JP3656754B2 - 直接的標識プローブ組成物、染色体又は染色体領域のインシトゥ検出方法及びハイブリッド形成組成物 - Google Patents

直接的標識プローブ組成物、染色体又は染色体領域のインシトゥ検出方法及びハイブリッド形成組成物 Download PDF

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Description

本発明は、多数の相違する染色体特異性プローブのハイブリッド形成によって染色体又は染色体領域を検出並びに同定することに関する。本発明は特に目的染色体に対して特異性を有するこれらの染色体のインシトゥ・ハイブリッド形成に関する。本発明はまた蛍光標識された試薬を使用して染色体又は染色体領域を検出することに関する。
特定の個々の全染色体又は複数染色体ゲノムの染色体領域の目的DNA塩基配列に対して相補的なDNA塩基配列を含むプローブは公知である。
ピンケル他(Pinkel et al.)、「ヒト染色体特異性ライブラリーのインシトゥ・ハイブリッド形成の際における蛍光:トリソミ−21の検出及びクロモソーム4の転座」、米国国立科学学士院紀要(Proc.Nat’l Acad.Sci.USA)第85巻、9138〜9142頁、1988年12月 マヌエリディス(Manuelidis):「複合あるいは単純な繰返しヒトDNAの染色体位置確認」、クロモソーマ(Chromosoma)、第66巻、23〜32頁、1978年)
このような塩基配列から調製された先行技術プローブの大多数は間接的に標識されたプローブであり、従ってハイブリッド形成後における後処理を必要とした。従って例えば、そのようなプローブはビオチンによって誘導体化され、ハイブリッド形成に引き続いて蛍光標識されたアビジンとビオチン化したアンチアビジン抗体とのサンドイッチ構造を形成するための段階が探索追求された。これに反して本発明の直接的に標識されたプローブでは、インシトゥ・ハイブリッド形成時においてスライドガラスに載せた試料は僅か一回のプローブ侵入段階を必要とするだけである。
このような従来公知の染色体特異性のある相補的DNA塩基配列に標識する従来の方法においては、個々の塩基配列に付着した標識部分の数を制御するのに困難を伴った。
(a)容易かつ正確に直接的に検出される発蛍光団標識と、(b)特定の染色DNAセグメントに対して相補的なDNAセグメントとから成る改良されたプローブ組成物は、インシトゥ・ハイブリッド形成分析における染色体特異性着色剤として非常に有用性の高いものとなろう。本発明はこのようなプローブを提供すると共にこれらのプローブの効果的かつ信頼度の高い製造方法とその使用方法とを提供するものである。
本発明は、(1)染色体又は染色体領域のインシトゥ検出のために使用するプローブ組成物と、(2)そのようなプローブ組成物の製造方法と、(3)染色体又は染色体領域のインシトゥ検出のためにそのようなプローブ組成物を使用する方法とを提供するものである。
本発明は、被検染色体又は染色体領域の相違する構成部分に対して相補的な多数のDNAセグメントから成る予め選択された染色体又は染色体領域のインシトゥ検出のために使用するプローブ組成物を提供するものであり、このプローブ組成物中においてDNAセグメントはそれ自身に共有結合的に結合した多種の蛍光標識を含む。
本発明には、染色体または染色体領域の相違する構成部分に存在するDNA塩基配列に対して実質的に相補的でかつハイブリッド形成されていないDNAセグメントを含むプローブ組成物が包含されるが、上記ハイブリッド形成されていないDNAセグメントは多数のシトシン塩基(即ちデオキシシチジン・ヌクレオチド)を含む。これらのシトシン塩基の多数はそれ自身に共有結合的に蛍光標識されている。これらの蛍光標識されたシトシン塩基の数は検出可能な蛍光信号を発生するに充分であるが、上記のように標識された個々のDNAセグメントは被検染色体または染色体領域に対してその特異的な相補的結合(ハイブリッド形成)性能を実質的に保持している。
本発明はまた、特殊な予め選択された染色体又はそのような染色体領域のインシトゥ検出に使用するプローブ組成物の製造方法を含み、この製造方法は下記(a)、(b)及び(c)から成る:
(a)染色体または染色体領域に対して相補的なDNAを断片化すること、
(b)上記DNA断片をアミノ基転移すること、及び
(c)上記アミノ基転移化DNA断片に蛍光色素を共有結合的に結合すること。
より特定的には、本発明は特殊な予め選択された染色体又は染色体領域のインシトゥ検出に使用するプローブ組成物の製造方法を含み、この製造方法は下記(a)及び(b)の過程から成る:
(a)被検染色体又は染色体領域の中に存在する目的相補的塩基配列を実質的に代表する、ハイブリッド形成されていないDNA塩基配列又はセグメントの中に含まれる多数のデオキシシチジンをこれに結合する分子集団を用いてアミノ基転移すること、及び
(b)上記のアミノ基転移したデオキシシチジンの少くとも一部分に対して蛍光標識を共有結合的に結合し、この共有結合的に結合された蛍光標識を持つデオキシシチジン塩基の上記部分は充分に検出可能な蛍光信号を発生すると共に被検染色体又は染色体領域に対して上記アミノ基転移塩基の相補的結合性能を実質的に保持すること。
加えて本発明は予め選択された染色体又は染色体領域のインシトゥ検出に使用する方法を提供し、この使用方法は下記の(a)、(b)及び(c)の過程から成る:
(a)好ましくはハイブリッド形成条件下において本発明のプローブ組成物に対して過剰のブロッキングDNAを添加して、上記プローブ組成物中の非特異結合性DNAと結合させることにより、ブロックされているプローブ組成物を形成させること、
(b)上記のブロックされているプローブ組成物をハイブリッド形成条件下において被検染色体又は染色体領域に接触させること、及び
(c)上記のブロックされているプローブ組成物の被検染色体又は染色体領域への結合を蛍光技術を用いて検出すること。
加えて、本発明の目的の一つは、蛍光色素で直接的に標識されたプローブ組成物を提供することである。そのような直接的に標識されたプローブ組成物を使用することにより、例えばビオチン標識、アビジン及びビオチン化アンチアビジン抗体を使用する、間接的に標識された従来型プローブ組成物の使用の際に要求される煩雑かつ冗長なハイブリッド形成後過程を不必要にすることができる。本発明のプローブ組成物を使用すれば、実験者はハイブリッド形成段階から直ちに最終洗浄および観察に移行することができ、これにより分析に必要な時間と労力とを低減することができる。上記分析を遂行するために必要な試薬の数もまた低減され、これにより使用・製造両面において簡便化が促進される結果となる。
本発明の特別な目的は、予め選択された染色体又は染色体領域のインシトゥ検出に使用するプローブ組成物において、被検染色体又は染色体領域の互に相違する構成部分に対して相補的な多数のDNAセグメントを含むプローブ組成物を提供するものである。このプローブ組成物中の多数のDNAセグメントは、これらのDNAセグメントに共有結合的に結合した多数の蛍光標識を含む。これらの蛍光標識があることにより、染色体又は染色体領域とハイブリッド形成したDNAセグメントを蛍光技術を使用して検出することができる。好ましい具体例において、蛍光標識はDNAセグメント中の多数のデオキシシチジン塩基に結合する分子集団を介して共有結合的に結合する。結合標識を持つデオキシシチジン塩基の数は充分に検出可能な蛍光信号を発生すると同時に被検染色体又は染色体領域に対して上記標識DNAセグメントの特異的結合性能は実質的に保持されている。
本発明の目的の一つはまた、予め選択された多数の染色体又は染色体領域を検出することにある。これは、或る染色体又は染色体領域に対して特異性を持つ或るDNAセグメントライブラリーを或る蛍光標識で標識すると共に別の染色体又は染色体領域に対して特異性を持つ別のDNAセグメントライブラリーを別の蛍光標識で標識することにより、上記の両蛍光標識を互に独自に蛍光技術を用いて検出することにより可能になる。各々の染色体又は染色体領域の興味対象のDNAセグメントは上記のように標識される。かくして本発明のプローブ組成物を組み合わせて使用することにより、2種又はそれ以上の染色体又は染色体領域を検出することができる。
本発明はまた、予め選択された複数の染色体又は染色体領域の各々の染色体又は染色体領域に対して特異性を持つプローブ組成物は各々相違する蛍光標識で標識されるので、各蛍光標識は他の蛍光標識の存在下においても検出することができる。このようにDNAが標識されたプローブ組成物は次いで、被検染色体又は染色体領域とハイブリッド形成条件下において混和物として又は連続的に接触される。ハイブリッド形成が起ったか否かの判定は、特定の選択された染色体又は特定の選択された染色体領域とハイブリッド形成を行った各々の標識DNAセグメントから発生する特定の蛍光信号の存在の有無によって行われる。
間接的標識技術による多数の染色体又は染色体領域の検出が直接的標識技術による検出よりも困難である理由は、各染色体又は染色体領域ごとに相違する間接的結合パートナー(例えばビオチン/アビジン又は抗体/抗原)が必要であることによる。例えば、2種の相違する染色体の検出には、2種の相違する検出可能な発蛍光団のような標識に加えて、ビオチン/アビジンと特定の抗体/抗原結合ペアとが必要となる。上記の直接的標識技術が2種の標識セグメントのみを必要とするのに対して、上記の間接的標識技術は従って6種の標識成分を必要とする。3事象の検出には第3の相違する抗体/抗原パートナーのセットと、第3の発蛍光団との追加が必要となる(つまりここでは全部で9種の標識成分が必要となるのに対して、上記直接的標識技術では3標識成分で充分である)。追加の発蛍光団を見付けることよりも追加の結合パートナーのペアを見付けかつ適応させることの方がずっと難かしい。多数の発蛍光団が、アミノ基転移DNAを標識するように修正可能な、反応性に富む形態で商業的に入手可能である。
本発明の特別の目的はまた、予め選択された染色体又は予め選択された染色体領域のインシトゥ検出に使用するプローブ組成物の好ましい製造方法を提供することにもある。好ましい製造方法の第1段階は、ファージ染色体ライブラリーから誘導されたプラスミドDNAを断片化することである。このDNA断片は結合する分子集団によってアミノ基転移され、次いでこのアミノ基転移DNA断片に対して蛍光色素が共有結合的に結合される。本発明の好ましい具体例において、蛍光標識が共有結合的に結合したアミノ基転移デオキシシチジンヌクレオチドの数は検出可能な蛍光信号を発生するに充分であると同時に被検染色体又は染色体領域に対して上記DNAセグメントの特異的結合性能は実質的に保持されている。
本発明の更にもう一つの目的は、予め選択された染色体又は予め選択された染色体領域のインシトゥ検出のための好ましい使用方法を提供することである。一般に好ましい上記使用方法においては、本発明のプローブ組成物を予め選択された被検染色体又は染色体領域とハイブリッド形成条件下において接触させる。そして興味対象の染色体又は染色体領域とハイブリッド形成を行ったプローブ組成物によって発生する蛍光信号の存在の有無を検出する。好ましい具体例においては、過剰のブロッキングDNAをプローブ組成物に好ましくはハイブリッド形成条件下において添加することによりブロックされているプローブ組成物を得る。このブロッキングDNAは上記プローブ組成物中の非特異的結合性DNAと結合する。上記のブロックされているプローブ組成物を次いで好ましくはハイブリッド形成条件下において興味対象の染色体又は染色体領域と接触させる。
本発明のその他の目的と好ましい具体例とについては、次記の好ましい具体例及び権利請求の範囲において討論する。
(A)定義
「塩基配列」なる用語はDNAヌクレオチドの連鎖又は相互連結したシリーズのことをいう。
「断片」、「セグメント」又は「DNAセグメント」なる用語は、1個の染色体又は1個の染色体の1領域に現れるような比較的おおきなDNAヌクレオチドまたは塩基配列の1構成部分のみのことを一般に意味する。例えば、1個のポリヌクレオチドは解体又は断片化されて複数のセグメント又は断片となる。周知のように1個の染色体はDNAの繰返し部分を含むDNA塩基配列を持つ領域を包含することが特徴的である。「繰返し」なる用語は、特定のDNAセグメントが同一のDNA塩基配列として、複数回(即ち少くとも2回)出現する事実と関連する。個々のDNAセグメントサイズ及び又はDNA繰返しセグメントサイズは大幅に変化する。例えばヒト・ゲノムの場合では、各DNA繰返しセグメントの概略のサイズは典型的に約5〜約3000bpであると現在において信じられている。実例を説明すると、1個の単一染色体アルフォイドDNA塩基配列は少くとも約5種の相違するDNA繰返しセグメントを含むことがある。
「ゲノム」なる用語は、生体のDNA中にコードとして組み込まれているような、生体のための遺伝子的情報の完全な単一コピー・セットのことを意味する。本発明の実際面においては、考慮対象の特定のゲノムは典型的に複数染色体的(multi−chromosomal)なものであって、そのようなDNAは細胞中では複数の個別染色体の間において分布している(上記個別染色体の数はヒトの場合、22対に加えて性に関連した1個の対又は1個のXY対である)。
本発明の実際面において、どの例においても好ましくは霊長類からのゲノムが使用され、このようなゲノムから予め選択された染色体のDNA塩基配列は、アルフォイドDNAを含むか又は上記の予め選択された染色体のセントロマーと共同したDNA繰返しセグメントを含んでいる。本明細書中で使用されているように、DNAに対して「アルフォイド」又は「アルファ・サテライト」なる用語は、霊長類ゲノム中に見出されるタンデム式繰返しDNAセグメントの複合ファミリーに対しての意味合いを持つ。約171の塩基対から成るモノマーの繰返しの長さに基づいたアルファ・サテライトDNAの長タンデム式アレイは主として霊長類染色体のセントロマーに位置している。
「染色体」なる用語は生体細胞の遺伝情報を荷う遺伝子キャリアーのことを意味し、この「染色体」はクロマチンから得られると共にDNAと蛋白質成分(特にヒストン)とから成る。本明細書においては、伝統的な国際的に認知された個別ヒトゲノム染色体番号識別システムが採用されている。個別染色体のサイズは或る一つの複数染色体ゲノムにおいて互に異り、またゲノムによっても互に異る。(好ましい)ヒト・ゲノムの場合では、或る一つの染色体の全DNA質量は通常約100,000,000bpよりも大きい。例えば全ヒト・ゲノムのサイズは約3×10bpである。最大の染色体であるクロモソーム第1号は約2.4×10bpを含むのに対して、最少の染色体であるクロモソーム第22号は約5.3×10bpを含む〔ユニス、ジェイ・ジェイ(Yunis,J.J.):サイエンス(Science)、第191巻、1268〜1270頁、1967年、及びカベノフ他(Kavenoff,R.,et al,):コールド・スプリング・ハーバー定量生物学シンポジウム(Cold Sping Harbor Symposia on Quantitative Biology)、第38巻、1〜8頁、1973年〕。
「領域」なる用語は、好ましくはアルフォイドであるか又はセントロメアと共同したDNA繰返しセグメントを含む1個の染色体の一構成部分のことをいう。個々のこのような領域の現実の物理的サイズ又は広がりは大きく変化する。このような領域の正確な定量をすべての存在可能な領域について行うことは現在では実行不能である。通常このような領域は少くとも1個の下記DNA塩基配列を含むのには少くとも充分大きい。ここで上記DNA塩基配列は、(a)少くとも1個のDNA繰返しセグメントの複数のコピーを包含すると共に、(b)直接的標識プローブ又はプローブ組成物を使用したインシトゥ形成過程に引続いて上記のような領域において発蛍光団で標識されたハイブリッドを形成した後に同定可能であって好ましくは蛍光顕微鏡を使用して光学的に計数可能である。現在入手できる情報によれば1個の領域は、1個又はそれ以上のDNA繰返しセグメントを含む各DNA塩基配列を持つ1個又はそれ以上の単一のDNA塩基配列を含むことができる。
「領域」なる用語は、或る一つの染色体の全DNA質量又はサイズよりも小さなDNA質量又はサイズから成る1個の染色体断片を典型的かつ特質的に意味する。周知のように、或る一つの染色体又は染色体領域の必ずしもすべてのDNAが、DNA繰返しセグメントからなるか又はこれを含むかするDNA塩基成分として整列されている訳ではない。例えば1個の領域は約2×10〜40×10DNAbpにわたるサイズを持つことができ、このサイズ領域は例えばヒト染色体のセントロメアを包含する。このようなサイズは従って1個の単一ヒト染色体のサイズのかなりの部分を占める。このような領域サイズは本発明の実際面において現在好ましい領域であるが、より大きいか又はより小さな領域サイズも使用することができる。小さなヒト染色体のセントロメア領域でさえも染色体の顕微鏡下で観察可能な構造部分であり、Y染色体上のDNA繰返しセグメント(アルフォイド又はセントロメアではない)から成る領域が染色体のバルクを占め、顕微鏡下で観察可能である。
一般に「領域」なる用語は特定の1個(又は複数の)遺伝子を特定化するものではない理由は、「領域」は個々の遺伝子の特定のコードセグメント(エクソン)を特に考慮に入れてはいないからである。むしろ本明細書中において染色体に関して使用される「領域」は、本発明のプローブ組成物の形成及び使用の目的のためにDNAセグメントの特定の組み合わせを行うが故に、或る一つの染色体にとって独特のものである。
「セントロメア」なる用語は、動原体(kinetochore)が付着する染色体の部位(site)である真核細胞染色体の異質染色性(heterochromatic)領域のことをいう。セントロメアは、同型模写された染色体が分離する以前に分裂し、そしてこれらが染色分体ペアを結合させる。
「遺伝子」なる用語は、機能的生成物(RNA又はその翻訳生成物、つまりポリペプチド)のためのコードを持つ1個の染色体に沿った一つのDNA塩基配列を意味する。1個の遺伝子は1個のコード領域を含むと共に上記コード領域に先行および後続する(それぞれ「リーダー」および「トレーラー」と呼ばれる)領域を含む。上記コード領域は複数のコードセグメント(「エクソン」)と、個々のコードセグメントの間の介在塩基配列(「イントロン」)とから成る。
「プローブ」又は「プローブ組成物」なる用語は、個々の標識含有剤と化学的に結合した、単数若しくは複数のDNA塩基配列又は単数若しくは複数のDNAセグメントのような、1個のヌクレオチド又は複数のヌクレオチドの混合物をいう。上記プローブの各ポリヌクレオチドは目的物とのハイブリッド形成の時点において典型的に一重鎖である。
「標識」又は「標識含有剤」なる用語は通常の意味で、放射性同位元素又はこれらを含む分子集団並びに酵素、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、デイゴキシゲニン、ルミネッセンス発光物質、色素、ハプテン及びこれらの類似物のような非放射性標識用物質のようなものをいう。ルミネッセンス発光物質はその励起エネルギー源に従って放射線ルミネッセンス性、化学ルミネッセンス性、バイオルミネッセンス性及び光ルミネッセンス性(蛍光性及び燐光性を含む)に分類される。
本発明のプローブ組成物は、標識含有剤に化学的に結合されたDNAセグメントを含む。各標識含有剤は少くとも1種の発蛍光団を含み、各標識含有剤は以下において特に述べるように、単官能性置換基又は発蛍光団を含む蛍光性合成原料化合物から誘導体として合成される。
「直接的標識プローブ」(又は「直接的標識プローブ組成物」)なる用語は、核酸プローブの標識が目的物とのハイブリッド形成後においてハイブリッドに更に反応処理を加えることなく検出可能であることを意味する。本発明のプローブ組成物は上記の直接的標識タイプのものである。
「間接的標識プローブ」(又は「間接的標識プローブ組成物」)なる用語は、核酸プローブの標識が目的物とのハイブリッド形成後において1種又は複数種の試薬と反応させることにより1種又は複数の小体と結合されて始めて検出可能な実体となることを意味する。
「目的物」、「目的DNA」又は「目的DNA領域」なる用語は一つの特定の染色体部位において出現する一つのヌクレオチド塩基配列のことをいう。そのような各塩基配列又は配列部分はハイブリッド形成時において典型的かつ好ましくは少くとも部分的に一重鎖(即ち変性化)の状態に在る。目的ヌクレオチド塩基配列が或る一つの染色体の単一領域又は部分のみに位置する時、「目的領域」なる用語が時には使用される。ハイブリッド形成のための目的物は下記の染色体又は染色体領域を含む試料から誘導されるが、これらに限定されない。即ち、正常の、病気の若しくは悪性病のヒト又は他の動物又は植物の細胞、細胞分裂間期又は減数分裂若しくは有系分裂の如何なる段階のもの及び生存中或いは死後の組織、器官若しくは液状物から抽出又は誘導したもの;精液を含む胚種細胞及び卵細胞、種子、花粉又は接合体、胎兒、胎兒胞膜若しくは半膜の細胞、又は他の発芽性体の細胞;インビトロにおいて生育し、長期又は短期培養物、及び正常、不死化若しくは変換した細胞;相互若しくは内部的特異性ハイブリッドである各種多様の細胞類又はこれらの細胞類の分化状態物;個々の染色体又は染色体構造部分、又は転位或いは欠損されるか又は別種の損傷を受けた染色体であって、当該分野の専門家に公知の手法の中の任意の数を利用して分離されたものであり、この内には原核細胞ベクター若しくは他種のクローニング・ベクター内でクローン化され増殖されるか又は当該分野の専門家に周知の方法によりインビトロで増殖された染色体のライブラリーが含まれる;又は精液、血液、毛髪若しくは他種の試料を含むがこれらに限定されない法廷上の材料。
「ハイブリッド」なる用語は、プローブと目的物との間のハイブリッド形成過程生成物のことをいう。典型的にはハイブリッドは、2個のDNA分子のような、一重鎖分子が相補的にペアを形成している分子から成る二重鎖ラセン状構成部分を含む分子でありかつ上記2個のDNA分子の内の1個は目的DNAヌクレオチド塩基配列であり、他の1個のDNA分子はプローブの標識DNAヌクレオチド塩基配列である。
「着色剤」、「選択的着色剤」、「選択的に着色した」又はこれらに等価の用語は一般に細胞学上又は組織学上の試料の構成組成物の1種の選択された基に着色効果をもたらす着色過程又は類似過程によって遂行される局地発色のことを意味する。典型的にこれらの発色した構成組成物は顕微鏡検査又は類似の検査を受ける。一般にもう1種の着色剤又は他の補助的な着色剤又は背景用着色剤を投入することにより、構成組成物の選択的に着色された基が所属する、より大きなクラスのすべての構成組成物に効果を発揮する所謂「逆着色剤(counterstain)」を生むことができる。着色の主目的は上記のような顕微鏡検査の際における構成組成物の同定を可能又は容易にすることである。本発明のプローブ組成物はハイブリッド形成条件下において目的染色体又は目的染色体領域を発蛍光団によって事実上着色するハイブリッドを形成する。
「蛍光」なる用語(及びこれに等価の用語)は紫外線又はX線のような放射エネルギーの照射作用により光を発生する(発蛍光団のような)物質の性質のことを一般に意味する。
「蛍光化合物」又は「発蛍光団」なる用語は有機化合物に一般に関連する。蛍光化合物は結合する分子集団と反応する能力を有し、発蛍光団は結合する分子集団と既に反応し終っていることもある。蛍光化合物は、テルビウム、ユーロピウム、ルテニウム又は類似の稀土類のルミネッセンス性無機イオンを結合する有機キレート剤を含むこともある。
本明細書において使用される「結合する化合物」又は「結合する分子集団」なる用語は一般に炭化水素系物質に関連する。結合する化合物はヌクレオチド塩基配列(又はヌクレオチドセグメント)と反応する能力を有し、結合する分子集団はヌクレオチド塩基配列(又はヌクレオチドセグメント)と既に反応し終っていることもある。結合する化合物はまた発蛍光団化合物と反応する能力を有し、結合する分子集団は発蛍光団化合物と既に反応し終っていることもある。
「インシトゥ」なる用語は染色体が、染色体相互に関して染色体に大きな分裂又は配置転換が起ることなしに細胞核から露出されると共に蛍光標識DNAプローブに受け入れ可能であることを意味する。
