以下、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[画像記録装置10の概略構成]
図1に示されるように、画像記録装置10は、プリンタ部11とスキャナ部12とを備える。画像記録装置10は、プリント、スキャン、コピーなどを実現可能な複合機である。なお、スキャナ部12は任意の構成であり、例えばスキャナ部12を有しない単機能のプリンタとして画像記録装置10が実現されてもよい。
[プリンタ部11]
図2に示されるように、プリンタ部11は、給送部15と、搬送部30と、記録ヘッド40と、インク供給装置50と、不図示の制御部と、を備える。制御部は、例えば基板に実装されたマイコンや種々の電子部品により実現される。インク供給装置50が液体供給装置に相当する。
給送部15は、給紙カセット14に載置された記録用紙や葉書などの被記録媒体13を搬送部30へ送り出すものである。給送部15は、いわゆる振り子式の給送ローラ16を備える。振り子式とは、給送ローラ16が回動可能なアーム17により給紙カセット14に対して接離可能に構成されたものである。給紙カセット14に載置された被記録媒体13に当接した状態で給送ローラ16が回転されることで被記録媒体13が搬送部30へ送り出される。
[搬送部30]
搬送部30は、搬送路31と、搬送ローラ対32と、排紙ローラ対33とを備える。搬送路31は、複数個のガイド部材(不図示)及びプラテン35などにより区画された空間である。被記録媒体13は搬送路31を通過する。搬送ローラ対32は、搬送路31においてプラテン35より搬送向き36の上流側に設けられている。排紙ローラ対33は、搬送路31においてプラテン35より搬送向き36の下流側に設けられている。搬送ローラ対32及び排紙ローラ対33は、搬送路31を挟むようにして対向配置された一対のローラにより各々が構成されている。搬送ローラ対32及び排紙ローラ対33は、被記録媒体13を挟持し、一方のローラが回転されることで被記録媒体13を搬送向き36へ搬送する。被記録媒体13がプラテン35へ到達すると、搬送ローラ対32及び排紙ローラ対33は、所定の搬送距離毎に間欠して回転される。搬送ローラ対32及び排紙ローラ対33の回転が停止されて、プラテン35上において被記録媒体13の搬送が停止されているときに、記録ヘッド40により被記録媒体13へ画像記録がなされる。画像が記録された被記録媒体13は排紙トレイ18に排出される。
[記録ヘッド40]
図2に示される記録ヘッド40はキャリッジ41に搭載されている。このキャリッジ41は不図示のレール部材に幅方向9(図2において紙面に垂直な方向)へ移動可能に支持されている。記録ヘッド40は、キャリッジ41に搭載された状態において、プラテン35と対向している。
図2に示されるように、記録ヘッド40はサブタンク42と複数のノズル(不図示)とを備える。サブタンク42にはチューブ43を介して後述のインクカートリッジ51から供給されたインクが貯留される。ノズルは搬送向き36に沿って配列されている。キャリッジ41が移動されているときに、記録ヘッド40のノズルから微小なインク滴がプラテン35上の被記録媒体13へ向かって吐出される。被記録媒体13にインク滴が着弾することにより被記録媒体13に画像記録がなされる。記録ヘッド40が記録部に相当する。
[インク供給装置50]
図2に示されるように、インク供給装置50はインクカートリッジ51とカートリッジ装着部70とを備える。図には詳細に示されていないが、カートリッジ装着部70はプリンタ部11において開閉可能に設けられたカバーの内側に配置されている。このカバーが開かれることにより、インクカートリッジ51を交換可能にユーザがカートリッジ装着部70へアクセス可能となる。
[インクカートリッジ51]
図3及び図4に示されるように、インクカートリッジ51はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ51の内部に形成されている空間がインクを貯留するインク室26である。インク室26は、インクカートリッジ51の外観を形成している筐体52により形成される空間であってもよいし、筐体52とは別の部材によって形成される空間であってもよい。インクカートリッジ51が液体容器に相当する。インク室26が貯留室に相当する。
インクカートリッジ51は略直方体形状の筐体52を備える。筐体52は、左右方向23に細く、上下方向21と前後方向22が左右方向23よりも大きい扁平形状である。インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70へ装着されるときに前方側となる筐体52の壁が前壁54であり、後方側となる筐体52の壁が後壁55である。前壁54と後壁55とは、前後方向22において所定距離を介して対向している。前壁54及び後壁55は、前後方向22に延びる一対の側壁53,62(図7(A)参照)を接続している。また、前壁54及び後壁55は、前壁54の上端から後壁55の上端に向けて延びる上壁56と、前壁54の下端から後壁55の下端に向けて延びる下壁57とを接続している。
