JP3656655B2 - 合成膨潤性ケイ酸塩及びその製造方法 - Google Patents

合成膨潤性ケイ酸塩及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高品質の合成膨潤性ケイ酸塩の製造方法に関するものであり、更に詳しくはチクソトロピー的性質を有するため化粧品、医薬品、塗料などの添加剤として極めて有用な合成膨潤性ケイ酸塩の製造において、ケイ酸とマグネシウム塩の均質混合液とアリカル溶液とからシリコン・マグネシウム複合体(コロイド粒子の凝集体)を作り、副生溶解質を除去して該シリコン・マグネシウム複合体を効率的に分離・洗浄及び濃縮して、高品質の合成膨潤性ケイ酸塩を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成膨潤性ケイ酸塩およびその製造方法として、下記一般式(化3)で表される3−八面体型スメクタイトに類似した構造を有する合成膨潤性ケイ酸塩を合成するに当たり、該一般式の組成を満足するシリコン・マグネシウム比を有するケイ酸とマグネシウム塩の均質混合溶液と、アルカリ溶液よりシリコン・マグネシウム複合体を作り、副生溶解質を除去して該シリコン・マグネシウム複合体を分離・洗浄及び濃縮した後、該一般式の組成を満足する量の陽イオンおよび要すればフッ素イオンを添加して得たスラリーを100℃乃至350℃の条件下で水熱反応を行い、次いで反応生成物を乾燥・粉砕する該一般式で示される合成膨潤性ケイ酸塩およびその製造方法(特公昭61−12848号公報、特公昭63−6485号公報)が提案されている。
【0003】
【化3】
Figure 0003656655
【0004】
(式中のa、b、cおよびyの値は0<a<10、0<b≦1、0≦c<2/3a+bおよび1≦y≦2とし、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンおよびアミンからなる群から選んだ少なくとも1個の陽イオンである)。
【0005】
これらの方法で合成膨潤性ケイ酸塩を製造するには、ケイ酸とマグネシウム塩の均質混合液とアルカリ溶液より生成されるシリコン・マグネシウム複合体(コロイド粒子の凝集体)を副生溶解質から濾過することにより分離・洗浄及び濃縮する必要があり、効率よく、ほぼ完全に副生溶解質を除去することが製品の合成膨潤性ケイ酸塩の品位およびコスト低減のうえから極めて重要である。
また、濾過時、濃縮してシリコン・マグネシウム複合体の濃度を高めることは、後工程での装置の小型化及び乾燥コストの低廉化のために必要である。
このシリコン・マグネシウム複合体のコロイド粒子は凝集しており、コロイド粒子の濾過に一般的に使われている限外濾過膜を使用して加圧または減圧によりシリコン・マグネシウム複合体と副生電解質を分離しようとすると、濾過後、直ちに目詰まりをおこし、濾過及び洗浄が事実上できなくなり、頻繁に濾過膜を取り替える必要があった。
【0006】
その為、濾過膜の孔の径を大きくして、目詰まりを防止しようとすると、シリコン・マグネシウム複合体まで濾過されてしまい、副生電解質の分離ができなくなるという問題が生じる。それで、実際はシリコン・マグネシウム複合体はコロイド粒子が凝集しているものであるので、若干のロスを無視して、その凝集物の大部分が捕集できるような孔径の濾過膜を使用して、濾過・洗浄を行うことになるが、この場合でもすぐに目詰まりをおこし、濾過・洗浄速度が大幅に低下するという問題が生じる。
このため、シリコン・マグネシウム複合体を副生溶解質から濾過することにより経済的に且つ効率良く分離・洗浄及び濃縮して、高品質の合成膨潤性ケイ酸塩を製造する方法の出現が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の問題を解決し、ケイ酸マグネシウム塩の均質混合液とアルカリ溶液より生成されるシリコン・マグネシウム複合体を副生溶解質から、目詰まりをおこすことなく濾過することにより、経済的に且つ効率良く分離・洗浄及び濃縮して、高品質の合成膨潤性ケイ酸塩を製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の問題に鑑み本発明者等が鋭意研究した結果、上記の方法で合成膨潤性ケイ酸塩を製造するにあたり、ケイ酸とマグネシウム塩の均質混合液とアルカリ溶液より生成されるシリコン・マグネシウム複合体を副生溶解質から分離・洗浄及び濃縮する時、クロスフロー方式による濾過方法を用いて特定の条件下で濾過することにより、効率よくほぼ完全に分離・洗浄及び濃縮ができることを見出し、本発明を成すに至った。
