以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[図面の説明]
図1は、インク供給装置200の外観構成を示す斜視図である。なお、図1には、インク供給装置200にインクカートリッジ100が装着された状態(装着状態)が示されている。図2は、インクカートリッジ100の外観構成を示す斜視図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。図3は、インクカートリッジ100の側面図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。図4は、図2(A)における切断線IV-IVの断面図である。図5は、カートリッジ装着部202の構成を示す斜視図である。図6は、インク供給装置200の平面図である。図7は、図6における切断線VII-VIIの断面図である。図8から図10は、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着される過程を示す模式断面図である。図8には、インクカートリッジ100の装着過程が示されており、図9には、インクカートリッジ100が装着されてロックされた状態が示されており、図10には、ロック解除直後のインクカートリッジ100の状態が示されている。
[インク供給装置200の概略構成]
以下に、インク供給装置200の概略構成が説明される。インク供給装置200は、例えばインクジェットプリンタなどのインクが消費される装置(以下、「インク消費装置」とも称される。)に適用される。インク供給装置200は、インク消費装置に一体に構成されていてもよい。例えば、インク消費装置の筐体に扉によって開閉可能な開口が設けられ、この開口を通じて、インク供給装置200が外部へ露出される。
インク供給装置200は、主としてインクカートリッジ100及びカートリッジ装着部202から構成されている。インクカートリッジ100はカートリッジ方式であり、カートリッジ装着部202に対して着脱可能である。インク供給装置200は、4種類のインクカートリッジ100が着脱可能に構成されている。各インクカートリッジ100には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのうちのいずれかの色のインクが収容されている。インク供給装置200においてカートリッジ装着部202に装着された各インクカートリッジ100から、各々が収容する各インクがインクジェットプリンタの記録ヘッドなどへ供給される。
[インクカートリッジ100]
以下に、インクカートリッジ100の詳細な構成が説明される。図2及び図3に示されるように、インクカートリッジ100は、扁平形状の略六面体の外形、つまり扁平な直方体である。詳細には、インクカートリッジ100の外形は、幅方向(矢印31の方向)に対して細く、高さ方向(矢印32の方向)及び奥行き方向(矢印33の方向)に対して上記幅方向よりも長い略直方体形状である。このインクカートリッジ100は、図2及び図3に示された起立状態、つまり、図中の下側の面を底面とし、図中の上側の面を上面として、カートリッジ装着部202に対して矢印30で示される方向(以下「挿入方向30」と称する。)に挿入され、矢印29で示される方向(以下「脱抜方向29」と称する。)に脱抜される。この脱抜方向29及び挿入方向30が、本発明における所定の二方向に相当し、脱抜方向29が第1方向に相当する。なお、本明細書において、特に言及しない限りインクカートリッジ100の底面及び上面は、図2及び図3に示される起立状態におけるものを指す。
図4に示されるように、インクカートリッジ100は、大別して、インクが収容される容器本体40と、スライダ41と、本体カバー42と、コイルバネ48,49とを備えている。インクカートリッジ100の外装はスライダ41及び本体カバー42によって概ね構成されている。容器本体40は、スライダ41及び本体カバー42で概ね覆われている。
本体カバー42は、容器本体40を概ね覆うが、容器本体40の上面36の一部と容器本体40の背面34とが本体カバー42から露出される。スライダ41は、本体カバー42の背面部分46と容器本体40の背面34とを覆う。この本体カバー42の背面部分46とは、挿入方向30に対して前側となる本体カバー42の一部である。スライダ41は、インクカートリッジ100の奥行き方向(矢印33の方向)へ移動可能であり、容器本体40の背面34から最も離された第1位置(図2(A)参照)と、容器本体40の背面34に最も近づけられた第2位置(図2(B)参照)との間でスライドされる。スライダ41が第2位置となると、後述されるインク供給バルブ90がスライダ41から外部へ突出される。スライダ41が第1位置となると、インク供給バルブ90がスライダ41内に没入される。
[容器本体40]
以下に、容器本体40の詳細な構成が説明される。容器本体40は、概ね扁平形状の略六面体の外形である。本実施形態では、図4に示されるように、容器本体40において、挿入方向30に対して前方となる面が背面34であり、挿入方向30に対して後方となる面が正面35であり、重力方向に対して上方側の面が上面36であり、重力方向に対して下方側の面が底面37である。背面34及び正面35は対向し、かつ上面36及び底面37と隣接している。また、背面34、正面35、上面36及び底面37のいずれとも隣接し、かつ互いに対向する2つの面が側面であるが、図4では、これら側面は現れていない。容器本体40において、この2つの側面が最大面積である。
容器本体40は、大別して、フレーム50と、アーム70と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90と、透明な樹脂からなるフィルム(不図示)とにより構成されている。フレーム50の両側面の縁にフィルムがそれぞれ溶着されて、フレーム50と溶着されたフィルムとによって一定の空間が液密に形成される。このフレーム50の内側の一定空間がインク室102である。インク室102には所定のインクが注入されて貯留される。なお、本実施形態では、フレーム50及びフィルムによってインク室102が形成される態様が示されているが、例えば、フレーム50自体を直方体の容器形状として、その内部空間がインク室102とされてもよい。
