JP3656790B2 - 自動変速機の故障検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両においてエンジンの回転出力を自動変速して車輪側に伝達する自動変速機の故障を検出する故障検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用の自動変速機としては、エンジンの回転をトルクコンバータを介して入力し、複数組のプラネタリギアを有する変速機構により変速してプロペラシャフト(車軸側)に出力するものが普及している。
【0003】
この種の自動変速機における変速機構は、トルクコンバータからのインプットシャフトの回転を、シフト位置に応じて、プラネタリギアを構成する特定のギア又はキャリアに伝動したり、特定のギア又はキャリアの回転を適宜アウトプットシャフトに伝動したり、或いは適宜特定のギア又はキャリアの回転を拘束するために、通常複数のクラッチやブレーキ等の油圧式摩擦係合要素を備えている。
【0004】
そして、上記摩擦係合要素に供給される油圧が制御されて、上記摩擦係合要素の係合状態が切換えられることにより、変速機構の変速比の切換えや、エンジントルクを伝達しないニュートラル状態への切換えが行われる。
【0005】
なお、ニュートラル状態への切換えは、通常、自動変速機のセレクトレバーがニュートラルレンジ(以下、Nレンジという。)又はパーキングレンジ(以下、Pレンジという。)に操作されるか、或いは、これらレンジ以外のレンジ(ドライブレンジ、リバースレンジ、1速レンジ、2速レンジ等)の位置にセレクトレバーがないことが検知されることにより実行される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の自動変速機では、例えば摩擦係合要素のプレートなどが固着する等の故障が万が一にも起きた場合であっても、セレクトレバーがNレンジ又はPレンジの位置に操作されているときには、確実に車両を停止させておくべく、前記故障を検出する装置が要望される。
【0007】
しかし、このような故障を検出する簡易な装置は、従来提案されていなかった。なお、このような故障を直接検出しようとすれば、変速機構内に多数ある回転メンバの回転状況をそれぞれ計測する専用の回転センサが必要になり、相当なコスト高になる。
【0008】
そこで本発明は、変速機構の回転メンバの回転検出を行わないで、変速機構の摩擦係合要素の固着などの故障が検出できる自動変速機の故障検出装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の自動変速機の故障検出装置は、車両においてエンジンの回転出力を自動変速して車軸側に伝達する自動変速機の故障を検出する装置であって、
自動変速機の操作状態から自動変速機がニュートラル状態であることを推定するニュートラル推定手段と、自動変速機が実際にニュートラル状態であるか否かを判定するニュートラル判定手段と、前記ニュートラル推定手段によりニュートラル状態であると推定されている場合に、前記ニュートラル判定手段によりニュートラル状態でないと判定されると、自動変速機の故障と判定する故障判定手段とを備え、
前記ニュートラル判定手段は、車両のアイドルスピードコントロールが作動中であるか否かを検知して、車両の補機が稼働中でなく、かつエンジン水温が設定値よりも低下していないときにおいて、アイドルスピードコントロールが作動中でない場合にニュートラル状態であると判定し、アイドルスピードコントロールが作動中である場合にニュートラル状態にないと判定する処理手段よりなることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の自動変速機の故障検出装置は、前記ニュートラル推定手段が、自動変速機のセレクトレバーの操作により切換えられるレンジを検出するインヒビタースイッチと、このインヒビタースイッチの検出結果がニュートラル又はパーキングのレンジであるか、或いは、ニュートラル又はパーキング以外のレンジでないときに、ニュートラル状態であると推定する処理手段とよりなることを特徴とする請求項1記載の自動変速機の故障検出装置。
【0012】