【0009】
本発明の請求項1の発明は、下記一般式(化4)で表される3−八面体型スメクタイトに類似した構造を有する合成膨潤性ケイ酸塩を合成するに当たり、該一般式の組成を満足するシリコン・マグネシウム比を有するケイ酸とマグネシウム塩の均質混合溶液と、アルカリ溶液よりシリコン・マグネシウム複合体を作り、副生溶解質を除去して該シリコン・マグネシウム複合体を分離・洗浄及び濃縮した後、該一般式の組成を満足する量の陽イオンおよび要すればフッ素イオンを添加して得たスラリーを100℃乃至350℃の条件下で水熱反応を行い、次いで反応生成物を乾燥・粉砕する該一般式で示される合成膨潤性ケイ酸塩の製造方法において、該副生溶解質を除去して該シリコン・マグネシウム複合体を分離・洗浄及び濃縮するに当たり、クロスフロー方式による濾過方法を用い、レイノルズ数が50〜5000の範囲に入るように設定して行うことを特徴とする合成膨潤性ケイ酸塩の製造方法である。
【0010】
【化4】
Figure 0003656655
【0011】
(式中のa、b、cおよびyの値は0<a<10、0<b≦1、0≦c<2/3a+bおよび1≦y≦2とし、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンおよびアミンからなる群から選んだ少なくとも1個の陽イオンである)。
【0012】
本発明の請求項2の発明は、該シリコン・マグネシウム複合体の平均粒子径の95%以上が200nm以下になるようにコントロールし、平均細孔径が0.1〜5μmの濾過膜を用いることを特徴とする請求項1に記載の合成膨潤性ケイ酸塩の製造方法である。
【0013】
次に本発明で用いるクロスフロー方式による濾過方法を詳しく説明する。
上記クロスフロー方式による濾過方法は、濾過対象原液を膜フイルターで直接濾過する一般的に行われている方法に対し、図1と図2に示したように、濾過対象原液2を濾過膜1の表面に平行に流しながら濾過液4を原液2とクロスする方向に濾過膜1を通してフローさせて濾過を行う方法である。
図1は管状の濾過膜1の内部を原液2がフローし、濾過液4が外部へフローする場合の断面説明図であり、図2は管状の濾過膜1の外部を原液2がフローし、濾過液4が内部へフローする場合の断面説明図である。原液2中にはコロイド粒子3が含まれている。
図3の(A)および(B)は濾過膜の1例であるセラミック製濾過膜の断面を示す説明図である。
【0014】
図4はクロスフロー方式による濾過方法のシステムの一例を示す説明図である。原液2を原液フィードポンプ6により原液槽7に供給する。原液2は循環ポンプ6’により熱交換器8を経由して温度、圧力、流量を制御して送液され、濾過膜1、1’、1”により順次濾過されライン9から原液槽7に循環され、そしてこれが繰り返される。濾過液はライン9’から濾液受槽7’に送液されてポンプ6”により次工程に送られる。
ライン9”はドレインラインである。副生溶解質の分離、シリコン・マグネシウム複合体の濃縮が進んだとき、洗浄液10を原液槽7に供給して副生溶解質の分離を完全に行うと共に、水を分離し、シリコン・マグネシウム複合体の水スラリーの濃縮を進める。シリコン・マグネシウム複合体の分離・洗浄及び濃縮が完了したら濃縮液5を系外へ排出する。
また、濾過膜1、1’、1”の詰まりを解消するため、濾液を上記と逆に流して逆洗を施すこともできるようになっている。
【0015】
本発明においてクロスフロー方式による濾過方法によりシリコン・マグネシウム複合体と副生溶解質の濾過・分離を行う際、レイノルズ数が50〜5000、望ましくは1000〜5000になるように設定して濾過・分離を行うことが肝要である。
シリコン・マグネシウム複合体のケーキ層が濾過膜上に生成するのを防止し、濾過速度の低下を防止し、且つ効率的に洗浄及び濃縮を行うのに、レイノルズ数を特定の値に設定することが必須の条件であることが、濾過・洗浄テストを繰り返すうちに明らかになった。
レイノルズ数が50未満ではシリコン・マグネシウム複合体のケーキ層が濾過膜上に生成するのを防止できず、レイノルズ数が5000を超える場合は濾過システムの設定が難しくコスト高になる。また、シリコン・マグネシウム複合体の濃度を極度に下げればレイノルズ数を5000以上にすることもできるが、分離はよいが、濃縮の点からは不経済であり好ましくない。
【0016】
