JP3656347B2 - 回転電機の回転子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流機や交流機等の回転電機の回転子に関するもので、特にランデル型のポールコアの一端面に斜流式ファンを固定し、そのポールコアの他端面に遠心式ファンを固定して2種類の冷却ファンにより冷却を行うようにした車両用交流発電機の回転子に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数個の爪状部が互いに噛み合うように組み付けられたランデル型のポールコアと、このポールコアの中央に収容され、一端部に複数個の冷却フィンが一体成形された樹脂製のコイルボビンと、このコイルボビンの外周に巻装されるロータコイルとを備えた車両用交流発電機の回転子(例えば特開昭59−159647号公報に開示された技術)がある。また、樹脂製のコイルボビンに扇状の筒体を一体成形し、ランデル型のポールコアにおいて周方向に隣設する2個の爪状部の根元部分に形成される逆三角形状の凹部にその筒体を嵌め合わした車両用交流発電機の回転子(例えば特開平4−178146号公報に開示された技術)もある。
【0003】
ところが、上記の2つの従来の技術に設置されるランデル型のポールコアの一端面に斜流式ファンを取り付け、他端面に遠心式ファンを取り付けるようにして、ロータコイルやステータコイル等の発熱部品を冷却しようとした場合に、隣設する2個の爪状部の根元部分に形成される逆三角形状の凹部付近で斜流式ファンによりロータコイルを冷却した冷却風が、遠心式ファンにより吸い込まれる冷却風に衝突する。このため、冷却風がスムーズに流れなくなることにより、ロータコイルやステータコイル等の発熱部品の冷却性を低下させる要因となるという問題があった。
【0004】
そこで、冷却性の低下を解消することを目的として、従来より、図12に示した車両用交流発電機の回転子(例えば実公平5−8781号公報に開示の技術)が提案されている。この従来の回転子は、回転軸101の外周に固定されたフロント側ポールコア102端面に斜流式ファン103を取り付け、リヤ側ポールコア104端面に遠心式ファン105を取り付け、さらにリヤ側ポールコア104端面と遠心式ファン105との間に略環板状の平板106を取り付けている。
【0005】
そして、上記の従来の技術は、リヤ側ポールコア104の外周に設けられた隣設する2個の爪状部107間に形成される略逆三角形状の凹部108に流れ込む冷却風Bを平板106により遮断することにより、斜流式ファン103の回転により凹部108を流れてきた冷却風Aと冷却風Bとの干渉を無くしてコイルボビン109の外周に巻装されたロータコイル110の冷却性能を向上するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来の技術においては、リヤ側ポールコア104と遠心式ファン105との間に平板106を挟み込むだけという単純な構造ではあるが、平板106を必要としている。このため、部品点数の増加と平板106の固定のための設備とが必要となり、組付工数が増加するので、車両用交流発電機の製造コストを増加させてしまうという問題があった。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、部品点数の増加による組付工数の増加を招くことなく、ロータコイル等の発熱部品の冷却性能を向上することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1および請求項3に記載の発明によれば、隣設する2個の第2爪状部の根元部分に形成される凹部を埋める区画壁を、樹脂によりコイルボビンに一体成形している。これにより、斜流式ファンの回転により回転軸の軸方向と略平行な方向に向かって流れる冷却風と遠心式ファンの回転により回転軸の半径方向に向かって流れる冷却風とが区画壁により遮断されることにより、2種類の冷却風が干渉し合うことなく、スムーズな流れを作るので、ロータコイル等の発熱部品の冷却性を向上できる。
【0009】
