JP3657673B2 - 緩衝装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば遮断器の開路動作や閉路動作の運動エネルギを吸収するためなどに使用される緩衝装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は例えば特開平6−81878号公報に示された従来の緩衝装置の断面図である。図において、本体ハウジング1は、シリンダ2及びその両端を閉塞するフランジ3,4からなっている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動自在に設けられている。ピストン5は、フランジ3を貫通するピストンロッド6の先端部に固定され、ばね17により前進方向(図の矢印M1方向)へ常時付勢されている。
【0003】
シリンダ2の内周面には、軸方向の溝23が設けられている。この溝23は、ピストン5の移動時における作動油の絞り流路を形成する。つまり、シリンダ2内は、ピストン5により室21,22に分割されており、ピストン5の後退方向(図の矢印M2方向)への移動によって、作動油が室21から室22へ流動する。その際、作動油は溝23を通過するが、溝23の作動油に対する抵抗によって室21内に背圧が発生し、これにより緩衝作用が発揮される。
【0004】
本体ハウジング1には、ピストン5及びピストンロッド6の移動に伴う体積変化を吸収するために、独立気泡のゴム膜からなるアキュムレータ24が設けられている。フランジ4には、室21,22内に作動油を供給するための給油口25が設けられている。給油口25は、使用時において、鋼球26及びねじ27により閉塞されている。
【0005】
ピストン5には、鋼球29及びばね30からなるチェック弁28が設けられており、ピストン5の前進時には作動油が室22からチェック弁28を経て室21へ流通する。このため、ピストン5の前進は高速で行われる。また、鋼球29は、ばね30によって弁座に当接するように常に付勢されているので、鋼球29に遊びがなく、ピストン5の後退時の初期の無効ストロークが零となっている。
【0006】
フランジ3には、ダストスクレーパ32、空気圧用パッキン33、油圧用パッキン34及び真空室35が設けられている。ダストスクレーパ32は、外部からのダストの侵入を防止する。空気圧用パッキン33は、空気(外気)のシリンダ2内への侵入を防止する。油圧用パッキン34は、シリンダ2内からの作動油の漏れを防止する。真空室35は、空気圧用パッキン33と油圧用パッキン34との間に設けられた円環状の凹部であり、ポート36を介して真空ポンプ37に接続され、この緩衝装置使用時には真空状態にされる。
【0007】
このように、空気圧用パッキン33の外側の空間は大気圧であり、内側の空間は真空状態であるため、空気圧用パッキン33には、ほぼ1気圧の差圧が加わる。これにより、空気圧用パッキン33の本来のシール性能が発揮され、空気の引き込みが生じにくくなり、シリンダ2内への空気の侵入が防止される。また、油圧用パッキン34においても、常に差圧が加わるので、空気の引き込みがさらに減少し、空気の侵入の防止効果が向上する。
【0008】
上記のような緩衝装置では、図3のM2方向へ移動する移動物体(図示せず)がピストンロッド6の左端部に衝突すると、ピストンロッド6及びピストン5が同方向へ移動し、作動油の流動によって運動エネルギが吸収される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成された従来の緩衝装置においては、空気圧用パッキン33及び真空室35に加えて、油圧用パッキン34がフランジ3に設けられているため、緩衝の主機能を発生するシリンダ2の長さに比べて、ピストンロッド6が貫通するフランジ3の厚み、即ち漏れ防止の副次機能部分の厚みが大きくなり、装置全体として冗長で大形であるという問題点があった。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、外部への作動油の漏れを効果的に防止しつつ、全体を小形化することができる緩衝装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る緩衝装置は、側壁に貫通孔を有し作動油が収容されるシリンダと、このシリンダの両端部に設けられている一対のフランジと、これらのフランジの少なくともいずれか一方を貫通するピストンロッドと、このピストンロッドに固着されシリンダ内を摺動するピストンと、シリンダを囲むように配置され、貫通孔によりシリンダ内と連通するカバー室が内部に形成されているカバーと、フランジにおけるピストンロッドの貫通部に設けられ、作動油の漏れを防止するパッキンと、このパッキンが設けられているフランジとシリンダとの間に設けられ、ピストンロッドが摺動自在に貫通するロッド孔、及びこのロッド孔とカバー室とを連通する作動油流出孔を有している摺動軸受とを備え、摺動軸受のロッド孔には、ロッド孔を通して漏洩する作動油の流路に狭部・拡大部を交互に生じさせ漏洩する作動油の流体損失を大きくするための複数の円環状の大径部が設けられているものである。
また、大径部は、作動油流出孔に重ねて設けられている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。図1はこの発明の実施の形態の一例を示す遮断器の緩衝装置の断面図であり、動作途中の状態を示している。また、この例の緩衝装置は、開路動作時でも、閉路動作時でも緩衝する構造となっている。
【0016】
図において、複数の貫通孔51aが側壁に設けられているシリンダ51の内部には、ピストン52が摺動自在に設けられている。図に示すように、貫通孔51aの大きさは、シリンダ51の軸方向に沿って変化されている。このピストン52には、ピストンロッド53A,53Bが固着されている。シリンダ51の一端部には、第1の摺動軸受54及び第1のフランジ55が一体に形成されている。第1のフランジ55におけるピストンロッド53Aの貫通部には、作動油の漏れを防止するリング状のパッキン56が設けられている。
【0017】