請求項3記載の自動変速機の故障検出装置は、前記故障判定手段により故障と判定された場合に、故障であることを警報する警報手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の自動変速機の故障検出装置は、前記故障判定手段により故障と判定された場合に、車両のブレーキを作動させる制動手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の各例を、図面を参照して説明する。
(第1参考例)
まず、図1及び図2により第1参考例を説明する。
図1は、本例の自動変速機の故障検出装置を含む車両の制御システムの特徴的な構成を示す図である。また図2は、故障検出処理のフローチャートの一参考例を示す図である。
【0018】
この装置は、図1に示すように、出力軸回転数センサ11と、エンジン回転数センサ12と、スロットル開度センサ13と、エンジントルクセンサ14と、インヒビタースイッチ15と、変速機用のコントロールユニット16と、警報手段17と、エンジン用のコントロールユニット18と、ABS用のコントロールユニット19とを備える。
なおABSとは、アンチ・スキッド・ブレーキング・システムのことで、タイヤの滑りを抑制するように制動力を自動制御する周知のシステムである。
【0019】
ここで、出力軸回転数センサ11は、自動変速機20における変速機構21の出力軸回転数Np(即ち、車両のプロペラシャフトに連結された回転軸の回転数)を検出するセンサであり、このセンサの検出出力からコントロールユニット16が車速を検知する。
エンジン回転数センサ12は、エンジン23の出力軸回転数Ne(トルクコンバータ22のポンプインペラに連結された回転軸の回転数)を検出するセンサである。
【0020】
また、スロットル開度センサ13は車両のスロットル開度(アクセルの踏み込み量)を、エンジントルクセンサ14はエンジントルクを、インヒビタースイッチ15はレンジを選択するセレクトレバーの選択位置を、それぞれ検出する周知の要素である。
【0021】
なお、エンジントルクセンサ14は、具体的には、例えばエンジンの吸気圧又は吸気量などを検出するセンサで、このセンサの検出出力からコントロールユニット16がエンジントルクを演算して検知する。
【0022】
またこの場合には、図示省略しているが、変速機構21の摩擦係合要素の変速時の係合圧を調整すべく、トルクコンバータ22のタービンランナの回転数Nt(変速機構21の入力軸回転数)を検出する入力軸回転数センサが設けられる場合もある。
【0023】
また、警報手段17は、車両の運転手などに警報を与える手段で、この場合には、特に自動変速機20が故障していることを報知するためのものである。具体的には、警報ランプ、警報ブザー、警報表示用のディスプレイ(CRT又は液晶ディスプレイ等)などであり、振動により運転者の注意を喚起するようなものでもよい。
【0024】
また、エンジン用のコントロールユニット18は、エンジン23の燃料噴射制御や点火時期の制御、或いはバルブ開閉タイミングの制御などの周知の制御を行うためのマイクロコンピュータよりなるコントローラである。
なお、スロットル全閉状態におけるエンジン23の回転数(即ち、アイドル回転数)は、エンジン水温やエアコンなどの補機類の作動状況に応じて、予め設定された所定回転数になるように、このコントロールユニット18の制御により調整される。
【0025】
また、いわゆるISC(アイドルスピードコントロール)の機能を有する場合には、なんらかの要因によりエンジン負荷が変動しても、このコントロールユニット18の自動制御により、アイドル回転を上記所定回転数に維持するようにエンジン出力の自動調整が行われる。
なお、ISCの機能を有する場合には、例えばこのコントロールユニット18から変速機用のコントロールユニット16に対して、ISCの機能が作動中であるか否かを示すISC作動信号が出力される。
【0026】
また、ABS用のコントロールユニット19は、やはりマイクロコンピュータよりなり、車両のブレーキの制動力をタイヤの滑りを生じない最適な制動力に調整するABSとしての周知の制御処理を行うものである。またこの場合には、このコントロールユニット19は、本発明の制動手段としても機能するようになっており、後述の如く、コントロールユニット16で故障判定がなされた場合に、強制的に制動力を働かせるようになっている。