また、請求項1および請求項3に記載の発明によれば、上記のように、樹脂製のコイルボビンに凹部を埋める区画壁を一体成形することにより、従来の技術で採用していたロータコアと遠心式ファンとの間に挟み込まれて固定された平板等の別部品が不要となるので、平板等の別部品の固定のための設備や部品点数を削減できる。これにより、組付工数の低減と加工工数の低減とが可能となり、回転電機の製造コストを低減することができる。
【0010】
また、請求項に記載の発明によれば、斜流式ファンよりロータコイルの巻装部分に流れ込んだ冷却風は、コイルボビンに設けられた区画壁の誘導面により効率良く回転軸の径方向に吐出されることにより、ロータコイル等の発熱部品の冷却性を向上できる。
【0011】
また、請求項2および請求項3に記載の発明によれば、コイルボビンの区画壁に、複数個の第1爪状部のうちの一部の第1爪状部の先端と遠心式ファンとの間に挟み込まれるようにリブ部を一体成形することにより、区画壁の強度を向上できる。これにより、遠心力による区画壁の変形等の不具合を防止することができるので、区画壁の耐遠心性を向上できる。
【0012】
また、請求項に記載の発明によれば、コイルボビンの区画壁のリブ部に嵌合溝を形成し、さらにその嵌合溝内にロータコイルのコイルリード部を差し込むことにより、肉厚の減少による区画壁の耐遠心性の低下を招くことなく、ロータコイルのコイル部よりコイルリード部を引き出すことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔第1実施例の構成〕
図1ないし図3は本発明を車両用交流発電機の回転子に適用した第1実施例を示したもので、図1はコイルボビンとリヤ側ポールコアを示した図で、図2は車両用交流発電機の回転子を示した図である。
【0014】
本実施例の車両用交流発電機は、フレームと、電機子として働く固定子(図示せず)と、界磁として働く回転子(図2参照)と、電圧調整装置(図示せず)と、整流装置(図示せず)とから構成されている。
車両用交流発電機の固定子は、フレームの内周面に固定されたステータコアと回転子の回転に伴って交流電圧が誘起する三相のステータコイル(いずれも図示せず)とで構成されている。
【0015】
車両用交流発電機の回転子は、上記のフレームに回転自在に支持された回転軸1と、ランデル型のポールコアを構成するフロント側、リヤ側ポールコア2、3と、フロント側ポールコア2の端面に固定される斜流式ファン6と、リヤ側ポールコア3の端面に固定される遠心式ファン7と、フロント側、リヤ側ポールコア2、3の中央に収容されるフィールドコイル8と、フィールドコイル8を巻装するコイルボビン9とを備えている。
【0016】
回転軸1は、ローレット嵌合によりフロント側、リヤ側ポールコア2、3の軸心部に圧入されており、一端部(フロント側端部)がプーリ(図示せず)に連結され、車両に搭載されたエンジン(図示せず)により回転駆動される。また、回転軸1の他端部(リヤ側端部)には、図示しない2個のブラシが摺接する2個のスリップリング(図示せず)が固定されている。
【0017】
フロント側、リヤ側ポールコア2、3は、低炭素鋼を鍛造成形することにより所定の形状に形成された8極または12極の第1、第2ロータコア、第1、第2磁極部であって、外周側に放射状に突出した複数個(本例では4個または6個ずつ)の第1、第2爪状磁極片4、5を有している。なお、フィールドコイル8に励磁電流が流れると、第1爪状磁極片4が全てN極(またはS極)となり、第2爪状磁極片5が全てS極(またはN極)となる。
【0018】
これらの第1、第2爪状磁極片4、5は、本発明の爪状部であって、ステータコアに対向するように軸方向の一方側から他方側へ延長され、平面形状が他方側に凸となる略二等辺三角形状をしている。また、複数個の第1、第2爪状磁極片4、5は、外周側面がフロント側、リヤ側ポールコア2、3の軸心を中心とする円弧形状の曲率面とされ、内周側面が一方側から他方側へ向かって内径が徐々に増大するようにテーパ面とされている。さらに、複数個の第1、第2爪状磁極片4、5の外周側面の両側には、面取りが施されている。
【0019】
そして、複数個の第1、第2爪状磁極片4、5で囲まれた隙間は、フィールドコイル8を冷却する冷却風が流れる通風路とされている。また、フロント側、リヤ側ポールコア2、3の円筒状部分の外周と複数個の第1、第2爪状磁極片4、5の内周面とで囲まれた略円環状の空間は、フィールドコイル8およびコイルボビン9を収容する収容室とされている。なお、隣設する2個の第1爪状磁極片4の根元部分(肩部)間には略逆三角形状の凹部(図示せず)が形成され、また隣設する2個の第2爪状磁極片5の根元部分(肩部)間には略逆三角形状の凹部10が形成されている。
