JP2003206973A - 回転ダンパ - Google Patents

回転ダンパ

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JP2003206973A
JP2003206973A JP2002007285A JP2002007285A JP2003206973A JP 2003206973 A JP2003206973 A JP 2003206973A JP 2002007285 A JP2002007285 A JP 2002007285A JP 2002007285 A JP2002007285 A JP 2002007285A JP 2003206973 A JP2003206973 A JP 2003206973A
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shaft portion
body case
rotary damper
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viscous liquid
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JP2002007285A
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Hidenori Sugano
秀則 菅野
Ryota Shimura
良太 志村
Masanori Itagaki
正典 板垣
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Somic Ishikawa KK
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Somic Ishikawa KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で大きい制動力を発揮し得る回転ダンパ
を提供する。 【解決手段】 本発明の回転ダンパは、本体ケース10
内に回転可能に設けられる軸部21、および軸部21に
突設され、該軸部21と本体ケース10との間に設けら
れる隔壁部14により仕切られた粘性液体が充填される
空間を、さらに2つの室51,52に分割するように配
設されるベーン22を有する回転体20が回転すること
により所定の制動力を発揮する回転ダンパであって、本
体ケース10及び回転体20がともに金属材料から形成
されており、かつ両者が摺接する部位に、弾性シール層
30が設けられていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転ダンパに関するも
のであり、特に小型でも大きな制動力を発揮し得る回転
ダンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、回転動作する制御対象物に対し
て、所定の制動力を発揮して、その回転動作を遅動させ
る回転ダンパが知られている。かかる回転ダンパとし
て、本体ケース内にその軸心を中心として回転可能に設
けられる軸部と、その軸部に突設され、軸部と本体ケー
スとの間に設けられる隔壁部により仕切られた粘性液体
が充填される空間を、さらに2つの室に分割するように
配設されるベーンとを有する回転体が、本体ケース内で
回転することにより所定の制動力を発揮する構造のもの
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
回転ダンパでは、本体ケース内に回転体を回転自由に配
設するため、精密に加工したものでも、回転体が本体ケ
ース及び隔壁部に摺接する部位に、約0.01〜約0.
05mm程度の隙間が形成されている。回転ダンパが大
きな制動力を発揮するには、かかる隙間を如何に小さい
ものとすることができるかが重要なポイントであり、か
かる隙間が大きい程、発揮する制動力が低下することと
なる。例えば、本体ケースの外径が40mm以下で、そ
の全長が100mm以下の小型の回転ダンパであって、
上記した隙間の大きさを有するものでは、許容できる負
荷が小さいものに限られており、1500N・cm(約
150kgf・cm)程度の負荷が許容できる限度であ
る。従って、その性能を遙かに超える5000N・cm
(約500kgf・cm)以上という大きな回転力を有
する制御対象物に対しては、その回転動作を遅動させる
ことができず、適用することができなかった。