図3,4に示されるように、インクカートリッジ51の筐体52の上壁56の外面であるロック面58には内側へ窪んだ凹部59が設けられている。凹部59は、上壁56において前後方向22の中央より前壁54側に設けられている。ロック面58が「ロックレバーと対向する面」に相当する。
図3に示されるように、ロック面58において、凹部59より後壁55側には前後方向22に延びるラックギヤ61が設けられている。ラックギヤ61の各歯は、その尾根が左右方向23に沿って延び、かつ上方へ突出している。ラックギヤ61は、ロック面58において左右方向23の一方の側壁53側へオフセットして配置されており、他方の側壁62(図7参照)側のロック面58はラックギヤ61が配置されていない平面である。ラックギヤ60の前後方向22の長さは、後述されるようにインクカートリッジ51がカートリッジ装着部70から脱抜されるときにおいて、インクカートリッジ51が後述の装着位置から抜き取り位置に到達するまでの間、ピニオンギヤ101と噛合し得る長さに設定されている。ラックギヤ61が突起に相当する。
筐体52における前壁54と上壁56との結合部には、挿入向き24へ向くように傾斜するガイド面63が設けられている
筐体52の下壁57には、前後方向22に沿って延びるガイド部67が下方へ向かって突出されている。ガイド部67において左右方向23に対向する一対の側面の間の距離は、筐体52の一対の側壁53,62の間の距離より短い。つまり、ガイド部67の左右方向23の幅は、筐体52の左右方向23の幅より小さい。ガイド部67は、インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70へ挿抜される際に、ガイド溝76(図5参照)に挿入されている。
インクカートリッジ51は、図3,4に示される起立状態でカートリッジ装着部70へ挿抜される。インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70に装着される向きが装着向き24であり、抜き出される向きが脱抜向き25である。前後方向22が挿抜方向に相当する。
図3,4に示されるように、筐体52の前壁54における下端寄りの位置には、インク供給部64が設けられている。インク供給部64は、円筒形状の外形をなしており、筐体52の前壁54から装着向き24へ突出している。インク供給部64の突出端にはインク供給口65が形成されている。インク供給部64の内部空間は、インク流路66である。インク流路66は、インク供給口65とインク室26とを連通する前後方向22へ延びるインクの流通空間である。なお、図には示されていないが、インク供給口65はバルブやフィルムなどによって開口可能に封止されている。
図3,4に示されるように、筐体52の前壁54の下端には、装着向き24へ突出する突出片68が設けられている。突出片68は、前壁54からインク供給部64の突出端よりも前側まで突出している。
図3,4に示されるように、インクカートリッジ51の前壁54の上端よりの位置には、大気連通口69が設けられている。大気連通口69は、筐体52の外部とインク室26とを大気が流通可能とする孔である。図には示されていないが、大気連通口69は、バルブやフィルムなどにより開口可能に封止されている。
図3,4に示されるように、インクカートリッジ51は残量検知部90とセンサーアーム91とを備える。センサーアーム91は、板状のアーム本体92の両端に、インジケータ部93とフロート部94との一方がそれぞれ設けられたものである。センサーアーム91は、インク室26において、左右方向23に沿って延びる回動軸95により回動可能に支持されている。フロート部94はインク室26に存在するインクの液面の位置に対応して上下動する。残量検知部90は、インクカートリッジ51の筐体52の前壁54から前方(装着向き24)へ突出されている。残量検知部90の内部空間には、センサーアーム91のインジケータ部93が挿入されている。残量検知部90の壁は透光性の樹脂からなる。インジケータ部93は、フロート部94の上下動に応じて残量検知部90の内部空間を上下動する。インク室26に所定量以上のインクが存在するときは、インジケータ部93は残量検知部90の下端付近に維持され、インク室26のインク量が所定量未満となれば、インクの液面の降下によってフロート部94が降下し、それに対応してインジケータ部93が残量検知部90の上端側へ移動する。このようなインジケータ部93の移動が光学的に検出されることにより、インク室26におけるインク量が所定量未満となったことが判定される。
[カートリッジ装着部70]
図5に示されるように、カートリッジ装着部70は、開口71を有する箱形に形成されている。開口71が開口に相当する。カートリッジ装着部70の内部空間は、天部を画定している天面72と、底部を画定している底面73と、インクカートリッジ51の前後方向22に延び、天面72と底面73とを接続している一対の側面(不図示)及び終面74と、により区画されている。開口71を通じてカートリッジ装着部70へインクカートリッジ51が挿抜される。カートリッジ装着部70は、開口71側の抜き取り位置(図7(D)参照)と、開口71の奥側の装着位置(図7(B)参照)との間において、インクカートリッジ51をスライド可能に支持する。
