JP3658264B2 - 新規なアルカリ可溶性増粘剤 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ溶液に可溶で、溶解した際にその粘性を高めることのできる、新規な共重合体からなるアルカリ可溶性増粘剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸性基を有する単量体を共重合して得られるアルカリ溶液に可溶な共重合体が、種々知られている。これらの共重合体のうちでも、アルカリ溶液に溶解した後に、共重合体中の疎水基同士が会合して増粘性を高める共重合体があり(特開昭58−189299号公報、特開平8−225618号公報、特許第2553841号公報)、たとえば、増粘剤として利用されているが、さらに高い増粘性を有する共重合体の開発が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、新規な共重合体を開発することにより、アルカリ溶液に可溶で、溶解した際にその粘性を飛躍的に高めることのできる、新規な増粘剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、疎水基の疎水性を高めることによって、粘性が飛躍的に高めるのではないかと考え、実験による確認を得て、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかるアルカリ可溶性増粘剤は、全単量体に対し0.01〜4モル%の下記一般式(1)で示される反応性重合体からなるアルケニルエーテル単量体と全単量体に対し10〜70モル%の酸性単量体および/またはその塩とを含む単量体成分をエマルション重合させてなるエマルション共重合体であって、構造単位として、前記アルケニルエーテル単量体に由来する構造単位と前記酸性単量体およびまたはその塩に由来する構造単位とを有する共重合体からなる。
【0005】
【化3】
【0006】
(但し、nは平均値で10〜300、Rは炭化水素基であり、Xは−C(O)−または−C(O)NH−である。)
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる増粘剤に用いられる共重合体は、以下に述べる反応性重合体を単量体として用いて得られる。
この反応性重合体は、上述した一般式(1)で示されるものであり、(3−メチル−3−ブテニル)基と、R(炭化水素基)とが、2価のオキシエチレン基を介して結合してなる単量体である。この単量体を重合して得られる重合体は、R(炭化水素基)からなる疎水性基同士が強く会合するため、アルカリ溶液に溶解した際に、その粘性を飛躍的に高めることができる。
一般式(1)におけるRは、炭化水素基であり、炭素数6〜30の炭化水素基が好ましく、たとえば、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基;シクロオクチル基、コレスタニル基、ラノスタニル基等の多環式アルキル基を挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらの中でも、炭素数8〜30の炭化水素基が好ましく、炭素数8〜30のアルキル基がより好ましく、炭素数12〜20のアルキル基がより好ましく、炭素数16〜20のアルキル基がさらに好ましく、炭素数18のアルキル基が最も好ましい。
【0008】
一般式(1)におけるnは平均値で10〜300であり、好ましくは10〜100、さらに好ましくは20〜80であり、特に好ましくは40〜60であり、最も好ましくは45〜55である。
一般式(1)で示されるアルケニルエーテル単量体の製造方法については、特に限定はなく、たとえば、下記一般式(2)で示される化合物a(ポリオキシエチレン〔3−メチル−3−ブテニル〕エーテル(ポリオキシエチレン基の末端は水酸基))を原料とする以下の(a)および(b)の方法を挙げることができる。なお、原料の化合物aは、イソプレンに水を1分子付加後、エチレンオキシドを所定量付加させることで製造することができる。
【0009】
【化4】
【0010】
(但し、nは平均値で10〜300である。)
(a)化合物aとRNCOとの反応で、X=−C(O)NH−のアルケニルエーテル単量体を得る方法
(b)化合物aとRCOOM(Mはアルキル基または水素)との反応で、X=−C(O)−のアルケニルエーテル単量体を得る方法。
本発明の反応性重合体は、後述のように重合させて本発明の共重合体等を製造するのに用いるほか、各種重合体の改質剤等の用途に用いることができる。
本発明にかかる共重合体は、一般式(1)で示される反応性重合体からなるアルケニルエーテル単量体(以下、単に「一般式(1)で示されるアルケニルエーテル単量体」ということがある)と、酸性単量体および/またはその塩とを含む単量体成分を、重合させて得られる。
【0011】
一般式(1)で示されるアルケニルエーテル単量体の配合割合は、全単量体に対して0.01〜4モル%であることが好ましく、より好ましくは0.04〜1モル%である。前記配合割合が0.01モル%未満の場合は、本発明の共重合体の疎水性基の量が不足し、アルカリ溶液に溶解した際に、その粘性を高める効果が低くなる。一方、4モル%を超える量を使用すると、エマルション重合によって共重合体を製造することが困難になる上、同一重合体内での疎水性基同士の会合が増加し、粘性を高める効果が低下する。
本発明の共重合体は、酸性単量体および/またはその塩を共重合していることにより、アルカリ可溶性となり得る。かかる酸性単量体および/またはその塩としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有単量体;モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等のリン酸基含有単量体;およびこれらの塩を挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのうちでも、カルボキシル基含有単量体および/またはその塩が好ましい。これは、カルボキシル基含有単量体および/またはその塩は、他の酸基含有単量体および/またはその塩と比べると、比較的親水性が低く、重合時の安定性が高いためである。カルボキシル基含有単量体および/またはその塩の中でも、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの塩から選ばれた少なくとも1種が、他の単量体との共重合性が良好であるため、好ましい。
【0012】
酸性単量体の塩としては、上記酸性単量体のナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩や、アンモニウム塩等を挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