【0004】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、小型であっても、従来よりも格段に大きな制動力を
発揮すること、すなわち、例えば、本体ケースの外径が
40mm以下で、その全長が100mm以下の小型のも
のであっても、例えば5000N・cm以上という大き
な回転力を有する制御対象物の回転動作を遅動させるこ
とが可能な回転ダンパを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の本発明は、本体ケース内にその軸
心を中心として回転可能に設けられる軸部、および該軸
部に突設され、該軸部と前記本体ケースとの間に設けら
れる隔壁部により仕切られた粘性液体が充填される空間
を、さらに2つの室に分割するように配設されるベーン
を有する回転体が、前記本体ケースに対して相対的に回
転することにより所定の制動力を発揮する回転ダンパで
あって、前記本体ケース及び回転体がともに金属材料か
ら形成されており、かつ両者が摺接する部位に、弾性シ
ール層が設けられていることを特徴とする回転ダンパを
提供する。請求項2に記載の本発明は、前記弾性シール
層が、前記回転体の軸部と前記隔壁部との間に介在する
ように設けられていることを特徴とする請求項1記載の
回転ダンパを提供する。請求項3に記載の本発明は、前
記弾性シール層が、前記回転体に対して射出成形されて
いることを特徴とする請求項1又は2記載の回転ダンパ
を提供する。請求項4に記載の本発明は、前記弾性シー
ル層が、所定の形状に成形された後、前記回転体に装着
されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載
の回転ダンパを提供する。請求項5に記載の本発明は、
前記軸部に、該軸部が一方向に回転した場合にのみ制動
力を発揮させる弁機構が設けられていることを特徴とす
る請求項1から4のいずれか1に記載の回転ダンパを提
供する。請求項6に記載の本発明は、前記弁機構は、前
記軸部の軸心に沿って形成され、その軸心に直交する方
向に貫通形成された第1の液体通路を介して、前記ベー
ンにより仕切られた2つの室のうち、粘性液体の圧力が
生ずる側に連通する大径部と、前記軸部の軸心に沿って
形成され、その軸心に直交する方向に貫通形成された第
2の液体通路を介して、前記ベーンにより仕切られた2
つの室のうち、粘性液体の圧力が生じない側に連通す
る、前記大径部よりも径が小さい小径部と、前記大径部
内に設けられ、前記大径部又は小径部に流入する粘性液
体の流動圧を受けることによって前記大径部と小径部と
の境界を閉塞又は開放する弁体とを有して構成されてい
ることを特徴とする請求項5記載の回転ダンパを提供す
る。請求項7に記載の本発明は、前記軸部に、粘性液体
を蓄積可能なアキュムレータが設けられていることを特
徴とする請求項1から6のいずれか1に記載の回転ダン
パを提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいてさらに詳しく説明する。図1及び図2は、本
発明の一の実施形態に係る回転ダンパを示す図であり、
図1は縦断面図、図2(a)は図1のA−A部断面図、
同図(b)は図1のB−B部断面図、同図(c)は図1
のC−C部断面図、同図(d)は図1のD−D部断面図
である。これらの図に示したように、本実施形態に係る
回転ダンパは、本体ケース10、回転体20及び弾性シ
ール層30を有して構成される。
【0007】本体ケース10は、さらに、断面略円形の
筒状部11と、該筒状部11の両端部を閉塞する第1及
び第2閉塞部12,13とを有して構成される。筒状部
11には、その内周面から軸心に向かって突出するよう
に、軸方向に沿って形成される隔壁部14が一体成形さ
れている(図1及び図2(b)参照)。第1閉塞部12
は、その一面に、後述する軸部21の一端側を支持する
軸受けとして機能する凹部15が形成されている(図2
参照)。なお、第1閉塞部12は、筒状部11の端壁と
して、筒状部11と一体に成形されたものであってもよ
い。第2閉塞部13は、後述する軸部21の他端側を支
持する軸受けとして機能する軸受け孔16を有する(図
2参照)。また、第2閉塞部13と後述する回転体20
との間には、スペーサ17が配設されている(図2参
照)。なお、本体ケース10は、回転ダンパの使用態様
に対応して適宜の外観形状に形成されるものであり、そ
の外観形状は何ら限定されるものではない。
【0008】回転体20は、さらに、軸部21と、該軸
