JP2001240630A - 新規な共重合体および新規な反応性重合体 - Google Patents

新規な共重合体および新規な反応性重合体

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JP2001240630A JP2000052609A JP2000052609A JP2001240630A JP 2001240630 A JP2001240630 A JP 2001240630A JP 2000052609 A JP2000052609 A JP 2000052609A JP 2000052609 A JP2000052609 A JP 2000052609A JP 2001240630 A JP2001240630 A JP 2001240630A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ溶液に可溶で、溶解した際にその粘
性を飛躍的に高めることのできる、新規な共重合体を提
供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で示される反応性重合
体、およびこの反応性重合体からなるアルケニルエーテ
ル単量体と、酸性単量体および/またはその塩とを含む
単量体成分を重合させてなる共重合体。 【化1】 (但し、nは平均値で10〜300、Rは炭化水素基で
あり、Xは−C(O)−または−C(O)NH−であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ溶液に可
溶で、溶解した際にその粘性を高めることのできる、新
規な共重合体に関する。また、本発明は、重合すること
により、アルカリ溶液に可溶で、溶解した際にその粘性
を高めることのできる重合体となり得る新規な反応性重
合体に関する。
【0002】
【従来の技術】酸性基を有する単量体を共重合して得ら
れるアルカリ溶液に可溶な共重合体が、種々知られてい
る。これらの共重合体のうちでも、アルカリ溶液に溶解
した後に、共重合体中の疎水基同士が会合して増粘性を
高める共重合体があり(特開昭58−189299号公
報、特開平8−225618号公報、特許第25538
41号公報)、たとえば、増粘剤として利用されている
が、さらに高い増粘性を有する共重合体の開発が期待さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、アルカリ溶液に可溶で、溶解した
際にその粘性を飛躍的に高めることのできる、新規な共
重合体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討を行い、疎水基の疎水性を高め
ることによって、粘性が飛躍的に高めるのではないかと
考え、実験による確認を得て、本発明に到達した。すな
わち、本発明にかかる共重合体は、下記一般式(1)で
示される反応性重合体からなるアルケニルエーテル単量
体と、酸性単量体および/またはその塩とを含む単量体
成分を重合させてなる。
【0005】
【化3】
【0006】(但し、nは平均値で10〜300、Rは
炭化水素基であり、Xは−C(O)−または−C(O)
NH−である。) また、本発明にかかる反応性重合体は、上記一般式
(1)で示される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明にかかる反応性重合体は、
一般式(1)で示されるものであり、(3−メチル−3
−ブテニル)基と、R(炭化水素基)とが、2価のオキ
シエチレン基を介して結合してなる単量体である。この
単量体を重合して得られる重合体は、R(炭化水素基)
からなる疎水性基同士が強く会合するため、アルカリ溶
液に溶解した際に、その粘性を飛躍的に高めることがで
きる。一般式(1)におけるRは、炭化水素基であり、
炭素数6〜30の炭化水素基が好ましく、たとえば、オ
クチル基、ノニル基、ドデシル基、オクタデシル基等の
アルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等
のアリール基;ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基
等のアルキルアリール基;シクロオクチル基、コレスタ
ニル基、ラノスタニル基等の多環式アルキル基を挙げる
ことができ、これらの1種または2種以上が用いられ
る。これらの中でも、炭素数8〜30の炭化水素基が好
ましく、炭素数8〜30のアルキル基がより好ましく、
炭素数12〜20のアルキル基がより好ましく、炭素数
16〜20のアルキル基がさらに好ましく、炭素数18
のアルキル基が最も好ましい。
【0008】一般式(1)におけるnは平均値で10〜
300であり、好ましくは10〜100、さらに好まし
くは20〜80であり、特に好ましくは40〜60であ
り、最も好ましくは45〜55である。一般式(1)で
示されるアルケニルエーテル単量体の製造方法について
は、特に限定はなく、たとえば、下記一般式(2)で示
される化合物a(ポリオキシエチレン〔3−メチル−3
−ブテニル〕エーテル(ポリオキシエチレン基の末端は
水酸基))を原料とする以下の(a)および(b)の方
法を挙げることができる。なお、原料の化合物aは、イ
ソプレンに水を1分子付加後、エチレンオキシドを所定
量付加させることで製造することができる。
【0009】
【化4】
【0010】(但し、nは平均値で10〜300であ
る。) (a)化合物aとRNCOとの反応で、X=−C(O)
NH−のアルケニルエーテル単量体を得る方法 (b)化合物aとRCOOM(Mはアルキル基または水
素)との反応で、X=−C(O)−のアルケニルエーテ
ル単量体を得る方法。 本発明の反応性重合体は、後述のように重合させて本発
明の共重合体等を製造するのに用いるほか、各種重合体
の改質剤等の用途に用いることができる。本発明にかか
る共重合体は、一般式(1)で示される反応性重合体か
らなるアルケニルエーテル単量体(以下、単に「一般式
(1)で示されるアルケニルエーテル単量体」というこ
