JP3656226B2 - 自動車用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱及び冷却機能を有する自動車用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
USP5524439には、温度センサの出力信号に基づいて制御装置が電動ファン(electric fan)及び熱電モジュール(thermoelectric module )を調節するシステムが開示されている。
【0003】
特開平5−277020号公報には、表面にエア吹出孔が形成されたシートと、該シート内に形成されエア吹出孔と連通する連通路と、連通路に配設されたペルチェ素子と、エア吹出孔に向かって空気を送る連通路に配設されたファンと、を備える自動車用シートが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−277020号公報の自動車用シートでは、電子制御ユニットを備えていない場合は、多段階の温度設定ができない。
電子制御ユニットを備えている場合は、自動制御を行なう高信頼性のCPUが必要となるため、コストが高くなる。
自動車は大量生産されると共に、世界中で多くの人に長時間長距離使われる物なので、自動車用の半導体部品は低コストと高信頼性と耐久性が非常に要求されるからである。
【0005】
同様にして、USP5524439のシステムでは、自動制御を行なう高信頼性のCPUが必要となるため、コストが高くなる。
また、このシステムでは、温度センサが熱交換器(heat exchanger)に取り付けてあり、この温度センサは電動ファンの吸気温度を検出するものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動車用シートは、複数の熱電モジュールと、複数の熱電モジュールを並列接続又は直列接続に切り換えるリレーと、複数の熱電モジュールに印加される電圧の極性を反転させるスイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
複数の熱電モジュールを並列接続又は直列接続に切り換えることで、各熱電モジュールの印加電圧を変えることができ、加熱又は冷却の強弱出力を可変とすることができる。
リレーにより切換えを行なうことで、高信頼性のCPUを用いる場合よりも、自動車用シートのコストを低くすることができる。また、リレーは部品構造が比較的に簡単なので、高信頼性も確保することができる。
複数の熱電モジュールに印加される電圧の極性を反転させることで、同一の熱電モジュールにより加熱及び冷却を行なうことができる。
【0008】
例えば、請求項2記載の自動車用シートのように、複数の熱電モジュールが直列接続されている場合に、各熱電モジュールの冷却能力は熱電モジュール固有の最大冷却能力の80%以上となるように、熱電モジュールを選定してもよい。
これにより、一般的に直列接続時には並列接続時よりも負荷の電力効率が低下するが、直列接続時にも充分な冷却能力を熱電モジュールから出力させることができる。
【0009】
請求項3では、請求項1又は2記載の自動車用シートにおいて、電動ファンからの吐気を熱電モジュールにより加熱又は冷却し、加熱又は冷却された吐気をシートに供給してシートを加熱又は冷却する自動車用シートであって、電動ファンの吸気温度を検出する温度センサを備え、温度センサによって電動ファンの回転速度を可変としたことを特徴とする。
【0010】
熱電モジュールに供給される風量の最適値は、熱電モジュールに供給される空気の温度により異なり、従って電動ファンの吸気温度により異なる。
電動ファンの吸気温度を温度センサで検出し、温度センサにより電動ファンの回転速度を可変とすることで、熱電モジュールに供給される風量を最適値とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明に係る自動車用シートの簡易回路図であり、図中の太線は主な電流の流れる経路を示す。
【0012】
この自動車用シート1は、複数の熱電モジュール51,52と、複数の熱電モジュール51,52を並列接続又は直列接続に切り換えるリレー41〜44と、複数の熱電モジュール51,52に印加される電圧の極性を反転させるスイッチ32,33と、電動ファン2と、シート(不図示)と、を備えている。
また、電動ファン2をオン/オフするスイッチ31を備えている。
車載バッテリ(不図示)の+端子からは電源電圧Vcが供給され、図中のアースは車載バッテリの−端子に接続されている。