フレーム50の背面34には、検知部140が形成されている。検知部140は、インク室102に貯留されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知部140は、フレーム50に一体に形成されており、外部からの光が透過しうる。検知部140は、容器本体40の背面34の中段付近から容器本体40の外側へ突出する。検知部140は、中空の略直方体形状であり、検知部140の内部の空間142は、インク室102と通じている。この空間142に、インク室102に配置されたアーム70のインジケータ72が進入しうる。アーム70は、そのインジケータ72が空間142においてほぼ上下方向に移動するように回動可能にフレーム50に支持されている。
アーム70は、一方端にインジケータ72が設けられ、他方端にフロート73が設けられたものである。フロート73は、インク室102に収容されるインクに対して所定の浮力を有する。インク室102に収容されているインクが消費されると、インク室102におけるインクの液面が降下し、この液面の降下に伴ってフロート73が姿勢変化(変位)する。このフロート73の変位によってアーム70が回動しうる。
インク室102に所定量より多くのインクが存在するときは、フロート73が上昇し、これに伴い、インジケータ72が空間142の下方へ移動して、検知部140の下壁に当接して静止する。この姿勢において、インジケータ72は、検知部140の厚み方向(図4における紙面に垂直な方向)に外部から照射される光を遮断する。
インク室102のインクが所定量以下になると、インクの液面の降下に応じてフロート73が降下し、これに伴って、インジケータ72が空間142の上方へ移動して検知部140の上壁に当接して静止する。この姿勢において、インジケータ72は、検知部140の厚み方向に外部から照射される光を遮断しない。
フレーム50の背面34の上部に、大気連通バルブ80が設けられている。大気連通バルブ80は、フレーム50の外部からインク室102に至る空気経路を開放又は閉塞する弁である。この大気連通バルブ80の開閉は、ロッド84のスライドにより行われる。ロッド84は、コイルバネ86に付勢されてフレーム50の外側へ突出している。ロッド84に外力が付与されなければ、大気連通バルブ80が閉塞される。ロッド84が、コイルバネ86の付勢力に抗してフレーム50の内側へ押し込まれると、大気連通バルブ80が開放される。
フレーム50の背面34の下部に、インク供給バルブ90が設けられている。インク供給バルブ90は、フレーム50の外部からインク室102に至るインク経路を開放又は閉塞する弁である。このインク供給バルブ90の開閉は、バルブ本体97のスライドにより行われる。バルブ本体97は、コイルバネ96に付勢されてインク供給バルブ90の開口を封止している。バルブ本体97に外力が付与されなければ、インク供給バルブ90は閉塞される。インク供給バルブ90の開口にインクニードル209(図7参照)が挿通されると、バルブ本体97がコイルバネ96の付勢力に抗してスライドされ、インク供給バルブ90が開放される。これにより、インク供給バルブ90内へ挿入されたインクニードル209の先端へ、インク室102のインクが流れ込み、インクニードル209を通じてインクジェットプリンタの記録ヘッドなどのインク消費装置へインクが流出されうる。
フレーム50の背面34における大気連通バルブ80の上側にバネ収容室110が形成されている。また、フレーム50の背面34におけるインク供給バルブ90の下側にバネ収容室111が形成されている。バネ収容室110,111は、いずれもフレーム50の背面34からインク室102側へ穿たれた略円筒状の孔である。バネ収容室110,111には、コイルバネ48,49がそれぞれ収容されている。つまり、各バネ収容室110,111は、各々がコイルバネ48,49の一端を容器本体40に連結する連結部分である。このコイルバネ48,49は、スライダ41を第1位置側へ付勢する。コイルバネ48,49が、本発明における第1弾性部材に相当する。
なお、本発明において第1弾性部材と容器本体との連結は、第1弾性部材の付勢力が容器本体に伝達されれば必ずしも強固な連結を必要とせず、本実施形態のように、円筒形状の孔にコイルバネが嵌め込まれて弾性収縮する態様であってもよい。また、バネ収容室110,111の位置や孔の内径寸法又は深さ寸法などは、収容されるバネの仕様に応じて適宜決定される要素であるが、容器本体40の高さ方向(矢印32の方向)に長尺なスライダ41を、容器本体40に対して安定姿勢を保持するように均等に付勢するには、本実施形態の如く、容器本体40の高さ方向に隔てられた上下位置に一対のバネ収容室110,111が配置されることが望ましい。
フレーム50の上面36における挿入方向30の前側に、支持部材115が設けられている。また、フレーム50の底面37における挿入方向30の前側に、支持部材116が設けられている。各支持部材115,116は、フレーム50に一体に形成されている。各支持部材115,116は、挿入方向30に沿って延出された鈎形状に形成されており、スライダ41に形成された突片192,193とそれぞれ係合しうるとともに、容器本体40に対してスライダ41を移動可能に支持する。これにより、スライダ41が、容器本体40に対して脱抜しないように移動可能である。
支持部材115は、フレーム50の上面36から垂直上方へ突出された基台118と、基台118の背面34側の端に形成された鉤部119とを有する。鉤部119は、挿入方向30から上向きに折れ曲がる鉤形状である。支持部材116は、フレーム50の底面37から垂直下方へ突出された基台121と、基台121の背面34側の端に形成された鉤部122を有する。鉤部122は、挿入方向30から下向きに折れ曲がる鉤形状である。基台118,121によって容器本体40に対するスライダ41のスライドが一定方向へ案内され、鉤部119,122によってスライダ41が容器本体40から脱抜することが防止される。
フレーム50の上面36に台部124が設けられている。台部124は、上面36から上方へ突出する概ね台形状をなしており、上面36において奥行き方向(矢印33の方向)の中間部分から挿入方向30の後側へ、つまり容器本体40の正面35側へ延出されている。台部124は、容器本体40が本体カバー42で覆われると、本体カバー42の上面に設けられた開口128を通じて外部へ露出される。
