JP3656407B2 - 研削砥石の監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械加工に用いられる研削盤を操作する際の研削砥石のバランス状態を監視する、研削砥石の監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の研削盤の自動監視装置としては、例えば特開昭56−126,567号公報に記載されたものが知られている。この自動監視装置は、図5に示すように、工具1で金型2を自動磨きする際の、工具の異常状態を検出および制御する装置であり、工具1が金型の側面3に接触したり、側面の段差部4へ落下したりするのを自動的に検出し、工具回転モータとテーブル送りを停止しようとするものである。
【0003】
同図(C)は金型自動磨き装置の外観を示した斜視図であり、図中符号5は金型の磨き部、6はテーブル、7は磨きヘッド、8は磨きヘッド7の上部に取り付けられた変位検出器、9は磨き工具1に与える荷重を調整するためのナット、10は磨きヘッド7を支えるためのコラムである。
【0004】
この自動磨き装置は、工具1が常に一定荷重で金型2を加工するようになっているため、同図(A)や(B)に示すように、工具1が金型の側面3に接触したり、側面の段差部4へ落下したりすると、変位検出器8から出力される信号が急激に変動することを利用して、工具1およびテーブル6を駆動するモータを自動で停止させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の研削盤の自動監視装置は、砥石が加工に不適当な状態となって初めて研削盤の運転を停止するといった単一のコントロールは可能であるものの、砥石の状態を詳細に把握することは不可能であり、研削盤の運転状態を細かくコントロールすることは困難であった。
【0006】
このため、加工を停止する必要がない場合にも、研削盤を停止してしまうなど、生産性の低下を招いたり、あるいは砥石の状態に合わせた最適な研削盤のコントロールが不可能であるために、精密な加工を行う際の自動運転には適用できないといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、研削盤の運転状態を細部にわたりコントロールすることができる研削砥石の監視装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の研削砥石の監視装置は、研削盤の砥石軸および/または研削砥石の振動を検出する振動検出手段と、前記研削盤のコントローラに入力された砥石回転数の設定値に基づいて前記砥石軸および/または研削砥石の回転周波数の固有領域を定め、この固有回転周波数領域における前記振動検出手段からの実振動レベルを抽出する振動レベル抽出手段と、前記振動レベル抽出手段により抽出された実振動レベルと予め設定された第1の基準振動レベルとこれより大きい値の第2の基準振動レベルとを比較し、この比較結果に基づいて前記研削盤のコントローラに指令信号を出力する演算手段と、を備え、当該演算手段は、前記振動レベル抽出手段により抽出された実振動レベルが、前記第1の基準振動レベル以下のときは、前記研削盤のコントローラに対して加工可能の指令信号を出力し、前記実振動レベルが、前記第1の基準振動レベルから前記第2の基準振動レベルの間のときは、前記研削盤のコントローラに対して加工サイクルを停止させる指令信号を出力するとともに前記研削砥石を回転させたまま待機させる指令信号を出力し、前記実振動レベルが、前記第2の基準振動レベル以上のときは、前記研削盤のコントローラに対して瞬時に加工サイクルおよび前記研削砥石の回転を停止させる指令信号を出力することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の研削砥石の監視装置は、前記演算手段は、さらに、待機開始から予め設定された時間内に、前記振動検出手段および前記振動レベル抽出手段により検出される実振動レベルが前記第1の基準振動レベル以下になった場合には、前記研削盤のコントローラに対して加工サイクルを自動復帰させる指令信号を出力し、待機開始から予め設定された時間内に、前記振動検出手段および前記振動レベル抽出手段により検出される実振動レベルが前記第1の基準振動レベル以下にならない場合には、前記研削盤のコントローラに対して、前記研削砥石のバランス修正もしくは砥石修正を行う旨の喚起または自動バランス修正もしくは自動砥石修正を行わせる指令信号を出力することを特徴とする。
【0010】