「変性」又は「変性する」なる用語は、多重鎖(又は二重鎖)状態から一重鎖状態へのポリヌクレオチドの少くとも部分的に完全な変化のことをいう。変性並びに変性に引続いて行われる、プローブ(又はプローブ組成物)と目的物との間のハイブリッド形成条件に必要な温度を実質的に低下させる単数又は複数の試薬の存在は一般に望ましく、現在最も好ましいそのような試薬はホルムアミドである。例えば約50:50容量比の水とホルムアミドとの混合物を使用すれば、熱変性の例示的温度範囲は、約1〜約10分にわたる例示的時間範囲内においては約70〜約80℃である。
「インシトゥ・ハイブリッド形成」なる用語は、細胞学的若しくは組織学的調製物又は試料の中に存在する目的物に対してプローブのハイブリッド形成を行うことをいう。インシトゥ・ハイブリッド形成過程の結果、プローブと目的物との間にハイブリッドが形成される。この「インシトゥ・ハイブリッド形成」なる用語は変性も包含すると共にまたプローブの目的物へのハイブリッド形成後に操作されるハイブリッド又はプローブの検出過程をも包含する。試料はスライドガラス表面上に層状に付着させることができ、そして試料は例えば個々の染色体又は染色体領域においてこれらの形態(morphology)を保持するように処理された染色体又は染色体領域を含むことができるが、この形態の保持は例えば変性条件下、又はプローブ検出過程における流動細胞計測法による分析の際に典型的に存在するような条件下において行われる。「インシトゥ・ハイブリッド形成」は逆着色剤の使用をも包含することができる。本発明の発蛍光団標識プローブ又はプローブ組成物の場合、検出方法には蛍光顕微鏡法、流動細胞計測法又は類似法が含まれる。
「ハイブリッド形成条件」なる用語は、ハイブリッドを形成するための、或る一つのハイブリッド形成過程において用いられる諸条件の組合せのことを一般的に意味し、これらの条件には典型的に制御された温度及び液相並びにプローブ(又はプローブ組成物)と目的物との間の接触が含まれる。プローブ又はプローブ組成物が目的物と接触する階段の以前に、少くとも一つの変性段階が先行することが好都合かつ好ましい。別法としては、バット他(Bhatt et al.)、核酸研究(Nucleic Acids Research)、第16巻、3951〜3961頁に記載されているように、プローブはDNA目的領域を含む試料と接触した後に両者を一緒に変性条件下に置くことができる。例えば約50:50容量比の水とホルムアミドとの混合物を使用すれば、プローブ(又はプローブ組成物)と目的物との間の接触及びハイブリッド形成のための例示的温度範囲は、約1〜約18時間にわたる例示的時間範囲内においては約35〜55℃である。他のハイブリッド形成条件を使用することもできる。プローブの数の目的塩基配列又はセグメントの数に対する比率は大幅に変動するが、一般にこの比率が高いほど、限度内においてはハイブリッド形成条件下におけるハイブリッド形成の確率は高い。
「完全な」、「完全に」、「実質的に完全な」または「実質的に完全に」なる用語は、本発明の直接的標識プローブ組成物の目的物とハイブリッド形成する能力に関するものであって、ハイブリッド形成後において目的物の全容〔形態(morphology)〕を示す(即ち着色又は同定する)のに少くとも充分な程度に単数又は複数の目的物が(蛍光顕微鏡、流動細胞計測装置又は類似の装置によって)目立たされ同定されるのはこの能力による。かくして蛍光着色強度の変動は個々のハイブリッド形成された染色体目的物中において時々起る(つまり観測される)のであるが、しかし目的物が全体として実質的に目立たされるのである。
「比較的低分子量の」なる用語は個々の化合物、分子集団又は基に関するものであって、これらの化合物、分子集団又は基が6個以下の炭素原子を含むことを意味する。
「彩色用プローブ(paint probe)」又は「ペインティング・プローブ(painting probe)」、(又は「彩色用プローブ組成物」又は「ペインティング・プローブ組成物」)なる用語は、本発明のプローブ組成物のようなプローブ又はプローブ組成物に関するものであって、これらのプローブ又はプローブ組成物は、複数染色体ゲノムの1個の予め選択された染色体から成る目的物とハイブリッド形成条件下においてハイブリッドを形成するのに適している。もしそのような1個の染色体のほんの微小量が、上記のようなプローブ組成物に上記のようなハイブリッド形成を行う試料中に存在するならば、上記微小量はハイブリッド形成を行い同定されることになる。典型的には、本発明の1個の彩色用プローブは第2の彩色用プローブと混合することにより2種の予め選択された染色体を同時に着色かつ検出することを可能にする。
「クローン」、「クローニング」又はこれらに等価の用語は、特定のヌクレオチドセグメント又は塩基配列が適当なベクター中に挿入され、次いでこのベクターが宿主細胞内に搬入され、そして上記ベクターが上記宿主細胞内において培養過程によってそれ自身の複製化を行い、これによって各ベクターとこのベクターが持つそれぞれのヌクレオチド塩基配列との多数の複製コピーを製造する過程を意味する。クローニングにより、同一宿主細胞のコロニー又はクローン(即ち群)が生成する結果となり、各上記クローンは特定ヌクレオチドセグメント或いは塩基配列を含むベクターの単数又は複数の複製コピーを含む。上記ヌクレオチドセグメント或いは塩基配列はここで「クローン化された」といい、上記ヌクレオチドセグメント或いは塩基配列の生成物を「クローンズ」と呼ぶ。
「ブロッキングDNA」又は「ブロッキングDNA組成物」なる用語は、プローブ中に存在する非特異的結合性DNAとハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成する能力を持つDNAのことをいう。ブロッキングDNA組成物は、研究対象であって目的物を含む複数染色体ゲノムの全ゲノムDNAから誘導され、このDNAを包含し、そして好ましくはその代表者であるDNAセグメントの混合物から成る。このようなDNAセグメントは例えば上記のような全ゲノムDNAを含むか又はそれを代表するDNA塩基配列を(後述するように)断片化することによって調製され、このようにして調製されたDNAセグメントは上記ゲノムの染色体(領域を含む)の全体にわたって出現するDNAセグメント構成部分に対して相補的であり、このようなDNAセグメントは例えば全ゲノムDNAから他の方法、例えば変性、部分的再アニーリング又は再ハイブリッド形成及び酵素による処理の段階過程を含む過程によってもまた調製することができ、これによって非繰返し性セグメントの量を減らすことができる。プローブ組成物と共に使用する時点において、ブロッキングDNAはその平均サイズ範囲が約150〜約600塩基対であるのが好ましい。
本明細書中において「ライブラリー」なる用語は従来的な意味合いにおいて、全ゲノム又は単一染色体のような全ゲノムの特定の断片を代表するクローン化されたDNA断片の1セットのことをいう。種々のライブラリーが従来技術によって公知であり、種々の貯蔵施設から入手可能であり、またゲノム又はゲノム断片の調製技術及びこれに基づいてライブラリーをクローン化する技術も周知である。本発明においては、流動分別法又は類似法によって分離された1個の選択された染色体を断片化する手法に傾倒している。クローニングに先行する断片化は好ましくは制限エンドヌクレアーゼ又は類似物による消化によって遂行される。この過程はベクターへの挿入に特に従順な断片末端を生成する。しかし当該分野の専門家にとっては、断片化の目的には従来から公知又は便利な如何なる技術も使用可能であることは明らかであろう。上記断片は次いで従来通りにクローン化されて染色体ライブラリーを生成する。
「ブロックされているプローブ組成物」なる用語は、ブロッキングDNA組成物と混合した本発明のプローブ組成物のことをいう。
「稀釈用DNA」又はこれに等価の用語は、本発明の特定のプローブ組成物中に組み入れられたDNAと同一又は類似のDNAのことをいう。稀釈用DNAは、本発明のプローブ組成物の作成に当って中間生成物を構成するアミノ基転移ポリヌクレオチドと混合した時、又は本発明の生成プローブ組成物と混合した時、本発明のプローブ組成物の或る一つの容量又は重量中に存在する標識DNAセグメントの全数を稀釈する作用をする。
当該分野の専門家にとっては、稀釈用DNAは時にはまたブロッキングDNAとして作用し、そしてこの逆もまた成立することは明らかであろう。
「キャリアーDNA」なる用語は、プローブDNAが近傍の表面部分に吸収されるような効果によって本来的に失われるプローブDNAの量を減少させるように作用するDNAのことをいい、上記表面部分は例えば、プローブが保存されている容器の表面部分、インシトゥ・ハイブリッド形成が行われている試料が置かれたスライドガラスの表面部分、インシトゥ・ハイブリッド形成が行われている試料中に存在する細胞枠片の表面部分、又は類似の表面部分である。キャリアーDNAは、例えばヒトゲノムに由来するDNAセグメントとの混合物中のサケ精子DNAのように、無関係なゲノム種に由来するDNAから成る。キャリアーDNAは、本発明のプローブを組み入れたハイブリッド形成溶液中に任意に添加することができる。
「非特異的結合性DNA」なる用語は、プローブのDNAセグメントに相補的なDNAであって、このDNAがゲノム中の少くとも一つの他の位置に出現し、この他の位置はゲノム内の選択された染色体目的領域の外に在るようなDNAのことをいう。非特異的結合性DNAの一例は、DNA繰返しセグメントの一組から成り、この組の構成員は1個以上の染色体又は染色体領域中に通常出現する。そのようなありふれた繰返しセグメントは、プローブ組成物中に存在する他のDNAセグメントよりも大きな程度にハイブリッド形成する傾向がある。
(B)原材料
(1)原材料染色体DNA
本発明の実際面において原材料染色体DNAが使用される時、そのような原材料染色体DNAは、多数のDNAセグメントを全体として含む1個又はそれ以上のDNA塩基配列の形で存在するのが典型的かつ好ましく、かつ上記DNAセグメントは或る一つの複数染色体ゲノムの1個の予め選択された染色体中の全体にわたって互に異った個所において個々に出現すると共に上記の予め選択された染色体中に出現するDNAをほどよく代表する。自然界で出現する状態においては、原材料DNA塩基配列は約百万塩基対よりも大きなサイズを典型的に有しているが、本発明の実際面において原材料として使用のために入手される時点においては、上記原材料DNA塩基配列は、分離、単離及び類似操作において使用される方法のような因子に従って既に少々断片化されていることがある。現時点で好ましいゲノムはヒト・ゲノムである。
本発明に係る或る一つのプローブ組成物を調製するために、上記原材料染色体DNA塩基配列が種々の相違する技術によって得られる。従って上記のような塩基配列は例えば次記の(a)、(b)及び(c)から由来又は入手することができる:(a)複数染色体ゲノムの多数個の予め選択された単一染色体を流動分別することによって分離されたDNAであって、このゲノムのDNAは生体の細胞内材料構成成分から精製されるのが好ましい;(b)予め選択された染色体の染色体ライブラリー、及び(c)予め選択された染色体のDNAを組み入れた種間ハイブリッド(inter species hybrid)。現時点で好ましい原材料染色体DNAは予め選択された染色体の染色体ライブラリーであって、このライブラリーは標準的方法によって調製されかつアメリカン・タイプ・カルチァー・コレクション〔American Type Culture Collection(ATCC)〕又は他のヒト若しくは他生物のクローン化遺伝子材料の貯蔵施設のような、当該分野の専門家に周知の伝統的入手源から入手可能である。多数の特定の染色体ライブラリーがATCCから入手可能ではあるが、その代表的なライブラリーを表1に示す:
Figure 0003656754
表1のATCC保存品はアメリカン・タイプ・カルチァー・コレクション、12301パークローン・ドライブ、ロックビル、メリーランド州(American Type Culture Collection、12301 Parklawn Drive、Rockville、Maryland)から入手できる。
本発明は、このような染色体特異性DNA塩基配列が当該分野の専門家に周知の多数の酵素的方法のどの一つによってもインビトロで合成できることを予期するものである。本発明の実際面において原材料として使用可能な特定の単一の染色体DNA塩基配列は一つ又はそれ以上のこれらの入手源から当該分野の専門家に周知の方法によって単離できる。
本発明の全染色体彩色プローブの作成のために適切な原材料塩基配列の調製を例示する先行技術教材の例は下記を含む(がしかしこれらに限定されない):
1.染色体は物理的に分離され、断片化され、そしてこれらの断片はクローンとして増殖される:エム・エー・バン・ジラ他(M.A.Van Dilla,et al.)、バイオテクノロジー(Bio/Technology)、第4巻、537〜552頁、1986年及びコックス、デー・アール他(Cox,D.R.et al.)、サイエンス(Sience)、第250巻、245〜250頁、1990年に記述。
2.全染色体が顕微鏡用スライドガラスの表面から物理的にかき集められ、断片化され、そしてこれらの断片が次記文献に記述されている技術によってクローンとして増殖される:ルーデケ、エイチ・ジェイ他(Ludecke,H.J.et al.)、ネイチァー(Nature)、第338巻、348〜350頁、1989年。
3.単一のヒト染色体が複数の潰瘍侵食性細胞族系列中において増殖される。そしてこのような族系列の全DNA含有物は断片化され、そしてこれらの断片はクローンとして増殖された。ヒトモノ染色体ハイブリッド系列の生成方法は、カーロック、エル・アール他(Carlock,L.R.et al.)、体細胞分子遺伝学(Somatic Coll Mol. Genet.)、第12巻、163〜174頁、1986年に記述されている。
4.精製された単一染色体調製物は、染色体に沿った多数の部位に存在する沢山のポリ分散型繰返しDNA塩基配列の内の任意の数に対して相補的であるプライマー・オリゴヌクレオチドを利用することにより酵素的に増幅することができる。上記1、2又は3の方法による精製染色体調製物は次記文献に記述されたタイプの増幅を受ける:ネルソン、デー・エル他(Nelson,D.L.et al.)、米国国立科学学士院紀要(Proc.Natl.Sci.USA)、第86巻、6686〜6690頁、1989年。
(2)原材料の領域的染色体DNA
本発明の実際面において原材料の領域的染色体DNAが使用される時、そのようなDNAは典型的かつ好ましくは直接的又は間接的に、好ましくは複数染色体であるゲノムの一つの予め選択された染色体の一つの予め選択された領域に由来する。このような原材料の領域的染色体DNAは典型的に少くとも一つのDNA塩基配列の形で存在する。このような各塩基配列が少くとも一つのDNA繰返しセグメントの複数と好ましくは構造的に相違するDNA繰返しセグメントの複数(即ち少くとも2個)とを組み込むことが現今好ましいとされている。好ましくは、このような領域的DNA塩基配列は全ゲノムの他の領域に比較して唯一無二である。上記の原材料の領域的DNAは或る一つの染色体の個々の予め選択された領域中の全体にわたって個々に出現すると共に上記の予め選択された領域に出現するDNAをほどよく代表する多数のDNAセグメントを組み入れている。現在好ましいゲノムはヒト・ゲノムである。
本発明の方法論にかかわった時点において、このような個々のDNA領域塩基配列は破片又は断片であってよいが、しかし上記断片の総和は自然状態で出現する全DNA塩基配列に等しいに違いないであろう。このような個々の原材料のDNA塩基配列は、自然状態で出現する領域的塩基配列のクローン化又は他の方法で作成された複写コピーであることができ、好ましくは上記複写コピーである。このような原材料の塩基配列は、上記の予め選択された領域に存在する、自然状態で出現する全DNA塩基配列のサイズのほんの一部分を占めるサイズを持つことができる。しかし、或る一つの原材料の領域的染色体DNAは、上記の予め選択された領域中に存在するDNAをほどよく代表する。
多種の領域的染色体DNA(及びこれらの調製方法並びにその)塩基配列は先行技術によって公知であり、これらは本発明の発蛍光団直接的標識プローブ組成物の調製において原材料のDNA塩基配列として使用することができ、そして多種の公知技術がこのような原材料の領域的染色体DNAの調製に利用される。
DNA繰返しセグメントを組み入れた適切な原材料の領域的DNA塩基配列を得るための方法を例示する先行技術教材は例えば下記を含む(がこれらに限定されない):
5.次記の文献に記述されているように、繰返しDNAで富化したDNAのクローン化プールから得られる塩基配列:マヌエリディス、エル(Manuelidis,L.)、クロモソーマ(Chromosoma)、第66巻、23〜32頁、1978年;ヤン、ティー・ピー他(Yong,T.P.et al.)、米国国立科学学士院紀要、第79巻、6593〜6597頁、1982年;モイジス、アール・ケー他(Moyzis,R.K.et al.)、クロモソーマ(Chromosoma)、第95巻、375〜386頁、1987年。
6.精製単一染色体調製物から得られた塩基配列は、染色体特異性繰返しDNA塩基配列の保存された構成部分に対して相補的なプライマー・オリゴヌクレオチドを利用して、酵素的に増殖した。上記1、2又は3の方法による精製染色体調製物は、コッホ、ジェー・イー他(Koch、J.E.et al.)、クロモソーマ(Chromosoma)、第98巻、259〜265頁、1989年に記述されているタイプの増殖処理を受けた。
7.本出願人によって整理番号第30456号を付された本出願と同日に出願されかつ同様に係争中であるビットナー他(Bittner et al.)による米国出願シリアル番号−−−−−号に記述されている調製過程によって得られた塩基配列。この応用例の教材は本明細書中に引用文献として組み入れられている。このような塩基配列は現時点において本発明における使用にとって好ましい。
本発明の領域的に特異的な染色体プローブの作成に適した原材料DNA塩基配列を得るための方法を例示する先行技術教材例は次記を含むが、これらに限定されない:
8.ヒト染色体の特定の領域に特異的な多数の塩基配列が決定された。これらの塩基配列の一般に入手できる集成物は国立衛生院(National Institute of Health)によって保管されている〔参照:ビロフスキー,エイチ・エス他(Bilofsky,H.S.et al.)、核酸研究(Nucl.Acids Res.)、第16巻、1861〜1864頁、1988年〕。上記集成物中には現在5141種の個々の塩基配列が登録されている。この登録掲載物中には、現在6182990種の塩基配列情報の塩基対が掲載されている。
9.ヒト染色体上の多数の無名のDNAセグメントの物理的所在地については、ドニス−ケラー、エイチ他(Donis−Keller,H. et al.)、細胞(Cell)、第51巻、319〜337頁、1987年に記述されている。
10.既知の塩基配列又はDNAセグメント(上記文献引用例8及び9)は、次記の文献に記述されているプラスミド、コスミド、バクテリオファージ又はイーストの人工的染色体ライブラリーをスクリーニングすることによって得られる塩基配列に結合された更に大きな塩基配列を得るための出発点として使用される:ワール,ジー・エム他(Wahl,G.M,et al.)、米国国立科学学士院紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第84巻、2160〜2164頁;ウィリアムズ、ビー・ジー他(Willains,B.G.et al,)1979、ビールス学(J.Virol.)、第29巻、555〜575頁、1982年;ブラウンシュタイン、ビー・エイチ他(Brownstein,B. H. et al,)、サイエンス(Science)、第244巻、1348〜1351頁、1989年。
11.既に決定済みの塩基配列に対して既知の結合が存在しないような染色体領域に由来するクローン化塩基配列は、ルーデケ、エイチ・ジェー他(Ludecke.H.J.,et al.)、ネイチァー(Nature)、第338巻、348〜350頁、1989年に記述されているように、染色体領域のミクロ解剖的吟味に続いて断片化、増殖およびクローン化を行うことによって得られるか或いはコックス、デー・アール他(Cox,D.R.,er al.)、サイエンス(Science)、第250巻、245〜250頁、1990年に記述されているように、完全なヒト染色体よりも少い部分を含むインタースペシィック・ラジェーション・ハイブリッド(interspecific radiation hybrids)中のヒトDNAを酵素的に増殖することによって得られる。
本発明の直接的標識プローブ組成物を調製する目的のために、現時点では選択された染色体又は染色体領域のDNAを代表する原材料のDNAを使用するのが好ましい。
一般に原材料の染色体DNA又は原材料の領域的染色体DNAは、自然界で(又は通常に)出現するDNAセグメントに特徴的な分布又は出現頻度と同一の分布又は出現頻度を持つDNAセグメントを持つ必要はない。例えばDNA繰返しセグメントの出現又は分布がはづれている(skewed)ような原材料の染色体DNA又は領域的な染色体DNAを使用すると、生成したプローブ組成物の目的物染色体DNAを選択的に着色する能力は決して破壊されるようなことはないがむしろ変えられることがある。その結果、試料中において結果的に生ずるハイブリッド形成した目的物中において、目的領域に存在する着色された染色体DNAは不均一に着色されたように見えるかも知れないが、しかし目的領域は尚実質的には完全かつ選択的に着色される。次いで蛍光顕微鏡において観察を行った際において最大の着色強度を示す着色目的物内のサブ領域は、プローブ組成物中に出現するDNAの相対的出現頻度が最小着色の位置におけるよりも大きいような目的染色体サブ領域に相当すると信じられている。正常又は自然界で出現するDNAセグメント分布に比較してはづれている(skewed)DNAセグメント分布を持った原材料DNAは、若し望まれれば、テスト又は評価の目的に使用することができる。
個々の原材料DNA塩基配列の性質、構造及びサイズ、互に相異なる使用塩基配列の数並びに原材料の染色体DNA又は領域的染色体DNAと関連する類似の変数を絶対的な表現で説明できない理由は、一方では生体種ごとにゲノムは本来的に変化するからであり、他方では或る一つのゲノムに関しては原料DNA塩基配列集団は出所ごとに変化しかつ同一出所から採取された特定の原材料DNAについてさえもそのバッチごとに変化するからである。しかし例えば後述するように原材料DNAの断片化が遂行された後、原材料DNAは、全選択染色体又は染色体領域を概略的かつほどよく代表すると共に好ましくはそのような染色体又は領域の全体にわたって分布しているセグメントから成るDNAセグメント混合物へと転換される。
しかし或る一つの原材料DNAの特徴的な複雑さは次の理由により本発明の観点から現時点において好ましいと考えられる。即ちこのような複雑さの故に、同一選択染色体又は領域に由来する互に相異なる原材料DNAから調製することができる本発明の直接的標識プローブ組成物の作成が可能となる訳であると共にこのような生成プローブ組成物は着色能力に関しては実質的に同一の挙動を示す。典型的に原材料の染色体DNA又は領域的DNAは、その中に存在する全デオキシヌクレオチドの全数を基準にとれば約18〜約25モル%のデオキシシチジン・ヌクレオチドを含む。
(3)原材料の結合性化合物
本発明の実際面において使用される原材料の結合性化合物は二官能性有機化合物、即ち原材料の結合性化合物1分子当り2個の置換性官能性(即ち反応性)置換基を含むような有機化合物である。
上記結合性化合物1分子当りの少くとも1個の上記官能性置換基は、(本明細書で後に例示するように)二亜硫酸塩触媒が存在する水溶液アミノ基転移反応条件下においてポリヌクレオチド内のデオキシシチジン・ヌクレオチドと反応性を有する。そのような置換基には例えば、アルキルアミノ(一級及び二級)、ヒドラジド、セミカルバジド、チオセミカルバジド及び類似の各基が含まれる。現在アミノ基が最も好まれている。