台部124には、被係合部125が設けられている。被係合部125は、台部124における挿入方向30の前側(図4における右側)の端に設けられて、台部124の上面からさらに上方へ突出している。被係合部125は、台部124の上面に対してほぼ垂直に起立する垂直壁126と、その上面が垂直壁126の上端から概ね45度の角度で挿入方向30の前側へ傾斜しながら降下するリブ127とを有する。被係合部125は、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着されたときに、カートリッジ装着部202からインクカートリッジ100が脱抜しないように装着状態をロックするためのものであり、このロックは、後述されるロックアーム230のロック部237(図7参照)との係合により達成される。
なお、フレーム50には複数の貫通孔が設けられており、各貫通孔に本体カバー42の爪が係合されて、容器本体40と本体カバー42とが組み付けられる。
[スライダ41、本体カバー42]
以下に、スライダ41及び本体カバー42の詳細な構成が説明される。図2及び図3に示されるように、本体カバー42は、背面34の一部を露出させた状態で容器本体40をほぼ収容可能な容器形状である。本体カバー42は、容器本体40の外形に対応して扁平な直方体の外形をなしている。
本体カバー42の側面には、奥行き方向(矢印33の方向)におけるほぼ中央付近に、段差43が形成されている。本体カバー42の側面は、段差43を介して、インクカートリッジ100の正面35側となる正面部分47と、背面34側となる背面部分46とに区分けされている。幅方向(矢印31の方向)に対して、背面部分46が正面部分47よりも狭く、これにより、本体カバー42の側面は二段の凹凸をなしている。段差43は、この二段の凹凸の境界となる傾斜面であり、本体カバー42の上端から下端に渡って延出され、かつその延出方向が、容器本体40の正面35(図4参照)側の所定の中心に対して円弧をなしている。
図2及び図4に示されるように、本体カバー42における正面部分47の上面には、開口128が設けられている。この開口128は、容器本体40の台部124及び被係合部125が露出可能な矩形の長孔である。本体カバー42が容器本体40に装着されると、開口128から台部124及び被係合部125が外部へ露出される。本体カバー42の上面は、開口128から露出された被係合部125のリブ127とほぼ連続する面をなし、挿入方向30に渡ってほぼ水平な平面である。この上面を覆うように、後述されるスライダ41が装着される。
図2に示されるように、本体カバー42は、幅方向(矢印31の方向)に対して対称形状をなす一対となる左カバー44と右カバー45とからなる。前述されたように、左カバー44及び右カバー45は、その内面からほぼ水平方向へ突出する複数の爪を有し、各爪が容器本体40にそれぞれ係合される。これにより、容器本体40を挟み込むようにして、容器本体40、左カバー44及び右カバー45が一体に組み付けられる。
スライダ41は、本体カバー42の背面部分46を収容可能な容器形状であり、扁平形状の外形をなす。詳細には、スライダ41は、容器本体40の背面34に対応する後壁161と、本体カバー42の背面部分46における上面に対応する上壁163と、背面部分46における下面に対応する下壁164と、背面部分46における両側面に対応する左側壁165及び右側壁166とを有する。これら各壁によって囲まれたスライダ41の内部空間に本体カバー42の背面部分46が収容されうる。また、本体カバー42の背面部分46がガイドとなって、スライダ41が奥行き方向(矢印33の方向へ)スライドしうる。
図4に示されるように、スライダ41は、切り欠き187と、ロッド168,169と、摺動溝171,172と、開口177,178とを有する。
図2及び図3に示されるように、切り欠き187は、後壁161の中段付近に形成されている。切り欠き187は、容器本体40の検知部140を外部へ露出するための窓であり、幅方向(矢印31の方向)へ矩形に貫欠されている。
図4に示されるように、スライダ41の内部には、ロッド168,169が設けられている。各ロッド168,169は、スライダ41の後壁161の内面から容器本体40の背面34へ向かってほぼ水平方向へ突出する。ロッド168は、後壁161における上側に配置され、ロッド169は、後壁161における下側に配置されている。ロッド168には、容器本体40のバネ収容室110に配置されたコイルバネ48が外嵌され、ロッド169には、容器本体40のバネ収容室111に配置されたコイルバネ49が外嵌される。各コイルバネ48,49が収縮されると、各ロッド48,49は、それぞれバネ収容室110,111に挿入される。
図4に示されるように、スライダ41における上壁163の裏面側に、摺動溝171が形成されている。摺動溝171は、上壁163と、左側壁165の一部及び右側壁166の一部とで形成され、縦断面において下側が開放された逆U字形状をなす。また、摺動溝171の後壁161側は開口されている。この摺動溝171において、上壁163の裏面から突片192が垂下されている。この突片192に対して、支持部材115の大部分が摺動可能であるが、支持部材115の鉤部119が当接する。鉤部119は、突片192に対して後壁161側から当接する。この当接により、スライダ41が容器本体40から脱落することが防止され、鉤部119が突片192に当接しない範囲においては、容器本体40に対してスライダ41がスライド自在である。
同様に、スライダ41における下壁164の裏面側に、摺動溝172が形成されている。摺動溝172は、下壁164と、左側壁165の一部及び右側壁166の一部とで形成され、縦断面において上側が開放されたU字形状をなす。また、摺動溝172の後壁161側は開口されている。この摺動溝172において、下壁164の裏面から突片193が起立されている。この突片193に対して、支持部材116の大部分が摺動可能であるが、支持部材116の鉤部122が当接する。鉤部122は、突片193に対して後壁161側から当接する。この当接により、スライダ41が容器本体40から脱落することが防止され、鉤部122が突片193に当接しない範囲においては、容器本体40に対してスライダ41がスライド自在である。スライダ41の奥行き方向(矢印33の方向)に対して、各突片192,193は同位置である。したがって、鉤部119が突片192に当接するスライダ41のスライド位置と、鉤部122が突片193に当接するスライダ41のスライド位置は同じである。
スライダ41が容器本体40に装着されている状態において、スライダ41は、コイルバネ48,49によって容器本体40の背面34から離れる方向へ付勢されている。スライダ41に外力が加えられていない状態では、スライダ41は、突片192,193に鉤部119,122がそれぞれ当接して、図2(A)に示される第1位置で静止する。一方、スライダ41に対して後壁161側から押し込む外力が加えられると、スライダ41がコイルバネ48,49の付勢力に抗して図2(B)に示される第2位置へスライドしうる。