なお、車両のブレーキシステムの全体構成やブレーキの機械的構成については、特に限定されないので、その図示及び説明を省略する。
【0027】
次に、この場合のコントロールユニット16は、本発明のニュートラル推定手段及びニュートラル判定手段を構成する処理手段に相当するとともに、本発明の故障判定手段に相当する要素であり、具体的には予め設定されたプログラムに従って動作するとともに、各種設定値を記憶するメモリを備えたマイクロコンピュータよりなる。
【0028】
このコントロールユニット16は、この場合後述する図2のフローチャートに示す処理により、セレクトレバーの選択状態やエンジン回転数に基づいて、自動変速機20の故障を検出し、好ましい故障対応処理を指令又は実行する制御を行う点に特徴を有するものである。
【0029】
なお、車速やスロットル開度などに応じた自動変速のための変速機構21の摩擦係合要素の係合圧の制御は、例えば図示省略した油圧制御回路を介するコントロールユニット16による制御によって、従来どおり行われる構成とすればよいが、本例は、セレクトレバーの選択状態などに基づく故障検出処理に特徴を有するものであるので、コントロールユニット16のその他の制御処理については説明を省略する。
また、変速機20やエンジン23の構成及び動作についても、本発明は特に限定されないので、その説明を省略する。
【0030】
次に、図2のフローチャートにより、本例のコントロールユニット16の故障検出処理を説明する。なお、図2の一連の処理は、例えば、コントロールユニット16の起動により実行されるメインルーチンのサブルーチンとして、例えば一定の周期で繰り返し実行される。
またこの場合、本発明のニュートラル推定手段としての機能は、ステップS4の処理により実行され、ニュートラル判定手段或いは故障判定手段としての機能は、ステップS6〜S14の処理により実行される。
【0031】
まずステップS2では、スロットル開度センサの検出出力を読取り、スロットルが全閉か否か判定する。そして全閉でなければ、この場合故障検出不能であるので一連の処理を終了する。一方、全閉の場合には、ステップS4に進む。
【0032】
次にステップS4では、インヒビタースイッチ15の出力信号を読取り、自動変速機のその時点でのセレクトレバーの選択状態を判定する。
そして、その時点でのセレクトレバーの選択状態が、駆動力を伝達しないニュートラル状態のレンジ(例えばNレンジ又はPレンジ)にあると判定されるか、或いは、これらレンジ以外のレンジ(例えばドライブレンジ、リバースレンジ、1速レンジ又は2速レンジ)にないと判定された場合には、ステップS6に進む。また、そのように判定されない場合には、故障検出不能であるので一連の処理を終了する。
【0033】
そしてステップS6では、エンジン回転数センサ12の検出出力から、その時点でのエンジン回転数Neを読み込む。
【0034】
次にステップS8では、補機類(エアコンなど)が作動中か否か、或いは、エンジンの冷却水の水温が設定値より低いか否か判定し、いずれの補機類も作動しておらず、かつ水温が設定値以上である場合には、ステップS10に進み、そうでなければステップS14に進む。
なお、補機類が作動中か否かは、補機類の起動停止を行うスイッチやリレーなどの端子電圧から判定してもよいし、補機類の起動によるバッテリー電圧の低下から判定することもできる。
【0035】
そしてステップS10では、補機類が作動しておらず、かつ水温が設定値以上である場合に設定された所定のアイドル回転数の最低値Neoffのデータ(例えば、700rpm程度)と、ステップS6で読み込まれたその時点での実際のエンジン回転数Neとが比較され、NeoffよりもNeが小さい場合には、故障であるとしてステップS12に進み、そうでなければ故障でないとして一連の処理を終了する。
【0036】
一方ステップS14では、補機類が作動しているか、或いは水温が設定値より低い場合に、それぞれの条件に応じて複数設定された所定のアイドル回転数の最低値NeonXのデータ(例えば、900rpm程度)と、ステップS6で読み込まれたその時点での実際のエンジン回転数Neとが比較され、NeonXよりもNeが小さい場合には、故障であるとしてステップS12に進み、そうでなければ故障でないとして一連の処理を終了する。