カートリッジ装着部70の内部空間は、3枚の仕切り板75(図7参照)により左右方向23において仕切られている。仕切り板75で仕切られた4つの空間に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ51が収容される。カートリッジ装着部70が装着部に相当する。
図5に示されるように、カートリッジ装着部70の終面74には、インクニードル79及び保持部80が設けられている。インクニードル79は、管状の樹脂針からなる。インクニードル79は、カートリッジ装着部70の終面74と表裏をなす外面側でチューブ43(図2参照)に接続されている。
保持部80は円筒状に形成されている。保持部80の中心にインクニードル79が配置されている。インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70に装着されると、インク供給部64が保持部80の円筒の内側に挿入される。インク供給部64が保持部80へ挿入されるととともに、インクニードル79がインク供給部64のインク供給口65に挿入される。インクニードル79によって、インク供給口65を封止していたバルブやフィルムなどが開かれて、インク室26に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。
カートリッジ装着部70の終面74には、光センサ97が設けられている。光センサ97は、保持部80より上側に配置されている。光センサ97は、LEDなどの発光素子と、この発光素子から放射された光を受光するフォトトランジスタなどの受光素子とを備える。発光素子と受光素子とはインクカートリッジ51の左右方向23に離間されて対向配置されている。インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70に装着されると、発光素子と受光素子との間にインクカートリッジ51の残量検知部90が進入する。また、発光素子と受光素子とは、残量検知部90の下端側に配置されている。従って、インク室26に所定量以上のインクが存在するときは、残量検知部90の下端側に維持されたインジケータ部93によって、発光素子から受光素子へ照射される光が遮断又は減衰される。一方、インク室26のインク量が所定量未満となると、インジケータ部93が残量検知部90の上端側へ移動するので、発光素子から照射された光がインジケータ部93により遮断又は減衰されることなく受光素子により受光される。受光素子は、受光した光強度に対応した電気信号を出力するので、この電気信号に基づいて、インク室26に残存するインクが所定量未満であるか否かが判定される。
カートリッジ装着部70の終面74には、ロッド87が設けられている。ロッド87は、光センサ97より上側に配置されている。ロッド87は、大気連通口69に挿入可能な外形である。カートリッジ装着部70へインクカートリッジ51が挿入されると、ロッド87が大気連通口69に挿入される。ロッド87により、大気連通口69を封止していたバルブやフィルムなどが開かれて、大気圧より低い気圧で維持されていたインク室26が大気圧と同じ気圧となる。
図5に示されるように、カートリッジ装着部70の内部空間は、終面74の下端側において装着向き24へ向かって拡大されている。この拡大された空間が、収容部83である。収容部83は、カートリッジ装着部70の内部空間と連続している。
収容部83には、スライド部材82が装着向き24及び脱抜向き25へ移動可能に設けられている。スライド部材82は、概ね直方体の外形をなす。スライド部材82は、収容部83の下側の空間内を移動する。収容部83の上側の空間には、インクカートリッジ51の突出片68が進入可能である。スライド部材82の上面からは当接部84が上方へ向かって突設されている。当接部84は、収容部83の上側の空間へ突出している。従って、当接部84は、インクカートリッジ51の突出片68の進入経路にオーバーラップしており、収容部83において突出片68と当接し得る。
収容部83には第1コイルバネ81が収容されている。第1コイルバネ81は、収容部83の終端を画定している終壁85とスライド部材82との間に、圧縮状態で介在されている。スライド部材82は、第1コイルバネ81によって脱抜向き25へ付勢されている。従って、スライド部材82は、外力が付与されない状態において、収容部83の始壁88に当接される。インクカートリッジ51の突出片68が収容部83へ進入して当接部84へ当接し、更に突出片68が終壁85側へ移動するに伴って、スライド部材82が第1コイルバネ81の付勢に抗して終壁85側へ移動される。従って、突出片68が当接部84と当接した状態において、インクカートリッジ51は、脱抜向き25へ付勢される。第1コイルバネ81が第1付勢部材に相当する。なお、インクカートリッジ51の抜き取り位置は、スライド部材82が始壁88に当接してインクカートリッジ51が脱抜向き25に付勢されなくなる位置である。