図2及び図4に示されるように、スライダ41には、後壁161における上側に開口177が形成されている。スライダ41が容器本体40に組み付けられた状態で、開口177の高さ位置は、大気連通バルブ80に対応する。開口177は、後壁161側からみて円形であり、カートリッジ装着部202に設けられた押圧部216(図7参照)が挿通可能なサイズである。インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着される過程において、押圧部216が開口177に挿通される。
スライダ41には、後壁161における下側に開口178が形成されている。スライダ41が容器本体40に組み付けられた状態で、開口178の高さ位置は、インク供給バルブ90に対応する。開口178は、インク供給バルブ90が挿通可能な形状及びサイズである。スライダ41が第2位置にあるときに、インク供給バルブ90の一部が開口178から露出される。
[カートリッジ装着部202]
以下に、図5から図7を参照して、カートリッジ装着部202の詳細な構成が説明される。図5に示されるように、カートリッジ装着部202は、前面に開口207を有する概ね直方体形状の外形をなすフレーム204によって主として形成されている。開口207に対して各インクカートリッジ100が挿抜され、開口207を通じてフレーム204の内部空間に各インクカートリッジ100がそれぞれ収容される。本実施形態において、カートリッジ装着部202は、各インクカートリッジ100に対応する1つの空間である。つまり、4つのカートリッジ装着部202が幅方向(図5における左右方向)に並んで配置されており、各カートリッジ装着部202に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ100がそれぞれ収容可能である。なお、カートリッジ装着部202が並べられている幅方向は、インクカートリッジ100の挿入方向30と直交する水平方向である。
図5及び図7に示されるように、フレーム204には、内部空間を仕切り分ける3つのプレート223が設けられている。このプレート223によって仕切り分けられた4つの空間(カートリッジ装着部202)それぞれにインクカートリッジ100が収容される。プレート223は、フレーム204の奥面から前面側へ突出された薄板であり、その表裏面がフレーム204の内部空間において上下方向へ延出されている。各プレート223は、フレーム204の幅方向(図5における左右方向)に所定間隔で平行に配列されている。フレーム204の内面とプレート223との間、或いは隣り合う一対のプレート223の間は、その間に収容されるべきインクカートリッジ100の幅に対応されている。
フレーム204及びプレート223により区画形成された各空間であるカートリッジ装着部202にインクカートリッジ100が収容される。インクカートリッジ100は、背面側からカートリッジ装着部202へ挿入される。
フレーム204における内面の底に、4つのガイド溝206が設けられている。各ガイド溝206は、フレーム204の内面とプレート223との間、或いは隣り合う一対のプレート223の間に設けられて、フレーム204の開口207から奥部に渡って直線形状に形成されている。フレーム204内の各空間に収容されるインクカートリッジ100は、各ガイド溝206に案内されて、フレーム204に対して所定の挿入方向で開口207から奥部へ挿入される。この挿入方向は、インクカートリッジ100の説明において前述された挿入方向30と一致する。
フレーム204における内面の奥に、ジョイント208が設けられている。ジョイント208は、インクカートリッジ100のインク供給バルブ90に接続されて、インク室102のインクを導出するためのものである。したがって、ジョイント208は、各カートリッジ装着部202に収容される4つのインクカートリッジ100に対応して4つが設けられている。フレーム204には、その幅方向に4つのインクカートリッジ100が収容されるので、4つのジョイント208もフレーム204の幅方向に配列されており、各ジョイント208の高さ位置は、カートリッジ装着部202に収容されたインクカートリッジ100におけるインク供給バルブ90の高さ位置に対応されている。なお、図5においては、最も右側に配置されたジョイント208がフレーム204に隠れて現れていない。
各ジョイント208は、インクニードル209と保持部210とをそれぞれ有する。インクニードル209は、円筒形状の管であり、フレーム204の奥面から前面へ向かってほぼ水平方向へ突出されている。このインクニードル209の先端は開口しており、その先端がインクカートリッジ100のインク供給バルブ90へ挿入されて、インク供給バルブ90を開放する。インクニードル209の基端は、図7に示されるように、フレーム204の背面側においてインクチューブ212に接続されている。図7においては、インクチューブ212が途中で分断されているが、実際には、インクチューブ212はインク消費装置まで延出されている。
保持部210は、フレーム204の奥面に設けられて、インクニードル209の基端側を囲繞する円筒形状である。インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着されると、インク供給バルブ90が保持部210内に嵌合されるとともに、インクニードル209がインク供給バルブ90へ挿入される。
図7に示されるように、フレーム204の内面における奥には、押圧部216が設けられている。押圧部216の高さ位置は、カートリッジ装着部202に装着されたインクカートリッジ100の大気連通バルブ80に対応する。したがって、前述された各ジョイント208の上側に各押圧部216が配置され、4つの押圧部216がフレーム204の幅方向に並べられている。各押圧部216は、フレーム204の奥面から前面へ向かって水平方向に突出する円筒形状であり、その先端には円形の窪み217が形成されている。インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着される過程において、押圧部216がインクカートリッジ100の開口177に挿入されて、窪み217が大気連通バルブ80のロッド84に当接し、ロッド84が押し込まれる。このロッド84の押し込みより、大気連通バルブ80が開放されてインク室102が大気圧となる。