この請求項1記載の研削砥石の監視装置では、砥石軸または研削砥石の実振動レベルと、回転数に応じた基準振動レベルとを比較し、その比較結果に基づいて研削盤をコントロールするので、研削砥石の形くずれや軸受けの異常などに起因する砥石軸のアンバランス、あるいは研削砥石の欠損などが生じた場合には、それぞれの状態に応じた最適な運転状態のコントロールが可能となり、自動運転時の生産性の向上や加工不良の大幅な削減ができる。
【0012】
この請求項2記載の研削砥石の監視装置では、加工中に研削砥石に浸透した加工液に起因するアンバランスや研削砥石に付着した切り屑など、回転させることにより取り除くことが可能なアンバランス成分や、逆に取り除くことが不可能なアンバランス成分のそれぞれに対して、適切な処置が自動で行われるため、自動運転時の研削盤の細かなコントロールが可能となる。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、研削砥石の形くずれや軸受けの異常などに起因する砥石軸のアンバランス、あるいは研削砥石の欠損などが生じた場合には、それぞれの状態に応じた最適な運転状態のコントロールが可能となり、自動運転時の生産性の向上や加工不良の大幅な削減ができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、加工中に研削砥石に浸透した加工液に起因するアンバランスや研削砥石に付着した切り屑など、回転させることにより取り除くことが可能なアンバランス成分や、逆に取り除くことが不可能なアンバランス成分のそれぞれに対して、適切な処置が自動で行われるため、自動運転時の研削盤の細かなコントロールが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態を示すブロック図であり、構成を説明すると、11は研削盤に搭載された砥石軸であって、その先端には研削砥石12が取り付けられている。砥石軸11は、後述するコントローラ17からの指令を受けたモータMにより、所定の回転数で回転する。
【0019】
また、この砥石軸11には、加速度ピックアップ(振動検出手段)13が取り付けられており、増幅・変換器14およびトラッキングフィルタ(振動レベル抽出手段)15を介して、演算装置(演算手段)16に接続されている。
【0020】
さらに、コントローラ17は、研削盤の運転状態をコントロールするものであり、このコントローラ17に入力された砥石12の設定回転数は、当該コントローラ17から、モータMおよびトラッキングフィルタ15に送出される。
【0021】
次に作用を説明する。
コントローラ17からモータMに対して設定回転数信号が送出されると、砥石軸11を介して研削砥石12がその所定の設定回転数により回転するが、このとき、その設定回転数は研削盤のコントローラ17からトラッキングフィルタ15にも送出される。
【0022】
一方、砥石軸11に取り付けられた加速度ピックアップ13から取り込まれた砥石軸11の振動加速度は、増幅・変換器14によって振動変位に変換されたのち、トラッキングフィルタ15に入力される。
【0023】
ここで、トラッキングフィルタ15にはコントローラ17からそ研削砥石12の設定回転数が入力されているので、これに基づき、トラッキングフィルタ15では、その砥石12の回転周波数の近傍の振動変位のみを抽出する(図2参照)。これにより、抽出すべき砥石12の固有回転周波数領域を特別な装置を使用することなく決定できる。
【0024】
さらに、このトラッキングフィルタ15にて抽出された振動変位は、演算装置16に取り込まれ、ここに予め設定された大小2段階の振動レベル(しきい値)と比較演算される。
【0025】
図2は、この大小2段階の振動レベルのイメージを表わしたものであり、例えば、加工物表面にびびりマークなどが現れるときの砥石軸11の振動レベルを同図に示す小さい方の振動レベル1とし、研削砥石12が欠損を起こした場合に発生する振動レベルを同図に示す大きい方の振動レベル2と、予め設定しておく。つまり、振動レベル1を越える程度の振動が生じると加工物表面にびびりマークが生じるおそれが十分高く、さらに振動レベル2を越える程度の振動が生じると研削砥石12が欠損した可能性が十分高いものとする。
【0026】
そして、研削加工を行う際には、加速度ピックアップ13から増幅・変換器14を介してトラッキングフィルタ15によって、常に砥石軸11の振動レベルを監視し、さらに、演算装置16にて上述した振動レベル1および2と比較演算する。
【0027】