カートリッジ装着部70は、回転体100とロックレバー110とを備える。以下、これらについて詳細な説明がなされる。
[回転体100]
図8に示されるように、回転体100は、ピニオンギア101とローラ106とを備える。回転体100が回転体に相当する。ピニオンギア101がピニオンギアに相当する。ローラ106が第1当接部材に相当する。
ピニオンギア101は、インクカートリッジ51に設けられたラックギア61と噛合可能である。ピニオンギア101の幅は、ラックギヤ61の幅とほぼ同じである。ピニオンギア101は、その軸線に沿って突出する支軸104を備える。ピニオンギア101において、ローラ106と対向する側の側面102には、支軸104と同じ方向に突出し、かつピニオンギヤ101の軸線から偏心されて配置されたピン105を備える。ピニオンギア101は、例えばジュラコンなどの硬質な樹脂で形成される。
ローラ106は、ピニオンギヤ101より直径の小さい円柱形状である。ローラ106には、ピニオンギア101の支軸104が挿入可能な孔107が形成されている。孔107は、ローラ106の軸線に沿って延びる空間である。孔107に支軸104が挿入されて、ローラ106が支軸104を軸として回転自在となる。孔107周りに周回する溝108が形成されている。溝108は、ピン105が挿入可能な幅で形成されている。また、溝108は、角度αの範囲内で設けられており、一端と他端とを備える。ピニオンギヤ101の支軸104がローラ106の孔107に挿入された状態おいて、溝108にピニオンギヤ101のピン105が挿入されて、ピニオンギヤ101とローラ106とが組み付けられる。ピニオンギヤ101とローラ106とが組み付けられた状態において、角度αだけ、ピニオンギヤ101がローラ106に対して相対的に回転可能となる。ピン105が挿入突部に相当する。溝108が溝に相当する。
図7に示されるように、回転体100は、ピニオンギヤ101とローラ106とが組み付けられた状態で、支軸104が左右方向23(紙面に垂直な方向)に沿って延びるようにカートリッジ装着部70のロック面58側に配置されている。支軸104がカートリッジ装着部70に支持されることで、ピニオンギヤ101及びローラ106は支軸104を軸として回転可能である。回転体100は、ピニオンギア101が、カートリッジ装着部70に挿入されたインクカートリッジ51のラックギア61と噛合可能な位置に配置されている。
図7に示されるように、カートリッジ装着部70に保持された回転体100のローラ106の側面には、一端がカートリッジ装着部70の仕切り板75または側面(不図示)に固定された板バネ109の他端が当接している。板バネ109は、ピニオンギア101のピン105が溝108の端に当接する場合にピニオンギア101の回転を阻害せず、且つ、ピン105が溝108の端に当接していない場合に、ピニオンギア101とローラ106とが供回りしないような摩擦力をローラ106に生じさせるように、ローラ106と当接されている。
[ロックレバー110]
図5に示されるように、ロックレバー110は、基部111、操作部112、ロック部115、ストッパ部116に大別される。
基部111は、細長な平板形状である。基部111の長手方向の中央付近に軸114が設けられている。軸114は、カートリッジ装着部70の天面72側において、左右方向23(紙面に垂直な方向)に沿って延びた状態で支持されている。軸114がカートリッジ装着部70に支持されて、基部111が天面72側において回動可能に配置されている。基部111の左右方向23の幅は、インクカートリッジ51の幅とほぼ同じである。
基部111の長手方向の一方端には、操作部112が設けられている。操作部112は、ロックレバー110を所望の姿勢に動作させるためのユーザの操作を受け付ける部分である。基部111の長手方向の他方端には、ロック部115が設けられている。ロック部115は、基部111に対してL字状に曲折して下向きに突出されている。基部111は、操作部112を開口71側とし、ロック部115を終面74側として配置されている。ロック部115がロック部に相当する。
基部111が軸114周りに回動することにより、装着位置にあるインクカートリッジ51の凹部59にロック部115が進入する第1姿勢(図7(B)参照)と、ロック部115が凹部59から外れてインクカートリッジ51から離れる第3姿勢(図7(D)参照)とにロックレバー110が姿勢変化する。また、ロックレバー110は、第1姿勢から第3姿勢へ、又は第3姿勢から第1姿勢へ姿勢変化するときに、ロック部115の先端がインクカートリッジ51の上壁56に当接又は近接する第2姿勢(図7(F)参照)となる。図7において矢印で示される回動方向117は、ロックレバー110が回動する方向を示している。回動方向117が第1方向に相当する。