図5及び図7に示されるように、フレーム204の内面における奥には、光センサ181が設けられている。各光センサ181の高さ位置は、カートリッジ装着部202に装着されたインクカートリッジ100の検知部140に対応する。したがって、光センサ181は、ジョイント208の上側であって、押圧部216の下側に配置されている。光センサ181は、各カートリッジ装着部202に装着される4つのインクカートリッジ100に対応して、フレーム204の幅方向に4つが並べられている。なお、図5では、最も右側に配置された光センサ181がフレーム204に隠されて現れていない。光センサ181は、インクカートリッジ100のインク室102内のインク量が所定量以下になったかどうかを検知するための信号を出力する。各図には示されていないが、インク供給装置200又はインク消費装置の制御部が、光センサ181の出力に基づいてインク残量が所定量以下となったかの判断を行う。
図5から図7に示されるように、フレーム204の上面にはロックアーム230が設けられている。ロックアーム230は、カートリッジ装着部202においてインクカートリッジ100を装着状態にロックするためのものであり、本発明におけるロック部材の一部をなす。フレーム204には、4つのインクカートリッジ100に対応して4つのロックアーム230が幅方向に並んで配置されている。
図7に示されるように、ロックアーム230は、フレーム204の前面から奥面へ延び、その延出方向(図7における左右方向)においてクランク形状に曲折されている。ロックアーム230の延出方向の中央付近に支持軸232が設けられている。この支持軸232は、ロックアーム230の両端から水平方向へ突出したピン形状である。図7には詳細に示されていないが、フレーム204の上面付近に、支持軸232を支持可能な一対の軸受けが形成されており、この一対の軸受けに支持軸232がそれぞれ回転自在に支持されて、フレーム204にロックアーム230が支持軸232を支点として回動可能に設けられている。この支持軸232及びフレーム204の一対の軸受けが、本発明における支持機構に相当する。
ロックアーム230は、フレーム204の前面側となる第1端に操作レバー234を有し、フレーム204の奥面側となる第2端にロック部237を有する。操作レバー234は、フレーム204の前面から手前側へ突出しており、その上面が手の指の腹に沿った皿形状である。ロックアーム230は、その幅方向の厚み、換言すればインクカートリッジ100が挿入される挿入方向30と直交する水平方向の厚みが、インクカートリッジ100の厚みより小さい。これにより、各インクカートリッジ100が収容される幅の範囲内にロックアーム230が配置されている。ロック部237は、その下面が延出方向に対して円周面をなして、その先端が延出方向に対してほぼ直交する面となっている。
ロックアーム230がクランク形状に曲折する部分における第1端側の下面の隅部は、操作レバー234が下方へ押圧された際に、インクカートリッジ100と当接しうるストッパ243である。このストッパ243は、操作レバー234が下方へ押圧されると、開口207の上縁236より下方へ突出する。つまり、ストッパ243の移動方向と操作レバー234の移動方向は同じである。一方、フレーム204の開口207付近における上壁205は、ロックアーム230の上面と当接して、ロックアーム230の回動範囲を制限する。
ロックアーム230とフレーム204との間には、コイルバネ219が設けられている。ロックアーム230がクランク形状に曲折する部分には、その上面から上方へ鈎形状に突出する掛け部241が設けられている。この掛け部241は、コイルバネ219の一端を掛止するためのものである。フレーム204の上面には、コイルバネ219の他端を掛止する掛け部239が水平方向へ突出されている。掛け部239は、4つのロックアーム230に対応してフレーム204に4つが形成されている。この掛け部239,241に両端がそれぞれ掛止されて、ロックアーム230とフレーム204との間にコイルバネ219が張られている。コイルバネ219は、ロックアーム230とフレーム204との間に張られた状態において収縮力を発生させる。このコイルバネ219の収縮力によって、ロックアーム230は、図7における時計回り方向(矢印245の方向)への回動力が付与される。このコイルバネ219が、本発明における第2弾性部材に相当する。
操作レバー234に外力が加えられていない状態では、ロックアーム230は、コイルバネ219により矢印245方向へ付勢されるとともに、上壁205により回動が規制された状態で保持される。この姿勢が、本発明において第2姿勢と称される。第2姿勢において、操作レバー234の上面は、概ね水平方向であり、ロック部237は、フレーム204の内面から下方へ突出している。第2姿勢におけるロック部237の突出位置は、カートリッジ装着部202に収容されるインクカートリッジ100と当接しうる位置である。具体的には、第2姿勢におけるロック部237がインクカートリッジ100の被係合部125と係合して、カートリッジ装着部202に挿入されたインクカートリッジ100を脱抜方向29に対して制止する。コイルバネ219の収縮力に抗して、操作レバー234が下げられると、ロックアーム230が、矢印245と反対方向へ回動され、ロック部237がフレーム204の内面へ没入する(図10参照)。この姿勢が、本発明において第1姿勢と称される。第1姿勢において、ロック部237は、カートリッジ装着部202に収容されるインクカートリッジ100と当接しない位置にあり、かつ、ストッパ243がカートリッジ装着部202から脱抜されるインクカートリッジ100と当接する位置にある。
[インクカートリッジ100の着脱動作]
以下に、カートリッジ装着部202に対してインクカートリッジ100を着脱する動作が説明される。図7に示されるように、カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100が装着されておらず、かつロックアーム230の操作レバー234に外力が加えられていない状態では、コイルバネ219の収縮力によって、ロックアーム230が第2姿勢に維持される。この第2姿勢において、操作レバー234の上面は概ね水平方向であり、ロック部237はフレーム204の内面から下方へ突出している。したがって、カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100が挿入されると、ロック部237付近がインクカートリッジ100に当接しうる。また、ストッパ243は、カートリッジ装着部202に挿入されるインクカートリッジ100と当接しない位置にある。一方、挿入前のインクカートリッジ100においては、コイルバネ48,49に付勢されて、スライダ41が第1位置にある。