クロスフロー方式による濾過方法が有効な理由は次のように考えられるが、これらの考えに限定されるものではないことは当然である。
ケイ酸とマグネシウム塩の均質混合液とカルカリ溶液より生成されるシリコン・マグネシウム複合体(コロイド粒子)は凝集しており、凝集物の内部に入り込んでいる副生溶解質の分離・洗浄を効率的に行うには、この凝集物をより小さく壊す必要がある。
一方、濾過速度の低下を防止するには、小さく壊されたシリコン・マグネシウム複合体がフイルター上に堆積するのを防止し、そしてフイルター上に粘着性ある凝集塊が生成するのを防止して、フイルターが目詰まりするのを防止する必要がある。
このような相反する問題を解決するために、クロスフロー方式による濾過方法でレイノルズ数を50以上、好ましくは1000以上の乱流域に設定し、濾過境界面で渦を生じさせることが極めて有効であるものと判断される。レイノルズ数が50〜1000の場合は能力的には劣るが、やはり同様な効果が得られるものと考えられる。
【0017】
しかし、実際の濾過・洗浄を行う場合は、出来るだけレイノルズ数が1000以上の状態で行い、洗浄がほぼ完了したあとの濃縮段階で1000以下に下げるのが望ましい。
【0018】
また本発明においては、上記のようにクロスフロー方式による濾過方法によりシリコン・マグネシウム複合体を副生溶解質から分離し、洗浄、濃縮した後、前記一般式の組成を満足する量の陽イオンおよび必要に応じてフッ素イオンを添加して得たスラリーを、100℃乃至350℃の条件下で水熱反応を行い、次いで反応生成物を乾燥・粉砕することにより前記一般式で示される合成膨潤性ケイ酸塩を得ることができるが、高品質の合成膨潤性ケイ酸塩を得るためには、即ち、合成膨潤性ケイ酸塩を水中に分散した分散液の透明度と粘性が高く、無機または有機塩の水溶液にも分散して高粘度を示すような合成膨潤性ケイ酸塩を得るためには、シリコン・マグネシウム複合体の粒子径の95%以上が200nm以下になるようにコントロールして、ケイ酸とマグネシウム塩の前記均質混合溶液と、アルカリ溶液よりシリコン・マグネシウム複合体を作ることが好ましいことを見いだした。
【0019】
また、殆どが200nm以下の粒子径のコロイド粒子のクロスフロー方式による濾過において、濾過膜の細孔径は、コロイド粒子の大きさや凝集状態及び濾過時のレイノルズ数の値により最適値は異なるが、経済的な濾過速度で濾過を行い、そして濾過時のコロイド粒子の損失を少なくするためには、その細孔径を0.1〜5μmの範囲に限定することが好ましいことが判った。
【0020】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しないかぎり実施例に限定されるものではない。
(実施例1、比較例1〜2)(クロスフロー方式による濾過方法を用いたシリコン・マグネシウム複合体の分離・洗浄・濃縮)
10リットルのビーカーに水4リットルを入れ、3号水ガラス(SiO2 28%、Na2 0 9%、モル比3.22)860gを溶解し、12規定塩酸溶液250mlを攪拌しながら一度に加えてケイ酸溶液を得た。
次に水1リットルに塩化マグネシウム六水和物一級試薬(純度98%)550gを溶解した溶液をケイ酸溶液に加えて調整したケイ酸−マグネシウム塩均質溶液を2規定水酸化ナトリウム溶液3.8リットル中に攪拌しながら5分間で滴下した。
一定時間攪拌してシリコン・マグネシウム複合体(粒子径の90%以上が500nm以下)と副生溶解質から成るスラリー溶液を作り、それを用いて濾過・洗浄テストを行った。濾過・洗浄後、平均凝集粒子径を測定した。
なお、濾過・洗浄テストにあたり、シリコン・マグネシウム複合体のスラリー溶液は1〜10kgを使用し、洗浄用の純水はその5倍量を使用した。
【0021】
クロスフロー方式による濾過システムは、図3に示したセラミック膜フィルターを用い、図4に示した日本ガイシ(株)のシステム[クロスフロー濾過器(セラミック膜フイルター、チューブラータイプ、濾過面積400cm2 )]を使用した。
結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003656655
【0023】
比較例1の自然濾過法では、直径20cmの漏斗とテトロン製濾布を用いて、自重により濾過を行った。
比較例2の加圧濾過法では、光信理化学(株)製のKS型加圧濾過器(濾過面積130cm2 )とテトロン製濾布を用いて、加圧して濾過を行った。
