JP3658169B2 - インクタンクの結合方法、インクジェット記録装置及びインクタンク - Google Patents

インクタンクの結合方法、インクジェット記録装置及びインクタンク Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクなどの液体を吐出して記録を行なう液体吐出記録装置におけるインクタンクの結合方法、インクジェット記録装置、該装置に用いられるインクタンクに関し、特に、大量のインクを消費するインクジェットプリントシステムに用いられる液体吐出記録装置におけるインクタンクの結合方法、インクジェット記録装置、及び該装置に搭載される大容量のインクタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置に用いられるインクタンク(液体収容容器)は、インク消費時の交換を容易にする為、記録装置のインクタンク収納部であるインクタンクユニットに対して着脱自在に構成されている。インクタンクにはゴム栓などで栓をされたインク供給口が設けられ、単体で存在する場合のインク漏れなどを防止するとともに、インクタンクユニットにはインクタンクとの接続部に中空針等が設けられ、インクタンクのインク供給口と接続することで、インクタンクからのインクの供給を可能としている。
【0003】
このような構成のインクタンクをインクジェット記録装置に搭載させるインクタンクユニットの具体的な構成、及びインクタンクの結合の方法としては、例えば特開平01-141750号公報などに記載されているように、インクタンクのインク供給口を、インクタンクユニットに対する挿入方向前方に設け、インクタンクをインクタンクユニットに装着する方向と、インクタンクのインク供給口とインクジェット記録装置のインク供給経路との接続方向とを同一の方向とするものが知られている。このようなインクタンクユニットとインクタンクとの結合は、インクタンクのユニットへの位置決め及びインク供給口への中空針の挿入とが、ワンアクションで行われる。
【0004】
インクタンクのインクタンクユニットに対する挿入方向は、インクタンクの形状、大きさによって異なるが、上述の特開平01-141750号公報のように水平方向に挿入するものや、特開平09-076525号公報のように、鉛直方向上方から挿入するものがあるが、いずれの場合も針の挿入方向とインクタンクの挿入方向とが反対方向となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、印字デューティが高く、大量のインクを消費する大型のインクジェット記録装置においては、インクタンクの交換頻度を押さえるため、例えばインク収容量が200cc以上、より好ましくは500cc以上の大容量インクタンクを使用することが多い。
【0006】
しかし、このように容器が大型化すると、インクタンクユニットとの装着に関しても、容器が大型化したことに伴う以下のような特有の課題が生じる。
【0007】
すなわち、液体の収容量が多く、液体を含む容器の重さが重いために、インクタンクユニットのインク供給針とインクタンクのインク供給口の位置関係がずれてしまう場合がある。インクタンクのインクタンクユニットへの装着とインク供給針のインク供給口への接続とが同時に行われるため、そのように位置関係がずれた場合、インク供給針とインク供給口との接続が確実に行われない状態で結合部に余計な力がかかることになる。その結果、インクタンクとインクタンクユニットとの結合部からインクが漏れたり、最悪の場合インク供給針が曲がってしまうなど結合部を壊したり恐れがある。また、インクタンクのインクタンクユニットへの装着とインク供給針のインク供給口への接続とが同時に行われるため、使用者はインクタンクユニットへのインクタンクの装着と同時にインク供給針の接続が行われたかがはっきりとわからない場合がある。
【0008】
本願発明の目的は、上記課題を解決し、比較的簡単な構成で、インクタンクとインクタンクユニットの結合部の位置精度を向上させて結合の信頼性を高めるとともに、ユーザに結合が行われたことを認知させるインクタンクの結合方法、インクジェット記録装置及びインクタンクを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のインクタンクの結合方法は、インクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給針と、該インク供給針を所定の位置まで移動させる移動手段と、を備え、前記記録ヘッドへ供給するためのインクを保持するインクタンクを着脱自在に搭載可能なインクジェット記録装置におけるインクタンクの結合方法において、該インクタンクを前記インクジェット記録装置に装着することで前記移動手段によるインク供給針の移動を防止する移動防止手段を解除するとともに前記インクタンクをインクジェット記録装置の基準面に当接させて前記インクタンクを所定の位置に保持固定する保持固定工程と該保持固定工程の後に、前記移動手段により前記インク供給針を前記インクタンクの所定の位置に挿入して、前記インクタンク内のインクを前記インクジェット記録装置内に導出可能にするインク供給針挿入工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出して記録を行う記録ヘッド、を備え、記録ヘッドへ供給するためのインクを保持するインクタンクを着脱自在に搭載可能なインクジェット記録装置において、前記インクタンクを固定保持するために該インクタンクを当接させる基準面と、前記記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給針と、該インク供給針を所定の位置まで移動させて前記インクタンク内のインクを前記インクジェット記録装置内に導出可能にする移動手段と、該移動手段による前記インク供給針の移動を防止する移動防止手段と、を備え、前記インクタンクが前記基準面に当接されて前記インクタンク前記インクジェット記録装置に保持固定されることにより前記移動防止手段が解除されて、前記移動手段による前記インク供給針の移動が可能になることを特徴とする。
【0012】
上述のインクタンクの結合方法、及びインクジェット記録装置によれば、所定のインクタンク以外のものが挿入された場合の誤動作によるユーザへの危険を回避し、針の損傷を防ぐとともに、結合部の位置決めが行なわれた後で針の挿入を行うことで、インクタンクとインクタンクユニットの結合部の位置精度を向上させて結合の信頼性を高めるとともに、ユーザに結合が行われたことを認知させることができる。
