閉バルブV9,V10を開放するこ
とにより、酸素濃度調整装置46からの供給空気をバイ
パス管56を介して供給管43に導き、水蒸気圧調整装
置48からの供給空気をバイパス管57を介して供給管
41に導くことができる。
【0086】この場合には、この実施形態における第1
レンズユニット23の光学レンズ231、ガラス板23
2、投影光学系PLの光学レンズ391は、それぞれシ
リコーン系接着剤を用いて接着されており、環境チャン
バ18内はシリコーン系有機物が多いと考えられるの
で、制御装置45による供給空気の水蒸気圧の目標値を
8mmHgに設定して、水蒸気圧調整装置48により水
蒸気圧8mmHgに調整した空気を供給管41に供給す
る。このとき、開閉バルブV1〜V3は開放されてお
り、水蒸気圧8mmHgの空気は、環境チャンバ18、
投影光学系PLの鏡筒393、第1レンズユニット23
の鏡筒234に、それぞれ分岐管41a,41b,41
cを介して供給される。
【0087】これに伴い、各環境チャンバ18、投影光
学系PLの鏡筒393、第1レンズユニット23の鏡筒
234内のシリコーン系有機物を含む空気は分岐管42
a,42b,42cに排出され、回収管42を介して回
収装置53により回収され、浄化装置50で浄化され、
以下同様に循環することになる。従って、環境チャンバ
18、投影光学系PLの鏡筒393、第1レンズユニッ
ト23の鏡筒234内には常に水蒸気圧8mmHgに設
定された清浄且つ温度調整された空気が供給されるの
で、光学レンズ231,232,391等に経時的に汚
染物質が付着して、照度が低下したり、照度分布が不均
一になることが防止される。
【0088】また、この実施形態における第2レンズユ
ニット27では、光学レンズ271を押え込む押え枠2
72a,272bが鏡筒273にエポキシ系接着剤を用
いて接着されており、サブチャンバ21及び回路ユニッ
ト34の回路ケース344内はエポキシ系有機物が多い
と考えられるので、制御装置45による供給空気の酸素
濃度の目標値を5%に設定して、酸素濃度調整装置46
により酸素濃度を5%に調整した空気を供給管43に供
給する。このとき、開閉バルブV4〜V6は開放されて
おり、酸素濃度5%の空気は、サブチャンバ21、第2
レンズユニット27の鏡筒273、回路ユニット34の
回路ケース344に、それぞれ分岐管43a,43b,
43cを介して供給される。
【0089】これに伴い、各サブチャンバ21、第2レ
ンズユニット27の鏡筒273、回路ユニット34の回
路ケース344内のエポキシ系有機物を含む空気は分岐
管44a,44b,44cに排出され、回収管44を介
して回収装置53により回収され、浄化装置50で浄化
され、以下同様に循環することになる。従って、サブチ
ャンバ21、第2レンズユニット27の鏡筒273、回
路ユニット34の回路ケース344内には常に酸素濃度
5%に設定された清浄且つ温度調整された空気が供給さ
れるので、光学レンズ271等に経時的に汚染物質が付
着して、照度が低下したり、照度分布が不均一になるこ
とが防止される。
【0090】上述した実施形態によると、酸素濃度調整
装置46により酸素濃度を所定値に調整した空気又は水
蒸気圧調整装置48により水蒸気圧を所定値に調整した
空気を、照明光の光路中のそれぞれの雰囲気の性質(例
えば、光学レンズの接着に使用した接着剤の種類等)に
応じて、環境チャンバ18、投影光学系PLの鏡筒39
3、第1レンズユニット23の鏡筒234、サブチャン
バ21、第2レンズユニット27の鏡筒273、回路ユ
ニット34の回路ケース344に供給するようにしたの
で、光学レンズ等の表面を汚染する物質の生成が抑制さ
れ、照度の低下や照度部分の不均一化が防止される。ま
た、供給した空気を回収するようにしているので、雰囲
気中の汚染物質が回収される空気とともに回収されて、
光路上には汚染の少ない所定の空気が供給されるので、
これによっても光学レンズ等の汚染が防止される。
【0091】さらに、所定の空気の供給を、環境チャン
バ18、投影光学系PLの鏡筒393、第1レンズユニ
ット23の鏡筒234、サブチャンバ21、第2レンズ
ユニット27の鏡筒273、回路ユニット34の回路ケ
ース344のそれぞれに分けており、それぞれに供給し
た空気が互いに混合することが少ないので、種類の異な
る汚染物質(例えば、シリコーン系有機物とエポキシ系