上記アミノ基が二級である時は、二級置換基は比較的低分子量のアルキル基であることが好ましいが、若し望ましければ、他のそのような非ブロッキング二級置換基も使用できる。
上記結合性化合物1分子当りの上記2官能性置換基の他(第二)の1個は、(本明細書内で後述されるように)1個の原材料蛍光化合物内にそれ自身組み入れられた第三の官能性置換基と反応性を有する。このような第二の官能性置換基はそれ自身ブロックされているか、あるいはブロックされていないかのいずれの場合であってもよい。上記第二置換基がブロックされていない時、この第二置換基は、アミノ基転移反応の際においてアミノ基転移媒体(特にポリヌクレオチド)中に存在する他物質とは実質的に反応する。上記第二置換基がブロックされている時、この第二置換基は、アミノ基転移反応の際においてアミノ基転移媒体(特にポリヌクレオチド)中に存在する他物質とは実質的に反応しない。
適したブロックされていない第二官能性置換基には例えば、アミノ、カルボキシル、リン酸、スルホン酸、ヒドロキシル、ヒドラジド、セミカルバジド、チオ−セミカルバジド及び類似の各基が含まれる。現在最も好ましいブロックされていない第二官能性置換基にはアミノ(一級又は二級)基及びカルボキシル基が含まれる。
上記カルボキシル基は塩又は酸の形であるのが好ましいが、時にはエステルの形であってもよい。塩の形である時には、ナトリウム又はカリウムのようなアルカリ金属が現在好ましいカチオンである。
適するブロックされている第二官能性置換基には例えば、ブロックされているスルホン酸、ブロックされているリン酸、ブロックされているスルフヒドリル及び類似の各基が含まれる。
適したブロッキング置換基にはメチル、エチル、プロピル等の比較的低分子量のアルキル基が含まれる。
上記第一及び第二の官能性置換基は結合部分を介して相互に内部的に接続されている。この結合部分はどのような好都合な構造を持っていても構わないが、このような構造はアミノ基転移反応下においてアミノ基転移媒体中に存在する他の物質とは反応しない。上記結合部分は非環式又は環式でありかつ他の原子を任意に組み入れてもよい二価の炭化水素基であるのが現在好まれる。
上記のような二官能性結合用化合物内に存在する上記の2個の官能性置換基は、上記結合部分の各々の置換基であってよい。このような2個の置換基は、互いに近傍に存在する炭素原子上に存在することができ、又は結合用化合物内において複数の介在する相互連結された原子(好ましくは炭素原子)によって両置換基の間に間隔を置くことができる。或る一つの結合用化合物内において、上記の2個の官能性置換基は互にアルファ−オメガ関係(即ち各々が相異なる反対方向の末端領域に在ること)にあることが好ましい。
かくして結合用化合物内の上記の2個の官能基は1個の有機結合部分に各々結合され、この有機結合部分は全面的に炭化水素系(即ち炭素原子及び水素原子のみによって構成されている)であるか、又は酸素、硫黄、窒素、リン或いは類似の元素から成る群から選ばれた少くとも1個の原子を含む少くとも1個の付加的原子若しくは原子団が炭素原子及び水素原子に追加されて成る。このような追加の原子又は原子団は、上記のような有機結合部分に結び付く際において、或る一つの原材料の結合用化合物内に存在する上記の2個の官能基の内のどちらか1個よりも大幅に反応性が低いことが好ましい。飽和脂肪族炭化水素系の有機結合部分が現在好ましいが、このような有機結合部分には2〜12個の炭素原子を含む二価アルキレン基もまた含まれるのがより好ましい。しかし若し望まれるならば上記のような飽和脂肪族基は少くとも1個のエーテル基(−O−)又は少くとも1個のチオエーテル基(−S−)を含むことができるが、しかし上記のようなエーテル基又はチオエーテル基の内の唯1個のみが存在するのが現在より好ましい。結合用化合物は、少くとも2個、そして全部で約20個を超えない炭素原子を含む有機化学基を組み入れることが現在好ましいが、若し望まれるならば1分子当り上記を超える数の炭素原子が存在できる。
現在好ましい結合用化合物は、その分子内の上記のような官能基の各々がアミノ基であるものである。非環式及び環式のジアミノ化合物の両方が使用できる。
適した脂肪族一級ジアミンには例えば、アルキレン基がプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ノニレン及び類似物であるアルキレン一級アミンが含まれる。
適した脂肪族二級ジアミンには例えば、CHNH(CHNH、CHNH(CHNHCH及び類似物が含まれる。
ヒドロキシル化された炭化水素を組み入れたジアミノ化合物を使用することができる。非環式のこのような化合物には例えば次記の化合物が含まれる:1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン;1,4−ジアミノ−2,3−ジヒドロキシブタン;1,5−ジアミノ−2,3,4−トリヒドロキシペンタン;1,6−ジアミノ−1,6−ジデオキシ−D−マニトール(又はD−グルシトール又はD−ガラクチトール)、1,6−ジアミノ−2,3,4,5−テトラヒドロキシヘキサン及び類似化合物。
適したポリヒドロキシ化環式化合物の範囲には、cis又はtransの環式ジアミノ化合物が含まれる。次例に示すこれらの化合物では環内においてジアミンが拘束を受けている:1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラヒドロキシシクロヘキサン、cis及びtrans1,2ジアミノシクロペンタン及びこれらのヒドロキシル化された誘導体、例えば1,2−ジアミノ−3,4,5,6−テトラヒドロキシシクロヘキサン、1,2−ジアミノ−3,4,5−トリヒドロキシシクロペンタン、下記に図示したようなmyo−イノシトールの3,6−ジアミノ−3,6−ジデオキシ誘導体及及び類似化合物である。
Figure 0003656754
適した複素環式ジアミンには例えば、N,N′−ビス−(3−アミノプロピル)ピペラジン、その誘導体及び類似化合物が含まれる。
適した含エーテル基ジアミンには例えば、3−オキソ−1,5−ペンタンジアミン、3,6−ジオキソ−1,8−ジアミノオクタン及び類似化合物が含まれる。
アミノ基とカルボキシル基の双方を含む適した結合用化合物には例えば、サクロシン(N−メチルグリシン)、及びグリシン、アラニン、グルタル酸、アスパラギン酸、プロリン、ピペコリン酸(ピペリジン−2−カルボン酸)、イソピペコリン酸(ピペリジン−4−カルボン酸)、グルコサミン酸のようなα−アミノ酸及びこれらの誘導体、並びに類似物が挙げられる。
(上記に例示されたα−アミノ酸に加えて)α−ωアミノカルボン酸には例えば4−アミノブチル酸、6−アミノヘキサン酸、8−アミノオクタン酸及び類似酸が含まれる。
リンを含む二官能性結合用化合物には例えば、α−ωアミノアルキルリン酸、0−(2−アミノエチル)リン酸二ナトリウム塩のようなモノエステル類及び類似化合物が含まれる。
硫黄を含む二官能性結合用化合物には例えは、タウリン(2−アミノエチルスルホン酸)のようなα−ωアミノアルキルスルホン酸及び類似化合物が含まれる。
現時点でより好ましい種類の二官能性結合用化合物は次記の一般式で代表される:
Figure 0003656754
ここでXは
Figure 0003656754
から成る種類から選択される二価基であり、ここでRは、2〜12個の炭素原子を含むアルキレン基又は炭素環ヒドロキシ化カール・カルボシ(carbocyclic ring hydroxizlated car carboci)であり、そしてRとRとは水素と低分子量アルキル基とから成る群から互に独立して選択される。
好ましくは化学式2において、Rは7個を超えない炭素原子を含み、Xは
Figure 0003656754
であり、RとRとは各々水素であり、そしてRは7個を超えない炭素原子を含む。
モノ及び/又はジアミン類の混合物を含む結合用化合物のような、互に相異なる結合用化合物の混合物を使用することができるが、このような混合物はアミノ基転移反応における制御と使用法とに関連して問題があるので好ましくない。
pH値が約7でその大部分が遊離の非プロトン化状態で存在する特徴を有するジアミンは本発明のアミノ基転移反応を促進するように思われる。エチレンジアミン(pH=約7.6)がこの性質の故に高反応性二官能性アミンとして使用されるのが現在最も好ましい。
後述するように例えば上記のような結合用化合物がアミノ基転移反応を使ってDNA塩基配列に結合される時、上記結合用化合物内のアミノ基がDNA塩基配列又はセグメントに結合するように上記アミノ基転移反応が進行する。その結果として生ずる結合性基内において、もう1個の官能基が更に別の反応を行う自由度を保持している。かくして第二の官能基がアミノ基である時、後述するようにそのような官能基は更に蛍光化合物と反応する自由度を保持している。上記の第二官能基がカルボキシル基である時後述するようにそのような官能基は更に蛍光化合物と反応する自由度を保持している。
(4)原材料の蛍光化合物
本発明の実際面において使用される原材料の蛍光化合物は各々その分子内に少くとも1個の発蛍光団置換基(又は基)と、そしてまたその分子内に1個の官能性(即ち反応性)置換基(又は基)とを組み入れている。
上記官能性置換基は、(本発明において記述されるように調製されたような)アミノ基転移ポリヌクレオチド内の結合基中に組み入れられ留まっている第二の官能性置換基と反応性を持つように選択される。(上述のように)上記結合基は結合用化合物に由来する。
例えば原材料の蛍光化合物内において、上記反応性置換基は(上記の定義のように)アミノ置換基と反応性を持つか、又は(上記の定義のように)酸若しくは塩の形で存在するカルボキシル置換基と反応性を持つように選択することができる。
(後述する反応を使用して)結合基中のそのようなアミノ置換基と反応性を持つ目的のためには、上記蛍光化合物の反応性置換基は、(上記の定義のように)酸若しくは塩の形で存在するカルボキシル置換基、アルデヒド基又は類似基のような、好都合なアミン反応性を持つことができる。現在好ましい、このような反応性置換基は、イソチオシアナート類、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル類、スルホニル塩化物類、カルボン酸アジ化物類及び類似物質から選択され例示される。
結合基中のそのようなカルボキシル置換基と反応性を持つ目的のためには、上記蛍光化合物の反応性置換基は、(上記の定義のように)一級若しくは二級の形又は類似形で存在するアミノ置換基のような、好都合なカルボキシル反応性を持つことができる。現在好ましい、そのような反応性置換基は一級アミノ置換基である。
上記反応性置換基はまた時には例えば、その選択は結合基内に存在する反応置換基の性質に依存して、チオール、リン酸エステル又は類似物質であってもよい。
一般に如何なる発蛍光団置換基又は基も原材料の蛍光化合物中において利用することができる。若し1蛍光化合物1個以上の発蛍光団置換基が使用されるならば、1個の単一蛍光化合物内において各発蛍光団置換基は互いに構造的に類似又は同一であるのが現在好ましい。現在好ましいのは1蛍光化合物分子当り約1〜約3の発蛍光団置換基を含む蛍光化合物を利用することであり、最も好ましいのは1蛍光化合物分子当り唯1個の発蛍光団置換基を含む蛍光化合物を利用することである。
原材料の蛍光化合物はその分子量が約5000を超えないのが好ましく、分子量が約1000を超えないのがより好ましいが、その理由はより大きな分子量は生成するプローブが相補的目的塩基配列とハイブリッド形成する能力に対して逆効果を及ぼす原因となり得るからである。
検出可能性の理由のため、原材料の蛍光化合物とのその内に存在する発蛍光団基とが少くとも約6000M−1cm−1(そして好ましくは少くとも約10000M−1cm−1)の消光率を、与えられた試料への励起用入射光線の波長領域において持つと共にまた少くとも約0.02の量子収量を持つのが現在好ましい。「消光率」なる用語は本明細書において従来的な意味で使用され、1cm光路長キュベット内に含まれる蛍光化合物の1モル(M)溶液の吸収を意味する。同様に「量子収量」なる用語は本明細書において従来的な意味で使用され、発蛍光団によって吸収された光子数当りの上記発光団によって放射された光子数を意味する。
下記の表2に代表例でありかつ現在好ましい原材料の蛍光化合物を示す。
Figure 0003656754
脚註:
1:上記化合物に言及する際に使用する略号を括弧内に示した。いくつかの上記化合物には、商標名を含む別名をも示した。TMはモレキュラー・プローブス社の商標のことをいう。「スクシンイミジル・エステル」なる用語は発蛍光団のカルボン酸置換基とN−ヒドロキシスクシンイミドとの間に形成されたエステルのことをいい、また「N−ヒドロキシスクシンイミド・エステル」又は「N−ヒドロキシスクシンイミジル・エステル」又は「NHSエステル」ともいう。
2:或る種のフルオレセイン誘導体とローダミン誘導体とは5−又は6−位置に付けられた反応性置換基(カルボキシル基又はイソチオシアナート基)を含む。これらの化合物は「5−(及び−6)」と名付けられる上記2異性体の混合物として、又は時には精製された異性体として得られる。標識性能及び蛍光性能は異性体同士の間又は或る特定の異性体と異性体混合物との間で大幅に変動するとは思われていない。上記の異性体又は異性体混合物は本発明において標識実験に供されたものである(実施例参照)。
表2のすべての蛍光化合物はモレキュラー・プローブス社、ユージン、オレゴン州(Eugene,OR)から入手した。
当該分野の専門家によって容易に理解されるであろうように、原材料の蛍光化合物は或る生成プローブ組成物の製造に使用される目的のために選択されるのが好ましく、この目的のためには生成プローブ組成物は単一試料の発蛍光団励起条件下において有色放射光を発生しかつこの有色放射光が、ゲノム、特定染色体、若しくは染色体の特定領域、又は対象ゲノム内の類似物と同一若しくは相関する核型に目標を当てられた、同時若しくは引続いて使用される他のプローブ又はプローブ組成物の含発蛍光団標識構成部分からの放射光の色と対照して差異を示す。
(C)プローブの製造
(1)一般事項
先づ最初に、原材料である特定の染色体又は染色体領域の個々の原材料ポリヌクレオチド(その平均サイズは典型的に約50〜約4000bp)は、その特徴的に比較的大きな典型的サイズ及びそのランダムなサイズ特性の故に、(標識された後において)比較的貧弱なハイブリッド形成能力を示す傾向がある。
また従前から公知の先行技術による化学合成方法によって標識部分、特に含発蛍光団標識部分をヌクレオチド塩基配列に結合することは、位置と1塩基配列当りの標識部分数との制御の問題点と共にまた塩基配列の変化の問題点を生む傾向があった。これらの問題点は、望まれて選択された染色体目的材料と結んだ結果生ずるプローブ・ハイブリッド形成能力及び/又は最終的には試料中に存在する特定の染色体DNAの着色による検出の双方に不利な影響を与える。
これらの問題点が克服可能であること並びに、プローブ組成物が本明細書中に記述されているようなDNAセグメントの混合物から成りかつこのDNAセグメントは予め選択された染色体又は予め選択された染色体領域に対して特異性を有すると共にこのDNAセグメントが結合基を介して発蛍光団基に化学的に結合している時、優れたハイブリッド形成能力と優れたプローブ性能とを持つ直接的標識プローブ組成物が、インシトゥ・ハイブリッド形成の際予め選択された個々の染色体又は染色体領域を選択的に着色する目的のために存在することが本発明により今や発見された。
このようなプローブ組成物を調製するには種々の手順を用いることができる。現在好ましくかつ例示的な調製手順を下記に記載するが、この調製手順において次の処置段階が遂行される:
(a)1個の予め選択された染色体又は予め選択された染色体領域に対して特異的なDNA塩基配列をDNA断片(又はセグメント)に断片化すること。
(b)上記DNA塩基配列(そしてまた結果的にこれから誘導化されたセグメント)中に存在するデオキシシチジン・ヌクレオチドを結合用化合物を用いてアミノ基転移すること。
(c)このように生成したアミノ基転移結合基の残基に(前述のように)蛍光化合物を共有結合的に結合すること。
段階(b)、又は段階(b)及び(c)は、段階(a)に先行することかできるが、段階(a)が段階(b)に先行するのが現在好ましい。以下の記述において、上記の(a)、(b)、(c)段階配列順序が本明細書の構成目的のために使用される。
上記段階配列順序と異なる組合せ又は変形もまた本発明のプローブ組成物の調製に使用することができる。例えば蛍光化合物を結合用化合物に共有結合的に結合した後、DNA塩基配列をアミノ基転移を行い、最後に断片化を行うことができる(本明細書の記述に似た段階条件を使用して);しかし、この手順においては、アミノ基転移反応下における発蛍光団基の溶解度が低いために低収率に終る傾向がある。
(2)断片化
DNAセグメントは、(前述のように特徴付けられた)特定の予め選択された原材料染色体DNA又は原材料領域染色体DNAを断片化して得られた。断片化する以前において、原材料DNAは少くとも約150bpの平均長を持つポリヌクレオチドを含むのが好ましい。断片化後、上記DNAセグメントは約150〜約600bpの範囲内の平均長を持つのが好ましく、現在約200〜約400bpの範囲内の平均長を持つのがより好ましく、約300bpの平均長を持つセグメントが現在最も好ましい。これらのセグメント断片は、上記の特定の予め選択された染色体又は予め選択された染色体領域中に出現する1種又はそれ以上のDNA塩基配列に存在するセグメント構成部分に相補的であると信じられている。
その都度毎において、上記のような原材料の特定の染色体又は領域染色体のDNA塩基配列を断片化して得られる断片の数は不明であり、その数は多くかつ恐らくバッチ毎に変動する。また個々の断片のヌクレオチド塩基配列構造も不明であり、恐らくバッチ毎に変動する。事実、1個の単一染色体のDNA塩基配列に由来するそのようなセグメント混合物は、数万個ではないにしても、数千個の互に構造的に相違するセグメントを含む。個々の予め選択された染色体又は染色体領域のDNAを着色するための生成プローブ組成物の能力と、これによって形成されたハイブリッドの蛍光輝度とに関係する理由の故に、上記の範囲内にある比較的均一な平均長を持つDNA断片を利用するのが好ましいと現在信じられている。
当該分野の専門家にとって容易に理解可能であるように、これらのDNA断片は、原材料の特定染色体DNA塩基配列から出発して種々の公知の技術を使用して作成することができる。これらの公知の技術には例えば、制限酵素類又はポリメラーゼ類による酵素的処理、リミテッド・DNアーゼI・ダイジェスチョン(limited DNase I digestion)、リミテッド・マング豆・ヌクレアーゼ・ダイジェスチョン(limited mung bean nuclease digestion)、音波処理、フレンチ・プレス(French press)内でのDNA剪断、小寸法針を通すDNA剪断及び類似の方法が含まれる。
しかし原材料の特定染色体DNAから音波処理によって上記のようなDNA断片を作成するのが現在大いに好ましい。音波処理は任意の好都合な手順によって遂行することができる。現在好ましい音波処理条件は、好ましくは約0.05〜約4mg/mLの範囲内にある原材料の特定染色体DNAの分散水溶液を利用することであるが、上記よりも低いか又は高い濃度も利用できる。使用される超音波の周波数は約20000サイクル/秒の範囲にあるのが好ましく、試料の加熱を減少させるための冷却槽中に好ましくは浸漬された試料を含む管を全時間が約1〜10分にわたる範囲で上記超音波処理を行った。適した冷却槽は、氷槽並びにドライアイス及びエタノールを含む槽を包含する。このような超音波処理を受ける上記DNA塩基配列材料に加えられるエネルギー密度は可変である。例えば水溶液を入れた管の底から約2〜約5mm離れて位置するマイクロチップ(microtip)を持ったブランソン(Branson)音波処理装置型式450号機〔ダンバリー(Danbury)、コネチカット州(CT)〕の場合、約25〜約30ワットの範囲が出力として適している。本明細書において後述例示されるように、このような超音波エネルギーは約5分間にわたる全適用時間の内約80%がオンされた時間として、従って約20%がオフ時間として適用されるのが好ましい。
上記の原材料の特定染色体DNAは、この成分塩基配列がアミノ基転移化される以前に断片化されるのが好ましい。
断片化の方法の如何には無関係に、特定染色体DNAから成る多数の塩基配列を断片化する結果は、多量のこのような原材料DNA塩基配列の断片を作成することである。この多量の原材料DNA塩基配列断片は、個々の予め選択された染色体又は染色体領域中に在る多数の相違する位置の各々一つに個別に出現するDNAセグメントから成る。上記断片化DNAはかくして上記原材料DNA塩基配列に由来しかつほぼこれを代表する混合物である。
若し上記の染色体又は領域に特異的なDNAが例えば既に適切に断片化された状態で市販品の形で入手されていれば、後続するアミノ基転移処理段階が行われる前に別の断片化段階を行うことが不必要となることは明らかである。
(3)アミノ基転移
上記アミノ基転移の際、上記の原材料の特定の染色体DNA塩基配列とそのセグメント内とに含まれている全デオキシシチジン塩基の小さな一部分が、シトシン部所(即ちデオキシシチジン・ヌクレオチド)のアミノ基の炭素4(C−4)原子位置において(前述のように)二官能性結合用化合物の一つのアミノ基とアミノ基転移を行う。このようなアミノ基転移の程度については、或る一つのゲノムの全ゲノムDNAを代表するDNAセグメントの原材料混合物中に存在する全デオキシシチジン・ヌクレオチドの約1〜約30モル%、好ましくは約2〜約24モル%が上記のような結合基によっての置換を受ける。換言すれば、原材料のDNA塩基配列又はDNA断片の上記のような混合物中に含まれる全ヌクレオチドの約0.2〜約8モル%、好ましくは約0.5〜約6モル%がアミノ基転移される。このようなアミノ基転移は実質的にデオキシシチジン・ヌクレオチドのみにおいて起る。
どのような場合でも最も効果的なアミノ化率%は使用される特定の蛍光標識結合部分と典型的に関連する。一つの塩基配列中に存在する塩基対の平均数は上記のように好ましくは少くとも約150であるから、各塩基配列は、希望するように、アミノ基転移処理下において少くとも約1個の上記ような結合基によって置換を受けるのが好ましい。比較的大きな程度のアミノ基転移は、例えばFITC及びTXRdのような発蛍光団で(次いで)標識された生成プローブの特異性に不利な影響を与えかねないように思われる。高いアミノ化の程度は、例えばCTMR及びDECCA標識プローブの特異性にはそれ程の大きな影響を与えない。比較的低度のアミノ基転移は、生成ハイブリッドの検出の際に発生する蛍光輝度に不利な影響を与えるように思われる。
上記アミノ基転移は水溶液相条件下で二亜硫酸塩触媒の存在下で行うのが便利である。DNA塩基配列(又はセグメント断片)の濃度は約0.1〜約1mg/mLの範囲にあるのが便利であり、二亜硫酸塩アニオンの濃度は約0.4〜約1.4モル/Lの範囲にあるのが便利であり、結合用化合物の濃度は約1〜約5モル/Lの範囲にあるのが便利であり、pHは約4.5〜約8.0の範囲にあるのが便利であり、温度は約20〜約45℃の範囲にあるのが便利であり、そして接触時間は(希望するアミノ化の程度に依存して)典型的かつ例示的に約3〜約72時間の範囲にある。
本発明のアミノ基転移の手順においては、上記二亜硫酸塩はアルカリ金属塩の形で導入されるのが便利であり、この際上記アルカリ金属はナトリウム及びカリウムであるのが好ましい。
アミノ基転移の際、上記結合用化合物は水系アミノ基転移媒体に溶解される。
好ましくはアミノ基転移の以前及びまたアミノ基転移処理下において、上記DNA塩基配列又はセグメントは変性されるのが好ましく、この変性は例えば、約1〜約10分間にわたって水中にDNA塩基配列又はセグメントを予備的に煮沸した後に引き続いて約4℃以下の温度に冷却する方法(現在好ましい)若しくは上記アミノ基転移をカオトロピックイオンの存在下で行う方法又はこれらの方法を組合せて行う。
上記アミノ基転移の際にカオトロピックイオンを利用する技術及びその利点は前記に引用したビットナー他の本出願と同日に出願されかつ同時に係争中である米国特許出願シリアル番号−−−−号(本出願人によって付された整理番号第30456号により確認可能)に教示されている。