インクカートリッジ100の装着に際しては、図8に示されるように、インクカートリッジ100を、フレーム204の開口207を通じてカートリッジ装着部202へ挿入する。インクカートリッジ100の挿入方向30は水平方向である。インクカートリッジ100の底面は、フレーム204に形成されたガイド溝206に嵌り込み、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202へ押し込むと、ガイド溝206によってインクカートリッジ100がカートリッジ装着部202の奧へ直線的に案内される。
インクカートリッジ100の上面側においては、スライダ41の上壁163にロックアーム230のロック部237が当接する。ロック部237の下面が延出方向に対して円周面をなしているので、この円周面に案内されてロック部237がスライダ41の上壁163へ円滑に移動される。ロック部237が上壁163に当接することにより、ロックアーム230が、コイルバネ219の収縮力に抗して第1姿勢側(矢印246)へ回動する。このロックアーム230の回動により、カートリッジ装着部202の正面側においては、操作レバー234が下方へ回動して、操作レバー234の上面が水平な状態から下方へ傾斜した状態となる。この操作レバー234の状態変化は、カートリッジ装着部202の正面側から容易に視認できる。ユーザは、操作レバー234が傾斜した状態となることを視認して、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着される過程にあることを認知する。なお、このロックアーム230の回動では、ロックアーム230は第1姿勢にならず、ストッパ243はインクカートリッジ100と当接しない。
さらに、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202の奥へ押し込むと、スライダ41の開口177に押圧部216が挿入され、その後、スライダ41の後壁161がカートリッジ装着部202の奥面に当接する。このとき、ロック部237は、スライダ41の上壁163から本体カバー42の上面へ摺動する。この摺動において、ロック部237は、スライダ41の上壁163の厚み分の段差を移動するが、ロック部237の下面が円周面であるので、ロック部237は円滑に本体カバー42の上面へ摺動しうる。ロック部237が本体カバー42の上面と当接した状態においても、ロックアーム230の操作レバー234は、その上面が下方へ傾斜した状態を維持する。また、スライダ41の後壁161がカートリッジ装着部202の奥面に当接すると、スライダ41の切り欠き187が光路に進入する。
スライダ41がカートリッジ装着部202の奥面に当接してから、さらにインクカートリッジ100をカートリッジ装着部202の奧へ押し込むと、コイルバネ48,49が圧縮されて弾性収縮する。コイルバネ48,49を弾性収縮させる力は、インクカートリッジ100を押し込む力である。スライダ41は、カートリッジ装着部202の奥面に当接して静止しているので、本体カバー42がスライダ41に対して相対移動しながらカートリッジ装着部202へ押し込まれ、その結果、第1位置のスライダ41が第2位置へスライドされる。
なお、本発明における第1弾性部材の弾性収縮とは、スライダ41が第2位置へスライドされたときのコイルバネ48,49の弾性収縮をいうが、スライダ41が第1位置にあるときのコイルバネ48,49の全長に対して弾性収縮していればよく、スライダ41が第1位置にあるときにコイルバネ48,49が弾性収縮していない必要はない。つまり、スライダ41が第1位置にあるときにコイルバネ48,49が弾性収縮していてもよい。
本体カバー42の移動に伴って容器本体40も共に移動し、大気連通バルブ80のロッド84が押圧部216に当接して、コイルバネ86の付勢力に抗してロッド84が押し込まれる。このコイルバネ86を収縮させる力は、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202へ押し込む力である。これにより、大気連通バルブ80が開放されてインク室102が大気開放される。また、スライダ41の開口178からインク供給バルブ90の一部が露出されてジョイント208の保持部210と嵌合し、かつ、コイルバネ96の付勢力に抗してインク供給バルブ90にインクニードル209が挿入される。このコイルバネ96を収縮させる力は、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202へ押し込む力である。これにより、ジョイント208にインク供給バルブ90が接続され、インク室102のインクがインク供給バルブ90及びインクニードル209を通じて外部へ流出しうる。また、光センサ181の光路に、検知部140が進入する。この状態で、光センサ181は、検知部140を通じてアーム70のインジケータ72の動きを検知しうる。
また、本体カバー42に対して容器本体40が相対移動することにより、ロックアーム230のロック部237は、本体カバー42の上面を摺動して容器本体40のリブ127へ到達する。そして、リブ127の上面に案内されて垂直壁126を乗り越え、台部124へ到達する。このロック部237の移動に伴い、ロックアーム230が第1姿勢側(矢印246)へさらに回動してから、第2姿勢側(矢印245)へ回動して第2姿勢に復帰する。これにより、操作レバー234の上面は再び水平となる。ロックアーム230が第2姿勢となると、ロック部237は台部124に当接する。ロック部237が垂直壁126を乗り越えるときにも、ストッパ243はインクカートリッジ100と当接しない。
スライダ41が第2位置となると、さらにインクカートリッジ100をカートリッジ装着部202の奧へ押し込むことはできない。インクカートリッジ100を通じて、押し込みに対する抵抗が増してインクカートリッジ100がまったく移動できないことを、ユーザは感覚的に認知しうる。また、ロックアーム230が第1姿勢側から第2姿勢に復帰するように回動し、操作レバー234の上面が傾斜した状態から水平な状態へ戻ることにより、インクカートリッジ100の押し込みが終了したことを、ユーザは視覚的に認知しうる。