ストッパ部116は、基部111の軸114より操作部112側の下面に設けられている。ストッパ部116は、ゴムパッドであり、基部111の下面に接着されて固定されている。ストッパ部116は、回転体100のローラ106の上方に位置にする。ストッパ部116は、ロックレバー110が第3姿勢であるときにローラ106の外周面に当接し、ロックレバー110が第1姿勢及び第2姿勢であるときにローラ106から離れる。このゴムパッドは、ストッパ部116の素材の一例であり、ストッパ部116の素材は、ローラ106の外周面に対する摩擦係数が高い素材から適宜選択される。ストッパ部116がストッパ部に相当する。
各図には現れていないが、ロックレバー110は、第1姿勢と第3姿勢とに姿勢変化可能に回動可能であり、その回動範囲は、第1姿勢と第3姿勢との間に制限されている。このようなロックレバー110の回動の制限は、例えば、カートリッジ装着部70に設けられた突片などに基部111が係止されることにより実現される。ロックレバー110とカートリッジ装着部70との間には第2コイルバネ86が介在されている。第2コイルバネ86に付勢されてロックレバー110は第1姿勢に維持されている。ユーザが操作部112を押し下げることにより、ロックレバー110は第2コイルバネ86の付勢力に抗して第3姿勢側へ回動される。第2コイルバネ86が第2付勢部材に相当する。
[インクカートリッジ51の交換作業]
画像記録装置10において印刷がなされてインクカートリッジ51のインクがすべて消費されると、インクカートリッジ51が新たなインクカートリッジ51に交換される。
図6に示されるように、第1姿勢におけるロックレバー110のロック部115が装着位置にあるインクカートリッジ51の凹部59に進入することにより、第1コイルバネ81の付勢力に抗してインクカートリッジ51が装着位置に保持される。インクカートリッジ51が装着される過程を説明するに、カートリッジ装着部70の開口71から挿入されたインクカートリッジ51のガイド面63が、第1姿勢のロックレバー110のロック部115に当接する。インクカートリッジ51が更に挿入されると、ロック部115がガイド面63からロック面58に乗り上げ、ロックレバー110が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化される。
第2姿勢のロックレバー110において、ストッパ部116は回転体100のローラ106からは離れている。従って、回転体100は回転自在である。インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70に挿入されると、ピニオンギア101は、インクカートリッジ51のラックギア61と噛み合うことで回転する。ピニオンギア101は、インクカートリッジ51が装着位置に到達するまでに、後述されるように角度αを越えて回転する。ピニオンギア101は、板バネ109の摩擦力により、ピン105が溝108の端の壁に当接していない状態ではローラ106と一体で回転しないから、ピン105は、溝108内を移動し、インクカートリッジ51が装着位置に到達するまでに、溝108の端の壁に当接する。ピン105が溝108の端の壁に当接した後は、ピニオンギア101とローラ106とは一体で回転する。従って、インクカートリッジ51が装着位置にある状態では、ピン105は溝108の端の壁に当接している。よって、インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70に装着された状態において、ピニオンギヤ101は、ローラ106に対して図6における時計回りへ角度αだけ回転することができる。
一方、インクカートリッジ51の突出片68は、収容部83へ進入してスライド部材82の当接部84に当接する。インクカートリッジ51が更に挿入されると、突出片68が第1コイルバネ81の付勢力に抗してスライド部材82を終壁85側へ移動させる。また、前述されたように、インクニードル79がインク供給口65に挿入され、ロッド87が大気連通口69に挿入される。そして、インクカートリッジ51が装着位置へ到達すると、残量検知部90が光センサ97の発光素子と受光素子との間に進入する。
他方、インクカートリッジ51が装着位置へ到達すると、インクカートリッジ51の凹部59が、ロックレバー110のロック部115に対応する位置へ到達する。そうすると、ロック部115が、第2コイルバネ86の付勢により凹部59に進入する。ロックレバー110により、第1コイルバネ81の付勢力に抗してインクカートリッジ51が装着位置に保持される。インクカートリッジ51が装着された状態において、ピニオンギヤ101はラックギヤ61と噛合している。
インクカートリッジ51が交換されるときには、ユーザが、ロックレバー110の操作部112を押し下げる。これにより、ロックレバー110が第2コイルバネ86の付勢力に抗して第1姿勢から第3姿勢に姿勢変化され、ロック部115がインクカートリッジ51の凹部59から外れる。また、第3姿勢のロックレバー110において、ストッパ部116が回転体100のローラ106の外周面に当接される。