DNA断片混合物の複雑性は、煮沸による上記DNA断片混合物の予備的変性の後に行われるアミノ化の程度による例示される。アミノ基転移は一重鎖DNAにおいてのみかなりの速度で起りかつ再構成速度はDNAの複雑性に比例して遅いので、特定の染色体DNAは比較的複雑なDNA混合物に特徴的であるよりも小さい程度でアミノ化することが観測されている。
上記二亜硫酸塩触媒を使用するアミノ基転移の際、或る一つの結合用化合物とのアミノ基転移の希望の程度を得るために、上記の範囲内において上記の反応変数を変化させることができる。
本発明のアミノ基転位は、上記原材料DNA塩基配列又はセグメントの混合物が希望したアミノ基転移達成度が得られるまで遂行又は続けられる。一般にアミノ基転移の最大達成度は、使われたヌクレオチド塩基配列又はセグメントの相補的特性に不利な影響を与えるか若しくは与え始めるアミノ基転移レベルによって決められるか、又は本発明のプローブ組成物を使用してインシトゥ・ハイブリッド形成を行った際に試料、スライドガラス調製物或いは類似物中に存在するような非目的DNA若しくはその他の細胞内組成物と次いで標識されるプローブの非特異的会合量の増加を起すか若しくは起し始めるアミノ基転移レベルによって決められる。アミノ基転移生成物中には、全く標識されないDNA塩基配列の低モル%が明らか存在するのが典型的かつ好ましい。或る一つの場合において得られるアミノ基転移の最小レベルは、若し予め選択された染色体又は染色体領域が或る一つの試料中に存在するならば、この染色体又は染色体領域の実質的に完全な着色を達成する目的によって決められる。そのような結果は低いアミノ化レベルでも起る。
低レベルのアミノ化が望まれる場合は、或る一つの試料中に存在する他の一つの着色(及び結合した試料体)を不明瞭にすることなく、予め選択された染色体又は染色体領域が着色後観測される時である。
本発明の特定染色体着色用プローブ組成物をもって試料中で達成可能な特定染色体着色強度は、若し望むならば或る一つの試料又は類似物中の望まれる着色色彩強度を得るために容易に調節又は減少させることができる。このような減少は例えば次記の種々の技法によって得られる:(a)結合基アミノ基転移の程度を低下させることにより、本発明の着色プローブ組成物中に存在する単位重量当りの標識されたヌクレオチドの量を終局的に減少させること;(b)アミノ基転位した混合物を原材料の未標識DNAセグメント混合物で稀釈するために、プローブ組成物中に稀釈用DNAを導入すること;(c)或る一つのハイブリッド形成溶液又は類似溶液中に存在するプローブの量を減少させること。標識されるプローブ組成物の蛍光強度は、好ましくは断片化された(上述の)未標識の原材料の全ゲノムDNAを上記プローブ組成物に添加することにより減少させることができ、このようなゲノムDNAは、(後述するように)蛍光化合物結合が行われる時点に先立って、予め選択された染色体が採取されたゲノムのそれである。
或る一つの場合において実行されるアミノ基転移の最小レベルは、例えば断片化DNAセグメント混合物のような原材料DNA中に存在する全デオキシシチジン・ヌクレオチドの少くとも予め測定されたモル%をアミノ基転移する希望の如何によって決定するのが便利である。
本発明の教旨にそぐうアミノ基転移から結果として生じた混合物は、従来法によって更に加工することができる。そのような生成混合物は、例えば硼酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)又は類似物のpH値約8の稀釈緩衝性水溶液を常温において従来型透析膜を使用して透析することが現在好ましい。
このように透析した混合物から、アミノ基転移ヌクレオチド塩基配列又はセグメントの結末混合物を沈澱するのが便利であり、上記塩基配列は次に濾過法、遠心分離法又は類似法によって上澄み液から分離される。
アミノ化された(aminated)DNAを得るための酵素的技術は「分析生化学」(Analytical Biochemistry)、第157巻、199〜207頁、1986年に記述されている。アミノ基転移DNA塩基配列は、このアミノ基転移DNA塩基配列と共有結合を形成可能な、反応性官能基を持つ任意の数の蛍光化合物と共有結合的に結合する。
(4)蛍光化合物結合
アミノ基置換転移及びアミン置換されたヌクレオチド誘導体は、次いで反応性蛍光団置換基を含む蛍光化合物と上述のように共有結合を行う。即ち上記蛍光化合物は、上述のようにデオキシシチジン部分に今やアミノ基転移された結合用化合物の残基に付随した末端官能性置換基(即ち結合基)と反応する。塩基配列又はセグメントの分子1個当りについての、このように反応した含発蛍光団置換基蛍光化合物の数は容易に制御できる。原材料DNA塩基配列は発蛍光団基に結合される以前に断片化されるのが好ましい。その結果、生成プローブ組成物中において、DNA1分子当りの標識基数は望むがままに制御できる。結果的に生成したプローブ組成物中の各セグメントのヌクレオチド塩基配列は、上記のアミノ基転移された結合基と上記の共有結合的に結合された発蛍光団基とを除けば、原材料DNA混合物中に存在した各セグメントのヌクレオチド塩基配列と実質的に同一である。
蛍光化合物を、例えばアミノ基転移されたDNAセグメント内の結合基の末端基に上記のように共有結合させることは、水溶液相条件下において、約4〜約50℃の温度範囲と、約10〜約500μg/mLのアミノ基転移されたDNAの濃度範囲と、N−ヒドロキシスクシンイミド・エステルの反応に(pHが例えば約6〜8の)中性に近いpHとを使用し、イソチオシアナート及びスルホン酸クロライドの反応に(pHが例えば約8.5〜9.5の)アルカリ性pHを使用し、典型的かつ例示的に約2〜約18時間の時間範囲内において遂行するのが便利である。
存在する原材料の蛍光化合物の量は、上記アミノ基転移DNA塩基配列中に存在するものと予想される結合基の総量に比較してかなりのモル過剰量を提供するに充分であるのが典型的かつ好ましい。如何なる状況下においても、セグメント内に存在するアミノ基転移デオキシシチジン・ヌクレオチド残基の濃度に比較して最適なモル過剰量は丁度いいぐあいに決定することができる。
理論的には蛍光標識用化合物の量はプローブDNA中のアミノ基転移デオキシシチジンの量に等しければよいはずであるにも拘らず過剰量の使用が通常大いに好まれる理由は、上記蛍光化合物分子の或るものはDNAへの標識付与に至らない他の反応経路で反応してしまうからである。そのような反応経路とは、例えば水との反応(加水分解)であって、これにより標識用化合物は脂肪族アミノ基(amine group)とは反応しなくなる。過剰量の標識用化合物はまたアミノ基転移デオキシシチジンとの反応速度を増加させるために使用され、その結果この反応は比較的短時間内に終了する。イソチオシアナートのような加水分解に比較的敏感でない標識用化合物に比べて、大過剰量は、N−ヒドロキシスクシンイミド・エステル及びスルホン酸クロライドのような加水分解に比較的敏感な標識用化合物に必要とされる。アミノ基転移デオキシシチジンに比べて小過剰量の標識用化合物を加えた場合はプローブ標識率が低い%に終るかも知れないのに対して、大過剰量の標識用化合物を加えた場合は高い標識率%が得られる。完全に標識化するに必要であるよりも過剰の量の標識用化合物を使用することは標識化反応にとって不利なことではない。しかし非常に大量の標識用化合物を使用すると反応後の精製の問題が発生することがあり、生成プローブ組成物をインシトゥ・ハイブリッド形成又は類似過程に使用する以前において実質的に全未反応蛍光化合物を除去しなければならない。故に例えば約250倍以上もモル過剰のような、非常に大過剰量の蛍光化合物の使用は避けるべきである。
例えば上記蛍光標識用化合物がスクシンイミド誘導体(即ちカルボキシル置換された発蛍光団のN−ヒドロキシスクシンイミド・エステル又は類似物質)又は相当するスルホンクロライド誘導体である時、残基の結合用化合物を含むアミノ基転移DNA塩基配列は、上記中間物的アミノ基転移ヌクレオチドに比較して約100〜約200倍のモル過剰量の蛍光標識用化合物と反応させるのが便利である。ここでは便宜的に、全ヌクレオチドの約5%がアミノ基転移していると仮定している。
例えば上記蛍光標識用化合物がイソチオシアナート誘導体の時、上記アミノ基転移DNA塩基配列は約50倍のモル過剰量の蛍光標識用化合物と反応させるのが便利である。
上記の反応の進行の際、原材料の蛍光化合物の反応性基と、DNA塩基配列に結合した(結合用化合物に由来する)アミノ基転移された結合基の末端基との間において共有結合が起ると信じられている。1分子当り1結合基の少くとも1末端基が使用された蛍光化合物と反応するのが好ましい。典型的に、上記結合基の末端サイト(又は末端官能性置換基)の約10〜約100モル%が反応(共有結合)して蛍光標識される。結合基と蛍光化合物との間の反応の程度は、特定の蛍光化合物中に存在する発蛍光団置換基の性質によって影響されるように思われる。効率性の故に、或る一つのアミノ基転移DNA組成物の結合基の少くとも約70モル%が標識されるのが好ましく、また少くともその約90モル%が標識されるのが最も好ましい。かくして一般に、原材料のDNAセグメント混合物中に存在する全ヌクレオチドの好ましくは約0.3〜約6モル%が蛍光標識される。
上記反応の最終時点においてプローブに共有結合しなかった残りの標識用化合物は各種の方法によって除去することができる。この各種の方法とは例えばDNAの沈降、ゲル透過クロマトグラフィー、アフィニテイクロマトグラフィー、透析、ゲル電気泳動及びこれらの方法を組み合せたものである。標識されたプローブを精製するために組み合わされる手順の数及びタイプは、上記標識用化合物(その凝集物をも含めて)のサイズと、例えばイオン性と疎水性の相互作用を通じてのような、上記標識用化合物が標識されたDNAと非共有結合的に結合する能力とに依存する。未反応標識用化合物の適切な除去法を提供する一つの手順は、エタノール沈降段階に続くゲル透過クロマトグラフィー段階と、これに続く二度目のエタノール沈降段階を含む。この結果沈降した標識されたプローブは水に溶解してプローブの常用溶液とすることができ、この常用溶液は、他のハイブリッド形成用成分(例えばホルムアミド、デキストラン硫酸塩、緩衝液及び既知の特定のプローブ組成物のようなもの)と組合わされた時インシトゥ・ハイブリッド形成反応に直接使用することができる。
上記アミノ基転位DNA塩基配列と上記の選ばれた蛍光化合物とから結果的に得られる反応生成物は本発明のプローブ組成物である。
(D)直接的標識プローブ組成物
(1)プローブ組成物
DNAセグメントが発蛍光団基に結合された、直接的標識プローブ組成物の1クラスがかくして提供された。一つの単位として考えられるこのようなプローブは、特定染色体DNA又は特定領域染色体DNAの着色のために使用するのに適していると共にインシトゥ・ハイブリッド形成又は類似の方法により、試料中の、場合に応じて予め選択された染色体又は予め選択された染色体領域のどちらかであるDNA目的領域の検出に使用するのに適している。このようなプローブ組成物は、予め選択された目的領域(単一染色体又は単一染色体領域)全体を通して個々に出現する多数の相違するDNAセグメントを含む。これらのDNAセグメントは、これらのDNAセグメントの全デオキシシチジン・ヌクレオチドの約1〜約30モル%にわたって、1末端官能(又は反応)基を当初保存していた結合基で置換されている。すべてのこのような保存された末端官能基の少くとも約10モル%は、各々個々の発蛍光団基を含む基に共有結合される。本発明のプローブ組成物である、このように標識された多数のDNAセグメントの個々のセグメントは、上記の予め選択された目的領域のDNA塩基配列中に出現する相補的DNAセグメント構成部分とハイブリッド形成を行うことができる。
本発明のプローブ組成物において、この二官能性結合基は次のような式で特徴づけられるのが好ましい:
Figure 0003656754
ここで、Xは次の二価基から選ばれる:
Figure 0003656754
及びRは各々独立して水素及び比較的低分子量アルキルから成る群から選ばれる;m及びnは各々独立して1から6までの整数から選ばれる;そしてpは整数の0又は1である;
Figure 0003656754
なる基は、上記DNAセグメントのデオキシシチジンへアミノ基転移され、そして−X−基は上記標識部分へ共有結合される。
かくして本発明の直接的標識プローブ組成物は、或る一つの予め選択された染色体又は或る一つの予め選択された染色体領域に由来すると共にこれらの染色体又は染色体領域をほぼ代表するDNAセグメントの混合物から成る。染色体のクラスは、ヒトゲノムの染色体から成るのが現在好ましい。このような混合物のDNAセグメントは、介在する結合基を介して発蛍光団基に化学的に結合している。本発明のプローブ組成物の特徴は便利のために次記の表3に総括した:
Figure 0003656754
(2)プローブ組成物の組成
本発明のプローブ組成物は、ハイブリッド形成手順での直接使用に適合した、乾燥固体形、水溶液及び水溶性製剤を含む種々の形態において、製造、販売及び使用されて利用されることができる。
水系媒体中においては、本発明のプローブ組成物は実質的に完全に溶解した形に在るのが好ましい。当該分野の専門家にとっては、プローブ組成物(ハイブリッド形成用溶液を含む)の水溶性製剤の含有物は、多数の変量と目的に依存して大幅に変動しうることは明白であろう。説明的事例として、ハイブリッド形成用溶液の一つの適切なクラスは下記の表4で特徴づけられた組成を持つ:
Figure 0003656754
表4のプローブ組成物において、変性促進剤(denaturant)はプローブ組成物内に存在するDNAセグメントの変性を促進するように作用する。そのような変性促進が望まれるのは、これにより変性及びハイブリッド形成に各々使用する温度を低くすることができるからである。先行技術によって公知の種々の変性剤が利用できるが、現在最も好ましい変性促進剤はホルムアミドである。
同様に、先行技術によって公知の種々のハイブリッド形成速度向上剤が使用できる。現在最も好ましいハイブリッド形成速度向上剤はデキストラン硫酸塩である。
同様に、先行技術によって公知の種々の水溶性緩衝液塩を使用することができる。プローブ組成物液のpH値を約5.5〜約8.5の範囲内に保持するのが現在好ましい。このようなpHを保持するのに適した緩衝液塩は例えば、クエン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リン酸及び類似物質である。現在好ましい緩衝液塩組成物はクエン酸(又はクエン酸ナトリウム)から成る。
同様に、ハイブリッド形成過程において形成されたハイブリッドの安定化を促進するハイブリッド安定化剤塩の使用が望ましい。先行技術によって公知のハイブリッド安定化剤塩、例えばNaCl、KCl、MgCl及び類似塩を使用することができる。
使用する水は、予め蒸溜又は脱イオンするのが好ましい。
(3)ブロックされているプローブ組成物
表4に示したようなプローブ組成物の、随意ではあるが好ましい成分はブロッキングDNA組成物である。
ハイブリッド形成した目的物中の蛍光輝度を制御する手段の一つとして、本発明のプローブ組成物の製造の際における稀釈用DNAの使用について前述説明した(アミノ基転移に関する前記小節を参照)。稀釈用DNAはまた、ブロッキングDNA組成物としてかつ蛍光輝度とハイブリッド形成特異性とを制御する手段として使用することができる。本発明のブロックされている組成物が現在好ましい。ヒト染色体又はヒト染色体領域を目的物とする、本発明のブロックされているプローブ組成物のための現在好ましいブロッキングDNA組成物は、断片化されたヒト胎盤DNAとCot−1DNAとである。
Cot−1DNAはカタログ番号#52795Aでライフ・テクノロジー社、ゲイサーバーグ、メリーランド州(Life Technologies,Inc.,Gaitheburg,MD)から入手可能である。Cot−1DNAは次記の手順によって調製されると報告されている。即ち先づ全ヒトゲノムDNAを機械的剪断応力をかけて断片化し、その塩基配列の平均長を400bp以下にする。次いで、こうして得た材料を変性し、この材料の非常に繰返されたDNA塩基配列の大部分を二重鎖とするに充分な時間をかけてハイブリッド化を行う。かくして得られた二重鎖及び一重鎖のDNA種の混合物を、一重鎖DNAを特異的にモノ又はオリゴ・ヌクレオチドに分解する酵素であるヌクレアーゼS1を使用して消化する。消化されなかった二重鎖Cot−1DNAをこの混合物から回収する。Cot−1DNAは約191bpの平均長を持つセグメントの形であると報告されている。
こうしてこのような有用な原材料のブロッキングDNAクラスは、先行技術によって公知の手順に従って、全ゲノムDNAから出発して、このDNAを変性し、部分的に再びアニーリング(reannealing)又は再ハイブリッド形成を行い、酵素処理又はその他の処理を行うことによって全ゲノムDNA中に存在した自然界で出現する繰返しのないセグメントの量を減少させることによって得られる。
本発明のある一つのプローブ組成物と混合されたブロッキングDNA組成物の全重量は、上記プローブ組成物の全重量よりも過剰であるのが好ましい。このようにして作られた、本発明のプローブ組成物とブロッキングDNA組成物との混合物は、目的物と選択的着色剤とでハイブリッド形成を行うために後に使用される以前において、随意に或る時間にわたってハイブリッド形成条件に置くことができる。別法として、若し望まれるならば、ハイブリッド形成条件下において目的物とハイブリッド形成を行うための変性されブロックされているプローブ組成物を直接に使用することができる。
本発明のプローブ組成物と混合したブロッキングDNAは、大部分の繰返し共通DNAセグメントが、試料中に存在する予め選択された染色体又は染色体セグメントの染色体DNAとハイブリッド形成するのを妨げる。ブロックされているプローブ組成物が有益なのは、例えば特定の染色体プローブ組成物が他の特定のプローブ組成物と組み合わされて使用された時、着色選択性が改善されるからである。
かくして、そのような特定のブロックされているプローブ組成物中の繰返し塩基配列は、例えば非目的染色体中に出現する同一の繰返し塩基配列とのハイブリッド形成を妨害される。そのようなハイブリッド形成はまた、本発明のブロックされているプローブ組成物がハイブリッド形成条件下において目的物とハイブリッド形成を行いつつある時点においてブロッキングDNA組成物が存在する時にも起る。ブロッキングDNA組成物セグメントが目的の相補的セグメント領域とハイブリッド形成することもまた恐らく起るであろう。そのようなハイブリッド形成の効果は、目的組成物とのハイブリッド形成の後において或る一つのプローブ組成物から放射される蛍光の強度を制御することである。存在するブロッキングDNA組成物の量は、ハイブリッド形成後に観測されるハイブリッド強度に反比例すると現今信じられている。しかしこの関係に影響を与える多数の変量があるように思われる。
表4の組成物は、若し望まれれば、予備的に調製された前駆体組成物類から調製することができ、この前駆体組成物類はハイブリッド形成過程に使用される時点で互に混合される。このような前駆体組成物類を「キット(“kit”)」と呼ぶことにする。
(E)インシトゥ・ハイブリッド形成及び着色
(1)一般事項
本発明のプローブ組成物は、それぞれの予め選択された染色体又は染色体領域の着色剤としてハイブリッド形成過程において使用されるのによく適している。
かくして本発明の試料中に存在する、予め選択された染色体又は染色体領域を同定する方法を提供する。この方法は次記の順序で行われる三段階から成る:(a)上記のような染色体又は染色体領域(これらの断片も含む)を含むと信じられる試料を、ハイブリッド形成条件下において、本発明のプローブ組成物と接触させることにより、本発明のプローブ組成物は染色体又は染色体領域の目的DNAとハイブリッド形成を行って、目的DNAと上記プローブ組成物中に存在するプローブDNAセグメントとの間のハイブリッドを生成し、(b)得られた試料から残留する上記プローブ組成物を分離し、そして(c)最終的に得られた試料を検査する。
試料の検査は各種の手法、例えば蛍光顕微鏡法、流動細胞計測法又は類似の手法を使って行うことができる。上記検査において、上記試料に対してハイブリッド中に存在する発蛍光団基の蛍光放射に少くとも充分なエネルギーを照射すると同時に、上記の放射された蛍光のエネルギーを検出する。当該分野の専門家には自明であるように、特定の目的と利用された条件とに依存して、この検出又は同定の方法は、若し残留プローブ組成物量が低くて上記検出に支障が起らなければ、上記の分離段階なしに実行することができる。
(2)スライドガラスの着色
都合のよいことに、本発明のこの見地からの実際面においては、如何なる便利な又は特定のインシトゥ・ハイブリッド形成手順も使用することできる。インシトゥ・ハイブリッド形成手順では、上記の予め選択された染色体又は染色体領域の全部又はその一部を含む特定の試料を使用することができる。スライドガラス又は類似物のようなスライド上に準備的に調製かつ固定された試料で通常的かつ便利に実行されるような型式のインシトゥ・ハイブリッド形成手順において、本発明のプローブ組成物を使用するのが現在好ましい。従来からのスライド調製手順が利用でき、この手順は例えば、エフ・テー・ボスマン他(F.T.Bosman et al.)、ジェネティカ(Genetica)、第5巻、425〜433頁、1975年及びガル他(Gall et al.)、米国国立科学学士院紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第64巻、600頁、1969年に教示されている。また従来からのインシトゥ・ハイブリッド形成手順が利用でき、この手順は例えば、ビー・バット他(B.Bhatt et al.)、核酸研究(Nucleic Acids Research)、第16巻、3951〜3961頁、1988;エー・エイチ・エヌ・ホープマン他(A.H.N.Hopman et al.)、実験的細胞研究(Experimental Cell Reseach)、第169巻、357〜368頁、1987頁;ナクネイル他(NcNeil et al.)、遺伝分析技術応用(Genet Anal Techn Appl)、第8巻、41〜58頁、1991年;そしてトカチァク、デー・シー他(Tkachuk,D.C.et al.)、遺伝分析技術応用、第8巻、67〜74頁、1991年に教示されている。
本発明のプローブ組成物を使用して、上記のようにスライド上に固定かつ処理された試料中の予め選択された染色体または染色体領域のDNA着色を実行するために、次記の例示的手順を行うことができる。
好ましくは、上記のようにスライド上に固定された試料は、その中に存在すると推定されるDNAを、少くとも部分的に脱水すると共にまた少くとも部分的に変性するための予備的処理を受ける。下記の実施例に例示されるような、従来からの変性及び脱水の手順が利用できる。これに引き続いて、典型的に逐次ハイブリッド形成段階連鎖がハイブリッド形成条件下で進められる。まず上記スライド固定試料を本発明のプローブ組成物と接触させる。次いで、上記試料とこれに接触した上記の処理用プローブ組成物とを組み合せたものは、若し望まれればより長いか又はより短い培養期間が使用できるが、典型的かつ好ましくは約60〜約1000分の範囲内の培養期間にわたる培養処理を受ける。上記培養期間中において、温度は約30〜約45℃の上述範囲内に保持するのが好ましい。上記培養期間中において、上記の処理用プローブ組成物は上記試料中に存在する上記ゲノムDNAとハイブリッド形成を行う。
次に、この結果得られたハイブリッドを含む試料は、液体洗浄処理を受けることにより、上記試料内から残留した未反応の処理用プローブ組成物が分離される。インシトゥ・ハイブリッド形成の先行技術で知られた、類似の洗浄処理手順を有利に使用することができる〔例えばバット他(Bhatt et al.)、核酸研究(Nucleic Acids Research)、第16巻、3951〜3961頁、1988年参照〕。通常、NaCl、クエン酸ナトリウムのような緩衝液塩及びホルムアミドを種々の濃度で含む、数種の相違する洗浄槽が使用される。高い厳密性(より大きな残留プローブDNA除去能力)が要求される時には、比較的高濃度のホルムアミドと比較的低濃度のNaClが使用される。洗剤も、特に最終段の洗浄槽で使用することができる。厳密性はまた、上記洗浄槽の温度を室温以上に高めることにより増加する。