各スイッチ31〜33は、例えばトグルスイッチで構成してもよく、ボタンスイッチで構成してもよい。
【0013】
自動車用シート1は、電動ファン2からの吐気を熱電モジュール51,52により加熱又は冷却し、加熱又は冷却された吐気をシートに供給してシートを加熱又は冷却する。
加熱又は冷却された吐気は、シートに設けられた複数のエア吹出孔から吹き出されるようになっている。
【0014】
図1の自動車用シート1は、スイッチ31〜33が全てオンの場合を示している。熱電モジュール51,52は直列接続される。
スイッチ31がオンなので、電動ファン2はオンして回転する。
スイッチ32,33がオンなので、リレー41〜44内のコイルに電流が流れ、リレー41〜44はオンになる。
電流は、次の▲1▼→▲8▼のような経路で流れる。
▲1▼:車載バッテリの+端子
▲2▼:リレー41のa端子(メーク接点) → 可動部 → c端子(共通接点)
▲3▼:熱電モジュール51(加熱)
▲4▼:リレー42のc端子(共通接点) → 可動部 → a端子(メーク接点)
▲5▼:リレー43のa端子(メーク接点) → 可動部 → c端子(共通接点)
▲6▼:熱電モジュール52(加熱)
▲7▼:リレー44のc端子(共通接点) → 可動部 → a端子(メーク接点)
▲8▼:車載バッテリの−端子
なお、熱電モジュール51,52により、電動ファン2からの吐気は加熱され、この加熱された空気がシートのエア吹出孔から吹き出す。
【0015】
図2の自動車用シート1は、スイッチ31,32がオンの場合で、スイッチ33がオフの場合を示している。熱電モジュール51,52は並列接続される。
スイッチ31がオンなので、電動ファン2はオンして回転する。
スイッチ32がオンなので、リレー41,44内のコイルに電流が流れ、リレー41,44はオンになる。一方、リレー42,43はオフである。
電流は、次の▲1▼→▲5▼のような経路で流れる。
▲1▼:車載バッテリの+端子
▲2▼:リレー41のa端子(メーク接点) → 可動部 → c端子(共通接点)
▲3▼:熱電モジュール51(加熱)
▲4▼:リレー42のc端子(共通接点) → 可動部 → b端子(ブレーク接点)
▲5▼:車載バッテリの−端子
【0016】
電流は、次の▲1▼’→▲5▼’のような経路でも流れる。
▲1▼’:車載バッテリの+端子
▲2▼’:リレー43のb端子(ブレーク接点) → 可動部 → c端子(共通接点)
▲3▼’:熱電モジュール52(加熱)
▲4▼’:リレー44のc端子(共通接点) → 可動部 → a端子(メーク接点)
▲5▼’:車載バッテリの−端子
なお、熱電モジュール51,52により、電動ファン2からの吐気は加熱され、この加熱された空気がシートのエア吹出孔から吹き出す。
【0017】
複数の熱電モジュール51,52を並列接続又は直列接続に切り換えることで、各熱電モジュール51,52の印加電圧を変えることができ、加熱又は冷却の強弱出力を可変とすることができる。
リレー41〜44により切換えを行なうことで、高信頼性のCPUを用いる場合よりも、自動車用シートのコストを低くすることができる。また、リレー41〜44は部品構造が比較的に簡単なので、高信頼性も確保することができる。
【0018】
図3の自動車用シート1は、スイッチ31,33がオンの場合で、スイッチ32がオフの場合を示している。熱電モジュール51,52は直列接続される。
スイッチ31がオンなので、電動ファン2はオンして回転する。
スイッチ33がオンなので、リレー42,43内のコイルに電流が流れ、リレー42,43はオンになる。一方、リレー41,44はオフである。
電流は、次の▲1▼→▲8▼のような経路で流れる。
▲1▼:車載バッテリの+端子
▲2▼:リレー44のb端子(ブレーク接点) → 可動部 → c端子(共通接点)
▲3▼:熱電モジュール52(冷却)
▲4▼:リレー43のc端子(共通接点) → 可動部 → a端子(メーク接点)
▲5▼:リレー42のa端子(メーク接点) → 可動部 → c端子(共通接点)
▲6▼:熱電モジュール51(冷却)
▲7▼:リレー41のc端子(共通接点) → 可動部 → b端子(ブレーク接点)
▲8▼:車載バッテリの−端子
なお、熱電モジュール51,52により、電動ファン2からの吐気は冷却され、この冷却された空気がシートのエア吹出孔から吹き出す。
複数の熱電モジュール51,52に印加される電圧の極性を反転させることで、同一の熱電モジュール51,52により加熱及び冷却を行なうことができる。
【0019】
図4の自動車用シート1は、スイッチ31がオンの場合で、スイッチ32,33がオフの場合を示している。
スイッチ31がオンなので、電動ファン2はオンして回転する。