酸性単量体および/またはその塩の配合割合は、全単量体に対して10〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜60モル%である。前記配合割合が10モル%未満の場合は、アルカリ可溶し難いため、十分な増粘性が得られない。一方、70モル%を超える場合は、エマルション重合における重合安定性が保てない。
【0013】
また、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの塩から選ばれた少なくとも1種の配合割合は、全単量体に対して10〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜60モル%である。前記配合割合が10モル%未満の場合は、アルカリ可溶し難いため、十分な増粘性が得られない。一方、70モル%を超える場合は、エマルション重合における重合安定性が保てない。
本発明の共重合体の原料となる単量体成分は、一般式(1)で示されるアルケニルエーテル単量体や、酸性単量体および/またはその塩以外の、これらの単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を含むものでもよい。
【0014】
エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン系重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系重合性単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜8のアルコールとのエステルである(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のシクロヘキシル基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸とポリアルキレングリコールとのモノエステルであるヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリルエステル等のポリエチレングリコール鎖含有重合性単量体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性重合性単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性(メタ)アクリルアミド系重合性単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等のケイ素原子に直結する加水分解性ケイ素基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル、(メタ)アクロイルアジリジン等のアジリジン基含有重合性単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有重合性単量体等を挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0015】
エチレン性不飽和単量体の配合割合は、全単量体に対して30〜90モル%が好ましく、より好ましくは40〜80モル%である。前記配合割合が30モル%未満の場合は、、エマルション重合における重合安定性が保てない。一方、90モル%を超える場合は、アルカリ可溶し難いため、十分な増粘性が得られない。単量体成分は、架橋性単量体をさらに含むものでもよい。架橋性単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体;メチレン(メタ)アクリルアミド等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸アミド系重合性単量体;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能アリル系重合性単量体;(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0016】
本発明の共重合体の重量平均分子量は、3,000以上が好ましく、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは100,000以上である。ただし、架橋性単量体を用いた場合などは、分子量が非常に高くなり、GPCによる分子量測定はできない。
単量体成分の重合方法については、特に限定はなく、たとえば、水中油型乳化重合(以下、エマルション重合ということがある)、油中水型乳化重合(逆相懸濁重合)、懸濁重合、溶液重合、水溶液重合、塊状重合等を挙げることができる。これらの重合方法のうち、エマルション重合が好ましい。高分子量の共重合体を高濃度で重合できる上、取扱い粘度も低く、生産コストも安いからである。
【0017】
単量体成分の重合には、通常、重合開始剤が用いられる。この重合開始剤は、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であり、特にエマルション重合では、水溶性の開始剤が使用される。重合開始剤としては、たとえば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0018】
エマルション重合法は一般に、乳化剤を用いて行うのが好ましい。乳化剤としては、特に限定はないが、たとえば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤や、これらの反応性界面活性剤等を挙げることができ、これらを組み合わせて使用してもよく、場合によっては、乳化剤を一切使用することなく重合することもできる。
アニオン系界面活性剤としては、たとえば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等の2重結合を有した反応性アニオン乳化剤等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0019】
ノニオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合生成物等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
高分子界面活性剤としては、たとえば、ポリビニルアルコールおよびその変性物;(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0020】
エマルション重合における重合温度については、特に限定はないが、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは40〜95℃である。重合時間についても、特に限定はないが、好ましくは、3〜15時間である。