部21に突設されるベーン22とを有して構成される。
軸部21は、一端側が第1閉塞部12の凹部15に、他
端側が第2閉塞部13の軸受け孔16にそれぞれ支持さ
れ、他端側の端部を本体ケース10外に突出させた形
で、本体ケース10内にその軸心を中心として回転可能
に設けられている(図2(c)及び(d)参照)。な
お、回転体20は、本体ケース10に対して相対的に回
転し得るものであり、両者は、例えば本体ケース10が
不動部位に固定されている場合は、該本体ケース10内
で回転体20が回転する一方、回転体20が回転しない
ように固定されている場合は、該回転体20の周りで本
体ケース10が回転する関係にある。
【0009】この軸部21は、制御対象物に連結され、
制御対象物の回転動作に伴って回転するものである。そ
して、本実施形態に係る回転ダンパは、後述する弁機構
40により、軸部21が一方向に回転した場合にのみ制
動力を発揮して、制御対象物の回転動作を遅動させるも
のである。
【0010】従来、このような一方向性の回転ダンパで
は、かかる作用をもたらすべく、粘性液体の移動を規制
する弁機構を備えている。しかしながら、その弁機構が
ベーン又は隔壁部に配設されているため、機械的強度が
低いものとなっている。例えば5000N・cm以上も
の大きな負荷が加えられる場合には、回転体及び本体ケ
ースに相当の機械的強度が必要であり、弁機構をベーン
や隔壁部に設けた構成では、ベーンや隔壁部に変形が生
じたり、それらが破損したりするおそれがある。そこ
で、本実施形態においては、最も強度のある軸部21の
軸心に沿って、該軸部21が一方向に回転した場合にの
み制動力を発揮させる弁機構40が設けられている(図
1及び図2参照)。
【0011】弁機構40の構成は上記機能を果たしうる
限り限定されるものではないが、本実施形態では、その
好ましい形態として、図1及び図2に示したように、互
いに連通し、それぞれ軸部21の軸心に沿って形成され
る大径部(大径の孔)41及び該大径部41よりも径が
小さい小径部(小径の孔)42と、大径部41内に設け
られ、小径部42よりも径が大きい球状の弁体43とを
有して構成されるものが採用されている。
【0012】大径部41は、第1の液体通路44を介し
て、ベーン22により仕切られた2つの室51,52の
うち、粘性液体の圧力が生ずる側(以下「圧力室」とい
う。)51に、小径部42は、第2の液体通路45を介
して、ベーン22により仕切られた2つの室51,52
のうち、粘性液体の圧力が生じない側(以下「非圧力
室」という。)52に、それぞれ連通している。第1及
び第2の液体通路44,45は、それぞれ軸部21の軸
心に直交する方向に軸部21を貫通して形成されてい
る。
【0013】かかる弁機構40を有する回転ダンパによ
れば、軸部21が一方向(制動力発揮方向)へ回転し、
それに伴ってベーン22が圧力室51内の粘性液体を押
圧すると、圧力室51内の粘性液体は、第1の液体通路
44を通じて大径部41内に流入する。そして、弁体4
3が大径部41内に流入する粘性液体の流動圧を受ける
と、大径部41内で小径部42に近接する方向へ向かっ
て移動し、大径部41と小径部42との境界を閉塞す
る。これにより、粘性液体の小径部42への移動が阻止
されるため、圧力室51内において粘性液体の圧力が生
じ、この圧力によって回転体20の回転速度が減速され
る。
【0014】一方、軸部21が上記とは逆方向(非制動
力発揮方向)へ回転し、それに伴ってベーン22が非圧
力室52内の粘性液体を押圧すると、非圧力室52内の
粘性液体は、第2の液体通路45を通じて小径部42内
に流入する。そして、弁体43が小径部42内に流入す
る粘性液体の流動圧を受けると、大径部41内で小径部
42から離間する方向へ向かって移動し、大径部41と
小径部42との境界を開放する。これにより、粘性液体
の大径部41への移動が可能となるため、非圧力室52
内においては粘性液体の圧力が殆ど生じることがなく、
回転体20は減速されずに回転することとなる。
【0015】この軸部21には、また、軸部21の一端
側に形成された、小径部41と連通する中空部23内に
収容される、粘性液体を蓄積可能なアキュムレータ60
が設けられている。粘性液体の圧力を利用した回転ダン
パでは、粘性液体中にエアが多く含まれていると、負荷
を受けた際に、そのエアが圧縮されるだけで粘性液体の
圧力が小さいものとなるため、発揮する制動力が低下す
る。これを防ぐため、本体ケース10内の空間が脱泡さ