スイッチ32,33がオフなので、リレー41〜44内のコイルに電流が流れず、リレー41〜44はオフである。
熱電モジュール51,52は、電動ファン2からの吐気に対し、加熱も冷却も行なわない。
なお、スイッチ31〜33がオフの場合は、電動ファン2はオフであり、リレー41〜44もオフであり、熱電モジュール51,52に電流は流れない。
【0020】
図5,図6の自動車用シート11は、図1の自動車用シート1に温度センサS,Srを設けると共に、抵抗Rを設けたものである。
温度センサSは、車載バッテリの+端子とリレー41〜44のコイルとの間に設けている。
車内温度が予め設定された一定温度Ts未満の場合は、温度センサSにより、車載バッテリの+端子とリレー41〜44のコイルとは接続状態となり、自動車用シート11への電源供給が行なわれる(図5参照)。
車内温度が予め設定された一定温度Ts以上の場合は、温度センサSにより、車載バッテリの+端子とリレー41〜44のコイルとは遮断状態となり、自動車用シート11への電源供給が停止される(図6参照)。
【0021】
温度センサSrは、抵抗Rと並列接続されている。
温度センサSrは、車載バッテリの+端子と電動ファン2との間に設けてあり、電動ファン2の吸気温度を検出する。
吸気温度が予め設定された一定温度Tr未満の場合は、温度センサSrにより、車載バッテリの+端子と電動ファン2との間の抵抗値は、抵抗Rの抵抗値となる。
このため、スイッチ31がオンの場合は、抵抗Rでの電圧降下により、電動ファン2の印加電圧が電源電圧Vcよりも小さくなり、電動ファン2の回転速度を小さくすることができる(図5参照)。
【0022】
吸気温度が予め設定された一定温度Tr以上の場合は、温度センサSrにより、車載バッテリの+端子と電動ファン2との間の抵抗値は、抵抗Rの抵抗値よりもかなり小さくなる。
このため、スイッチ31がオンの場合は、抵抗Rでの電圧降下がかなり小さくなり、電動ファン2の印加電圧が電源電圧Vcにほぼ等しくなり、電動ファン2の回転速度を大きくすることができる(図6参照)。
【0023】
熱電モジュール51,52に供給される風量の最適値は、熱電モジュール51,52に供給される空気の温度により異なり、従って電動ファン2の吸気温度により異なる。
電動ファン2の吸気温度を温度センサSrで検出し、温度センサSrにより電動ファン2の回転速度を可変とすることで、熱電モジュール51,52に供給される風量を最適値とすることができる。
例えば、暖房の場合は、風量を0〜30立方メートル/時に可変できる電動ファン2については、吸気温度が25℃程度のときは風量を約17〜30立方メートル/時とし、吸気温度が20℃程度のときは風量を約10〜14立方メートル/時とし、吸気温度が15℃程度のときは風量を約5〜8立方メートル/時として、人体温度と吸気温度との差が大きいほど風量を小さくしてもよい。
例えば、冷房の場合は、電動ファン2を最大出力としてもよい。
【0024】
図7の自動車用シート21は、図5,図6の自動車用シート11のリレー41〜44を、リレー45,46で構成したものである。
リレー45のa,b,c端子は、リレー44のa,b,c端子と各々対応する。リレー45のa’,b’,c’端子は、リレー41のa,b,c端子と各々対応する。
リレー46のa,b,c端子は、リレー42のa,b,c端子と各々対応する。リレー46のa’,b’,c’端子は、リレー43のa,b,c端子と各々対応する。
【0025】
図8は、熱電モジュールの印加電圧と出力の特性図の一例である。
この熱電モジュールは、印加電圧が約−8.5Vの場合に、最大冷却能力を出力する。符号Tは、最大冷却能力時における、熱電モジュールの吸気と吐気の温度差である。
この熱電モジュールは、印加電圧が約−4.8Vの場合に、最大冷却能力の80%の冷却能力を出力する。
【0026】
図8の特性を有する熱電モジュールを自動車用シート1の熱電モジュール51,52に用いることで、図3のような冷却時には、各熱電モジュール51,52の冷却能力は熱電モジュール固有の最大冷却能力の約90%とすることができる。
これにより、一般的に直列接続時には並列接続時よりも負荷の電力効率が低下するが、直列接続時にも充分な冷却能力を熱電モジュールから出力させることができる。
【0027】
車載バッテリの電源電圧Vcは約12Vなので、熱電モジュール51,52が直列接続の場合、各々の印加電圧は約−6Vとなる。
図8で、印加電圧が約−8.5V〜−4.8Vの区間Qでは、各熱電モジュール51,52の冷却能力は熱電モジュール固有の最大冷却能力の80%以上とすることができる。
【0028】