最終段洗浄槽又は類似物中に浸した後、上記スライドは、好ましくは垂直に近い状態下で水切りが行われ、完全に又は部分的に空気乾燥された後固定用媒質を加えてカバーガラスで蔽われる。上記固定用媒質(通常は溶液)は従来から、グリセロールと緩衝液塩とに加えて、当該分野の専門家には自明のように、発蛍光団標識の光酸化速度を減少させる防退色剤(antifade)を含む。化学的な型の反着色剤(counter stain)を上記固定用媒質中に組み入れることもできる。
上記の処理の後上記スライドは直ぐ蛍光顕微鏡下で観察できるが、或いは検査の前に常温で数日程度保存することもできる。
上記の固定化スライドガラス試料は更に他のプローブ調製物とハイブリッド形成を行わせることができる。例えば、カバーガラスははずすことができ、スライドは上記洗浄槽の一つの中に浸すことによって上記固定用媒質の表面沈積物を除去することができる。次に、好ましくは変性された二度目のプローブ・ハイブリッド形成用溶液を上記スライドに(このスライドは二度目には変性されてない)に(上述のように)付け、こうして作成したスライドをハイブリッド形成を行わせるために培養した後、このスライドを上記のように洗浄する。
本発明のプローブ組成物から作成された特定の染色体着色試料の検査の際、当該分野の専門家には自明のように、使用される特定のフィルタには、本発明の或る一つのプローブ組成物中に標識部分として含まれる特定の発蛍光団と関連したスペルトル応答特性に釣り合うものが好ましい。このようなフィルタは市場で入手可能であるか、又は従来からのフィルタ製造若しくはフィルタ組立ての技術によって容易に作成可能である。次の表5はフィルタの代表的仕様を例示するが、このようなフィルタが本明細書の実施例に含まれる発蛍光団に使用された。
Figure 0003656754
+波長値の単位はnm。BPは帯域通過フィルタを意味し、このフィルタの中心通過帯域中心値を次に示し、最大通過幅の半数値における全幅値を括弧内に示した。LPは低域通過フィルタを意味し、低域通過と高域通過の間の遷移領域値を示した。
++波長値の単位はnm。高反射と高通過との間のフィルタの遷移領域値を示した。
*ツァイス(Zeiss)社製のフィルタ・セット。
**オメガ・オプチカル(Omega Optical)社製のフィルタ・セット。
当該分野の専門家にとって自明のように、スライド固定試料のインシトゥ・ハイブリッド形成において、(前述のような)(a)接触と(b)分離との連鎖は、(前述のような)(c)検査が行われる前に、一度以上行うことが有利である。段階(a)及び段階(b)(両段階共上記のように行うのが便利)の上記のような繰返し毎に、互に相違するプローブ組成物を使用する。即ち最初の繰返しの際に本発明のプローブ組成物を使用し、他のそれぞれの繰返しの際には他の(互に相違する)プローブ組成物を使用する。各々の他の互に相違するプローブ組成物は、当該ゲノムの互に相違する、予め選択された部分領域を目的対象とする。
(3)流動細胞計測法
本発明の特定染色体着色用プローブ組成物はまた、そのもう一つの利用法として蛍光活性化された流動細胞計測法を利用する過程において使用することができる。例えば初めに染色体は例えば細胞培養液の分裂細胞から従来法により分離される〔例えばカラノ他(Carrano et al.)、米国国立科学学士院紀要(Proc.Na’tl.Acad.Sci.USA)、第76巻、1382〜1384頁、1979年参照)〕。
次に上記のように分離された染色体の分散水溶液に、DNAを持つ染色体クロマチン中に存在する蛋白質(即ちヒストン及び非ヒストン)を架橋するための架橋剤を加える。上記架橋剤は、上記のような蛋白質中に存在する、一種又はそれ以上の極性基を含むアミノ酸の極性基と反応するのが便利である。上記アミノ酸は例えばアスパラギン酸塩、アスパラギン酸、アルギニン、グルタミン酸塩、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、チロシン及びトリプトファンである。シスチンのスルフヒドロ基も時には架橋する。適した架橋剤及び適したインシトゥ・ハイブリッド形成手順は例えばバン・エング(Van Engh)の特許明細書第4770992号(1988年)に教示されている。
本発明のプローブ組成物は、架橋されかつ好ましくは変性された染色体と混合される。
こうして作った混合物は分離工程にかけてハイブリッド形成しなかった残留プローブ組成を分離するのが好ましい。しかし当該分野の専門家には自明のように、若し上記残留プローブ組成物が充分に低濃度であって考慮中の特定の流動細胞計測法に抵触しないか又は過大には抵触しないならば、上記分離工程は省くことができる。
適した分離工程には遠心分離法を組み入れることができる。結果的に得られた染色体ケークは水系媒質に再懸濁される。再懸濁液の濃度は約5×10染色体数/mLであるのが好都合である。懸濁用水は緩衝液塩を含むのが好都合である。
上記のようにして作られた懸濁液は、例えば上記文献に記述されているデュアルビーム細胞計測装置を使用して流動細胞計測される。こうして測定された結果は、例えば全試料形態に基づいて染色体を同定するために使用されるか、又は特定の染色体着色剤の存在と、いずれかの染色体材料の存在とを相互に関係づけるために使用される。この相互関係は、上記の特定着色剤と混同される背景を区別するために使われる。
本発明のプローブ組成物を使用してインシトゥ・ハイブリッド形成と流動細胞計測法とを組み合せたもう一つの他の技法においては、例えばトラスク他(Trask et al.):ヒト遺伝(Hum Gen)、第78巻、251〜259頁、1988年に教示されているように、懸濁液中の間期核を使用する。
(4)プローブ混合物
本発明のプローブ組成物の特徴と利点は、その化学的構造又は官能性能力に悪影響を与えることなく、他のプローブ組成物及び類似物と混合することができることである。混合されたプローブ組成物がハイブリッド形成条件下において複雑なDNAセグメント混合物を組み入れても、これらの個々のセグメントは相補的な目的DNAとのみハイブリッド形成を行うので、望まれるような特定染色体着色が達成される。例えば上記手順の第一段階に先立って、上記のように調製された本発明のプローブ組成物は、若し望まれれば、例えば予め決められた染色体又は染色体領域中に存在する特定の目的物とハイブリッド形成を行う標識セグメントを含むもう一つの他のプローブ組成物と混合することができる。そのような他のプローブ組成物は、(本発明のプローブ組成物に比較して)類似の温度、時間及びその他の条件下においてインシトゥ・ハイブリッド形成の際の使用に適するのが好ましい。
例えば上記のような他のプローブ組成物は次記のような直接的標識又は間接的標識プローブ組成物である:(a)本発明のもう一つの他の直接的標識プローブ組成物;(b)ビーガント他(Wiegant et al.)、核酸研究(Nucleic Acids Research)、第19巻、3237〜3241頁、1991年に記述されているような、発蛍光団で標識されたヌクレオチド三リン酸をもって、プローブ組成物のDNAをニックトランスレーションすることにより標識されたプローブ組成物;(c)ビーガント他の上記引用文献及びバット他(Bhatt et al.)、核酸研究(Nucleic Acids Research)、第16巻、3951〜3961頁、1988年を含む多数の出版物に記述されているような、ビオチン又はジゴキシゲニンを含むデオキシヌクレオチド三リン酸を組み入れて調製された間接的標識プローブ組成物;及び/又は(d)ホプマン他(Hopman et al.)、実験的細胞研究(Experimental Cell Research)、第169巻、357〜368頁、1987年に記述されているような、ハイブリッド形成したプローブと発蛍光団標識との間に結合を形成するために、修飾された発蛍光団上の化学的基と、ハイブリッド形成の反応において反応する化学的基を含む間接的標識プローブ組成物;及び類似組成物。
上記のような混合プローブ組成物は、スライドに固定された試料中のインシトゥ・ハイブリッド形成手順において使用することができる。この手順においては、試料中に存在する各染色体目的物は、その目的物が試料中に存在する程度まで、予め選択されたプローブ組成物で着色される。残留プローブはその後試料から同一の洗浄処理によって分離される。
本発明のプローブ組成物のもう一つの特徴及び利点は、特定の相違する目的物が含まれたインシトゥ・ハイブリッド形成手順又は類似の手順のような先行するハイブリッド形成手順の完了後においてさえ、予め選択された染色体の継続的に行われる特定着色のためにまた本発明のプローブ組成物を使用できることである。
本発明のプローブ組成物は一般的に他のインシトゥ・ハイブリッド形成用試薬と相性がよい。しかし2種又はそれ以上の間接的標識プローブを組合せて使用する場合には、混合物内で相互に反応し合う成分が存在しないように注意を払う必要がある。
実施例
本発明を以下に更に実施例を用いて詳述する。
顕微鏡観察は、ツァイス(Zeiss)社製アキショスコープ(Axioskop)型、アキショプラン型(Axiopln)又はアキショフォト型(Axiophot)蛍光顕微鏡で行った。インシトゥ・ハイブリッド形成により着色された試料を観察するために使用されるフィルタ・セットは表5に示すように、カール・ツァイス社(Carl Zeiss,Inc.)、ソーンウッド、ニューヨーク州(Thornwood,NY)又はオメガ・オプチカル社(Omega Optical,Inc.)、ブラットルボロ、バーモント州(Brattleboro,VT)から入手した。
ヒト染色体特異性DNAプローブの分離
ヒト染色体特異性DNAは、バン・ディラ他(Van Dilla)、バイオテクノロジ4巻、437〜552頁、1986年に記載されているように構成され、ローレンスリバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratories)から組み換えファージライブラリーズとして得られた。これらのライブラリーズの寄託は、ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)にされた。これらのライブラリーズはイ・コリ(E.coli)宿主細胞株上で成長させて活性化された。この活性化されたファージは精製され、これらのDNAは抽出されて、ついでこのDNAは制限酵素HindIIIで消化された。インサートDNAはラブドイド・ベクターDNAから分離され精製され、ついでプラスミド・ベクターpBS〔ストラテゲン(Strategene)、ラ・ジョラ(La Jolla)、CA〕のHindIIIの中にクローン化された。得られたプラスミドはイ・コリ宿主細胞株DH5α〔ベセスタ・リサーチ・ライブラリーズ(Bethesda Research Libraries)、ゲチスバーグ(Gaithersburg)、メリーランド(Maryland)〕の中に移入され、これによってヒト染色体特異性インサートDNAを含む組換えプラスミドライブラリーズを得た。
ここで例示されるファージ・ライブラリーズは、ATCC#57754(染色体1);ATCC#57745(染色体4);ATCC#57701(染色体6);ATCC#57702(染色体8)及びATCC#’s57722及び57755(染色体7)に対応する。ライブラリーズは1mLの分別量の凍結細胞として貯蔵された。これらのガラス瓶は染色体DNA用の初期材料として用いられた。これらのファージライブラリーズ由来のプラスミドライブラリーズは発酵に供される。
バクテリアは発酵により成長させた。ATCCから得られた種ストックは、8g/Lのバクト・トリプトン(ディフコ)〔Bacto Tryptone(Difco)〕、5g/Lのバクト・イースト・エクストラクト(ディフコ)(Bacto Yeast Extract)、15g/Lのバクト・アガー(ディフコ)(Bacta Agar)及び5g/Lの塩化ナトリウムを含むYTブイヨンとアンピシリン(200μg/mL)を含む1.6%の寒天プレート上で37℃で24時間培養された。培養された細胞は16g/Lのバクト・トリプトン(ディフコ)、10g/Lのバクト・イースト・エクストラクト(ディフコ)及び5g/Lの塩化ナトリウムを含む4mLのYTブイヨンで回収され、ついで4mLの20%グリセリンが各回収物に加えられた。イ・コリ細胞培養は液体窒素中にあるガラス瓶に浸漬して0.5mL分別量で素速く凍結させ、ついで使用まで80℃に貯蔵された。
発酵器の接種体は、37℃でpH7の2Lの揺動フラスコに13.2g/L NaHPO−7HO、3.0g/L KHPO、0.05g/L NaCl、1.0g/L NHCl、10.0g/Lカサミノ・アシッド(ディフコ)(Casamino Acids);0.03g/L MgSO、0.004g/L CaCl−2HO、3.0g/L、0.025g/Lチアミン(HCl)、0.0054g/L FeCl、0.0004g/L ZnSO、0.0007g/L CoCl、0.0007g/L NaMoO、0.0008g/L CuSO、0.0002g/L HBO及び0.0005g/L MnSOを含むカサミノ・アシッド媒体で菌を培養して350mL調製した。350mLの培養菌が、1%グルコース、13.2g/L NaHPO−7HO、3.0g/L KHPO、0.05g/L NaCl、1.0g/L NHCl、10.0g/Lカサミノ・アシッド(ディフコ)、0.03g/L MgSO、0.004g/L CaCl−2HO、0.025g/Lチアミン−HCl、0.0054g/L FeCl、0.0004g/L ZnSO、0.0007g/L CoCl、0.0007g/L NaMoO、0.0008g/L CuSO、0.0002g/L HBO及び0.0005g/L MnSOを含む4.2Lの発酵媒体に接種するために使用された。
バクテリア細胞は発酵完了後、直ちに膜細胞濃縮器及び高速遠心分離機を用いて回収された。発酵された細胞ブイヨンは0.45μmのメンブランフィルター(2立方フィート)を用いて5Lから約800mLに濃縮された。細胞濃縮物はついで冷蔵遠心分離機で10分間、7000gに遠心分離された。バクテリア細胞ペレットは上澄みを排出した後、回収された。
DNA分離に使用された試薬の全量は、細胞ペレットの当初の湿潤細胞重量(g)を基準に計算された。必要量を決めるため、掛け算因子“M”が算出され、各試薬はその成分の一定量のM倍量が加えられた。所定の細胞量の因子Mはg量の細胞を13で割って決められる。かくして、130gの細胞量を処理するため、M因子10が各試薬の一定量に適用される。
プラスミドDNAはバクテリア細胞ペレットから取り出された。細胞ペレットは50mMグルコース(濾過減菌)、10mMNaEDTA(pH7.5−8.0)及び25mMトリスHCl(pH8.0)の40×MmLの溶液に分散させた。細胞は0.2MNaOH及び1%(W/V)SDSの80×MmLの溶液を添加した後、激しい渦巻きで分解した。数分後、細胞の分解を示す、この溶液の濁りが減少した。明澄な溶液に55.5mLの氷酢酸と500mL当たり147.5gの酢酸カリウムを含む溶液60×MmLを加えた。これらの溶液は完全に攪拌され、毛房のような沈澱物を生成した。上澄みを毛房のような沈澱物から除去し、この上澄みを残溜沈澱物を除去するために7000×gで15分間遠心分離した。
核酸は1容量のエタノールで上澄みから沈澱され、ひき続き7000×gで10分間遠心分離され、ついで核酸ペレットは50mMトリス−HCl(pH8.0)及び100mM酢酸ナトリウムを含む全量7×MmLの溶液に再浮遊された。次いで、核酸は1/2容量の中性フェノール及び1/2容量のクロロホルムで抽出され、2容量のエタノールで沈澱させられた。核酸は50mMトリス−HCl(pH8.0)及び100mM酢酸ナトリウムを含む4×MmLの溶液に再浮遊させられた。膵臓リボヌクレアーゼA溶液(不活性DNアーゼに熱処理)の10×MmL部分を再浮遊された核酸溶液に加えた。この混合物を室温で30分間又は40℃で一昼夜消化させた。ついで、20mg/mLのプロテナーゼK溶液の8×MmL部分を加え、55℃で3時間インキュベートした。ついでDNA溶液を1/2容量の中性フェノール及び1/2容量のクロロホルムで抽出し、2容量のエタノールで沈澱させた。沈澱DNAは4500×gで15分間遠心分離することにより集められた。
DNAを5.36×MmLの水に再浮遊させ、ついで0.64×MmLの5MNaCl及び2×MmLの50%(W/V)ポリエチレングリコール(PEG)(分子量6000−8000)を加え、氷水の上で1時間インキュベートし、4500×gで15分間遠心分離して沈澱させた。DNAは0.5×MmLの水及び1/10容量の3M酢酸ナトリウムに再浮遊させ、ついで1/2容量の中性フェノール及び1/2容量のクロロホルムで抽出し、2容量のエタノールで沈澱させた。沈澱DNAは4500×gで15分間遠心分離することにより集め、ついで真空下で乾燥させた。精製されたDNAは0.6×MmLの脱イオン水に再浮遊させた。DNA濃度は蛍光計で測定した。
最後に、精製されたDNAはブランソン・ソニファイヤ450(Branson Sonifier 450)を用いて約300の塩基ペアの小片に分裂させた。断片の大きさはインシトゥ・ハイブリッド形成に使用されるDNAプローブに最適となるように経験則により決められた。上述のように調製された精製プラスミドDNA4mgを水2mLに再浮遊し、音波処理中に沸騰しないようにドライアイス/エタノール槽に浸漬した。音波処理装置のマイクロチップはチップがチューブの底部から2−5mmまでこの溶液に浸漬された。音波処理は、5分間の1周期に対し、不連続に80%のデュティ・サイクル(オン80%、オフ20%)で、25−30ワットの出力電力で行われた。音波処理に続いて、DNAは0.2mLの3M酢酸ナトリウム(pH5.5)及び4mLのエタノールを加えて沈澱させた。沈澱物は8000×gで5分間遠心分離して回収し、真空乾燥した。
プローブDNAの二亜流酸塩活性アミノ基転移
プローブDNAは炭素原子数4のシトシン塩基にエチレンジアミンを加えてアミノ基転移された。入手可能なデオキシシチジンヌクレオチド座位の約4〜24%が蛍光標識のためアミノ化された。
二亜硫酸塩の緩衝液を調製するため、濃HCl1.7mLを氷上の脱イオン化されたHO1mLにゆっくり加えた。新たなエチレンジアミン〔シグマ(Sigma)カタログ#E−4379〕1mLを氷にゆっくり加えた。エチレンジアミンの溶解後、溶液を室温に暖め、ついでメタ二亜硝酸ナトリウム〔アルドリッチ(Aldrich)カタログ#25,555−6〕0.475g及び二亜硫酸ナトリウム〔イ・エム・サイエンシズ(EM Sciences)カタログ、#SX 0345−1〕を加えた。濃HClはpHが7.0になるまで二亜硫酸塩の混合物にゆっくり加えられ、溶液の容量は5.0mLに調製された。
プローブDNAをアミノ基転移させるため、音波処理されたDNA1mgをHO0.3mLに再浮遊させた。DNAは5分間1000℃で沸騰させ、ついで氷水槽で素早く冷やして変性させた。アミノ基転移反応は、このDNA溶液0.3mLに二亜硝酸塩の緩衝液2.7mLを加えて開始し、反応物は所望程度のアミノ化を達成するため、数日間、25又は37℃で数時間インキュベートされた(下記の表を参照)。DNA溶液は5−10mMのホウ酸ナトリウム(pH8.0)で通常の透析により脱塩された。透析後、3Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)0.3mLを透析物に加えた。アミノ化されたDNAは2.5容量のエタノールで沈澱させ、8000×gで10分間遠心分離後、回収された。ペレットを真空乾燥し、3mg/mLのDNA濃度に再加水した。この溶液は使用まで−20℃で保存された。
dCのアミノ基転移の範囲は、アミノ化DNAの酵素消化、ひき続き、FPLCクロマトグラフィシステム(ファルマシアLKB、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)で精製ヌクレオシドを分離して決定された。アミノ化されたDNA5−10μgを50μLに水で希釈し、ついでDNAをセファデックス(Sephadex)G−25〔5プライム>3プライム、インク パオリィ(Paoli).PA〕を含むスピンカラムで精製した。DNAを乾燥し、12.5μLの2×DNアーゼ1緩衝液(20mMトリス、10mMMgCl、pH7.5)及び0.5μLのデオキシリボヌクレアーゼ1(DNアーゼ1)(BRL,2mg/474μL,>10,000U/mg)をDNAに加え、溶液を37℃水槽で1時間インキュベートした。50μLの2×PD1/アルカリリン酸緩衝液(100mMトリス、200mMNaCl、28mMMgCl、2mMZnCl、pH9.0)、19μLの水、5.0μLのホスホジエステラーゼ1(PDI)(1×PDI/アルカリリン酸緩衝液に溶解したファルマシアLKB、1,000U/mL)及び1.0μL小牛の腸のアルカリ性ホスホターゼプロメガ(Promega)、10,000U/mLを加え、溶液を更に2時間37℃でインキュベートした。消化された試料は、MinoRPCカラム(ファルマシア社製)にかけられた。緩衝液A(95.5:2.5のイオン対緩衝液:メタノール、イオン対緩衝液=50mMKHPO、0.05%のヘキサンスルホン酸、pH7.0)と緩衝液B(50:50のイオン対緩衝液:メタノール)との間にある直線的な傾角が、吸収によるDNA溶離分布を記録する一方、その試料を溶離するために用いられた(40%の緩衝液に至るまでに0.37mL/分の流速で緩衝液Bの毎分0.8%増加、ひき続き0.3mL/分の流速で100%の緩衝液Bに対し緩衝液Bの毎分3%増加)。4つの天然デオキシヌクレオシドの各々と別々に溶離されたデオキシシチジンのアミノ基転移生成物とアミノ基転移デオキシシチジンの量は、溶離分布図において2−デオキシシチジン及びアミノ基転移デオキシシチジンのピークで、相対面積から決定された。ヒト染色体#4由来の配列を含む音波処理されたプラスミドDNAの2つの調製物に対する代表的な結果を以下に示す。
Figure 0003656754
発蛍光団7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸、スクシンイミドエステル(AMCA)でアミノ基転移された染色体特異性DNAプローブの標識化
ヒト染色体1特異性のアミノ基転移プローブ前駆体DNA(平均長300bp、アミノ化デオキシシトシン20%)を7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸、スクシンイミドエステル(AMCA)に結合させた。アミノ基転移DNA60mgを乾燥し、ついでpH7.4で緩衝液として200mMの3−[N−モリホリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)673μLに再浮遊させた。ジメチルスルホキシドのAMCA50mM溶液(150倍モル過剰)26.8μLをアミノ基転移DNAの分散液に加えた。この反応は室温で暗い中、約18時間撹拌しつつ進められた。過剰の発蛍光団は内径1cmを有する長さ28cmのゼファデックスG−25カラムに反応物を通すことにより標識DNAから分離された。所望の画分(カラム空隙率)を水で溶離し、全容量を減らすため乾燥した。標識DNAの2つのエタノール沈澱物はAMCAプローブに供するために、精製された。吸収スペクトルは塩基の4.8%が標識化されたことを示した。続く調製において、一つのエタノール沈澱工程は最初に行われ、ひき続きカラム精製工程を行い、ついで2番目のエタノール沈澱工程は最後に行われた。両方の精製手順は良好な結果を示した。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これらの細胞は核を割り出すため約3フィートの離れた所からガラス顕微鏡のスライドガラスに落とされた。細胞融合する前に、ガラススライドは70℃で70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液に2分間入れられた。ついでスライドガラスは70%、85%及び100%のエタノール槽(各々2分)に通して脱水された。