【0020】
斜流式ファン6は、金属材料により略円環板形状に形成され、フロント側ポールコア2の一端面(フロント側端面)に溶接またはかしめ等により固定されたベース板11の外周端縁に、等ピッチで複数枚の斜流式冷却翼12が形成されている。これらの斜流式冷却翼12は、ベース板11の外周端縁より一方側(フロント側)に所定の傾斜角度(例えば50°〜70°)切り起こされた状態でベース板11に支持されている。
【0021】
複数枚の斜流式冷却翼12は、回転軸1の軸方向の一方側(フロント側)から吸い込んだ冷却風の一部を、回転軸1の軸方向の他方側(リヤ側)、すなわち、フィールドコイル8に向かって送風する。また、複数枚の斜流式冷却翼12は、回転軸1の軸方向の一方側から吸い込んだ冷却風の一部を、回転軸1の径方向外方、すなわち、三相のステータコイルに向かって送風する。なお、斜流式ファン6に板厚方向より凸状に突出する補強用リブ部を設けても良い。
【0022】
遠心式ファン7は、金属材料により略円環板形状に形成され、リヤ側ポールコア3の他端面(リヤ側端面)に溶接またはかしめ等により固定されたベース板13の外周端縁に、等ピッチで複数枚の遠心式冷却翼14が形成されている。これらの遠心式冷却翼14は、ベース板13の外周端縁より他方側(リヤ側)に所定の傾斜角度(例えば90°)切り起こされた状態でベース板13に支持されている。
【0023】
複数枚の遠心式冷却翼14は、回転軸1の軸方向の一方側(フロント側)から吸い込んだ冷却風を、回転軸1の径方向外方、すなわち、三相のステータコイルに向かって送風する。なお、遠心式ファン7に板厚方向より凸状に突出する補強用リブ部を設けても良い。
【0024】
次に、本実施例のフィールドコイル8を図1ないし図3に基づいて説明する。ここで、図3はフィールドコイルを巻装したコイルボビンを示した図である。フィールドコイル8は、本発明のロータコイルであって、線径が例えば0.5mm〜2.0mmの銅線が利用され、コイルボビン9の外周に所定の巻数巻装されるコイル部21、およびこのコイル部21の遠心式ファン7側(リヤ側、スリップリング側)の端部より軸方向の他方側に引き出された2本のコイルリード部22を有している。
【0025】
これらのコイルリード部22は、大部分が円管形状のシリコンチューブ(被覆材)23により覆われており、これらの端末部が2個のスリップリングにそれぞれ結線された2本のコネクションバー(図示せず)に半田付け等の溶接手段を用いてそれぞれ電気的に接続されている。なお、2本のコイルリード部22と2本のコネクションバーとは、図示しない含浸剤(エポキシ系樹脂)により覆われて保護されている。
【0026】
次に、本実施例のコイルボビン9を図1ないし図3に基づいて説明する。コイルボビン9は、フィールドコイル8のコイル部21が巻回される底壁31、この底壁31の筒方向の一端側に設けられた円環板形状の係止壁32、底壁31の筒方向の他端側に設けられた円環板形状の係止壁33、および隣設する2つの係止壁33間にそれぞれ設けられた突出壁34等をナイロン樹脂等の樹脂により一体成形している。
【0027】
底壁31は、フィールドコイル8のコイル部21とフロント側、リヤ側ポールコア2、3の円筒状部分とを電気的に絶縁する部分で、フロント側、リヤ側ポールコア2、3の円筒状部分の外周に装着され、回転軸1の軸方向に延長された略円筒形状の断面を有する。係止壁32は、フィールドコイル8のコイル部21と複数個の第1爪状磁極片4とを電気的に絶縁する部分で、外周に複数の鍔状片32aが形成されている。係止壁33は、フィールドコイル8のコイル部21と複数個の第2爪状磁極片5とを電気的に絶縁する部分で、係止壁32と同様に、外周に複数の鍔状片33aが形成されている。複数の鍔状片33aのうちの2つの鍔状片33aには、フィールドコイル8のコイルリード部22が挿通し、且つ差し込まれるスリット(図示せず)が形成されている。
【0028】