れた粘性液体で完全に満たされることが望ましいが、単
に粘性液体の充填率を高めただけでは、温度変化に伴う
粘性液体の膨張により、回転ダンパが破壊してしまう。
本実施形態の回転ダンパは、粘性液体が膨張しても、ア
キュムレータ60により、これを吸収して一時的に蓄積
できるため、破壊されることがない。また、アキュムレ
ータを隔壁部に設けた場合には、本体ケースの機械的強
度や後述するシール性の低下を招くこととなるが、本実
施形態では、アキュムレータ60が軸部21の軸心に沿
って設けられているため、そのような不具合を回避する
ことができる。
【0016】なお、粘性液体としてはシリコンオイル等
を用いることができる。粘性液体は、軸部21の他端側
に、その軸心に沿って形成された充填孔24から本体ケ
ース内に注入される。充填孔24は、本体ケース10内
に粘性液体を充填した後、球状の栓70と、該栓70の
脱落を防止する押さえネジ71により閉塞される(図2
参照)。
【0017】ベーン22は、軸部21と一体に成形され
(図1及び図2(a)参照)、軸部21と本体ケース1
0との間に設けられる隔壁部14により仕切られた粘性
液体が充填される空間を、さらに2つの室51,52に
分割するように配設されている(図1参照)。
【0018】上記した本体ケース10及び回転体20
は、小型のものでも、例えば5000N・cm(約50
0kgf・cm)以上という大きな負荷に耐え得るよう
に、ともに金属材料から形成されている。製造方法は、
何ら限定されるものではないが、例えば、亜鉛合金やア
ルミニウム合金などを材料として用いたダイカストによ
り製造することが好ましい。本体ケース10及び回転体
20の素材として亜鉛合金ダイカスト等を採用する利点
は、機械的強度を満足するだけでなく、さらに滑らかな
表面や高い寸法精度を得ることができる点にある。
【0019】弾性シール層30としては、弾性を有し、
摩耗し難く、かつ摺動性に優れた樹脂、例えば、ポリア
セタールなどの樹脂からなるものを採用することが好ま
しい。この弾性シール層30は、本体ケース10と回転
体20とが摺接する部位、すなわち、回転体20と本体
ケース10との間に形成される粘性液体が通過し得る隙
間に設けられるが、本体ケース10側又は回転体20側
のいずれに形成されていてもよい。また、弾性シール層
30は、少なくとも本体ケース10とベーン22とが摺
接する部位に介在するように設けられることが好まし
く、さらに軸部21と隔壁部14との間に介在するよう
に設けられていることがより好ましく、本体ケース10
と回転体20とが摺接する部位全体に設けられているこ
とが最も好ましい。
【0020】本実施形態では、回転体20を構成する軸
部21の外周面21a(第1閉塞部12に形成された凹
部15に嵌め込まれる端部の外周面を含む。)、軸部2
1の他端側において、隔壁部14の端面と対向する面2
1b、ベーン22の先端面22a及びベーン22の第1
閉塞部12の一面と対向する面22bをそれぞれ被覆す
るように弾性シール層30が設けられている(図1及び
図2参照)。なお、本実施形態と異なり、例えば、ベー
ンの端面がスペーサあるいは閉塞部材の内面と対向して
いる構造を有する回転ダンパにあっては、該ベーンの端
面にも弾性シール層が形成されることが好ましい。ま
た、弾性シール層30は、回転体20に対して、射出成
形されたものであってもよいし、所定の形状に形成され
た後、回転体20に装着されたものであってもよい。
【0021】弾性シール層30は、本体ケース10内に
回転体20を配設したときに、筒状部21の内周面、隔
壁部14の先端面及び端面、第1閉塞部12の一面及び
凹部15の内周面に、それぞれ密着するように所定の厚
さを有して形成される。
【0022】すなわち、弾性シール層30は、回転体2
0の上記した表面上に形成されたときに、軸部21の外
周面21aを被覆する弾性シール層30の外径が、凹部
15の内径や隔壁部14の先端面間の内径よりも大き
く、また、ベーン22の先端面22aを被覆する弾性シ
ール層30の外径が、筒状部21の内径よりも大きくな
るような厚さを有する。従って、弾性シール層30を有
する回転体20は、本体ケース10内に圧入されるよう
に配設されることとなる。これにより、常態において、
回転体20と本体ケース10とが摺接する部位に形成さ
れる隙間は、ほぼ完全に無い状態となる。一方、回転体
20が制動力発揮方向へ回転したときには、粘性液体の
圧力により弾性シール層30に微小な変形が生じて、弾
性シール層30が本体ケース10に摺接する部位に微小