そして、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202に対して押し込むことを止めると、コイルバネ48,49に付勢されてスライダ41が第2位置から第1位置に復帰しようとする。スライダ41は、カートリッジ装着部202の奥面に当接しているので、本体カバー42が、スライダ41に対して相対移動してカートリッジ装着部202から脱抜方向29へ移動しようとする。また、大気連通バルブ80においては、コイルバネ86に付勢されてロッド84が外部へ突出する方向へ復帰しようとする。同様に、インク供給バルブ90においては、コイルバネ96に付勢されてバルブ本体97がインクニードル209をインク供給バルブ90から脱抜する方向へ押し戻そうとする。
このようなインクカートリッジ100をカートリッジ装着部202から脱抜方向29へ付勢する力に対して、ロック部237が被係合部125の垂直壁126と係合することにより、容器本体40が脱抜方向29に対して制止される。なお、前述されたように、ロック部237の先端面はほぼ垂直面なので、垂直壁126と当接すると、垂直壁126の上端側へ移動することがない。その結果、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着された状態にロックされる。
インク供給装置200からインク消費装置へインクが供給されて、インクカートリッジ100のインクが消費されると、インク室102においてインクの液面が徐々に降下する。そして、インク室102のインクが所定量以下になると、前述されたようにフロート73が降下し、その降下分だけアーム70が回動する。このアーム70の回動に伴って、検知部140においてインジケータ72が上方へ移動する。そして、インジケータ72が光センサ181の光路を外れるまで移動すると、光センサ181の検知信号を変化する。インク供給装置200又はインク消費装置の制御部は、この光センサ181の出力に基づいてインク室102のインク残量が所定量以下になったと判定し、その後に記録ヘッドから吐出されるインク量をカウントする。そして、制御部は、予め定められたインク量が消費されたと判断されたことを条件に、インクカートリッジ100にインクが残っていないと判断して、インク消費装置のディスプレイなどにインクカートリッジ100の交換を促す表示を行わせる。ユーザは、このディスプレイの表示に基づいて、インクカートリッジ100の交換が必要であること認知する。
インクカートリッジ100の交換に際しては、インクカートリッジ100のロックを解除するために、ロックアーム230の操作レバー234を押し下げる。これにより、ロックアーム230は支持軸232を支点として矢印246の方向へ回動し、ロックアーム230が第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化する。ロックアーム230が第1姿勢になると、ロック部237が台部124から離れて垂直壁126より上側へ移動する。つまり、ロック部237が被係合部125から離脱する。また、ストッパ243は、カートリッジ装着部202から飛び出すインクカートリッジ100の上面と当接しうる位置となる。
ロック部237が垂直壁126より上側へ移動すると、容器本体40は脱抜方向29に対して制止されない。したがって、前述されたコイルバネ48,49及びコイルバネ86,96の付勢力を受けて容器本体40が脱抜方向29へ移動し、スライダ41が相対的に第2位置から第1位置へスライドする。この容器本体40の移動に伴って、大気連通バルブ80においてはロッド84が外側へ突出する方向へ移動して大気連通バルブ80が閉塞され、インク供給バルブ90においては、インク供給バルブ90からインクニードル209が脱抜してインク供給バルブ90が閉塞される。
スライダ41が第1位置へスライドして、前述されたコイルバネ48,49及びコイルバネ86,96の付勢力が容器本体40に作用しなくなっても、前述された容器本体40の移動による慣性力によって、インクカートリッジ100の一部がカートリッジ装着部202から脱抜方向へ飛び出す。
その一方、ロックアーム230が第1姿勢になると、ストッパ243が開口207の上縁236より下方へ突出して、インクカートリッジ100の上面側と当接しうる位置へ移動する。ロックアーム230が支持軸232を支点として第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化する速度は、ユーザが操作レバー234を押し下げる速度に依存するが、コイルバネ48,49の付勢力やスライダ41のスライド範囲などの設定によって、ユーザの操作に基づいてロックアーム230が姿勢変化する速度に対して、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202の開口207から飛び出す速度を調整して、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202から完全に飛び出す前に、ストッパ243を本体カバー42の上面やスライダ41の上面に当接させることができる。図10においては、ストッパ243が容器本体40の被係合部125付近と当接して、インクカートリッジ100が脱抜方向29へ飛び出すことが制止されているが、ストッパ243がインクカートリッジ100の上面側と当接する位置は、操作レバー243の操作速度などに依存して変化する。このようなストッパ243は、コイルバネ48,49による付勢力がカートリッジ装着部202におけるインクカートリッジ100に作用しなくなる位置から、インクカートリッジ100が開口207から完全に抜けるまでの所定の位置において、インクカートリッジ100と当接するように設定されることが好適である。
なお、コイルバネ48,49による付勢力がカートリッジ装着部202におけるインクカートリッジ100に作用しなくなるとは、ストッパ243がインクカートリッジ100から離れてもコイルバネ48,49の付勢力によってインクカートリッジ100がさらに移動しない状態をいうが、ストッパ243がインクカートリッジ100から離れた後にコイルバネ48,49に残存する付勢力によってインクカートリッジ100が若干移動してもカートリッジ装着部202から完全に離脱しなければ、本実施形態と同様の効果が奏される。