【0037】
なお、上記Neoffのデータや、NeonXのデータは、正常にニュートラルの場合のエンジン回転数の正常範囲の下限値のデータであり、この場合コントロールユニット16に予め記憶されている。また、NeonXのデータについては、車両のどの補機が稼働中であるか、或いはエンジン水温が低下しているかの条件に応じて、複数のデータを記憶しており、これら複数のデータからその時点での前記条件に対応するデータを選択し、このデータに基づいてステップS14の判定(正常なニュートラル状態であるか否かの判定)が行われるようになっている。
【0038】
そして最後に、ステップS12に処理が進むと、自動変速機が故障であると判定された場合であるので、所定の故障対応処理がなされる。
例えば、前述の警報手段17を作動させて、車両の運転者等に故障を報知する。或いは、ABS用のコントロールユニット19に指令を送って、ブレーキペダルの操作にかかわらず、強制的にある程度の制動力を働かせてしまう等の処理をする。
【0039】
以上の処理によれば、変速機構の摩擦係合要素の固着等のエンジン負荷を異常に上昇させる故障が万が一発生したとしても、その故障が検出されてステップS12の対応処理がなされる。
【0040】
すなわち、ステップS4の判定においてステップS6に処理が進むのは、駆動力を伝達しないニュートラル状態のレンジ(例えばNレンジ又はPレンジ)にあるか、或いは、これらレンジ以外のレンジ(例えばドライブレンジ、リバースレンジ、1速レンジ又は2速レンジ)にない場合であるので、この場合には、自動変速機がニュートラル状態であることが推定され、正常であればエンジン回転数は前述の正常範囲にあるはずである。
【0041】
ところが、その後のステップS10又はS14の処理で、ステップS12に処理が進むのは、実際のエンジンの回転数Neがこの正常範囲の下限値(Neoff又はNeonX)を下回る場合であるので、エンジン負荷が異常に上昇しており、摩擦係合要素の固着等の故障が発生している可能性が高い。
【0042】
つまり、ステップS12に処理が進むのは、レンジ選択からはニュートラルと推定されるのに、実際のエンジン回転数はニュートラル状態での正常範囲にないので、ニュートラル状態にないと判定されるという矛盾が生じた場合であり、この場合には、摩擦係合要素の固着等の故障により異常にエンジン負荷が高まっていると推定され、このような故障が実質的に検出されて、その結果として故障対応処理がなされる。
【0043】
このため、本例の装置によれば、摩擦係合要素の固着等の故障が生じた場合には、警報手段17によって故障が警報され、或いは、コントロールユニット19を含むブレーキシステム(制動手段)によって強制的に車両に制動力が加えられる。
したがって、上記故障が万が一発生した場合でも、運転者等の注意を喚起することができるとともに、車両が不用意に前進又は後退してしまうといった不具合が未然に防止できる。
【0044】
(第1例)
次に、図3により第1例を説明する。
本例は、コントロールユニット16の故障検出処理の一部に特徴を有するもので、他の構成及び処理内容は第1参考例と同様である。以下、図3のフローチャートにより、この故障検出処理の特徴部分について説明する。
【0045】
本例は、自動変速機が実際に正常なニュートラル状態であるか否かを判定するのに、前述のISCの作動状況を考慮したものである。
ISCの機能を有する車両の場合には、自動変速機の摩擦係合要素の固着等の故障により負荷が上昇しても、エンジン出力が自動調整されることによってエンジン回転数は正常範囲に維持される。このため、ISCの機能を有する場合には、図2に示した第1参考例の処理では、上記故障が発生していてもステップS10,S14の判定結果がいずれも否定的になり、故障検出による故障対応処理が行われない。
【0046】
このため本例では、ステップS10の判定結果が否定的になった場合には、ステップS16の処理が行われるようになっている。
すなわち、ステップS16では、前述のISC作動信号によってISCが作動中であるか否かが判定され、補機類が作動していないのにISCが作動中であれば故障であるとしてステップS12に進み、作動中でなければ正常であるとして一連の処理を終了する。