ロックレバー110のロック部115が凹部59から離れると、第1コイルバネ81の付勢力を受け、装着位置のインクカートリッジ51が脱抜向き25へ移動しようとする。上述されたように、ラックギヤ61と噛合するピニオンギヤ101は角度αだけ時計回りへ回転可能である。従って、第3姿勢のロックレバー110により、ローラ106の回転がストッパ部116に制止されていても、ピニオンギヤ101が回転し、インクカートリッジ51が脱抜向き25へ移動する。
角度αは、装着位置からスライドしたインクカートリッジ51が抜き取り位置に到達したときに溝108の壁に当接するように、インクカートリッジ51の移動距離やピニオンギア101の直径に合わせて設定されている。従って、ロックレバー110がユーザにより勢い良く押し下げられ、装着位置にあったインクカートリッジ51が動き出した直後にローラ106の回転が制止されたとしても、ピニオンギア101は、インクカートリッジ51が抜き取り位置に到達するまでは回転することができる。なお、インクカートリッジ51が抜き取り位置に到達するまでは、ローラ106が回転可能か否かに拘わらず、ピニオンギア101はローラ106に対して相対的に回転する。従って、インクカートリッジ51が抜き取り位置付近となったときにピニオンギア101は回転が制止される。つまり、第1コイルバネ81により装着位置から脱抜向き25にスライドされたインクカートリッジ51は、抜き取り位置付近で停止する。抜き取り位置においては、前述されたように、インクカートリッジ51は第1コイルバネ81により付勢されない。なお、図8では、角度αは約340度に設定されている。ピニオンギア101の直径を大きくすれば、角度αは340度よりも小さく設定することができる。
前述のように角度αが設定されるから、インクカートリッジ51がカートリッジ装着部70に装着される際には、ピニオンギア101は角度α以上で回転する。
インクカートリッジ51の移動が停止した後、ユーザがロックレバー110から指を離すと、ロックレバー110が第2コイルバネ86に付勢されて第3姿勢から第2姿勢に姿勢変化する。これにより、ロックレバー110のストッパ部116がローラ106から離れる。そして、ユーザが停止したインクカートリッジ51を掴み持ってカートリッジ装着部70から抜き取ると、ラックギヤ61の移動に伴ってピニオンギヤ101が回転し、ピニオンギヤ101と共にローラ106も回転する。また、第2コイルバネ86の付勢力により、ロックレバー110が第2姿勢から第1姿勢に復帰する。
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る画像記録装置10では、ユーザは、ロックレバー110を操作することなくインクカートリッジ51をカートリッジ装着部70に装着でき、また、ロックレバー110を押し下げるだけでインクカートリッジ51を抜き取り可能な状態にできる。また、インクカートリッジ51が抜き取られるときに、ロックレバー110が第3姿勢にされてストッパ部116がローラ106に当接することにより、第1コイルバネ81に付勢されたインクカートリッジ51がカートリッジ装着部70から飛び出すことが防止される。
また、本実施形態では、抜き取り位置と装着位置との間においてラックギア61とピニオンギア101とは常に噛み合っているから、インクカートリッジ51が抜き取られるときに、ラックギヤ61が勢い良くピニオンギア101に衝突することがない。これにより、ラックギヤ61やピニオンギア101の破損が防止される。
また、本実施形態では、ピニオンギア101が角度αだけローラ106に対して相対的に回転可能であるから、装着位置にあったインクカートリッジ51が抜き取り位置に向かって動き出した直後にローラ106の回転が制止されたとしても、インクカートリッジ51は抜き取り位置まで移動することができる。従って、カートリッジ装着部70が小型化されて上下方向21におけるローラ106とストッパ部116との間の距離が小さく設定された場合でも、インクカートリッジ51は抜き取り位置まで確実に移動する。また、ユーザがロックレバー110を押し下げる速さに拘わらず、インクカートリッジ51は抜き取り位置まで確実に移動する。
なお、本実施形態では、インクカートリッジ51が水平方向へ移動可能なインク供給装置50が説明されたが、インクカートリッジ51の移動方向が水平方向に沿わなくても、前述された効果が奏されることは言うまでもない。
また、本実施形態では、ロックレバー110のストッパ部116がローラ106に直接に当接される構成が説明されたが、ローラ106の周面に、無端環状のゴムベルトが巻き付けられてもよい。
また、本実施形態では、ピン105がピニオンギア101に設けられ、溝108がローラ106に設けられた構成が説明されたが、ピン105がローラ106に設けられ、溝108がピニオンギア101に設けられていてもよい。