なお、熱電モジュール51,52は、ペルチェ効果による熱の発生/吸収を利用した素子(ペルチェ素子)を用いて構成してもよく、電子冷却素子を備えて構成してもよい。
スイッチ31〜33は、自動車の乗員が手動により操作することで、CPUでの自動制御による温度調整のための頻繁なオン/オフ切換えを防止することができ、スイッチ及びリレーの端子(接点)の摩耗を小さく抑えることができ、リレーの信頼性を高めることができる。スイッチ31〜33は、手動スイッチ又はロータリースイッチとしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車用シートによれば、複数の熱電モジュールを並列接続又は直列接続に切り換えて、各熱電モジュールの印加電圧を変えることができ、加熱又は冷却の強弱出力を可変とすることができる。
リレーにより切換えを行なうことで、高信頼性のCPUを用いる場合よりも、自動車用シートのコストを低くすることができる。また、リレーは部品構造が比較的に簡単なので、高信頼性も確保することができる。
複数の熱電モジュールに印加される電圧の極性を反転させることで、同一の熱電モジュールにより加熱及び冷却を行なうことができる。
【0030】
複数の熱電モジュールが直列接続されている場合に、各熱電モジュールの冷却能力は熱電モジュール固有の最大冷却能力の80%以上となるように、熱電モジュールを選定することで、一般的に直列接続時には並列接続時よりも負荷の電力効率が低下するが、直列接続時にも充分な冷却能力を熱電モジュールから出力させることができる。
【0031】
電動ファンの吸気温度を検出する温度センサを備え、温度センサによって電動ファンの回転速度を可変とすることで、熱電モジュールに供給される風量を最適値とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用シートの簡易回路図(直列接続された熱電モジュールによる暖房時)
【図2】本発明に係る自動車用シートの簡易回路図(並列接続された熱電モジュールによる暖房時)
【図3】本発明に係る自動車用シートの簡易回路図(直列接続された熱電モジュールによる冷房時)
【図4】本発明に係る自動車用シートの簡易回路図(送風時)
【図5】本発明の別実施形態に係る自動車用シートの簡易回路図
【図6】本発明の別実施形態に係る自動車用シートの簡易回路図
【図7】本発明の別実施形態に係る自動車用シートの簡易回路図
【図8】熱電モジュールの印加電圧と出力の特性図
【符号の説明】
1,11,21…自動車用シート、2…電動ファン(ブロワモータ)、31〜33…スイッチ、41〜46…リレー、51,52…熱電モジュール(ヒートポンプ)、R…抵抗、S,Sr…温度センサ(感温スイッチ)、Vc…電源電圧。
Claims (3)
- 複数の熱電モジュールと、
複数の熱電モジュールを並列接続又は直列接続に切り換えるリレーと、
複数の熱電モジュールに印加される電圧の極性を反転させるスイッチと、
を備えてなる自動車用シート。 - 複数の熱電モジュールが直列接続されている場合に、各熱電モジュールの冷却能力は熱電モジュール固有の最大冷却能力の80%以上であることを特徴とする請求項1記載の自動車用シート。
- 電動ファンからの吐気を熱電モジュールにより加熱又は冷却し、加熱又は冷却された吐気をシートに供給してシートを加熱又は冷却する自動車用シートであって、
電動ファンの吸気温度を検出する温度センサを備え、温度センサによって電動ファンの回転速度を可変とした
ことを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用シート。
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JPH11113678A JPH11113678A (ja) | 1999-04-27 |
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JP28683097A Expired - Fee Related JP3656226B2 (ja) | 1997-10-20 | 1997-10-20 | 自動車用シート |
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1997
- 1997-10-20 JP JP28683097A patent/JP3656226B2/ja not_active Expired - Fee Related
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