【0013】
上記結合方法、及びインクジェット記録装置により本願の課題は解決できるものであるが、より好ましい条件として、以下の諸条件を満たすことにより、それぞれ記載されている特有の効果を奏することができる。
【0014】
より好ましい条件の一つは、前記インクタンクの装着方向と前記移動手段によるインク供給針の移動方向とが直交することにより、インクタンクの位置がずれやすいインクタンクの挿入方向に関して、インク供給針の影響を受けないので、結合がより確実になる効果がある。また、インクタンクの外部との接続部を上部に配置することが可能となるので、インク漏れなどを効果的に防止できる。
【0015】
また、前記移動防止手段を解除する前に前記インクタンクの誤装着防止を行うことで、誤装着をより確実に防止できる。
【0016】
また、前記保持固定工程において、前記移動防止手段を少なくとも2種類設けることにより、仮に一方が誤動作した場合でも不用意に針を損傷させることがないようにするとともに、移動防止手段の強度を高めることができる。
【0017】
また、前記移動手段により前記基準面への当接方向へインクタンクを付勢することで、より確実な結合を実現することができる。
【0018】
また、本発明は上述のインクジェット記録装置に用いられるインクタンクを提供するものである。
【0019】
本発明のインクタンクは、上述のインクジェット記録装置に着脱自在に搭載可能なインクタンクにおいて、インクを収納するインク収納部と、該インク収納部を外部に対して連通させるための連通部を有する略円筒状の突出部と、前記インクタンクの挿入方向前方の端部に前記移動防止手段を解除するロック解除部と、前記インクタンクの挿入方向後方の端部に把手部と、前記把手部の上方に前記突出部と対向し底面と直交する垂直面部と、を備え、該垂直面部の上端の底面からの高さは前記突出部の連通部の端面より高く、前記垂直面部の下端の底面からの高さは前記突出部の側面の下端より低いことを特徴とする。
【0020】
上述のインクタンクによれば、垂直面部において前記移動手段により前記基準面への当接方向へインクタンクを付勢することで、より確実な結合を実現することができるほか、前記インクタンクの挿入方向前方の端部に前記移動防止手段を解除するロック解除部を設けることで、針の移動防止手段を、ユーザから手の届きにくい場所に設けることができる。
【0025】
なお、本願発明における「インク」とは、インクジェット記録ヘッドから吐出される液体の総称であり、例えば記録紙へのインクの浸透性を向上させるために使用される処理液などのプリント性向上液なども含むものとして用いている。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
まずはじめに、本発明のインクタンクユニットを搭載可能な、インクジェット記録装置の構成及びインク供給経路の一形態について、図1及び図2を用いて説明を行なう。図1は、本発明を適用可能な液体吐出記録装置の一実施形態である、インクジェット記録装置の外観を示す斜視図であり、図2は図1の液体吐出記録装置に用いられる液体補充システムの一例を示す概略説明図である。なお、後述する本発明のメインタンクユニット及びインクタンクは、本実施形態に限らず、他の形態に適用可能であることは言うまでもない。
【0028】
図1に示すように、互いに平行に配設された2本の主走査レール107には、ヘッドキャリッジ104及び供給キャリッジ105が矢印A方向に摺動自在に嵌合されている。ヘッドキャリッジ104には、記録信号に基づいてインクを吐出する吐出ヘッド部101が搭載されている。
【0029】
吐出ヘッド部101は、濃シアン、淡シアン、濃マゼンタ、淡マゼンタ、イエロー及びブラックの6色のインクに対応して、それぞれの色ごとに複数個ずつ配列されたノズルを有し、各ノズルにはそれぞれインク吐出用の熱エネルギーを発生する電気熱変換体が設けられている。吐出ヘッド部101内には、ノズルでの毛管現象によりインクが供給され、インクは吐出ヘッド部101のノズルが開口した面(以下、「ノズル面」という)でメニスカスを形成してノズルを満たした状態を保つ。また、吐出ヘッド部101は、吐出ヘッド部101を駆動するための駆動基板とともに、ヘッドカバー106で覆われている。吐出ヘッド部101の駆動基板は、フラットケーブル113を介して、この記録装置全体の動作を制御する制御基板等を収納する基板ボックス114と接続されている。
【0030】
一方、供給キャリッジ105には、吐出ヘッド部101にインクを供給するためのサブタンク103が搭載されている。サブタンク103の内部は各色インクに対応して6つの室に分けられており、それぞれの室が、対応する吐出ヘッド部101に樹脂製のチューブで接続されている。さらに、サブタンク103の下方には、サブタンク102に供給するインクを収容する6つのメインタンク102が後述するインクタンクユニット120内に保持されている。第1図では、インクタンクユニットの詳細な構造については省略している。
【0031】
メインタンク102はサブタンク103よりも大きな容量を有するものであり、本例の場合、500〜1000cm3のインクを収容することができる。各メインタンク102も、各色インクに対応するもので、それぞれ樹脂製のチューブによってサブタンク103の各室に接続されている。これにより、メインタンク2に収容されたインクはサブタンク103に供給されてサブタンク103内に保持され、さらにサブタンク103から吐出ヘッド部101に供給される。
【0032】
ヘッドキャリッジ104及び供給キャリッジ105は、それぞれタイミングベルトに結合され、主走査モータ108によってタイミングベルトを回転させることで、矢印A方向に往復走査される。吐出ヘッド部101のノズルに対向する位置には、プラテン109が設けられる。記録紙115は、プラテン109上を矢印B方向に搬送される。記録紙115の搬送は、ヘッドカート部の一走査ごとに所定のピッチで間欠的に行われ、この間に吐出ヘッド部101からインクを吐出して記録が行われる。
【0033】
また、吐出ヘッド部101の走査領域内で、かつ、記録紙115への記録領域外には、吐出ヘッド部101のインクの吐出特性を良好に維持するためのヘッド回復系110が、吐出ヘッド部101と対向して配置されている。ヘッド回復系110は、吐出ヘッド部101をキャッピングするキャップ117と、吐出ヘッド部101のノズル面を清浄にするためのブレード111とを有する。吐出ヘッド部107がキャップ117と対向するときの吐出ヘッド部101の位置を、ホームポジションという。
【0034】