複数の突出壁34は、本発明の区画壁であって、複数の係止壁33の外側端面よりも軸方向の他方側に突出するように形成されている。これらの突出壁34の各々には、凹部10に対応した形状(扇形状)の遮断部35、およびこの遮断部35と係止壁33とを連結する連結部36が一体成形している。また、突出壁34の内側面(フロント側面)には、回転軸1の軸方向に流れる冷却風、すなわち、フィールドコイル8のコイル部21を冷却した冷却風を、回転軸1の径方向に向かうように徐々に偏向させるためのR形状の誘導面37が形成されている。突出壁34の遮断部35は、複数の凹部10をそれぞれ埋めるように凹部10内に嵌め合わされており、連結部36よりも肉厚が大きい。
【0029】
〔第1実施例の作用〕
次に、本実施例の車両用交流発電機の回転子1の作用を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
【0030】
エンジンの回転動力がプーリを介して回転軸1に伝達されると、回転軸1と一体的にフロント側、リヤ側ポールコア2、3が回転する。そして、フィールドコイル8に励磁電流が流れると、フロント側、リヤ側ポールコア2、3が磁化されて、第1爪状磁極片4が全てN極(またはS極)となり、第2爪状磁極片5が全てS極(またはN極)となる。そして、第1、第2爪状磁極片4、5に対向するように配置されたステータコアに巻装された三相のステーコイルに順次交流電流が誘起する。
【0031】
ここで、三相のステーコイルやフィールドコイル8等の発熱部品が通電されることにより発熱する。これらの発熱部品は、フロント側、リヤ側ポールコア2、3が回転することによって、斜流式ファン6の複数枚の斜流式冷却翼12および遠心式ファン7の複数枚の遠心式冷却翼14も回転することによりフレーム内に吸い込まれる冷却風にて冷却される。
【0032】
具体的には、複数枚の斜流式冷却翼12の回転により、前方側よりフレーム内に吸い込まれた冷却風の一部が斜流式ファン6の径方向に向けて吐出され、三相のステータコイルを冷却してからフレームの外に出る。また、複数枚の斜流式冷却翼12の回転により、フレーム内に吸い込まれた冷却風の残部は、回転軸1の軸方向の公報側に向けて吐出され、フィールドコイル8を冷却する。そして、フィールドコイル8を冷却した冷却風は、コイルボビン9に一体成形された複数の突出壁34の誘導面37に沿って回転軸1の径方向に向かうように徐々に偏向し、効率良く三相のステータコイルを冷却してからフレームの外に出る。
【0033】
さらに、複数枚の遠心式冷却翼14の回転により、後方側よりフレーム内に吸い込まれた冷却風は、複数の突出壁34の遮断部35によりフィールドコイル8側への侵入を阻まれて遠心式ファン7の径方向に向けて吐出され、三相のステータコイルを冷却してからフレームの外に出る。
【0034】
〔第1実施例の効果〕
以上のように、車両用交流発電機の回転子は、斜流式ファン6によりフィールドコイル8に送風される冷却風と遠心式ファン7から流れ込む冷却風とが、隣設する2個の第2爪状磁極片5間に形成される略逆三角形状の凹部10に嵌め合わされる複数の突出壁34の遮断部35により遮断される。これにより、冷却風同士が干渉し合うことなく、スムーズな流れを作ることができるので、三相のステータコイルやフィールドコイル8等の発熱部品の冷却性を向上することができる。
【0035】
また、斜流式ファン6よりフィールドコイル8に流れ込んだ冷却風は、複数の突出壁34のR形状の誘導面37により効率良く、リヤ側ポールコア3の径方向外方に吐出できる。さらに、コイルボビン9に複数の突出壁34を樹脂により一体成形することにより、従来使用していたリヤ側ポールコア104と遠心式ファン105との間に固定された平板106(図12参照)が不要となる。そして、樹脂成形による形状の自由度から成形した後のコイルボビン9を加工して突出壁34を設ける必要もない。このため、部品点数の削減と加工工数の低減と組付工数の低減とを実現できるので、車両用交流発電機の製造コストを低減することができる。
【0036】
〔第2実施例〕
図4および図5は本発明を車両用交流発電機の回転子に適用した第2実施例を示したもので、図4および図5は車両用交流発電機の回転子を示した図である。
【0037】