各スライド(10μL)に置かれたハイブリッド形成混合物は、50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μgの音波処理された鮭の精子DNA(担体として使用)に入れられた。ブロッキングDNA(COT1DNA又は音波処理されたヒト胎盤DNA)及び基本混合物に加えられたプローブの濃度は変えられた。完全にハイブリッド形成した混合物10μLは70℃で5分間加熱して変性し、ついで37℃で1時間ハイブリッド形成した。混合物をスライドに直接にのせ、ガラスでおおい、ついで湿潤室で37℃で1夜ハイブリッド形成した。
次の日、過剰のプローブは、50%のホルムアミド/0.3M NaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で3回(各々、15分間)スライドを洗浄し、ついで0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で15分間スライドを洗浄し、ひき続き0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤[NP40はオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム(Calbiochem)社製、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]において45℃で15分間洗浄して除去された。最後に、スライドは0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤において室温でそれぞれ2分間2回洗浄された。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLが防退色性溶液の落下上方に置かれたスライド及びカバーガラスに直接塗布された。防退色性溶液はジェ・イムノ・メソッズ(J.Immuno.Methods)43巻、349頁、1981年に記載され、次のように記載されている。P−フェニレンジアミンジヒドロクロライド100mgをリン酸緩衝生理食塩水100mLに溶解した。この溶液のpHはNaHCO0.42gを水10mLに加えて調製されたビカーボネート緩衝液でpH8に調整され、ついで50%(w/v)NaOHの添加によりpH9.0に調整された。P−フェニレンジアミンジヒドロクロライドのpH調整溶液をグリセリン90mLに加え、ついで得られた溶液を0.22μmろ過装置でろ過した。この溶液は−20℃で暗がりに保管された。防退色性溶液は必要に応じて、全ての染色体の視覚化を確保するため、通常の染色体着色剤として使用されるヨウ化プロピジウム0.2μg/mLを含む。スライドはAMCAに対しフィルター・セット#1又は#2及びヨウ化プロピジウムに対しフィルターセット#10を用いる蛍光顕微鏡で観察された。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白
AMCA標識プローブは胎盤又はCOT1DNAのいずれかで良好な特異性を示した。良好な蛍光強度を観察するためにはさらに高いプローブ濃度が好ましい。
発蛍光団テキサス・レッド・スルホニル・クロライド(TexRd)でアミノ基転移された染色体特異性DNAプローブの標識化
ヒト染色体7に特異な2つの異なるアミノ基転移プローブ前駆体DNA(平均長300bp、1つはアミノ化デオキシシトシン20%、もう1つは4.6%)をテキサス・レッド・スルホニル・クロライド(TexRd)に結合させた。アミノ基転移DNA40mgを乾燥し、ついでpH9.3で緩衝液として30mMのホウ酸ナトリウム270μLに再浮遊させた。N,N−ジメチルホルムアミドのTexRd30mM溶液(150倍モル過剰)30μLをアミノ基転移DNAの分散液に加えた。この反応は室温で暗い中、約18時間撹拌しつつ進められた。過剰の発蛍光団は内径1cmを有する長さ28cmのゼファデックスG−25カラムに反応物を通すことにより標識DNAから分離された。所望の画分(カラム空隙率)を水で溶離し、全容量を減らすため乾燥した。標識DNAのもう一つのエタノール沈澱物は精製された。標識化された生成物の吸収スペクトルは5%(全ヌクレオチド)アミノ化されたDNA調製物の全ヌクレオチド3.2%及び1.2%(全ヌクレオチド)アミノ化されたDNA調製物の全ヌクレオチド1.0%が標識化されたことを示した。この工程によりTxeRdプローブを得た。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これらの細胞は核を割り出すため約3フィートの離れた所からガラス顕微鏡のスライドガラスに落とされた。細胞融合する前に、ガラススライドは70℃で70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液に2分間入れられた。ついでスライドガラスは70%、85%及び100%のエタノール槽(各々2分)に通して脱水された。
各スライド(10μL)に置かれたハイブリッド形成混合物は、50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μgの音波処理された鮭の精子DNA(担体として使用)に入れられた。ブロッキングDNA(COT1DNA又は音波処理されたヒト胎盤DNA)及び基本混合物に加えられたプローブの濃度は変えられた。完全にハイブリッド形成した混合物10μLは70℃で5分間加熱して変性し、ついで37℃で1時間ハイブリッド形成した。混合物をスライドに直接にのせ、ガラスでおおい、ついで湿潤室で37℃で1夜ハイブリッド形成した。
次の日、過剰のプローブは、50%のホルムアミド/0.3M NaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で3回(各々、15分間)スライドを洗浄し、ついで0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で15分間スライドを洗浄し、ひき続き0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤[NP40はオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム(Calbiochem)社製、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]において45℃で15分間洗浄して除去された。最後に、スライドは0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤において室温でそれぞれ2分間2回洗浄された。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLが防退色性溶液の落下上方に置かれたスライド及びカバーガラスに直接塗布された(実施例1参照)。防退色性溶液は必要に応じて、全ての染色体の視覚化を確保するため、通常の染色体着色剤として使用される4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール・ヒドクロライド(DAPI)1.0μg/mLを含む。スライドはTxRdに対しフィルター・セット#9及びDAPIに対しフィルターセット#1又は#2を用いる蛍光顕微鏡で観察された。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強 度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白
データは低い程度に標識化された場合、TxRd標識化プローブが良好であることを示す。特異性はアミノ化程度がデオキシシトシンの20〜4.6%に減じた場合、おおいに改善された、1%標識化されたプローブを用いた場合、低いプローブ濃度(100ng/10μL)でさえも非常に良好な結果を与えた。
発蛍光団5−(及び−6)−カルボキシ−X−ローダミン、スクシンイミジルエステル(CXR)でアミノ基転移された染色体特異性DNAプローブの標識化
ヒト染色体4に特異な2つの異なるアミノ基転移プローブ前駆体DNA(平均長300bp、1つはアミノ化デオキシシトシン20%、もう1つは4.6%)を5−(及び−6)−カルボキシ−X−ローダミン、スクシンイミジルエステル(CXR)に結合させた。アミノ基転移DNA35mgを乾燥し、ついでpH7.4で200mMのMOPS368μLに再浮遊させた。N,N−ジメチルホルムアミドのCXR25mM溶液(150倍モル過剰)31.8μLをアミノ基転移DNAの分散液に加えた。この反応は室温で暗い中、約18時間撹拌しつつ進められた。過剰の発蛍光団は内径1cmを有する長さ28cmのゼファデックスG−25カラムに反応物を通すことにより標識DNAから分離された。所望の画分(カラム空隙率)を水で溶離し、全容量を減らすため乾燥した。標識DNAのもう一つのエタノール沈澱物は精製された。標識化された生成物の吸収スペクトルは5%(全ヌクレオチド)アミノ化されたDNA調製物の全ヌクレオチド4.9%及び1.2%(全ヌクレオチド)アミノ化されたDNA調製物の全ヌクレオチド1.5%が標識化されたことを示した。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これらの細胞は核を割り出すため約3フィートの離れた所からガラス顕微鏡のスライドガラスに落とされた。細胞融合する前に、ガラススライドは70℃で70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液に2分間入れられた。ついでスライドガラスは70%、85%及び100%のエタノール槽(各々2分)に通して脱水された。
各スライド(10μL)に置かれたハイブリッド形成混合物は、50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μgの音波処理された鮭の精子DNA(担体として使用)に入れられた。ブロッキングDNA(COT1DNA又は音波処理されたヒト胎盤DNA)及び基本混合物に加えられたプローブの濃度は変えられた。完全にハイブリッド形成した混合物10μLは70℃で5分間加熱して変性し、ついで37℃で1時間ハイブリッド形成した。混合物をスライドに直接にのせ、ガラスでおおい、ついで湿潤室で37℃で1夜ハイブリッド形成した。
次の日、過剰のプローブは、50%のホルムアミド/0.3M NaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で3回(各々、15分間)スライドを洗浄し、ついで0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で15分間スライドを洗浄し、ひき続き0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤[NP40はオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム(Calbiochem)社製、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]において45℃で15分間洗浄して除去された。最後に、スライドは0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤において室温でそれぞれ2分間2回洗浄された。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLが防退色性溶液の落下上方に置かれたスライド及びカバーガラスに直接塗布された(実施例1参照)。防退色性溶液は必要に応じて、全ての染色体の視覚化を確保するため、通常の染色体着色剤として使用される4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール・ヒドクロライド(DAPI)1.0μg/mLを含む。スライドはCXRに対しフィルター・セット#9及びDAPIに対しフィルターセット#1又は#2を用いる蛍光顕微鏡で観察された。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白
データは低い程度に標識化された場合、CXR標識化プローブが良好であることを示す。特異性はアミノ化程度がデオキシシトシンの20〜4.6%に減じた場合、おおいに改善された、1.5%(全ヌクレオチド)標識化されたプローブを用いた場合、低いプローブ濃度(100ng/10L)でさえも非常に良好な結果を与えた。
発蛍光団リサミン・ローダミンB・スルホニル・クロライド(LisR)でアミノ基転移された染色体特異性DNAプローブの標識化
ヒト染色体4に特異なアミノ基転移DNAプローブ(平均長300bp、アミノ化デオキシシトシン20%)をリサミン・ローダミンB・スルホニル・クロライド(LisR)に結合させた。アミノ基転移DNA30mgを乾燥し、ついでpH9.3で緩衝液として50mMのホウ酸ナトリウム373μLに再浮遊させた。ジメチルスルホキシドのLiSR25mM溶液(150倍モル過剰)27.3μLをアミノ基転移DNAの分散液に加えた。この反応は室温で暗い中、約18時間撹拌しつつ進められた。過剰の発蛍光団は先ずエタノール沈澱により標識化DNAから分離された。沈澱物を水に再浮遊し、ついで内径1cmを有する長さ28cmのゼファデックスG−25カラムに通した。所望の画分(カラム空隙率)を水で溶離し、全容量を減らすため乾燥した。標識DNAのもう一つのエタノール沈澱物は精製された。吸収スペクトルは塩基の3.8%が標識化されたことを示した。この工程によりLisRプローブを得た。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これらの細胞は核を割り出すため約3フィートの離れた所からガラス顕微鏡のスライドガラスに落とされた。細胞融合する前に、ガラススライドは70℃で70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液に2分間入れられた。ついでスライドガラスは70%、85%及び100%のエタノール槽(各々2分)に通して脱水された。
各スライド(10μL)に置かれたハイブリッド形成混合物は、50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μgの音波処理された鮭の精子DNA(担体として使用)に入れられた。ブロッキングDNA(COT1DNA又は音波処理されたヒト胎盤DNA)及び基本混合物に加えられたプローブの濃度は変えられた。完全にハイブリッド形成した混合物10μLは70℃で5分間加熱して変性し、ついで37℃で1時間ハイブリッド形成した。混合物をスライドに直接にのせ、ガラスでおおい、ついで湿潤室で37℃で1夜ハイブリッド形成した。
次の日、過剰のプローブは、50%のホルムアミド/0.3M NaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で3回(各々、15分間)スライドを洗浄し、ついで0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で15分間スライドを洗浄し、ひき続き0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤[NP40はオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム(Calbiochem)社製、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]において45℃で15分間洗浄して除去された。最後に、スライドは0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤において室温でそれぞれ2分間2回洗浄された。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLが防退色性溶液の落下上方に置かれたスライド及びカバーガラスに直接塗布された(実施例1参照)。防退色性溶液は必要に応じて、全ての染色体の視覚化を確保するため、通常の染色体着色剤として使用される4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールヒドロクロライド(DAPI)1.0μg/mLを含む。スライドはLisRに対しフィルター・セット#7、#8又は#9及びDAPIに対しフィルターセット#1又は#2を用いる蛍光顕微鏡で観察された。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、 (++++)非常に明白
LisR標識化プローブは比較的に高程度の5%標識化(全ヌクレオチドに対して)でいくらかの特異性と良好な強度を与える。
発蛍光団5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン、スクシンイミジルエステル(CTMR)でアミノ基転移された染色体特異性DNAプローブの標識化
ヒト染色体4に特異な2つの異なるアミノ基転移プローブ前駆体DNA(平均長300bp、1つはアミノ化デオキシシトシン20%、もう1つは4.6%)を5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン、スクシンイミジルエステル(CTMR)に結合させた。アミノ基転移DNA50μgを乾燥し、ついでpH7.4で200mMのMOPS377μLに再浮遊させた。N,N−ジメチルホルムアミドのCTMR50mM溶液(150倍モル過剰)22.8μLをアミノ基転移DNAの分散液に加えた。この反応は室温で暗い中、約18時間撹拌しつつ進められた。過剰の発蛍光団は先ずエタノール沈澱により標識DNAから分離された。沈澱物を水に再浮遊させ、ついで内径1cmを有する長さ28cmのゼファデックスG−25カラムに通した。所望の画分(カラム空隙率)を水で溶離し、全容量を減らすため乾燥した。標識DNAのもう一つのエタノール沈澱物は精製された。吸収スペクトルは5%(全ヌクレオチド)アミノ化されたDNA調製物の全ヌクレオチド5.5%が標識化されたことを示した。この工程によりCTMRプローブを得た。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これらの細胞は核を割り出すため約3フィートの離れた所からガラス顕微鏡のスライドガラスに落とされた。細胞融合する前に、ガラススライドは70℃で70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液に2分間入れられた。ついでスライドガラスは70%、85%及び100%のエタノール槽(各々2分)に通して脱水された。
各スライド(10μL)に置かれたハイブリッド形成混合物は、50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μgの音波処理された鮭の精子DNA(担体として使用)に入れられた。ブロッキングDNA(COT1DNA又は音波処理されたヒト胎盤DNA)及び基本混合物に加えられたプローブの濃度は変えられた。完全にハイブリッド形成した混合物10μLは70℃で5分間加熱して変性し、ついで37℃で1時間ハイブリッド形成した。混合物をスライドに直接にのせ、ガラスでおおい、ついで湿潤室で37℃で1夜ハイブリッド形成した。
次の日、過剰のプローブは、50%のホルムアミド/0.3M NaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で3回(各々、15分間)スライドを洗浄し、ついで0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)において45℃で15分間スライドを洗浄し、ひき続き0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤[NP40はオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム(Calbiochem)社製、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]において45℃で15分間洗浄して除去された。最後に、スライドは0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄剤において室温でそれぞれ2分間2回洗浄された。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLが防退色性溶液の落下上方に置かれたスライド及びカバーガラスに直接塗布された(実施例1参照)。防退色性溶液は必要に応じて、全ての染色体の視覚化を確保するため、通常の染色体着色剤として使用される(4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールヒドロクロライド(DAPI)1.0μg/mLを含む。スライドはCTMRに対しフィルター・セット#7又は#8及びDAPIに対しフィルターセット#1又は#2を用いる蛍光顕微鏡で観察された。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、 (++++)非常に明白
CTMR標識プローブは、全ヌクレオチドに対して5%標識化されたプローブでさえも、非常に良好な特異性及び強度を与えた。デオキシシトシンに対して4.6%アミノ化されたDNAから調製されたプローブも同様に非常に良好な結果を示した。
発蛍光団5−(および−6)−カルボキシフルオレセインスクシンイミドエステル(CFI)でアミノ基転移された染色体特異性DNAプローブの標識化
ヒト染色体4に特異なアミノ基転移DNAプローブ(平均長300bp、アミノ化デオキシイノシン20%)を、5−(および−6)−カルボキシフルオレセインスクシンイミドエステル(CFI)に結合させた。まず、50μgのアミノ基転移DNAを乾燥し、そして377μLの7.4pHで200mMのMOPSに再浮遊させた。N,Nジメチルホルムアミド内のCFIの50mM溶液の22.8μL(150倍モル過剰)をアミノ基転移DNAに加えた。この反応は室温において一晩(約18時間)暗中で撹拌しつつ進行した。過剰の発蛍光団は、最初エタノール沈殿により標識DNAから分離された。沈殿した物質を水中に再浮遊し、内径1cmで高さ28cmのセファデックスジー−25(Sephadex
G-25)カラムを通過させた。所望の画分(カラム空隙率)を水中に溶離し、全体積を減少させるために乾燥させた。次に標識DNAのエタノール沈殿が精製された。吸収スペクトルは塩基の1.6%が標識化されたことを示した。この手順はCFIプローブを提供するものである。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これら細胞は、核が破れるように約3フィートからガラス製のスライド上に落とされた。ハイブリッド形成の前にこのスライドは2分間、70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液内に70℃でおかれた。そして、このスライドは70%、85%および100%エタノール槽を通過させられることにより(それぞれ2分間)、脱水された。
スライドにおかれたハイブリッド形成混合物(10μL)は常に50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μg音波処理された鮭の精子DNA(担体として使用)であった。ブロッキングDNA(Cot1DNAまたは音波処理されたヒト胎盤DNA)および塩基混合物に加えられるプローブの濃度が変化させられた。完全にハイブリッド形成した混合物10μLが70℃での5分間加熱により変性させられ、37℃で1時間ハイブリッド形成可能となるようにされた。混合物はスライドに直接に与えられ、ガラス製カバースリップで被覆され、湿潤室において37℃で一晩ハイブリッド形成可能となるようにされた。