監視されている砥石軸11の振動が、振動レベル1以下の場合には、何らの問題なく加工が進行しているので、演算装置16から研削盤のコントローラ17に対して加工可能の指令を送出する。これに対して、監視されている砥石軸11の振動が、振動レベル1を超えているが振動レベル2以下の場合には、上述したように加工物表面にびびりマークなどが生じている可能性があるので、演算装置16からコントローラ17に対して指令信号を出力し、加工サイクルの停止および研削砥石12の回転待機を行わせる。
【0028】
さらに、砥石軸11の振動が振動レベル2を超えた場合には、研削砥石12が欠損した可能性が高いので、演算装置16からコントローラ17に別の指令信号を発し、瞬時に加工サイクルおよび砥石軸11の回転を停止する。
【0029】
この研削砥石のバランス監視装置によると、演算装置16に大小2段階の振動レベル1,2を設定しておくことにより、研削盤の運転状態を砥石12の状態に応じて細かにコントロールすることが可能となるため、自動運転時の生産性を向上させるばかりでなく、加工不良を大幅に減少させることができる。
【0030】
また、この研削砥石のバランス監視装置は、研削中の砥石12の状態が変化し、バランスを悪化させた場合の安全装置として働くばかりでなく、たとえば砥石軸11の軸受に異常が起きた場合にも、本監視装置により検知が可能である。
【0031】
第2実施形態
図3は本発明の研削砥石のバランス監視装置の第2実施形態を示すフローチャートであり、装置構成は上述した第1実施形態と同じであるため図1および図2を参照しながら説明する。
【0032】
まず、ステップ1〜3では、加速度ピックアップ13により取り込まれ、増幅・変換器14およびトラッキングフィルタ15を介して演算装置16に入力された砥石軸11の振動レベルは、この演算装置16により大小2段階の振動レベル1,2と比較演算される。
【0033】
ステップ3における振動レベルが振動レベル1以下であった場合には、研削盤は加工可能な状態と判断され、ステップ4へ進んで加工を開始するかまたは加工サイクルを続行する。これとは逆に、ステップ3にて振動レベルが振動レベル1を超えた場合には、今度はステップ5にて振動レベル2と比較演算され、ここで振動レベル2を超えている場合には、ステップ6へ進んで瞬時に加工サイクルおよび砥石回転が停止される。また、ステップ5にて振動レベル2以下の場合には、ステップ7へ進んで加工サイクルが停止され、砥石12は回転したまま待機した状態になる。
【0034】
次のステップ8では、演算装置16にセットされたカウンタタイマにより、待機状態から一定時間経過した後、ステップ9にて再び演算装置16により振動レベルが比較演算され、振動レベル1以下となった場合には、ステップ10へ進んで、演算装置16より研削盤のコントローラ17に指令信号が送られ、加工サイクルを復帰させる。逆に、ステップ9にて、経過時間を過ぎた後にも振動レベル1を超えている場合には、ステップ11へ進んでコントローラ17に別の信号が送られ、砥石12のバランス修正が自動で行なわれる。
【0035】
以上のように本実施形態によると、上述した第1実施形態の効果に加えて、加工中に研削砥石12に浸透した加工液に起因するアンバランスや、研削砥石12に付着した切り屑など、回転により取り除くことが可能なアンバランス成分や取り除くことが不可能なアンバランス成分のそれぞれに対して、適切な処置が自動で行われるため、自動運転時の研削盤の細かなコントロールが更に可能となる。
【0036】
第3実施形態
図4は本発明の研削砥石のバランス監視装置の第3実施形態を示すフローチャートであり、ステップ1〜11までは上述した第2実施形態(図3)と同じ処理が実行される。
【0037】
本実施形態の装置構成としては、図1に示すシステムの研削盤にさらに集音マイクが取り付けられ、この集音マイクで集音された風切り音から、研削盤のコントローラ17に入力された砥石回転数に応じ、固有周波数領域の音圧レベルを抽出するためのトラッキングフィルタ15および増幅・変換器14、さらには、この変換された音圧レベルを予め設定された音圧レベルと比較演算する機能が演算装置16に付加されている。
【0038】
そして、図示するステップ7の研削砥石12を回転待機させた状態から、次のステップ8では、演算装置16にセットされたカウンタタイマにより、待機状態から一定時間経過した後、ステップ9にて再び演算装置16により振動レベルが比較演算され、振動レベル1以下となった場合には、ステップ10へ進んで、演算装置16より研削盤のコントローラ17に指令信号が送られ、加工サイクルを復帰させる。
【0039】
逆に、ステップ9にて、経過時間を過ぎた後にも振動レベル1を超えている場合には、ステップ11へ進んでコントローラ17に別の信号が送られ、砥石12のバランス修正が自動で行なわれる。