とがある)と、酸性単量体および/またはその塩とを含
む単量体成分を、重合させて得られる。
【0011】一般式(1)で示されるアルケニルエーテ
ル単量体の配合割合は、全単量体に対して0.01〜4
モル%であることが好ましく、より好ましくは0.04
〜1モル%である。前記配合割合が0.01モル%未満
の場合は、本発明の共重合体の疎水性基の量が不足し、
アルカリ溶液に溶解した際に、その粘性を高める効果が
低くなる。一方、4モル%を超える量を使用すると、エ
マルション重合によって共重合体を製造することが困難
になる上、同一重合体内での疎水性基同士の会合が増加
し、粘性を高める効果が低下する。本発明の共重合体
は、酸性単量体および/またはその塩を共重合している
ことにより、アルカリ可溶性となり得る。かかる酸性単
量体および/またはその塩としては、たとえば、アクリ
ル酸、メタクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、シト
ラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水
マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)ア
クリレート等のスルホン酸基含有単量体;モノ(2−メ
タクリロイルオキシエチル)ホスフェート、モノ(2−
アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2−
(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルホス
フェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェ
ニルホスフェート等のリン酸基含有単量体;およびこれ
らの塩を挙げることができ、これらの1種または2種以
上が用いられる。これらのうちでも、カルボキシル基含
有単量体および/またはその塩が好ましい。これは、カ
ルボキシル基含有単量体および/またはその塩は、他の
酸基含有単量体および/またはその塩と比べると、比較
的親水性が低く、重合時の安定性が高いためである。カ
ルボキシル基含有単量体および/またはその塩の中で
も、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの塩から選
ばれた少なくとも1種が、他の単量体との共重合性が良
好であるため、好ましい。
【0012】酸性単量体の塩としては、上記酸性単量体
のナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩や、アンモニウ
ム塩等を挙げることができ、これらの1種または2種以
上が用いられる。酸性単量体および/またはその塩の配
合割合は、全単量体に対して10〜70モル%が好まし
く、より好ましくは20〜60モル%である。前記配合
割合が10モル%未満の場合は、アルカリ可溶し難いた
め、十分な増粘性が得られない。一方、70モル%を超
える場合は、エマルション重合における重合安定性が保
てない。
【0013】また、アクリル酸、メタクリル酸およびこ
れらの塩から選ばれた少なくとも1種の配合割合は、全
単量体に対して10〜70モル%が好ましく、より好ま
しくは20〜60モル%である。前記配合割合が10モ
ル%未満の場合は、アルカリ可溶し難いため、十分な増
粘性が得られない。一方、70モル%を超える場合は、
エマルション重合における重合安定性が保てない。本発
明の共重合体の原料となる単量体成分は、一般式(1)
で示されるアルケニルエーテル単量体や、酸性単量体お
よび/またはその塩以外の、これらの単量体と共重合可
能なエチレン性不飽和単量体を含むものでもよい。
【0014】エチレン性不飽和単量体としては、たとえ
ば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
エチルビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチ
レン系重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モ
ノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリ
ルアミド等の(メタ)アクリルアミド系重合性単量体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸
と炭素数1〜8のアルコールとのエステルである(メ
タ)アクリル酸エステル系重合性単量体;(メタ)アク
リル酸シクロヘキシル等のシクロヘキシル基含有重合性
単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メ
タ)アクリル酸とポリアルキレングリコールとのモノエ
ステルであるヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エ
ステル系重合性単量体;ポリエチレングリコール(メ
タ)アクリルエステル等のポリエチレングリコール鎖含
有重合性単量体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリ
ル;N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルア
ミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性
重合性単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架
橋性(メタ)アクリルアミド系重合性単量体;ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルト
リエトキシシラン等のケイ素原子に直結する加水分解性
ケイ素基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸グリシ
ジル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有