次に、図1に示す液体吐出記録装置のメインタンクと吐出ヘッド部との間のインクの経路及びその経路中の詳細な構成の一実施形態について図2を用いて説明する。上述したように、本実施形態のインクジェット記録装置は複数色のインクを使用するものであり、インク経路も各色ごとに設けられているが、それぞれのインク経路はいずれも同じであるので、図2には1色のインクについての経路を示している。
【0035】
図2に示すように、メインタンク202とサブタンク203とは、メインチューブ226で接続される。メインチューブ226のメインタンク202と接続される側の端には、注射針のような中空針(不図示)が設けられ、メインタンクのゴム栓228に接続している。メインタンクは大気開放パイプ232を挿入することで大気に開放されており、ゴム栓228に設けられたチューブ229により、メインタンク内のインクを外部へ導出可能となっている。
【0036】
メインチューブ226の他端部はサブタンク203内に挿入されており、その先端には、サブタンク203内への異物の流入を防止するフィルタ225が取り付けられている。サブタンク203に挿入された側のメインチューブ226の先端は、(E)で示す高さよりも低い位置に位置している。また、メインチューブ226には、インクがメインタンク202からサブタンク203に流れるときにのみ開く一方向弁227が設けられており、これによりサブタンク203からメインタンク202へのインクの逆流が防止される。また、逆止弁とサブタンクとの間には負圧発生用ポンプ219が設けられている。
【0037】
サブタンク203には、サブタンク203内のインク残量を検知するために、それぞれサブタンク203の上端から挿入された3本の電極針a,b,cで構成されるインク残量検知センサ223が設けられている。各電極針a,b,cのうち2本の電極針a,bは、それぞれ先端が(E)で示す高さまで挿入されており、残りの電極針cは先端が(F)で示す高さまで挿入されている。そして、各電極針a,b,cに低電圧の電流を流し、インクを介しての各電極針a,b,c間の導通を検知することで、サブタンク203内のインク量が検出される。具体的には、インクの液面の高さが(E)の高さよりも低ければ、電極針aと電極針bとの間は不導通となり、これを検知したら、後述するようにしてメインタンク202からサブタンク203へインクが供給される。インクの液面の高さが(F)の高さよりも高ければ、電極針aと電極針cとの間は導通し、これを検知したらサブタンク203へのインク供給が停止される。
【0038】
また、サブタンク203の上部の(F)で示す高さよりも高い位置には、大気連通孔224が設けられる。
【0039】
サブタンク203の底部と吐出ヘッド部201とは、サブチューブ234によって接続されている。このため、サブタンク203から吐出ヘッド部201へのインクの供給は、吐出ヘッド部201のノズルでの毛管現象によってなされる。本実施形態では、吐出ヘッド部201を、(E)で示す位置から吐出ヘッド部201のノズル面までの高さaが50mm、(F)で示す位置から吐出ヘッド部201のノズル面までの高さbが10mmとなる位置に配置することで、吐出ヘッド部201のインクがノズル面でメニスカスを形成してノズルを満たした状態を保つようにしている。
【0040】
一方、サブチューブ234は、(E)で示す高さよりも低い位置でサブタンク203と吐出ヘッド部201とに接続されている。
【0041】
吐出ヘッド部201をキャッピングするキャップ217は、吸引チューブ218で廃インクタンク221に接続されている。吸引チューブ218には吸引用ポンプ222が設けられており、キャップ217で吐出ヘッド部201をキャッピングした状態で吸引用ポンプ222を駆動することで、吐出ヘッド部201内のインクはキャップ217に吸引され、吸引チューブ218を介して廃インクタンク221に収容される。
【0042】
なお、吸引用ポンプ218及び負圧発生用ポンプ219はチューブポンプであり、それぞれポンプモータ222,220で駆動される。
【0043】
このような構成において、液体補充動作は記録動作とともに行われる。まず、吐出ヘッド部201を往復走査と記録紙のピッチ送りとを繰り返しながら、記録信号に基づき吐出ヘッド部からインクを吐出して記録紙に印字(記録)を行う。このとき、吸引用ポンプ218及び負圧発生用ポンプ219は停止している。
【0044】
記録紙への記録に伴って、サブタンク203内のインクが消費され、サブタンク203内のインクの液面の高さが(E)で示す高さよりも低くなると、インク残量検知センサ223の電極針aと電極針bとの間が不導通となり、サブタンク内のインク残量が少なくなったことが検出される。
【0045】
このことが検出されると、その時点で記録を行っている記録紙への記録を一時的に終了し、吐出ヘッド部201はホームポジションに戻され、キャップ217により吐出ヘッド部をキャッピングする。その後、負圧発生用ポンプ219を駆動させると、サブタンク203にはメインタンク202のインクが補充される。
【0046】
この時、吐出ヘッド部はキャッピングされているので、吐出ヘッド部201からサブタンク203へインクが戻ることはない。また、メインタンク202内のインクがサブタンク203に供給される際、メインチューブ226の先端に取り付けられたフィルタ225により異物が漉過される。そして、メインタンク202内のインクがなくなった場合には、新たなメインタンクと交換する。
【0047】
次に、本発明の特徴である、液体吐出記録装置のインクタンク(メインタンク)を収容するインクタンクユニット(メインタンクユニット)、及び収容されるメインタンクについて図3〜図7を用いて説明する。
【0048】
まず、本願発明のインクタンクユニットに装着されるインクタンクについて、図3(a)、(b)に示す立体斜視図を用いて説明する。図3において、(a)は後述するメインタンクユニットの針との接続部を上面にした時(使用時姿勢)の立体斜視図、(b)はインクタンクの底面を説明するための立体斜視図である。
【0049】
メインタンク1は、剛性のある筐体11内部に直接インクなどの液体を収容可能であり、誤装着防止部材9の設けられている底面と対向する面に筐体内部に大気を導入するための大気連通口12を有する第1の突出部としての第1キャップ2、筐体内部の液体を外部に導出するためのインク供給口13を有する第2の突出部としての第2キャップ3、及び底面に誤装着防止部材9が設けられている。ここで、インク供給口及び大気連通口を底面と対向する面に備え、後述するメインタンクユニットの針が上方から挿入されることで、万一結合時に不確実な結合が行なわれたとしても、結合部からインクが漏れ、メインタンクユニットを汚すことがない。