翌日、過剰のプローブは、45℃において15分づつ3回スライドが50%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で洗浄され、その後45℃において0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で15分間スライドが洗浄され、次に45℃において0.1Mクエン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄液[NP40は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]で15分間スライドが洗浄されることにより取り除かれた。最後に、スライドは、室温において0.1Mクエン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄液で2分間づつ2回洗浄され、乾かされた。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLがスライドに直接与えられ、カバースリップが防退色性溶液の滴に被せられた。防退色性溶液には任意的に1.0μgの4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールヒドロクロライド(DAPI)/mLが通常の染色体着色剤として、すべての染色体を可視化するように含められてもよい。そして、スライドは、CFIに対しフィルタセット#4、#5または#8を用いて、DAPIに対し#1または#2を用いて蛍光顕微鏡により観察された。その結果を以下に示す。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白
担体DNAがない
CFI標識プローブは十分なレベルの特異性とともに良好な強度を示した。
発蛍光団フルオレセイン−5−イソチオシアナート(FITC)でアミノ基転移された染色体特異性プローブの標識化
ヒト染色体#7に特異なアミノ基転移DNAプローブ(平均長300bp、20%または4.6%のアミノ化デオキシシトシン)が、フルオレセイン−5−イソチオシアナート(FITC)に結合された。40μgのアミノ基転移DNAが乾燥させられ、そして244μLのpH9.3で50mMホウ酸ナトリウムに再浮遊させられた。ジメチルスルホキシド内のFITCの50mM溶液の6.1μL(50倍モル過剰)がアミノ基転移DNAに加えられた。この反応は室温において一晩(約18時間)暗中で撹拌されて進行した。過剰の発蛍光団は、まずエタノール沈殿により標識DNAから分離させられた。沈殿した物質は水中に再浮遊させられ、内径1cmで高さ28cmのセファデックスジー−25(Sephadex
G-25)カラムを通過させられた。所望画分(カラム空隙率)が水中に溶離させられ、全体積を減少させるために乾燥させられた。次に標識DNAのエタノール沈殿が精製された。標識化された生成物の吸収スペクトルは、5%アミノ化されたDNA調製物内の全ヌクレオチドの2.2%が標識づけられ、かつ、1.2%アミノ基DNA調製物内の全ヌクレオチドの0.42%が標識化されたことを示した。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これら細胞は、核が破れるように約3フィートからガラス製の顕微鏡スライド上に落とされた。ハイブリッド形成の前にこのスライドは2分間、70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液内に70℃でおかれた。そして、このスライドは70%、85%および100%のエタノール槽を通過させられることにより(それぞれ2分間)、脱水された。
スライドにおかれたハイブリッド形成混合物(10μL)は常に50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μg音波処理された鮭の精子DNA(担体として用いられる)であった。ブロッキングDNA(Cot1DNAまたは音波処理ヒト胎盤DNA)およびベース混合に加えられるプローブの濃度が変化させられた。完全にハイブリッド形成した混合物の10μLが70℃での5分間加熱により変性させられ、37℃で1時間ハイブリッド形成可能となるようにされた。混合物はスライドに直接に与えられ、ガラス製カバースリップで被覆され、湿気のある槽内において37℃で一晩ハイブリッド形成可能となるようにされた。
翌日、過剰のプローブは、45℃において15分づつ3回スライドが50%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で洗浄され、その後45℃において0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で15分間スライドが洗浄され、次に45℃において0.1Mクエン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40[NP40は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]洗浄液で15分間スライドが洗浄されることにより取り除かれた。最後に、スライドは、室温において0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄液内において2分間づつ2回洗浄され、乾かされた。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLがスライドに直接与えられ、カバースリップが防退色性溶液の滴に被せられる(実施例1参照)。防退色性溶液には任意的に1.0μgの4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールヒドロクロライド(DAPI)/mLが通常の染色体着色剤として、すべての染色体を可視化するように含められてもよい。そして、スライドは、FITCにはフィルタセット#4、#5または#6を用いて、DAPIには#1または#2を用いて蛍光顕微鏡により観察された。その結果を以下に示す。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、 (++++)非常に明白
FITC標識プローブは、標識の程度が低く保たれるとき十分なレベルの特異性とともに良好な強度を示した。標識の程度が高いとき特異性は小さいものであった。
発蛍光団7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、スクシンイミドエステル(DECCA)でアミノ基転移された染色体特異性プローブの標識化
ヒト染色体4に特異なアミノ基転移DNAプローブ(平均長300bp、アミノ化デオキシシトシン20%)が、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、スクシンイミドエステル(DECCA)に接合された。40μgのアミノ基転移DNAが乾燥させられ、そして364μLのpH7.4で200mMMOPS内に再浮遊させられた。N,Nジメチルホルムアミド内のDECCAの25mM溶液の36.4μL(150倍モル過剰)がアミノ基転移DNAに加えられた。この反応は室温において一晩(約18時間)暗中で撹拌されて進行した。過剰の発蛍光団は、まずエタノール沈殿により標識DNAから分離させられた。沈殿した物質は水中に再浮遊させられ、内径1cmで高さ28cmのセファデックスジー−25(Sephadex
G-25)カラムを通過させられた。所望画分(カラム空隙率)が水中に溶離させられ、全体積を減少させるために乾燥させられた。次に標識DNAのエタノール沈殿が精製された。吸収スペクトルは、塩基の1.9%が標識化されたことを示した。この手順はDECCAプローブを提供する。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これら細胞は、核が破れるように約3フィートからガラス製の顕微鏡スライド上に落とされた。ハイブリッド形成の前にこのスライドは2分間、70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液内に70℃でおかれた。そして、このスライドは70%、85%および100%のエタノール槽を通過させられることにより(それぞれ2分間)、脱水された。
スライドにおかれたハイブリッド形成混合物(10μL)は常に50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μg音波処理された鮭の精子DNA(担体として用いられる)であった。ブロッキングDNA(Cot1DNAまたは音波処理ヒト胎盤DNA)および塩基混合物に加えられるプローブの濃度が変化させられた。完了したハイブリッド形成混合物の10μLが70℃での5分間加熱により変性させられ、37℃で1時間ハイブリッド形成可能となるようにされた。混合物はスライドに直接に与えられ、ガラス製カバースリップで被覆され、湿潤室内において37℃で一晩ハイブリッド形成可能となるようにされた。
翌日、過剰のプローブは、45℃において15分づつ3回スライドが50%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で洗浄され、その後45℃において0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で15分間スライドが洗浄され、次に45℃において0.1Mクエン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40[NP40は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]洗浄液で15分間スライドが洗浄されることにより取り除かれた。最後に、スライドは、室温において0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄液内において2分間づつ2回洗浄され、乾かされた。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLがスライドに直接与えられ、カバースリップが防退色性溶液の滴に被せられた(実施例1参照)。防退色性溶液には任意的に0.2μgのヨウ化プロビジウムがすべての染色体を可視化するように含められてもよい。そして、スライドは、DECCAにはフィルタセット#3を用いて、ヨウ化プロビジウムには#10を用いて蛍光顕微鏡により観察された。以下にその結果を示す。フィルタセット#3がDECCAにとって特に適応するものではなく、それゆえ観測された強度がDECCAのスペクトル特性により整合するフィルタセットに期待されるよりも小さいものであることは着目されるであろう。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白
DECCA標識プローブは、特にCot1DNAを用いたとき良好な特異性、およびセット#3のようなあまり適合性のよくないフィルタセットを用いたときかなりな強度を示した。
発蛍光団テトラメチルローダミン−5(および6)−イソチオシアン酸(TRITC)でアミノ基転移された染色体特異性プローブの標識化
ヒト染色体7に特異なアミノ基転移DNAプローブ(平均長300bp、アミノ化デオキシシトシン20%)が、テトラメチルローダミン−5(および6)−イソチオシアン酸(TRITC)に結合された。40μgのアミノ基転移DNAが乾燥させられ、そして244μLのpH9.3で50mMホウ酸ナトリウムに再浮遊させられた。ジメチルスルホキシド内のTRITCの6.1μL(50倍モル過剰)がアミノ基転移DNAに加えられた。この反応は室温において一晩(約18時間)暗中で撹拌されて進行した。過剰の発蛍光団は、まずエタノール沈殿により標識DNAから分離させられた。沈殿した物質は水中に再浮遊させられ、内径1cmで高さ28cmのセファデックスジー−25(Sephadex
G-25)カラムを通過させられた。所望画分(カラム空隙率)が水中に溶離させられ、全体積を減少させるために乾燥させられた。次に標識DNAのエタノール沈殿が精製された。吸収スペクトルは、塩基の3.4%が標識化されたことを示した。
本発明のこの実施例は、染色体の中期を拡張するための従来の方法を用いるインシトゥハイブリッド形成によって試験された。目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これら細胞は、核が破れるように約3フィートからガラス製の顕微鏡スライド上に落とされた。ハイブリッド形成の前にこのスライドは2分間、70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液内に70℃でおかれた。そして、このスライドは70%、85%および100%のエタノール槽を通過させられることにより(それぞれ2分間)、脱水された。
スライドにおかれたハイブリッド形成混合物(10μL)は常に50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)/0.5μg音波処理された鮭の精子DNA(担体として用いられる)であった。ブロッキングDNA(Cot1DNAまたは音波処理されたヒト胎盤DNA)および塩基混合物に加えられるプローブの濃度が変化させられた。完了したハイブリッド形成混合物の10μLが70℃での5分間加熱により変性させられ、37℃で1時間ハイブリッド形成可能となるようにされた。混合物はスライドに直接に与えられ、ガラス製カバースリップで被覆され、湿潤室内において37℃で一晩ハイブリッド形成可能となるようにされた。
翌日、過剰のプローブは、45℃において15分づつ3回スライドが50%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で洗浄され、その後45℃において0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で15分間スライドが洗浄され、次に45℃において0.1Mクエン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40[NP40は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]洗浄液で15分間スライドが洗浄されることにより取り除かれた。最後に、スライドは、室温において0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄液内において2分間づつ2回洗浄され、乾かされた。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLがスライドに直接与えられ、カバースリップが防退色性溶液の滴に被せられる(実施例1参照)。防退色性溶液には任意的に1.0μgの4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールヒドロクロライド(DAPI)/mLがすべての染色体を可視化するように含められてもよい。そして、スライドは、TRITCにはフィルタセット#7および#8を用いて、DAPIには#1または#2を用いて蛍光顕微鏡により観察された。その結果を以下に示す。
Figure 0003656754
特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性
強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白
TRITC標識プローブは、かなり高い標識化をされた(全ヌクレオチドの3%)プローブを用いたとき特異性および高い強度を提供することができる。
蛍光により標識化された多数の試薬の使用
目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これら細胞は、核が破れるように約3フィートからガラス製の顕微鏡スライド上に落とされた。ハイブリッド形成の前にこのスライドは2分間、70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)の変性溶液内に70℃でおかれた。そして、このスライドは70%、85%および100%のエタノール槽を通過させられることにより(それぞれ2分間)、脱水された。
各スライドに置かれたハイブリッド形成混合物(10μL)は、異なる染色体ペアに特異な2から5の発蛍光団標識化プローブ、および、50%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)であった。いくつかの実験では、上記混合物は0.5μgの音波処理された鮭の精子DNA(担体として用いられる)を含むものであった。塩基混合物に加えられるブロッキングDNA(Cot1DNAまたは音波処理ヒト胎盤DNA)の濃度が変化させられた。完了したハイブリッド形成混合物の10μLが70℃での5分間加熱により変性させられ、37℃で1時間ハイブリッド形成可能となるようにされた。混合物はスライドに直接に与えられ、ガラス製カバースリップで被覆され、湿潤室内において37℃で一晩ハイブリッド形成可能となるようにされた。
翌日、過剰のプローブは、45℃において15分づつ3回スライドが50%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で洗浄され、その後45℃において0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7)で15分間スライドが洗浄され、次に45℃において0.1Mクエン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40[NP40は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、非イオン界面活性剤、カルバイオケム、ラ・ジョラ、カリフォルニア州]洗浄液で15分間スライドが洗浄されることにより取り除かれた。最後に、スライドは、室温において0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)/0.1%NP40洗浄液内において2分間づつ2回洗浄され、空気乾燥された。発蛍光団の光酸化速度を減少させるために使用される防退色性溶液7.5μLがスライドに直接与えられ、カバースリップが防退色性溶液の滴に被せられた(実施例1参照)。そして、スライドは、数種の異なった蛍光標識からの輻射を差別化するためのさまざまなフィルタセットを用いて、蛍光顕微鏡により観察された。
ハイブリッド形成において同時に用いられる標識化プローブの組み合わせ及び濃度は、以下の表に記載されている。この表においてテストされた2、3、4または5のプローブの各組み合わせは間を空けることなくひとかたまりに記載されている。いくつかのフィルタセットではひとつの発蛍光団だけが可視化されるものであるが、他は2つの発蛍光団が同時に観察できるものである。たとえば、DECCAフィルタセット(#3)はDECCAおよびCFI標識化プローブの両方を観察できるようにする。CFIフィルタセット(#5または#6)がCFI着色染色体のみを可視化するために、DECCAおよびCFI着色染色体は区別され得る。したがって、発蛍光団による2つの着色染色体ペアを同定し、DECCAフィルタセットを用いて観察することでDECCA標識プローブによる染色体対を同定することができる。テトラメチルローダミンとローダミン101の誘導体、テキサスレッド(Texas Red)およびCRX、を区別するような同様のフィルタは存在しない。しかし、TRITCフィルタセット#8を用いることにより、CTMR標識は黄オレンジ色に見え、テキサスレッドおよびCRX標識はより明るい赤色に見えるので、これら2つの異なった着色を視覚的に区別することができる。
Figure 0003656754
上記表に記載された複数ハイブリッド形成の各々は同様の結果をもたらす。着色された中期拡張の可視化試験は、各標識プローブが1つの染色体ペアのみを特異的に着色することを示した。さらに、各特異的着色染色体ペアはその着色から輻射される光の色によって他から区別される。フィルタセット#2、3(または好ましくは13)、5(または6)、8および9を用いることにより、目的染色体ペアのそれぞれを他から区別すべく可視化することが可能であることが判明した。
実施例1および2で述べられたように調製された前駆体DNAプローブ(各プローブセグメントのひとつのそれぞれが、全ヌクレオチドの1%から5%がデオキシシチジンヌクレオチドでアミノ化され、平均長300bpを有する)および2分割不能のアミノ基転移されたヒト染色体特異性プローブセグメントのそれぞれが、アミン反応性発蛍光団の一つと結合された。結合反応条件は、発蛍光団であるpH9.3の反応緩衝液50mMホウ酸ナトリウムにどのアミノ反応性機能があるかによって変わった。N−ヒドロキシスクシンイミドエステル誘導体の発蛍光団の場合、反応緩衝液は200mMMOPS、pH7.4であった。30から100μgのアミノ化DNAが反応緩衝液内に溶かされ、20mMの反応性発蛍光団の溶液が加えられた。その結果の反応混合物がその後一晩暗中において室温で継続的に撹拌された。反応混合物の最終的なDNA濃度は、イソチオシアン酸との反応では160μgDNA/mLであり、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとの反応では100μgDNA/mLであった。最終的なアミン反応性発蛍光団濃度は、イソチオシアン酸誘導体では1.2mMであり、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルでは2.3mMであった。アミン反応性発蛍光団の20mM溶液が、ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)のような非反応性溶解性溶媒内の発蛍光団を分解することによって調製された。反応条件は下記の表17にまとめられている。
Figure 0003656754
a:発蛍光団は、DNAを含む反応緩衝液に蓄えられた発蛍光団を加える前に、濃度20mMの特定溶媒に溶解されている。
b:20%アミノ化dNに対して蛍光団−アミノ化dCのモル比は、イソチオシアン酸反応については50であり、スルホン酸塩化物およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステル反応については150である。
標識プローブは、以下に述べるようにDNAのエタノール沈殿およびジェル浸透クロマトグラフィーによって精製された。反応混合物内の標識DNAが、pH5.4の2.6Mの酢酸ナトリウムの10分の1体積およびその2.5倍の体積のエタノールを加えることにより沈殿させられた。得られた溶液を7,800×gで10分間遠心分離する前に、−20℃の冷凍庫で一晩又は15分間ドライアイスでのいずれかにより平衡にした。上澄み液が捨てられ、標識DNAペレットが乾燥されかつ約300μLの水中に再浮遊させられた。次いで、DNA溶液を予め水に平衡にされたセファデックスG−25カラム(直径1cm、高さ28cm)にかけ、精製標識DNAを水で溶離する際にカラム空隙に集めた。標識DNAが、カラムから集められたカラム溶液から直接にあるいは遠心蒸発器による体積削減の後、エタノールで2回目の沈殿をされた。その後、沈殿された精製標識DNAは約300μLの水に溶かされ、−20℃で冷凍貯蔵された。
カスケード・ブルー・アセチル化CBAAをDNAと反応させ、製造者がすすめるように、反応緩衝液がpH8.4の0.1MNaHCOであることを除き、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルに対して上述した通りに精製された。