有機物)が混合して、汚染を促進するようなことが防止
される。
【0092】加えて、各部に供給する気体として、空気
を用い、その酸素濃度及び/又は水蒸気圧を調整するこ
とにより、光学素子の汚染の進行を抑制するようにした
ので、空気は無料又は安価であるから、運転コストを大
幅に低減することができるとともに、極めて安全であ
る。但し、供給する気体としては、空気に限定されるも
のではなく、ヘリウム、窒素、水素、ネオン、その他の
ガスでもよく、これらの混合ガスでもよい。
【0093】また、気体供給・回収装置12による気体
の供給及び回収は、上述したように常時行う、即ち、フ
ロー供給するようにしてもよく、あるいは、定期的に若
しくは必要に応じて行うようにしてもよい。
【0094】なお、本実施形態では、レーザ光源13と
BMU16とを光源ケース15に収納するものとした
が、レーザ光源13とは別にBMU16等を筐体に収納
し、レーザ光源13と筐体とにそれぞれ上記同様の所定
の空気を供給するようにしてもよい。このとき、レーザ
光源13と筐体とを機械的に接続し、両者の仕切板とし
てレーザ光が透過するガラスプレートを設ければよい。
【0095】さらに、照明光学系と投影光学系PLとの
間、及び投影光学系PLとウエハWとの間の部分に開口
するように、気体供給口及び気体回収口を設けて、供給
口から上記同様の所定の空気をフロー供給しつつ、その
下流側で回収口から回収するように構成することができ
る。
【0096】また、本実施形態では、照明光学系の大部
分をサブチャンバ21に収納し、サブチャンバ21の一
部を環境チャンバ18内に設置したが、例えばサブチャ
ンバ21の全てを環境チャンバ21内に設置してもよ
い。
【0097】なお、浄化装置50に採用される化学フィ
ルタとしては、イオン除去用フィルタとしてのイオン交
換樹脂、イオン交換繊維等を採用することができ、表面
積及び反応速度が大きく成形加工が容易なことから気体
処理用としてはイオン交換繊維が適当である。イオン交
換繊維は、例えばポリプロピレン繊維から放射線グラフ
ト重合によって作られる。
【0098】制御装置45は、酸素濃度調整装置46、
水蒸気圧調整装置48、回収装置53、浄化装置50、
バルブV1〜V10等の作動を制御して、常時あるいは
適宜なタイミングで空気の供給・回収を制御するための
マイクロコンピュータ等からなる装置であり、その時期
及び時間を含む制御データが予め記憶された記憶装置
(不図示)を有している。この制御データは、経験的、
実験的、あるいは理論的に最も効果的となるように作成
されて、記憶装置に記憶保持される。
【0099】例えば、気体の供給・回収の対象としての
レンズユニット等が組立完了後初めて使用されるような
場合には、接着剤や充填剤、塗装や浄化剤等による汚染
物質がレンズの表面に凝集・付着することにより、光透
過率が全体的にあるいは部分的に低下する傾向が高いの
で、比較的に頻繁に供給・回収処理を実施するよう制御
データを作成する。そして、このような現象は運転時間
の経過に伴い徐々に少なくなる傾向にあるので、運転時
間に応じて浄化の頻度を少なくするようにし、ある程度
の運転時間が経過したならば、その後は比較的に散漫に
かつ定期的に供給・回収処理を実施するように制御デー
タを作成する。
【0100】なお、これらの供給・回収処理は、ウエハ
上にレチクルのパターンを露光転写する露光処理時以外
の時、例えば、露光装置の運転開始の直前に行い、一の
ロットに対する露光処理が終わり、次のロットに対する
露光処理を行う直前に行い、あるいは一のウエハに対す
る露光処理が終わり、次のウエハに対する露光処理を行
う直前に行うようにするとよい。露光処理中に気体の循
環を実施すると、レンズユニット等のレンズ室内の圧力
変動や温度変動により露光精度に悪影響を及ぼす可能性
があるからである。気体の供給・回収処理中にのみ開閉
バルブV1〜V6及び回収管の開閉バルブを開放し、露
光処理中はこれらを閉塞することにより、レンズユニッ
トのレンズ室内の気体の流動が防止されて安定性した状
態とすることができる。
【0101】また、酸素濃度調整装置46による酸素濃
度の調整と水蒸気圧調整装置48による水蒸気圧の調整
の双方を行った空気を、各環境チャンバ18、投影光学
系PL、第1レンズユニット23、サブチャンバ21、
第2レンズユニット27、回路ユニット34に供給する
ようにしてもよい。