【0050】
大気連通口12及びインク供給口13はそれぞれ突出部としての第1キャップ、第2キャップ内のゴム栓(不図示)により密閉されており、内部の液体が不用意に外部に漏れ出ないようになっている。なお、図3上には示されていないが、インク供給口には筐体内を底部近傍まで延在するチューブ14が設けられており(図10(b)参照)、図3(a)に示す姿勢においても、インク供給口と接続され外部から吸引されることで、筐体内部に収納された液体を外部に導出することが可能となっている。
【0051】
また、第1キャップ2と第2キャップ3は底面と対向する同一面上に設けられており、該面の第1キャップ側の端部、すなわち、後述するメインタンクの挿入方向前方の端部は、メインタンクユニットのロック部材を解除する手段としてのロック解除部4となっている。ロック部材解除手段をメインタンク前方に設けることで、メインタンクユニットのロック部材をユーザの手の入りにくいところに設けることと、後述するインクタンクの挿入動作においてロック部材の解除の前に誤装着検知を行うことが容易に実現できる。
【0052】
また、本実施例では第1キャップ及び第2キャップの形状は同じ略円筒形状であり、その配置は、メインタンクの挿入方向から見ると、第1キャップ及び第2キャップの中心軸がほぼ一致した形で、第1キャップが手前にくるように配置されている。
【0053】
底面と対向する面の第2キャップ側(挿入方向後方)にはそれぞれのキャップの開口部の端面の高さより高い傾斜面が設けられるとともに、落下の際に前述の第2キャップ3の破損を防止するためのキャップ保護用リブ5が設けられている。
【0054】
また、傾斜面の高い方の端部(挿入方向後方の端部)は、メインタンクをメインタンクユニットのレバーに固定させるための垂直面部6を有している。垂直面部6は、底面に対し、ほぼ直交する面となっており、第1キャップ及び第2キャップの柱状の部分と平行になっている。垂直面部の下端は、第1キャップ及び第2キャップの柱状の部分より鉛直方向やや下方まで延在し、上端は第1キャップ及び第2キャップの開口部より上方まで延在している。
【0055】
また、第2キャップの高さは、第1キャップの大気連通口を有する面と垂直面部上部とを結ぶ線より下方に位置するようになっている。従って、仮にタンクを落下させたとしても、第2キャップは地面に直接接することはないので、落下により第2キャップが破壊されることはない。このように、本実施例のインクタンクでは、インクタンクの結合部を保護することで、後述するインクタンクを搭載可能な記録装置との結合をより確実に行なうことを実現している。なお、上述のキャップ保護用リブは、必ずしも必須の構成ではないが、リブを設けることで第2キャップの保護をより確実に行なうことができる。
【0056】
この垂直面部の下方には、それぞれ筐体を貫通する貫通穴により垂直面部から突出した把手部7及び引掛け穴8が設けられており、それぞれ持ち運び時やメインタンクユニットからタンクを取り外す際にユーザのハンドリング性を向上させている。本実施例では、これら把手部及び引掛け穴部はインク収容可能な筐体内部と連通する中空体で構成されており、これらの中にも液体を充填することができるので、その分メインタンクのインク収納量を増大させることが出来るようになっている。
【0057】
また、底面に設けられた誤装着防止部材9には、誤装着防止部材としての爪10が2列にわたって設けられ、この爪の不要部分を切り欠くことにより、メインタンクユニットにおける誤装着の防止を行なっている。誤装着防止部材はタンクの挿入方向前方の端部に設けられている。
【0058】
次に、図3に示すインクタンクを装着する本願発明のインクタンクユニットについて、図4〜図7を用いて説明する。図4及び図5は、本発明のメインタンクユニット全体を説明するための説明図であり、図4はメインタンクユニット20の正面図、図5は側面断面説明図である。また、図5に示すメインタンクの構造のうち、要部を図6に示し、図5のA−A断面図及びB−B断面図をそれぞれ図7(a)及び図7(b)に示す。
【0059】
本実施例のインクタンクユニット(メインタンクユニット)20は、メインタンク1を1個あるいは複数個(ここでは6個収納する場合を例にとる)収納する。メインタンクユニット20の筐体底部には底板プレート21、上部には上面プレート24が設けられ、これらは各々の両端を左シャーシ22、右シャーシ23によってつながれている。底板プレート21、上面プレート24の間には中央プレート25が左シャーシ22、右シャーシ23間に渡され、後述するリアシャーシ32などとともに筐体の剛性を高めている。
【0060】
26はメインタンク1の底部を案内する下ガイドで、27は上部を案内する上ガイドである。下ガイド26のメインタンクが収納される凹部の右側にはタンク付勢バネ28、29が設けられ、メインタンク1を左側に押しつけてメインタンク1の下部の位置決めが行なわれる。隣接するメインタンク収納部間はフロントガイド30によって仕切られ、操作者が、メインタンク1を挿入するときに、挿入場所が一目でわかるようになっている。
【0061】
31はタンクロックレバーで、インクの色を識別するための記号、文字、番号などが刻印、印刷、シール貼りつけなどの手段によって設けられている。この実施例では、A〜Fの文字が印刷によって記されている。同様に、対応するメインタンク1にもA〜Fの文字が設けられ、操作者がどこにどの色のメインタンクを挿入すればよいかを一目でわかるようにしてある。タンクロックレバー31は、メインタンク1が収納されていない状態では上方に持ち上げられているが、メインタンク1を挿入した後、操作者が下方に押し下げてメインタンク1が引き抜かれないようにロックすることができる。
【0062】
このタンクロックレバー31は、主に操作者が操作するレバーグリップ33とレバー本体34から構成される。タンクロックレバー31は、レバー支持部材35に設けられたレバー軸36を中心に回動可能に支持されている。レバー支持部材35は中央プレート25に固定されている。レバー本体34のレバーグリップ33と反対側の端部34aと、左シャーシ22、右シャーシ23間に設けられたバネフック37の間には、引っ張りバネ38が設けられている。したがって、タンクロックレバー31は、レバー軸36を中心に常に時計回り方向に付勢され、メインタンク1を挿入していないときには、フロントガイドの突き当て部30aに当たった状態で保持されている。
【0063】