前述されたように、ロックアーム230を第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化させると、ロック部237がインクカートリッジ100の被係合部125と係合(当接)した状態から、ストッパ243がインクカートリッジ100に当接した状態となる。そして、ストッパ243がインクカートリッジ100に当接することにより、カートリッジ装着部202から飛び出したインクカートリッジ100が制止される。これにより、インクカートリッジ100は、カートリッジ装着部202に収容された状態から脱抜方向29へ移動した後、カートリッジ装着部202から完全に飛び出さずに静止する。
インクカートリッジ100が静止した後、操作レバー234を離すと、コイルバネ219の収縮力によってロックアーム230が支持軸232の支点として第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化する。これにより、ストッパ243がインクカートリッジ100から離れて、インクカートリッジ100が脱抜方向29へ移動可能となる。このとき、スライダ41は第1位置にあるので、コイルバネ48,49の付勢力によってスライダ41がさらにスライドすることはないので、ストッパ243が離れても、インクカートリッジ100は、インクカートリッジ100の本体カバー42の一部がカートリッジ装着部202の開口207から飛び出した状態で静止する。したがって、開口207から飛び出した本体カバー42の一部を挟み持ってカートリッジ装着部202からインクカートリッジ100を引き出すことにより、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202から取り外される。
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、インク供給装置200によれば、ユーザが操作レバー234を操作してロックアーム230を第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化させると、コイルバネ48,49の付勢力によってインクカートリッジ100がカートリッジ装着部202内を脱抜方向29へ移動するとともに、ストッパ243がインクカートリッジ100と当接して、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202から完全に飛び出さずに静止するので、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202から取り出すときに、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202から適度に飛び出すので取り出しやすくなるとともに、インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202から飛び出し過ぎることが防止される。
また、ストッパ243が、ロックアーム230の第1端側に設けられているので、ロックアーム230の姿勢変化により、ロック部237が容器本体40の被係合部125から離脱すると、ストッパ243がインクカートリッジ100と当接する位置へ移動する。したがって、ユーザが操作レバー234を一方向へ操作して、ロックアーム230が第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化されることによって、ロック部237及びストッパ125の各動作がワンアクションで実現される。
また、ロックアーム230が、操作レバー234(第1端)とロック部237(第2端)との間の支持軸232を支点として第1姿勢と第2姿勢との間で回動することにより姿勢変化するので、操作レバー234を操作してロックアーム230を第2姿勢から第1姿勢へ回動させると、ロック部237が容器本体40の被係合部125から離脱するとともに、第1端側のストッパ125がインクカートリッジ100と当接する位置へ移動するので、ロックアーム230の姿勢変化を簡易に操作できる。
また、ロックアーム230がコイルバネ219により第2姿勢側へ付勢されているので、操作レバー237が操作されなければ、ロックアーム230は第2姿勢を維持し、操作レバー237が操作されるとロックアーム230が第1姿勢となる。したがって、ストッパ243がインクカートリッジ100と当接してインクカートリッジ100の飛び出しを制止した後に、ユーザが操作レバー237の操作を止めると、ロックアーム230が第2姿勢となってストッパ243がインクカートリッジ100から離れ、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202から取り出すことができるので、操作性がよい。
また、ストッパ243は、コイルバネ48,49による付勢力がインクカートリッジ100に作用しなくなる位置からインクカートリッジ100が開口207から完全に飛び出すまでにインクカートリッジ100と当接するので、ストッパ243がインクカートリッジ100と当接してインクカートリッジ100の飛び出しを制止した後に、ロックアーム230が第1姿勢から第2姿勢へ回動しても、さらにインクカートリッジ100がカートリッジ装着部202から飛び出すことがない。
なお、本発明においては、インクカートリッジの外形は、実施形態に示されたインクカートリッジ100の外形に限定されない。また、本発明においてインクカートリッジがカートリッジ装着部に対して挿抜される所定の二方向は、本実施形態に示されたように水平方向であって相反する脱抜方向29及び挿入方向30に限定されず、一定の方向であれば、例えば水平方向や鉛直方向、斜め方向などが任意に採用されうる。また、本発明においては、ストッパによるインクカートリッジへの当接は、圧接、係合、その他の容器本体が第1方向へ移動することをロックしうる接触状態が広く採用されうる。
また、本実施形態においては、インクカートリッジ100が容器本体40及びスライダ41を備え、これらの間に介在されたコイルバネ48,49が、本発明における第1弾性部材として作用することとしたが、本発明における第1弾性部材はカートリッジ装着部202に設けられてもよい。例えば、インクカートリッジ100がスライダ41の如き部材を有しないものとして、カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100を脱抜方向29へ付勢するバネなどの弾性部材が設けられてもよい。また、カートリッジ装着部202に弾性部材を設けることなく、大気連通バルブ80におけるコイルバネ86又はインク供給バルブ90におけるコイルバネ96が本発明における第1弾性部材として作用するようにしてもよい。