【0102】上述の実施形態に示したレンズユニット2
3,27等は光学レンズを保持したレンズユニットであ
るが、気体の供給・回収対象としてのレンズユニットは
かかる構成のレンズユニットに限定されることはなく、
他の構成を有するレンズユニットに適用することができ
る。また、レンズユニットに限られず、レンズと反射鏡
を使用した光学素子ユニット、反射鏡のみを使用した光
学素子ユニットであっても同様に適用することができ
る。
【0103】上述の実施形態では、本発明を適用する光
学系として、照明光学系の一部及び投影光学系を例示し
たが、他の光学系、例えば、アライメント光学系に適用
することができる。
【0104】また、上述の実施形態では、保持枠23
3,392やレンズ押え枠272a,272b等の金物
部品にレンズ231,271,391等の光学素子を接
着又は押え込み等により保持して、該金物部品を鏡筒2
34,273,393に取り付けるようにしているが、
この場合の金物部品の鏡筒に対する取り付けは、接着や
ネジ止め、その他の方法により行うことができる。光学
素子はかかる金物部品を介して鏡筒に保持する場合だけ
でなく、直接的に鏡筒に接着等されていてもよい。
【0105】また、例えば、照明光学系やアライメント
光学系等の一部を構成する光学部材の場合は、該光学部
材が取り付けられる対象は鏡筒には限られず、他の部材
に取り付けられる場合があり、このような場合であって
も適用することができる。
【0106】なお、本発明は上述の実施形態に限定され
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り
得ることは勿論である。
【0107】例えば、上記の実施形態においては、光源
としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を射
出するものを採用した露光装置について説明している
が、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等を射
出するものを採用したものに適用することができる。ま
た、水銀ランプを光源として、i線(波長365nm)
を照明光として用いる露光装置に適用することもでき
る。
【0108】さらに、上記の実施形態では、ステップ・
アンド・スキャン方式の縮小投影型走査露光装置(スキ
ャニング・ステッパー)についての説明としたが、例え
ばレチクルとウエハとを静止させた状態でレチクルパタ
ーンの全面に露光用照明光を照射して、そのレチクルパ
ターンが転写されるべきウエハ上の1つの区画領域(シ
ョット領域)を一括露光するステップ・アップ・リピー
ト方式の縮小投影型露光装置(ステッパー)、さらには
ミラープロジェクション方式やプロキシミティ方式等の
露光装置にも同様に本発明を適用することができる。
【0109】加えて、投影光学系はその全ての光学素子
が屈折素子(レンズ)であるものに限られず、反射素子
(ミラー等)のみからなる光学系であってもよいし、あ
るいは屈折素子と反射素子(凹面鏡、ミラー等)とから
なるカタディオプトリック光学系であってもよい。ま
た、投影光学系は縮小光学系に限られるものではなく、
等倍光学系や拡大光学系であってもよい。
【0110】また、露光用照明光として、DFB半導体
レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又
は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又は
エルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたフ
ァイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外
光に波長変換した高調波を用いてもよい。
【0111】さらに、半導体素子、液晶ディスプレイ、
薄膜磁気ヘッド、及び撮像素子(CCDなど)の製造に
用いられる投影露光装置だけでなく、レチクル、又はマ
スクを製造するために、ガラス基板、又はシリコンウエ
ハなどに回路パターンを転写する投影露光装置にも本発
明を適用できる。
【0112】複数のレンズから構成される照明光学系、
及び投影光学系を露光装置本体に組み込んで光学調整を
行うとともに、多数の機械部品からなるレチクルステー
ジやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や
配管を接続するとともに、ケース15、照明光学系(サ
ブチャンバ21)、投影光学系PL、及び環境チャンバ
18をそれぞれ気体供給・回収装置12等と接続し、さ
らに総合調整(電気調整、動作確認等)をすることによ
り上記実施形態の露光装置を製造することができる。な
お、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理さ
れたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0113】また、半導体デバイスは、デバイスの機能
・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づい
たレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエ
ハを制作するステップ、前述の実施形態の露光装置によ
りレチクルのパターンをウエハに露光転写するステッ
プ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボン
ディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ
等を経て製造される。
【0114】
【発明の効果】本発明によると、光学素子の経時的な汚
染による透過率の低下や照度分布の不均一化を十分に防
止することができるという効果がある。また、これによ
り、高精度で信頼性の高い半導体デバイスを製造するこ
とができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の投影露光装置の全体を示
す一部を断面とした概略構成図である。
【図2】 本発明の実施形態の気体供給・回収装置の構
成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の実施形態の第1レンズユニットの構
成を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施形態の第2レンズユニットの構
成を示す図であり、(A)は鏡筒の中心軸を含む面で切
断した断面図、(B)は鏡筒の中心軸に直交する面で切
断した断面図である。
【図5】 本発明の実施形態の回路ユニットの構成を示
す断面図である。
【図6】 本発明の実施形態の投影光学系の一部の構成
を示す図であり、(A)は鏡筒の中心軸を含む面で切断
した断面図、(B)は鏡筒の一部を破断した斜視図であ
る。
【図7】 本発明の実施形態のシリコーン系接着剤を用
いたレンズユニットにおける酸素濃度及び水蒸気圧と光
吸収量(PA信号)の変化との関係についての実験結果
を示す図である。
【図8】 本発明の実施形態のエポキシ系接着剤を用い
たレンズユニットにおける酸素濃度及び水蒸気圧と光吸
収量(PA信号)の変化との関係についての実験結果を
示す図である。
【符号の説明】
F1,F2…床 R…レチクル W…ウエハ PL…投影光学系 11…露光本体部 12…気体供給・回収装置 13…レーザ光源 15…光源チャンバ 18…環境チャンバ 21…サブチャンバ 23…第1レンズユニット 27…第2レンズユニット 34…回路ユニット 41,43…供給管 41a,41b,41c,43a,43b,43c…供
給分岐管 42,44…回収管 42a,42b,42c,44a,44b,44c…回
収分岐管 45…制御装置 46…酸素濃度調整装置 47…窒素ボンベ 48…水蒸気圧調整装置 49…純空気ボンベ 50…浄化装置 51…酸素濃度センサ 52…水蒸気圧センサ 53…回収装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 潮 嘉次郎 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 5F046 AA05 AA22 CA04 DA27

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 照明光源からの照明光をマスクに照射し
    て、前記マスク上のパターンを光学系を介して基板上に
    転写する露光装置において、 前記光学系の一部を構成する光学素子を保持する鏡筒