41,42はそれぞれ管状で先端が細くとがった針で、針41はメインタンク1内のインクを吸い上げるために設けられたインク供給針であり、針42はメインタンク1内を大気に連通させるために用いられる大気連通針である。それぞれの針41,42は針ホルダ43によって保持されており、針ホルダ43は中央プレート25に植設された円柱状のガイド軸44,45に沿って移動可能である。
【0064】
針ホルダ43の両側には一対のピン46とその外側で回動可能なコロ47が設けられており、このコロ47が、レバー本体34の両側に設けられた軸受部材49にはめ込まれている。このような構成により、タンクロックレバー31を押し下げることで、針ホルダ43および針41,42を下降させることができる。
【0065】
針41,42は針ホルダ43内でL字に曲げられ、ゴム製の針ジョイント60によって各々チューブ61,62につながっている。チューブ61は、図2に示すインク供給経路に適用される場合には、サブタンク側からのインクの逆流を防止するための逆止弁63、チューブ64を介してサブタンクとつながっている。なお、チューブ64の途中には第2図において説明したように、インク送液用のポンプが設けられている。チューブ62はリアシャーシ32の後方まで這い回されてチューブ端部が大気に開放されている。したがって、ポンプを動作させると逆止弁63が開き、メインタンク1内のインクがサブタンクへ送られ、そのかわりチューブ62を通って空気がメインタンク1内へ補給される。
【0066】
下ガイド26のメインタンク収納部の中央にはメインタンクの入り口から奥側にかけて傾斜溝65が設けられており、さらに奧側にはメインタンク1の並び方向につながったインク吸収体66が設けられている。インク吸収体66は少なくともメインタンク1個分のインクが吸収できるようになっており、万が一メインタンク1が破損してインクが漏れだしたとしてもユニット外へインクが溢れることはない。傾斜溝65の角度は漏れだしたインクが速やかに吸収体66方向へ流れるように本実施例では1.5°となっている。
【0067】
67は識別誤装着防止部材で、本来収納されるべき色以外の色のメインタンクが挿入されたときには、図3(b)に示す除去されていない爪10が識別誤装着防止部材67とぶつかり、途中までしか挿入できないので、操作者は誤挿入であることに気がつくようになっている。
【0068】
72はレバーロック部材で支持軸73を中心に揺動可能に支持され、トーションスプリング74によって時計方向に付勢されている。メインタンク1が収納されていない場合には、レバーロック部材72は、突き当て部72aが中央プレート25に突き当たった状態(図6参照)で保持されており、レバーロック部材72の上部の端部72bは、レバー本体34の開口部34bを貫通している。従って、この状態でタンクロックレバー31を押し下げようとすると、レバー本体34の折り曲げ部34cがレバーロック部材72の肩部72cに当たり、これ以上タンクロックレバー31は下がらない。
【0069】
75は検出プレートで、支持軸76を中心に回動可能に支持され、トーションスプリング77によって反時計方向に付勢されている。検出プレート75の当接部75aは針ホルダ43に植設されたホルダピン78に当接しており、針ホルダ43が下降し所定の最下位位置まで下がると反時計方向へ回転し、突出部75aがマイクロスイッチ79の検出部79aを押し、針41,42の所定位置への移動を検出する。
【0070】
81は針41をメインタンク1から抜いたときに針41に付着したインクをふき取る吸収体で、吸収体押さえ82によって保持されている。83はレバー本体34に設けられた凸部材で、中央プレート25に固定された凹部材84と係合する。凸部材83と凹部材84はともにポリアセタール、ポリプロピレンなどのバネ性を有する材料で作られ、タンクロックレバー31を押し下げると係合し、その位置にタンクロックレバー31を保持でき、所定以上の力で引き上げるとその係合を解除できるものである。また、レバー本体にはタンクの付勢手段としての板バネ85、ローラ86、及び回転軸87が設けられている。板バネ85は一端がレバーグリップ33に固定され、他端にはアイドラーのローラ86と回転軸87が設けられている。
【0071】
ストッパ91は中央プレート25から上方に植設された回動軸92を中心に回動可能で、トーションスプリング93によって、反時計方向に付勢されている(第7図(a)参照)。メインタンク1が収納されていないときには針ホルダ43の脚部43aの下方にストッパ91がちょうどあるため、針ホルダ43はこれ以上下降できないようになっている。
【0072】
94はクリック部材で中央プレート25から下方に植設された回動軸95を中心に回動可能で、圧縮バネ96によって、時計方向に付勢されている(第7図(b)参照)。
【0073】
次に、図3のインクタンクを図4に示すメインタンクユニットに装着する際の装着動作について、図8〜図15を用いて説明を行なう。
【0074】
図8〜図15は、本発明のインクタンクとインクタンクユニットとの結合方法を段階的に説明するための説明図である。
【0075】
まず、図8及び図9(a)、(b)に示すように、メインタンク1を上ガイド27と下ガイド26にガイドされた状態にて図9(a)に示す、J方向へ挿入する。図8はインクタンクの挿入を開始した時のインクタンク及びインクタンクユニットを示す側面断面図であり、図9(a)及び(b)はそれぞれ、この断面図の紙面に対して直交する平面で切断した時の、それぞれ上面及び底面方向から見た要部断面図である。
【0076】
J方向に挿入されたメインタンク1は、下ガイド26に取り付けられた、タンク付勢バネ28により下ガイド26、上ガイド27に設けられた基準面15に押し付けられ、メインタンク1のインクタンクユニット20に対するK方向(図9(a)におけるインクタンクの挿入方向と直交する方向)の位置が決まる。すなわち、基準面に押し付けることにより、着脱動作中及び装着完了後のインクタンクのK方向の揺動を防止することができる。
【0077】
さらに、メインタンク1をメインタンクユニット20に挿入していくと、メインタンク1底部の誤装着防止部材(爪)が、図9(b)に示すように、メインタンクユニット20の底板プレート21に取り付けられた識別誤装着防止部材67付近を通過する。
【0078】
ここで、識別誤装着防止部材67の凸部に対応する爪を切り欠いた誤装着防止部材を有するインクタンクは通過することができるが、切り欠いていない場合にはこの位置よりインクタンクをさらに奥まで挿入することができなくなっている。ここで、本実施例ではインク色により取り付け位置が異なるように取り付けられているので、ユーザが万一識別用のラベルを見落としたとしても、誤って他の色のインクを収容するインクタンクを装着することがないようになっている。