な隙間が形成されることとなるが、かかる隙間の大きさ
は、従来の回転ダンパにおける隙間と比較して極めて小
さいものであり、従来よりもシール性を大幅に向上させ
ることができるので、例えば本体ケース10の外径が4
0mm以下で、その全長が100mm以下の小型のもの
であっても、例えば5000N・cm以上という大きな
回転力を有する制御対象物の回転動作を遅動させること
が可能である。また、従来のように、ともに金属材料か
らなる本体ケースと回転体とが摺接する場合には、かじ
りを生ずることが多いが、本体ケース10と回転体20
との間に弾性シール層30が介在することによって摺動
抵抗も小さくすることができる。また、従来、複数の回
転ダンパを製造する場合に、各回転ダンパを構成する本
体ケース及び回転体の寸法精度を均一にすることが困難
であり、そのため特性のばらつきが生じ易いものとなっ
ていたが、弾性シール層30を設けることによって、各
回転ダンパを構成する本体ケース10及び回転体20の
寸法精度に多少の誤差があっても、その誤差が特性に影
響を与えることがないように補正することができるの
で、特性のばらつきを生じ難くすることができる。
【0023】上記のように構成される回転ダンパは、例
えば、自動車のセカンドシートやサードシートの回転動
作を遅動させる緩衝装置として用いることができる。す
なわち、セカンドシートやサードシートを備える自動車
では、これらのシートの不使用時には、図3に示したよ
うに、シートバック110を前方に倒して、シートクッ
ション120に重ねるように折り畳んだ後、さらにシー
トクッション120の一方の側面側を中心として他方の
側面側を上方(矢印X方向)に持ち上げて、シート10
0を起立させることができるシート構造が採用されてい
る。かかるシート構造において、シート100を起立姿
勢から使用姿勢にさせるときには、シートクッション1
20が車床に対して略平行に配置されるように、シート
クッション120の一方の側面側を中心として他方の側
面側を下方(矢印Y方向)に押し倒すこととなるが、こ
の際、シート100の回転終点において大きな衝撃が発
生する。本実施形態の回転ダンパは、この衝撃を緩和す
るため、シートクッション120の回転動作に伴って回
転体20が本体ケース10内で回転するように、シート
100を支持する支持部材130に本体ケース10が組
み込まれて設置され、回転体20を構成する軸部21
が、支持部材130とシートクッション120に設けら
れたアーム140とを連結し、シートクッション120
の回転中心となる回転軸として機能するように、アーム
140に直接連結されている。
【0024】シート100を起立姿勢から使用姿勢とす
るときに生じる回転力は、シート100の大きさや重量
などによって異なるが、通常、約5000〜約7000
N・cm程度である。自動車用シート100の緩衝装置
として適用される回転ダンパは、設置スペースや外観な
どを考慮すると、大型のものは採用できず、例えば、本
体ケース10の外径が40mm以下で、全長が100m
m以下の小型のものであることが望まれている。
【0025】本実施形態の回転ダンパと同様に構成さ
れ、外径が35mmで全長が80mmの本体ケース10
を有する小型のものを上記のように設置し、約7000
N・cmの回転力を生じるシート100の回転動作を遅
動させることができるかどうか実験をしたところ、回転
ダンパに軸部21のねじれや本体ケース10の破損等の
不具合が生じることなく、スムースにかかるシート10
0の起立姿勢から使用姿勢への回転動作を遅動させるこ
とができた。この実験結果から、本発明によれば、小型
であっても、従来よりも格段に大きな制動力を発揮する
こと、すなわち、例えば、本体ケース10の外径が40
mm以下で、その全長が100mm以下の小型のもので
あっても、例えば5000N・cm以上という大きな回
転力を有する制御対象物の回転動作を遅動させることが
可能であることが確認された。
【0026】なお、本発明に係る回転ダンパは、上記し
た自動車用シート100のみならず、図4に示したよう
な重く大きい蓋、例えばグランドピアノの本体上面を覆
う開閉蓋200などにも適用することができる。この回
転ダンパを用いることによって、従来の回転ダンパでは
なし得なかった重く大きい種々の制御対象物を、手を添
えて回転動作させなくても、ゆっくりとした速度で回転
動作させることが可能となり、回転終点における衝撃を
小さいものとすることができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の回転ダン