エマルション重合する際に、得られる共重合体の物性に悪影響を及ぼさない範囲で、親水性溶媒や添加剤等を加えることができる。
単量体成分をエマルション重合反応系に添加する方法としては、特に限定はなく、一括添加法、単量体成分滴下法、プレエマルション法、パワーフィード法、シード法、多段添加法等を用いることができる。
【0021】
エマルション重合反応後に得られるエマルション中の不揮発分、すなわち、本発明の共重合体は、60重量%以下であるのが好ましい。不揮発分が60重量%を超えると、エマルションの粘度が高すぎるため、分散安定性が保てず、凝集が起きる恐れがあるからである。
上記エマルションの平均粒径については、特に限定はないが、好ましくは10nm〜1μmであり、さらに好ましくは20〜500nmである。エマルションの平均粒径が10nm未満であると、エマルションの粘度が高くなりすぎたり、分散安定性が保てず、凝集するおそれがある。他方、1μmを超えると、エマルションではなくなる。
【0022】
エマルション重合時に、分子量低減のために、連鎖移動剤を単量体成分100重量部当たり0.001〜2重量部用いてもよい。連鎖移動剤としては、たとえば、四塩化炭素、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン置換アルカン;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸ドデシル等のモノチオグリコール酸アルキル等のチオエステル;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;α−メチルスチレンダイマー、ターピノール、テルピネン、ジペンテン等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の共重合体は、分子内に酸性基を有し、アルカリ溶液に可溶である。そしてアルカリ溶液に溶解後、一般式(1)で示されるアルケニルエーテル単量体に由来するRからなる疎水性基同士が強く会合することによって、溶液の増粘性が高まる。このような性質を利用して、本発明の共重合体は、たとえば、建築・建材用塗料、粘着剤、印刷インキ、紙塗被剤、ベントナイト安定液等の増粘剤や、合成保水剤、コンクリート用分離低減剤等に配合して利用することができる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下において単に「部」、「%」とあるのは特にことわりがない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表すものとする。
<実施例A−1>
撹拌機、温度計、冷却器を備えた四ツ口フラスコに、ポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物を182.8部仕込んだ。内温60℃で撹拌しながら、オクタデシルイソシアネート47.26部を1時間にわたって均一に滴下した。さらに70℃で4時間撹拌を続け、IRスペクトルで水酸基に起因するピークの消失を確認し、反応終点とした。次に、撹拌機、温度計、冷却器を備えた三ツ口フラスコに750部のイオン交換水を投入し、上記反応物を投入した。80℃で1時間撹拌後、水分を除去した。得られたスラリーを、300部のテトラヒドロフランに溶解させ、12000回転で1時間遠心分離し、ろ紙でろ過した。エバポレーターでろ液からテトラヒドロフランを除き、目的生成物であるオクタデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのウレタン結合物をワックス状固体として得た。
【0025】
実施例A−1で得られた化合物のNMR測定結果を示すグラフを図1に、IR測定結果を示すグラフを図2に示す。
参考のために、原料として用いたポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物のNMR測定結果を示すグラフを図3に、IR測定結果を示すグラフを図4に示す。
図1および図3を比較すると、図1では、図3になかったオクタデシル基に由来するプロトンが、δ0.8〜1.5付近に出現した。
図2および図4を比較すると、図2では、図4にあったポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物の末端の水酸基に由来する吸収(3100〜3700cm-1付近)がほぼ消失し、その代わりに、ウレタン結合に由来する吸収(1600〜1750cm-1付近および3350cm-1付近)が出現した。
【0026】
また、実施例A−1で得られた化合物のGPC測定結果を示すグラフを図5に示す。図5から、実施例A−1で得られた化合物の分子量には分布があることがわかる。
<実施例A−2>
ポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物200部とドデシルイソシアネート37部を実施例A−1と同様の手法で反応させ、ドデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのウレタン結合物を得た。
【0027】
<実施例A−3>
ポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物100部とヘキシルイソシアネート11.1部を実施例A−1と同様の手法で反応させ、ヘキシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのウレタン結合物を得た。
<実施例A−4>
撹拌機、温度計、冷却器を備えた四ツ口フラスコに、ポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物を250部、ステアリン酸メチルを35.8部、シクロヘキサン100部を仕込んだ。内温100℃で撹拌しながら、シクロヘキサンを還流させ、水分を完全に除去した。次にテトラブトキシチタン2.96部を投入した。さらに100℃で20時間撹拌を続け、GPC測定でステアリン酸メチルに起因するピークの消失を確認し、反応終点とした。次に、イオン交換水を3部投入し、100℃で1時間撹拌した。得られたスラリーからエバポレーターで水分とシクロヘキサンを除き、目的生成物であるオクタデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエステル結合物をワックス状固体として得た。
【0028】
実施例A−4で得られた化合物のNMR測定結果を示すグラフを図6に、IR測定結果を示すグラフを図7に示す。
図6および図3を比較すると、図6では、図3になかったオクタデシル基に由来するプロトンが、δ0.8〜1.5付近に出現した。