【0079】
本発明のメインタンクユニットは、基準面に当接させた後、識別誤装着防止部材67付近を通過するようになっているので、図9(a)に示すK方向のずれにより、正常な組み合わせでメインタンクをメインタンクユニットの対応箇所に挿入する際、識別誤装着防止部材が誤動作することはない。
【0080】
さらにメインタンク1をメインタンクユニット20へ挿入していくと、図10に示すように、メインタンク1のロック解除部4が、メインタンクユニット20に設けられたレバーロック部材72に当接するようになる。ロック解除部が、レバーロック部材に当接し、ロックを解除する時のインクタンク及びメインタンクユニットを図10及び図11に、また、インクタンクの挿入が完了した状態を図12及び図13に示す。図10及び図12はインクタンク及びインクタンクユニットを示す側面断面図である。また、図11及び図13において、(a)及び(b)はそれぞれ、図10のA−A及びB−B断面図である。
【0081】
ロック解除部4がレバーロック部材72のタンク当接部72dに当接後、さらにメインタンク1を奥へ挿入していくと、ロック解除部4が、レバーロック部材72を押し、その結果レバーロック部材72は、支持軸73を回動中心として、図10に示した点線の位置まで反時計回りに回動する。すると、レバーロック部材72の肩部(ロック部)72cが、レバー本体34に設けられた折り曲げ部(受け部)34cから離れ、ちょうど開口部34bに対応する位置にくるため、レバーロック部材72によるレバー本体34のロックが解除される。
【0082】
このように、第1の針の移動防止手段としてのロックレバーを解除をタンクの挿入により行うことにより、タンク挿入動作以外の余計な動作をユーザに強いることなく、タンク以外のものが挿入された場合の誤動作を防ぐことができる。従って、ユーザが不用意にメインタンクユニット内に手を入れたとしても、針により手を傷つけることはない。
【0083】
また、ロックレバーの解除をタンク先端部で行うことで、ロックレバーの位置をユーザの手の入りにくいところに設けることができるだけでなく、ロックレバーの解除前に誤装着防止のための誤装着検知を行うことができる。本実施例ではタンクの側面を基準面に当接させ、さらに誤装着防止部材による誤装着の確認を行なうまではレバーの押し下げすら禁止する構成となっており、確実な誤装着検知後に第1の針の移動防止手段を解除することになるので、異なる種類のタンクを誤って装着することがない。
【0084】
さらにメインタンク1をメインタンクユニット20へ挿入していくと、図11(a)に示すように、メインタンク1の第1キャップ2が、クリック部材94の先端部近傍(L)に当接し、クリック部材94をM方向へ反時計まわりに回動させる。この結果、第1キャップ2とクリック部材94の突起部(O)とが当接する。このとき、圧縮バネ96は、圧縮されており、クリック部材94をN方向(時計まわり)へ回動させる力を発生しており、インクタンクの挿入に対しクリック部材は抵抗を発生する。しかし、クリック部材94は、略弧状の形状をしているため、そのため、さらに挿入を続け、クリック部材と第1キャップとの当接位置を挿入方向に対し後方に移動させると、ある位置からクリック部材は時計方向へ回転し、インクタンクの挿入を促進する方向に働く。そして、最終的には第1キャップ2を上ガイド27の横方向突き当て面27bと縦方向突き当て面27cに突き当てて、メインタンク上部の位置決めがなされる(図13(a)参照)。このように大型容器においてはキャップにより結合部の位置決めを行うことで、位置決めの精度を高めることができる。また、ユーザはこの変化をクリック感として容易に検知することができるので、挿入が確実に行われたことを確認することができる。
【0085】
このクリック部材の回動により、インクタンクの挿入が促進される状態になる前は、図11(b)に示すように、ストッパ91は、中央プレート25に設けられた回動軸92に回動自在に支持されているとともに、トーションスプリング93により、P方向へ付勢されている。従って、仮にレバーロック部材によるロックが解除されていても、このままでは図7において説明したように、針ホルダ43はこれ以上下降できないようになっており、針を保護している。
【0086】
ここで、メインタンク1の第1キャップが、クリック部材94によりメインタンクユニット20のさらに奥へ挿入される(すなわち、クリック部材の回動によりインクタンクの挿入が促進される状態になる)ことで、図13(b)に示すようにメインタンク1の第1キャップがストッパ91の舌部204を押し、ストッパ91は、図13(b)に示すQ方向へ、回動軸92を回動中心として回動する。
【0087】
その結果、R部、S部には、ストッパ91は存在し無くなる。中央プレート25のR部、S部の下には、穴が設けてあるので、ストッパ91は針ホルダ43の脚部43aの下降の妨げにはならない。このように、ストッパ91が、回動することで、針ホルダ43のロックが解除され、針ホルダ43は、中央プレート25のR部、S部の穴を通過することが可能となる。
【0088】
従って、ユーザはクリック感があれば第2の針の移動防止手段としての針ホルダのロックが解除されるので、後述する針の結合動作を安心して行うことができる。このようにクリック部材によるクリック感を第2の針の移動防止手段の解除と兼ねるためには、本実施例のようにクリック部材の回動によりインクタンクの挿入が促進される状態になる前は、針ホルダのロックの解除動作は行われない方が望ましい。
【0089】
メインタンク1のメインタンクユニット20への挿入動作が完了した状態の側面図が、図12に示されている。この状態では、メインタンク1の挿入動作が完了し、ストッパ91による針ホルダ43のロック、レバーロック部材72によるレバー本体34のレバー軸36を回動中心とする回動に対するロックの2個のロックが解除された状態となっている。
【0090】
本実施例では、第1の針の移動防止手段としてのレバーロック部材72及び第2の針の移動防止手段としてのストッパ部材91という2部材により針ホルダのロックを行なっている。従って、万一誤ってユーザがメインタンクユニット内に手などを挿入し、レバーロック部材を解除してレバーを押し下げようとしても、針ホルダに設けられた針により怪我をすることはないと同時に、異物がメインタンクユニット内に挿入された場合の、針の保護を行なうことができる。また、針の移動防止手段を1つだけ設ける場合には、本実施例のストッパ部材91のように、針の挿入位置に近い所で行うことが、確実な挿入を実現するために望ましい。また、本実施例のように針の移動防止手段を2箇所設けることで、一方の解除手段は針の挿入位置近くでなくてもよいため、解除手段の強度を高めることができる。