本実施例では、樹脂製のコイルボビン9の複数の突出壁34の連結部36の外周側に、連結部36よりも肉厚の大きい一文字状のリブ部41を一体成形している。このリブ部41は、フロント側ポールコア2の第1爪状磁極片4の先端面と遠心式ファン7のベース板13の外周縁との間に挟み込まれるように、突出壁34に設けられている。
【0038】
この実施例のように、突出壁34にリブ部41を樹脂成形してそのリブ部41をフロント側ポールコア2の第1爪状磁極片4の先端面と遠心式ファン7のベース板13の外周縁との間に挟み込んで固定することにより、突出壁34の耐遠心性を向上できるので、遠心力による突出壁34の変形等の不具合を防止することができる。また、複数の突出壁34に設けられたリブ部41は、リヤ側ポールコア3の回転方向に対して直交する方向に一文字状に形成されているので、冷却翼の効果も有している。このため、フィールドコイル8を冷却した冷却風をリヤ側ポールコア3の径方向外方へ吐出する冷却風の排出効果を高めることができる。
【0039】
〔第3実施例〕
図6ないし図11は本発明を車両用交流発電機に適用した第3実施例を示したもので、図6および図7は車両用交流発電機の回転子を示した図である。
【0040】
本実施例では、樹脂製のコイルボビン9の複数の突出壁34に設けられたリブ部41の外周面および遮断部35の遠心式ファン7側端面に、図8ないし図11に示したように、フィールドコイル8のコイルリード部22をシリコンチューブ23ごと差し込む(嵌め込む)ためのU字溝(嵌合溝)42、43を形成している。これらのU字溝(スリット)42、43は互いに略直交するように形成されているが、U字溝42、43の接続部分をR形状にしても良い。
【0041】
これにより、複数の突出壁34の耐遠心性を損なうことなく、フィールドコイル8のコイルリード部22をコイルボビン9より容易に引き出すことができる。このため、コイルリード部22とコネクションバー24との半田付け等の溶接手段による電気的な接続がし易くなる。
【0042】
また、フィールドコイル8のコイルリード部22をコイルボビン9のU字溝42、43内に差し込むことにより、コイルリード部22がU字溝42、43の周囲の溝壁面にて強固に保持される。このように、コイルリード部22の固定を簡単な作業で行うことができるので、組付工数を低減でき、製造コストを低減できる。さらに、フィールドコイル8のコイルリード部22を係止壁33に巻き付けることなく固定しているので、車両の振動や回転軸1および回転子の回転変動が非常に大きくても、フィールドコイル8のコイルリード部22の損傷や断線を防止できる。
【0043】
〔変形例〕
本実施例では、本発明を車両用交流発電機の回転子に適用したが、本発明をその他の交流発電機、交流電動機、直流発電機または直流電動機等の回転電機の回転子に適用しても良い。また、本実施例では、回転子を界磁として用いたが、回転子を電機子として用いても良い。さらに、本実施例では回転軸1がエンジンに回転駆動される車両用交流発電機に本発明を用いたが、電動モータ等の他の駆動源により回転駆動される交流発電機に本発明を用いても良い。
【0044】
本実施例では、ランデル型のロータコアを一対のフロント側、リヤ側ポールコア2、3(2つの磁極部材)により構成したが、ランデル型のロータコアを1つの磁極部材にて構成しても良い。また、第1、第2爪状磁極片4、5の個数は第1、第2爪状磁極片4、5が同一の個数であれば自由に選定できる。
【0045】
本実施例では、フロント側ポールコア2の端面に斜流式ファン6を固定したが、リヤ側ポールコア3の端面に固定されていても良い。また、ロータコアの一方側であれば斜流式ファン6を回転軸1に直接取り付けても良い。本実施例では、リヤ側ポールコア3の端面に遠心式ファン7を固定したが、フロント側ポールコア2の端面に固定されていても良い。また、ロータコアの一方側であれば斜流式ファン6を回転軸1に直接取り付けても良い。さらに、斜流式ファン6に遠心式冷却翼が混在していても良く、遠心式ファン7に斜流式冷却翼が混在していても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】コイルボビンとリヤ側ポールコアを示した組付図である(第1実施例)。
【図2】車両用交流発電機の回転子を示した半断面図である(第1実施例)。
【図3】フィールドコイルを巻装したコイルボビンを示した断面図である(第1実施例)。