【0040】
このバランス修正が行われたのちに、ステップ12にて上述した集音マイクを用いて音圧レベルを取り込み、次のステップ13にて、演算装置16に入力された特定周波数領域の砥石回転中の風切り音の音圧レベルを、演算装置16に予め設定されている音圧レベルの基準値と比較演算する。
【0041】
ステップ14における判断の結果、取り込まれた音圧レベル(測定値)が基準値以下の場合には、ステップ15へ進んで加工サイクルの復帰を研削盤のコントローラ17に指令する。逆に、ステップ14における判断の結果、音圧レベルの測定値が基準値よりも大きくなっている場合には、ステップ16へ進んで砥石作業面の自動修正サイクルを起動させ、修正後にステップ17で加工サイクルを復帰させる。
【0042】
このように本実施形態によれば、研削盤を自動運転させる場合に、砥石12のバランス状態とともに作業面の状態も監視ができるため、高精度な加工が要求される場合にも自動運転が適用可能となる。
【0043】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研削砥石の監視装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の振動レベルのイメージ図である。
【図3】本発明の研削砥石の監視装置の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図4】本発明の研削砥石の監視装置の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図5】従来の研削砥石の自動運転システムの槻要を示す図である。
【符号の説明】
11…砥石軸
12…研削砥石
13…加速度ピックアップ(振動検出手段)
14…増幅変換器
15…トラッキングフィルタ(振動レベル抽出手段)
16…演算装置(演算手段)
17…コントローラ
Claims (2)
- 研削盤の砥石軸および/または研削砥石の振動を検出する振動検出手段と、
前記研削盤のコントローラに入力された砥石回転数の設定値に基づいて前記砥石軸および/または研削砥石の回転周波数の固有領域を定め、この固有回転周波数領域における前記振動検出手段からの実振動レベルを抽出する振動レベル抽出手段と、
前記振動レベル抽出手段により抽出された実振動レベルと予め設定された第1の基準振動レベルとこれより大きい値の第2の基準振動レベルとを比較し、この比較結果に基づいて前記研削盤のコントローラに指令信号を出力する演算手段と、を備え、
当該演算手段は、
前記振動レベル抽出手段により抽出された実振動レベルが、前記第1の基準振動レベル以下のときは、前記研削盤のコントローラに対して加工可能の指令信号を出力し、
前記実振動レベルが、前記第1の基準振動レベルから前記第2の基準振動レベルの間のときは、前記研削盤のコントローラに対して加工サイクルを停止させる指令信号を出力するとともに前記研削砥石を回転させたまま待機させる指令信号を出力し、
前記実振動レベルが、前記第2の基準振動レベル以上のときは、前記研削盤のコントローラに対して瞬時に加工サイクルおよび前記研削砥石の回転を停止させる指令信号を出力することを特徴とする研削砥石の監視装置。 - 前記演算手段は、さらに、
待機開始から予め設定された時間内に、前記振動検出手段および前記振動レベル抽出手段により検出される実振動レベルが前記第1の基準振動レベル以下になった場合には、前記研削盤のコントローラに対して加工サイクルを自動復帰させる指令信号を出力し、
待機開始から予め設定された時間内に、前記振動検出手段および前記振動レベル抽出手段により検出される実振動レベルが前記第1の基準振動レベル以下にならない場合には、前記研削盤のコントローラに対して、前記研削砥石のバランス修正もしくは砥石修正を行う旨の喚起または自動バランス修正もしくは自動砥石修正を行わせる指令信号を出力することを特徴とする請求項1記載の研削砥石の監視装置。
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JP15371998A JP3656407B2 (ja) | 1998-05-19 | 1998-05-19 | 研削砥石の監視装置 |
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JPH11320400A JPH11320400A (ja) | 1999-11-24 |
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