【0091】
このように、インクタンクのキャップによる位置決めが行なわれた後に、レバーを押し下げることによりメインタンクが固定保持されると共に不図示のインク供給経路との接続が行なわれる。
【0092】
図14及び図15はレバーの押し下げ動作を時系列的に示すメインタンク及びメインタンクユニットの側面断面図である。
【0093】
タンクロックレバー31を押し下げると、針ホルダ43がガイド軸44,45に沿って下降し針41,42も下降する。このときレバーロック部材72は、メインタンク1の上部によって支持軸73を中心に反時計方向に回転し、肩部72cがちょうど開口部34bに対応する位置にくるのでレバーロック部材72はタンクロックレバー31の押し下げの妨げとはならない。図14の位置よりさらにタンクロックレバー31を押し下げると折り曲げ部34cがレバーロック部材72を押してレバーロック部材72をさらに反時計方向に回転させる。
【0094】
図14の位置ではローラ86はメインタンク1の垂直面部6の上部に接する位置にくる。タンクロックレバー31を押し下げるとき、仮にメインタンク1が最後まで挿入されずにわずかに手前側に位置していたとしても(例えばクリック部材によるタンク引き込み動作中の位置)、この付勢手段としてのローラ86が板バネ85により回転しながらメインタンク1を奥側に押し込むため、メインタンクが所定の位置にきていないまま、針41,42が挿入されることはない。もちろん、針41,42がそれぞれ第1キャップ2、第2キャップ3に接触する前にメインタンク1の位置が補正されるように、ローラ86はロックレバーの下端部に配置され、垂直面部の上端は2つのキャップ部材の柱状部より上に配置されている。
【0095】
図14の位置よりさらにタンクロックレバー31を押し下げると、針41,42がメインタンク1のインク供給口及び大気連通口のゴム栓(不図示)のほぼ中央に挿入され、貫通する。図15はタンクロックレバー31が最後まで押し下げられた状態の図である。タンクロックレバー31が最後まで押し下げられると凸部材83と凹部材84が係合して、タンクロックレバー31は引っ張りバネ38の付勢力に抗して、この位置で保持される。このとき針ホルダ43のホルダピン78に接した検出プレート75は、針ホルダ43が下降するにつれ支持軸76を中心に反時計方向へ回転し、針ホルダ43が最下位位置まできたとき、つまり針41,42が最下位位置まできたときに、突出部75bがマイクロスイッチ79の検出部79aを押す。このマイクロスイッチ79は例えばポンプの駆動回路につないで、マイクロスイッチ79が押されたとき、つまり針41,42が所定の位置まで下降したときにのみ、ポンプが動作してメインタンクからのインク吸引が可能となる。
【0096】
このとき、ロックレバーのローラは、図15に示すように垂直面部の端部、2つのキャップの柱面の位置と同等もしくは重力方向やや下方に位置して固定されている。本実施例のようにタンクを挿入方向に付勢する場合、タンクの位置決め位置であるキャップの柱面を支点として、付勢力によりモーメントが発生する恐れがある。このとき、図14、図15に示す断面図において、反時計まわりのモーメントは、タンクホルダーの底面プレートにより受け止めることができるが、時計まわりのモーメントは、受け止める部分がないので位置ずれが起こる恐れがある。しかし、本実施例では上記構成をとっていることにより、上方へのモーメントを発生させないようになっているので、位置ずれが起きないようになっている。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のタンクユニット及びインクタンクによれば、インクタンクの結合方法において、インクタンクの保持固定を行なった後にインク供給針を挿入することで、針の損傷が少なく、信頼性の高い結合方法を提供することができる。
【0098】
また、タンクの挿入方向に対して針の挿入方向が略直交であることで、針の挿入によるタンクの位置決めの際に位置がずれやすいタンク挿入方向と反対側の成分が生じないので、針の挿入によりずれが生じることなく、より一層信頼性を高めている。特に針の挿入方向を鉛直方向上方から行うことで、タンクのインク供給口及び大気連通口をタンクの上面(底面と対向する面)に設けることができるので、万一結合がうまく行なわれなかったとしても、インク漏れなどを起こす恐れがない。
【0099】
また、インクタンクの挿入動作において、まず、誤装着防止手段が挿入方向前方の底面にあることにより、誤ったタンクにより針の移動手段を解除することがなく、誤装着を確実に防止するとともに、装置の結合部の信頼性を高めることができる。
【0100】
また、針の移動防止手段を2種類以上設けることで、一方が誤動作した場合でも不用意に針を損傷させることがない。さらに、移動防止手段の強度を高めることができる。
【0101】
また、針の移動手段としてのレバーにより、インクタンクを固定するための基準面への当接方向にインクタンクの垂直面部を付勢することで、より確実な位置決めを行なった後に針の挿入が行われるので、結合の信頼性を高めることができる。
【0103】
なお、本発明においては結合部はインク供給口及び大気連通口の2つが設けられているが、本発明の結合方法、記録装置においては、結合部の個数はこれに限定されることなく、インクタンクの構造によっては1つでもよく、また、3つ以上あってもよい。また、メインタンクユニットに収納されるインクタンクの個数は、本実施例のように複数であってもよく、一つであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な液体吐出記録装置の一実施形態である、インクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の液体吐出記録装置に用いられる液体補充システムの一例を示す概略説明図である。
【図3】(a)及び(b)はそれぞれ本発明のインクタンクの立体斜視図である。
【図4】本発明のインクタンクを搭載可能なメインタンクユニットの正面図である。
【図5】本発明のインクタンクを搭載可能なメインタンクユニットの側面断面説明図である。
【図6】図5に示す本発明のインクタンクを搭載可能なメインタンクユニットの要部を説明するための側面断面図である。
【図7】(a)及び(b)はそれぞれ図4に示す本発明のインクタンクを搭載可能なメインタンクユニットのA−A断面図及びB−B断面図である。