本発明法による実施例1では濾過・洗浄時、レイノルズ数ができるだけ1000〜5000になるようにして行った。
表1より、比較例1の自然濾過法、比較例2の加圧濾過法とも平均凝集粒径が50μmであるのに対し、実施例1では5μmと1/10になり、凝集物が壊されていること、また濾過速度が他法に比べ、10倍以上速いことが判る。
【0024】
洗浄後のシリコン・マグネシウム複合体の純水10%溶液の電気伝導度(mS/cm)を測定したところ、次の値が得られた。
比較例1 自然濾過法 5.76
比較例2 加圧濾過法 4.05
実施例1 本発明法 0.57
電気伝導度はシリコン・マグネシウム複合体中に含まれる副生溶解質濃度にほぼ比例するものと考えられるため、上記結果より、本発明の方法によれば凝集物を小さく壊して濾過・洗浄を行うため、シリコン・マグネシウム複合体の凝集物に内蔵されている副生溶解質は極めて除かれがたいものであるにもかかわらず、副生溶解質の含量が減り、電気伝導度が一桁低くなったものと判断できる。
このように、本発明の方法によれば、電気伝導度が低く、言い替えれば副生溶解質含量が少ないシリコン・マグネシウム複合体を得ることができるので、その結果、純度の高い高品質の膨潤性ケイ酸塩が得られるものと考えられる。
【0025】
(実施例2)(クロスフロー方式による濾過方法を用いたシリコン・マグネシウム複合体の分離・洗浄・濃縮)
実施例1と同様な方法でシリコン・マグネシウ複合体を作ったが、その際、反応温度、反応時間、攪拌速度等を調整して、粒子の95%以上が200nm以下になるように調整した。得られたシリコン・マグネシウ複合体の副生溶解質からの分離・洗浄テストを実施例1と同様な条件で行った。濾過・洗浄後、平均凝集粒子径を測定した。
結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
Figure 0003656655
【0027】
(実施例3〜4、比較例3〜4)(膨潤性ケイ酸塩の製造およびその物性値)
実施例1、2および比較例1、2で得られたシリコン・マグネシウム複合体1080gを濾過、及び充分に水洗した後、水酸化ナトリウム3gを溶解した水溶液20mlを加えてスラリー状とし、オートクレーブに移し、41kg/cm2 、250℃で3時間、水熱反応させた。
冷却後、反応物をとりだし、80℃で乾燥した後、擂潰機にて粉砕し、物性測定用の膨潤性ケイ酸塩のサンプルを得た。
膨潤性ケイ酸塩の純水1%溶液を用い波長500nmの光による透過率(%)、同純水2%溶液の粘度(cp)(B型粘度計、60回転/分の測定値)、陽イオン交換容量(mg当量/100g)および同純水1%溶液のpHを測定した。
結果をまとめて表3に示す。
【0028】
【表3】
Figure 0003656655
【0029】
表3に示した結果より、膨潤性ケイ酸塩の重要な物性である透過率及び粘度について、実施例1,2で得られたシリコン・マグネシウム複合体を用いて作られた膨潤性ケイ酸塩(実施例3、4)は、比較例1,2で得られたシリコン・マグネシウム複合体を用いて作られた膨潤性ケイ酸塩(比較例3、4)に比較して高い値を示す。
しかも実施例2のようにシリコン・マグネシウ複合体の95%以上の粒径を200nm以下にコントロールすると、それを用いて作られた膨潤性ケイ酸塩(実施例4)の光透過率は高品質の一つの目標である95%以上になり、粘度も約2倍に高まることが判る。
【0030】
(実施例5〜6、比較例5〜6)(膨潤性ケイ酸塩の物性値)
実施例3、4および比較例3、4で得られた物性測定用の膨潤性ケイ酸塩サンプルの2%水溶液を調整し、そこへ無機又は有機塩類を0.5或は2%相当量添加し、スターラーでかきまぜて粘度測定用溶液を調整した。二層に分離しない均質な高粘性液が得られた場合は、粘度(cp)(B型粘度計、60回転/分の測定値)を測定した。
結果をまとめて表4に示す。
表4より、二層分離せず、均質な高粘性液を生ずるのは実施例3、4で得られた膨潤性ケイ酸塩の場合(実施例5および実施例6)であり、しかも実施例2のようにシリコン・マグネシウム複合体の95%以上の粒径を200nm以下にコントロールすると、それを用いて作られた膨潤性ケイ酸塩は分散性が非常によくなる(実施例6)ことが判る。比較例3、4で得られた膨潤性ケイ酸塩の場合は、二層に分離してしまい、均質な高粘性液が得られなかった(比較例5および比較例6)。
【0031】
