JP3657318B2 - 高分子系多孔質体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高分子多孔質体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリビニルアルコール(以下PVAと略記する)に、でんぷん等の気孔形成助剤を加え、アルデヒドと酸を作用させて得られるポリビニルアセタール系多孔質体は、連続気孔を有し、気孔率が高く、分子内にOH基を有するため吸水性が大きく、機械的強度が大きく、さらに耐薬品性に優れる等の数々の特徴を有することから、各種フィルター、水性化粧品用スポンジ、スポンジ砥石、吸水用ローラー、脱水用ローラー、台所用スポンジ、浴用スポンジ等に多用されている。しかしながら、通常のポリビニルアルコールを用いて得られる多孔質体は、湿潤時には良好な感触、柔軟性および弾力性を有しているが、乾燥時には感触が悪く、剛直なものになる。また、一旦乾燥すると湿潤柔軟化にかなりの時間と手間を要する。これらの欠点を克服するために、(1)ポリビニルアルコール以外のもの、例えばパルプ粉、綿リンター、ビニロン繊維、海綿粉体等を添加して製造し、吸水性や感触を改良する、(2)得られた多孔質体を界面活性剤、グリセリン、ポリエチレングリコール等の吸水性物質の水溶液で後処理することにより吸水性を付与する、(3)製造時に高吸水性の樹脂を添加し、吸水速度を増す、(4)親水性モノマーを共重合した変性ポリビニルアルコールを使用して、吸水速度を増す、等の試みがなされている。しかしながら、(1)の方法は得られる多孔質体の物性が低下し、(2)の方法は吸水性物質がしだいに脱落していくため一時的な効果しか得られず、(3)および(4)の方法は性能が多少改善されるが、依然として十分ではないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の多孔質体の欠点を克服し、湿潤時における良好な感触、柔軟性および弾力性を有し、一旦乾燥した後も速やかに湿潤柔軟化する高分子多孔質体を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エチレン単位の含有量1〜24モル%およびけん化度70モル%以上の水溶性の変性ポリビニルアルコール(A)にアルデヒド(B)および酸(C)を作用させて得られる高分子多孔質体を見出し、本発明を完成するに到つた。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における変性PVA(A)のエチレン単位の含有量は、1〜24モル%であることが必要であり、2〜12モル%がより好ましい。エチレン単位の含有量が1モル%未満の場合には、アルデヒド(B)および酸(C)を作用して得られる高分子多孔質体の強度が不足し、24モル%を越える場合には、変性PVAが水に溶解し難くなる。
変性PVA(A)のけん化度は、70モル%以上であることが必要である。けん化度が70モル%未満では、アルデヒド(B)および酸(C)を作用して得られる高分子多孔質体の強度が低下する。
変性PVA(A)の粘度平均重合度(以下、重合度と略記する)は、通常100〜3000が好ましく、500〜2000がより好ましい。
【0006】
本発明における変性PVA(A)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化することにより得られる。
ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられ、なかでも酢酸ビニルが好ましい。
本発明における変性PVA(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体をエチレンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性PVAも用いることができる。
本発明におけるエチレン変性PVA(A)は、エチレンのみによる変性が最も好ましい。該PVAの水溶性もしくは水分散性の点などから、他のコポリマーにより、本発明におけるエチレン変性PVA(A)をさらに変性する場合には、該コモノマーの含有量は2モル%未満が好ましく、1.0モル%未満がより好ましく、0.5モル%未満がさらにより好ましい。
【0007】
本発明の高分子多孔質体は、通常、気孔形成助剤の存在下で、変性PVA(A)にアルデヒド(B)および酸(C)を作用させて得られる。
気孔形成助剤、アルデヒド(B)および酸(C)は、多孔質体の製造に従来から使用されているものが使用可能である。
気孔形成助剤としては、生でんぷん、各種の加工でんぷん、デキストリン、界面活性剤、パルプ粉、無機系発泡剤、有機系発泡剤等が挙げられる。
アルデヒド(B)としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、3−エチルヘキシルアルデヒドのような脂肪族アルデヒド、あるいはベンズアルデヒドのような芳香族アルデヒド等が挙げられる。
酸(C)としては、塩酸、硫酸、酢酸等が挙げられる。
【0008】
多孔質体の製造方法としては、従来の方法が使用できる。
アルデヒドの使用量は、変性PVAに対して80〜300重量%程度であり、酸の使用量は、アルデヒドに対して50〜200重量%程度が好ましい。
反応は、通常、気孔形成助剤の存在下で、変性PVA水溶液に、アルデヒドおよび酸の水溶液または水分散液を添加し、温度30〜80℃で、5〜50時間加熱することにより行われる。
アセタール化反応終了後、反応物を水洗または熱水洗して、気孔形成助剤及び未反応のアルデヒドおよび酸等を除去することにより、高分子多孔質体が得られる。
多孔質体のアセタール化度は、多孔質体の物性を左右する重要な因子であり、変性PVAの種類や量によって異なるが、50〜85モル%が好ましく、55〜80モル%がより好ましい。
【0009】
本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の物質を添加混合することも可能である。これらの物質としては、通常のポリビニルアルコール、種々の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。更に、パルプ粉、綿リンター、ビニロン繊維、海綿粉体等を添加使用しても良い。