第1のフランジ53には、シリンダ51を囲繞するカバー57が密着固定されている。このカバー57内には、貫通孔51aによりシリンダ51内と連通したカバー室57aが形成されている。第1の摺動軸受54には、ピストンロッド53Aが摺動自在に貫通するロッド孔54a、及びこのロッド孔54aとカバー室57aとを連通する作動油流出孔(キリ孔)54bが設けられている。作動油流出孔54bは、周方向の複数箇所に径方向へ向けて設けられている。また、第1の摺動軸受54の内周面には、軸方向の位置が作動油流出孔54bと重なるように複数の円環状の大径部(凹部)54cが設けられている。
【0018】
カバー57には、第2のフランジ58が一体に形成されている。カバー57は、第1及び第2のフランジ55,58間に設けられ、かつシリンダ51を囲繞し、シリンダ51との間にカバー室57aを形成している。第2のフランジ58におけるピストンロッド53Bの貫通部には、作動油の漏れを防止するリング状のパッキン59が設けられている。第2のフランジ58とシリンダ51との間には、ピストンロッド53Bが摺動自在に貫通するロッド孔60aを有する第2の摺動軸受60が設けられている。
【0019】
ここで、図2は図1の第2の摺動軸受60を図1の下方から見た底面図であり、逆に図1の第2の摺動軸受60は図2のI−I断面に相当する。この第2の摺動軸受60は、第2のフランジ58とは別部材で構成されており、その第2のフランジ58側の端面に作動油流出孔としてのスリット60bが設けられている。また、第2の摺動軸受60の内周面には、軸方向の位置がスリット60bと重なるように複数の円環状の大径部(凹部)60cが設けられている。
【0020】
次に、動作について説明する。この遮断器の緩衝装置は、開路動作や閉路動作の途中で、その動作を制動停止するものである。即ち、開路動作や閉路動作によりピストン52がシリンダ51内を摺動し、これによりシリンダ51内の作動油が流動するとともに、貫通孔51aから流出する作動油の流路が絞られる。これにより、ピストン52に背圧が加わり、緩衝作用を発揮する。
【0021】
このとき、ピストンロッド53A,53Bと摺動軸受54,60との間の隙間から漏れる作動油は、パッキン56,59によりシールされる。しかし、これらのパッキン56,59に加わる差圧が高いと、適切なシール性能が得られなくなる。このため、摺動軸受54,60には、作動油流出孔54b及びスリット60bが設けられており、低圧のカバー室57aへ作動油を逃がすことにより、パッキン56,59に高い差圧が働かないようにしている。従って、外部への作動油の漏れを効果的に防止しつつ、全体が小形化される。
【0022】
また、摺動軸受54,60の内周面に大径部54c,60cを設けることにより、漏洩する作動油の流路に凹凸、即ち狭部・拡大部が交互に生じ、作動油の流体損失が大きくなり、作動油の漏れが少なくなる。このような大径部54c,60cは、作動油流出孔54b及びスリット60bに重ねて設けられている点において、単に流体摩擦を大きくして漏れを少なくするラビリンスパッキンとは異なる。しかも、大径部54c,60cを、作動油流出孔54b及びスリット60bに重ねることにより、軸方向の寸法が一層小さくなる。
【0023】
さらに、第2の摺動軸受60は、フランジ58と別部材で構成されているため、作動油流出孔としてのスリット60bは端面に形成されることになり、その加工が容易である。また、作動油流出孔の断面形状を幅広で軸方向に短いスリット形状としたので、第2の摺動軸受60の軸方向寸法は一層小さくなる。
【0024】
なお、カバー室57a内には空気層があり、シリンダ51内にも空気が混入し得るが、遮断器の開路動作、閉路動作の緩衝に支障を生じることがなく、動作特性に影響を与えるほどのものでないことが試験によって確認されている。
【0025】
また、上記の例では2本のピストンロッド53A,53Bを有するものを示したが、構造によってはどちらか1本でよい場合もある。
また、作動油流出孔54b及びスリット60bの形状や数は、上記の例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態の一例を示す遮断器の緩衝装置の断面図である。
【図2】 図1の第2の摺動軸受を図1の下方から見た底面図である。
【図3】 従来の緩衝装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
51 シリンダ、51a 貫通孔、52 ピストン、53A,53B ピストンロッド、54 第1の摺動軸受、54a,60a ロッド孔、54b 作動油流出孔、54c,60c 大径部、55 第1のフランジ、56,59 パッキン、57 カバー、57a カバー室、58 第2のフランジ、60 第2の摺動軸受、60b スリット(作動油流出孔)。

Claims (2)

  1. 側壁に貫通孔を有し作動油が収容されるシリンダと、
    このシリンダの両端部に設けられている一対のフランジと、
    これらのフランジの少なくともいずれか一方を貫通するピストンロッドと、
    このピストンロッドに固着され上記シリンダ内を摺動するピストンと、
    上記シリンダを囲むように配置され、上記貫通孔により上記シリンダ内と連通するカバー室が内部に形成されているカバーと、
    上記フランジにおける上記ピストンロッドの貫通部に設けられ、上記作動油の漏れを防止するパッキンと、
    このパッキンが設けられているフランジと上記シリンダとの間に設けられ、上記ピストンロッドが摺動自在に貫通するロッド孔、及びこのロッド孔と上記カバー室とを連通する作動油流出孔を有している摺動軸受と
    を備え、上記摺動軸受の上記ロッド孔には、上記ロッド孔を通して漏洩する作動油の流路に狭部・拡大部を交互に生じさせ上記漏洩する作動油の流体損失を大きくするための複数の円環状の大径部が設けられていることを特徴とする緩衝装置。
  2. 上記大径部は、上記作動油流出孔に重ねて設けられていることを特徴とする請求項1記載の緩衝装置。
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