図7および図4を比較すると、図7では、図4にあったポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物の末端の水酸基に由来する吸収(3100〜3700cm-1付近)がほぼ消失し、その代わりに、エステル結合に由来する吸収(1650〜1750cm-1付近)が出現した。
【0029】
また、実施例A−4で得られた化合物のGPC測定結果を示すグラフを図8に示す。図8から、実施例A−4で得られた化合物の分子量には分布があることがわかる。
<実施例B−1>
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四ツ口セパラブルフラスコに、イオン交換水336部、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩1.5部、塩化ナトリウム0.038部を投入した。内温68℃で撹拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩1.5部をイオン交換水269部に溶解させ、これにメタクリル酸40部、アクリル酸エチル52.6部、実施例A−1で得たオクタデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのウレタン結合物7.4部の混合物を投入し、撹拌してプレエマルションを作製した。また、過硫酸アンモニウム0.23部を、イオン交換水67.4部に混合し、重合開始剤水溶液を作製した。上記プレエマルションの5%を反応容器に投入して5分撹拌後、亜硫酸水素ナトリウム0.017部を投入した。次いで上記重合開始剤溶液の5%を反応容器に投入後20分撹拌し、初期重合を行った。反応容器の内温を72℃に保ち、残りのプレエマルションおよび重合開始剤水溶液を2時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、イオン交換水26.5部で滴下槽を洗浄後、反応容器に投入した。内温を72℃に保ち、さらに1時間撹拌を続けた後、冷却して反応を完了し、不揮発分30%のエマルション重合体(1)を得た。
【0030】
エマルション重合体(1)の1%アルカリ中和溶液を調製し、そのpHおよび粘度を測定した。その結果を表1に示す。1%アルカリ中和溶液は、固形分換算で2部のエマルションを所定の容器に入れ、これをイオン交換水で希釈し、次いで、攪拌棒で攪拌しながら、所定量の0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、合計200部として調製した。粘度は、B型粘度計により、ロータNo.4、30回転にて、25℃の粘度を測定した。
なお、表1には、アルカリ可溶性会合型増粘剤プライマルTT−615(ローム・アンド・ハース社製)の1%アルカリ中和溶液のpHおよび粘度も併記した。
【0031】
<実施例B−2>
実施例B−1において、単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エチル52.9部、実施例A−2で得たドデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのウレタン結合物7.1部からなる単量体成分を用いた以外は、実施例B−1と同様に重合を行い、エマルション重合体(2)を得た。
実施例B−1と同様にして、エマルション重合体(2)の1%アルカリ中和溶液を調製し、そのpHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定した。その結果を表1に示す。
【0032】
<実施例B−3>
実施例B−1において、単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エチル52.3部、実施例A−4で得たオクタデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエステル結合物7.7部からなる単量体成分を用いた以外は、実施例B−1と同様に重合を行い、エマルション重合体(3)を得た。
実施例B−1と同様にして、エマルション重合体(3)の1%アルカリ中和溶液を調製し、そのpHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定した。その結果を表1に示す。
【0033】
<比較例B−1>
実施例B−1において、単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エチル50部、ポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテル6.5部からなる単量体成分を用いた以外は、実施例B−1と同様に重合を行い、エマルション重合体(4)を得た。
実施例B−1と同様にして、エマルション重合体(4)の1%アルカリ中和溶液を調製し、そのpHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
<比較例B−2>
実施例B−1において、単量体成分として、メタクリル酸35部およびアクリル酸エチル65部からなる単量体成分を用いた以外は、実施例B−1と同様に重合を行い、エマルション重合体(5)を得た。
実施例B−1と同様にして、エマルション重合体(5)の1%アルカリ中和溶液を調製し、そのpHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定した。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明にかかる共重合体は、新規であり、アルカリ溶液に可溶で、溶解した際にその粘性を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例A−1で得られた化合物のNMR測定結果を示すグラフである。
【図2】 実施例A−1で得られた化合物のIR測定結果を示すグラフである。
【図3】 実施例A−1で原料として用いたポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物のNMR測定結果を示すグラフである。
【図4】 実施例A−1で原料として用いたポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物のIR測定結果を示すグラフである。
【図5】 実施例A−1で得られた化合物のGPC測定結果を示すグラフである。
【図6】 実施例A−4で得られた化合物のNMR測定結果を示すグラフである。
【図7】 実施例A−4で得られた化合物のIR測定結果を示すグラフである。
【図8】 実施例A−4で得られた化合物のGPC測定結果を示すグラフである。
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