また、本実施形態では、スライド部材82を介して第1コイルバネ81がインクカートリッジ51の下端部を付勢する構成が説明されたが、第1コイルバネ81はインクカートリッジ51の筐体52の前壁54とカートリッジ装着部70の終面74との間に介在されてもよい。第1コイルバネ81は、例えば、残量検知部90とインク供給部64との間においてインクカートリッジ51の筐体52の前壁54と当接する。第1コイルバネ81は、インクカートリッジ51が抜き取り位置にあるときに自然長であり、装着位置にあるときにインクカートリッジ51により圧縮されるように設けられる。つまり、インクカートリッジ51は、抜き取り位置では付勢されず、装着位置では脱抜向き25へ付勢される。
[変形例1]
本変形例では、図9に示される回転体120が回転体100(図8参照)の代わりに用いられ、図10に示されるインクカートリッジ130がインクカートリッジ51(図4参照)の代わりに用いられた例が説明される。
図9に示されるように、回転体120はピニオンギア121とローラ122とを備える。ピニオンギア121は、ピン105(図8参照)を備えない以外は上述の実施形態のピニオンギア101と同構成である。ローラ122は、溝108(図8参照)を備えず、孔107の直径が支軸104の直径とほぼ同一に設定されている以外は、ローラ106(図8参照)と同構成である。ローラ122は第2当接部材に相当する。
ピニオンギア121とローラ122とは、支軸104が孔107に圧入されることで一体に結合されている。ピニオンギア121とローラ122とが一体に結合されているから、第3姿勢にあるロックレバー110によりローラ122の回転が制止されると、ピニオンギア121も回転が制止される。なお、ピニオンギア121とローラ122とは樹脂材料で一体に形成されてもよい。
図10に示されるように、インクカートリッジ130は、インクカートリッジ51(図4参照)においてラックギア61の代わりにラックギア131が設けられた構成を有している。ラックギア131は、ラックギア61よりも前後方向22の長さが短い。ラックギア131は、装着位置にあったインクカートリッジ130(図10(A)参照)が抜き取り位置に到達したとき(図10(B)参照)に、ラックギア131がピニオンギア121に当接するように設けられている。本変形例のその他の構成は上述の実施形態の構成と同じである。
インクカートリッジ130をカートリッジ装着部70(図5参照)に装着する際は、図10(C)に示されるようにロックレバー110は第2姿勢にあり、回転体120は回転可能である。従って、ラックギア131は、ピニオンギア121と噛み合うことで回転体120を通過することができる。つまり、ユーザは、図10(A)に示される装着位置までインクートリッジ130を押し込んでインクカートリッジ130をカートリッジ装着部70に装着することができる。
ユーザによりロックレバー110が押し下げられロックレバー110が第1姿勢から第3姿勢に姿勢変化されると、回転体120は回転が制止される。また、インクカートリッジ130は、第1コイルバネ81(図6参照)により脱抜向き25にスライドされる。スライドされたインクカートリッジ130は、ラックギア131がピニオンギア121に当接することで、抜き取り位置で停止する。抜き取り位置においては、上述されたようにインクカートリッジ130は第1コイルバネ81により付勢されない。ユーザがロックレバー110から指を離すと、第2コイルバネ86(図6参照)によりロックレバー110は、第3姿勢から図10(C)に示される第2姿勢に姿勢変化する。ロックレバー110が第2姿勢となることで、回転体120のピニオンギア121は回転可能となる。つまり、ラックギア131が回転体120を通過可能となる。その結果、インクカートリッジ130がカートリッジ装着部70から抜き取り可能となる。
本変形例では、上述の実施形態と同様に、インクカートリッジ130を抜き取り位置で停止させることができ、その結果、インクカートリッジ130の交換時において、インクカートリッジ130がカートリッジ装着部70から飛び出すことを防止できる。また、回転体100よりも構成の簡単な回転体120を用いるから、インク供給装置50の構成が上述の実施形態よりも簡単である。つまり、上述の実施形態よりも簡単な構成でインクカートリッジ130の飛び出しを防止することができる。
[変形例2]
本変形例では、図9に示されるピニオンギア121が回転体として用いられ、図11に示されるロックレバー140がロックレバー110(図5参照)の代わりに用いられ、図10に示される変形例1のインクカートリッジ130がインクカートリッジ51(図3参照)の代わりに用いられた例が説明される。
図11に示されるように、ピニオンギア121は、インクカートリッジ130の幅とほぼ同じとなるように設けられている。また、ピニオンギア121と噛み合うラックギア131の幅もインクカートリッジ130の幅寸法とほぼ同じとなるように設けられている。