【図4】車両用交流発電機の回転子を示した半断面図である(第2実施例)。
【図5】図4をS側から回転子を見た時の平面図である(第2実施例)。
【図6】車両用交流発電機の回転子を示した半側面図である(第3実施例)。
【図7】図6のA−A断面図である(第3実施例)。
【図8】図6をP側から回転子を見た時の平面図である(第3実施例)。
【図9】図8をR側から回転子を見た時の平面図である(第3実施例)。
【図10】図6をQ側から回転子を見た時の平面図である(第3実施例)。
【図11】フィールドコイルを巻装したコイルボビンを示した断面図である(第3実施例)。
【図12】車両用交流発電機の回転子を示した半断面図である(従来の技術)。
【符号の説明】
1 回転軸
2 フロント側ポールコア(ロータコア)
3 リヤ側ポールコア(ロータコア)
4 第1爪状磁極片(爪状部)
5 第2爪状磁極片(爪状部)
6 斜流式ファン
7 遠心式ファン
8 フィールドコイル(ロータコイル)
9 コイルボビン
10 凹部
21 コイル部
22 コイルリード部
34 突出壁(区画壁)
37 誘導面
41 リブ部
42 U字溝(嵌合溝)
43 U字溝(嵌合溝)

Claims (4)

  1. (a)回転軸と、
    (b)この回転軸と一体的に回転すると共に、
    一方側の外周より他方側に延長された複数個の第1爪状部と他方側の外周より一方側に延長された複数個の第2爪状部とが互いに噛み合うように組み付けられるランデル型のロータコアと、
    (c)このロータコアの一方側に配設され、前記回転軸と一体的に回転して少なくとも前記回転軸の軸方向に向かう冷却風を発生させる斜流式ファンと、
    (d)前記ロータコアの他方側に配設され、前記回転軸と一体的に回転して少なくとも前記回転軸の径方向に向かう冷却風を発生させる遠心式ファンと、
    (e)前記ロータコアに収容され、樹脂製のコイルボビンを介して前記ロータコアに巻装されるロータコイルと
    を備えた回転電機の回転子であって、
    前記コイルボビンには、隣設する2個の第2爪状部の根元部分に形成される凹部を埋めるための区画壁が一体成形され
    前記区画壁には、前記回転軸の軸方向に流れる冷却風を前記回転軸の径方向に向かうように徐々に偏向させる誘導面が形成されていることを特徴とする回転電機の回転子。
  2. 請求項1に記載の回転電機の回転子において、
    前記区画壁には、前記複数個の第1爪状部のうちの一部の第1爪状部の先端と前記遠心式ファンとの間に挟み込まれるように、肉厚を厚くしたリブ部が一体成形されたことを特徴とする回転電機の回転子。
  3. (a)回転軸と、
    (b)この回転軸と一体的に回転すると共に、
    一方側の外周より他方側に延長された複数個の第1爪状部と他方側の外周より一方側に延長された複数個の第2爪状部とが互いに噛み合うように組み付けられるランデル型のロータコアと、
    (c)このロータコアの一方側に配設され、前記回転軸と一体的に回転して少なくとも前記回転軸の軸方向に向かう冷却風を発生させる斜流式ファンと、
    (d)前記ロータコアの他方側に配設され、前記回転軸と一体的に回転して少なくとも前記回転軸の径方向に向かう冷却風を発生させる遠心式ファンと、
    (e)前記ロータコアに収容され、樹脂製のコイルボビンを介して前記ロータコアに巻装されるロータコイルと
    を備えた回転電機の回転子であって、
    前記コイルボビンには、隣設する2個の第2爪状部の根元部分に形成される凹部を埋めるための区画壁が一体成形され、
    前記区画壁には、前記複数個の第1爪状部のうちの一部の第1爪状部の先端と前記遠心式ファンとの間に挟み込まれるように、肉厚を厚くしたリブ部が一体成形されたことを特徴とする回転電機の回転子。
  4. 請求項2または請求項3に記載の回転電機の回転子において、
    前記ロータコイルには、前記コイルボビンの外周に所定の巻数だけ巻装されるコイル部、およびこのコイル部の前記遠心式ファン側の端部より外部に引き出されるコイルリード部が設けられ、
    前記リブ部には、前記コイルリード部が差し込まれる嵌合溝が形成されたことを特徴とする回転電機の回転子。
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