重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリ
ン、2−ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有重
合性単量体;(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエ
チル、(メタ)アクロイルアジリジン等のアジリジン基
含有重合性単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有重合性単
量体等を挙げることができ、これらの1種または2種以
上が用いられる。
【0015】エチレン性不飽和単量体の配合割合は、全
単量体に対して30〜90モル%が好ましく、より好ま
しくは40〜80モル%である。前記配合割合が30モ
ル%未満の場合は、、エマルション重合における重合安
定性が保てない。一方、90モル%を超える場合は、ア
ルカリ可溶し難いため、十分な増粘性が得られない。単
量体成分は、架橋性単量体をさらに含むものでもよい。
架橋性単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸
と、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステ
ル化物等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多
官能(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体;メチ
レン(メタ)アクリルアミド等の分子内に重合性不飽和
基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸アミド系
重合性単量体;ジアリルフタレート、ジアリルマレー
ト、ジアリルフマレート等の分子内に重合性不飽和基を
2個以上有する多官能アリル系重合性単量体;(メタ)
アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン等を挙げることが
でき、これらが1種または2種以上使用される。
【0016】本発明の共重合体の重量平均分子量は、
3,000以上が好ましく、より好ましくは10,00
0以上、さらに好ましくは100,000以上である。
ただし、架橋性単量体を用いた場合などは、分子量が非
常に高くなり、GPCによる分子量測定はできない。単
量体成分の重合方法については、特に限定はなく、たと
えば、水中油型乳化重合(以下、エマルション重合とい
うことがある)、油中水型乳化重合(逆相懸濁重合)、
懸濁重合、溶液重合、水溶液重合、塊状重合等を挙げる
ことができる。これらの重合方法のうち、エマルション
重合が好ましい。高分子量の共重合体を高濃度で重合で
きる上、取扱い粘度も低く、生産コストも安いからであ
る。
【0017】単量体成分の重合には、通常、重合開始剤
が用いられる。この重合開始剤は、熱によって分解し、
ラジカル分子を発生させる物質であり、特にエマルショ
ン重合では、水溶性の開始剤が使用される。重合開始剤
としては、たとえば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−
アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合
物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアス
コルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガ
リット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウム
と亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等
を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用
される。
【0018】エマルション重合法は一般に、乳化剤を用
いて行うのが好ましい。乳化剤としては、特に限定はな
いが、たとえば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界
面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高
分子界面活性剤や、これらの反応性界面活性剤等を挙げ
ることができ、これらを組み合わせて使用してもよく、
場合によっては、乳化剤を一切使用することなく重合す
ることもできる。アニオン系界面活性剤としては、たと
えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデ
シルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート
等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリ
グリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリ
シノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスル
ホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、
アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属
サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナ
フタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリ
ン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミ
ンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の
脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル
塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステ
ル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステ
ル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリ
オキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等の2
重結合を有した反応性アニオン乳化剤等を挙げることが
でき、これらが1種または2種以上使用される。
【0019】ノニオン系界面活性剤としては、たとえ
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシ
エチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族
エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステ
ル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリ
セライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合
体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミドまたは
酸との縮合生成物等を挙げることができ、これらが1種
または2種以上使用される。高分子界面活性剤として
は、たとえば、ポリビニルアルコールおよびその変性
物;(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ポリビニル
ピロリドン等を挙げることができ、これらが1種または
2種以上使用される。
【0020】エマルション重合における重合温度につい
ては、特に限定はないが、好ましくは0〜100℃、さ
らに好ましくは40〜95℃である。重合時間について
も、特に限定はないが、好ましくは、3〜15時間であ
る。エマルション重合する際に、得られる共重合体の物
性に悪影響を及ぼさない範囲で、親水性溶媒や添加剤等
を加えることができる。単量体成分をエマルション重合
反応系に添加する方法としては、特に限定はなく、一括
添加法、単量体成分滴下法、プレエマルション法、パワ
ーフィード法、シード法、多段添加法等を用いることが
できる。
【0021】エマルション重合反応後に得られるエマル
ション中の不揮発分、すなわち、本発明の共重合体は、
60重量%以下であるのが好ましい。不揮発分が60重
量%を超えると、エマルションの粘度が高すぎるため、
分散安定性が保てず、凝集が起きる恐れがあるからであ
る。上記エマルションの平均粒径については、特に限定
はないが、好ましくは10nm〜1μmであり、さらに
好ましくは20〜500nmである。エマルションの平
均粒径が10nm未満であると、エマルションの粘度が
高くなりすぎたり、分散安定性が保てず、凝集するおそ
れがある。他方、1μmを超えると、エマルションでは
なくなる。
【0022】エマルション重合時に、分子量低減のため
に、連鎖移動剤を単量体成分100重量部当たり0.0
01〜2重量部用いてもよい。連鎖移動剤としては、た
とえば、四塩化炭素、ブロモホルム、ブロモトリクロロ
エタン等のハロゲン置換アルカン;n−ドデシルメルカ
プタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメ
ルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ヘキサデシル
メルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコー
ル酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリ
コール酸ドデシル等のモノチオグリコール酸アルキル等
のチオエステル;メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール等のアルコール類;α−メチルスチレンダイマ
ー、ターピノール、テルピネン、ジペンテン等を挙げる
ことができるが、これらに限定されない。
【0023】本発明の共重合体は、分子内に酸性基を有
し、アルカリ溶液に可溶である。そしてアルカリ溶液に
溶解後、一般式(1)で示されるアルケニルエーテル単
量体に由来するRからなる疎水性基同士が強く会合する
ことによって、溶液の増粘性が高まる。このような性質
を利用して、本発明の共重合体は、たとえば、建築・建
材用塗料、粘着剤、印刷インキ、紙塗被剤、ベントナイ
ト安定液等の増粘剤や、合成保水剤、コンクリート用分
離低減剤等に配合して利用することができる。
【0024】
【実施例】以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以
下において単に「部」、「%」とあるのは特にことわり
がない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表すも
のとする。 <実施例A−1>撹拌機、温度計、冷却器を備えた四ツ
口フラスコに、ポリオキシエチレン(3−メチル−3−
ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物
を182.8部仕込んだ。内温60℃で撹拌しながら、
オクタデシルイソシアネート47.26部を1時間にわ
たって均一に滴下した。さらに70℃で4時間撹拌を続
け、IRスペクトルで水酸基に起因するピークの消失を
確認し、反応終点とした。次に、撹拌機、温度計、冷却
器を備えた三ツ口フラスコに750部のイオン交換水を
投入し、上記反応物を投入した。80℃で1時間撹拌
後、水分を除去した。得られたスラリーを、300部の