各プローブについてヌクレオチドごとに付随する標識の数は、上述の実施例3〜11で使用されたものと同じ手順により決定された。つまり、プローブ内のアミノ化ヌクレオチドの割合は、発蛍光団付着の前に上述の酵素消化/FPLCクロマトグラフィー法により決定された。標識化の後に発蛍光団に付着するヌクレオチドの割合は、発蛍光団の260nmでの吸収および長波長吸収最大での吸収を用いて、吸収スペクトルから決定された。非結合染料の長波長吸収最大での吸収に対する260nmでの吸収の比と結合の長波長吸収とが乗算され、その積から結合の260nmでの吸収が差し引かれ、DNAによる260nmでの吸収の寄与が計算される。この260nmでの調整された吸収値は吸収拡張係数10,000M−1cm−1ヌクレオチド−1で割られ、溶液内のプローブのヌクレオチド濃度が得られる。結合の長波長吸収最大値は、発蛍光団の吸収拡張係数で割られ、結合の発蛍光団濃度が得られる。プローブ内の発蛍光団に付着するヌクレオチドの濃度は、発蛍光団濃度のヌクレオチド濃度に対する比を100倍したものとして計算された。発蛍光団の拡張係数はDNAへの結合により変化し得るため、発蛍光団およびDNAの拡張係数の値には、非結合発蛍光団の吸収比と同様に不確実性がある。さらに、計算された標識化の割合は、プローブDNAが完全に非結合標識の影響を受けないということが保証されていないという事実のために、アミノ化の割合よりも高いことがある。こういうことは、標識が非共有的にDNAに結合するとき、あるいは、セファデックスG−25カラムから排出されDNAと共にエタノール溶液内に沈殿する集合体を染料が形成するときに起こる。プローブ調製物内の非結合標識の存在は、プローブがインシトゥハイブリッド形成をほとんど行わないということを必ずしも意味しない。
全染色体彩色プローブのインシトゥハイブリッド形成が、実施例3〜11に述べられたように行われた。蛍光着色された染色体を観察するために用いられたフィルタセットが表5に記載されている。染色体4の着色の特異性および強度に対する全染色体彩色プローブを用いるハイブリッド形成の量的結果が、以下の表18に示される。
Figure 0003656754

標識化プローブは、発蛍光団名(略称)につづく全染色体彩色プローブにより特異的に着色された染色体の数によって同定されている。
酵素消化およびヌクレオチドのFPLC分別によって決定された、脂肪族アミノ結合基を含む全ヌクレオチドの割合
吸収スペクトルによって決定された、共有的に付着した発蛍光団を含む全ヌクレオチドの割合
ハイブリッド形成溶液内の標識化プローブの濃度
特異性は以下のように表される:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性、(++++)非常に良好な特異性
強度は以下のように表される:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白
表5参照
表18は、本実施例に記載されかつ表17に示されたヒト染色体#4に特異的に結合したプローブ内にある発蛍光団を用いたインシトゥハイブリッド形成のいくつかの量的結果を表している。これらの結果は、これら蛍光標識のすべてが顕微鏡により視覚検出可能な標識プローブを提供しかつ染色体#4を着色する特異性を有していることを示している。さらに、表18の結果は標識化された染色体#4プローブ着色の強度および特異性がプローブアミノ化の標識に(したがって標識化に)依存していることを示している。HCCA−およびFCHA−標識プローブは、プローブが1%に関し3%のレベルでアミノ化されているとき、同様の特異性と増強した強度を示す。EITC−、FAP−およびErITC−標識プローブは両方のアミノ化レベルで同様の強度を示すが、より高いアミノ化レベルでは減少した特異性を示す。いくつかの標識では、最適アミノ化レベルは染色体ライブラリーDNAに依存する。たとえば、FAP標識染色体#1および#7特異性プローブは、染色体#4特異性プローブが1%アミノ化でより作用するのに対し(この結果は表には示されていない)、1%アミノ化よりも3%アミノ化プローブにおいてより作用する。FAP−、FCHAおよびCFLのような緑色発蛍光団着色の特異性または明白度の何らかの変化が、観測されたよりも大きな変化で、たとえば、CTMRのようなオレンジ色発蛍光団により観測された。
着色された中期拡張の量的解析が、いくつかの標識プローブについてプローブ着色のアミノ化レベルへの依存性をより正確に調べるために実行された。その結果が表19に示されている。
Figure 0003656754
この解析は、まず、マッキントッシュIIfxコンピュータに接続された冷却CCDカメラ(フォトメトリックス社(Photometrics)、アリゾナ州ツクソン、シリーズ200カメラ)を用いて、蛍光着色された中期拡張のデジタル画像を記録することにより行われた。画像処理ソフトウェア(バージニア州ビエンナのIPラボのシグナル・アメリティクス)が、特異性着色染色体(特異強度)、残りの染色体(非特異強度)および非染色体領域(ブロッキング強度)のそれぞれの平均画像画素強度を独立に決定するために用いられた。特異性は、背景強度を差し引く前(総体の特異性/非特異性)或いは後(正味の特異性/非特異性)のいずれかでの、特異性着色染色体強度の非特異性着色染色体強度に対する比であると考えられる。
表19に記載された強度および特異性(強度比)はいくつかの重要な傾向を示している。一般に、特異性着色強度はプローブのアミノ化レベルの増加とともに、したがって標識化の割合とともに増加する。強度はアミノ化レベルの増加とともに最大値まで増加し、さらにアミノ化レベルを増加させると減少する。特異性も同様なふるまいをする。理想的には、強度および特異性は同じアミノ化レベルで最大となり、特有のプローブDNAおよび標識について最適のアミノ化レベルを示す。しかしながら、これは常に成り立つものではなく、最適アミノ化レベルは強度および特異性の間で調整されなければならない。これらの値に影響を与える他の要素はプローブの濃度である。低い濃度においては、通常特異性が改善され、強度が減少する。高い強度の着色および低い特異性を備えるプローブは、プローブ濃度を低くすることにより特異性を改善することに寄与し得る。もしプローブ着色の強度がすでに低いのであれば、プローブ濃度を低下させることが特異性を改善し、かつ着色強度を許容できないレベルにまで低下させない。
表19に記載されている数値は中期領域内の平均強度を表したものに過ぎない。これらの計算においては、染色体に沿った或いはその外側での強度の変化を知ることができない。それゆえ、特異性が平均値で示されたものよりも小さいことも有り得る。たとえば、標識染色体#6プローブは、染色体#6を着色するのと同じ強度で#6以外の染色体の小領域を着色するようであってもよい。しかしながら、これは商業的には許容できない特異性であって、非特異性着色染色体の平均強度は、全染色体の明るいスポットの平均化により低いものになり、特異性の欠如に気づくであろう。それゆえ、背景および染色体着色の視覚観察はデジタル情報により考慮される必要がある。デジタルの視覚情報を考えると、さまざまなプローブについての最適アミノ化レベルは、HCCA、CBAA、FCHAおよびDMBPについては約3%、そしてEITCおよびErITCについては約1%であると既存のデータから現在考えられている。いくつかの染色体−染色体変化が最適アミノ化レベルで観察されかつこれらの解析が上述の研究活動に基づいているために、これらの値は非常に一般的な数値である。
ヒト染色体#12のセントロメア領域に特異的に相補的な直接的標識プローブ組成物
ヒト染色体#12のセントロメア領域に特異的に相補的なものとして知られているクローン化DNAが、ビットナー(Bittner)などの米国特許に記載された手順に従って用意された(精製プラスミドDNAクローン配列#1−1として同定され、3.5kbpの挿入を有し、DNA繰り返し配列を含むことが知られている)。この配列はブランソン音波処理器450(Branson Sonifier 450;Danbury,CT)を用いた音波処理により約300塩基ペアの断片に分裂させられた。プラスミド調製物からのDNAが2mLの水中で500μg/mLの濃度に音波処理された。その溶液は、音波処理の間の沸騰を避けるために、ドライアイス/エタノール槽内に沈められたポリプロピレンチューブ5mL内に含められた。音波処理装置のマイクロチップは、チップがチューブの底から2〜5mmとなるまで溶液内に沈められた。音波処理は、5〜7分周期で80%のデューティーサイクル(オン時間%)で非連続的に、25〜30ワットの出力パワーで行われた。以下の音波処理において、DNAが、3M酢酸ナトリウム(pH5.5)0.2mLとエタノール4.5mLとを加えることにより沈殿させられた。沈殿物は8,000×gで5分間遠心分離させられ、真空乾燥された。
二亜硫酸塩緩衝液を調製するため、濃HCl1.7mLが氷上の脱イオン化HO1mLに加えられた。その後、1mLの新たなエチレンジアミン(シグマ触媒#E−4379)が氷上でゆっくり加えられた。エチレンジアミノの溶解の後、溶液が室温まで暖められ、メタ二亜硫酸塩ナトリウム0.475g(アルドリッチ触媒#25,555−6)が加えられた。そして、pHが7.0になりかつ溶液の体積が5.0mLに調製されるまで、濃HClが二亜硫酸塩混合液に加えられた。
プローブDNAをアミノ基転移するために、1mgの音波処理されたDNAが500μLの水中に再浮遊させられた。DNAは100℃で5分間煮沸された後氷水槽内で急速冷却されることにより変性された。アミノ基転移反応は4.5mLの二亜硫酸塩緩衝液を加えることにより開始された。二亜硫酸塩緩衝液での反応は37℃において2日間行われるようにされた。DNA溶液は、5〜10mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に対しての通常の透析により脱塩された。透析の後、0.6mLの3M酢酸ナトリウム(pH5.5)が加えられた。アミノ化DNAは2体積のエタノールで沈殿させられ、8,000×gで10分間遠心分離させられた後回収された。ペレットは真空乾燥させられ、1mLの水中に再浮遊された。
デオキシシチジンのアミノ基転移の程度は、実施例2で述べたFPLCクロマトグラフィーシステムの結果物であるヌクレオチドの分離につぐ、アミノ化DNAの酵素消化によって決定された。この解析の結果は、全ヌクレオチドの3.4%、すなわちデオキシシチジンの13.6%がアミノ基転移したことを示した。
上述のビットナーの引用文献に記載されているようにヒト染色体#12から抽出した40μgのアミノ基転移DNA配列1−1が2mLチューブ内で乾燥させられ、362μLのpH7.4で0.20MMOPS(3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸)内に再浮遊させられた。蛍光化合物5−(および6−)カルボキシテトラメチルローダミン(CTMR)スクシンイミドエステルが30mMまでジメチルホルムアミドに溶解させられた。中間アミノ基転移ヌクレオチドに対する150倍モル過剰発蛍光団(全ヌクレオチドの5%がアミノ基転移したと仮定する)が、この場合には37.9μLの30mMCTMR、DNAに加えられた。この標識化反応は、チューブを回転させて一晩室温で暗中において行われた。過剰発蛍光団から離れた標識プローブの精製は、3段階の手順で行われた。第1の手順はエタノール沈殿であった。すべての残余エタノールは沈殿ペレットから蒸発させられ、その後プローブは300μLの水中に再浮遊させられた。この溶液は、内径1cmで高さ28cmのセファデックスジー−25カラムを通過させられた。所望画分(カラム空隙率)が水中に溶離させられ、全体積を減少させるために乾燥させられた。次にエタノール沈殿が精製され、乾燥ペレットが300μLの水中に再浮遊させられた。標識プローブの吸収スペクトルは全ヌクレオチドの3.3%が標識化されたことを示した。
インシトゥハイブリッド形成による染色体#12のセントロメア領域の検出
以下に述べるように実施例14のプローブ組成物がヒト染色体#12のセントロメア領域を検出するために用いられた。
目的DNAは中期に止めるように処理されている通常の培養白血球細胞から成っていた。これら細胞は、核が破れて染色体がさらされるように約2〜3フィートから顕微鏡スライド上に落とされた。非破壊すなわち間基細胞もスライド表面に存在していた。ハイブリッド形成の前にこのスライドは2分間、70%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)の変性溶液内に70℃でおかれた。そして、このスライドは70%、85%および100%エタノール槽を通過させられることにより(それぞれ2分間)、脱水された。その後スライドは約40℃に暖められた。
各スライドにおかれたハイブリッド形成混合液は常に55%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.15M NaCl/15mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)であった。許容される信号強度および特異性を得るために必要とされる最適濃度を決定すべく、塩基ハイブリッド形成混合液に加えられるプローブの濃度が変化させられた。反応混合液は、担体およびブロッキングDNAとして加えられた音波処理されたヒト胎盤DNAを4.5μg含んでいた。非標識化ヒト胎盤DNAに加えて、約96ngの蛍光標識化ヒト胎盤DNAが遺伝子抗退色剤として加えられた。このような遺伝子抗退色剤の調製物はモリソンなどの米国特許において教示されている。完了したハイブリッド形成混合液の10μLが70℃での5〜15分間加熱により変性させられ、37℃で5分間培養された。混合液はスライドに直接に与えられ、端がゴムセメントで密封されたガラス製カバースリップで被覆され、湿潤室内において42℃で一晩ハイブリッド形成可能となるようにされた。
翌日、非結合プローブは、(45℃において15分づつ3回)スライドが0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム50%ホルムアミドv/v(pH7.0)内で洗浄されることにより取り除かれた。その後(45℃において15分間)0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(2XSCC、pH7.0)内でスライドが一回洗浄された。最後に、(45℃において15分間)0.1Mクエン酸ナトリウム/0.1%NP40緩衝液(PN緩衝液)内で洗浄された。さらに、スライドは、PN緩衝液内で(室温において2分間づつ)2回洗浄され、空気乾燥された。防退色性溶液10μLが目的細胞に付与され、カバースリップがその上に被せられた。スライドは蛍光顕微鏡により観察された。その結果を以下の表20に示す。
Figure 0003656754
(1)強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白、(NE)評価できず
(2)特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性、(++++)非常に良好な特異性、(NE)評価できず
(3)ブロッキングDNAが存在する(4.5μgヒト胎盤DNA/10μL)
以上の結果から、実施例14のアルフォイドDNAプローブに直接発蛍光団を付着させることにより、特異性セントロメアのインシトゥハイブリッド形成解析に容易に用いられ得るプローブ組成物が生成されるという結論が得られる。
ヒト染色体#8のセントロメア領域に特異的に相補的な直接的標識プローブ組成物
ヒト染色体#8のセントロメア領域に特異的に相補的なものとして知られているクローンDNAが、ビットナーなどの米国特許に記載された手順に従って用意された(精製プラスミドDNAクローン配列10−4として同定された)。
プラスミド10−4からのDNA配列が発酵により用意された。プラスミド10−4を含むバクテリアが、200μg/mLのアンピシリンを含むYT寒天プレートに筋状におかれた。このプレートからの単一の群が2mLの2YTブイヨンに移され、撹拌しながら一晩30℃で成長させられた。このバクテリア分散液はビットナーの米国特許に述べられた発酵過程のための種の貯蔵として働き、発酵した培養およびDNA配列の抽出はそこに記載されたようなものであった。発酵により細胞の質量は204gになった。このペレットの122gの抽出は、60mgのプラスミドDNAを生成した。結果物であるプラスミド10−4DNA配列1mgが、ビットナーなどの米国特許に記載されているように音波処理された。この音波処理されたDNA1mgは非冷却水1mL内に再浮遊させられた。DNAは5分間煮沸された後氷上で急速冷却されることにより変性された。
9mLの二亜硫酸塩緩衝液が加えられ、実施例14で述べたようなアミノ基転移反応が37℃において2日間行われるようにされた。結果物であるDNA生成物は、10mMホウ酸ナトリウム(pH8.0)に対しての通常の透析により脱塩された。その結果物であるDNAは、0.1体積の3M酢酸ナトリウム(pH5.5)および2.5体積のエタノールが加えられることにより沈殿させられ、沈殿させられたDNAは1mg/mL濃度で水中に再浮遊させられた。
染色体#8のセントロメアへの40μgの結果物アミノ基転移DNA配列10−4が2mLチューブ内で乾燥させられ、362μLのpH7.4で0.20MMOPS(3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸)内に再浮遊させられた。発蛍化合物5−(および6−)カルボキシテトラメチルローダミン(CTMR)スクシンイミドエステルが30mMまでジメチルホルムアミドに溶解させられた。150倍モル過剰発蛍光団が、この場合には37.9μLの30mMCTMRが、アミノ化DNAに加えられた。この標識化反応は、チューブを回転させて一晩室温で暗中において行われた。
過剰発蛍光団から離れた標識プローブの精製は、3段階の手順で行われた。第1の手順はエタノール沈殿であった。すべての残余エタノールは沈殿ペレットから蒸発させられ、その後プローブは300μLの水中に再浮遊させられた。この溶液は、内径1cmで高さ28cmのセファデックスG−25カラムを通過させられた。所望画分(カラム空隙率)が水中に溶離させられ、全体積を減少させるために乾燥させられた。次にエタノール沈殿が精製され、乾燥ペレットが300μLの水中に再浮遊させられた。結果物である直接的標識プローブの吸収スペクトルは全ヌクレオチドの3.1%が標識づけられたことを示した。
インシトゥハイブリッド形成による染色体#8のセントロメア領域の検出
以下に述べるように実施例16のプローブ組成物がヒト染色体#8のセントロメア領域を同定(検出)するために用いられた。
実施例16の直接的標識プローブ組成物16ngが防護キャップをもつ0.5mLチューブ内で乾燥させられた。プローブは、ブロッカーとして加えられた音波処理されたヒト胎盤DNA4.5μgとともに10μLの55%ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/0.15M NaCl/15mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)内に再浮遊させられた。このハイブリッド形成混合液は、70℃の水槽内のチューブに5分間置かれて変性させられた。
実施例15に述べられたように用意された目的スライドは、3分間、70%ホルムアミド/2XSSCの70℃溶液内におかれることにより変性され、その後70%、85%および100%エタノール槽を連続的に通過させられることにより(それぞれ2分間)、脱水された。前に変性されたハイブリッド形成混合液の一滴がスライドの上にピペットで運ばれ、この一滴がカバースリップで覆われた。カバースリップはスライド上のゴムセメントで密封された。ハイブリッド形成混合液は、37℃の湿潤室内において一晩暗中でハイブリッド形成可能となるようにされた。
翌日、残余の非結合プローブは、(45℃において15分づつ3回)スライドが50%ホルムアミド/0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)内で洗浄されることにより取り除かれた。その後(45℃において15分間)0.3MNaCl/30mMクエン酸ナトリウム(2XSCC、pH7.0)内でスライドが一回洗浄された。最後に、(45℃において15分間)0.1Mクエン酸ナトリウム/0.1%NP40緩衝液(PN緩衝液)内で洗浄された。さらに、スライドは、PN緩衝液内で(室温において2分間づつ)2回洗浄され、空気乾燥された。防退色性溶液内の1μg/mLDAPIの7.5μLが目的細胞に付与され、カバースリップがその上に被せられた。結果を以下の表21に示す。
Figure 0003656754
(1)強度:(-)不視、(+)いくぶん可視、(++)かなり可視、(+++)明白、(++++)非常に明白、(NE)評価できず
(2)特異性:(-)不明確、(+)少量の特異性、(++)かなりな特異性、(+++)良好な特異性、(++++)非常に良好な特異性、(NE)評価できず
(3)ブロッキングDNAが存在する(4.5μgヒト胎盤DNA/10μL)
以上の結果から、以上のように生成された直接的標識プローブ組成物は、蛍光解析を用いる特異性染色体セントロメアのインシトゥハイブリッド形成一覧表の使用に好適であるという結論が得られる。その他およびさらなる具体例は以上の記述および実施例から当業者にとって明らかであろう。如何なる限定も以上の実施例から導かれるものではない。

Claims (7)

  1. 被検染色体又は染色体領域の異なる部分と相補性のある複数のDNAセグメントを含む、前記染色体又は染色体領域に存在するDNAを染色するための直接的標識プローブ組成物において、
    (i)前記複数のDNAセグメントのそれぞれが、それ自身に含まれているシトシン塩基に共有結合されている蛍光標識を含んでおり、
    (ii)前記複数のDNAセグメント中における全ヌクレオチド塩基の0.3〜6.0モル%が蛍光標識されていることを特徴とするプローブ組成物。
  2. 前記複数のDNAセグメントが150〜600bpの平均長を有している請求項1のプローブ組成物。
  3. 前記蛍光標識がアミノ基転移シトシンサイトを介して前記DNAセグメントに共有結合されている請求項1のプローブ組成物。
  4. (a)ハイブリッド形成条件下で、請求項1の前記プローブ組成物を前記被検染色体又は染色体領域に接触させる工程;及び
    (b)前記接触後に、前記プローブ組成物によって生じる蛍光信号の有無を検出する工程
    を含む染色体又は染色体領域のインシトゥ検出方法。
  5. 請求項1の前記プローブ組成物に過剰のブロッキングDNAを加えることによってこのプローブ組成物がブロックされている請求項4の方法。
  6. 前記蛍光標識が、7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸、スクシンイミジルエステル;テキサスレッドスルホニルクロライド;5−(及び6−)−カルボキシ−X−ローダミン、スクシンイミジルエステル;リサミンローダミンBスルホニルクロライド;5−(及び6−)−カルボキフルオレセイン、スクシンイミジルエステル;フルオレセイン−5−イソチオシアネート;7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、スクシンイミジルエステル;テトラメチルローダミン5−(及び−6)イソチオシアネート;5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン、スクシンイミジルエステル;7−ヒドロキシクマリン−3−カルボン酸、スクシンイミジルエステル;6−〔フルオロセイン−5(及び−6)−カルボキサミド〕ヘキサン酸、スクシンイミジルエステル;5、7−ジメチル・ボジピィTM・プロピオン酸、スクシンイミジルエステル;活性フルオロセイン誘導体FAP;エオシン−5−イソチオシアネート、カスケードブルーアセチル化物及びエリスロシン−5−イソチオシアネートから成る群から選択される化合物の誘導体である請求項1のプローブ組成物。
  7. (a)2〜200ng/μlの請求項1の直接的標識プローブ組成物;
    (b)0〜80%(容量/容量)の変性剤;
    (c)5〜15%(重量/容量)のハイブリッド形成速度促進剤;
    (d)5〜100ミリモルの緩衝塩;
    (e)0.05〜1モルのハイブリッド安定剤塩;
    (f)1μl当たり0〜1μgのブロッキングDNA;及び
    (g)残部の水
    を含むハイブリッド形成組成物。
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