    と、 前記鏡筒内に気体を供給する供給装置と、 前記鏡筒内に存在する不純物の種類に応じて前記気体の
    酸素濃度及び水蒸気圧の少なくとも一方を調整する調整
    装置とを備えることを特徴とする露光装置。
  2. 【請求項2】 前記不純物がシリコーン系樹脂の接着剤
    である場合には前記気体の酸素濃度を調整することを特
    徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 【請求項3】 前記不純物がエポキシ系樹脂の接着剤で
    ある場合には前記気体の水蒸気圧を調整することを特徴
    とする請求項1に記載の露光装置。
  4. 【請求項4】 前記鏡筒内に供給した前記気体を回収す
    る回収装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の露光装置。
  5. 【請求項5】 照明光源からの照明光をマスクに照射し
    て、前記マスク上のパターンを光学系を介して基板上に
    転写する露光装置において、 前記光学系の一部を構成する光学素子を第1接着剤によ
    り保持する第1鏡筒と、 前記第1鏡筒内に第1気体を供給する第1供給装置と、 前記光学系の他の一部を構成する光学素子を第2接着剤
    により保持する第2鏡筒と、 前記第2鏡筒内に第2気体を供給する第2供給装置とを
    備えたことを特徴とする露光装置。
  6. 【請求項6】 前記第1気体は前記第1接着剤の種類に
    応じて酸素濃度及び水蒸気圧の少なくとも一方が調整さ
    れ、 前記第2気体は前記第2接着剤の種類に応じて酸素濃度
    及び水蒸気圧の少なくとも一方が調整されることを特徴
    とする請求項5に記載の露光装置。
  7. 【請求項7】 前記第1鏡筒に供給された前記第1気体
    を回収する第1回収装置と、 前記第2鏡筒に供給された前記第2気体を回収する第2
    回収装置をさらに備えたことを特徴とする請求項5又は
    6に記載の露光装置。
  8. 【請求項8】 前記光学系は、前記照明光源からの前記
    照明光を前記マスクに照射する照明光学系を有すること
    を特徴とする請求項1又は5に記載の露光装置。
  9. 【請求項9】 照明光源からの照明光をマスクに照射し
    て、前記マスク上のパターンを基板上に転写する露光装
    置において、 前記照明光の光路又はその近傍で、かつ第1不純物を含
    む雰囲気内に配置される第1光学部材と、 前記照明光の光路又はその近傍で、かつ前記第1不純物
    の成分とは異なる第2不純物を含む雰囲気内に配置され
    る第2光学部材と、 前記第1不純物を含む雰囲気と、前記第2不純物を含む
    雰囲気とを分離する分離手段とを有することを特徴とす
    る露光装置。
  10. 【請求項10】 照明光源からの照明光をマスクに照射
    して、前記マスク上のパターンを基板上に転写する露光
    方法において、 前記照明光の光路又はその近傍で、かつ不純物を含む雰
    囲気に配置される光学部材の周囲に気体を供給し、 前記不純物の種類に応じて、前記気体のガス濃度及び水
    蒸気圧の少なくとも一方を調整し、 前記ガス濃度及び前記水蒸気圧の少なくとも一方を調整
    した状態で、前記マスク上のパターンを前記基板上に転
    写することを特徴とする露光方法。
  11. 【請求項11】 照明光源からの照明光をマスクに照射
    して、前記マスク上のパターンを基板上に転写する露光
    方法において、 前記照明光の光路又はその近傍で、かつ第1不純物の近
    傍に配置される第1光学部材の雰囲気と、前記照明光の
    光路又はその近傍で、かつ前記第1不純物の成分とは異
    なる第2不純物の近傍に配置される第2光学部材の雰囲
    気とを分離し、 前記分離した状態で、前記マスク上のパターンを前記基
    板上に転写することを特徴とする露光方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれか一項に記載の
    露光装置、又は請求項10〜11のいずれか一項に記載
    の露光方法で製造される半導体デバイスの製造方法。
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