テトラヒドロフランに溶解させ、12000回転で1時
間遠心分離し、ろ紙でろ過した。エバポレーターでろ液
からテトラヒドロフランを除き、目的生成物であるオク
タデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニ
ル)エーテルのウレタン結合物をワックス状固体として
得た。
【0025】実施例A−1で得られた化合物のNMR測
定結果を示すグラフを図1に、IR測定結果を示すグラ
フを図2に示す。参考のために、原料として用いたポリ
オキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテル
のエチレンオキシ基50モル付加物のNMR測定結果を
示すグラフを図3に、IR測定結果を示すグラフを図4
に示す。図1および図3を比較すると、図1では、図3
になかったオクタデシル基に由来するプロトンが、δ
0.8〜1.5付近に出現した。図2および図4を比較
すると、図2では、図4にあったポリオキシエチレン
(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキ
シ基50モル付加物の末端の水酸基に由来する吸収(3
100〜3700cm-1付近)がほぼ消失し、その代わ
りに、ウレタン結合に由来する吸収(1600〜175
0cm-1付近および3350cm-1付近)が出現した。
【0026】また、実施例A−1で得られた化合物のG
PC測定結果を示すグラフを図5に示す。図5から、実
施例A−1で得られた化合物の分子量には分布があるこ
とがわかる。 <実施例A−2>ポリオキシエチレン(3−メチル−3
−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加
物200部とドデシルイソシアネート37部を実施例A
−1と同様の手法で反応させ、ドデシルポリオキシエチ
レン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのウレタン
結合物を得た。
【0027】<実施例A−3>ポリオキシエチレン(3
−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基
50モル付加物100部とヘキシルイソシアネート1
1.1部を実施例A−1と同様の手法で反応させ、ヘキ
シルポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)
エーテルのウレタン結合物を得た。 <実施例A−4>撹拌機、温度計、冷却器を備えた四ツ
口フラスコに、ポリオキシエチレン(3−メチル−3−
ブテニル)エーテルのエチレンオキシ基50モル付加物
を250部、ステアリン酸メチルを35.8部、シクロ
ヘキサン100部を仕込んだ。内温100℃で撹拌しな
がら、シクロヘキサンを還流させ、水分を完全に除去し
た。次にテトラブトキシチタン2.96部を投入した。
さらに100℃で20時間撹拌を続け、GPC測定でス
テアリン酸メチルに起因するピークの消失を確認し、反
応終点とした。次に、イオン交換水を3部投入し、10
0℃で1時間撹拌した。得られたスラリーからエバポレ
ーターで水分とシクロヘキサンを除き、目的生成物であ
るオクタデシルポリオキシエチレン(3−メチル−3−
ブテニル)エーテルのエステル結合物をワックス状固体
として得た。
【0028】実施例A−4で得られた化合物のNMR測
定結果を示すグラフを図6に、IR測定結果を示すグラ
フを図7に示す。図6および図3を比較すると、図6で
は、図3になかったオクタデシル基に由来するプロトン
が、δ0.8〜1.5付近に出現した。図7および図4
を比較すると、図7では、図4にあったポリオキシエチ
レン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチレン
オキシ基50モル付加物の末端の水酸基に由来する吸収
(3100〜3700cm-1付近)がほぼ消失し、その
代わりに、エステル結合に由来する吸収(1650〜1
750cm-1付近)が出現した。
【0029】また、実施例A−4で得られた化合物のG
PC測定結果を示すグラフを図8に示す。図8から、実
施例A−4で得られた化合物の分子量には分布があるこ
とがわかる。 <実施例B−1>撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入
管、滴下ロートを備えた四ツ口セパラブルフラスコに、
イオン交換水336部、ポリオキシエチレンドデシルエ
ーテルのスルホン酸アンモニウム塩1.5部、塩化ナト
リウム0.038部を投入した。内温68℃で撹拌しな
がら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置
換した。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルの
スルホン酸アンモニウム塩1.5部をイオン交換水26
9部に溶解させ、これにメタクリル酸40部、アクリル
酸エチル52.6部、実施例A−1で得たオクタデシル
ポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エー
テルのウレタン結合物7.4部の混合物を投入し、撹拌
してプレエマルションを作製した。また、過硫酸アンモ
ニウム0.23部を、イオン交換水67.4部に混合
し、重合開始剤水溶液を作製した。上記プレエマルショ
ンの5%を反応容器に投入して5分撹拌後、亜硫酸水素
ナトリウム0.017部を投入した。次いで上記重合開
始剤溶液の5%を反応容器に投入後20分撹拌し、初期
重合を行った。反応容器の内温を72℃に保ち、残りの
プレエマルションおよび重合開始剤水溶液を2時間にわ
たって均一に滴下した。滴下終了後、イオン交換水2
6.5部で滴下槽を洗浄後、反応容器に投入した。内温
を72℃に保ち、さらに1時間撹拌を続けた後、冷却し
て反応を完了し、不揮発分30%のエマルション重合体
(1)を得た。
【0030】エマルション重合体(1)の1%アルカリ
中和溶液を調製し、そのpHおよび粘度を測定した。そ