【図8】本発明のインクタンクの挿入を開始した時のインクタンク及びインクタンクユニットを示す側面断面図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ本発明のインクタンクの挿入を開始した時のインクタンク及びインクタンクユニットを示す説明図である。
【図10】本発明のインクタンクをインクタンクユニットに挿入している時のインクタンク及びインクタンクユニットを示す側面断面図である。
【図11】(a)、(b)はそれぞれ本発明のインクタンクをインクタンクユニットに挿入している時のインクタンク及びインクタンクユニットを示す説明図である。
【図12】本発明のインクタンクをインクタンクユニットに挿入した時のインクタンク及びインクタンクユニットを示す説明図である。
【図13】(a)、(b)はそれぞれ本発明のインクタンクをインクタンクユニットに挿入した時のインクタンク及びインクタンクユニットを示す説明図である。
【図14】レバーの押し下げ動作を示すメインタンク及びメインタンクユニットの側面断面図である。
【図15】レバーの押し下げ動作を示すメインタンク及びメインタンクユニットの側面断面図である。
【符号の説明】
1 メインタンク
2 第1キャップ
3 第2キャップ
4 ロック解除部
6 垂直面部
7 把手部
9 誤装着防止部材
12 大気連通孔
13 インク供給口
20 メインタンクユニット
34 レバー
72 レバーロック部材
85 板バネ
86 ローラ
94 クリック部材
100 インクジェット記録装置
101 吐出ヘッド部

Claims (14)

  1. インクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給針と、該インク供給針を所定の位置まで移動させる移動手段と、を備え、前記記録ヘッドへ供給するためのインクを保持するインクタンクを着脱自在に搭載可能なインクジェット記録装置におけるインクタンクの結合方法において、
    該インクタンクを前記インクジェット記録装置に装着することで前記移動手段によるインク供給針の移動を防止する移動防止手段を解除するとともに前記インクタンクをインクジェット記録装置の基準面に当接させて前記インクタンクを所定の位置に保持固定する保持固定工程と
    該保持固定工程の後に、前記移動手段により前記インク供給針を前記インクタンクの所定の位置に挿入して、前記インクタンク内のインクを前記インクジェット記録装置内に導出可能にするインク供給針挿入工程と、
    を有することを特徴とするインクタンクの結合方法。
  2. 前記保持固定工程のインクタンクのインクジェット記録装置への装着方向と、前記インク供給針挿入工程の針の挿入方向とが略直交していることを特徴とする請求項1に記載のインクタンクの結合方法。
  3. 前記保持固定工程において、前記移動防止手段を解除する前に前記インクタンクの誤装着防止を行うことを特徴とする請求項1に記載のインクタンクの結合方法。
  4. 前記保持固定工程において、前記移動防止手段を少なくとも2種類設けることを特徴とする請求項1に記載のインクタンクの結合方法。
  5. 前記移動手段により前記基準面への当接方向へインクタンクを付勢することを特徴とする請求項1に記載のインクタンクの結合方法。
  6. インクを吐出して記録を行う記録ヘッド、を備え、記録ヘッドへ供給するためのインクを保持するインクタンクを着脱自在に搭載可能なインクジェット記録装置において、
    前記インクタンクを固定保持するために該インクタンクを当接させる基準面と、
    前記記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給針と、
    該インク供給針を所定の位置まで移動させて前記インクタンク内のインクを前記インクジェット記録装置内に導出可能にする移動手段と、
    移動手段による前記インク供給針の移動を防止する移動防止手段と、を備え、
    前記インクタンクが前記基準面に当接されて前記インクタンク前記インクジェット記録装置に保持固定されることにより前記移動防止手段が解除されて、前記移動手段による前記インク供給針の移動が可能になることを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 前記インクタンクの装着方向と前記移動手段によるインク供給針の移動方向とが略直交することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記インクタンクの挿入方向前方に設けられた誤装着防止部材を検知するための誤装着検知部が移動防止手段よりインクタンクの挿入方向前方に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記移動防止手段を少なくとも2種類設けることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記移動防止手段は、前記インクタンクの挿入方向前方の端部により解除されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記移動防止手段は、前記インクタンクの針との結合部のキャップにより解除されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記移動手段に前記基準面への当接方向へインクタンクを付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  13. 請求項6に記載のインクジェット記録装置に着脱自在に搭載可能なインクタンクにおいて、
    インクを収納するインク収納部と、
    該インク収納部を外部に対して連通させるための連通部を有する略円筒状の突出部と、
    前記インクタンクの挿入方向前方の端部に前記移動防止手段を解除するロック解除部と、
    前記インクタンクの挿入方向後方の端部に把手部と、
    前記把手部の上方に前記突出部と対向し底面と直交する垂直面部と、を備え、該垂直面部の上端の底面からの高さは前記突出部の連通部の端面より高く、前記垂直面部の下端の底面からの高さは前記突出部の側面の下端より低いことを特徴とするインクタンク。
  14. 前記挿入方向前方の底面に、誤装着を防止するための誤装着防止部材を備えることを特徴とする請求項13に記載のインクタンク。
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