【0047】
したがって本例の処理によれば、ISCの機能を有する車両において、変速機構の摩擦係合要素の固着等のエンジン負荷を異常に上昇させる故障が万が一発生したとしても、その故障が検出されてステップS12の対応処理がなされる。
【0048】
すなわち、正常なニュートラル状態であれば、無負荷であるのでISCが作動することはない。ところが、ステップS16の処理で、ステップS12に処理が進むのは、ISCが作動している場合であるので、エンジン負荷が異常に上昇しており、摩擦係合要素の固着等の故障が発生している可能性が高い。
【0049】
このため、本例の装置によれば、ISCの機能を有する車両においても、摩擦係合要素の固着等の故障が生じた場合には、警報手段17によって故障が警報され、或いは、コントロールユニット19及びブレーキシステム(制動手段)によって強制的に車両に制動力が加えられる。
したがって、上記故障が万が一発生した場合でも、運転者等の注意を喚起することができるとともに、車両が不用意に前進又は後退してしまうといった不具合がやはり未然に防止できる。
【0050】
(第2参考例)
次に、図4により第2参考例を説明する。
本例は、コントロールユニット16の故障検出処理の一部に特徴を有するもので、他の構成及び処理内容は第1参考例と同様である。以下、図4のフローチャートにより、この故障検出処理の特徴部分について説明する。
本例は、自動変速機が実際に正常なニュートラル状態であるか否かを判定するのに、エンジントルクTeを使用したものである。
【0051】
この場合コントロールユニット16は、前述のエンジン回転数NeoffやNeonXの代りに、正常にニュートラル状態にある場合のエンジントルクの上限値(TeoffやTeonX)のデータを予め記憶している。そして、ステップS26で、エンジントルクセンサ14の検出出力よりその時点での実際のエンジトルクTeを検知し、その後、ステップS30,S34において、ステップS26で検知した実際のエンジントルクTeと、前記TeoffやTeonXのデータとを比較判定する処理を行い、実際のTeがTeoffやTeonXより大きい場合には、故障であるとしてステップS12に進む。
【0052】
以上の処理によれば、変速機構の摩擦係合要素の固着等のエンジン負荷を異常に上昇させる故障が万が一発生したとしても、やはり、その故障が検出されてステップS12の対応処理がなされる。
【0053】
すなわち、ステップS12に処理が進むのは、レンジ選択からはニュートラルと推定されるのに、実際のエンジントルクはニュートラル状態での正常範囲にないので、ニュートラル状態にないと判定されるという矛盾が生じた場合であり、この場合には、摩擦係合要素の固着等の故障により異常にエンジン負荷が高まっていると推定され、このような故障が実質的に検出されて、その結果として故障対応処理がなされる。
【0054】
なお本例では、エンジントルクにより正常なニュートラル状態にあるか否かの判定を行っているので、前述のISCの機能を有するか否かにかかわらず、故障検出が可能となる。
【0055】
なお本発明は、ISCの機能を有する車両の場合には、正常なニュートラル状態にあるか否かの判定は、エンジン回転数等を考慮せずISCが作動中か否かのみにより判定する構成でもよい。具体的には、例えば図3の処理において、ステップS6,S10,S14を削除し、ステップS16と同じ処理をステップS8とステップS12の間において行う処理内容でもよい。
【0056】
また、上記形態例では、スロットル全閉の場合のみ、故障検出を行っているが、このように制限する必要は必ずしもない。例えば、スロットル開度に応じて、ニュートラル状態の判定を行うデータ(例えば前述のNeoffやNeonX)を各種設定しておき、その都度スロットル開度を計測して、その時点でのスロットル開度に応じたデータを選択して、前記判定を行うようにすればよい。
【0057】
また、本発明の処理手段は、変速機用のコントロールユニットに限られず、他のコントロールユニットにより構成されていてもよい。また、各コントロールユニットは、いずれか二つ以上が統合され、一組のマイクロコンピュータシステムにより構成されていてもよいのはいうまでもない。
【0058】
【発明の効果】