このように無機又は有機塩類の水溶液に分散して、二層分離せず、均質な高粘性液を生ずる物性は、膨潤性ケイ酸塩を化粧品、医薬品、塗料などへ、チクソトロピー的性質を付与する添加剤として適用する時の極めて重要な物性である。
なお、上記のような無機または有機塩の水溶液にも分散して高粘性を示す性質は、市販の合成膨潤性ケイ酸塩にもいくらか認められるものもあるが、本発明の方法により製造された膨潤性ケイ酸塩のように分散性の大きいものは他に見られなかった。
【0032】
【表4】
Figure 0003656655
【0033】
【発明の効果】
本発明は、合成膨潤性ケイ酸塩を製造するにあたり、ケイ酸とマグネシウム塩の均質混合液とアルカリ溶液より生成されるシリコン・マグネシウム複合体を副生溶解質から分離・洗浄及び濃縮する時、クロスフロー方式による濾過方法でレイノルズ数が50〜5000の範囲に入るように設定して行うと、濾過膜の目詰まりをおこすことなく濾過でき、経済的に且つ効率良くシリコン・マグネシウム複合体の分離・洗浄及び濃縮を行うことができ、高品質の合成膨潤性ケイ酸塩を製造できる。
更に、シリコン・マグネシウム複合体の粒子径の95%以上を200nm以下になるようにコントロールし、濾過膜の細孔径を0.1〜5μmに限定して、シリコン・マグネシウム複合体の分離・洗浄及び濃縮を行うと、一層経済的に且つ効率良くシリコン・マグネシウム複合体の分離・洗浄及び濃縮を行うことができ、より高品質の合成膨潤性ケイ酸塩を製造できる。
本発明の方法により、化粧品、医薬品、塗料などへ、チクソトロピー的性質を付与する添加剤として極めて有用な高品質の合成膨潤性ケイ酸塩を安価に製造することができ、産業上の利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クロスフロー方式濾過の説明図である。
【図2】 他のクロスフロー方式濾過の説明図である。
【図3】 (A)、(B)はセラミック製濾過膜の断面説明図である。
【図4】 クロスフロー方式濾過方法のシステムの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
PI 圧力計
TIC 温度指示制御計
FIC 流量指示制御計
LS 液面計
1、1’、1” 濾過膜
2 原液
3 コロイド粒子
4 濾過液
5 濃縮液
6、6’、6” ポンプ
7、7’ タンク
8 熱交換器
9、9’、9” パイプライン
10 洗浄液

Claims (2)

  1. 下記一般式(化1)で表される合成膨潤性ケイ酸塩を水熱合成する工程において、レイノルズ数が50〜5000の範囲に入るように設定したクロスフロー方式による濾過方法を用いて、コロイド粒子の凝集物を壊し、該凝集物中に含まれる副生溶解質を除去する方法で得られた合成膨潤性ケイ酸塩
    Figure 0003656655
    (式中のa、b、cおよびyの値は0<a<10、0<b≦1、0≦c<2/3a+bおよび1≦y≦2とし、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンおよびアミンからなる群から選んだ少なくとも1個の陽イオンである)
  2. 下記一般式(化)で表される合成膨潤性ケイ酸塩を合成するに当たり、該一般式の組成を満足するシリコン・マグネシウム比を有するケイ酸とマグネシウム塩の均質混合溶液と、アルカリ溶液よりシリコン・マグネシウム複合体を作り、コロイド粒子中に含まれる副生溶解質を除去して該シリコン・マグネシウム複合体を分離・洗浄及び濃縮した後、該一般式の組成を満足する量の陽イオンおよび要すればフッ素イオンを添加して得たスラリーを100℃乃至350℃の条件下で水熱反応を行い、次いで反応生成物を乾燥・粉砕する該一般式で示される合成膨潤性ケイ酸塩の製造方法において、コロイド粒子中に含まれる該副生溶解質を除去する際、クロスフロー方式による濾過方法を用い、レイノルズ数が50〜5000の範囲に入るように設定して、該コロイド粒子の凝集物を壊し、該凝集物中に含まれる副生溶解質を除去することを特徴とする合成膨潤性ケイ酸塩の製造方法。
    Figure 0003656655
    (式中のa、b、cおよびyの値は0<a<10、0<b≦1、0≦c<2/3a+bおよび1≦y≦2とし、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンおよびアミンからなる群から選んだ少なくとも1個の陽イオンである)。
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