図11に示されるロックレバー140は、ロックレバー110(図5参照)において、ストッパ部116の代わりに突出部141が設けられた構成を有している。突出部141はラックギア131と同様の形状を有する。但し、突出部141の幅は、ロックレバー140の基部111の幅と同じとなるように設けられている。突出部141は、ピニオンギア121の上方となる位置に設けられている。突出部141は、図11(B)に示されるように、ロックレバー140が第3姿勢となるとピニオンギア121と噛み合い、ピニオンギア121の回転を制止する。突出部141がストッパ部に相当する。本変形例のその他の構成は上述の実施形態の構成と同じである。
本変形例では、上述の実施形態と同様に、ピニオンギア121とインクカートリッジ130のラックギア131とが当接することで、第1コイルバネ81により装着位置からスライドされたインクカートリッジ130を抜き取り位置で停止させることができる。従って、インクカートリッジ130の交換時において、インクカートリッジ130がカートリッジ装着部70から飛び出すことを防止できる。また、回転体100や回転体120よりも構成の簡単な回転体(ピニオンギア121)を用いるから、インク供給装置50の構成が上述の実施形態や変形例1の構成よりも簡単になる。つまり、上述の実施形態や変形例1よりも簡単な構成でインクカートリッジ130の飛び出しを防止することができる。
[変形例3]
本変形例では、図12に示されるように、回転体100の代わりに棒状に形成された回転体150が用いられ、ロックレバー110(図5参照)の代わりにロックレバー160が用いられ、インクカートリッジ51の代わりにインクカートリッジ170が用いられた例が説明される。
図12に示されるロックレバー160は、図5に示されるロックレバー110のストッパ部116の代わりに、凸部161を備える。凸部161は、ストッパ部116と同じ位置に設けられている。凸部161がストッパ部に相当する。
インクカートリッジ170は、インクカートリッジ51(図4参照)においてラックギア61の代わりに1個の突起60がロック面58に設けられた構成を有している。突起60が突起に相当する。
棒状の回転体150は、長手方向(上下方向21)の中央から長手方向の一端部に寄った偏心位置151を中心に回転可能にカートリッジ装着部70に支持されている。例えば、偏心位置から左右方向23(図12の紙面に垂直な方向)に沿って突出する一対の支軸が回転体150に設けられ、この支軸において回転体150はカートリッジ装着部70に回動可能に支持される。偏心位置151が偏心位置に相当する。
回転体150は、外力が作用しない状態においては、自重により、前記一端が上端となる常態姿勢となる。以下では、前記一端部を第1端部152とし、常態姿勢において下端となる他端部を第2端部153とし、説明がされる。第1端部152が係合部に相当する。
凸部161、回転体150、突起60の幅はインクカートリッジ170の幅とほぼ同じである。
図12(B)に示されるように、インクカートリッジ170の突起60が第2端部153に当接し、第3姿勢にあるロックレバー160の凸部161の先端の脱抜向き25側に第1端部152が位置するように、回転体150、凸部161及び突起60は配置されている。
回転体150は、常態姿勢における下端部である第2端部153が装着向き24に向かう向きには常に回動可能である。従って、図12(D)に示されるように、インクカートリッジ170をカートリッジ装着部70に装着する際において、インクカートリッジ170の突起60は回転体150を押して回動させて回転体150を通過することができる。
ロックレバー160が第3姿勢にあるときは、ロックレバー160の凸部161の先端の脱抜向き25側に回転体150の第1端部152があるから、回転体150は、第2端部153が脱抜向き25に向かう向き(図12(B)における時計回り)に回動することはできない。従って、インクカートリッジ170の交換時において、第1コイルバネ81(図6参照)により装着位置から脱抜向き25にスライドされたインクカートリッジ170は、突起60が常態姿勢にある回転体150の第2端部153に当接することで、抜き取り位置で停止する。抜き取り位置においては、上述されたように、インクカートリッジ170は第1コイルバネ81(図6参照)により付勢されない。ユーザがロックレバー160から指を離すと、第2コイルバネ86(図6参照)により、ロックレバー160は、図12(B)の第3姿勢から図12(C)の第2姿勢に姿勢変化する。ロックレバー160が第2姿勢となることで、回転体150は回転可能となる。つまり、インクカートリッジ170の突起60が回転体150を通過可能となる。ユーザがインクカートリッジ170を抜き取ると、図12(E)に示されるように、突起60は回転体150を押して回動させることで回転体150を通過することができる。
本変形例では、上述の実施形態と同様に、インクカートリッジ170を抜き取り位置で停止させることができ、その結果、インクカートリッジ170の交換時において、インクカートリッジ170がカートリッジ装着部70から飛び出すことを防止できる。また、回転体100よりも構成の簡単な回転体150を用いるから、インク供給装置50の構成が上述の実施形態よりも簡単である。つまり、上述の実施形態よりも簡単な構成でインクカートリッジ170の飛び出しを防止することができる。