【0010】
【実施例】
以下、実施例をあげて本説明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」および「%」は特に断りのないかぎり、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
【0011】
実施例1
エチレン単位の含有量5.2モル%、けん化度98.5モル%および重合度1650の変性PVA40部とPVA−217(クラレ製、無変性PVA、平均重合度1700、けん化度88.1モル%)20部を含む水溶液500部を調製した。馬鈴薯でんぷん30部を水に分散して200部にしたものを上記の水溶液に投入し、70℃で撹拌しながら10分間保つことにより、でんぷんが糊化した。これを50℃に冷却し、濃度37%のホルマリン水溶液100部および濃度50%の硫酸水溶液100部を混合し、水を加えて全量を1000部とし、45℃に保って、十分に混合した後、ガラス製容器に注型して70℃で12時間反応させた。反応物を温水で洗浄することにより多孔質体が得られた。得られた多孔質体の性質を表1に示す。
【0012】
実施例2
エチレン単位の含有量10モル%、けん化度85.8%および重合度600の変性PVA60部(無変性PVAの併用なし)を原料に使用したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質を得た。得られた多孔質体の性質を表1に示す。
【0013】
実施例3
エチレン単位の含有量2.5モル%、けん化度98.5%および重合度1600の変性PVA60部(無変性PVAの併用なし)を原料に使用したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質を得た。得られた多孔質体の性質を表1に示す。
【0014】
比較例1
PVA−217(無変性PVA)60部を原料に使用したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質を得た。得られた多孔質体の性質を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
(注1)吸水速度(秒):たて10cm,よこ2cm,厚み2cmに切った乾燥サンプル(80℃で24時間乾燥したもの)を20℃の水中に下部が2cm没するように垂直に保持した際に、水がサンプル中を水面上3cmの高さに達するまでの時間で表した。
(注2)湿潤速度(秒):たて10cm,よこ10cm,厚み2cmに切った乾燥サンプル(80℃で24時間乾燥したもの)を20℃の水面に静かに浮かべ、サンプルが水面下に没するまでの時間で表した。
(注3)保水性(%): サンプルの絶乾重量の2倍の水を保水させたのち、30℃,50%RHの恒温恒湿器中に7時間放置した後の重量(湿潤重量)から、下式により計算した。
保水性(%)=(湿潤重量−絶乾重量)/絶乾重量×100
【0017】
【発明の効果】
本発明の高分子多孔質体は、従来の通常のポリビニルアルコールを使用して得られる多孔質体に比較して、(1) 多孔質体の吸水速度が極めて大きく、保水性も良好であり、(2) 含水したときの柔軟性が大きく、感触が滑らかであり、(3) 耐酸性および耐アルカリ性が良好であるために、多孔質体を使用している間に性能の低下がないなどの特徴を有する。
本発明の高分子多孔質体は、優れた吸水性、特に良好な水濡れ性、良好な弾力性、柔軟性、感触などを有していることから、水溶性化粧用バフ、浴用スポンジ、合成セーム皮、スポンジチーフ、洗車用スポンジ、吸水ローラー、台所用スポンジ、各種フィルター、スポンジ砥石等に好適に使用される。
Claims (1)
- エチレン単位の含有量1〜24モル%およびけん化度70モル%以上の水溶性の変性ポリビニルアルコール(A)にアルデヒド(B)および酸(C)を作用させて得られる高分子多孔質体。
Priority Applications (1)
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JP23118095A JP3657318B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 高分子系多孔質体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23118095A JP3657318B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 高分子系多孔質体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0977822A JPH0977822A (ja) | 1997-03-25 |
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ID=16919581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP23118095A Expired - Lifetime JP3657318B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 高分子系多孔質体 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3657318B2 (ja) |
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-
1995
- 1995-09-08 JP JP23118095A patent/JP3657318B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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