パは、本体ケース内にその軸心を中心として回転可能に
設けられる軸部、および該軸部に突設され、該軸部と前
記本体ケースとの間に設けられる隔壁部により仕切られ
た粘性液体が充填される空間を、さらに2つの室に分割
するように配設されるベーンを有する回転体が、前記本
体ケースに対して相対的に回転することにより所定の制
動力を発揮する回転ダンパであって、前記本体ケース及
び回転体がともに金属材料から形成されており、かつ両
者が摺接する部位に、弾性シール層が設けられているた
め、小型であっても、従来よりも格段に大きな制動力を
発揮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態に係る回転ダン
パを示す縦断面図である。
【図2】図2において、(a)は図1のA−A部断面
図、(b)は図1のB−B部断面図、(c)は図1のC
−C部断面図、(d)は図1のD−D部断面図である。
【図3】図3は、上記実施形態に係る回転ダンパの使用
例を示す図である。
【図4】図4は、上記実施形態に係る回転ダンパの他の
使用例を示す図である。
【符号の説明】
10 本体ケース 11 筒状部 12 第1閉塞部 13 第2閉塞部 14 隔壁部 15 凹部 16 軸受け孔 17 スペーサ 20 回転体 21 軸部 22 ベーン 30 弾性シール層 40 弁機構 41 大径部 42 小径部 43 弁体 44 第1の液体通路 45 第2の液体通路 51 圧力室 52 非圧力室 60 アキュムレータ
フロントページの続き (72)発明者 板垣 正典 東京都墨田区本所1−34−6 株式会社ソ ミックエンジニアリング内 Fターム(参考) 3J069 AA44

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体ケース内にその軸心を中心として回
    転可能に設けられる軸部、および該軸部に突設され、該
    軸部と前記本体ケースとの間に設けられる隔壁部により
    仕切られた粘性液体が充填される空間を、さらに2つの
    室に分割するように配設されるベーンを有する回転体
    が、前記本体ケースに対して相対的に回転することによ
    り所定の制動力を発揮する回転ダンパであって、 前記本体ケース及び回転体がともに金属材料から形成さ
    れており、かつ両者が摺接する部位に、弾性シール層が
    設けられていることを特徴とする回転ダンパ。
  2. 【請求項2】 前記弾性シール層が、前記回転体の軸部
    と前記隔壁部との間に介在するように設けられているこ
    とを特徴とする請求項1記載の回転ダンパ。
  3. 【請求項3】 前記弾性シール層が、前記回転体に対し
    て射出成形されていることを特徴とする請求項1又は2
    記載の回転ダンパ。
  4. 【請求項4】 前記弾性シール層が、所定の形状に成形
    された後、前記回転体に装着されたものであることを特
    徴とする請求項1又は2記載の回転ダンパ。
  5. 【請求項5】 前記軸部に、該軸部が一方向に回転した
    場合にのみ制動力を発揮させる弁機構が設けられている
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の
    回転ダンパ。
  6. 【請求項6】 前記弁機構は、前記軸部の軸心に沿って
    形成され、その軸心に直交する方向に貫通形成された第
    1の液体通路を介して、前記ベーンにより仕切られた2
    つの室のうち、粘性液体の圧力が生ずる側に連通する大
    径部と、前記軸部の軸心に沿って形成され、その軸心に
    直交する方向に貫通形成された第2の液体通路を介し
    て、前記ベーンにより仕切られた2つの室のうち、粘性
    液体の圧力が生じない側に連通する、前記大径部よりも
    径が小さい小径部と、前記大径部内に設けられ、前記大
    径部又は小径部に流入する粘性液体の流動圧を受けるこ
    とによって前記大径部と小径部との境界を閉塞又は開放
    する弁体とを有して構成されていることを特徴とする請
    求項5記載の回転ダンパ。
  7. 【請求項7】 前記軸部に、粘性液体を蓄積可能なアキ
    ュムレータが設けられていることを特徴とする請求項1
    から6のいずれか1に記載の回転ダンパ。
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