本発明の自動変速機の故障検出装置では、ニュートラル推定手段により自動変速機の操作状態からニュートラル状態であると推定されている場合に、ニュートラル判定手段により実際にはニュートラル状態でないと判定されると、故障判定手段により自動変速機の故障と判定される。
【0059】
すなわち、トルクを伝達しないニュートラル状態になるような操作がなされているのに、実際にはニュートラル状態にない(トルクを伝達しており、変速機を介してエンジンになんらかの負荷がかかっている状態)と判定されるという矛盾が生じた場合に、故障と判定するのであり、この場合には、摩擦係合要素の固着等の故障が生じている可能性が高いので、このような故障が実質的に検出できることになる。
【0060】
そして、操作状態からニュートラル状態であると推定されるか否かの判定は、例えば請求項2に記載のように、既存のインヒビタースイッチの検出結果から判定できる。
また、実際にニュートラル状態にあるか否かの判定は、請求項1に記載のように、車両の補機が稼働中でなく、かつエンジン水温が設定値よりも低下していないときにおいて、いわゆるISCが作動中か否かの情報から判定する。
【0061】
このため、本発明の装置によれば、自動変速機が多数有している回転メンバの回転状況を測定する専用のセンサを新たに設けることなく、既存のセンサや情報を利用して、摩擦係合要素の固着等の自動変速機の故障が検出できる。
【0062】
そして、請求項3又は4に記載したように、故障と判定されたときに、故障であることを警報する警報手段や、車両のブレーキを作動させる制動手段を設けた場合には、上記故障が万が一発生した場合でも、運転者等の注意を喚起することができるとともに、車両が不用意に前進又は後退してしまうといった不具合が未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例である自動変速機の故障検出装置を含む車両の制御システムの特徴的な構成を示すブロック図である。
【図2】 故障検出処理の一参考例(第1参考例)を示すフローチャートである。
【図3】 故障検出処理の第1例を示すフローチャートである。
【図4】 故障検出処理の他の参考例(第2参考例)を示すフローチャートである。
Claims (4)
- 車両においてエンジンの回転出力を自動変速して車軸側に伝達する自動変速機の故障を検出する装置であって、
自動変速機の操作状態から自動変速機がニュートラル状態であることを推定するニュートラル推定手段と、自動変速機が実際にニュートラル状態であるか否かを判定するニュートラル判定手段と、前記ニュートラル推定手段によりニュートラル状態であると推定されている場合に、前記ニュートラル判定手段によりニュートラル状態でないと判定されると、自動変速機の故障と判定する故障判定手段とを備え、
前記ニュートラル判定手段は、車両のアイドルスピードコントロールが作動中であるか否かを検知して、車両の補機が稼働中でなく、かつエンジン水温が設定値よりも低下していないときにおいて、アイドルスピードコントロールが作動中でない場合にニュートラル状態であると判定し、アイドルスピードコントロールが作動中である場合にニュートラル状態にないと判定する処理手段よりなることを特徴とする自動変速機の故障検出装置。 - 前記ニュートラル推定手段は、自動変速機のセレクトレバーの操作により切換えられるレンジを検出するインヒビタースイッチと、このインヒビタースイッチの検出結果がニュートラル又はパーキングのレンジであるか、或いは、ニュートラル又はパーキング以外のレンジでないときに、ニュートラル状態であると推定する処理手段とよりなることを特徴とする請求項1記載の自動変速機の故障検出装置。
- 前記故障判定手段により故障と判定された場合に、故障であることを警報する警報手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載の自動変速機の故障検出装置。
- 前記故障判定手段により故障と判定された場合に、車両のブレーキを作動させる制動手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の自動変速機の故障検出装置。
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