の結果を表1に示す。1%アルカリ中和溶液は、固形分
換算で2部のエマルションを所定の容器に入れ、これを
イオン交換水で希釈し、次いで、攪拌棒で攪拌しなが
ら、所定量の0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液を加
えて、合計200部として調製した。粘度は、B型粘度
計により、ロータNo.4、30回転にて、25℃の粘
度を測定した。なお、表1には、アルカリ可溶性会合型
増粘剤プライマルTT−615(ローム・アンド・ハー
ス社製)の1%アルカリ中和溶液のpHおよび粘度も併
記した。
【0031】<実施例B−2>実施例B−1において、
単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エ
チル52.9部、実施例A−2で得たドデシルポリオキ
シエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのウ
レタン結合物7.1部からなる単量体成分を用いた以外
は、実施例B−1と同様に重合を行い、エマルション重
合体(2)を得た。実施例B−1と同様にして、エマル
ション重合体(2)の1%アルカリ中和溶液を調製し、
そのpHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0032】<実施例B−3>実施例B−1において、
単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エ
チル52.3部、実施例A−4で得たオクタデシルポリ
オキシエチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテル
のエステル結合物7.7部からなる単量体成分を用いた
以外は、実施例B−1と同様に重合を行い、エマルショ
ン重合体(3)を得た。実施例B−1と同様にして、エ
マルション重合体(3)の1%アルカリ中和溶液を調製
し、そのpHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定
した。その結果を表1に示す。
【0033】<比較例B−1>実施例B−1において、
単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エ
チル50部、ポリオキシエチレン(3−メチル−3−ブ
テニル)エーテル6.5部からなる単量体成分を用いた
以外は、実施例B−1と同様に重合を行い、エマルショ
ン重合体(4)を得た。実施例B−1と同様にして、エ
マルション重合体(4)の1%アルカリ中和溶液を調製
し、そのpHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定
した。その結果を表1に示す。
【0034】<比較例B−2>実施例B−1において、
単量体成分として、メタクリル酸35部およびアクリル
酸エチル65部からなる単量体成分を用いた以外は、実
施例B−1と同様に重合を行い、エマルション重合体
(5)を得た。実施例B−1と同様にして、エマルショ
ン重合体(5)の1%アルカリ中和溶液を調製し、その
pHおよび粘度(25℃、B型粘度計)を測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明にかかる共重合体は、新規であ
り、アルカリ溶液に可溶で、溶解した際にその粘性を飛
躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例A−1で得られた化合物のNMR測定
結果を示すグラフである。
【図2】 実施例A−1で得られた化合物のIR測定結
果を示すグラフである。
【図3】 実施例A−1で原料として用いたポリオキシ
エチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチ
レンオキシ基50モル付加物のNMR測定結果を示すグ
ラフである。
【図4】 実施例A−1で原料として用いたポリオキシ
エチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルのエチ
レンオキシ基50モル付加物のIR測定結果を示すグラ
フである。
【図5】 実施例A−1で得られた化合物のGPC測定
結果を示すグラフである。
【図6】 実施例A−4で得られた化合物のNMR測定
結果を示すグラフである。
【図7】 実施例A−4で得られた化合物のIR測定結
果を示すグラフである。
【図8】 実施例A−4で得られた化合物のGPC測定
結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J005 AA02 BD02 BD05 4J011 KA03 KA04 KA10 KA15 KA16 KB02 4J027 AC02 AC03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA13 BA14 BA15 BA16 BA17 CD00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される反応性重合
    体からなるアルケニルエーテル単量体と、酸性単量体お
    よび/またはその塩とを含む単量体成分を重合させてな
    る共重合体。 【化1】 (但し、nは平均値で10〜300、Rは炭化水素基で
    あり、Xは−C(O)−または−C(O)NH−であ
    る。)
  2. 【請求項2】 前記重合がエマルション重合である、請
    求項1記載の共重合体。
  3. 【請求項3】 前記共重合体がアルカリ可溶性増粘剤と
    して使用される、請求項1または2記載の共重合体。
  4. 【請求項4】 下記一般式(1)で示される反応性重合
    体。 【化2】 (但し、nは平均値で10〜300、Rは炭化水素基で
    あり、Xは−C(O)−または−C(O)NH−であ
    る。)
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